未経験からライターの副業を始める|最初の案件の取り方


この記事のポイント
- ✓ライター副業を未経験から始める手順を
- ✓提案文の書き方まで順番にまとめました
- ✓受けないほうがよい案件
ライター副業を未経験から始めたいという相談を、私はとてもよく受けます。そして、ほとんどの方が同じところで止まっています。「書けるかどうか分からない」ではなく、「何から手を付ければいいのか分からない」というところです。大丈夫ですよ。順番が分からないだけなら、順番を決めてしまえば動けます。この記事では、最初の案件を受けるまでにやることを5つの段階に分けて、それぞれで何を用意するかをお話しします。単価の相場と、受けないほうがよい案件の見分け方も一緒に書きます。
未経験からライターを選ぶ人が多い理由
在宅でできる副業を探している方の相談を聞いていると、ライターという選択肢がかなりの割合で出てきます。理由はいくつか重なっています。
まず、始めるための道具が少ないこと。パソコンとインターネット回線があれば足ります。機材に10万円かけてから始める、という種類の副業ではありません。
次に、資格が要らないこと。国家資格も免許も必要ないので、思い立った週に動けます。
そして、時間を細かく刻めること。まとまった3時間が取れなくても、30分ずつを積み上げて1本を仕上げることができます。家庭の都合で予定が崩れやすい方にとって、この性質は大きい利点です。
副業そのものが本業にどう影響するかも、気になるところだと思います。この点については調査があります。
パーソルキャリア株式会社の調査(2023年9月)によると、副業経験者の55.1%が「副業が本業に良い影響を与えている」と回答しました。また同調査では「新しい視点が生まれた・視野が広がった」と答えた人も51.3%にのぼっています。 出典: hipro-job.jp
過半数の方が本業への良い影響を感じている、という結果ですね。ライターの仕事は、調べて整理して人に伝える作業です。この技術は本業の資料作成や説明の場面にそのまま効きます。だから「副業を始めたら本業がおろそかになるのでは」という不安は、実際にはあまり当たりません。
ただし、条件が1つあります。睡眠を削って作業する形にしないことです。私がカウンセリングで見てきた中では、副業がうまくいかなくなる原因の多くは、能力ではなく睡眠不足でした。ここは後の節でもう一度触れます。
ライターの仕事は書く作業が半分しかない
未経験の方が想像しているライターの仕事と、実際の仕事には少しずれがあります。ずれを先に埋めておくと、始めてからの驚きが減ります。
実際の工程は5つに分かれます。
第1工程は、依頼内容の読み込みです。誰に向けた記事か、何を伝えたいか、どんな言葉遣いにするか。発注者からの指示書を読んで、分からない点を質問します。ここを飛ばすと、全部書き終えてから方向違いだったと分かることになります。
第2工程は、調べる作業です。書く内容の根拠を集めます。公的機関の資料、統計、企業の公式発表。この作業に、慣れないうちは執筆と同じくらいの時間がかかります。
第3工程は、構成を作る作業です。見出しを並べて、どの順で何を言うかを決めます。ここが決まっていれば執筆は速く進みます。逆に構成なしで書き始めると、途中で迷って手が止まります。
第4工程が、執筆です。全体の時間のうち、体感で4割ほどでしょうか。構成ができていれば、あとは埋めていく作業になります。
第5工程は、見直しと修正対応です。誤字の確認、事実の確認、リンクの確認。納品後に発注者から修正の依頼が来ることもあります。
つまり、書く作業は工程の1つにすぎません。「文章を書くのが苦手だから向いていない」と感じている方に、私はよくこうお伝えします。調べるのが好き、話を整理するのが得意、という方のほうが、実は続いています。文章の巧さは後から伸びますが、調べる根気は代わりが利きません。
未経験から入れる案件には種類がある
ライターの案件、とひとことで言っても中身はかなり違います。求められる技術も報酬の形も変わるので、どんな種類があるのかを知っておくと選ぶときに迷いません。未経験から入りやすい順に並べます。
最初に挙がるのが、検索されることを前提にした解説記事です。読者が調べたい内容に答える形の記事で、募集の数がもっとも多い領域です。指示書に見出しの案や参考にする資料が示されていることも多く、指示に沿って埋めていく形で進められます。未経験の方の入口としては、ここがいちばん現実的です。
次が、商品やサービスの紹介記事です。特徴と使い方を整理して、どんな人に向いているかを書きます。実際に使った感想を求められる場合があるので、自分が日常的に使っているものと重なる分野を選ぶと書きやすくなります。
体験をもとにした記事も需要があります。子育て、介護、引っ越し、資格の勉強。生活の中で経験したことを、同じ状況にいる人の役に立つ形で書く仕事です。専門知識よりも、経験したときの気持ちと具体的な手順を思い出せることが評価されます。
企業の広報や採用に関わる文章も、案件として出てきます。社員紹介の記事、会社の取り組みの紹介、求人票の文面。相手の言いたいことを引き出して整える作業なので、人の話を聞くのが好きな方に向いています。
取材やインタビューが入る仕事は、単価が上がりやすい領域です。ただし日程の調整、録音の準備、話の引き出し方といった別の技術が必要になります。書く作業に慣れてから足す、という順番で考えたほうが安全です。
メールマガジンや会員向けのお知らせを書く仕事もあります。長さは短いものが多いのですが、繰り返し依頼が来る形が多く、続くと収入が読みやすくなります。
この中から、自分に書けそうなものを1種類選んでください。全部を狙う必要はありません。最初は解説記事に絞る、という決め方でもまったく問題ありません。種類を絞るほど、提案文で自分の強みを書きやすくなります。
文字単価の相場と、未経験帯の現実
お金の話は先に知っておいたほうが、計画が立てやすくなります。
ライターの報酬は、文字単価か記事単価で示されます。文字単価は1文字あたりいくら、記事単価は1本あたりいくらという形です。
未経験から応募できる案件の文字単価は、0.5円から1円あたりに集まっています。実績が出てくると1円から2円の帯に移り、専門的な分野や取材が入る仕事では3円以上の案件も存在します。ただし、この数字は分野と発注者によって大きく動くので、目安として受け取ってください。
ここで大事なのは、文字単価だけを見ないことです。3,000字で文字単価1円なら報酬は3,000円ですが、調べる作業に5時間かかれば時間当たりは低くなります。逆に、慣れた分野で2時間で仕上がるなら、同じ単価でも結果は変わります。
だから、案件を評価するときは「文字単価 × 文字数 ÷ かかった時間」で考える習慣を付けてください。最初の数本は時間がかかって当然です。5本目、10本目で数字が改善しているかを見ます。
職種ごとの収入の水準を眺めておくと、自分がどのあたりを目指すのかが見えてきます。著述家,記者,編集者の年収・単価相場では、経験年数と単価の関係が職種別に整理されています。今の自分の位置と、数年後に届きそうな位置を確認する材料になります。
最初の案件を取るまでの5ステップ
ここが本題です。未経験の方が最初の案件を受けるまでの手順を、順番に並べます。焦らず、1つずつ進めてください。
ステップ1 書く分野を2つ決める
何でも書けます、という姿勢は選ばれにくいのです。発注者は「この分野を任せられる人」を探しています。
選び方は簡単です。仕事で扱ってきたこと、生活の中で詳しいこと、続けてきた趣味。この3つから2つ選んでください。特別な専門知識でなくてよいのです。子育て、介護、家計の管理、履歴書の書き方。どれも需要のある分野です。
2つにするのは、1つだと案件が枯れる日があるからです。3つ以上にすると、どれも浅くなります。
ステップ2 サンプル記事を2本書く
未経験の方が最初にぶつかる壁が、これです。実績がないから応募できない、応募できないから実績ができない。この循環を切る方法は1つで、頼まれていない記事を自分で書くことです。
決めた分野で2,000字程度の記事を2本書きます。見出しを付けて、根拠となる資料を引いて、読む人が行動できる形にまとめる。これが提出できるサンプルになります。
置き場所は、ブログでもオンラインのメモ帳サービスでも構いません。URLで渡せる形にしておくことが大事です。
ここで完璧を目指さないでください。「もっと上手くなってから」と考えている間に半年が過ぎるのを、私は何度も見てきました。2本書いたら次へ進みましょう。
ステップ3 登録して案件を眺める
クラウドソーシングのサービスや、在宅ワークの求人を扱うサイトに登録します。登録自体は無料のところが多いです。
登録したら、いきなり応募するのではなく、まず1週間ほど案件を眺めてください。どんな依頼が出ているか、単価はどのくらいか、どんな条件が付いているか。相場の感覚が付くと、極端に安い案件や無理な条件が見分けられるようになります。
ステップ4 応募する案件を絞る
未経験可と書かれている案件、そして決めた2つの分野に当てはまる案件を選びます。
応募数は1週間に5件を目安にしてください。30件に一度で出すと、1件ごとの提案文が雑になります。数より、相手に合わせて書くことのほうが効きます。
ステップ5 提案文を書いて送る
ここが採否を決めるところです。次の節で詳しくお話しします。
提案文で選ばれる人がやっていること
「応募しても返事が来ません」という相談が、本当に多いんです。提案文を見せていただくと、ほぼ共通して2つが足りていません。
足りていないものの1つめは、依頼内容への具体的な言及です。「頑張ります」「丁寧に書きます」だけの文章は、誰にでも送れる文章です。発注者は毎日何通も似た文面を読んでいます。
代わりに書くのは、こういう内容です。募集の文章を読んで、どんな読者に向けた記事だと理解したか。自分ならどんな見出しの構成にするか。この2点を3行ずつ書くだけで、読んでいることが伝わります。
足りていないものの2つめは、確認できる材料です。サンプル記事のURLを1つ添える。これだけで、発注者は判断ができます。
そして、書かないほうがよいことが2つあります。
1つは、未経験であることの言い訳です。「未経験ですが」で始める必要はありません。未経験可の案件に応募しているのですから、相手はそれを前提にしています。それより、何ができるかを書いてください。
もう1つは、対応できない条件を曖暧に流すことです。納期に間に合わないかもしれない、対応できる時間帯が限られている。こうした事情は先に書いておくほうが、後の負担が減ります。正直に書いて断られる案件は、受けても苦しかった案件です。
提案文の組み立て方を、順番で示しておきます。挨拶を1行、募集を読んで理解した読者像を3行、自分ならこう構成するという案を3行、書ける理由を2行、サンプルのURLを1行、対応できる時間帯を1行。これで11行です。長く書く必要はありません。むしろ長すぎると読まれません。
書ける理由のところは、経歴が立派である必要はありません。「介護の記事であれば、家族の介護で制度の手続きを一通り経験しています」といった内容で十分です。実際にその場にいた人の言葉は、調べただけの文章と質が違います。発注者はそこを見ています。
それから、同じ提案文を複数の案件に貼り付けるのはやめてください。読めば分かります。読者像と構成案の部分は案件ごとに書き直す、という手間だけは省かないようにしてください。この2か所が、選ばれるかどうかを決めています。
ビジネスの文書の型を先に身に付けておくと、提案文も報告も速くなります。ビジネス文書検定のような資格は、書式そのものを体系的に学べるので、発注者とのやりとりの質を底上げしてくれます。資格を取ることが目的でなくても、学ぶ内容は実務で毎日使います。
未経験のうちに受けないほうがよい案件
ここは注意点として、はっきりお伝えしておきます。心が削られる案件があります。
1つめは、報酬が示されていない案件です。「実績次第で相談」と書かれていて金額が出ていない場合、作業を始めてから条件を決めることになります。これは受け手が不利になる形です。
2つめは、テストとして無報酬の記事を書かせる案件です。適性を見るための短い課題であれば普通のことですが、公開できる長さの記事を無報酬で求める形は、線を越えています。
3つめは、修正の回数に上限がない案件です。「納得いくまで修正します」と自分から書いてしまう方もいますが、これは危険です。修正は2回まで、それ以上は別料金、という線を最初に示してください。
4つめは、連絡の取り方が不明な案件です。誰が窓口なのか、どこで質問すればよいのかが分からないまま始めると、確認できないまま推測で書くことになります。
5つめは、著作権や責任の条項が極端に片寄っている案件です。納品後の一切の責任を受け手が負う、という条項が入っていることがあります。内容の正確さに責任を持つのは当然ですが、発注者が使い方を誤った場合まで背負う必要はありません。※契約の内容で判断が付かないときは、弁護士や法律の相談窓口に確認してください。
なお、業務委託で仕事を受ける場合、報酬の支払期日については法律の枠があります。特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律が2024年11月1日に施行され、発注者は取引条件を明示する義務を負い、給付を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内に支払期日を定めることとされています。「支払いは3か月後」と言われたら、確認してよい話です。
不採用が続いたときに自分を責めないために
ここは、私が本業で最も多く相談を受ける領域です。
未経験から始めた方の多くが、応募して返事が来ない時期を通ります。10件送って1件も返事がない、という週もあります。そのとき、多くの方が「自分には向いていないのかもしれない」と考えます。
返事が来ない理由の大半は、文章の質ではありません。応募が多すぎて読まれていない、募集が既に埋まっていた、条件が合わなかった。この3つで説明が付いてしまいます。つまり、あなたの能力への評価が返ってきているわけではないのです。
こういう相談がよくあります。「不採用が続いて、もう応募ボタンを押すのが怖い」と。これは意志が弱いのではなく、脳が痛みを避けようとしている自然な反応です。心理学では回避行動と呼びますが、つまり「傷つく可能性のある行動から遠ざかる」という仕組みが働いているだけです。
対処の方法を3つお伝えします。
1つめは、結果ではなく行動を記録することです。採用されたかどうかではなく、応募した件数を数えます。週5件送れたなら、それは達成です。結果は自分で決められませんが、行動は決められます。
2つめは、期間を先に区切ることです。3か月やってみて考える、と決めておきます。終わりが見えていると、毎日の不安が小さくなります。
3つめは、睡眠を守ることです。夜中に作業して朝がつらい状態が続くと、判断力と自己評価がどちらも下がります。私の経験では、相談に来られた方の状態が良くなる最初のきっかけは、ほとんどの場合が睡眠時間の回復でした。作業時間を増やすより、寝る時間を固定するほうが先です。
作業のリズムを整える具体的な方法を知りたい方には、在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックが参考になります。集中が切れる原因を切り分けてから対策を選ぶ順番でまとまっています。
あなたは一人ではありません。同じところでつまずいている方が、たくさんいます。
最初の3か月の時間割を先に決めておく
始めてから予定を考えると、生活の中で後回しになってしまいます。先に時間割を決めておきましょう。目安として、平日は夜に短い時間、週末に少し長い時間を取る形が続きやすいようです。
最初の1か月は、準備と応募の期間と考えてください。この時期にやることは、分野を決めること、サンプルを書くこと、登録すること、案件を眺めることです。収入はまだ発生しません。ここで焦らないことがとても大事です。
2か月目は、応募を続けながら最初の案件を受ける期間です。受注できたら、納期に余裕を持たせて進めます。最初の1本は、自分が思っている時間の倍かかると想定してください。2,000字の記事に8時間かかっても、それは普通のことです。
3か月目は、振り返りの期間です。受けた案件の数、かかった時間、続けたいと思えたかどうかを確認します。この段階で「続けられる」と感じたなら、同じ発注者から継続で受ける方向に動きます。感じなかったなら、分野を変えるか、別の副業を考える判断をしてよい時期です。
時間割を作るときに、休みの日を入れることを忘れないでください。週に1日は副業のことを考えない日を作る。これは怠けではなく、続けるための設計です。休みを入れなかった方が、2か月目で急に動けなくなる、という形をよく見ます。
それから、家族に伝えておくことをおすすめします。何をしているのか、どのくらいの時間を使うのか。伝えていないと、家庭の中で「何か隠れてやっている」という空気が生まれてしまいます。応援してもらえる状態を作っておくと、気持ちの負担がずいぶん軽くなります。
書く環境は凝らなくてよい
道具の話を少しだけしておきます。相談の中で「良いパソコンを買ってから始めたい」とおっしゃる方がいますが、その必要はありません。
文章を書く作業は、機械の性能をほとんど使いません。今使っているパソコンで文字が打てるなら、それで始められます。買い替えを検討するのは、収入が出てからで間に合います。
かわりに、先に整えておくと楽になるものが3つあります。
1つめは、文章を書く場所の固定です。同じ机、同じ椅子、同じ時間。場所と時間を決めておくと、座った瞬間に頭が切り替わるようになります。これは習慣づけの仕組みで、意志の力に頼らずに作業を始められるようになる方法です。
2つめは、原稿の保存場所の整理です。案件ごとにフォルダを分けて、書きかけと納品したものを分ける。単純なことですが、案件が3本並行すると、どれが最新か分からなくなります。最初から分けておいてください。
3つめは、通信環境です。オンラインでの打ち合わせが入る案件では、回線が不安定だと相手に不安を与えます。とはいえ、すぐ工事をする必要はありません。今の環境で問題が出てから考えれば十分です。
椅子と姿勢だけは、少し気をつけてください。長時間の作業で肩と首に負担が溜まると、体の痛みが集中力を奪います。私が相談を受けてきた中では、作業が続かなくなった方の何割かは、実は体の問題でした。心の問題だと思っていたら首だった、ということが起こります。
メリットとデメリットを両方見てから決める
判断のために、良い面と厳しい面を同じ分量で並べます。
メリットの1つめは、初期費用がほとんどかからないことです。パソコンと回線があれば始まります。失敗しても金銭的な損失が小さい副業です。
メリットの2つめは、技術が積み上がることです。調べて整理して伝える力は、他の仕事にも転用できます。ライターを辞めても残るものがあります。
メリットの3つめは、場所と時間の自由度が高いことです。家から出ずに、空いた時間で進められます。家庭の事情で外に働きに出づらい方にとって、これは大きい意味を持ちます。
メリットの4つめは、単価を上げる道筋が見えていることです。実績が増えれば単価が上がる構造なので、努力の向き先がはっきりしています。
デメリットの1つめは、立ち上がりに時間がかかることです。最初の案件を得るまでに数週間から数か月かかることがあります。すぐに収入が必要な状況には向きません。
デメリットの2つめは、時間の管理が全部自分の責任になることです。誰も締め切りを管理してくれません。ここが苦手な方は、想像以上に苦しみます。
デメリットの3つめは、孤独になりやすいことです。一人で作業して一人で悩みます。同じ立場の人とつながる場を、意識して作ってください。
デメリットの4つめは、収入が安定しないことです。月によって案件数が変わります。生活費の固定費を副業の収入で埋める設計にすると、不安が大きくなります。
単価を上げるのは「書く速さ」より「任せやすさ」
20年この市場を見てきた立場から言うと、単価が上がっていく人の共通点は、文章の巧さではありません。任せやすさです。
具体的にはこういうことです。納期の前日に「ここまで進みました」と一報を入れる。指示書で分からない箇所を、書き始める前にまとめて質問する。納品するときに「この部分は資料が見つからなかったので触れていません」と添える。どれも小さな行動ですが、発注者の手間を減らします。
運営者として見てきた限りでは、長く仕事が続いている方は、単発の作業を数多くこなす形ではなく、「この人に任せると楽だ」という関係づくりに時間を使っています。同じ発注者から継続で依頼が来るようになると、依頼内容の理解に使う時間が激減します。結果として、同じ単価でも時間当たりの実入りが上がるのです。
もう1つ、手取りの構造について触れておきます。同じ報酬額の仕事でも、間に何社入るかで受け手の手元に残る額は変わります。中間マージンが乗らない直接の取引では、依頼する側は同じ予算でより多く頼めて、受ける側は同じ作業で手取りが厚くなります。手数料0%という条件の値打ちは、金額の大小ではなく「同じ労力に対する手取りの質」にあります。作業量を増やす前に、ここを一度見直してみる価値があります。
分野を広げていくときは、需要が伸びている領域を見ておくと選択が楽になります。技術やマーケティングの領域でどんな仕事が動いているかはAI・マーケティング・セキュリティのお仕事にまとまっています。自分の2つの分野に、こうした需要のある領域を後から足していく形が現実的です。
在宅で作業する環境も、単価に間接的に効いてきます。オンラインでの打ち合わせが入る仕事だと、回線の不安定さがそのまま信頼の低下につながります。在宅ワークに最適なネット回線|光回線vsホームルーターの選び方に、工事の有無と速度の実態が条件別に整理されています。資格で足場を固めたい方は在宅ワークに強い資格10選|自宅で稼げるスキルを身につけるも見てみてください。
最後に、税金のことを一言だけ。給与所得者の場合、給与以外の所得の合計が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。ここでいう所得は、収入から経費を引いた後の金額です。書籍代や通信費の一部が経費になる可能性があるので、領収書は月ごとにまとめておいてください。制度の一次情報は国税庁の公式サイトで確認できます。
始める前に全部を整えようとしなくて大丈夫です。分野を2つ決めて、サンプルを2本書く。今週できるのはそこまでで十分です。
よくある質問
Q. 未経験でも本当にライターの案件は取れますか?
取れます。未経験可の案件が一定数あり、資格も特別な機材も必要ありません。ただし実績がないまま応募だけを続けると返事が来ない時期が長くなります。書く分野を2つ決めて、2,000字程度のサンプル記事を2本書き、URLで渡せる形にしてから応募してください。この準備があるかどうかで、返信率がはっきり変わります。
Q. 未経験の文字単価はどのくらいが目安ですか?
未経験から応募できる案件は文字単価0.5円から1円あたりに集まっています。実績が出ると1円から2円の帯に移り、専門分野や取材が入る仕事では3円以上の案件もあります。ただし分野と発注者で大きく動くので目安として見てください。単価だけでなく、調べる時間を含めた1時間あたりの実入りで評価する習慣を付けると判断を誤りません。
Q. 提案文には何を書けば返事がもらいやすくなりますか?
募集の文章を読んで理解した読者像と、自分ならどんな見出し構成にするかを、それぞれ3行ほど書いてください。この2点があるだけで読んでいることが伝わります。加えてサンプル記事のURLを1つ添えると、発注者が判断できます。未経験であることの言い訳は不要で、対応できない条件は先に書いたほうが後の負担が減ります。
Q. 応募しても不採用が続くときはどうすればよいですか?
返事が来ない理由の大半は文章の質ではなく、応募が多くて読まれていない、募集が埋まっていた、条件が合わなかったのいずれかです。対処としては、採用の有無ではなく応募した件数を記録する、3か月という期間を先に区切る、睡眠時間を固定するの3つが効きます。作業時間を増やすより、寝る時間を守るほうが先です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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