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建設業経理士の資格|級ごとの内容と勉強法

@SOHO編集部
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建設業経理士の資格|級ごとの内容と勉強法

この記事のポイント

  • ✓建築経理の資格として知られる建設業経理士と建設業経理事務士について
  • ✓令和8年度の日程と受験料
  • ✓経営事項審査で評価される仕組み

建設会社や工務店の経理の求人を見ていると、応募の条件や歓迎の欄に「建設業経理士」という名前がよく出てきます。建築経理の資格を調べている人の多くは、この資格がどれくらい役に立つのか、日商簿記とどう違うのか、どの級から受ければよいのかを知りたいはずです。

結論から言うと、建設業経理士は建設業の会計に特化した検定で、1級と2級は会社が公共工事の入札で受ける審査の点数に直接かかわります。そのため建設会社には合格者を社内に確保したい理由があり、資格の価値が求人の現場で数字として表れやすいのが特徴です。この記事では、試験を実施する一般財団法人建設業振興基金と国土交通省の公表資料で確かめた内容をもとに、級ごとの中身、令和8年度の日程と受験料、合格率、勉強の進め方、資格の活かし方を順番に整理します。

建設業経理士とは。建設業の会計に特化した検定

建設業経理士は、建設業の簿記・原価計算・財務諸表の知識を測る検定試験の合格者に与えられる称号です。試験全体の名前は「建設業経理検定試験」で、1級と2級が「建設業経理士検定試験」、3級と4級が「建設業経理事務士検定試験」と呼び分けられています。建築経理の資格として検索されることが多いのですが、正式な名前は「建築」ではなく「建設業」です。履歴書に書くときは「1級建設業経理士」「2級建設業経理士」「3級建設業経理事務士」のように、級と正式名称をそのまま書きます。

試験を実施しているのは一般財団法人建設業振興基金です。公式の案内は、試験の位置づけを次のように説明しています。

「建設業経理士検定試験」(1級、2級)は、建設業法施行規則第18条の3に基づく「登録経理試験」として、また、「建設業経理事務士検定試験」(3級、4級)は(一財)建設業振興基金独自の試験として実施しています。 出典: keiri-kentei.jp

ここでいう登録経理試験とは、建設業法の規則にもとづいて国土交通大臣の登録を受けた試験のことです。医師や税理士のように法律で業務が独占される国家資格とは違い、合格しなくても建設会社の経理の仕事はできます。それでも1級と2級が特別なのは、この「登録経理試験」に当たるため、会社の評価の制度に組み込まれているからです。3級と4級は財団独自の試験で、制度上の評価はありませんが、建設業の帳簿のしくみを基礎から学ぶ入口になります。

受験の条件はありません。公式の案内には「どなたでも、希望の級を受験することができます」と書かれていて、学歴や実務経験は問われません。いきなり2級から受けることも、1級から受けることもできます。ただし1級は、ほかの級と同じ日に受けることはできません。1級の科目を同じ日に複数受けるのは可能です。

建設業の経理が一般の経理と分けて扱われるのは、仕事の進め方が独特だからです。建設工事は着工から完成まで数か月から数年かかり、1つの工事ごとに材料費・労務費・外注費・経費を集めて原価を計算します。完成前の工事にかかった費用は「未成工事支出金」、受け取った前金は「未成工事受入金」といった建設業独自の勘定科目で処理します。勘定科目とは、帳簿でお金の動きを分類するための名前のことです。一般の商業簿記を学んだ人でも、こうした科目と工事ごとの原価計算には戸惑いやすく、そこを体系的に学べるのがこの検定の意味です。

数字で見る建設業経理検定の規模と合格率

建設業振興基金は、過去5年間の受験者数と合格率を公表しています。合格率は「合格者数を受験者数で割って100を掛けた数字」で、申し込んだのに欠席した人は含みません。直近の回の数字を並べると次のとおりです。

級・科目 回(実施日) 受験者数 合格者数 合格率
1級 財務諸表 第38回(令和8年3月8日) 1,480人 445人 30.1%
1級 財務分析 第38回(令和8年3月8日) 1,279人 367人 28.7%
1級 原価計算 第38回(令和8年3月8日) 1,668人 376人 22.5%
2級 第38回(令和8年3月8日) 9,226人 4,386人 47.5%
3級 第44回(令和8年3月8日) 1,733人 1,157人 66.8%
4級 第44回(令和8年3月8日) 129人 90人 69.8%

受験者がいちばん多いのは2級で、1回の試験で9,000人前後が受けています。2級の合格率は回によって差が大きく、令和7年9月の第37回は32.2%、令和8年3月の第38回は47.5%でした。秋の回が30%台、春の回が40%台後半という年が続いていて、1回の数字だけで難しさを判断しないほうがよいことが分かります。

1級は3科目に分かれていて、どの科目も合格率は20%から30%台です。中でも原価計算は低めで、令和7年9月の第37回では17.7%でした。原価計算は工事ごとの費用の集め方と配り方を問う科目で、計算の量が多く、理論の記述も出題されます。

3級と4級は、受験者数そのものは多くありません。3級の合格率は60%台後半から70%台で推移しています。4級の受験者は1回あたり100人台です。学校単位での申込みも受け付けていて、学校で簿記を学ぶ生徒が受ける機会にもなっています。

2級の受験者が突出して多い理由は、次の節で説明する経営事項審査にあります。2級以上に合格すると会社の評価に数えられるため、建設会社が社員に2級の取得を勧めることが多いのです。資格の難しさと、会社にとっての価値の釣り合いがいちばんよいのが2級だと言えます。

1級から4級までの内容と、求められる程度

公式の案内では、各級の内容と「どの程度できればよいか」が次のように示されています。

級 試験の内容 求められる程度
1級 建設業原価計算、財務諸表、財務分析 上級の建設業簿記・原価計算・会計学を修得し、会社法など会計の法規を理解して、財務諸表の作成と経営分析ができる
2級 建設業の簿記、原価計算及び会社会計 実践的な建設業簿記と基礎的な原価計算を修得し、決算などの実務を行える
3級 建設業の簿記、原価計算 基礎的な建設業簿記の原理と記帳、初歩的な原価計算を理解し、決算の初歩的な実務を行える
4級 簿記のしくみ 初歩的な建設業簿記を理解している

4級と3級は「建設業の帳簿のしくみ」を学ぶ段階

4級は簿記そのものが初めての人向けです。仕訳とは、お金の動きを「借方」と「貸方」の2つに分けて記録する簿記の基本の作業のことで、4級ではこの仕訳と帳簿の流れを建設業の例で学びます。3級になると、工事ごとの原価の集め方や、完成した工事の売上と原価の計上など、建設業ならではの処理が本格的に入ります。

2級は「建設会社の決算」ができる段階

2級は、建設会社の経理担当として決算を任せられる水準です。完成工事高と完成工事原価の計上、工事の進み具合に応じた収益の計上、間接費の配り方、株式会社の会計の基本まで出題されます。試験時間は2時間で、5題が出されます。仕訳の問題だけでなく、精算表の作成や原価計算表の穴埋めなど、手を動かす計算が中心です。

1級は「経営の数字を読む」段階

1級は財務諸表・財務分析・原価計算の3科目に分かれ、それぞれ1時間30分の試験です。1級建設業経理士になるには、3科目すべてに合格する必要があります。各科目の合格は、合格通知書に記載された日から5年間有効です。5年のうちに残りの科目に合格すれば、1級の合格証明書が交付されます。1年に1科目ずつ取る計画でも間に合う仕組みなので、働きながら受ける人の多くが科目ごとに分けて受けています。

財務分析では、自己資本比率や流動比率といった比率を使って、建設会社の安全性や収益力を読み解く問題が出ます。自己資本比率とは、会社の資産のうち返す必要のない自己資金でまかなっている割合のことです。出題の範囲は、財団が公表する「出題区分表」と「財務分析主要比率表」にまとめられていて、令和8年度の試験は令和8年1月1日時点で施行されている法令と会計基準にもとづいて出題されます。

令和8年度の試験日程と受験料

建設業経理検定は年に2回、上期と下期に行われます。上期は1級と2級だけ、下期は1級から4級までのすべての級が受けられます。令和8年度の日程は次のとおりです。

区分 試験日 申込みの受付期間 実施する級
上期(第39回) 令和8年9月13日(日) 令和8年5月12日から6月11日 1級・2級
下期 令和9年3月14日(日) 令和8年11月10日から12月10日 1級から4級

上期の合格発表は令和8年11月13日で、発表日の午前10時に公式サイトへ合格者の受験番号が掲載されます。下期の申込みは11月10日から始まるので、いまから準備を始める人は、まず下期の受付期間を手帳に書き込んでおくと確実です。ただし、建設業振興基金の公式サイトは2026年10月21日から緊急のメンテナンスに入っていて、一部の案内が表示できない状態です。下期の詳しい要項は、サイトが戻ってから公式の案内で必ず確かめてください。問い合わせ先として、経理試験・講習課の電話番号03-5473-4581が案内されています。

受験料は2026年度の案内で次のとおりです。インターネットで申し込む場合は、ネット申込手数料として320円が含まれています。

級・科目 受験料等(税込)
1級(1科目) 8,120円
1級(2科目同時) 11,420円
1級(3科目同時) 14,720円
2級 7,120円
3級 5,820円
4級 4,720円
2級と3級の同日受験 12,620円
3級と4級の同日受験 10,220円

申込みは原則としてインターネットです。書面による申込みは令和7年度の上期試験から廃止されていて、学校単位の申込みだけが例外です。申込みが済んだあとのキャンセルや次回への振替は受け付けていないので、受ける級と科目を決めてから申し込みます。

試験の会場は全国の主要都市に設けられ、上期は47地区、下期は51地区が案内されていました。4級を受けられる地区は24地区に限られています。会場は受験票で知らされ、受験票は試験のおよそ1か月前に発送されます。体に障害があって配慮が必要な人は、申込みの前に電話で申し出る決まりになっていて、申込み後の申し出には原則として対応できないとされています。

会社が合格者を求める理由。経営事項審査の点数

建設業経理士が他の経理の資格と大きく違うのは、会社の公共工事の受注にかかわる点です。国土交通省は、経営事項審査を次のように説明しています。経営事項審査とは、国や自治体から直接工事を請け負おうとする建設業者が必ず受けなければならない審査のことで、会社の経営の状況や規模、技術の力を点数にして評価します。

「経営事項審査」とは、公共性のある施設又は工作物に関する建設工事(以下「公共工事」という。)を発注者から直接請け負おうとする建設業者(建設業法第3条第1項の許可を受けた者をいう。)が必ず受けなければならない審査です。 出典: mlit.go.jp

この審査の中に、社内の経理の体制を評価する項目があります。建設業振興基金の説明によると、社内に雇っている「経審で評価される1級合格者」と「経審で評価される2級合格者」の人数から、次の式で数値を計算します。

  • 公認会計士等数値 =(1級合格者の人数 × 1)+(2級合格者の人数 × 0.4)

この数値と、会社の年間の平均の完成工事高によって点数が決まります。つまり、1級合格者が1人いると、2級合格者が2人と半分いるのと同じ重みになります。また、社内の1級合格者が経理の処理が適正かどうかを確かめ、自ら署名した書類を出す「自主監査」をすると、監査の受審状況の項目で2点が加わります。会社にとって1級合格者の価値が高いのは、この2つの点で評価されるからです。

合格から5年を過ぎると講習が必要

注意したいのは、合格すればいつまでも評価されるわけではないことです。令和5年4月以降の経営事項審査では、合格した日の属する年度の翌年度の初めから5年を過ぎた人は、「登録経理講習」を受けなければ評価の対象になりません。登録経理講習とは、1級と2級の合格者が知識を更新するための講習で、建設業振興基金は国土交通省に登録された実施機関になっています。講習を受けると、受けた日の属する年度の翌年度の初めから5年間、再び評価の対象になります。

転職や採用の場面では、「合格した年」と「最後に講習を受けた年」を聞かれることがあります。合格証明書と講習の修了証は、すぐに出せるように保存しておきましょう。履歴書の資格欄には、合格した年月と正式名称を書き、講習を受けている場合は職務経歴書に「登録経理講習 修了(令和○年)」のように添えると、会社がその場で評価の期間を判断できます。

日商簿記との違いと、両方を取る場合の順番

経理の資格として最もよく知られているのは日本商工会議所の簿記検定です。建設業経理士と日商簿記は、どちらも簿記の知識を測る点では同じですが、扱う業種と使われ方が違います。

比べる点 建設業経理士 日商簿記
扱う業種 建設業に特化 商業・製造業が中心で、業種を問わない
独自の内容 工事ごとの原価計算、建設業の勘定科目、工事収益の計上 商品売買、製造業の原価計算、連結会計など
制度上の評価 1級と2級が経営事項審査で評価される 経営事項審査の評価の対象ではない
通用する範囲 建設会社、工務店、建設業を顧客に持つ会計事務所 あらゆる業種の経理

建設会社への就職や転職だけを考えるなら、建設業経理士のほうが会社に直接評価されます。一方で、将来は建設業以外の会社でも働く可能性があるなら、日商簿記のほうが通じる範囲は広いと言えます。

両方を取る場合の順番は、いまの知識によって変わります。簿記がまったく初めてなら、どちらの3級から始めても学ぶ中心は仕訳と帳簿の流れで、大きな差はありません。日商簿記で仕訳の基本を身につけてから建設業経理士2級に進むと、建設業独自の勘定科目と原価計算に集中できるので、理解が早くなります。すでに建設会社で働いているなら、職場の帳簿と直結する建設業経理士2級から始めて、そのあと日商簿記で一般の会計の幅を広げる順番が効率的です。

注意したいのは、日商簿記の合格は建設業経理士の科目の免除にならないことです。逆も同じです。両方の試験はそれぞれ別の団体が実施していて、互いの合格を引き継ぐ仕組みはありません。ただし学ぶ中身は重なる部分が多いので、片方に合格したあとなら、もう片方の勉強の時間は短く済む傾向があります。

級ごとの勉強法と、学習の進め方

建設業経理検定は、過去の試験問題が公式サイトで公表されていて、出題の形式が比較的安定しています。どの級でも、テキストで基本を理解したら、早めに過去の問題に取りかかるのが基本です。

4級と3級の進め方

4級と3級は、建設業振興基金が紹介する参考図書や市販のテキストで独学する人が多い級です。最初の数週間は仕訳の基本を何度も繰り返し、手が自然に動くまで練習します。そのあと、工事ごとの原価計算の問題に移ります。3級の試験時間は2時間で5題が出されるため、時間内に全部を解き切る練習を最後に入れておくと、本番で慌てません。

2級の進め方

2級は、問題の形式ごとに得点を積み上げる意識が大切です。仕訳の問題、勘定科目の計算、原価計算表、精算表の作成といった形式がほぼ毎回出題されます。テキストを1周したら、過去の問題を形式ごとに分けて解き、間違えた問題の論点をノートに書き出します。2級は合格率が回によって大きく変わるため、1回の過去問の点数で安心せず、少なくとも数回分を時間を計って解いておきましょう。働きながら受けるなら、平日は短い時間でも毎日仕訳や計算に触れ、休日に過去問を時間を計って解く、という分け方にすると続けやすくなります。

1級の進め方

1級は3科目を同時に受けるか、分けて受けるかを最初に決めます。科目の合格が5年間有効なので、多くの人は1回に1科目か2科目を受けています。取りかかる順番として勧められることが多いのは、財務諸表から始めて、財務分析、原価計算と進む順です。財務諸表で会計の全体像を固めると、財務分析の比率の意味が理解しやすくなります。原価計算は計算の量が多く、合格率も低めなので、時間に余裕のある時期に回すのが現実的です。

1級では計算だけでなく、理論の記述問題も出題されます。会計の用語の意味や、ある処理をする理由を文章で説明する問題です。テキストの太字の用語を、自分の言葉で2行から3行で説明できるかどうかを確かめる練習をしておくと、記述問題の得点が安定します。

独学か講座か

独学で合格する人も多い検定ですが、2級以上で計算の手順につまずいたときは、通信講座や動画講座を使うのも1つの方法です。建設業振興基金の公式サイトには、参考図書や外部の講座の案内が掲載されています。講座の費用は会社が負担してくれることもあるので、勤め先に資格取得の支援制度があるかどうかを先に確かめましょう。会社が社員の研修や資格取得の費用を出す場合、国の助成金を使えることがあります。事業所が研修の費用に使える助成金の考え方は、福祉用具貸与事業所のスキルアップ助成金2026|人材開発支援助成金の活用法で人材開発支援助成金を例に解説しています。業種は違いますが、会社が社員の学びに助成を使う流れを知る参考になります。

3級と4級には「特別研修」という道もある

3級と4級には、検定試験とは別に「特別研修」という取り方があります。特別研修とは、建設業振興基金が開く研修を受け、最後に行われる試験に合格すると、検定試験に合格したのと同じ扱いになる制度のことです。研修で学んだ直後に試験を受けるため、合格率は高めです。

区分 令和7年度の受講者数 合格者数 合格率
3級 特別研修 1,421人 1,200人 84.4%
4級 特別研修 2,153人 2,062人 95.8%

検定試験の3級の合格率が60%台後半であるのに比べると、特別研修の合格率は高くなっています。独学で勉強を続ける自信がない人や、会社から短い期間で資格を取るよう求められている人には向いています。ただし、特別研修は開催する都市と日程が決まっていて、受講料も検定試験より高くなります。日程と受講料は年度ごとに変わるため、公式サイトの特別研修の案内で確かめてください。なお、2026年10月時点では、公式サイトのメンテナンスにより特別研修のインターネットでの申込みが止まっていて、日程の確認と申込みは電話で受け付けると案内されています。

特別研修で取れるのは3級と4級だけです。経営事項審査で評価される2級以上は、検定試験に合格する必要があります。会社の評価に直結させたいなら、特別研修で3級を取ったあとに、2級の検定試験に進む計画を立てるとよいでしょう。

資格のメリットとデメリット。向いている人

取るメリット

建設業経理士の最大のメリットは、建設会社の側に採用したい理由がはっきりしていることです。経営事項審査で1級と2級の合格者が点数に数えられるため、建設会社にとって合格者の採用は会社の評価を上げる手段になります。求人の歓迎条件に名前が出てきやすく、未経験から建設業の経理に入りたい人にとっては、応募書類で意欲と基礎知識を示す材料になります。

2つ目のメリットは、建設業の帳簿の独特な処理を体系的に学べることです。建設会社に入ってから職場で少しずつ覚えるより、試験の勉強で全体像をつかんでおくほうが、仕事を覚える速さが変わります。工事ごとの原価の集め方が分かると、現場の担当者との会話もスムーズになります。

3つ目は、1級の科目を分けて受けられることです。1年に1科目ずつ進めれば、働きながらでも数年で1級に届きます。

気をつけたいデメリット

一方で、建設業以外の会社では、この資格の名前が知られていないことがあります。建設業から離れる可能性がある人は、日商簿記など一般に通じる資格と組み合わせることを考えましょう。

また、前の節で見たとおり、1級と2級も合格から5年を過ぎると、登録経理講習を受けなければ経営事項審査で評価されません。資格を取ったら終わりではなく、5年ごとに講習を受ける手間と費用がかかります。講習の費用は会社が負担することが多いものの、転職したばかりの時期などは自分で手配することもあります。

向いている人

建設会社や工務店、設備工事の会社などで経理や事務の仕事をしている人、これから建設業の経理に転職したい人、建設業を顧客に多く持つ会計事務所で働く人には、取る価値が大きい資格です。経理の仕事の経験がまったくない人は、4級か3級から始めて、帳簿のしくみに慣れてから2級を目指すと、途中で挫折しにくくなります。

履歴書の資格欄の書き方

建設業経理士を履歴書に書くときは、通称ではなく正式な名前で書きます。「建築経理の資格」「建経2級」のような略し方は、読み手によって伝わらないことがあるからです。書き方の例は次のとおりです。

  • 1級と2級:「令和8年11月 2級建設業経理士 合格」
  • 3級と4級:「令和8年5月 3級建設業経理事務士 合格」
  • 1級の科目合格だけの場合:「令和8年11月 1級建設業経理士試験 財務諸表 科目合格」

年月は、合格発表の日か合格証明書に書かれた日に合わせます。和暦と西暦は、履歴書全体でどちらかにそろえましょう。1級の科目合格は、まだ1級建設業経理士ではないので、「1級建設業経理士」とだけ書くのは誤りです。科目名まで書いておくと、残りの科目の受験を進めていることが伝わり、意欲の表れとして受け取られます。

勉強中の資格を書きたいときは、資格欄の最後に「2級建設業経理士 取得に向けて学習中(令和9年3月受験予定)」のように書く方法があります。受ける回まで書くと、計画を持って学んでいることが具体的に伝わります。日商簿記と両方を持っている場合は、取得した順に並べるのが一般的です。応募先が建設会社なら、建設業経理士を先に書いても構いません。

職務経歴書には、資格と実務の結び付きを書きます。「2級建設業経理士の知識を活かし、工事ごとの原価管理表の作成と月次の締めを担当」のように、資格で学んだことを仕事のどの場面で使ったかを示すと、採用の担当者が仕事を任せたときの姿を想像しやすくなります。

資格を活かせる仕事と転職のポイント

建設業経理士を活かせる働き先は、大きく3つあります。1つ目は、建設会社や工務店、設備工事の会社の経理部門です。中小の建設会社では、経理担当が少人数で、日々の記帳から決算、経営事項審査の書類づくりまでを幅広く担うことがあります。2つ目は、建設業の顧客を多く持つ会計事務所や税理士事務所です。3つ目は、建設業許可や経営事項審査の手続きを支援する行政書士事務所です。

転職の書類では、資格の名前を書くだけでなく、実務とどう結び付くかを具体的に示すと評価されやすくなります。例えば「工事ごとの原価管理表を作成していた」「完成工事高と完成工事原価の月次の締めを担当していた」といった書き方です。経理の書類やメールを分かりやすく書く力も、経理担当には求められます。社内外に出す文書の作法を体系的に学べる資格としてビジネス文書検定があり、経理の資格と組み合わせると、書類づくりの力も示せます。

面接では、「経営事項審査で評価される期間の内か」「登録経理講習を受ける意思があるか」を聞かれることがあります。合格年度を正確に答えられるようにしておきましょう。

経理の仕事は在宅や業務委託にも広がっている

建設業の経理は、日々の記帳や請求書の整理、原価の集計など、パソコンで進められる作業が多い仕事です。会計ソフトやクラウドの請求書のサービスが広がったことで、中小の建設会社が経理の一部を外部の個人に任せる例も見られるようになりました。業務委託とは、会社に雇われるのではなく、決められた仕事を請け負って報酬を受け取る働き方のことです。

建設会社の側では、紙の伝票や表計算ソフトの集計に頼っている作業を見直したいというニーズもあります。経理の知識に加えて、生成AIや業務の道具を使った効率化を手伝える人には、業務改善の相談の仕事が広がっています。こうした仕事の中身はAIコンサル・業務活用支援のお仕事で解説しています。

運営者として見てきた、建設業の経理の人材の動き

在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、専門の業種に特化した経理の知識を持つ人は、一般の経理の募集よりも、長く続く関係を築きやすい傾向があります。建設業の経理は勘定科目と原価計算が独特なため、一度信頼できる担当者が見つかると、会社は同じ人に任せ続けたいと考えるからです。単発の記帳代行から始まり、月次の締め、決算の準備、経営事項審査の資料づくりへと任される範囲が広がっていく例が見られます。

また、中間の手数料がかからない直接の取引では、同じ予算でも依頼する会社は多くの作業を頼め、受ける側は手取りが厚くなります。専門性の高い建設業の経理では、この「双方が得をする」構造が、継続の取引につながりやすい傾向があります。手数料0%で直接やり取りできる場では、報酬の交渉も作業の範囲の相談も、当事者どうしで率直に進められます。

建設業経理の知識は、記事を書く仕事にも活かせます。建設業の会計や経営事項審査は、専門的に解説できる書き手が多くない分野です。経理の実務を経験した人が、建設会社の経営者や経理担当向けの記事を書くと、内容の確かさで評価されます。書いた記事を実績として見せる方法はWebライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】、専門分野で単価を上げる考え方はWebライターが文字単価を上げる方法|1円→5円にステップアップする戦略【2026年版】で詳しく紹介しています。

建設業経理士は、受験の条件がなく、級を選んで段階的に進められる資格です。まずは下期の申込みが始まる11月に向けて、自分がどの級から受けるかを決め、公式サイトで最新の要項を確かめるところから始めてください。資格を取ったあとに業務委託や在宅で経理の仕事を探すときは、経理と相性のよい書類づくりの力を示せるビジネス文書検定の内容も確かめておくと、応募の準備が進みます。

よくある質問

Q. 建設業経理士は国家資格ですか?

国家資格ではありません。1級と2級は建設業法施行規則にもとづく「登録経理試験」として、一般財団法人建設業振興基金が実施しています。法律で業務が独占される資格ではありませんが、1級と2級の合格者は公共工事の入札で必要な経営事項審査で評価されるため、建設会社からの評価が高い資格です。3級と4級は財団独自の試験です。

Q. 簿記が初めてでも2級から受けられますか?

受験の条件はないので、2級から受けることはできます。ただし2級は建設会社の決算の実務を行える水準を求められ、仕訳や原価計算の基本が前提になります。簿記が初めてなら、3級の内容のテキストで仕訳と帳簿の流れを先に身につけてから2級の勉強に入ると、つまずきが少なくなります。

Q. 1級は3科目を一度に合格しないといけませんか?

一度に合格する必要はありません。1級の各科目の合格は、合格通知書に記載された日から5年間有効です。5年のうちに財務諸表・財務分析・原価計算の3科目すべてに合格すれば、1級建設業経理士の合格証明書が交付されます。働きながら1年に1科目ずつ受ける人も多くいます。

Q. 合格したあとに講習を受ける必要はありますか?

資格そのものは失効しませんが、経営事項審査で評価され続けるには講習が必要です。合格した日の属する年度の翌年度の初めから5年を過ぎると、登録経理講習を受けない限り評価の対象から外れます。講習を受けると、そこからまた5年間評価されます。勤め先の評価にかかわるので、時期を会社と確認しておきましょう。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年1月8日最終更新:2026年10月25日
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