副業白色申告やり方 会社員が迷う経費と提出手順【2026年版】

中西 直美
中西 直美
副業白色申告やり方 会社員が迷う経費と提出手順【2026年版】

この記事のポイント

  • 副業白色申告やり方を会社員向けにやさしく解説
  • e-Taxでの提出手順
  • 20万円ルールの落とし穴まで網羅

「副業の白色申告って、どこから手をつければいいんでしょう…」

このご相談、本当に多いんです。会社の年末調整しか経験がないまま副業を始めて、気づけば申告期限が迫っている。レシートはぐちゃぐちゃ、freeeを開いても用語がわからない、税務署に電話する勇気もない。そんな状態で、一人パソコンの前で固まっている方が、毎年この時期、私のカウンセリングルームにいらっしゃいます。

大丈夫です。白色申告は、青色申告に比べると本当にシンプルにできています。簿記の知識がなくても、家計簿の延長でちゃんと終わります。今日は「副業白色申告やり方」を、心理的なハードルから事務的な手順まで、順番に整理してお話ししますね。読み終わるころには「これなら自分でできそう」と思えるはずです。

副業白色申告のやり方をざっくり一望する

まず全体像を掴むだけで、不安はぐっと小さくなります。副業をしている会社員が白色申告を行う流れは、大きく分けて6ステップです。

1つ目は「申告が必要かどうかの判定」、2つ目は「所得区分を決める」、3つ目は「収入と経費を整理する」、4つ目は「収支内訳書を作る」、5つ目は「確定申告書(第一表・第二表)を作る」、最後の6つ目が「e-Taxまたは郵送・窓口で提出する」。これだけです。

会社員の副業申告で意外に大きいのは、「何が経費で、何が経費にならないか」の線引きで悩む時間です。事務作業そのものよりも、その判断に時間を奪われる方が圧倒的に多いんですね。後半でその基準も具体的にお伝えします。

「全部理解してから始めないと…」と完璧主義になりがちな方は、ここで一呼吸してください。完璧な知識を仕入れてから動こうとすると、永遠に動けません。手を動かしながら覚えていく方が、結果的に早く終わります。

白色申告と青色申告の違い

副業を始めたばかりの方は、まず白色申告で十分です。違いを3点だけ押さえておきましょう。

帳簿の負担は、白色は「単式簿記」で家計簿レベル、青色は「複式簿記」で借方貸方を使います。控除額は、白色が0円、青色が最大65万円。事前手続きは、白色は不要、青色は「青色申告承認申請書」を提出期限内に出す必要があります。

会社員の副業で、年間の事業所得が数十万円程度であれば、白色申告で記帳の手間を減らすメリットは大きいです。所得が膨らんできて、控除の節税効果が記帳の手間を上回るタイミングで青色に切り替えれば良い。最初から完璧な体制を組もうとしなくて大丈夫です。

マイナンバーカードがあると一気にラクになる

副業白色申告のやり方で、近年もっとも大きな変化はe-Taxです。マイナンバーカードと、それを読み取れるスマホやICカードリーダーがあれば、自宅から完結します。税務署に並ばなくていい、書類を郵送しなくていい、控えの確認もマイページでできる。

副業で確定申告が必要なケースとは?

副業収入があったとしても、所得が20万円以下であれば所得税の確定申告は原則として不要です。反対に、副業で得た所得が20万円を超える場合は、所得税の確定申告をしなければいけません。確定申告の必要な方が申告や納税をしなかった場合、ペナルティを受ける可能性もあります。確定申告が必要かどうか、正しく判断できるようにしておきましょう。

ここでひとつ、よくある誤解を解いておきます。「20万円以下なら何もしなくていい」と思っている方が非常に多いのですが、これは「所得税の確定申告」が不要なだけです。住民税の申告は別途必要になります。後ほど詳しく解説しますね。

副業の確定申告が必要になるラインを正確に知る

副業白色申告のやり方を考える前に、そもそも「自分は申告が必要なのか」をはっきりさせましょう。ここを曖昧にしたまま進めると、申告すべきだったのにしていなかった、あるいは不要なのに焦って取り組んでしまった、という事態が起きます。

会社員(給与所得者)が副業の確定申告を要するのは、大きくいって次のいずれかに該当する場合です。

副業の所得が年間20万円を超える場合。給与を2か所以上から受け取っていて、本業以外の給与とその他所得の合計が20万円を超える場合。医療費控除やふるさと納税のワンストップ特例を使わずに寄附金控除を受けたい場合。住宅ローン控除(初年度)を受けたい場合。年末調整で処理できなかった所得や控除がある場合。

注意したいのは「収入」と「所得」の違いです。所得とは、収入から必要経費を引いた金額のこと。たとえば副業でアフィリエイト収入が50万円あっても、サーバー代やソフト代などの必要経費が30万円かかっていれば、所得は20万円です。

上記の場合、所得は「50万円-10万円=40万円」となります。複数の副業をしている方は、それぞれの副業の所得の合算が必要です。

複数の副業をしている方は要注意です。Webライターで15万円、ハンドメイド販売で8万円の所得があれば、合計23万円。20万円を超えるので申告対象になります。一つひとつは20万円以下でも、合算で超えれば対象です。

20万円ルールの大きな落とし穴

「副業の所得20万円以下なら申告不要」は、所得税の話に限った特例です。住民税には、この20万円ルールがありません。所得がいくらであっても、副業所得があれば住民税の申告は必要です。

国税庁のサイトでも、住民税については自治体に確認するよう案内されています。詳細は国税庁や、お住まいの市区町村の役所のウェブサイトで確認できます。確定申告書を提出した場合、税務署からその情報が市区町村に共有されるため、住民税の申告は自動的に処理されます。つまり、所得が20万円以下で確定申告をしない場合だけ、別途住民税の申告を自分でしなければならない、ということです。

「ばれなければいい」と考えてしまう方もいますが、これは絶対にお勧めしません。住民税の通知額がご自身の給与に対して不自然に高ければ、会社の経理担当者が気づきます。あとから「あれは何ですか」と聞かれる方が、申告漏れを指摘されるよりもずっと気まずいものです。

確定申告をするとお金が戻ってくる場合もある

副業の所得が20万円以下でも、確定申告をする「義務はないが権利はある」ケースがあります。源泉徴収で先に税金を引かれている副業(原稿料、講演料、デザイン料など報酬から10.21%引かれて振り込まれるタイプ)では、確定申告すれば多くの場合還付があります。

たとえばWebライターで源泉徴収済みの報酬が18万円、経費がほぼなくても、課税所得が低ければ天引きされた1万8千円程度がそのまま戻ってきます。「20万円以下だから出さない」は、損になるケースがあると覚えておいてください。

副業の所得区分を決める

副業白色申告のやり方で、ここが最初の山場です。所得区分によって、使う申告書類も計算方法も変わります。会社員の副業でよく出てくる区分は4つ

事業所得

継続性があり、独立性があり、営利性があり、社会通念上事業と認められる規模で行っている副業は事業所得になります。Webライター、デザイナー、エンジニア、コンサルタントなど、自分のスキルで継続的に稼いでいるケースです。

ただし、2026年現在、副業の事業所得認定は厳格化されています。国税庁の通達では、収入金額が300万円を超えなければ、原則として雑所得として取り扱うとされました。ただし「帳簿書類の保存があれば事業所得として取り扱う」という余地もあります。会社員の副業で、よほど大きく稼いでいなければ、白色申告では雑所得で処理するのが現実的です。

雑所得

副業所得の多くがここに分類されます。アフィリエイト、ポイ活、軽いライティング、フリマアプリでの転売(生活用品の処分は除く)、暗号資産、年金や原稿料の単発収入など。雑所得は青色申告ができないため、初めから白色申告(あるいは申告書類なしで雑所得欄に記入するだけ)で処理することになります。

雑所得で白色申告をする場合、収支内訳書ではなく、確定申告書の「雑所得」欄に直接金額を記入する方式になります。事業所得に比べて事務処理がさらにシンプルです。ただし、損失が出ても給与所得と損益通算ができない、青色申告特別控除が使えない、というデメリットがあります。

不動産所得

副業として不動産を貸し出している場合の所得です。マンション投資、駐車場経営、太陽光発電(条件あり)などが該当します。この場合は別途、不動産所得用の収支内訳書(不動産所得用)を使います。

給与所得

副業がアルバイトやパートで、給与として支払われているケースです。源泉徴収票が発行されます。給与所得の場合は、本業の源泉徴収票と副業の源泉徴収票を両方持って、確定申告書に転記します。経費の概念はなく、給与所得控除という形で自動的に差し引かれます。

迷ったときは、「契約書の名称」と「源泉徴収票が出るかどうか」で判断するとシンプルです。業務委託契約・請負契約・成果物への報酬・源泉徴収票が出ない、なら事業所得か雑所得。雇用契約・労働時間に対する給与・源泉徴収票が出る、なら給与所得です。

副業の収入と経費を整理する

副業白色申告のやり方で、もっとも時間を使うのがこの工程です。1年分のレシートを目の前にして、途方に暮れている方をたくさん見てきました。

まずやってほしいのは、銀行口座とクレジットカードを分けることです。今からでも遅くありません。来年からでいいので、副業用の口座とカードを作ってください。事業用とプライベートが混ざっていると、申告のたびに膨大な仕分け作業が発生します。これだけで、毎年の申告にかかる時間が半分以下になります。

収入の集計方法

副業の収入は、原則として「発生主義」で集計します。クライアントから検収が下りた日(あるいは納品日)が属する年の収入として計上します。「お金が振り込まれた日」ではないところが要注意。12月に納品して翌1月に振込なら、12月分の収入として処理します。

ただし、雑所得で前々年の収入が300万円以下の場合は「現金主義」も認められています。実際にお金が動いた日で集計する方式で、こちらの方がシンプルです。会社員の副業で雑所得なら、この特例が使えるケースが多いでしょう。

集計のコツは、クライアントごとに「請求書または取引明細を年度別フォルダに保存」「Excel等に日付・取引先・金額・源泉徴収額・備考を1行ずつ記録」していくこと。Webライティングでクラウドソーシングを使っているなら、サイトの取引履歴をCSVで吐き出せます。

源泉徴収額の集計を忘れがちですが、これを確定申告書に書き忘れると還付が受けられません。10.21%(100万円超の部分は20.42%)が天引きされている報酬は、振込明細や支払調書をチェックして、必ず集計してください。

経費にできるもの・できないものの線引き

副業白色申告のやり方で、もっとも質問が多いのが経費の判断です。原則は「副業の収入を得るために直接必要だった支出」。曖昧に聞こえますが、ここを判断するヒントは「業務関連性」と「事業比率」の2点です。

副業に明確に関連する支出は全額経費にできます。クラウドソーシングの手数料、専用ソフトのサブスク代、副業用のドメイン・サーバー代、副業のために購入した書籍・教材、取材交通費、副業専用のスマホ料金など。

プライベートと共用しているものは「家事按分」で部分的に計上します。自宅の家賃の一部、電気代の一部、通信費の一部、スマホ代の一部。事業で使う割合を合理的に算出して、その分だけ経費にします。たとえば自宅の3LDKのうち1部屋を副業専用にしているなら、家賃の25%程度を経費とする、といった具合です。

経費にできないものも明確にしておきましょう。本業の通勤費、副業に関係ない私服、家族で食べた食事、生命保険料(これは控除の方)、健康診断費用、所得税・住民税本体。

30万円以上の備品は減価償却

副業用に30万円以上のパソコンやカメラを買った場合は、その年に全額を経費にできず、複数年に分けて減価償却します。法定耐用年数はパソコンが4年、カメラが5年など。

ただし、10万円未満なら全額その年の経費、10万円以上20万円未満なら「一括償却資産」として3年で均等償却、30万円未満なら「少額減価償却資産の特例」(青色申告者のみ)といった選択肢もあります。白色申告では原則として10万円基準と耐用年数償却の組み合わせになります。

領収書がなくても経費にできる場合

「領収書をなくしてしまいました」というご相談もよくいただきます。原則は領収書・レシートを保存することですが、出金伝票で記録を残せば経費として認められるケースもあります。電車代やバス代など領収書が出にくいもの、香典・慶弔費(先方の招待状やお礼状を併せて保管)など。日付・金額・支払先・内容を書いた出金伝票で代用できます。

ただし、毎月のように出金伝票だけで処理していると、税務調査で説明を求められる可能性があります。原則は領収書を残す、出金伝票は例外的に、と覚えておいてください。

収支内訳書を作る

副業白色申告のやり方で、事業所得・不動産所得・山林所得がある人が必要になる書類が「収支内訳書」です。雑所得だけの方は不要ですが、事業所得として申告する方は必ず作成します。

収支内訳書は1ページ目に売上・経費・所得金額を集計し、2ページ目に売上の取引先別の内訳や、経費の内訳、減価償却費の計算などを書いていきます。

紙の書式を手で埋めようとすると挫折します。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使えば、画面の指示に従って入力するだけで自動的に書式が完成します。e-Taxと組み合わせれば、そのままオンライン提出までできます。

freeeやマネーフォワード クラウド確定申告などの会計ソフトを使うと、銀行・カードの明細を連携して、自動的に仕分けし、収支内訳書の形式で出力してくれます。年額1万円前後の費用がかかりますが、初めての副業申告で時間を節約したいなら、十分に投資価値があります。

売上の内訳

収支内訳書には、上位の取引先(売上の多い順)を記入する欄があります。主要な取引先や、月ごとの売上金額を書きます。クラウドソーシングサイトを通じての取引なら、サイト名(ランサーズ、クラウドワークス、@SOHOなど)を取引先として記入します。

経費の内訳

経費は科目ごとに集計します。代表的な科目は、租税公課、荷造運賃、水道光熱費、旅費交通費、通信費、広告宣伝費、接待交際費、損害保険料、修繕費、消耗品費、減価償却費、地代家賃、給料賃金、外注工賃、利子割引料、利子割引料、雑費。

副業の規模なら、通信費・消耗品費・地代家賃・旅費交通費・雑費くらいに集約されることが多いです。あまり科目を増やしすぎず、関連する支出はまとめて計上すると管理が楽です。

家事按分の根拠を残す

家賃や光熱費を按分する場合、その比率の根拠を残しておくと、税務署から問い合わせがあったときに安心です。「自宅の延床面積の○%を副業に使用」「1日のうち副業に使う時間が○時間」など、合理的な根拠をメモに残しておきましょう。

確定申告書(第一表・第二表)を作る

収支内訳書ができたら、確定申告書本体を作成します。白色申告の場合、使うのは「確定申告書 第一表・第二表」です。

第一表に書くこと

第一表には、収入・所得・所得控除・税額の計算が並びます。会社員の副業なら、本業の給与所得と副業の事業所得(または雑所得)を両方記入し、合算した所得から各種控除を差し引いて、税額を計算します。

本業の源泉徴収票は、会社から12月〜1月に発行されるので、それを手元に用意してから作成を始めると効率的です。「収入金額等」「所得金額等」「所得控除」のほぼすべての項目を、源泉徴収票から転記します。

第二表に書くこと

第二表には、所得の内訳(誰からいくらもらったか)、社会保険料控除・生命保険料控除の内訳、扶養親族の情報、住民税に関する事項などを記入します。

ここで重要なのが「住民税に関する事項」の欄です。副業分の住民税の徴収方法を「特別徴収(給与から天引き)」と「自分で納付」のどちらかから選びます。本業の会社に副業がばれたくない場合は、必ず「自分で納付」にチェックを入れてください。

ただし「自分で納付」を選んでも、副業が給与所得の場合は、特別徴収のみとなり選択できない自治体もあります。事業所得・雑所得なら確実に分離できます。

所得控除を漏らさず使う

副業の確定申告のついでに、年末調整で処理しきれなかった所得控除も忘れずに使いましょう。医療費控除(年間10万円または所得の5%を超える医療費)、寄附金控除(ふるさと納税で6自治体以上、またはワンストップ特例を使っていない場合)、生命保険料控除や地震保険料控除の追加分。

副業を始めると、社会保険料控除も意識した方がいいです。国民年金の追納や、iDeCo(小規模企業共済等掛金控除)に加入していれば、その分も全額控除できます。

e-Tax・郵送・窓口、提出方法の選び方

副業白色申告のやり方の最後の関門が、書類の提出です。提出方法は3つあり、おすすめはe-Taxです。

e-Tax(オンライン提出)

マイナンバーカードと、対応スマホ(あるいはICカードリーダー)があれば、自宅から24時間提出できます。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で書類を作成し、そのままe-Tax送信。控えはマイページからいつでもダウンロードできます。

メリットは、税務署に行く手間がない、夜中でも提出できる、書類の控えが電子的に残る、還付金が早く振り込まれる(通常2〜3週間)、源泉徴収票や控除証明書などの添付書類が省略できる(保管義務はあり)、青色申告特別控除の最大額65万円はe-Tax提出が条件など。

マイナンバーカードを持っていない方は、マイナポータルアプリで「ID・パスワード方式」(税務署で本人確認のうえ発行)も使えますが、こちらは経過措置で、いずれマイナンバーカード方式に一本化される見込みです。これを機にマイナンバーカードを作っておくと、来年以降の申告が劇的に楽になります。

郵送提出

確定申告書と添付書類を、所轄の税務署宛に郵送します。提出日は「消印日」になるので、申告期限の3月15日の消印があれば期限内提出として扱われます。控えを残したい場合は、申告書のコピーと返信用封筒(切手貼付)を同封すれば、税務署が受付印を押して送り返してくれます。

普通郵便でも可ですが、レターパックや簡易書留など追跡可能な方法を推奨します。万一の紛失リスクを避けられます。

税務署窓口で提出

税務署の窓口に直接持参する方法です。確定申告期間中(2月16日〜3月15日)は窓口が混雑し、長時間待つことになるので、できれば避けたい方法です。土日も特別開庁する日がありますが、それでも混雑します。

その場で職員に質問できるメリットはありますが、申告そのものに対する「相談」や「審査」はしてもらえません。あくまで「書類の受付」のみ。書類の書き方相談は、税務署の「相談窓口」または電話相談センターを利用しましょう。

提出期限と納付期限

確定申告の提出期限は、所得が発生した翌年の3月15日(休日の場合は翌平日)。所得税の納付期限も同日です。納付方法は、振替納税(口座引き落とし)、e-Taxからのダイレクト納付、コンビニ納付、クレジットカード納付、税務署窓口での現金納付。

期限を過ぎると、無申告加算税(5%〜20%)や延滞税(年2.4%〜8.7%程度、令和の特例税率)がかかります。たとえ少額でも、期限内に申告することが何より大切です。

副業白色申告で会社にばれない・トラブルを避けるための注意点

「会社に副業がばれたくない」というご相談、本当に多いです。心配な気持ち、よくわかります。私の在宅ワーカー向けカウンセリングでも、申告期の不安として一番多いテーマです。

住民税の徴収方法を「自分で納付」に

すでに少し触れましたが、確定申告書第二表の「住民税に関する事項」で「自分で納付」にチェックを入れます。これで副業分の住民税は、本業の給与から天引きされず、自分宛に納付書が届く形式になります。

ただし、副業が「給与所得」の場合(アルバイト・パート扱い)、自治体によっては自分で納付が選択できないケースがあります。事業所得・雑所得なら確実に分離可能です。

住民税の通知書を本業の経理が見て気づくケース

住民税の通知書には、給与所得以外の収入も「その他の所得」として記載されることがあります。通知書を経理担当者が確認した際、給与に対して住民税額が不自然に高ければ、副業を疑われる可能性は0ではありません。

このリスクを下げるには「自分で納付」の徹底に加え、副業所得が小規模なうちは特に問題になりにくいことを覚えておきましょう。

就業規則の副業規定を必ず確認

法律上、会社員の副業は原則として禁止できません(公務員などを除く)。ただし、就業規則で副業禁止または事前申請制を定めている会社は多くあります。万一ばれたとき、会社の規則を破っていた事実があると懲戒の対象になり得ます。

就業規則を一度確認し、可能であれば人事に「副業を始めたい」と相談するのが最も安全です。最近は副業解禁の流れで、ルールが緩和されている会社も増えています。

確定申告書の控えは大切に保管

確定申告書の控えは、各種ローン審査、保育園の入園申し込み、行政手続きなどで提出を求められることがあります。原則として7年間は保管しておきましょう。e-Tax提出ならマイページから随時ダウンロードできます。

帳簿書類の保存義務

白色申告でも、帳簿と取引書類の保存義務があります。法定帳簿(収入金額や必要経費を記載した帳簿)は7年、任意帳簿・書類は5年。領収書、請求書、納品書、銀行明細など、副業に関する書類は段ボール1箱でもいいので、年度別にまとめて保管しておいてください。

よくある副業ジャンル別の申告のコツ

副業白色申告のやり方は、ジャンルによって細かい論点が異なります。私が現場で見てきた代表的なケースを整理します。

Webライター・編集者の場合

クライアントごとに支払調書(または取引明細)を集めて、源泉徴収額を漏れなく集計してください。原稿料・ライティング報酬は10.21%の源泉徴収対象です(1回の支払いが100万円超の部分は20.42%)。経費としては、執筆用ソフト・取材交通費・書籍代・サーバー代など。執筆量によっては、報酬の単価相場(著述家,記者,編集者の年収・単価相場も参考になります)と経費のバランスを見直すこともできます。

エンジニア・プログラマーの場合

業務委託で開発を請け負っている場合、源泉徴収されないことが多いです。発生主義での売上計上に注意。経費としては、開発環境(PC・ソフト・サーバー)、書籍代、技術カンファレンス参加費、有料サブスク(GitHub Copilot、各種APIサービスなど)。スキルアップとしてアプリケーション開発のお仕事など案件を継続的に受けている方は、案件管理の延長で経費管理もしやすい職種です。報酬相場はソフトウェア作成者の年収・単価相場でチェックできます。

AIコンサル・運用代行の場合

近年急増しているのが、生成AIの導入支援や運用代行を副業にしているケースです。AIコンサル・業務活用支援のお仕事AI・マーケティング・セキュリティのお仕事のような業務委託では、契約形態によって所得区分が変わります。コンサル料は事業所得または雑所得、サブスク料金の代行は単純な代金回収なので売上として処理します。

デザイナー・イラストレーターの場合

イラスト報酬は10.21%の源泉徴収対象です。経費としては、ペンタブ・モニター・ソフト・素材集・参考資料・展示会出展料など。クリエイティブ系副業はビジネスマナーやコミュニケーションも大切で、ビジネス文書検定などの資格学習費も、業務関連性が説明できれば経費計上を検討できます。

IT・ネットワーク技術者の場合

ネットワーク系技術者で副業をする場合、たとえばCCNA(シスコ技術者認定)などの資格を活かしてセキュリティコンサルや構築支援を行うケースが増えています。資格関連の参考書代、認定試験受験料は、事業に直接関連していれば経費計上できます。ただし、新規取得のための受験料は「自己研鑽」として認められにくいケースもあるため、税理士に確認するのが安全です。

ハンドメイド販売・物販の場合

仕入れ・材料費・梱包資材・送料・プラットフォーム手数料が主な経費。在庫が残っている場合は「期末棚卸」が必要で、その分を経費から除外します。在庫管理が複雑になるので、会計ソフトの利用を強くお勧めします。

アフィリエイト・ブログの場合

ASPからの振込明細を集計します。サーバー代、ドメイン代、テーマ代、画像素材代、関連書籍などが経費です。広告収入が安定して300万円を超えれば事業所得として認められる余地が出てきますが、それまでは雑所得が一般的です。

副業申告で失敗しないためのスケジュール管理

私のカウンセリングルームで毎年2月にお会いする方々の共通点は「ぎりぎりまで放置していた」ことです。3月に入ってから泣きついて来られる方が本当に多い。

理想は、毎月10分でいいので「副業の取引明細を確認してExcelに転記する」習慣を作ること。難しければ、3ヶ月ごとに半日確保するだけでも違います。年末(12月)に1年分の集計のリハーサルをしておくと、2月の申告準備が驚くほど楽になります。

会計ソフトを使う方は、銀行口座・クレジットカードを連携設定しておけば、ほぼ自動で仕分けが進みます。月1回、ソフトを開いて修正があれば直す。その程度のメンテナンスで、確定申告期間が「データ確認だけ」で終わります。

「数字を見るのが苦手」という方は、まず1ヶ月だけでいいので、レシートを毎日財布から出して透明ファイルに入れる、という習慣を試してみてください。これだけで、申告期にレシートを掘り起こす絶望から解放されます。

実は、副業の収入や経費を管理する作業は、自分のビジネスの健康診断でもあります。「思ったより材料費がかさんでいる」「移動費が想像の3倍だった」「主力クライアントが1社に偏りすぎている」など、お金の流れを見ることで気づくことがたくさんあります。心理学的にも、自分のお金の動きを直視することは、自己効力感を高める作用があります。怖がらず、月1回でいいので見てみてください。

心が疲れやすい人のための副業申告メンタル術

副業を始めて1年目の方、特に会社員と兼業されている方は、申告期の1〜2月に体調を崩される方が非常に多いです。私のところにも「年明けから胃が痛い」「眠れない」というご相談が増えます。

「やらなきゃ」と思いながら動けない状態を、心理学では「先延ばし行動」と呼びます。これは怠惰ではなく、課題の難しさを過大評価する脳のクセです。実際には2〜3時間で終わる作業を、頭の中で「丸2日かかる大変な仕事」と膨張させてしまう。

対策としては、まず「タイマーで15分だけ取り組む」と決めてください。15分なら誰でもできます。それで終わらなくても、その日はそこで止めてOK。翌日また15分。これを7日続けるだけで、申告書の半分は仕上がっています。集中力を持続させるテクニックは、在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックでもご紹介しています。

それと、副業申告に取り組む時間を、自分の生活のリズムにきちんと組み込むことも大切です。1日のスケジュールを設計する例は、在宅ワーク主婦の1日のタイムスケジュール公開でも紹介していますので参考にしてみてください。

筆者自身、初めての確定申告のときは1年分のレシートを大きな紙袋に押し込んでいて、2月になってから本当に泣きそうになりました。ローカルカフェに紙袋を持ち込んで、毎週末3時間ずつ、1か月かけて集計しました。あの経験があるからこそ「翌年から月1回」を徹底するようになりました。失敗を経験することで、自分なりの仕組みができていきます。みなさんも、最初から完璧を目指さなくていいんです。

@SOHO独自データの考察|副業申告は「案件選び」で半分決まる

副業白色申告のやり方を知ることと同じくらい大切なのが、「申告しやすい案件選び」です。@SOHOで案件を継続的に受注している方々の傾向を見ていると、申告がスムーズな人にはいくつかの共通点があります。

1点目は、報酬の振込が同じプラットフォームに集約されていること。複数のクラウドソーシングサイトを掛け持ちすると、それぞれの取引履歴を別々に集計しなければなりません。プラットフォームを絞ることで、年末に「サイトの取引履歴CSV」を1つダウンロードするだけで集計が済みます。

2点目は、契約形態を業務委託・請負で統一していること。アルバイト感覚で時給ベースの仕事を混ぜると、給与所得と事業所得が混在し、所得区分の判断が面倒になります。

3点目は、振込日・支払サイトを把握していること。月末締め翌月末払いなど、振込時期が決まっていると、発生主義での売上計上もしやすくなります。

副業を継続的にやっていくなら、案件探しの段階から「申告しやすいかどうか」を視野に入れることを推奨します。クラウドソーシングサイトの選び方や、求人の見方は在宅ワークの求人の探し方5選|初心者でも安心な方法と注意点を徹底解説もあわせて参考になります。

@SOHOでは、業務委託の案件が中心で、手数料0%で報酬がそのまま受注者に支払われます。手数料が引かれていないので、報酬額がそのまま売上として集計でき、経理処理がシンプルです。複雑な手数料計算が不要なので、白色申告でExcel管理している方にとっても扱いやすい構造になっています。

副業を始めたばかりで「申告を意識するなんてまだ早い」と思われるかもしれません。けれど、案件を選び始めた今この瞬間から、申告期の自分を助けてあげる準備は始まっています。月に1度、10分でいいので「今月いくら稼いだか、いくら使ったか」を見る。たったそれだけで、来年の2月、あなたは穏やかな気持ちで申告書を開くことができます。

申告は怖いものではなく、自分のビジネスを見つめ直す大切な時間です。一人で抱え込まず、わからないところは税務署の電話相談(無料)や会計ソフトのヘルプセンターも活用しながら、自分のペースで進めていってください。一緒にがんばりましょう。

よくある質問

Q. 副業の所得が20万円以下なら本当に確定申告は不要ですか?

所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は市区町村に対して別途必要になります。所得税の申告を行えば住民税の手続きも自動で完了するため、将来を見据えてあえて確定申告を行うことをお勧めします。

Q. 副業の確定申告は売上20万円を超えたら必要ですか?

基準になるのは原則として売上ではなく、収入から必要経費を差し引いた所得です。副業所得が20万円を超える会社員は、確定申告が必要になるのが基本です。

Q. 副業の確定申告では本業の収入も書く必要がありますか?

はい。会社員の副業で確定申告をする場合、本業の給与収入と副業の所得を同じ申告書にまとめて記載します。源泉徴収票の内容をもとに入力します。

Q. 確定申告書は数種類あるようですが、どれを提出すればいいのでしょうか?

全員が必須となるのは基本情報や所得・税額をまとめた「第一表」と、所得の内訳や控除の明細を記載する「第二表」です。これらに加え、青色申告を選択している場合は4ページ構成の「青色申告決算書」も一緒に提出(または審査等で提示 )する必要があります。

Q. 副業で赤字が出た場合、確定申告をするメリットはありますか?

副業が「事業所得」として認められる場合、本業の給与所得と損益通算(赤字を差し引くこと)ができるため、源泉徴収された税金が戻ってくる可能性があります。ただし、「雑所得」の場合は損益通算ができません。

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中西 直美

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中西 直美

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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