在宅勤務できる仕事に役立つ資格|職種別の選び方


この記事のポイント
- ✓在宅勤務できる仕事に就きたい人向けに
- ✓在宅勤務の求人が多い職種7つと
- ✓それぞれの採用で役立つ資格を整理します
在宅勤務できる仕事に転職したい、今の会社で在宅勤務のある部署に移りたいと考えて、まず資格を調べる人は多くいます。ただ、在宅勤務ができるかどうかは、資格ではなく職種と会社の制度で決まります。資格が役立つのは、在宅勤務の求人が多い職種に応募するときに、その職種で必要な知識があることを示す場面です。この記事では、会社に雇われて在宅で働く「在宅勤務」に絞り、在宅勤務の求人が多い職種7つと、それぞれで役立つ資格、履歴書の資格欄の書き方、在宅勤務の求人で確かめることまでを順に説明します。業務委託で自宅から仕事を受ける働き方は、契約も税金の扱いも違うので、この記事では扱いません。
在宅勤務と資格の関係
在宅勤務とは、会社に雇われたまま、自宅で仕事をする働き方です。厚生労働省は、情報通信技術を使って事業場の外で働くことをテレワークと呼び、その導入と実施のためのガイドラインを公表しています。
労働者が情報通信技術を利用して行う事業場外勤務(以下「テレワーク」という。)には、オフィスでの勤務に比べて、働く時間や場所を柔軟に活用することが可能であり、通勤時間の短縮及びこれに伴う心身の負担の軽減、仕事に集中できる環境での業務の実施による業務効率化につながり(以下略) 出典: 厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」
在宅勤務は雇用なので、労働基準法などが適用され、給与、労働時間、社会保険の扱いは出社して働く場合と基本的に同じです。所得税も会社が源泉徴収と年末調整をするので、自分で確定申告をする必要は、ほかに所得がない限り原則としてありません。在宅勤務ができるかどうかは、その会社にテレワークの制度があるか、その職種の仕事が自宅でできる内容か、で決まります。
資格が採用で果たす役割
在宅勤務の求人に応募するとき、資格は次の3つの場面で役立ちます。
- 未経験の職種に応募するときに、基礎の知識があることを示す
- 応募の条件や歓迎の条件に資格が書かれている求人に応募する
- 在宅で一人で作業できるだけの知識があることを伝える
在宅勤務では、近くの席の先輩にすぐ聞くことができません。画面の共有やチャットで質問はできますが、相手の都合を見ながら聞く必要があり、出社しているときより質問のハードルが上がります。そのため、採用の担当者は「一人でも仕事を進められるか」を出社の仕事より重く見る傾向があります。資格は、その職種の基礎を自分で学んだことを示す材料になります。
在宅勤務に向く人と向きにくい人
資格を選ぶ前に、自分が在宅勤務に向いているかを考えておくと、職種の選び方も変わります。在宅勤務は通勤がない分、自分で時間と体調を管理する力が求められます。
向いている人
- 決めた時間に仕事を始め、決めた時間に終えられる
- 分からないことを、チャットやメールで早めに質問できる
- 作業の進み具合を、聞かれる前に報告できる
- 一人で集中して作業する時間が苦にならない
- 自宅に、仕事に使える静かな場所を用意できる
向きにくい人
- 周りに人がいないと、仕事を始めるきっかけがつかめない
- 文章で用件を伝えるのが苦手で、口頭で話したほうが伝わる
- 家族の生活の音が大きく、仕事の場所を分けにくい
- 仕事と生活の区切りがつかず、夜遅くまで作業を続けてしまう
向きにくい点がある人でも、在宅勤務ができないわけではありません。週に何日かの在宅勤務から始める、作業の時間を家族と共有する、始業と終業のときにチャットで一言報告する、といった工夫で補えます。厚生労働省のガイドラインも、在宅での勤務は生活と仕事の線引きが難しくなる等の理由から在宅勤務を希望しない労働者について、サテライトオフィス勤務やモバイル勤務を利用することも考えられるとしています。
在宅勤務の求人が多い職種7つと役立つ資格
在宅勤務の求人が比較的多い職種と、それぞれの採用で役立つ資格を整理します。
| 職種 | 在宅勤務のしやすさ | 役立つ資格 | 資格の種類 |
|---|---|---|---|
| ITエンジニア・社内SE・ヘルプデスク | しやすい | ITパスポート試験、基本情報技術者試験、情報セキュリティマネジメント試験、CCNA | 国家試験・民間資格 |
| Webデザイナー | しやすい | ウェブデザイン技能検定 | 国家検定 |
| 経理・会計事務 | 一部出社が多い | 日商簿記 | 公的な検定 |
| 一般事務・営業事務 | 会社による | MOS、文書の検定 | 民間資格 |
| 人事・労務 | 一部出社が多い | キャリアコンサルタント、社会保険労務士 | 国家資格 |
| カスタマーサポート | しやすい | 必須の資格は少ない | 応募の条件にない求人が多い |
| マーケティング・Web運用 | しやすい | 必須の資格は少ない | 成果の実績が重視される |
1. ITエンジニア・社内SE・ヘルプデスク
IT系の職種は、パソコンとネットワークがあれば仕事ができるため、在宅勤務の求人が多い分野です。未経験から応募する場合、情報処理推進機構(IPA)が行う国家試験が基礎の知識を示す材料になります。ITパスポート試験はITを使って働くすべての人向けの試験で、CBT方式(試験会場のパソコンで受ける方式)で随時行われ、試験時間は120分、出題数は100問です。基本情報技術者試験は、ITの技術者を目指す人向けの試験で、こちらもCBT方式で随時行われています。試験の区分と日程は情報処理推進機構の試験のページで確かめられます。
在宅勤務では、社外からの接続や情報の持ち出しの管理が欠かせないため、情報セキュリティの知識を示す情報セキュリティマネジメント試験も評価されます。ネットワークの運用に関わる職種なら、CCNA(シスコ技術者認定)の資格ガイドで、試験の範囲と学び方を確認できます。
2. Webデザイナー
Webサイトやバナーのデザインも、自宅のパソコンで完結しやすい仕事です。国家検定である技能検定の職種の1つにウェブデザインがあり、合格すると等級ごとに「ウェブデザイン技能士」と名乗れます。ただ、デザイナーの採用では、資格以上に作品の見本(ポートフォリオ)が見られます。デザイナーの年収と相場は、デザイナーの年収・単価相場で、経験の段階ごとの目安を確認できます。
3. 経理・会計事務
経理の仕事は、会計ソフトのクラウド化で在宅勤務がしやすくなりました。ただし、紙の請求書の受け取りや押印、月末の締めの作業などで、一部の日だけ出社する形の求人も多く見られます。経理の採用で広く使われる資格が日本商工会議所の簿記検定(日商簿記)で、統一試験の第174回は2026年11月15日に行われます。2級と3級には、決められた日に行う統一試験と、試験会場のパソコンで受けるネット試験があります。経理の経験がない人は、3級で取引の記録の基本を、2級で決算の考え方までを身につけておくと、応募できる求人が広がります。在宅勤務の経理では、クラウド型の会計ソフトや経費精算のシステムを使うことが多いので、資格の勉強と並行して、無料の体験版などで操作に触れておくと、面接で話せる材料が増えます。
4. 一般事務・営業事務
事務の仕事は、会社によって在宅勤務のしやすさが大きく違います。書類の電子化が進んでいる会社では在宅勤務の求人もありますが、郵便物の対応や来客の対応がある会社では出社が中心になります。事務の採用では、Word、Excel、PowerPointの操作の力を示すマイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)がよく使われます。MOSには一般レベルと上級レベル(エキスパート)があり、科目ごとに独立していて、最初から上級レベルを受けることもできます。文書の書き方を学ぶなら、ビジネス文書検定の資格ガイドで、級ごとの内容を確認できます。
5. 人事・労務
人事や労務の仕事も、オンラインでの面接や、勤怠と給与のシステムの普及で、在宅勤務がしやすくなっています。採用の面談や社員の相談の仕事では、国家資格のキャリアコンサルタントが役立ちます。厚生労働大臣が登録した試験機関の試験に合格し、登録を受けた人だけが名乗れる名称独占の資格で、登録は5年ごとの更新が必要です。社会保険や労働保険の手続きに詳しいことを示す国家資格には社会保険労務士があります。どちらも取るまでに時間がかかる資格なので、まずは人事の実務の経験を積みながら学ぶ人が多い分野です。
6. カスタマーサポート
電話やメール、チャットで利用者からの問い合わせに答える仕事は、在宅勤務の求人が多い職種の1つです。応募の条件に資格を求める求人は多くなく、正確に聞き取る力、丁寧な言葉づかい、システムの操作に慣れていることが重視されます。扱う商品の分野の知識(ITの製品ならITの基礎、保険や金融ならお金の基礎)があると、配属後に早く仕事に慣れられます。お金の基礎を体系立てて学ぶなら、国家検定のFP技能検定が候補になり、2級と3級はCBT方式で行われています。在宅のカスタマーサポートの求人では、自宅の通信の速さや、静かな作業場所があることを応募の条件にしているものもあるので、応募の前に自宅の環境を確かめます。
7. マーケティング・Web運用
Webサイトの運用、広告の運用、SNSの運用、データの分析などのマーケティングの仕事も、在宅勤務の求人が多い分野です。この分野では、資格より、どんな成果を出してきたかの実績が見られます。応募のときは、担当したサイトや広告で、何をどう変えて、数字がどう動いたかを具体的に説明できるようにしておきます。AIの活用が広がる中で求められる力については、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で、仕事の種類と求められるスキルを紹介しています。
職種ごとに見る在宅勤務の働き方
同じ在宅勤務でも、職種によって1日の働き方は大きく違います。資格を選ぶ前に、目指す職種の働き方を知っておくと、自分に合うかどうかを判断しやすくなります。
ITの職種
ITの職種では、朝にチームのオンライン会議で作業の予定を共有し、その後は担当の作業を一人で進める形が多く見られます。ヘルプデスクでは、社員からの問い合わせにチャットや電話で答え、パソコンの設定を遠隔で手伝います。障害が起きたときにすぐ対応できるよう、連絡がつく時間帯が決まっていることが多い職種です。
経理の職種
経理では、日々の取引の入力、経費の精算の確認、請求書の発行などを在宅で行い、月末や決算の時期に作業が集中します。紙の書類の受け取りや押印のために、月に数日だけ出社する形も多く見られます。締めの日の前後は作業が増えるので、その時期の働き方を面接で確かめておきます。
事務の職種
事務では、資料の作成、データの入力と集計、メールでの問い合わせへの対応、会議の準備などを在宅で行います。複数の部署から依頼が来ることも多く、依頼ごとに期限を管理する段取りの力が求められます。
カスタマーサポート
カスタマーサポートでは、決められた時間に会社のシステムにつないで、問い合わせを受けます。勤務の時間帯がシフトで決まることが多く、時間の自由はあまりない一方、勤務時間が終われば仕事から離れやすい職種です。
在宅勤務で使う道具と作業の環境
在宅勤務を始める前に、作業の環境を整えておく必要があります。会社がパソコンを貸す場合でも、机や椅子、照明、通信環境は自分で用意することが多くなります。
主な道具
- 会社が指定するパソコン(会社が貸すことが多い)
- 安定した通信環境(ビデオ会議が途切れない速さ)
- ビデオ会議用のマイク付きのヘッドセットとカメラ
- 長時間座っても疲れにくい机と椅子
- 手元を明るくする照明
作業の環境を確かめる
厚生労働省は、テレワークのガイドラインの別紙として、自宅などでテレワークを行う際の作業環境を確かめるための労働者用のチェックリストを公開しています。部屋の明るさ、机と椅子の高さ、画面の位置など、長く働いても体に負担がかかりにくい環境かどうかを確かめられます。在宅勤務の前に一度確かめておくと、肩こりや目の疲れを減らすことにつながります。
情報の扱い
在宅勤務では、会社の情報を自宅で扱います。会社のパソコンを家族と共用しない、画面を家族に見られない場所で作業する、紙の資料を自宅に持ち帰らない、といった基本の決まりを守ります。会社ごとに情報の扱いの決まりがあるので、入社のときに確かめます。情報セキュリティの資格の勉強で学ぶ内容は、この情報の扱いの基本と重なります。
資格だけで採用が決まらない理由
在宅勤務の求人で、資格があれば必ず採用される、ということはありません。在宅勤務の採用で見られるのは、資格と合わせて次のような点です。
- その職種の実務の経験、または近い経験
- 一人で作業を進め、決まった時間に報告できるか
- チャットやメールで、用件を短く正確に伝えられるか
- オンラインの会議や共有の文書などの道具に慣れているか
- 自宅の作業環境(通信、静かな場所)を整えられるか
未経験の職種に応募する場合は、資格に加えて、学んだ内容を使って作った成果物(簡単な表計算の集計、デザインの見本、学習で作ったプログラムなど)を見せられると、採用の担当者が働く姿を想像しやすくなります。
職種ごとの資格の組み合わせ方
1つの資格だけで足りない職種では、2つの資格を組み合わせると、応募できる求人の幅が広がります。代表的な組み合わせを挙げます。
| 目指す職種 | 基礎の資格 | 組み合わせる資格・知識 | 組み合わせの効果 |
|---|---|---|---|
| 経理 | 日商簿記 | MOS(Excel) | 集計や表の作成の速さも示せる |
| 社内SE・ヘルプデスク | ITパスポート試験 | 情報セキュリティマネジメント試験 | 在宅勤務で欠かせない情報の管理の知識を示せる |
| Webデザイナー | ウェブデザイン技能検定 | 作品の見本 | 知識と実際の作品の両方を見せられる |
| 人事 | キャリアコンサルタント | MOS、文書の検定 | 面談と書類の作成の両方を任せられる |
| 一般事務 | MOS | 日商簿記3級 | 経理の補助まで任される範囲が広がる |
組み合わせを考えるときも、目指す職種の求人を読み、どの知識がよく求められているかを確かめてから決めます。資格の数を増やすことより、求人に合った組み合わせになっているかが大切です。
雇用の形ごとの在宅勤務の違い
在宅勤務の求人は、正社員、契約社員、派遣社員、パートやアルバイトなど、いろいろな雇用の形で出ています。どの形でも雇用なので、労働基準法が適用され、条件を満たせば社会保険にも加入します。短時間労働者の社会保険の加入は「週20時間以上・2か月を超える雇用の見込み・学生でない」が要件で、所定内賃金の月額8.8万円以上という賃金の要件は2026年10月に撤廃されました。
正社員と契約社員
正社員や契約社員の在宅勤務は、会社の就業規則やテレワークの規程に従います。入社後の研修や、配属後の一定の期間は出社が中心になることもあります。
派遣社員
派遣社員として在宅勤務をする場合は、雇い主は派遣会社で、仕事の指示は派遣先の会社から受けます。在宅勤務ができるかどうかは、派遣先の会社の制度と、派遣の契約の内容で決まります。求人に在宅勤務と書かれていても、最初の期間は派遣先に出社する条件のこともあるので、派遣会社の担当者に確かめます。
パート・アルバイト
短い時間の在宅勤務の求人もあります。カスタマーサポートやデータの入力などで見られ、勤務の時間帯をシフトで決める形が多くなります。家庭の事情で長い時間働けない人が、在宅勤務で経験を積み、正社員を目指す道もあります。
履歴書の資格欄の書き方
資格を応募に生かすには、履歴書や職務経歴書に正しく書くことが大切です。
正式な名称で書く
資格は、主催の団体が使っている正式な名称で書きます。略称や通称で書くと、採用の担当者が確かめにくくなります。たとえば、日本FP協会は、FP技能検定に合格した人の名称の表示について、「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」のように等級と職種名を正しく書く例を示しており、「1級FP技能士」のような略した書き方や、等級のない書き方は誤りとしています。
1級FP技能士 ・・・ 職種名を正しく表示しなければならない。 出典: 日本FP協会「FP技能検定とは」
ほかの資格も、合格証や主催の団体の公式のページで正式な名称を確かめてから書きます。資格の名前の後に、級や科目も忘れずに書き添えます。
取得の年月と、合格か登録かを書く
資格欄には、取得した年と月を書き、資格によって「合格」「取得」「登録」などを書き分けます。試験に合格しただけで、登録をしないと名乗れない資格もあるので、自分がどの段階にあるかを正しく書きます。勉強中の資格は、「○○試験 受験に向けて勉強中」のように書いておくと、学ぶ意欲を伝えられます。
職務経歴書で資格の使い道を書く
職務経歴書では、資格をどう仕事に生かしてきたか、生かせるかを書きます。「日商簿記2級の知識を生かし、前職では月次の試算表の作成を担当」のように、資格と実務を結びつけて書くと、在宅で任せられる仕事の範囲が伝わります。
在宅勤務の求人の探し方
在宅勤務の求人は、求人サイトの検索の条件で「在宅勤務」「テレワーク」「リモートワーク」を選んで探すのが基本です。ただ、条件の名前はサイトによって違い、「在宅勤務あり」と「完全在宅」が分けられていないこともあります。検索の結果を読むときは、在宅勤務の頻度が書かれているかを必ず確かめます。
ハローワークの求人でも、在宅勤務やテレワークの条件がある求人を探せます。窓口では求人の内容について相談できるので、求人票だけでは分からない点を確かめたいときは、職員に聞いてみます。転職の支援のサービスを使う場合は、担当者に在宅勤務の希望の度合い(完全在宅が必須か、週に何日かでよいか)をはっきり伝えておくと、紹介される求人がしぼられます。
在宅勤務の求人票で確かめること
在宅勤務の求人に応募するときは、資格の条件だけでなく、在宅勤務の中身を求人票と面接で確かめます。
在宅勤務の頻度と条件
- 完全な在宅勤務か、週に何日かの在宅勤務か
- 入社後の研修の期間と、その間の出社の有無
- 在宅勤務ができるようになるまでの目安
- 配属の部署や時期によって、在宅勤務の扱いが変わるか
求人票に「在宅勤務可」と書かれていても、実際には一部の部署だけ、入社後一定の期間が過ぎてから、という場合があります。面接で、在宅勤務をしている社員の割合や、出社が必要な場面を聞いておくと、入社後の食い違いを防げます。
費用の負担
在宅勤務では、通信費や電気代、パソコンや机などの費用が誰の負担になるかも大切です。厚生労働省のテレワークのガイドラインは、費用の負担の扱いは会社ごとに様々であるとしたうえで、労使であらかじめ十分に話し合い、会社ごとの状況に応じたルールを定め、就業規則などに書いておくことが望ましいとしています。また、働く人に情報通信機器や作業用品などの負担をさせる定めをする場合は、労働基準法第89条により、就業規則に書かなければならないとされています。
求人票や面接で、パソコンの貸与の有無、在宅勤務の手当の有無、通信費の扱いを確かめておきます。
労働時間の管理
在宅勤務でも、労働時間の決まりは出社と同じように適用されます。始業と終業の時刻をどう記録するか、中抜けの時間をどう扱うか、残業の申請の方法はどうかを確かめます。在宅勤務は仕事と生活の区切りがつきにくく、長時間の労働になりやすいので、労働時間の記録の仕組みが整っている会社のほうが安心して働けます。
面接で在宅勤務への適性を伝える
在宅勤務の求人の面接では、資格や経験に加えて、在宅で働けることを具体的に伝えます。
伝えたいこと
- 自宅の作業環境(仕事の場所、通信環境)が整っていること
- 作業の進み具合をどのように報告するか(始業と終業の報告、日報など)
- 分からないことがあったとき、どのように質問するか
- これまでに、一人で進めた仕事や、オンラインで進めた仕事の経験
前の職場で在宅勤務の経験がない人でも、オンラインの会議で発表した経験、チャットで他の部署と調整した経験、自分で計画を立てて資格の勉強を続けた経験などは、在宅で働く力を示す材料になります。資格の勉強の計画をどう立て、どう続けたかを話すと、自分で時間を管理できることが伝わります。
オンラインの面接の準備
在宅勤務の求人では、面接もオンラインで行われることが多くあります。カメラの位置、背景、音声、通信の安定を事前に確かめておきます。オンラインの面接そのものが、在宅で働く力を見られる場になっていると考えて準備します。
今の会社で在宅勤務の部署に移る方法
転職ではなく、今の会社で在宅勤務ができる部署に移りたい人もいます。社内で在宅勤務の制度がある場合は、次のような進め方が考えられます。
- 就業規則やテレワークの規程で、在宅勤務の対象となる部署と条件を確かめる
- 在宅勤務が多い部署の仕事の内容を、社内の資料や先輩から聞く
- その部署で必要な知識を、資格の勉強などで身につける
- 社内の公募や異動の希望の制度があれば、それを使って希望を伝える
社内の異動では、社外の転職よりも、今の仕事の実績が見られます。今の仕事の中で、資料作りの効率を上げた、システムの使い方を同僚に教えた、といった実績を作っておくと、希望が通りやすくなります。
資格の勉強の計画の立て方
在宅勤務を目指して資格を勉強するときは、応募したい時期から逆算して計画を立てます。
期間の目安を決める
ITパスポート試験や日商簿記3級、MOSのように、基礎を問う資格は、働きながらでも比較的短い期間で取れることが多い資格です。基本情報技術者試験や日商簿記2級は、より多くの勉強の時間が必要になります。キャリアコンサルタントや社会保険労務士は、講習や長い期間の勉強が必要です。まずは短い期間で取れる資格から始め、応募しながら次の資格の勉強を続ける方法もあります。
CBT方式の試験を生かす
CBT方式で随時行われる試験は、自分の勉強の進み具合に合わせて試験日を選べます。働きながら勉強する人には受けやすい一方、試験日を決めないと先延ばしになりがちです。勉強を始めたら、早めに試験の予約を入れておくと、計画が立てやすくなります。
在宅勤務を続けるための健康の管理
在宅勤務は通勤がない分、体を動かす量が減り、人と話す機会も減ります。長く続けるためには、健康の管理にも気を配ります。
- 1時間に1回は立ち上がり、体を伸ばす
- 昼休みには画面から離れ、短い時間でも外に出る
- 始業と終業の時刻を決め、終業後は仕事の通知を切る
- 不安や孤立を感じたら、上司や同僚に早めに相談する
厚生労働省は、健康に配慮したテレワークの実践の手引きも公開しています。会社の産業医や相談の窓口が使える場合は、在宅勤務でもためらわずに利用します。
在宅勤務を始めてからよくあるつまずき
仕事の進め方が分からない
在宅勤務を始めたばかりのころは、誰に何を聞けばよいのか分からず、作業が止まってしまうことがあります。最初の1週間のうちに、質問の窓口になる人と、急ぎの用件の連絡の方法を確かめておきます。質問するときは、何が分からないか、自分でどこまで調べたかを書いて送ると、相手も答えやすくなります。
評価が見えにくい
在宅勤務では、働いている様子が上司から見えにくく、自分の仕事がどう評価されているか分かりにくくなります。厚生労働省のガイドラインも、テレワークを行うかどうかを働く人に任せている場合などに、テレワークをせずにオフィスで勤務していることを理由に、出社している人を高く評価することは適切な人事評価とはいえないとしています。自分でも、日報や週報で行った作業と成果を記録しておくと、評価の面談のときに説明しやすくなります。
長く働きすぎる
自宅では仕事の区切りがつきにくく、気づくと夜遅くまで作業していることがあります。在宅勤務でも労働時間の決まりは同じなので、終業の時刻を過ぎて働くときは、会社の決まりに沿って残業の申請をします。申請をせずに働き続けると、体を壊すだけでなく、労働時間の記録とずれが生じます。
資格の勉強にかかる費用と給付の制度
資格の勉強には、テキスト代や講座の受講料、受験料がかかります。雇用保険に加入している人や、加入していた人は、厚生労働大臣が指定した講座を修了すると、教育訓練給付金として費用の一部が支給される場合があります。一般教育訓練なら教育訓練経費の20%(上限10万円)が支給されます。対象になるかどうかと、講座が指定を受けているかは、ハローワークで確かめます。制度の全体は厚生労働省の教育訓練給付制度のページで、特定一般教育訓練や専門実践教育訓練の給付の割合とあわせて確認できます。受講を始める前に手続きが必要な講座もあるので、申し込む前に調べておきます。
在宅勤務の仕事を目指す人の進め方と、運営の現場から見えること
在宅勤務の仕事を目指すときは、次の順で進めると無駄が少なくなります。
- 在宅勤務の求人が多い職種の中から、自分の経験に近いものを選ぶ
- その職種の求人を10件ほど読み、応募の条件と歓迎の条件を書き出す
- 条件に何度も出てくる資格や道具を、学ぶ優先順位の上位にする
- 資格の勉強と並行して、学んだ内容を使った成果物を作る
- 履歴書と職務経歴書に、資格と成果物を正しく書いて応募する
- 面接で、在宅勤務の頻度、費用の負担、労働時間の管理を確かめる
在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた範囲では、在宅で長く働き続けている人ほど、資格を取った後も、仕事で使う道具や情報の扱い方を学び続けています。在宅の働き方は、会社に雇われる形でも業務委託の形でも、自分で仕事を進める力が問われる点は同じです。資格はその入り口で、基礎の力を示す材料として生かしてください。
IT分野で在宅勤務を目指す人は、CCNA(シスコ技術者認定)の資格ガイドで、ネットワークの基礎を学ぶ道筋を確かめてみてください。
よくある質問
Q. 資格があれば在宅勤務の仕事に就けますか?
資格だけで在宅勤務ができるようになるわけではありません。在宅勤務ができるかどうかは、職種と会社のテレワークの制度で決まります。資格は、在宅勤務の求人が多いIT、デザイン、経理、事務などの職種に応募するときに、その職種の基礎の知識があることを示す材料になります。実務の経験や成果物と合わせて伝えると効果的です。
Q. 未経験から在宅勤務を目指すならどの資格がよいですか?
目指す職種で選びます。IT系ならITパスポート試験や基本情報技術者試験、経理なら日商簿記、事務ならMOS、Webデザインならウェブデザイン技能検定が候補です。資格を選ぶ前に、その職種の在宅勤務の求人を10件ほど読み、応募の条件や歓迎の条件に何度も出てくる資格を選ぶと、採用に結びつきやすくなります。
Q. 履歴書の資格欄はどう書けばよいですか?
主催の団体が使っている正式な名称で、取得した年と月とともに書きます。たとえばFP技能検定の合格者は「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」のように等級と職種名を正しく書き、「FP技能士」のような略した書き方は避けます。試験に合格しただけで登録が必要な資格もあるので、合格と登録を書き分けてください。
Q. 在宅勤務の通信費や電気代は会社が負担してくれますか?
会社によって違います。厚生労働省のテレワークのガイドラインは、費用の負担の扱いを労使で話し合い、就業規則などに定めておくことが望ましいとしており、働く人に機器などの負担をさせる場合は就業規則に書く必要があるとしています。求人票や面接で、パソコンの貸与、在宅勤務の手当、通信費の扱いを確かめてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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