2026年でも儲かる?太陽光発電投資の利回りと法人節税スキーム


この記事のポイント
- ✓2026年の太陽光発電投資は法人にとってまだ利益が出るのか?最新の自家消費型モデルの利回りや
- ✓即時償却を活用した節税スキーム
- ✓中小企業経営強化税制の活用術を専門家が詳しく解説
「太陽光発電投資はもう終わった」という声が聞こえてくる2026年。確かに、かつての「全量売電で不労所得」というビジネスモデルは、売電価格の下落とともに岐路に立たされています。
しかし、法人経営という視点で見ると、判断材料はむしろ増えています。売電単価と税制優遇の両方が、2026年度と2027年度の境目で大きく動くためです。この記事では、公表されている一次情報をもとに、2026年時点で法人が太陽光発電をどう位置づけるべきかを整理します。
1. 2026年度の売電単価は、公表値で確かめる
投資判断の出発点は、売電でいくら入るかです。調達価格や基準価格は、資源エネルギー庁が価格表として公表しています。2026年度の太陽光の値は、区分ごとに次のようになっています。
50kW以上(地上設置、入札制度対象外)は1kWhあたり9.6円、10kW以上50kW未満は9.9円です。入札制度が適用される区分では、第28回から第31回までいずれも9.60円で決定しています。10kW以上の屋根設置には初期の期間を高く設定する仕組みが採られ、19円(1年目から5年目)と8.3円(6年目から20年目)という二段構えの価格になっています。10kW未満(住宅用)は24円(1年目から4年目)と8.3円(5年目から10年目)です。調達期間は10kW以上が20年間、10kW未満が10年間です。
この二段構えの価格設定には、明確な狙いが示されています。
事業用太陽光(屋根設置)・住宅用太陽光の2026年度の調達価格・基準価格については2025年度下半期にも適用。国民負担には中立的な形で、投資回収の早期化を図る価格設定(初期投資支援スキーム)を採用。 出典: 資源エネルギー庁「買取価格・期間等(2026年度以降)」
つまり、屋根設置については「20年間ずっと安い」のではなく「最初の5年で回収を進めさせる」という設計に切り替わっています。自社ビルや工場の屋根を使う法人にとっては、この前半5年の19円をどう組み込むかが計画の核になります。
なお、同じ価格表では、2024年度以降の調達価格について、FIT認定事業者が課税事業者の場合には当該価格に消費税を加えた額とし、免税事業者の場合には当該価格に消費税を含むものとすると注記されています。また、2024年度以降の調達価格と基準価格のうち同年度以降に新規認定を取得した案件については、最大受電電力が10kW以上の場合に当該価格に発電側課金相当額を加えた額とするとも記載されています。表の数字をそのまま収入計算に使う前に、この2点を反映させる必要があります。
2. 地上設置は2027年度から新規認定の対象外になる
2026年の判断でもっとも重いのは、価格ではなく制度の期限です。価格表の注記には、次の内容が明記されています。
事業用太陽光(地上設置(10kW以上))区分は、2026年度の落札案件を除き、2027年度以降、FIT/FIP制度の新規認定対象とならない。ただし、2026年度以前に既に認定を受けた案件及び2026年度の落札案件のFIP制度への移行は認める。 出典: 資源エネルギー庁「買取価格・期間等(2026年度以降)」
地上に架台を組んで発電所を作り、FIT制度で売電する形の新規参入は、2026年度が最後の機会になるということです。2027年度以降も既存の認定案件は動きますが、新しく認定を取る道は閉じます。
これに加えて、10kW以上50kW未満の事業用太陽光のFIT新規認定には、自家消費型の地域活用要件を設定するとされています。ただし営農型太陽光については、3年を超える農地転用許可が認められる案件は、自家消費を行わない案件であっても災害時の活用が可能であればFIT制度の新規認定対象とする、という例外が記載されています。
入札制度の適用対象は250kW以上で、屋根設置は入札制度の適用対象としないとも明記されています。屋根に載せる規模であれば、入札に参加する必要がありません。
2026年時点で法人が新しく検討できる現実的な選択肢は、屋根設置を含む自家消費型に絞られてきている、という読み方になります。「地上に発電所を作って売電する」路線は、新規では終盤に入っています。
なお、2027年度の欄には太陽光の各区分について注記の記号だけが入っており、価格そのものは示されていません。同じ表の風力では、2027年度の陸上風力が13.7円と記載されています。太陽光の2027年度以降の扱いは、調達価格等算定委員会の意見を踏まえて改めて定まる部分が残っているということです。判断の前に、この欄が埋まっているかを必ず確認してください。表の注記には、2026年4月現在、調達価格等算定委員会の令和8年度以降の調達価格等に関する意見において取りまとめられた内容までを反映していると記載されています。
3. 自家消費型を検討するときの見方
自家消費型は、発電した電気を自社で使うことで、電力会社から買う電気を減らす形です。収入が増えるのではなく、支出が減ります。
判断のために必要な数字は2つだけです。1つは、自社が現に電気を1kWhいくらで買っているか。もう1つは、設備を入れた場合に年間何kWh分を自社で使えるか。前者は毎月の請求書に記載されており、契約している料金メニューによって変わります。後者は、屋根の面積と方位、事業の稼働時間帯から見積もります。
ここで重要なのは、昼間に電気を使う事業かどうかです。太陽光が発電するのは日中に限られるため、夜間操業が中心の事業では自家消費に回せる量が小さくなります。工場や倉庫、日中に空調を使うオフィスビルであれば、発電した電気の多くをその場で使えます。
余った電気をどうするかも決めておきます。売電するなら前述した調達価格が適用され、蓄電池を併設して夜間に回すなら設備費が増えます。どちらが有利かは、自社が買っている電気の単価と、蓄電池の見積額で決まります。一般論ではなく、自社の請求書と実際の見積書で計算する必要があります。
利回りや回収年数を業者の提示だけで判断しないことも大切です。前提となる発電量、電気の購入単価、稼働率がすべて仮定の上に乗っているためです。前提を1つずつ自社の実績値に置き換えて計算し直すと、提示された数字とずれることがあります。
4. 中小企業経営強化税制の中身と期限
法人にとって、設備投資の判断を左右するのが税制です。中小企業庁が公開している中小企業経営強化税制の説明には、適用期限と内容が明記されています。
適用期限は2026年度末(2027年3月31日)までです。中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき、対象設備の取得や製作等をした場合に、即時償却または取得価額の10パーセントの税額控除(資本金の額等が3,000万円超の法人は7パーセント)が選択適用できる制度です。
適用を受けるには、生産性向上設備(A類型)、収益力強化設備(B類型)、経営資源集約化設備(D類型)、経営規模拡大設備(E類型)のいずれかを導入して実施する経営力向上計画の認定を受ける必要があります。さらに、工業会等による証明書または経済産業大臣による確認書は設備の取得前に申請する必要があり、計画申請前に取得しておく必要があるとされています。
段取りとして押さえるべきは、この順序です。証明書または確認書を取り、経営力向上計画の認定を受け、そのうえで設備を取得する。先に設備を買ってしまうと、後から計画を出しても適用できません。2027年3月31日までに設備の取得と事業供用を終える必要があるため、逆算すると計画の申請はそれよりかなり前に着手しなければなりません。
即時償却と税額控除のどちらを選ぶかは、利益の出方で変わります。即時償却は初年度に全額を損金にできますが、翌年以降の減価償却費がなくなるため、税額の合計が減るわけではありません。利益が一時的に大きく出た年度に、納税の時期を後ろへずらす効果があるという性質です。税額控除は、支払う法人税から直接差し引く形なので、税額の合計そのものが減ります。長期的な税負担を軽くしたい場合は、税額控除のほうが素直です。
太陽光発電設備が対象になるかどうかは、事業の内容と設備の使い方によって判断が分かれます。指定事業の範囲や設備の要件は制度上細かく定められているため、導入を前提に動く前に、中小企業庁が公開している手引きと、所轄の経済産業局または税理士に確認するのが確実です。特に、発電した電気を売ることが主目的の構成では、扱いが変わる可能性があります。
5. 経営力向上計画の手続きを工程に落とす
税制優遇を使う前提で動くなら、手続きの工程を月単位で引く必要があります。順序を取り違えると適用できなくなるため、ここは自社で管理します。
第一段は、導入する設備を決めて、該当する類型を選ぶことです。中小企業庁の説明では、生産性向上設備(A類型)、収益力強化設備(B類型)、経営資源集約化設備(D類型)、経営規模拡大設備(E類型)の4類型が示されています。A類型は工業会等による証明書、B類型とD類型とE類型は経済産業大臣による確認書を必要とする構成です。
第二段は、証明書または確認書を取ることです。中小企業庁は、これらを設備の取得前に申請する必要があり、かつ計画申請前に取得する必要があると明記しています。ここが最初の関門で、書類の準備と発行までの期間を読み違えると、後続がすべてずれます。
第三段は、経営力向上計画を作って認定を受けることです。中小企業庁は、経営力向上計画を、人材育成やコスト管理等のマネジメントの向上や設備投資など自社の経営力を向上するために実施する計画と説明しており、認定された事業者は税制や金融の支援等を受けることができるとしています。計画策定の手引きと、税制措置や金融支援の活用の手引きが公開されています。
第四段は、設備を取得して事業に使い始めることです。適用期限は2026年度末(2027年3月31日)までなので、この段が期限内に完了する必要があります。系統連系の待ち時間や工事の工期を含めると、前段の着手時期は自動的に決まります。
注意点として、中小企業庁は、特定生産性向上設備等投資促進税制の適用を受ける場合、確認を受けた投資計画の期間中は本措置の適用を受けることはできないと注記しています。他の設備投資減税と併用を考えている場合は、どちらを使うかを先に決めます。
6. FIT制度とFIP制度の違いを押さえる
価格表には「調達価格/基準価格」という併記があり、注記では「FIT制度であれば調達期間、FIP制度であれば交付期間」と説明されています。この2つは別の仕組みです。
FIT制度は、定められた調達価格で一定期間買い取られる仕組みです。収入の見通しが立ちやすく、金融機関からの評価も得やすい性質があります。
FIP制度は、市場で売った収入に加えて、基準価格をもとにしたプレミアムが交付される仕組みです。市場価格の動きに収入が連動するため、見通しは立てにくくなりますが、需要が高い時間帯に多く売る工夫が収益に反映されます。
価格表の注記では、2026年度以前に既に認定を受けた案件および2026年度の落札案件のFIP制度への移行は認めるとされています。地上設置の新規認定が2027年度から閉じる一方で、既存案件の制度移行の道は残っている構造です。既存の発電所を持っている法人にとっては、この移行の可否が検討事項になります。
もう1つ、注記に含まれる発電側課金の扱いも確認しておきます。2024年度以降の調達価格と基準価格のうち同年度以降に新規認定を取得した案件については、最大受電電力が10kW以上の場合に当該価格に発電側課金相当額を加えた額とする、と記載されています。収入の計算では、この加算を反映させたうえで、実際の課金額を差し引く形になります。
7. 中古の発電所を買う選択肢はどう変わるか
既に認定を受けて稼働している発電所を買い取る形は、2027年度以降も残ります。新規認定が閉じるのは新しく認定を取る道であり、既存案件の売買が禁じられるわけではありません。
この形では、収入の前提が明確です。既に決まっている調達価格と、残りの調達期間が分かっているため、収支の見通しが立てやすくなります。一方で、確かめるべき点は新設より多くなります。
過去の発電実績。想定値ではなく、実際の発電量の記録を年単位で確認します。数年分の月別データがあれば、季節変動と経年の低下が読めます。
設備の状態と交換履歴。パワーコンディショナーの交換が済んでいるか、パネルに不具合がないかを、点検記録で確認します。
認定の内容と変更手続き。資源エネルギー庁は、変更認定申請や変更届出、変更内容ごとの変更手続の整理表を公開しています。事業者が変わる場合の手続きを、取得前に確認しておきます。
残存期間と撤去費用。調達期間の残りが短い案件は、期間満了後の扱いを決めてから買います。撤去と処分の費用が、買値に加わる実質的な負担になります。
土地の権利関係。所有か賃借か、賃借なら残存期間と更新条件を確認します。
なお、中古の設備は税制上の扱いが新規取得と異なる場合があります。即時償却や税額控除の対象になるかは、制度の要件に照らして個別に判断が必要です。前提として使う前に、手引きと専門家に確認します。
8. 蓄電池を併設する判断
発電するのは日中だけなので、夜間も電気を使う事業では蓄電池の併設が検討対象になります。ただし、設備費が上がるため、判断は数字で行います。
計算に必要なのは3つです。日中に発電して使い切れずに余る量。夜間に買っている電気の量とその単価。蓄電池の見積額と想定される寿命です。
余剰分を蓄電池に回して夜間に使えば、その分の購入電気が減ります。減る金額の年間合計を、蓄電池の費用で割れば、何年で回収できるかが出ます。この年数が蓄電池の寿命より短ければ、併設に意味があります。長ければ、余剰分は売電に回すほうが合理的です。
もう1つの用途が、停電時の電源確保です。資源エネルギー庁は、災害時等の注意と自立運転機能について情報を公開しています。事業の継続に電気が不可欠な業種では、削減額では測れない価値がここにあります。ただしこれは投資回収の話ではなく、事業継続の備えとして別枠で判断する項目です。
9. 屋根設置で確かめる技術的な前提
屋根に載せる場合、価格や税制より先に確かめるべき物理的な条件があります。ここを飛ばすと、契約後に計画が崩れます。
屋根の構造と耐荷重。パネルと架台の重量を屋根が支えられるかは、建築時の図面と構造計算で判断します。図面が残っていない古い建物では、調査そのものに費用と時間がかかります。
防水層の残存年数。屋根の防水を更新する時期にパネルが載っていると、撤去と再設置の費用が発生します。防水更新の予定が近いなら、先に更新してから載せる順序が安くなります。
屋根の方位と傾斜、影。真南に近く、影がかからない面が広いほど発電量が伸びます。隣接する建物や設備、樹木の影は季節で動くため、年間を通した検討が必要です。
受変電設備の容量。発電した電気を自社で使うには、既設のキュービクルや分電盤の容量に収まる必要があります。容量が足りなければ設備更新が付随し、その費用も投資額に含まれます。
系統連系の可否と時期。電力会社への申込みから連系までの期間は地域と時期で変わります。税制の期限に合わせる場合は、この待ち時間を工程に入れておきます。
賃借物件かどうか。自社所有でない建物の屋根に載せる場合、所有者の承諾と、契約終了時の撤去条件を先に取り決めます。
10. 初期費用を持たない形も選べる
設備を自社で保有せず、事業者が屋根を借りて設置し、発電した電気を購入する契約の形もあります。初期投資を抑えられる一方で、電気の購入単価は契約で決まり、設備の減価償却も税制優遇も自社には及びません。
比べるときの軸は3つです。初期投資を出せるか。設備の維持管理を自社で担えるか。税制優遇を使える利益が出ているか。3つすべてが揃うなら自社保有が有利で、いずれかが欠けるなら第三者所有の形が現実的になります。
特に、税制優遇を使える利益が出ていない法人にとって、即時償却や税額控除は意味を持ちません。赤字の年度に設備を買って即時償却しても、減らす税金がありません。この場合は、初期投資を抑えて電気代の削減だけを取りに行く形が合理的です。
契約期間の長さも確認します。10年から20年の長期契約になることが多く、期間中に建物を売却したり事業を移転したりする予定があると、違約の扱いが問題になります。契約書の中途解約条項と、期間満了後の設備の扱い(譲渡か撤去か)を、締結前に文面で確かめます。
11. 導入後に発生する費用を見積りに入れる
投資判断で漏れやすいのが、稼働後にかかる費用です。収入から差し引く前提で組み込みます。
定期点検と清掃。パネルとパワーコンディショナーは経年で性能が落ち、故障もします。点検の頻度と単価を、契約前に見積書で確認します。
パワーコンディショナーの交換。パネルより先に交換時期が来るのが通例です。20年間の計画であれば、期間中に1回の交換費用を織り込みます。
保険料。自然災害による損害と、第三者への賠償を対象とした保険があります。補償の範囲と免責の条件を読み、どこまでが自己負担になるかを確かめます。
固定資産税と償却資産の申告。設備は償却資産として課税対象になります。取得後の申告手続きも発生します。
撤去と処分の費用。期間満了後にどうするかを決めていないと、簿価がゼロになったあとに撤去費用だけが残ります。
これらを20年分積み上げると、当初の投資額に対して無視できない金額になります。業者から示される収支表にこの項目が入っていない場合は、自社で足して計算し直します。
12. 収入が計画どおりに入らない要因
発電量があっても、売電収入が想定に届かないことがあります。原因は設備の不調だけではありません。
1つは出力制御です。電力の需給バランスを保つために発電を止める仕組みで、資源エネルギー庁は出力制御について情報を公開しています。地域と時期によって発生する頻度が異なるため、売電を前提にした計画では、この影響を織り込んでおく必要があります。自家消費が中心の構成であれば、影響は小さくなります。
もう1つは自然災害です。台風や雹、落雷による損害は、稼働そのものを止めます。資源エネルギー庁は、保険加入の努力義務化について案内を掲載しています。加入の有無だけでなく、補償の範囲と免責の条件、発電が止まった期間の収入をどこまで補うかを、契約前に確認します。
3つ目は設置場所の規制です。自治体の条例によって設置に制限が課されている地域があります。事前の土地と建物の調査、自治体への確認を怠ると、設置後に是正を求められる可能性があります。資源エネルギー庁は、再生可能エネルギー事業の不適切案件に関する情報提供フォームも設けており、事業の適切性そのものが監視の対象になっていることが分かります。
4つ目は説明会と事前周知の手続きです。資源エネルギー庁は、説明会及び事前周知措置について案内を掲載しています。地域との関係を整えないまま進めると、工程が止まります。工事の着手日だけを見て計画を引くと、この手続きの期間が抜けます。
13. 制度の一次情報で確認する
売電単価や買取期間などのFITやFIP制度の詳細、節税制度の適用要件は年度ごとに見直されます。導入判断の前に、必ず以下の所管官庁が公表する最新の一次情報を確認してください。
- 資源エネルギー庁「固定価格買取制度(FIT制度・FIP制度)」 … 再エネの買取価格、買取期間、制度の最新動向
- 中小企業庁「中小企業経営強化税制」 … 即時償却と税額控除の適用要件、経営力向上計画の手続き
判断の順序をまとめると、次のようになります。まず、自社が新規で認定を取れる区分に該当するかを価格表と注記で確かめます。次に、自家消費に回せる量を自社の電力使用実績から見積もります。続いて、電気の購入単価と比べて削減額を計算します。そのうえで、中小企業経営強化税制の期限と手続きの順序に自社の工程が収まるかを確認します。最後に、稼働後の費用を20年分積み上げて、収支を組み直します。
この5段を踏まないまま「利回り何パーセント」という数字だけで判断すると、前提が崩れたときに立て直せません。前提を自社の数字に置き換える作業が、投資判断の中身そのものです。
14. 制度と税の判断を社内で持つ意味
設備投資の判断は、外部の業者と税理士に任せきりにすると、前提の妥当性を検証できなくなります。数字の組み立てを自社で追えるようにしておくと、提示された収支表のどこが仮定なのかが見えます。
具体的には、業者の収支表を受け取ったら、次の3つを自社の数字に置き換えます。年間発電量の想定値を、同じ地域の実績が分かる資料と照らします。電気の購入単価を、直近12か月の請求書の実額から出します。稼働後の費用を、点検契約とパワーコンディショナー交換と保険料と撤去費用まで積み上げます。この3つを置き換えた後の数字が、投資判断に使える唯一の収支表です。
置き換えた結果、回収年数が当初の提示より伸びることは珍しくありません。それでも判断が変わらないなら、その投資は前提の揺れに耐える設計になっています。逆に、置き換えた途端に回収できなくなるなら、それは提示された前提が楽観的だったということです。数字を疑うのではなく、前提を自社のものに差し替える。この一手間が、20年続く設備を持つかどうかの分かれ目になります。
制度と税の知識を持つ人材の確保も、この文脈で意味を持ちます。職種ごとの報酬水準は職種別の年収データで確認できます。財務や税務を担う人材の相場を把握する材料になります。実務の進め方は財務・法務の仕事ガイドにまとまっており、外部に委託する場合の業務範囲を決める参考になります。社内で判断できる体制を作りたい場合は、中小企業診断士のように、経営計画と設備投資の判断を体系的に扱う資格が実務に直結します。
2026年の太陽光は、売電で稼ぐ投資から、自社の電気代を削る設備投資へ性質が変わりつつあります。地上設置の新規認定が2027年度から閉じ、中小企業経営強化税制の適用期限が2027年3月31日である以上、判断を先送りできる余地は狭まっています。数字を自社のものに置き換えて、期限から逆算した工程を引くことが、2026年に取れる最も確実な対応です。
よくある質問
Q. 2026年に再エネ導入を始める最大のチャンスは何ですか?
「カーボンプライシング(炭素税)」の本格導入が目前に迫っている点です。CO2を排出すること自体にコストがかかる時代において、今のうちに再エネ100%の体制を整えておくことは、将来の増税に対する最強の防衛策となります。
Q. PPA(初期費用0円)と自社購入、どちらがお得ですか?
長期的な利益(トータルの電気代削減額)を優先するなら、補助金を使った「自社購入」が圧倒的に有利です。一方で、初期投資を一切出したくない、あるいはメンテナンスを丸投げしたい場合は「PPA」が適しています。2026年は、この両方を組み合わせた「屋根貸し+一部購入」というハイブリッドモデルも登場しています。
Q. 2026年度、最もお勧めの「減税活用設備」は何ですか?
「AI搭載の自動検査装置」です。人手不足対策として補助金が通りやすく、かつ経営力向上計画の認定も受けやすいため、即時償却の恩恵を最大化できる投資だからです。
Q. 赤字の年でもメリットはありますか?
税額控除は「払うべき税金」から引くため、赤字の場合はメリットを即座には享受できません。ただし、特別償却(即時償却)によって赤字をさらに大きくし、それを翌年以降の黒字と相殺(繰越欠損金)することで、将来の税金を安くする戦略は有効です。
Q. パネルの寿命や廃棄費用はどう考えればいいですか?
現在のパネルは25年〜30年以上の耐久性があります。また、2026年現在は、将来の廃棄に備えた「廃棄費用積み立て」が制度上義務化(または推奨)されており、その積立金を含めても十分な利益が出るシミュレーションを行うことが一般的です。
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この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
永井 海斗@SOHO編集部
ノマドワーカー・オフィス環境ライター
全国100箇所以上のコワーキングスペース・レンタルオフィスを体験した国内ノマドワーカー。フリーランスの働く場所をテーマに、オフィス環境・多拠点生活系の記事を執筆しています。
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