シングルマザーがダブルワークで働く進め方

丸山 桃子
丸山 桃子
シングルマザーがダブルワークで働く進め方

この記事のポイント

  • ✓シングルマザーのダブルワークについて
  • ✓在宅で選べる2つ目の仕事
  • ✓そして掛け持ちに頼らない選択肢までをデータをもとに整理しました

結論から書きます。シングルマザーがダブルワークを始めるとき、最初にやるべきなのは仕事探しではありません。手当と税金と社会保険の3つを確認することです。この確認を飛ばして掛け持ちを始めると、働く時間が増えたのに手元に残るお金がほとんど増えなかった、という事態が起きます。

この記事では、シングルマザーのダブルワークを、データで見た実態、始める前の確認事項、仕事の選び方、そして掛け持ちに頼らない選択肢という順番で整理します。感情論は抜きにして、数字とルールの話をします。

シングルマザーのダブルワークは、実は1割未満

まず実態から確認します。周りにダブルワークをしている人が多いように感じても、統計で見ると割合は高くありません。

厚生労働省の令和3年度全国ひとり親世帯等調査では、現在就業している母子世帯の母のうち、副業している人は7.2%です。ダブルワークをしているシングルマザーは1割未満にとどまっており、一般的な働き方ではありません。 出典: ream-hr.co.jp

この7.2%という数字は、2つの読み方ができます。1つは「少数派だからやめたほうがいい」。もう1つは「できる条件が揃った人だけがやっている」。私は後者だと考えています。ダブルワークには時間、体力、子どもを見てもらえる体制という3つの条件が必要で、この3つが揃わない人は始めたくても始められない。割合が低いのは、意欲の問題ではなく条件の問題です。

職種の内訳も参考になります。同じ調査を紹介した別の記事では、副業の職種としてサービス業が約28%と最も多く、次いで専門的・技術的職業が13%と報告されています。サービス業が多いのは、シフトの融通が利き、短時間から入れるからです。飲食、小売、清掃、介護の夜勤。一方で、専門的・技術的職業が2番目に来ているのは注目に値します。何らかのスキルを持っている人が、そのスキルを別の場所で売っている形です。

この2つの層には、収入の構造に大きな差があります。サービス業のダブルワークは時給制で、働いた時間だけ収入が増えます。予測しやすい反面、時間の上限がそのまま収入の上限になります。専門職のダブルワークは単価が上がる余地があるため、同じ時間でも収入が伸びていきます。ただし、始めるまでに準備期間が必要です。

どちらが正しいということはありません。今すぐ収入が必要ならサービス業型、1年から2年かけて収入を上げたいなら専門職型。自分の切迫度で選んでください。理想を言えば、今はサービス業型で月数万円を確保しながら、空き時間で専門職型のスキルを育てるという二段構えが、最も現実的です。

始める前に確認する3つのこと

ダブルワークの求人を探す前に、次の3つを確認してください。順番も大事です。

1つ目が、児童扶養手当への影響です。児童扶養手当には所得制限があり、収入が一定額を超えると支給額が段階的に減り、さらに超えると支給が止まります。ここで重要なのは、判定に使われるのが「その年の収入」ではなく「前年の所得」だという点です。つまり、今年ダブルワークを始めて収入が増えると、影響が出るのは翌年の支給額です。手当が減ることを知らずに翌年を迎えると、収入が増えた実感のないまま手当だけ減ったように感じます。増えた収入と減る手当の差し引きを、始める前に計算してください。所得制限の具体的な金額や計算方法は年度で改定されることがあるため、厚生労働省の公式サイトまたは自治体の窓口で最新の基準を確認するのが確実です。

2つ目が、その他の支援制度です。ひとり親家庭の医療費助成、保育料の減免、就学援助、公営住宅の家賃算定。これらの多くが所得を基準にしています。収入が増えたことで保育料が上がると、増えた分が相殺されることがあります。自治体の窓口で「収入がいくらになると何が変わるか」を、制度ごとに聞いてみてください。この質問は珍しいものではないので、遠慮する必要はありません。

3つ目が、本業の就業規則です。正社員でもパートでも、雇用契約には副業に関する定めがある場合があります。特に注意したいのが、同業他社での就業を禁じる条項です。飲食店で働いている人が別の飲食店でも働く、といったケースは引っかかる可能性があります。無断で始めて後から問題になるより、先に確認したほうが安全です。

この3つを確認すると、「いくらまで稼ぐのが得か」という境界線が見えてきます。境界線がわかると、仕事の選び方が変わります。月に3万円増やせばいいのか、10万円増やしたいのかで、選ぶべき仕事がまったく違うからです。

働き方の組み合わせは、大きく4パターン

実際の組み合わせ方を整理します。

組み合わせ 収入の目安 向いている人 注意点
正社員+在宅の業務委託 月3万円から10万円 平日夜に時間が取れる人 確定申告が必要
パート+パート 月4万円から8万円 日中に空きがある人 社会保険の扱いが複雑
正社員+週末のアルバイト 月3万円から6万円 子どもを預けられる人 休養日が消えやすい
在宅のみで複数案件 月5万円から15万円 スキルがある人 立ち上がりに時間がかかる

このうち、シングルマザーに最も現実的なのは1番目と4番目、つまり在宅の仕事を組み合わせる形です。理由は単純で、通勤時間がゼロだからです。往復1時間の通勤がある仕事を週2回入れると、月に8時間が移動に消えます。時給1,200円換算で月9,600円分の時間です。在宅ならこの時間がそのまま作業時間になります。

さらに、子どもの急な発熱に対応できる点も大きい。出勤型の仕事は、子どもが熱を出した日に休む連絡が必要で、それが続くと気まずくなります。在宅の業務委託なら、納期さえ守れば作業する時間帯は自由です。看病しながら深夜に作業する、という選択肢が持てます。

ただし、在宅の仕事にも欠点があります。最初の数ヶ月は収入がほとんど立ちません。実績がないと単価の高い仕事は受けられず、最初は低単価の仕事で実績を作る期間が必要です。この期間を耐えられるかどうかが分かれ目になります。だから、今すぐお金が必要な状況なら、まず出勤型で収入を確保してから在宅を育てる順番にしてください。

2番目のパート同士の掛け持ちについては、社会保険の扱いが複雑になる点だけ押さえておいてください。詳しくは後の章で説明します。

在宅ワークの全体像を職種ごとに比較したい場合は、仕事の種類と収入の目安、始め方までを一覧にした主婦の在宅ワークおすすめ12選|子育て中でもできる仕事と始め方【2026年版】が参考になります。子どもがいる前提での時間の組み方については、1日のスケジュール例を扱った子育てしながら在宅ワーク|ママ・パパが始める方法と時間管理のコツ【2026年版】のほうが実務的です。

2つ目の仕事を選ぶときの基準

どの仕事を選ぶかは、収入だけで決めないでください。判断軸は4つあります。

第1に、作業時間が読めるかどうか。子育てしながらの副業で一番厄介なのは、予定より時間がかかることです。「3時間で終わる」と思った作業が6時間かかると、その日のすべてが崩れます。作業時間が読めない仕事は、慣れるまで避けてください。データ入力、文字起こし、商品登録といった定型作業は、件数と時間の関係がはっきりしているので、最初の仕事として向いています。仕事の内容と単価の考え方はデータ入力・文字起こし・分類のお仕事にまとまっています。

第2に、中断できるかどうか。子どもが呼んだときに手を止められる仕事と、止められない仕事があります。電話対応やオンラインの接客は、決まった時間に必ず在席する必要があるため、中断ができません。一方、納品物を作る仕事は途中で止めても問題ない。ただし、チャットでの問い合わせ対応のように、時間帯が決まっていても在宅でできる仕事もあります。こうした業務の実態はカスタマーサポート・事務全般のお仕事で確認できます。

第3に、単価が上がる余地があるかどうか。同じ作業を1年続けても単価が変わらない仕事と、実績に応じて上がる仕事があります。長期的に見るなら、後者を選ぶべきです。文章を書く、画像を作る、SNSを運用する、といった仕事は、成果が数字で示せるため単価交渉がしやすい。

第4に、スキルが証明できるかどうか。未経験で仕事を探すとき、実績がないのが一番の壁になります。この壁を下げる方法の1つが資格です。事務系の在宅ワークなら、表計算の実務スキルを客観的に示せるMOS Excel(Microsoft Office Specialist)が、応募時の説得力を変えます。取得に何ヶ月もかかるものではないので、費用対効果は悪くありません。

ここで私自身の失敗を1つ書きます。在宅の仕事を始めたばかりの頃、単価の高さだけで案件を選んで、納期を守れなくなったことがあります。単価が高い案件は、求められる水準も高い。調べ物に想定の3倍の時間がかかり、結局は時給換算で安い仕事より下がりました。そのとき学んだのは、「自分がすでにできること」から入るのが結局は速いということです。未知の領域に挑戦するのは、収入が安定してからでいい。

税金は、2ヶ所給与と業務委託で扱いが違う

ここから制度の話です。まず税金から。

本業が給与、副業も給与という場合。年末調整は主たる勤務先1ヶ所でしか受けられません。副業先の給与は年末調整されないので、自分で確定申告をして精算する必要があります。副業の給与が年間20万円以下なら所得税の確定申告は不要とされていますが、住民税の申告は別途必要です。ここを知らずに何もしないと、後から自治体に指摘されます。

本業が給与、副業が業務委託という場合。副業の収入から経費を引いた所得が年間20万円を超えると、所得税の確定申告が必要です。経費には、在宅ワークで使う通信費や電気代の按分、パソコンやソフトの費用、参考書籍などが含められます。領収書は必ず保管してください。この20万円ルールは誤解が多い論点で、住民税まで含めた正確な扱いは副業収入20万円以下でも確定申告は必要?判断基準を解説に整理されています。

シングルマザーの場合、税制上の優遇があることも押さえておいてください。ひとり親控除という所得控除があり、要件を満たせば所得から一定額が控除されます。確定申告をする際は、この控除を必ず適用してください。適用を忘れると、本来払わなくていい税金を払うことになります。控除の要件は国税庁の公式サイトで確認できます。

そしてもう1つ重要なのが、確定申告をすると所得が正確に把握されるという点です。これは児童扶養手当や保育料の算定に直結します。副業の所得が正しく申告されていないと、後から遡って手当の返還を求められることがあります。申告は面倒ですが、結果的に自分を守ります。

確定申告の作業量を減らすコツを1つ。月末に15分だけ、その月の報酬と経費を表計算ソフトに記録する習慣をつけてください。1年分を2月に一気にやろうとすると、丸2日かかります。毎月15分なら年間3時間です。会計ソフトの無料プランでも、この程度の記録は十分にできます。

社会保険の壁は、掛け持ちだと計算が変わる

社会保険は、ダブルワークで最も誤解されやすい部分です。実際、この点で迷っている人は多いようです。

これからダブルワークをしようと考えているシングルマザーです。社会保険のことについて詳しい方教えてください。 ダブルワークをして合計金額が年収130万以上になったとき、それぞれの会社では社会保険加入の基準を満たしてなくてもやはり社会保険には加入しないとダメですか? 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

この疑問に対する考え方を整理します。社会保険の加入要件は、各勤務先ごとに判定されます。収入を合算して判定するわけではありません。したがって、2ヶ所のパート収入を合わせて年収130万円を超えていても、それぞれの勤務先で加入要件を満たしていなければ、その勤務先では加入対象になりません。

ここが重要な分岐点です。シングルマザーの場合、配偶者の扶養に入っているわけではないので、いわゆる130万円の壁は直接には関係しません。自分で国民健康保険と国民年金に入っているなら、収入が増えても保険料が増えるだけで、加入資格を失うといった問題は起きません。

むしろ考えるべきは逆の方向です。1ヶ所の勤務先で週20時間以上働き、月額賃金が88,000円以上などの要件を満たすと、その勤務先の社会保険に加入できます。厚生年金に加入すれば、将来受け取る年金が増えます。健康保険も、国民健康保険より保障が手厚い場合があります。つまり、2ヶ所に分散させて両方とも加入要件を満たさない状態より、1ヶ所にまとめて加入要件を満たすほうが、長期的には有利になることがあるのです。

この判断は個人の状況で変わるので、断定はできません。ただ、「社会保険に入らないように働く時間を調整する」という発想は、扶養に入っている人の考え方であって、シングルマザーにそのまま当てはめると損をする可能性があります。年金事務所や自治体の窓口で、自分のケースで試算してもらってください。制度の詳細は日本年金機構の公式サイトにも掲載されています。

なお、2ヶ所とも社会保険の加入要件を満たす場合は、「二以上事業所勤務届」を提出して、保険料を按分する手続きが必要になります。この場合は手続きが煩雑になるため、事前に勤務先の担当者に相談してください。

掛け持ちに頼らず、1本の収入を上げる道

ここまでダブルワークの進め方を書いてきましたが、正直なところ、掛け持ちは最終手段だと考えています。理由は、時間と体力が有限だからです。

ダブルワークで月5万円増やすのに、週10時間を使うとします。月40時間です。この40時間を、収入の上がる仕事に転職するための準備に使ったらどうなるか。資格を取る、ポートフォリオを作る、実務経験を積む。半年後に本業の月収が5万円上がれば、その後は追加の労働時間ゼロで同じ効果が続きます。

もちろん、転職は確実ではありません。ですが、ダブルワークで増やした5万円は、自分が働き続ける限り維持するために時間を払い続ける必要があります。一方、本業の収入が上がれば、その差は自動的に続きます。どちらが持続可能かは明らかです。

現実的な進め方は、両方を並行させることです。まずダブルワークで当面の資金を確保する。同時に、その仕事を「実績」として積み上げる。1年後に、その実績を持って本業の転職または単価交渉に臨む。この設計なら、掛け持ちの期間が無駄になりません。

たとえば、介護の資格を取って夜勤に入る選択肢があります。介護職は人手不足が続いており、資格を取れば単価が上がる構造がはっきりしています。全国平均と都道府県別の水準を確認できる介護職員の年収・単価相場を見ると、地域差と資格による差がわかります。データを見てから動くと、無駄な回り道が減ります。

応募書類を書く段階になったら、ダブルワークで得た経験を必ず書いてください。「家計のために掛け持ちをしていた」ではなく、「在宅で受注業務を月20時間担当し、納期遵守率100%を維持した」と書く。同じ事実でも、後者は評価される情報になります。書き方の型は職務経歴書の書き方完全ガイド|転職成功率を上げるコツ【2026年版】に具体例つきでまとまっています。

1日のスケジュールを、実際に紙に書いてみる

制度と仕事選びの話が続いたので、時間の現実に踏み込みます。ダブルワークが続くかどうかは、意志の強さではなく、スケジュールが物理的に成立しているかで決まります。

やってほしいのは、24時間を紙に書き出す作業です。起床、子どもの支度、通勤、本業の勤務、迎え、夕食、入浴、寝かしつけ、自分の睡眠。この固定の予定をすべて埋めたうえで、残った空白がどこにどれだけあるかを見ます。頭の中で「夜に2時間くらいできそう」と考えているときの2時間は、たいてい存在しません。書き出すと、実際に空いているのは1時間だったりします。

一般的に、子どもが小学生以下のシングルマザーの場合、まとまった時間が取れるのは寝かしつけの後です。21時から23時のあいだに1時間半から2時間。ここが主戦場になります。ただし、この時間帯は自分の体力が最も落ちている時間でもあります。判断力が必要な作業や、細かい確認が必要な作業は、この時間帯には向きません。

そこで有効なのが、作業を難易度で分ける方法です。頭を使う作業(構成を考える、調べ物をする、提案を書く)は、朝の30分や休日の午前に配置する。手を動かすだけの作業(入力、コピー、整形、送信)は夜に配置する。同じ2時間でも、この配分にするだけで進む量が変わります。

もう1つ、細切れの時間をどう使うかも考えてください。通勤の電車の中、子どもの習い事の待ち時間、昼休み。それぞれ15分から30分です。この時間に、まとまった作業はできません。できるのは、メールの返信、案件の確認、次にやることの整理といった「頭出し」です。頭出しをしておくと、夜に机に向かったとき、すぐ作業に入れます。夜の1時間のうち15分を「何をやるか思い出す時間」に使っているとしたら、それは細切れの時間に移せます。

そして、週に1日は予備日を作ってください。子どもの体調、学校行事、自分の疲労。予定が崩れる要因は必ず現れます。予備日がないスケジュールは、1回崩れると全部崩れます。予備日があれば、そこに寄せて立て直せます。この1日を最初から計算に入れておくと、納期の約束の仕方も変わります。週に10時間使える人は、8時間で終わる量だけ引き受ける。これが長く続けるための唯一のコツです。

よくある失敗を、先に知っておく

実際に起きやすい失敗を5つ挙げます。どれも事前に知っていれば避けられます。

1つ目は、始める前に家族や周囲に伝えていないケースです。実家や元配偶者に子どもを見てもらう前提でスケジュールを組んだのに、相手には話していなかった。当日になって断られて、仕事が回らなくなる。協力が必要な人には、始める前に「いつ、どのくらい、なぜ」を伝えてください。頼み方の具体性が上がると、引き受けてもらえる確率も上がります。

2つ目は、最初の月に詰め込みすぎるケースです。やる気がある最初の月に、3件も4件も引き受けてしまう。2ヶ月目に反動が来て、全部止まります。最初の月は1件だけにしてください。1件をきちんと納めて、そのサイクルが自分の生活に入るかどうかを確認する。入ると確認できてから2件目を足す。この順番を守った人は続いています。

3つ目は、単価の低い仕事を続けすぎるケースです。実績づくりのために単価の低い仕事から入るのは正しい判断ですが、3ヶ月経ったら必ず見直してください。同じ作業を続けていると、単価が上がらないまま時間だけが過ぎます。実績が5件たまったら、そこを根拠に単価交渉をするか、より条件のよい依頼を探す。動かない限り単価は上がりません。

4つ目は、確定申告の準備をしていないケースです。報酬の記録も領収書もない状態で年を越すと、2月から3月が地獄になります。しかも、経費として計上できたはずの支出を思い出せず、余分に税金を払うことになります。月末15分の記録を、最初の月から始めてください。

5つ目は、体調を崩すケースです。これが一番深刻です。シングルマザーが倒れると、家庭が止まります。睡眠時間を削って作業するのは、短期的には成立しますが、3ヶ月続くと必ず反動が来ます。私自身、在宅の仕事を始めた頃に夜通し作業する癖がついて、体調を崩して納期を落としたことがあります。そのとき痛感したのは、納期を守れないことの代償は、1日休むことの代償よりはるかに大きいということです。睡眠は作業時間の候補ではありません。ここだけは削らないでください。

そして、もし途中でやめることになっても、それは失敗ではありません。条件が揃わなければできないのがダブルワークです。統計上も1割に満たない働き方であることを思い出してください。やめる判断も、続ける判断と同じくらい正しい判断になり得ます。

手取りで考える。額面の数字に意味はない

最後に、お金の見方の話をします。

ダブルワークで判断すべきは、額面の報酬ではなく、手元に残る金額です。時給1,300円の仕事を月30時間で39,000円。ここから、通勤の交通費が自己負担なら差し引き、所得税と住民税が増える分を差し引き、保育料や手当が変わるならその分も差し引く。残った金額が、実際に増えるお金です。計算してみると、額面の6割から7割になることが珍しくありません。

在宅の業務委託でも同じです。仲介するサービスを使う場合、手数料が引かれます。手数料が20%なら、月5万円の仕事で手元に残るのは4万円。年間では12万円が消えます。これは、パートを月10時間増やすのと同じ金額です。

20年この市場を見てきた立場から言えば、長く続けている人ほど、この手数料の差を軽く見ていません。同じ仕事でも、仲介が入る経路と発注者と直接つながる経路では、数年単位で見たときの蓄積がまったく違ってきます。発注する側から見ても、中間マージンが乗らなければ同じ予算でより多く依頼できるので、双方が得をする構造になっています。手数料0%で直接つながる経路を1本持っておく。時間が限られている人ほど、この差が効きます。

運営者として見てきた限りでは、子育てをしながら在宅の仕事を続けている人には、はっきりした共通点があります。作業の速さではなく、連絡の確実さで評価されていることです。子どもの事情で予定が動くのは当然の前提として、動いたときに早めに伝える。できないことは早めに断る。この2つができている人は、発注側から見て安心して任せられるので、継続して依頼が来ます。逆に、質の高い納品物を作れても連絡が滞る人は、単発で終わります。時間が細切れにしか取れない人ほど、この信頼の部分で勝負したほうが効率がいい。これは20年変わっていない構造です。

よくある質問

Q. ダブルワークを始めると児童扶養手当は減りますか?

収入が所得制限を超えると段階的に減り、さらに超えると支給が止まります。判定に使うのは前年の所得なので、影響が出るのは翌年です。増える収入と減る手当を差し引きして、実際にいくら増えるかを先に計算してください。所得制限の基準額は年度で改定されることがあるため、自治体の窓口で最新の数字を確認するのが確実です。

Q. パートを2ヶ所掛け持ちすると、社会保険はどうなりますか?

加入要件は勤務先ごとに判定され、2ヶ所の収入を合算して判定するわけではありません。どちらも要件を満たさなければ加入対象になりません。ただし1ヶ所で週20時間以上などの要件を満たすと厚生年金に入れて将来の年金が増えるため、分散させるより1ヶ所にまとめたほうが有利になる場合があります。

Q. 副業の収入が20万円以下なら、確定申告しなくてよいですか?

所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は必要です。また、申告しないと所得が正しく把握されず、児童扶養手当や保育料の算定で後から問題になることがあります。ひとり親控除などの優遇を受けるためにも、確定申告をしておくほうが結果的に有利です。

Q. 在宅の仕事は、始めてどのくらいで収入になりますか?

実績がない状態からだと、最初の数ヶ月は低単価の仕事で実績を作る期間になります。すぐに収入が必要な状況なら、まず出勤型の仕事で当面の資金を確保し、空き時間で在宅の実績を育てる二段構えが現実的です。作業時間が読める定型業務から入ると、生活リズムを崩さずに始められます。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年1月3日最終更新:2026年10月1日
丸山 桃子

この記事を書いた人

丸山 桃子@SOHO編集部

アパレルEC運営支援・SNSコンサル

アパレル企業でMD・ECバイヤーとして勤務後、フリーランスに独立。アパレルブランドのEC運営支援・SNS運用を手がけ、ファッション・EC系の記事を執筆しています。

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