個人事業主 生命保険料控除|事業の保険と私生活の保険の経費判定

丸山 桃子
丸山 桃子
個人事業主 生命保険料控除|事業の保険と私生活の保険の経費判定

この記事のポイント

  • 個人事業主 生命保険料控除の上限額・計算式・確定申告書の書き方を実例で解説
  • 事業の保険と私生活の保険の経費判定
  • 2026年税制改正の最大14万円ルールまで網羅

「個人事業主が払っている生命保険って、経費にできるの?それとも生命保険料控除?」、フリーランスになって最初の確定申告で多くの人がつまずくのがこの論点です。結論から言うと、自分や家族の私生活を守る生命保険は経費にはなりませんが、所得控除である「生命保険料控除」として最大12万円(2026年分は最大14万円)を所得から差し引けます。一方、事業の損害を補填する保険や、従業員のための保険は経費(損害保険料・福利厚生費等)として処理します。本記事では、個人事業主が混同しやすい「事業の保険」と「私生活の保険」の経費判定ロジック、生命保険料控除の上限額・計算式・申告書の書き方、家族名義契約の扱い、2026年税制改正の時限措置までを実務目線で整理します。私自身がEC運営支援のフリーランスとして毎年確定申告をしていて、特に独立1〜2年目の方が間違えやすいポイントを重点的に解説します。

マクロ視点で見る個人事業主と生命保険料控除の現状

個人事業主にとって生命保険料控除は、サラリーマンの年末調整と違い「自分で確定申告書に書かないと1円も戻ってこない」性質の控除です。国税庁の所得税統計によれば、申告所得税の納税者のうち生命保険料控除を適用している人の割合は7割を超えていますが、フリーランス・個人事業主に限定すると申告漏れや計算誤りが目立ちます。会社員時代は会社が控除証明書を回収して計算してくれましたが、独立すると控除証明書のハガキは自分で保管し、確定申告書第二表に契約ごとに金額を書き、第一表で控除額を計算する必要があります。

生命保険料控除の枠組み自体は2012年(平成24年)に大きく変わりました。それ以前の契約(旧契約)は「一般生命保険料控除」と「個人年金保険料控除」の2枠でそれぞれ最大5万円、合計最大10万円が所得控除の上限でした。2012年以降の契約(新契約)は「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3枠で各最大4万円、合計最大12万円が上限です。さらに2025年度税制改正により、2026年分の所得税に限り、23歳未満の扶養親族がいる納税者の一般生命保険料控除の上限が4万円から6万円に引き上げられ、3枠合計で最大14万円まで控除可能になりました(時限措置)。子育て世帯の個人事業主にとっては、2026年の確定申告で見落とすと2万円分の枠を捨てることになります。

私はアパレル系のEC運営支援を本業にしていますが、同業のフリーランス仲間でも「生命保険料控除の証明書、確定申告でどこに書くか毎年忘れる」「医療保険は介護医療保険料控除なのか一般生命保険料控除なのか分からない」という声をよく聞きます。会計ソフトに証明書の金額をそのまま打ち込むだけでは、新契約と旧契約の区分を間違えたり、年間払込予定額と実際の払込額の取り違えで控除額が数千円〜1万円ずれることがあります。後述する判定ロジックと計算式を一度押さえておけば、毎年の確定申告で迷わなくなります。

個人事業主の「事業の保険」と「私生活の保険」の経費判定

ここが個人事業主の確定申告で最も混乱する論点です。「生命保険料控除」と「事業経費」はまったく別の制度で、二重に節税はできません。判定の基本ロジックを整理します。

経費にできる保険、できない保険の境界線

事業経費(損害保険料・福利厚生費等)として処理できるのは、原則として事業のために掛ける保険です。具体例を挙げます。

経費にできる保険の例 ・店舗・事務所の火災保険、地震保険(事業用部分のみ) ・事業用車両の自動車保険(任意保険・自賠責保険) ・事業用機材・在庫の動産総合保険、盗難保険 ・賠償責任保険(PL保険、IT業務賠償責任保険、フリーランス賠償責任保険等) ・従業員のための健康診断費用、団体傷害保険(福利厚生費) ・事業用の信用保険、所得補償保険のうち事業所得補填部分

経費にできない保険(=生命保険料控除や社会保険料控除で処理) ・個人事業主本人や家族の生命保険、医療保険、がん保険 ・個人事業主本人の介護保険、個人年金保険 ・国民健康保険料、国民年金保険料(社会保険料控除) ・自宅兼事務所の火災保険のうち自宅部分(按分対象)

「経費にできない」というのは「節税にならない」という意味ではありません。生命保険料控除という別ルートで所得から引けます。逆に、生命保険を経費に入れてしまうと税務調査で否認され、加算税・延滞税のリスクがあります。

家事按分が必要なグレーゾーン

実務で最も悩むのが「自宅兼事務所の火災保険」「個人名義だが事業にも使う車の自動車保険」のような共用部分です。これらは事業使用割合に応じて家事按分し、事業部分のみを経費に計上します。例えば自宅50平米のうち事業使用が10平米なら、火災保険料の20%が経費、80%は家事費(経費にも控除にもならない)です。生命保険料控除のように一律の控除枠ではなく、合理的な按分根拠を帳簿に残しておく必要があります。

私の場合、自宅マンションの一室をEC運営の作業部屋兼商品撮影スペースに使っているので、火災保険料は25%を事業按分で経費化しています。最初の年は「全部経費にできるんじゃ?」と勘違いして全額計上していたのですが、税理士さんに「これだと税務調査で確実に指摘されます」と止められて修正しました。按分割合は登記簿の床面積や、Googleカレンダーの作業時間記録で根拠を残すと安心です。

生命保険を「契約者貸付」で事業資金にしたら経費になる?

たまに「生命保険を解約しないで契約者貸付を使って事業資金に入れた場合、保険料は経費になりますか?」という質問を受けますが、答えはNoです。あくまで「保険料の支払い」は生命保険料控除、契約者貸付は単なる借入金として処理します。借入利息も事業に直接関係しない契約の貸付なら経費化は難しいケースが多いので、混同しないでください。

個人事業主の生命保険料控除の対象になる3つの保険

確定申告で生命保険料控除の対象になる保険契約は、新契約(2012年1月1日以後の契約)の場合、以下の3種類です。

確定申告で生命保険料控除の対象になる保険契約は「生命保険契約」「介護医療保険契約」「個人年金保険契約」の3種類です。どの保険契約に該当するかは、保険会社から届く証明書で確認可能です。生命保険料控除の対象になる保険料は、実際にその年に支払った保険料です。未払いの保険料は控除の対象になりません。一時払の場合は、保険料を支払った年に控除対象となります。なお、国民健康保険や国民年金の保険料は、生命保険料控除ではなく、別の制度である社会保険料控除の対象です。

一般生命保険料控除の対象

定期保険、終身保険、養老保険、収入保障保険など、死亡・生存を保険事故とする保険が対象です。学資保険も多くは「生存・死亡」を保険事故とするため一般生命保険料控除に該当します。「契約者・被保険者・受取人」の組み合わせが控除可否に影響します。詳しくは後述します。

介護医療保険料控除の対象

医療保険、がん保険、介護保険、就業不能保険など、入院・通院・介護を保険事故とする保険が対象です。2012年以降の新契約のみに設けられた区分で、それ以前の契約は一般生命保険料控除に含まれます。証明書の「適用される控除の種類」欄を必ず確認してください。

個人年金保険料控除の対象

個人年金保険のうち、「個人年金保険料税制適格特約」が付加されているものだけが対象です。同じ「個人年金」と名前が付いていても税制適格特約のない契約は一般生命保険料控除扱いになります。確定拠出年金(iDeCo)や国民年金基金は生命保険料控除ではなく、小規模企業共済等掛金控除になるので混同しないでください。

対象外の保険

国民健康保険、国民年金、健康保険組合の保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険(公的介護保険)は社会保険料控除であり、生命保険料控除の枠とは別に全額が所得控除されます。火災保険、地震保険のうち地震保険料部分は地震保険料控除(最大5万円)、自動車保険は控除対象外です。これらを取り違えると控除額が大きくずれます。

生命保険料控除の上限額と計算式(新契約・旧契約)

ここが計算で最も間違えやすいポイントです。新契約と旧契約で計算式・上限額が違うため、契約の締結日を必ず確認してください。

新契約(2012年1月1日以後の契約)の計算式

新契約の所得税の控除額計算式は次の通りです。3つの区分それぞれに同じ式を当てはめます。

年間払込保険料 控除額
2万円以下 全額
2万円超 4万円以下 払込額×1/2+1万円
4万円超 8万円以下 払込額×1/4+2万円
8万円超 一律4万円

つまり年間払込保険料が8万円を超えると一律で上限4万円となり、それ以上払っても控除額は増えません。「一般」「介護医療」「個人年金」それぞれで最大4万円、合計最大12万円です。

住民税の控除額は所得税より低く、各区分の上限が2.8万円、合計上限7万円です。住民税の計算式は別表で、年間払込保険料5.6万円超で一律2.8万円となります。

旧契約(2011年12月31日以前の契約)の計算式

旧契約は「一般生命保険料控除」と「個人年金保険料控除」の2区分で、計算式は次の通りです。

年間払込保険料 控除額
2.5万円以下 全額
2.5万円超 5万円以下 払込額×1/2+1.25万円
5万円超 10万円以下 払込額×1/4+2.5万円
10万円超 一律5万円

旧契約はそれぞれ最大5万円、合計最大10万円です。住民税は別表で各区分上限3.5万円、合計上限7万円。

新旧契約が混在する場合のルール

「同じ一般生命保険料控除の区分に新契約と旧契約が両方ある」というケースもよくあります。この場合は次の3パターンから最も有利な方法を選びます。

・新契約のみで計算(上限4万円) ・旧契約のみで計算(上限5万円) ・新契約と旧契約の合算で計算(上限4万円)

旧契約だけで年間払込10万円超なら一律5万円が取れるので、わざわざ新契約を足して上限4万円にする必要はありません。会計ソフトや国税庁の確定申告書等作成コーナーは自動で有利選択してくれますが、紙で書く人は注意してください。

2026年分の時限措置(子育て世帯対象)

2025年度(令和7年度)の税制改正により、2026年(令和8年)分の所得税を計算する際、23歳未満の扶養親族がいる納税者に限り、一般生命保険料控除の控除額の上限が4万円から6万円に引き上げられます。ただし、この措置は2026年分のみの時限的なものです。該当する場合は、他の控除額と合わせて最大14万円(通常12万円)の所得控除が適用可能となります。

この時限措置は2026年分の所得税限定で、住民税には適用されません。23歳未満の扶養親族(子ども等)がいる個人事業主は、2027年2〜3月の確定申告で必ず該当チェックを入れてください。一般生命保険料控除だけ上限が6万円になり、介護医療・個人年金はそのまま各4万円なので合計上限が14万円になります。

「誰が払ったか」が決定的|契約者・被保険者・受取人の判定

生命保険料控除でフリーランスが最もミスしやすいのが「妻名義の保険、子ども名義の学資保険を私が払っているけど控除できる?」という論点です。結論はシンプルで、「実際に保険料を支払った人」が控除を受けます。契約者の名義は二の次です。

生命保険料控除を受けるための最も重要な要件は「誰が実際に保険料を支払ったか」です。たとえ保険契約者が妻や子であっても、個人事業主本人がその保険料を支払い、かつ保険金の受取人が本人または生計を一にする配偶者・親族であれば、支払った本人が控除を受けられます。

控除を受けるための3つの要件

  1. 実際に保険料を支払ったのが申告者本人であること(本人の口座引落・本人のクレジットカード払い等)
  2. 保険金の受取人が本人または生計を一にする配偶者・親族であること
  3. 保険料控除証明書を確定申告書に添付するか、e-Taxで提示できること

「生計を一にする」とは同居が必須ではなく、仕送りで生活費を負担している大学生の子どもや、別居の親も含まれます。「保険料は妻の口座から引き落とされているけど、その口座は事業主が振り込んでいる」という曖昧なケースは、税務署側からは妻が支払っているように見えるので、できれば事業主本人の口座から直接引き落とす形に切り替えるのが安全です。

共働き世帯の保険料配分

夫婦どちらも所得がある場合、同じ契約の保険料を半分ずつ支払って半分ずつ控除する、ということは原則できません。実際の支払者一人が控除を受けます。所得が高い方が控除を受けたほうが節税効果は大きいので、配偶者の保険料を個人事業主側で支払えば、所得税率の高い側で控除できます。ただし「実態として誰が払っているか」が問われるので、口座引落の設定変更が必要です。

学資保険の取り扱い

学資保険は契約者を親、被保険者を子、満期受取人を親または子に設定するのが一般的です。生命保険料控除では「一般生命保険料控除」に分類されるケースが多く、年間払込保険料に応じて最大4万円(旧契約なら5万円)まで控除できます。「受取人は子どもにしてある」というケースでも、子が生計を一にする親族であれば控除対象です。

確定申告書の書き方|第二表と第一表の記入手順

個人事業主は確定申告書B第一表・第二表を使います(2023年分以降はB様式廃止で「確定申告書」に統一)。生命保険料控除の記入手順は次の通りです。

Step1:保険料控除証明書を全部集める

毎年10〜11月頃に保険会社から「生命保険料控除証明書」のハガキが届きます。引落が年に複数回ある契約や、年払い契約だと証明書が複数枚届くことがあります。すべて1か所にまとめて保管してください。私はクリアファイルに「○年分・生命保険料控除証明書」と書いて投げ込むだけにしています。失くしたら保険会社のWebサイトから再発行依頼ができますが、再発行に2〜3週間かかるので注意です。

Step2:第二表「保険料控除等に関する事項」に契約ごとに記入

第二表の中段右側に「保険料控除等に関する事項」欄があります。ここに契約ごとに次の項目を書きます。

・保険会社等の名称(例:日本生命) ・保険等の種類(例:定期保険、医療保険) ・契約者の氏名 ・支払った保険料(証明書の「申告額」または「年間払込予定額」) ・新契約か旧契約か

新契約・旧契約の区分、一般・介護医療・個人年金の区分は、証明書の「適用される控除の種類」欄に書いてあります。会計ソフトに入力する場合も、この区分を間違えなければ自動計算されます。

Step3:第一表「生命保険料控除」欄に控除額を記入

第二表で集計した金額をもとに、第一表の「生命保険料控除」欄に控除額を記入します。控除額は前述の計算式で算出します。新契約と旧契約が混在する場合は有利選択が必要なので、国税庁の確定申告書等作成コーナーを使うのが圧倒的に楽です。

Step4:証明書の添付または提示

紙で提出する場合は控除証明書を申告書に添付(または貼付台紙に貼る)します。e-Taxで提出する場合は証明書データのアップロードまたは記載内容入力で添付省略できますが、5年間は自分で保管する義務があります。税務調査で「証明書を見せて」と言われた時に出せないと、控除否認のリスクがあります。

よくある記入ミス

・年間払込予定額ではなく、すでに払った金額だけを書いてしまう(証明書には「申告額」=その年に支払予定の総額が書かれているのでこちらを使う) ・新契約と旧契約を混同して計算式を間違える ・夫婦どちらが控除を受けるか決めずに両方が同じ契約を書いてしまう ・介護医療保険料控除を一般生命保険料控除に入れてしまう

このあたりは会計ソフトに証明書通り正確に入力すれば自動で正しい計算をしてくれるので、紙申告より電子申告のほうが圧倒的にミスが減ります。

個人事業主が押さえるべき節税のセット技

生命保険料控除は最大12万円(2026年分は14万円)ですが、個人事業主には他にもっと節税効果の大きい所得控除があります。優先順位を整理します。

小規模企業共済(年間最大84万円控除)

中小機構が運営する個人事業主向けの退職金制度です。掛金は月1,000円〜70,000円で、全額が小規模企業共済等掛金控除として所得控除になります。生命保険料控除の上限12万円と比較すると、上限84万円のインパクトは桁違いです。「将来の自分への退職金 兼 節税」として、フリーランス1〜2年目から始めるべき制度です。

iDeCo(個人型確定拠出年金、年間最大81.6万円控除)

個人事業主は国民年金基金等と合算で月額68,000円(年間816,000円)まで掛金を拠出でき、全額が小規模企業共済等掛金控除になります。運用益も非課税です。生命保険料控除と併用可能なので、節税余力があれば両方フルに使うのが王道です。

国民年金基金(年間最大81.6万円控除)

国民年金の上乗せ年金で、iDeCoと合算で月額68,000円まで。掛金全額が社会保険料控除になります。「老後資金は確定給付がいい」という人向け。iDeCoと枠を分け合う形になるので、どちらに重きを置くかは将来設計次第です。

ふるさと納税(自己負担2,000円で寄付額が住民税・所得税から控除)

控除上限は所得・家族構成によって変わりますが、年収500万円・独身の個人事業主なら年間6〜7万円程度の寄付が可能です。寄付額のおよそ3割相当の返礼品が受け取れるので、実質負担2,000円で1.8〜2万円分の食品・日用品が手に入ります。

これらの控除を組み合わせると、生命保険料控除単体より遥かに大きな節税効果が得られます。生命保険料控除はあくまで「すでに掛けている保険があるなら忘れずに控除を受ける」というスタンスで、これだけのために生命保険を増やすのは本末転倒です。

個人事業主のリスク管理|生命保険以外で備えるべき領域

ここからは保険料控除の話から少し離れて、フリーランス・個人事業主が「生命保険料控除のために加入する」のではなく「事業継続のために加入を検討すべき」リスク対策の話に移ります。控除のためだけに保険を増やすと、保険料負担で手取りが減って本末転倒です。

所得補償保険・就業不能保険

会社員と違って、個人事業主には傷病手当金がありません。病気や怪我で働けなくなった瞬間に売上がゼロになります。所得補償保険・就業不能保険に加入すれば、就業不能期間中に月額10〜30万円程度の給付金が受け取れます。一部は介護医療保険料控除の対象になる商品もあります。

フリーランス賠償責任保険

クライアントのデータを誤って削除した、納品物に欠陥があって損害賠償を請求された、というケースに備える保険です。月額500円〜2,000円程度から加入でき、保険料は事業経費として処理できます。私自身、EC運営支援で在庫管理を間違えて顧客企業に出荷遅延の損害を出しかけた経験があり、それ以来フリーランス賠償責任保険に加入しています。

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)

取引先の倒産で売掛金が回収できなくなった時に、無担保・無保証で借入ができる制度です。掛金は月5,000円〜20万円で、年間最大240万円が全額損金(経費)算入できます。所得控除ではなく経費なので、生命保険料控除よりさらに節税効果が大きい場合があります。事業所得が一定以上ある個人事業主向け。

国民健康保険の任意給付

国民健康保険には自治体によって出産育児一時金や葬祭費等の任意給付がありますが、所得補償的な給付はほぼありません。会社員時代のセーフティネットを基準にすると、個人事業主は完全に「自分で備える」前提で組み立てる必要があります。

実務的なポイント|現場でよく聞かれる質問への回答

私が同業のフリーランス仲間からよく聞かれる質問を、税制ベースで整理しておきます。

控除証明書を失くした場合

保険会社のWebサイト・コールセンターから再発行依頼ができます。再発行に2〜3週間かかるので、確定申告期限間際だと間に合わない可能性があります。マイナンバーカードを使ったe-Taxでは、保険会社によっては控除証明書データを電子的に取得できる「マイナポータル連携」が使えます。一度設定すれば翌年以降は自動取得されるので、紙の管理が大変な人は導入を検討してください。

一時払い・前納の扱い

一時払い(10年分や20年分を一括払い)の場合、支払った年に全額が控除対象です。前納(数年分を前払い)は、各年分の保険料相当額を毎年控除します。年単位の扱いが微妙に違うので、保険会社の証明書に書いてある「申告額」をそのまま使うのが安全です。

解約返戻金が出た場合

生命保険を解約して解約返戻金を受け取った場合、利益部分(解約返戻金 − 払込保険料合計)は一時所得として課税されます。50万円の特別控除と1/2課税があるため、よほど大きな返戻金でなければ実質的な税負担は小さいですが、生命保険料控除を受けていたかどうかは関係ありません。

法人成りした場合

個人事業主から法人成りすると、個人で加入した生命保険は引き続き個人の生命保険料控除で処理し、法人で新たに役員保険を契約すれば法人の損金になります。「経営者保険」「ハーフタックスプラン」等は法人税の節税スキームとして使われますが、個人事業主のうちは関係ありません。年商1,000万円を超えたあたりで法人化を検討する際に改めて勉強すべきテーマです。

スキル証明として、ビジネス文書系のビジネス文書検定やインフラ系のCCNA(シスコ技術者認定)のような資格を持っていると、案件単価の交渉力が上がります。控除でコツコツ守るのも大事ですが、根本的に売上を上げる方が手取りインパクトは大きいので、スキル投資(資格取得費用も研修費として経費化可能)も並行して進めるのが王道です。

関連する税務・お金のトピックとして、住宅購入を検討中の個人事業主には個人事業主 住宅ローン 審査 通りやすいで審査通過のコツを、節税全般を体系的に学びたい人には個人事業主 節税 2026 テクニックで生命保険料控除以外の節税策を、寄付による控除を活用したい人にはふるさと納税 上限額 個人事業主で寄付上限の計算方法を解説しています。生命保険料控除は数ある所得控除のひとつにすぎず、他の控除や節税スキームと組み合わせることで初めて手取り最大化が実現します。

私自身、独立1年目の確定申告で生命保険料控除を新契約・旧契約の区分なく適当に入力してしまい、控除額を1万円ほど取り損ねたことがあります。翌年に過去5年分の更正の請求で取り戻せましたが、最初から正しく申告していれば不要な手間でした。「控除証明書のハガキは必ず保管」「新契約と旧契約の区分を必ず確認」「支払者と受取人の組み合わせを必ず確認」、この3つを毎年のチェックリストに入れておけば、生命保険料控除で損することはまずありません。事業の保険と私生活の保険を混同せず、それぞれ正しい節税ルートに乗せることが、個人事業主の手取り最大化の第一歩です。

よくある質問

Q. 自宅兼オフィスの場合、火災保険や地震保険も経費になりますか?

はい、家賃と同様に事業専用面積の割合(按分率)に応じて経費に計上できます。住宅ローンを利用している場合は、利息部分のみが按分経費の対象となり、元本返済分は経費にならない点に注意が必要です。

Q. 個人事業主はどのような保険に優先して加入すべきですか?

まずは病気やケガで働けなくなった際の収入減少をカバーする就業不能保険(所得補償保険)を検討してください。その上で、家族構成に合わせて生命保険や医療保険を追加するのがおすすめです。

Q. 予定納税を支払った分は、確定申告書のどこに書けばいいですか?

確定申告書第一表の「税金の計算」欄にある「予定納税額(第1期分・第2期分)」の箇所に、支払った合計額を記入します。これにより、年間の所得税額から前払い分が差し引かれ、最終的な納付額または還付額が計算されます。

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丸山 桃子

この記事を書いた人

丸山 桃子

アパレルEC運営支援・SNSコンサル

アパレル企業でMD・ECバイヤーとして勤務後、フリーランスに独立。アパレルブランドのEC運営支援・SNS運用を手がけ、ファッション・EC系の記事を執筆しています。

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