貿易事務をテレワークで続けるための求人の見分け方と必要な経験

@SOHO編集部
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貿易事務をテレワークで続けるための求人の見分け方と必要な経験

この記事のポイント

  • ✓貿易事務をテレワークで続けたい人に向けて
  • ✓在宅にしやすい業務と出社が残りやすい業務
  • ✓通関業者の在宅勤務の決まり

貿易事務の経験があり、子育てや介護、引っ越しをきっかけにテレワークで続けたいと考える人は少なくありません。求人を探すと「在宅あり」「在宅勤務OK」と書かれた貿易事務の募集は確かに見つかります。ところが、入社してみたら週の大半は出社だった、在宅に移れるのは1年後だった、という食い違いもよく聞きます。

貿易事務は、書類と取引先とのやりとりが中心で、テレワークと相性のよい部分が多い仕事です。一方で、原本の書類や現物の確認、会社の決まりによって、どうしても出社が残る部分もあります。この記事では、税関の通関業法基本通達と厚生労働省のテレワークのガイドライン、実際の求人の記載(2026年10月3日に確認)をもとに、貿易事務をテレワークで続けるための求人の見分け方と、求められる経験を整理します。

貿易事務の仕事の中身をおさらいする

貿易事務とは、海外との売り買いに伴う事務手続を担う仕事です。テレワークに向くかどうかを考えるために、まず仕事の中身を分けて整理しておきます。

輸出の事務では、受注の内容を確かめ、インボイス(商品の明細と金額を書いた送り状)やパッキングリスト(梱包の明細)を作り、船や飛行機の予約を手配します。貨物を運ぶ手配を請け負う事業者(フォワーダー)や、税関への申告を代行する通関業者と連絡を取り、船積みの日程を調整します。船会社が発行するB/L(船荷証券。貨物を受け取る権利を示す書類)などを受け取り、取引先に送ります。

輸入の事務では、海外の取引先から届く書類を確認し、到着の日程を追い、通関業者に通関を依頼します。関税や消費税の支払い、国内の倉庫への配送の手配、社内の在庫や会計の担当への連絡も含まれます。

働く会社の種類によっても、仕事の中身は変わります。メーカーや商社の貿易事務は、自社の取引に関わる手続が中心です。フォワーダーの貿易事務は、多くの荷主の貨物を扱い、船や飛行機の手配と書類の流れを管理します。通関業者の貿易事務は、税関への申告書類の作成と、その前後の確認が中心です。どの立場で働くかによって、テレワークのしやすさも変わってきます。

テレワークにしやすい業務、出社が残りやすい業務

貿易事務の業務を、テレワークのしやすさで分けると、次のように整理できます。

テレワークにしやすいのは、パソコンとネットワークで完結する業務です。インボイスやパッキングリストの作成、取引先との英文メールのやりとり、船や飛行機の予約の手配、到着予定の追跡、社内システムへの入力、請求書の確認などは、書類が電子化されていれば自宅からでも進められます。

出社が残りやすいのは、紙の原本や現物、社内の物理的な手続が関わる業務です。原本の書類の受け取りや発送、会社の印鑑を押す手続、サンプルや貨物の現物の確認、紙で届く郵便物の処理などがこれにあたります。取引先によっては、今も紙の書類や原本の郵送を求めるところがあります。

もう1つ、出社が残る理由になりやすいのが、電話での急ぎの対応です。貨物の遅れや書類の不備は、その日のうちに対応しなければならないことが多く、チームで状況を共有しながら動く必要があります。会社の電話を自宅で受けられる仕組みがあるかどうかで、在宅でできる範囲が変わります。

つまり、貿易事務のテレワークのしやすさは、仕事の種類よりも、その会社の書類の電子化の進み具合と、社内の仕組みによって決まる部分が大きいということです。求人を見るときは、この点を確かめることが出発点になります。

働く会社の種類ごとの在宅のしやすさ

同じ貿易事務でも、働く会社の種類によって、在宅にできる範囲は変わります。一般的な傾向を整理しておくと、求人を選ぶときの目安になります。

メーカーの貿易事務は、自社の製品の輸出入に関わる手続が中心です。扱う商品や取引先が比較的決まっているため、仕事の流れが安定しやすく、慣れてしまえば在宅で進められる業務が多い傾向があります。ただし、サンプルの発送や、工場や倉庫との現物のやりとりが多い会社では、出社が必要な日が残ります。

商社の貿易事務は、扱う商品や取引先の幅が広く、急な変更や問い合わせへの対応が多くなりがちです。営業の担当者と密に連絡を取る必要があるため、チャットや電話の仕組みが整っているかどうかで在宅のしやすさが変わります。

フォワーダーの貿易事務は、多くの荷主の貨物を同時に扱い、船会社や航空会社、通関業者との調整が中心です。船や飛行機の予約や追跡はシステムで行うことが多く、在宅にしやすい業務が多い一方、貨物の遅れや書類の不備といった急ぎの対応が日常的に発生します。

通関業者の貿易事務は、税関への申告書類の作成と確認が中心です。申告はNACCS(税関の手続をオンラインで行うシステム)で行われるため、在宅勤務の制度と情報の守り方が整っていれば、自宅で進められる業務は少なくありません。先に紹介した通達の手続が必要になる点が、ほかの会社との違いです。

どの種類の会社でも、最終的には、その会社の仕組みしだいです。会社の種類はあくまで目安として、面接で具体的な業務の流れを確かめることが大切です。

テレワークの貿易事務の1日

在宅で貿易事務をする1日がどう進むのか、輸出の事務を担当する場合を例に、一般的な流れを紹介します。会社によって細部は違いますが、在宅での働き方を具体的にイメージする助けになります。

始業の時刻になったら、パソコンを起動して勤怠を記録し、チャットで始業を伝えます。最初に、夜の間に海外の取引先から届いたメールを確認します。時差のある国との取引では、朝の時点で返信が必要な連絡がたまっていることが多く、優先順位をつけて対応していきます。

午前中は、受注の内容を確認し、インボイスやパッキングリストを作成します。フォワーダーに船の予約を依頼し、船積みの日程を調整します。書類に不明な点があれば、営業の担当者にチャットで確認します。

昼休みを挟んで、午後は、出荷の予定の追跡や、通関業者とのやりとりを進めます。チームのオンライン会議で、その週の出荷の状況と、遅れが出そうな案件を共有します。急ぎの問い合わせが入れば、電話やオンライン会議で関係者と調整します。

終業の前に、その日の進み具合を記録し、翌日に引き継ぐ事項をチャットに残します。在宅では、自分の仕事の状況がチームから見えにくいため、こうした記録をこまめに残すことが、信頼を得るための大切な習慣になります。

在宅の日でも、仕事の中身は出社の日とほとんど変わりません。違うのは、隣の席の人に声をかけられない分、文字での連絡を丁寧に行う必要がある点です。

通関業者の在宅勤務には決まりがある

通関業者で貿易事務を担う場合、テレワークについて知っておきたい決まりがあります。通関業者は、財務大臣の許可を受けた営業所で通関業務を行う事業者です。では、自宅で通関業務をすることはできるのでしょうか。

税関の「通関業法基本通達」では、在宅勤務について次のように定めています。

なお、通関業者の通関業務に従事する通関士及びその他の通関業務の従業者が情報通信機器を活用して、労働時間の全部又は一部において、自宅で通関業務に従事する勤務形態(以下「在宅勤務」という。)を導入する場合においては、当該勤務場所(自宅)は当該従業者の所属する営業所の一部となるので留意する。この場合、同条又は法第9条《営業所の新設に係る許可の特例》に規定する手続は要しない。 出典: 税関「通関業法基本通達」

つまり、通関業者で働く通関士や従業者は、自宅で通関業務をすることが制度上認められており、そのときの自宅は所属する営業所の一部として扱われます。新しく営業所の許可を取り直す必要はありません。

ただし、同じ通達では、在宅勤務を始めるときや終えるときに、通関業者が税関に「在宅勤務・サテライトオフィス勤務の開始・変更・終了の申出書」を出すこと、税関は申出を受けたときに、在宅勤務の情報セキュリティの方針が定められているかなどを確認することも定められています。働く人の側から見ると、通関業者で在宅勤務をするには、会社がこうした手続と情報の守り方を整えている必要があるということです。

求人に「在宅勤務可」と書かれた通関業者であれば、こうした体制がすでにある可能性が高いと考えられます。一方、在宅の制度がない通関業者に入ってから在宅を希望しても、すぐには実現しないことがあります。

求人票の「在宅あり」をどう読むか

貿易事務の求人には、在宅勤務についてさまざまな書き方があります。実際に求人の検索サイトに掲載されていた貿易事務の求人を見てみます。

【仕事内容】外資系フォワーダー企業にて、輸出入に付帯する事務をお願いします。...【求人の特徴】在宅勤務OK/未経験OK/土日祝休み/急募 【PR・職場情報など】<在宅あり 時給2000円!>外資系フォワーダー企業で貿易... 出典: 求人ボックス

この記載だけでは、在宅勤務が週に何日なのか、入社直後から在宅なのか、どの業務を自宅でできるのかは分かりません。求人票の表現は、大きく次のように読み分けると整理しやすくなります。

「フルリモート」「完全在宅」と書かれている場合は、原則として出社がない働き方を指します。ただし、入社時の研修や機材の受け取り、年に数回の会議などで出社が必要になることはあります。

「在宅勤務可」「在宅勤務OK」と書かれている場合は、会社に在宅勤務の制度があることを示しています。週に何日まで在宅にできるか、誰が対象かは、会社や部署によって違います。

「在宅あり」「一部在宅」「在宅勤務と出社の組み合わせ」と書かれている場合は、出社と在宅を組み合わせる働き方が前提です。出社の頻度が週1日なのか週4日なのかで、生活への影響は大きく変わります。

「慣れたら在宅」「研修後在宅可」と書かれている場合は、一定期間の出社が前提です。在宅に移る時期と、その判断の基準を確かめる必要があります。

求人票の言葉だけで判断せず、面接や派遣会社の担当者を通じて、具体的な日数と条件を確かめることが欠かせません。

求められる経験と英語力

テレワークの貿易事務では、出社の仕事以上に経験が重視される傾向があります。在宅では、隣の席の先輩にすぐ聞くことができないため、ある程度1人で判断して進められる人が求められるからです。

求められやすい経験

貿易事務の求人でよく求められるのは、次のような経験です。輸出と輸入のどちらの経験があるか。海上輸送と航空輸送のどちらを扱ったか。インボイスやパッキングリストなどの書類を自分で作った経験があるか。フォワーダーや通関業者、海外の取引先とやりとりした経験があるか。社内の基幹システムや表計算ソフトでの入力や集計の経験があるか。

在宅を前提とする求人では、こうした経験を「何年」と条件にしていることが多くあります。未経験でも応募できる求人はありますが、在宅勤務が認められるのは研修の後になる場合がほとんどです。

英語力は「読み書き」が中心

貿易事務の英語は、会話よりも読み書きが中心です。実際の求人には、次のような記載がありました。

【経験・資格】必須スキル ・英語に抵抗がない方(英文に抵抗がなければOK/会話不要)・Excel操作・事務職のご経験お持ちの方...在宅ワーク・テレワーク大手企業ブランク有OK産休・育休取得実績あり... 出典: 求人ボックス

英文の書類を読み、決まった言い回しのメールを書ける力があれば、応募できる求人は多くあります。貿易の書類には、決まった用語と書式が多いので、経験を重ねるほど読み書きは楽になります。一方、海外の取引先と電話会議で交渉するような仕事では、会話の力も求められます。自分の英語力に合った求人を選ぶことが大切です。

在宅では、社内のやりとりもチャットやメールが中心になります。日本語でも、要点を短く正確に書く力が評価されます。文書の書き方を体系的に見直したい人は、ビジネス文書検定のように、ビジネス文書の基本を確かめられる検定を活用する方法もあります。

通関士の資格は在宅の貿易事務に役立つか

貿易事務の経験者が次の一歩として考えることが多いのが、通関士の資格です。通関士とは、通関業者で通関書類の審査などを行う国家資格で、税関が試験を行っています。

税関の公表によると、第60回通関士試験(令和8年)は、2026年10月4日に行われ、11月10日に合格者の受験番号が税関のウェブサイトに掲載される予定です。受験資格に学歴、年齢、経歴、国籍の制限はなく、誰でも受験できます。受験手数料は、書面で申し込む場合は3,000円分の収入印紙、電子申請の場合は2,900円です。

前年の第59回通関士試験では、全体の受験者6,322人のうち合格者は954人で、合格率は15.1%でした。試験科目は、通関業法、関税法などの法令、通関書類の作成要領その他通関手続の実務の3つで、それぞれ満点の60%以上が合格基準とされています。

通関業法では、通関業者が通関士試験の合格者を通関士として通関業務に従事させるときは、財務大臣に届け出て確認を受けることが定められています。つまり、通関士として働くには、通関業者に所属することが前提です。資格を取ったからといって、個人で独立して他人の通関手続を代行できるわけではありません。通関業を営むには、財務大臣の許可が必要です。

在宅の貿易事務との関係で言えば、通関士の資格は、通関業者やフォワーダーで専門性の高い仕事を任されるきっかけになります。経験と資格がそろえば、在宅勤務の制度がある会社で、審査や確認の仕事を担える可能性も広がります。試験の勉強を通じて、関税や輸入の規制の仕組みを体系的に学べることも、日々の書類の確認に役立ちます。メーカーや商社の貿易事務でも、通関業者とのやりとりで話が通じやすくなるという利点があります。

テレワークの貿易事務に向いている会社の特徴

テレワークで長く続けられるかどうかは、会社の仕組みに大きく左右されます。求人を比べるときに見ておきたい特徴を整理します。

1つ目は、書類の電子化が進んでいることです。インボイスや船積みの書類をデータでやりとりし、社内の承認も電子で完結している会社では、在宅でできる範囲が広くなります。面接で「書類の原本を扱う業務はどのくらいあるか」を聞くと、電子化の度合いが分かります。

2つ目は、在宅勤務の制度が明文化されていることです。厚生労働省のテレワークのガイドラインは、テレワークの対象業務について次のように述べています。

一般にテレワークを実施することが難しいと考えられる業種・職種であっても個別の業務によっては実施できる場合があり、必ずしもそれまでの業務の在り方を前提にテレワークの対象業務を選定するのではなく、仕事内容の本質的な見直しを行うことが有用な場合がある。 出典: 厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」

在宅勤務の対象者や日数、申請の方法、費用の負担が就業規則などで決まっている会社は、在宅の働き方が個人の交渉に頼らず続きやすい傾向があります。

3つ目は、チームのやりとりの仕組みです。チャットやオンライン会議で日々の状況を共有している会社では、在宅でも孤立しにくく、急ぎの対応も分担しやすくなります。

4つ目は、出社している人に業務が偏らない配慮があることです。ガイドラインは、オフィスに出勤する労働者のみに業務が偏らないよう留意することも求めています。在宅の人と出社の人の役割分担がはっきりしている会社ほど、チームの中で在宅勤務が受け入れられやすくなります。

派遣で在宅の貿易事務を探すときの注意点

貿易事務は、派遣の求人が多い職種でもあります。派遣で在宅の仕事を探すときは、派遣ならではの確認点があります。

派遣社員の場合、在宅勤務ができるかどうかは、派遣先の会社の制度と、派遣元との契約の内容で決まります。派遣元の求人に「在宅あり」と書かれていても、在宅の日数や条件は派遣先によって違うので、紹介を受ける段階で具体的に確かめましょう。

在宅で働く場合の機材や通信費の扱い、在宅の日の勤怠の記録の方法、トラブルのときの連絡先も確認しておきたい点です。派遣社員の労働時間の管理は派遣先が行うのが一般的ですが、困ったときの相談先は派遣元の担当者です。

派遣の求人では、同じ派遣先の同じ仕事が、複数の派遣会社から出ていることもあります。条件や時給が少しずつ違うことがあるので、気になる求人が見つかったら、担当者に在宅の日数や時給の決まり方を具体的に聞いて比べましょう。

また、紹介予定派遣と呼ばれる、一定期間の派遣の後に派遣先の社員になることを前提とした働き方もあります。在宅勤務の制度が整った会社に、まず派遣で入って仕事ぶりを見てもらう、という道筋も考えられます。

面接で確かめておきたいこと

テレワークの貿易事務の求人に応募するときは、面接で次の点を確かめておくと、入社後の食い違いを防げます。

在宅勤務の日数と曜日は決まっているか、自分で選べるか。在宅に移れる時期と、その判断の基準は何か。在宅でできない業務は何か、それはどのくらいの頻度で発生するか。会社の電話は自宅で受けられるか。パソコンなどの機材は貸与されるか、通信費の手当はあるか。在宅の日の勤怠はどのように記録するか。チームのやりとりにはどんな道具を使っているか。

面接で聞きにくいと感じる人もいますが、在宅勤務を前提に応募しているなら、こうした点を確かめるのは当然のことです。答えが具体的な会社ほど、在宅勤務が制度として定着していると考えられます。

質問の仕方にも工夫ができます。「在宅勤務はできますか」と聞くと、多くの会社は「できます」と答えます。それよりも、「今の部署で在宅勤務をしている人は何人で、週に何日くらいですか」「入社した人が在宅に移るまで、平均でどのくらいかかっていますか」と、実際の運用を聞くほうが、具体的な答えを引き出せます。チームの人に話を聞ける機会があれば、在宅の日の働き方を直接確かめるのも有効です。

自分の側から伝えておきたいこともあります。在宅で働きたい理由と、出社できる日数の上限、急ぎの対応にどこまで応じられるかを、正直に伝えておきましょう。入社後に条件が合わずに困るより、最初にすり合わせておくほうが、会社にとっても自分にとっても負担が小さくなります。

給与や時給を求人から読むときのポイント

在宅の貿易事務の求人では、時給や月給の幅がさまざまです。今回確認した求人の中には、外資系のフォワーダーで在宅ありの貿易事務を時給2,000円で募集するものや、貿易に関する知識を歓迎条件にして時給2,000円からとするものがありました。ただし、時給は地域、経験、英語の使用頻度、雇用の形によって大きく変わります。

給与を比べるときは、在宅の条件とあわせて見ることが大切です。たとえば、時給が高くても出社が多い仕事と、時給はやや低くても在宅の日数が多い仕事では、通勤の時間と費用を含めた実質的な条件が違ってきます。在宅の日の通信費の手当や、交通費の支給の方法も、手元に残る額に影響します。

また、時給の高い求人ほど、即戦力としての経験が求められる傾向があります。応募の条件に書かれた経験年数や業務の範囲が、自分の経験と合っているかを確かめましょう。条件に少し足りない場合でも、近い経験を具体的に説明できれば、選考の対象になることがあります。

未経験や経験の浅い人がテレワークを目指す道筋

貿易事務の経験がない人や、経験が浅い人が、いきなり在宅の求人に応募しても、採用されるのは簡単ではありません。在宅を目指すなら、段階を踏む道筋を考えるのが現実的です。

最初の段階は、出社型の貿易事務で経験を積むことです。書類の流れ、取引先とのやりとり、トラブルのときの対応を、先輩の近くで学ぶ時期です。この時期に、輸出と輸入のどちらか、海上と航空のどちらかで、1人で仕事を回せる状態を目指します。

次の段階は、在宅勤務の制度がある会社で、出社と在宅を組み合わせる働き方に移ることです。経験が1年から3年ほどになると、「在宅あり」の求人の条件を満たしやすくなります。

その先に、在宅の日数が多い働き方や、フルリモートの求人が見えてきます。通関士などの資格を取ると、専門性の高い仕事を任される機会が広がります。

出社型で働いている時期にも、在宅を見すえてできる準備があります。1つは、自分が扱った業務を記録しておくことです。どの国との取引で、どんな書類を、月にどのくらい作ったかをメモしておくと、在宅の求人に応募するときに経験を具体的に伝えられます。もう1つは、チャットやオンライン会議での報告に慣れておくことです。在宅では文字での連絡が増えるため、出社している時期から、要点を短くまとめて伝える練習をしておくと移行がスムーズになります。

ブランクがある人が在宅の貿易事務に戻るには

出産や介護などで仕事を離れていた人が、在宅の貿易事務で復帰したいと考えることもあるでしょう。求人の中には、ブランクがあっても応募できると明記しているものもあります。

ブランクのある人が意識したいのは、離れていた間の変化を確かめておくことです。書類の電子化や、取引先とのやりとりに使う道具は、数年で大きく変わることがあります。以前の職場で使っていた書類の種類や流れを思い出しつつ、今の求人で求められている道具や業務を確認しておくと、面接で自分の経験を今の仕事に結びつけて話せます。

また、最初から在宅の日数が多い求人にこだわらず、出社と在宅を組み合わせる働き方から始めるのも1つの方法です。最初の数か月は出社して職場の流れをつかみ、そのあと在宅の日を広げていく形であれば、ブランクがあっても無理なく仕事の感覚を取り戻せます。派遣会社の担当者に、ブランクがあることと在宅の希望を伝えて、条件に合う派遣先を相談するのも有効です。

在宅の貿易事務で気をつけたい情報の扱い

貿易事務では、取引先の名前、取引の金額、商品の仕様など、外に漏れてはいけない情報を日常的に扱います。在宅で働く場合は、情報の扱いにいっそう注意が必要です。

家族が使うパソコンで仕事をしない、画面を家族にのぞかれない配置にする、書類を印刷した場合は会社の決まりに従って処分する、といった基本を守ります。公共の場所の無線回線で仕事のシステムに接続しないことも大切です。

また、輸入の手続に関わる書類には、保存の決まりがあります。税関の説明では、業として輸入する人は、帳簿を輸入許可の日の翌日から7年間、契約書や仕入書などの書類と電子取引のデータを5年間保存する必要があります。在宅でデータをやりとりする場合も、会社が決めた場所にきちんと保存し、個人のパソコンに残したままにしないことが求められます。

取引先からのメールに添付された書類を開くときにも注意が必要です。貿易の取引では、取引先になりすまして振込先の変更を求めるメールや、偽の書類を装ったウイルス付きのメールが届くことがあります。振込先や支払い条件の変更の連絡が来たときは、メールだけで判断せず、以前から使っている連絡先に電話などで確かめる習慣をつけておきましょう。在宅では周りの人にすぐ相談できないため、少しでも不審に感じたら、チャットで上司や情報システムの担当者に確認することが大切です。

自宅の作業環境を整える

在宅で貿易事務を続けるには、自宅の作業環境も大切です。貿易事務では、インボイスと発注書、船の予約の画面など、複数の書類やシステムを見比べながら作業することが多くあります。ノートパソコンの画面だけでは作業の効率が落ちやすいので、外付けのモニターを用意する人が多くいます。会社がモニターを貸し出してくれるかどうかも、面接で確認しておきたい点です。

回線は、オンライン会議や大きな書類のやりとりに耐えられる安定したものが必要です。急ぎの調整を電話やオンライン会議で行うこともあるため、通話の音質も確かめておきましょう。

長時間のデスクワークで体に負担がかからないよう、机と椅子の高さを合わせる、1時間に1回は立ち上がって体を伸ばす、といった工夫も欠かせません。在宅では通勤がない分、歩く量が大きく減りがちです。仕事の合間に短い散歩を入れるなど、体を動かす時間を意識して作ることが、長く在宅で働くための土台になります。

運営者の視点から見た、在宅で事務を続ける人の共通点

在宅ワークの市場を長く見てきた立場から言えば、事務の仕事をテレワークで長く続けている人には共通点があります。それは、「この人に任せておけば、書類も連絡も滞らない」という信頼を、日々の仕事で積み上げていることです。在宅では仕事ぶりが見えにくいため、期限を守る、状況をこまめに共有するといった基本の積み重ねが、そのまま評価につながります。

もう1つは、自分の経験を言葉にできることです。どの国との取引で、どんな書類を、どのくらいの量扱ってきたか。具体的に説明できる人ほど、在宅の求人でも、業務委託の仕事でも、条件のよい話を引き寄せています。仲介の取り分が大きい仕組みを通さず、依頼する側と直接条件を話し合える場では、依頼する側は同じ予算でより多くを頼め、受け手は手取りが厚くなります。双方にとって得のある関係を作れるかどうかが、在宅で長く働く人の分かれ目になっています。

最近は、書類の作成やメールの下書きに生成AIを取り入れる職場も出てきました。こうした道具を業務に生かす考え方は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で紹介している仕事とも通じるところがあります。貿易事務の経験と、新しい道具を使いこなす力を組み合わせることが、テレワークで長く働くための強みになるはずです。

よくある質問

Q. 貿易事務は未経験でもテレワークで始められますか?

未経験から応募できる貿易事務の求人はありますが、在宅勤務が認められるのは研修や一定期間の出社の後になることがほとんどです。まず出社型で書類の流れと取引先とのやりとりを身につけ、経験を積んでから在宅の求人に移る道筋が現実的です。求人の「研修後在宅可」の時期と条件は必ず確認してください。

Q. 通関業者で働く場合も在宅勤務はできますか?

税関の通関業法基本通達では、通関士や通関業務の従業者が自宅で通関業務に従事する在宅勤務を認めており、自宅は所属する営業所の一部として扱われます。ただし、通関業者が税関に申し出を行い、情報セキュリティの対策を整えている必要があります。在宅の制度があるかは会社ごとに確認してください。

Q. テレワークの貿易事務にはどのくらいの英語力が必要ですか?

多くの貿易事務は、英文の書類を読み、決まった言い回しのメールを書く読み書きの力が中心です。求人には「英文に抵抗がなければOK、会話不要」といった条件もあります。海外の取引先と電話会議で交渉する仕事では会話の力も求められるので、求人の業務内容を見て、自分の英語力に合うものを選ぶことが大切です。

Q. 通関士の資格を取れば在宅で独立できますか?

通関士は、通関業者に所属して通関書類の審査などを行う資格で、通関業法では通関業者が財務大臣に届け出て確認を受けることが定められています。他人の通関手続を代行する通関業を営むには財務大臣の許可が必要なため、資格だけで個人として独立することはできません。在宅で働く場合も、通関業者の在宅勤務の制度を利用する形になります。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年2月11日最終更新:2026年10月5日
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