フリーランス iDeCo 国民年金基金 どっち 2026|在宅の老後資金の選び方

丸山 桃子
丸山 桃子
フリーランス iDeCo 国民年金基金 どっち 2026|在宅の老後資金の選び方

この記事のポイント

  • フリーランスのiDeCoと国民年金基金はどっちがいいか2026年最新版で比較
  • 第1号被保険者の掛金上限6万8000円の使い方
  • 併用の最適配分まで在宅ワーカー目線で解説します

会社員から独立して在宅で仕事をするようになると、誰も教えてくれないのに突然向き合わされるのが「老後資金」の問題です。フリーランスの私のところにも、同じようにアパレルやEC運営で独立した知人から「iDeCoと国民年金基金って、結局どっちがいいの?」という質問が驚くほど多く寄せられます。結論から言うと、どちらか一方を選ぶというより「自分の収入の安定度と、リスクの取り方」で配分を決めるのが正解です。この記事では、フリーランスがiDeCoと国民年金基金のどっちを選ぶべきか、2026年時点の制度と数字をもとに、在宅ワーカーの実情に寄せて整理していきます。

会社員時代は厚生年金という分厚い土台に守られていたのが、独立した瞬間にその土台がごっそり抜けます。だからこそフリーランスは「自分で老後の二階部分を作る」必要があり、その選択肢の代表格がiDeCoと国民年金基金です。両方とも国が用意した私的年金の枠組みで、節税という点では似ていますが、性質はかなり違います。最後まで読めば、自分のケースでどちらにどれだけ掛けるべきかが具体的にイメージできるはずです。

フリーランスの年金が「2階建てで終わる」という現実

まず大前提として、日本の年金制度は「3階建て」とよく言われます。1階が国民年金(基礎年金)、2階が厚生年金、3階が企業年金や私的年金です。会社員はこの1階と2階が自動的に積み上がっていきますが、フリーランス(国民年金の第1号被保険者)は1階の国民年金しかありません。つまり、2階部分が丸ごと空いている状態でスタートするわけです。

この差は受け取る年金額に直結します。2026年度の国民年金(老齢基礎年金)の満額は、40年間きっちり納めても月額でおよそ6万9000円前後にとどまります。年額にすると約83万円です。一方、会社員が受け取る厚生年金は人によって幅がありますが、平均的なモデルでは老齢厚生年金を含めて月14万〜15万円ほどになるケースが多く、フリーランスとの差は歴然です。在宅で月に20万円、30万円と稼げていても、その所得が将来の年金に反映されにくいのがフリーランスの構造的な弱点なのです。

ファッション業界でフリーランスをしていると、20代・30代のうちは「目の前の案件」と「来月の入金」で頭がいっぱいになりがちです。私自身、独立した当初は確定申告と請求書の管理に追われ、年金のことなど後回しにしていました。けれど、在宅ワークは定年がない代わりに退職金もボーナスもありません。50代・60代になって体力的にフルで稼働できなくなったとき、月6万9000円の基礎年金だけで暮らせるかと問われると、正直かなり厳しいと感じます。だからこそ、空いている2階部分を自力で埋める手段として、iDeCoと国民年金基金を真剣に検討する価値があるのです。

老後資金の準備は、始めるのが早いほど複利や掛金の積み上げで有利になります。後回しにするほど毎月の負担が重くなるという点で、20代・30代の在宅ワーカーこそ早めに向き合っておきたいテーマです。フリーランスの働き方そのものを長く続けるための土台づくりだと考えると、優先順位は決して低くありません。

iDeCoと国民年金基金の基本をおさらいする

「どっち」を判断する前に、それぞれが何者なのかを正確に押さえておく必要があります。名前は似ていますが、設計思想がまったく違う制度だからです。ここを曖昧にしたまま比較しても、自分に合う選択はできません。在宅ワーカー向けに、できるだけ実務的な言葉で整理します。

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは何か

iDeCoは、自分で掛金を出して、自分で運用商品を選び、その運用成果しだいで将来受け取る額が変わる「自己責任型」の私的年金です。確定拠出年金という名前のとおり、確定しているのは「拠出する(払う)金額」であって、受け取る額は運用次第で増えも減りもします。投資信託や定期預金などのラインナップから自分で組み合わせを決めるため、株式の比率を高めればリターンも振れ幅も大きくなります。

引用候補からiDeCoの基本を引いておきます。

iDeCoは、自分で掛金を拠出し、自分で運用商品を決めて将来の年金資産を形成する私的年金制度です。加入している年金(国民年金・厚生年金・第3号被保険者)の種類によって掛金の限度額が設定されています。自営業者やフリーランスなど第1号被保険者の掛金の上限は6万8000円です。国民年金基金と併用することができ、その場合は国民年金基金とiDeCoの掛金の合計額で6万8000円が上限となります。

フリーランス(第1号被保険者)のiDeCo掛金上限は月額6万8000円、年額にして81万6000円です。会社員の上限が月2万3000円程度であることを考えると、フリーランスは枠が圧倒的に大きいのが特徴です。これは「2階部分がない分、自分で厚く積みなさい」という制度設計の裏返しでもあります。掛金は60歳まで原則引き出せませんが、その縛りがあるからこそ強制的に老後資金を貯められるとも言えます。詳しい始め方や上限の考え方はフリーランスのiDeCo完全ガイド|掛金上限・節税効果・始め方で具体的な手順を確認しておくと、口座開設でつまずきにくくなります。

国民年金基金とは何か

一方の国民年金基金は、第1号被保険者(フリーランス・自営業者など)だけが加入できる、いわば「フリーランス専用の2階部分」です。最大の特徴は、原則として「確定給付型」、つまり加入時点で将来受け取る年金額がほぼ確定していることです。何口加入するか、何歳から受け取るかを決めると、もらえる額が約束されます。運用の良し悪しに振り回されないため、将来設計が立てやすいのが強みです。

国民年金基金には「終身年金(A型・B型)」と「確定年金(I〜V型)」があり、1口目は必ず終身年金から選ぶ仕組みになっています。終身年金は、生きている限りずっと受け取り続けられる年金です。長生きすればするほど得をする設計で、「長生きリスク」への備えとしては非常に強力です。掛金は年齢・性別・加入口数で決まり、加入時の年齢が若いほど同じ給付に対する掛金が安くなります。なお国民年金基金とiDeCoの掛金は合算で月額6万8000円の枠を共有するため、両方やる場合は配分を考える必要があります。

「確定拠出」と「確定給付」という根本的な違い

ここが最大の分かれ目です。iDeCoは「いくらもらえるかは運用次第」、国民年金基金は「いくらもらえるかが先に決まっている」。この一点が、両者の性格を決定的に分けています。iDeCoは市場が好調なら基金より大きく増やせる可能性がある一方、暴落のタイミングで受け取ると目減りするリスクがあります。国民年金基金は増えはしない代わりに、約束された額が読めるので家計の見通しが立てやすい。

ファッションECの世界でたとえるなら、iDeCoは「自社ブランドで在庫を抱えて勝負する」スタイル、国民年金基金は「受託で確実にフィーをもらう」スタイルに近いと感じます。前者は当たれば大きいがリスクも自分持ち、後者は爆発力はないが計算が立つ。どちらが優れているという話ではなく、自分の収入の安定度や性格に合うほうを土台に据えるべきだ、というのが現場での実感です。

iDeCoと国民年金基金を7つのポイントで比較する

「どっち」の判断は、感覚ではなく要素ごとの比較で決めるべきです。ここではフリーランスが特に重視すべき観点を、ポイントごとに具体的な数字とともに整理します。それぞれの項目で自分がどちらを重視するかをチェックしていくと、自然と配分のイメージが見えてきます。

受け取る額が「確定」か「変動」か

国民年金基金は加入時に将来の受取額が確定する確定給付型です。何歳からいくら受け取れるかが先に分かるため、ライフプランを数字で組み立てられます。対してiDeCoは確定拠出型で、運用成績によって最終的な資産額が変わります。たとえば年利3%で運用できれば30年間で元本を大きく上回る可能性がありますが、受け取り直前に相場が崩れると含み損のまま取り崩すことになりかねません。「将来の安心感」を最優先するなら国民年金基金、「増やす可能性」を取りに行くならiDeCoという整理になります。

インフレに強いか弱いか

ここは見落とされがちですが重要なポイントです。国民年金基金は受取額が原則固定のため、将来インフレが進むと実質的な価値が目減りします。2026年に「月3万円もらえる」と約束されても、30年後に物価が大きく上がっていれば、その3万円の購買力は下がります。一方、iDeCoで株式中心に運用していれば、長期的には物価上昇に連動して資産が増える可能性があり、インフレへの耐性は相対的に高いと言えます。近年の物価上昇基調を踏まえると、この「インフレ耐性」を理由にiDeCoの比率を高める考え方には合理性があります。

節税効果(所得控除)はどう違うか

実は、掛金が全額所得控除になる点はiDeCoも国民年金基金もほぼ同じです。どちらも「小規模企業共済等掛金控除」または「社会保険料控除」として、支払った掛金が全額その年の所得から差し引かれます。たとえば課税所得が330万円超のフリーランスが年間60万円を拠出すれば、所得税・住民税合わせておおむね12万〜18万円程度の節税につながるケースもあります(税率は所得により変動)。節税という入口の効果は両者でほぼ互角なので、ここだけで「どっち」を決めることはできません。違いは「出口(受け取り時)」と「途中の柔軟性」に表れます。節税という観点では、iDeCoや小規模企業共済、NISAをどう組み合わせるかが鍵になります。配分の考え方はフリーランスの節税3種の神器|小規模企業共済・iDeCo・NISAの最適配分2026で体系的に整理されているので、節税全体の設計図を先に持っておくと判断がぶれません。

手数料・運用コストの差

iDeCoには口座管理手数料がかかります。加入時に2829円、毎月の手数料が最低でも171円程度(国民年金基金連合会・事務委託先金融機関分)、これに金融機関ごとの運営管理手数料が上乗せされる場合があります。手数料無料の金融機関を選べば負担は最小化できますが、ゼロにはなりません。さらに投資信託を選ぶと信託報酬という運用コストもかかります。一方、国民年金基金には基本的に加入者が別途負担する口座管理手数料はありません。長期で見るとこのコスト差は無視できないので、iDeCoを使うなら手数料の安い金融機関を選ぶことが大前提になります。

掛金変更・中断のしやすさ

フリーランスは収入の波が大きい仕事です。ここはiDeCoに分があります。iDeCoは掛金額を年1回変更でき、収入が厳しい時期は「掛金の停止(拠出休止)」も可能です。一度休止しても、余裕ができたら再開できます。国民年金基金も口数の増減や減口はできますが、いったん加入した1口目(終身年金)は原則やめられず、任意脱退も基本的にできません。収入が読みにくい在宅ワーカーにとって、この柔軟性の差は意外と効いてきます。安定収入が見込みにくいうちは、固定費的な負担になる基金の口数を増やしすぎないほうが安全です。

長生きリスクへの備え(終身年金)

国民年金基金の1口目は終身年金なので、何歳まで生きても受け取り続けられます。「思ったより長生きして資産が尽きる」という長生きリスクに対して、これは強力な保険になります。iDeCoは積み立てた資産を取り崩していく仕組みなので、想定より長生きすると残高が枯渇する可能性があります(年金形式での受け取りも可能ですが、原資は有限です)。公的年金と同じ「終身でもらえる安心」が欲しいなら、国民年金基金の終身部分を一定確保しておく意味は大きいです。

万一のときの遺族保障

国民年金基金には、加入者が年金受給前や保証期間中に亡くなった場合に遺族へ一時金が支払われる「遺族一時金」の仕組みがあります(型によって有無や金額が異なります)。iDeCoも本人が死亡した場合、積み立てた資産は「死亡一時金」として遺族に支払われます。ここは制度の趣旨が違うため単純比較しづらいですが、どちらも「掛け捨てで全部消える」わけではない点は安心材料です。家族構成によっては、保障の手厚さも判断材料になります。

フリーランスはiDeCoと国民年金基金、結局どっちがいい?

ここまでの比較を踏まえて、タイプ別にどちらを軸にすべきかを整理します。大事なのは「正解は人によって違う」という前提です。収入の安定度・リスク許容度・性格によって最適解が変わるので、自分がどのタイプに近いかで判断してください。

iDeCoを軸にすべきフリーランス

iDeCoが向いているのは、ある程度自分で運用判断ができ、リスクを取って資産を増やしたい人です。具体的には、20代・30代で運用期間を長く取れる人、株式投資や投資信託にアレルギーがない人、収入の波が大きく掛金を柔軟に変えたい人が当てはまります。運用期間が長ければ長いほど、複利と積立による増加が期待でき、途中の暴落も時間をかけて取り戻せる可能性が高まります。

在宅ワークを始めたばかりで収入が安定していないなら、まずiDeCoを少額から始め、収入が伸びてきたら掛金を増やすという段階的な進め方が現実的です。掛金を止められる柔軟性が、収入の読みにくいフリーランスのセーフティネットになります。「自分で運用するのは怖い」という人でも、iDeCoの中で元本確保型の定期預金を選べば、少なくとも節税メリットだけは確実に取れます。

国民年金基金を軸にすべきフリーランス

国民年金基金が向いているのは、運用に時間も気力も割きたくない人、相場の上下に一喜一憂したくない人、そして「将来いくらもらえるか」を確実に知っておきたい人です。受取額が確定しているので、老後の家計シミュレーションが圧倒的に立てやすくなります。投資判断を一切したくない、ほったらかしで老後の土台を作りたいという人には、国民年金基金の終身年金が安心材料になります。

引用候補には、迷ったときの判断軸として次のような記述があります。

自営業者やフリーランスの人は、国民年金基金とiDeCoの併用が可能です。両方の制度に加入する場合は、掛金が倍になるのではなく、両方合わせて月額6万8000円(年額81万6000円)が上限になりますので注意しましょう。

確実性を重視するなら、終身年金という「死ぬまでもらえる」設計は他の制度では得がたい価値です。特に長寿家系の人や、退職という概念がない在宅ワーカーにとって、終身でもらえる安心感は計算以上の意味を持ちます。

どちらにも当てはまる「併用」という最適解

実は、フリーランスの多くにとって最も合理的なのは「どっちか一方」ではなく「併用」です。国民年金基金で終身年金の土台を確保しつつ、iDeCoで増やす部分を担わせる。こうすれば「確定した安心」と「増やす可能性」の両取りができます。前述の上限ルール(合算で月6万8000円)の範囲で、自分のリスク許容度に応じて配分すればよいのです。併用の考え方や、付加年金まで含めた比較は付加年金vs国民年金基金vsiDeCo|フリーランスの年金戦略を完全比較で網羅的に解説されているので、3制度を横断して検討したい人はあわせて読むと判断材料が揃います。

iDeCoと国民年金基金は併用できる|掛金上限と配分の考え方

併用が可能だと分かったところで、具体的な配分の決め方を見ていきます。ここを間違えると「上限オーバーで掛けられない」「柔軟性がなくなる」といった失敗につながるので、数字でしっかり押さえておきましょう。

合算で月6万8000円という上限ルール

最も重要なルールが、iDeCoと国民年金基金は別々ではなく「合算」で月額6万8000円が上限という点です。たとえば国民年金基金に月4万円掛けているなら、iDeCoに掛けられるのは残り2万8000円までです。さらにiDeCoの掛金は1000円単位という制約もあるため、端数の調整が必要になります。「両方やれば枠が倍になる」と誤解している人が時々いますが、そうではありません。限られた6万8000円の枠を、どう振り分けるかという発想が正しい考え方です。

国民年金基金の全国組織でも、両制度の併用について次のように案内されています。

国民年金基金とiDeCoは 併用できる! 個人事業主は、国民年金基金とiDeCoの両方に加入できます 掛金の合計が68,000円を超えない範囲で併用できます 例) 40歳0月女性の掛金額:【国民年金基金[1口目A型]】14,760円+【iDeCo】5,000円=19,760円 どちらに加入すべきか迷っているのであれば、併用するのも選択肢のひとつです。確実性を重視するのであれば国民年金基金への拠出を多くするのがおすすめです。

付加年金との関係に注意

意外な落とし穴が「付加年金」との関係です。付加年金は月400円を追加で納めると将来の年金が増えるお得な制度ですが、国民年金基金に加入すると付加年金には同時加入できません(国民年金基金の1口目に付加年金相当が含まれているため)。一方、iDeCoだけなら付加年金と併用できます。「iDeCo+付加年金」という組み合わせも、コストパフォーマンスを重視する人には有力な選択肢です。細かい話ですが、トータルの設計を考えるうえで知っておくと損をしません。

収入の安定度から配分を決める

実務的なおすすめの配分の決め方は、「収入の安定度」を基準にすることです。受託案件が多く毎月の収入が読める人は、国民年金基金の終身部分を厚めにしても無理が生じにくい。逆に、スポット案件中心で月の収入の振れ幅が大きい人は、止められないお金(基金)を増やしすぎると、収入が落ちた月に資金繰りを圧迫します。そういう人はiDeCo中心にして、いつでも掛金を止められる体制にしておくほうが安全です。

私の周りの在宅ワーカーを見ていても、独立初期は収入が不安定なのでiDeCoの少額積立から入り、案件が安定してきた段階で国民年金基金を足していく、という順番で進めている人が多い印象です。最初から固定費を抱え込まないという意味でも、この順番は理にかなっています。なお、こうした老後資金の設計は、フリーランスとしての働き方や収入水準そのものと密接に関わります。在宅ワークでどんな仕事の単価が見込めるかは著述家,記者,編集者の年収・単価相場ソフトウェア作成者の年収・単価相場といった職種別の相場データが参考になり、自分の拠出可能額をリアルに見積もる助けになります。

国民年金基金に「入ってはいけない」と言われる理由を検証する

ネット上では「国民年金基金はやめておけ」という意見も見かけます。これを鵜呑みにするのも、無視するのも危険です。なぜそう言われるのかを冷静に検証しておくと、「どっち」の判断がより確かになります。

インフレ負けのリスク

最もよく指摘されるのが、前述したインフレへの弱さです。国民年金基金は受取額が確定する代わりに、将来物価が上がっても受取額は基本的に増えません。長期の物価上昇局面では、実質的な購買力が目減りする可能性があります。これは事実であり、デメリットとして正しく認識すべきです。ただし「確定している安心」とのトレードオフであり、すべてをインフレリスクで否定するのは行き過ぎです。インフレ対策はiDeCoの株式運用やNISAで別途取る、という役割分担で考えるのが現実的です。

途中でやめられない硬直性

もう一つの指摘が、原則として中途解約できない硬直性です。国民年金基金は任意脱退ができず、加入後は減口はできても完全にやめることは基本的にできません。収入が激減したときに身動きが取りにくいのは確かにデメリットです。だからこそ「無理のない口数で始める」ことが鉄則になります。最初から上限近くまで基金で固めてしまうと、収入が落ちたときに苦しくなります。この点を理解したうえで適切な口数に抑えれば、過度に恐れる必要はありません。

それでも国民年金基金が向いている人

逆に、デメリットを踏まえてもなお国民年金基金が向いているのは、運用に関わりたくない人、終身でもらえる確実性を最重視する人、そして十分に安定した収入基盤がある人です。「自分で投資判断するくらいなら、多少増えなくてもいいから確定した年金がほしい」という価値観の人にとって、終身年金は他に代えがたい選択肢です。デメリットは「役割を限定する」ことで十分にコントロールできます。要は使い方の問題であり、制度そのものが悪いわけではありません。

在宅ワーカーの老後資金は「働き方の戦略」とセットで考える

ここからは、フリーランスの老後資金をマクロな視点で捉え直します。iDeCoか国民年金基金かという制度選択だけに目を奪われると、本質を見失います。在宅ワーカーにとっての老後対策は、制度の選択と「稼ぐ力を長く維持する戦略」の両輪で考えるべきだからです。

「拠出できる金額」は稼ぐ力で決まる

当たり前ですが、iDeCoも国民年金基金も、掛金を払えるだけの収入があって初めて成立します。上限の月6万8000円をフルで拠出できるのは、それだけの所得がある人です。逆に言えば、老後資金を厚くしたいなら、まずは現役時代の収入を安定・向上させることが土台になります。スキルを磨き、単価の高い案件を継続的に受けられる体制を作ることが、結果的に最強の老後対策になるのです。

在宅ワークの求人を扱う業務委託マッチングサービスのデータを横断して見ると、専門スキルを持つ職種ほど単価が安定し、継続案件を獲得しやすい傾向があります。たとえば需要が伸び続けている分野として、AIコンサル・業務活用支援のお仕事AI・マーケティング・セキュリティのお仕事アプリケーション開発のお仕事といった領域は、報酬水準が比較的高く、長期的に拠出可能額を押し上げる原資になりやすい分野です。老後資金の設計と、いま受ける案件の選び方は地続きなのです。

スキルの掛け算で「定年のない強み」を作る

フリーランスの最大の利点は、健康であれば年齢に関係なく働き続けられることです。これは「年金が薄い」という弱点を補う、最も現実的な対策でもあります。65歳・70歳になっても、少額でも仕事の収入があれば、年金の取り崩しペースを緩められます。そのためには、市場価値の落ちにくいスキルを持っておくことが重要です。

私自身、アパレルのEC運営代行という仕事を続けてきて実感するのは、商品撮影のディレクション、商品説明文の作成、SNS運用、在庫管理といった複数のスキルを掛け合わせると、単一スキルの人より代替されにくくなるということです。中小ブランドは「デザインはできるけどECの運営がわからない」という悩みを抱えていることが多く、運営をまとめて引き受けると非常に重宝されます。一つの専門性に頼るのではなく、関連スキルを束ねて「この人に任せれば全部回る」状態を作れると、年齢を重ねても仕事が途切れにくくなります。

老後の資金対策は、結局のところ「現役でいられる期間を延ばす戦略」と切り離せません。資格や専門スキルへの投資も、長期的には拠出余力を生む老後対策になります。たとえば実務に直結する資格としてビジネス文書検定はライティング系の案件で、CCNA(シスコ技術者認定)はインフラ系の案件で、それぞれ単価交渉の材料になり得ます。

制度の組み合わせは「人生のフェーズ」で見直す

最後に強調したいのは、iDeCoと国民年金基金の配分は一度決めたら終わりではない、ということです。20代・30代はiDeCo中心でリスクを取り、収入が安定してきた40代で国民年金基金の終身部分を足し、50代では受け取り方や運用商品のリスクを徐々に下げていく。このようにライフフェーズに合わせて見直すのが理想です。iDeCoは掛金変更や運用商品のスイッチが可能なので、こうした調整がしやすいのも強みです。

「どっちがいいか」を一度きりの二択として悩むより、「いまのフェーズではどちらをどれだけ」という連続的な問いに置き換えると、判断がずっと楽になります。在宅ワークという働き方は変化に富んでいるからこそ、老後資金の設計も柔軟に組み替えられる余地を残しておくことが、結果的に最も賢いリスク管理になるのです。今日できる最初の一歩は、自分の年金記録を日本年金機構で確認し、いま自分が払っている保険料と将来の見込み額を把握することです。現状を数字で知ることが、すべての判断の出発点になります。

公的機関・関連参考情報

本記事の内容に関連する公的機関や信頼できる情報源は以下の通りです。最新情報は公式サイトで確認してください。

よくある質問

Q. iDeCoと国民年金基金、どちらか片方しか選べない?

両方に加入できます。ただし、合計の拠出限度額は月額6万8,000円以内となります。手堅く将来額を確定させたい分を基金に、リスクを取って増やしたい分をiDeCoに、といったバランス配分が可能です。

Q. フリーランスがiDeCoを利用すると、具体的にどの程度の節税効果がありますか?

iDeCoの掛金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得から控除されるため、所得税と住民税を大幅に抑えられます。例えば、課税所得300万円の人が月額6.8万円(年81.6万円)積み立てた場合、年間で約24万円以上の節税効果が期待できます。収入が高いほど控除額が大きくなるため、節税効果は非常に高くなります。ただし、最終的な控除額は個人の所得税率や住民税率により異なるため、事前に正確な所得額を確認することが大切です。

Q. 付加年金と国民年金基金は両方加入できますか?

いいえ、付加年金と国民年金基金は選択制です。どちらか一方しか加入できません。国民年金基金の1口目には付加年金相当の保険料が含まれているため、国民年金基金に加入する場合は付加年金に別途加入する必要はありません。

Q. フリーランスがiDeCoと新NISAを併用する場合、どちらを優先すべきですか?

基本はiDeCoを優先しましょう。フリーランスは国民年金のみで老後資金が不足しがちです。iDeCoは掛金が全額所得控除され、所得税・住民税が大きく節税できるため、所得が高いほどメリットが強まります。節税効果を確保した上で、それでも余剰資金があれば、資金の流動性が高く非課税で運用できる新NISAを併用するのが鉄則です。両制度は「節税」と「流動性」という異なる強みがあるため、自身の収支に合わせてバランスを調整しましょう。

Q. 2026年から年金制度はどう変わりますか?

公的年金の被用者保険(厚生年金)の適用拡大が議論されており、将来的にはフリーランスであっても一定の条件で厚生年金に加入できるようになる可能性があります。常に最新のニュースをチェックしておくことが大切です。

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丸山 桃子

この記事を書いた人

丸山 桃子

アパレルEC運営支援・SNSコンサル

アパレル企業でMD・ECバイヤーとして勤務後、フリーランスに独立。アパレルブランドのEC運営支援・SNS運用を手がけ、ファッション・EC系の記事を執筆しています。

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