下請法の支払サイト|報酬を受け取れる期日と遅れたときの動き方


この記事のポイント
- ✓下請法支払サイトの決まりを条文から整理します
- ✓支払期日は受領日から60日以内でかつできる限り短い期間内
- ✓令和8年1月1日施行の改正で名称が取適法に変わり
納品したのに入金が3か月先だと言われた。請求書を出したら「うちは翌々月末払いです」と返ってきた。そんな場面で「下請法 支払サイト」と検索した方に向けて、条文で確かめた内容だけを並べます。結論を先に書きます。対象になる取引であれば、支払期日は成果物を受け取った日から起算して60日の期間内でなければならず、しかもその範囲内でできる限り短い期間に定める義務があります。60日を超える支払サイトは、それ自体が法律違反です。さらに令和8年1月1日から施行された改正で、この法律は名称が変わり、従業員数による基準が加わり、手形払いが禁止されました。自分の取引が対象かどうかの見分け方から、遅れたときに請求できる遅延利息の計算まで、順番に説明します。
支払サイトという言葉が何を指しているか
まず用語の確認です。支払サイトとは、取引の締め日から実際に代金が支払われる日までの期間のことです。サイトという言葉は英語のsightに由来し、手形取引で使われていた言い回しが商習慣として残ったものです。
具体例で見ます。「月末締め翌月末払い」という条件の場合、4月中に納品した分は4月30日に締められ、5月31日に支払われます。締め日から支払日までは31日です。「月末締め翌々月末払い」なら、4月中の納品分は6月30日の支払いで、締め日から61日になります。「20日締め翌月10日払い」なら、4月20日締めで5月10日支払いなので20日です。
ここで注意したいのが、法律が数えている起点と商習慣の起点が違う点です。商習慣の支払サイトは締め日を起点に数えます。いっぽう法律は、納品した日(給付を受領した日)を起点に数えます。だから「月末締め翌月末払い」でも、月初の1日に納品したものは受領日から支払日まで60日になり、ぎりぎり収まります。月初に納品して「翌々月末払い」だと、受領日から91日になり、大きく超過します。
もう1つの用語も押さえておきます。回収サイトは、売る側から見た「売上が現金になるまでの期間」です。同じ取引を買う側から見れば支払サイト、売る側から見れば回収サイトになります。フリーランスや個人事業主は売る側なので、自分の立場では回収サイトという言い方が正確ですが、契約交渉の場では相手の言い方に合わせて支払サイトで通じます。
60日ルールの正確な読み方
取適法(製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律)の第3条が、支払期日の上限を定めています。
製造委託等代金の支払期日は、委託事業者が中小受託事業者の給付の内容について検査をするかどうかを問わず、委託事業者が中小受託事業者の給付を受領した日(役務提供委託又は特定運送委託の場合にあつては、中小受託事業者からその委託に係る役務の提供を受けた日。以下同じ。)から起算して、六十日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、定められなければならない。 出典: laws.e-gov.go.jp
この条文には、実務で効く要素が3つ入っています。
1つめは「検査をするかどうかを問わず」という一句です。納品物の検収に時間がかかることを理由に支払期日を後ろへずらす言い方は通りません。検収が1か月かかるから支払いは検収後60日、という組み方は認められていません。起点は受領した日であって、検収が終わった日ではありません。
2つめは「起算して六十日の期間内」です。受領日を1日目として数えて60日以内に支払期日が来る必要があります。役務の提供、つまり作業やサービスを提供する形の委託では、役務の提供を受けた日が起点になります。
3つめは「かつ、できる限り短い期間内において」という部分です。ここが見落とされがちです。60日は上限であって目標ではありません。60日以内に収まっていれば何でもよいわけではなく、できる限り短くする義務が別に課されています。60日ぎりぎりに設定しておいて「法律を守っている」と言い切るのは、条文の後半を読んでいない主張です。
支払期日を決めていない場合と60日を超えて決めた場合
条文の第2項が、決め方を間違えた場合の扱いを定めています。ここは金額に直結するので正確に押さえてください。
支払期日を定めなかったときは、委託事業者が給付を受領した日が支払期日と定められたものとみなされます。つまり納品した日が支払期日になります。契約書に支払条件が書かれていない場合、法律上は納品日に支払う義務があるという扱いです。
第3条第1項に違反して支払期日を定めたとき、たとえば受領日から90日後に設定したときは、給付を受領した日から起算して60日を経過した日の前日が支払期日と定められたものとみなされます。契約書に90日と書いてあっても、法律上の支払期日は60日目です。そして60日目を過ぎれば、遅延利息が発生し始めます。
この仕組みが意味するのは、契約書の記載が法律を上書きできないということです。「双方が合意したのだから90日払いでよい」という主張は成り立ちません。取適法は取引の力の差を前提にした法律なので、合意があったかどうかを問いません。
第5条第1項第2号は、支払期日を過ぎてもなお支払わないことを禁止行為として並べています。この条文には、次のかっこ書きが付いています。当該代金の支払について、手形を交付すること、および金銭と手形以外の支払手段であって支払期日までに代金額に相当する金銭と引き換えることが困難であるものを使用することを含む、という内容です。つまり手形で支払うこと自体が、支払わないことと同じ扱いになりました。
自分の取引が対象になるかを2つの基準で確かめる
取適法は、すべての取引に適用されるわけではありません。発注者と受注者の規模の組み合わせで決まります。第2条第8項と第9項が定めており、改正で従業員数の基準が加わったため2つの基準を両方見る必要があります。
まず資本金の基準です。物品の製造委託、修理委託、特定運送委託、および政令で定める情報成果物と役務の委託については、資本金3億円超の法人が、個人または資本金3億円以下の法人に委託する場合が対象です。資本金1,000万円超3億円以下の法人が、個人または資本金1,000万円以下の法人に委託する場合も対象になります。
それ以外の情報成果物作成委託と役務提供委託については、資本金5,000万円超の法人が、個人または資本金5,000万円以下の法人に委託する場合が対象です。資本金1,000万円超5,000万円以下の法人が、個人または資本金1,000万円以下の法人に委託する場合も対象です。Webサイトの制作、プログラムの開発、デザイン、映像の制作、原稿の執筆といった仕事は、この情報成果物作成委託に当たります。
次に従業員数の基準です。常時使用する従業員の数が300人を超える法人が、300人以下の個人または法人に製造委託等をする場合が対象になります。情報成果物作成委託と役務提供委託については、常時使用する従業員が100人を超える法人が、100人以下の相手に委託する場合が対象です。
この従業員数の基準が入ったことで、対象が広がりました。資本金1,000万円のまま従業員が200人いる会社は、これまで資本金の基準では対象外でしたが、情報成果物作成委託については従業員数の基準で対象になります。近年は資本金を増やさずに人を採用する会社が増えているため、この改正の実務的な影響は大きいと見ています。
自分の取引が対象かを調べるには、相手の会社の資本金と従業員数を確認します。どちらも登記や会社概要のページ、有価証券報告書で公開されていることが多く、会社概要に載っていない場合は帝国データバンクなどの企業情報でも確認できます。
令和8年1月からの改正で変わった点を並べる
令和7年法律第41号による改正が令和8年1月1日から施行されました。変わった点を整理します。
第一に、法律の名称です。「下請代金支払遅延等防止法」から「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」になりました。公正取引委員会はこれを取適法と呼んでいます。中小受託取引適正化法という呼び方も使われます。用語も変わり、親事業者は委託事業者、下請事業者は中小受託事業者、下請代金は製造委託等代金になりました。契約書や社内の書式に「下請」という語が残っている場合、用語の整理が必要です。
第二に、従業員数の基準が加わりました。前の節で説明したとおりです。
第三に、手形払いが禁止されました。第5条第1項第2号のかっこ書きに手形の交付が含まれたことで、支払期日に手形を渡す形は禁止行為になりました。手形は受け取ってから現金化するまでに時間がかかり、割引をすれば手数料が引かれます。この負担が受注側に転嫁されていた構造が制度として断たれました。
第四に、協議に応じない一方的な代金決定が禁止されました。第5条第2項第4号です。給付に関する費用の変動その他の事情が生じた場合に、中小受託事業者が代金の額に関する協議を求めたにもかかわらず、協議に応じない、または協議において求めた事項について必要な説明や情報の提供をせずに一方的に代金の額を決定することが、利益を不当に害する行為として位置づけられました。原材料費や外注費、人件費が上がったときに単価の相談を持ちかけたのに取り合ってもらえないという状況は、この規定に触れる可能性があります。
第五に、特定運送委託が対象に加わりました。販売や製造、修理、情報成果物の作成における取引の相手方に対する運送の委託が、取適法の対象取引に入りました。
支払いが遅れたときに請求できる遅延利息
支払期日を過ぎても支払われない場合、遅延利息を請求できます。第6条が根拠です。
条文は、委託事業者が支払期日までに代金を支払わなかったときは、中小受託事業者に対し、給付を受領した日から起算して60日を経過した日から支払をする日までの期間について、その日数に応じ、未払金額に公正取引委員会規則で定める率を乗じて得た金額を遅延利息として支払わなければならないと定めています。
率は公正取引委員会規則で決まっており、令和7年公正取引委員会規則第9号が年14.6パーセントと定めています。この規則は令和8年1月1日から施行されています。
計算の仕方を具体例で確認します。代金100万円、成果物の受領日が4月10日だったとします。受領日から起算して60日を経過した日は6月9日です。実際の支払いが7月9日で30日遅れた場合、遅延利息は100万円に14.6%を掛け、365で割って30を掛けた額になります。1,000,000×0.146÷365×30=12,000円です。
ここで押さえておきたいのは、遅延利息の起点が支払期日ではなく「受領日から60日を経過した日」だという点です。契約上の支払期日を受領日から30日後に定めていた場合、30日目から60日目までの遅れについては、取適法の遅延利息は発生しません。その期間については民法の法定利率による遅延損害金を検討することになります。
なお、第5条第2項の減額の場合にも遅延利息の規定があります。中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに代金の額を減らしたときは、減らした日または受領日から60日を経過した日のいずれか遅い日から、減額分の支払いをする日までの期間について、同じ率で遅延利息を支払う義務があります。
発注時に明示される項目と書類の保存義務
支払サイトの話は、発注の時点でどこまで書面化されているかに左右されます。取適法は発注側に明示の義務を課しているので、内容を知っておくと「書いてください」と言える根拠になります。
第4条第1項は、委託事業者が製造委託等をした場合は、直ちに、公正取引委員会規則で定めるところにより、中小受託事業者の給付の内容、製造委託等代金の額、支払期日および支払方法その他の事項を、書面または電磁的方法で明示しなければならないと定めています。「直ちに」なので、作業を始めた後で条件を決めるという進め方は認められていません。
ただし例外があります。これらの事項のうち、その内容が定められないことについて正当な理由があるものは明示を要しないとされ、その場合は内容が定められた後に直ちに明示しなければなりません。制作物の仕様が固まりきらないまま着手することはありますが、金額と支払期日については後回しにする正当な理由が立ちにくい項目です。
第4条第2項は、電磁的方法で明示した場合に、中小受託事業者から書面の交付を求められたときは遅滞なく交付しなければならないと定めています。メールやチャットで条件を伝えられた場合、書面での交付を求める権利があります。
第7条は、委託事業者に書類等の作成と保存を義務づけています。給付、給付の受領、代金の支払その他の事項について記載した書類または電磁的記録を作成して保存しなければなりません。
そして第14条が罰則です。第4条第1項に違反して明示すべき事項を明示しなかったとき、第4条第2項に違反して書面を交付しなかったとき、第7条に違反して書類を作成せず、保存せず、または虚偽の書類を作成したときは、違反行為をした委託事業者の代表者、代理人、使用人その他の従業者が50万円以下の罰金に処されます。第15条は、調査における報告の拒否や虚偽の報告、検査の拒否や妨害についても同じ50万円以下の罰金を定めています。
実務でこれが効く場面は、条件が曖昧なまま作業を始めさせられたときです。「金額と支払期日を書面でいただけますか」と頼むことは、相手に法律上の義務を果たしてもらうお願いであって、厚かましい要求ではありません。ここを最初に通しておくと、後から支払サイトが延びる余地がなくなります。
取適法の対象外ならフリーランス法を見る
相手の規模が小さくて取適法の対象にならない場合でも、諦める必要はありません。令和6年11月1日に施行されたフリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)が、規模を問わずに支払期日を規制しています。
フリーランス法第4条は、特定業務委託事業者が特定受託事業者に業務委託をした場合の報酬の支払期日について、給付を受領した日から起算して60日の期間内において、かつできる限り短い期間内において定めなければならないと規定しています。文言は取適法とほぼ同じです。
違いは対象の範囲です。取適法は発注者の資本金と従業員数で線を引きますが、フリーランス法は従業員を使用している事業者、または役員がいる法人が、従業員を使用していない個人に業務委託をする場合を対象にします。つまり相手が個人事業主ひとりであっても、従業員を1人でも雇っていればフリーランス法の対象になります。カバーする範囲が取適法より広いのが特徴です。
再委託の場合の特則もあります。第4条第3項は、他の事業者から業務委託を受けた事業者が、その業務の全部または一部を再委託した場合、再委託に係る報酬の支払期日は元委託支払期日から起算して30日の期間内に定めなければならないとしています。ただし、これは再委託である旨、元委託者の名称、元委託支払期日などを明示した場合に限られます。
支払期日を定めなかった場合の扱いも定められています。第4条第2項により、定めなかったときは受領日が支払期日となり、60日を超えて定めたときは受領日から起算して60日を経過する日が支払期日とみなされます。
契約書の作り方と発注書に入れてもらう項目はフリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストに整理してあります。
実際の支払条件を日数に換算して点検する
自分の取引条件が何日サイトなのかを、受領日を起点に計算し直してみます。ここを一度やっておくと、契約交渉のときに具体的な話ができます。
月末締め翌月末払いの場合。月初の1日に納品したものは、締め日が月末で支払いが翌月末なので、受領日から約60日です。31日の月なら61日になり、1日超過します。月末に納品したものは受領日から約30日です。つまり同じ契約条件でも、月のどのタイミングで納品するかで受領日からの日数が2倍変わります。月初の納品分が60日を超えるかどうかは、暦の日数で決まります。
月末締め翌々月10日払いの場合。月初の1日に納品したものは受領日から約70日で、明確に超過します。この条件は取適法とフリーランス法のどちらの下でも違反です。
月末締め翌々月末払いの場合。月初の納品分は受領日から約91日、月末の納品分でも約61日です。全面的に違反になります。この条件を提示されたら、その場で指摘できます。
検収後60日払いという条件も見かけます。第3条は「検査をするかどうかを問わず」受領日を起点にすると定めているので、検収の完了を起点にする条件は、検収に時間がかかった分だけ違反になります。
計算をしてみて超過していることが分かったら、次の節の手順に進みます。なお、違反かどうかの最終判断は公正取引委員会や中小企業庁が行います。ここに書いたのは条文に基づく一般的な読み方で、個別の事案の結論を保証するものではありません。
支払サイト以外の禁止行為も一緒に押さえる
支払サイトの相談を持ちかける場面では、他の条件もあわせて崩れていることが多いので、第5条が禁じている行為を一覧で押さえておきます。自分が受けている扱いのうち、どれが法律上の問題なのかを切り分けられるようになります。
第5条第1項は7つの行為を禁じています。中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに給付の受領を拒むこと。代金を支払期日の経過後なお支払わないこと(手形の交付を含む)。責めに帰すべき理由がないのに代金の額を減ずること。責めに帰すべき理由がないのに、給付を受領した後に給付に係る物を引き取らせること。同種または類似の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い代金の額を不当に定めること。正当な理由がある場合を除き、自己の指定する物を強制して購入させ、または役務を強制して利用させること。そして違反の事実を関係機関に知らせたことを理由に不利益な取扱いをすること。
第5条第2項は、中小受託事業者の利益を不当に害してはならない行為として4つを挙げています。給付に必要な原材料等を自分から購入させた場合に、その原材料等を用いる給付に対する代金の支払期日より早い時期に、支払うべき代金から原材料等の対価を控除したり支払わせたりすること。自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること。責めに帰すべき理由がないのに給付の内容を変更させ、または受領後に給付をやり直させること。費用の変動その他の事情が生じた場合に、代金の額に関する協議に応じず、または必要な説明や情報の提供をせずに一方的に代金の額を決定すること。
この一覧を見ると、支払サイトの長さは単独の問題ではないことが分かります。支払いが遅い発注者は、たいてい仕様の変更を無償でさせたり、値引きを求めたり、協賛金や広告費の名目で金銭を要求したりしています。相談するときは支払サイトだけを挙げるのではなく、同時に起きている扱いも並べて書いてください。全体像が示されたほうが、窓口の側も動きやすくなります。
なお第11条には、公正取引委員会が勧告をした場合に、違反した委託事業者がその勧告に従ったときは、当該勧告に係る行為について独占禁止法の一部の規定を適用しないという定めがあります。勧告に従うことで独占禁止法の措置を免れる形になっているため、発注者の側にも勧告に応じる動機があります。ここを知っておくと、窓口に持ち込む行為が実際に効くという見通しが立ちます。
支払いが遅れたときに踏む手順
感情で動くと関係が壊れて入金も遅れるので、順番を決めておきます。
第一に、記録をそろえます。発注書またはメールでの発注内容、納品した日が分かる記録、請求書、契約書の支払条件の部分、支払いを催促したやり取り。納品した日を証明できるかどうかが、遅延利息の計算の土台になります。納品のたびに受領の確認を取る習慣を付けておくと、後で困りません。
第二に、支払期日を計算します。受領日から起算して60日を経過した日を出し、そこからの日数を数えます。これが遅延利息の対象期間です。
第三に、書面で催促します。内容は3点です。納品した日と代金の額。法律上の支払期日と、その根拠となる条文。遅延利息の計算と請求額。感情を書かず、数字と条文だけで構成します。取適法の対象なら第3条と第6条、フリーランス法の対象なら第4条を挙げます。多くの場合、この段階で支払われます。条文を挙げられた発注者は、放置するリスクを理解するからです。
第四に、応じてもらえない場合は公正取引委員会または中小企業庁に情報を提供します。第9条は中小企業庁長官が調査して公正取引委員会に措置を求められることを定めており、第10条は公正取引委員会が第5条違反の行為に対して勧告できることを定めています。勧告の内容には、代金や遅延利息の支払い、代金額の引き上げ、不利益な取扱いをやめることなどが含まれます。法律の全体像と相談の入口は、公正取引委員会の取適法の概要のページに整理されています。委託事業者の義務と禁止行為が一覧で示されているので、自分が受けている扱いがどの条文に当たるかを照らし合わせるときに便利です。
報復を心配される方がいますが、第5条第1項第7号が報復措置を禁止しています。違反の事実を公正取引委員会、中小企業庁長官、または事業を所管する大臣に知らせたことを理由に、取引の数量を減らしたり取引を停止したりその他の不利益な取扱いをすることは、それ自体が禁止行為です。
回収の手続きそのものに進む場合の流れと費用は未払い報酬を回収する!弁護士の着手金・成功報酬と支払督促の流れ【2026年最新】に整理してあります。支払督促は令和8年5月21日から郵便費用が申立手数料に一本化され、切手をそろえる手間がなくなりました。
支払サイトは案件選びの段階で決まっている
支払サイトの交渉が通りやすいかどうかは、交渉の技術より前の段階で決まっています。市場の側から構造を見ておきます。
支払サイトが長い取引には共通点があります。発注者の社内で稟議と検収の工程が多く、支払いの締めが月1回しかない。受注側が代替可能で、条件を飲まなければ他に回せる。取引の金額が小さく、発注者側の担当者が例外処理を通す手間を嫌がる。この3つがそろうと、条件は動きません。
逆に支払サイトが短い取引の特徴は明快です。発注者の事業に直結しており、止まると困る。受注側が持っている知識の代わりが見つかりにくい。金額がまとまっていて、経理側でも例外処理の価値がある。
だから、支払サイトを短くする本当の打ち手は、案件を選ぶ段階にあります。同じ職種でも、担当する範囲によって立場が変わります。ソフトウェア作成者の年収・単価相場を見ると、同じ開発の仕事でも関わる範囲で単価の水準に大きな幅があることが分かります。文章の仕事も同じで、著述家,記者,編集者の年収・単価相場では、量で決まる仕事と企画から関わる仕事の差が読み取れます。
領域の選び方も効きます。AIコンサル・業務活用支援のお仕事のように事業の意思決定に近い仕事は、支払条件の相談に応じてもらいやすい位置です。アプリケーション開発のお仕事も、リリース後の保守まで含む関係になれば、支払いの締めを月2回にしてもらう相談が通ることがあります。
資金が止まる前に手を打つのが本筋
在宅ワークとフリーランスの市場を20年にわたって見てきた運営者の立場から、支払サイトの話で見えてきたことを書きます。
支払サイトで苦しむ人の多くは、金額の交渉より前に資金の設計でつまずいています。60日サイトの取引を複数抱えると、稼働してから入金までの2か月間、手元の現金だけで生活と経費をまわす必要があります。ここを設計せずに取引を増やすと、売上が伸びているのに支払いに困るという状態になります。売上が増えるほど立て替える金額が増えるからです。
実務的な手は3つあります。1つめは、初回の取引は必ず短いサイトにしてもらうこと。信用が積み上がる前の相手に2か月立て替えるのは、金額の大小にかかわらず避けます。2つめは、金額が大きい案件は着手金と中間金に分けること。60日サイトのままでも、入金のタイミングが3回に分かれれば手元の資金は持ちます。3つめは、支払サイトが短い取引を全体の3割は確保しておくこと。毎月の固定費をこの3割で賄えるようにしておけば、長いサイトの取引が遅れても生活が揺れません。
もう1つ、構造の話をします。仲介手数料が乗らない直接取引には、同じ予算で依頼者はより多く頼めて、受け手は手取りが厚くなるという性質があります。手数料0%の取引で成り立つ関係は、金額が同じでも双方に余裕が生まれます。その余裕が、支払いを早めてほしいと頼んだときの返事に現れます。運営者として見てきた限りでは、支払条件を動かせた人は交渉が得意だったのではなく、相手に余裕のある関係を作っていました。
契約前に確かめる5項目
最後に、次に契約を結ぶときに確かめる項目を並べます。
第一に、支払期日が書面にあるか。何日締め何日払いという形で、締め日と支払日の両方を明記してもらいます。第二に、受領日から数えて60日以内に収まるか。月初に納品した場合と月末に納品した場合の両方で計算します。第三に、支払方法が金銭か。手形やそれに類する支払手段は取適法で禁止されています。第四に、検収の期間がどう扱われているか。検収完了を起点にする条件は違反の可能性があります。第五に、費用が変動したときの協議の条項があるか。第5条第2項第4号が協議に応じない一方的な決定を禁じているので、条項として入れておけば話を持ち出しやすくなります。
この5項目は、発注書または契約書を1回読めば確認できます。そして請求書を出すときには、法律上の支払期日を自分で計算して控えておいてください。入金がなかったときに、その日から動けます。
書類のやり取りを正確に整える力は、そのまま回収の力になります。ビジネス文書検定のように文書の型を体系的に学べる資格を押さえておくと、催促の文面で相手の対応が変わります。案件を選ぶ段階から支払条件を見ておくことも効くので、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事のような成果で評価される領域の募集で、報酬と支払条件の書き方を見比べておく価値があります。
よくある質問
Q. 下請法の支払サイトは何日以内ですか?
成果物を受け取った日から起算して60日の期間内で、かつできる限り短い期間内に定めなければなりません。60日は上限であって目標ではなく、その範囲内で短くする義務が別に課されています。検収に時間がかかるかどうかを問わず、起点は受領した日です。役務の提供の場合は役務の提供を受けた日が起点になります。
Q. 契約書に90日払いと書いてあったらどうなりますか?
法律上は、給付を受領した日から起算して60日を経過した日の前日が支払期日とみなされます。契約書の記載が法律を上書きすることはできません。60日目を過ぎれば遅延利息が発生します。支払期日をまったく定めていない場合は、受領した日が支払期日とみなされます。
Q. 遅延利息はいくら請求できますか?
公正取引委員会規則で年14.6パーセントと定められています。起点は契約上の支払期日ではなく、給付を受領した日から起算して60日を経過した日です。代金100万円で30日遅れた場合、1,000,000×0.146÷365×30で12,000円になります。この規則は令和8年1月1日から施行されています。
Q. 相手の会社が小さくて下請法の対象外のときはどうすればよいですか?
フリーランス法を見てください。従業員を使用している事業者、または役員がいる法人が、従業員を使用していない個人に業務委託をする場合を対象にしており、取適法よりカバーする範囲が広いです。第4条が支払期日を受領日から60日以内と定めているため、同じ主張ができます。相談先は公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
関連記事
カテゴリから探す

クラウドソーシング入門
クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド
職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク
副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス
フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金
確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ
プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング
サービス比較・おすすめランキング

AI活用
職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド
市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド
クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア
転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人
看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人
薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人
介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人
保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人
医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険
生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人
無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース
バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

シニア・50代
シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ
サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック
暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス
経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材
フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方
子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金
個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

アウトソーシング・外注ガイド
SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方







