小規模多機能型居宅介護の志望動機をどう書くか|ここを選んだ理由の組み立て方


この記事のポイント
- ✓小規模多機能型居宅介護の志望動機を
- ✓通い・訪問・泊まりを同じ職員で担う職場の特徴から組み立てる方法を解説します
- ✓採用担当者が見ている点
小規模多機能型居宅介護に応募しようとして、志望動機の欄で手が止まっている方へ。「利用者さんに寄り添いたい」「地域に貢献したい」と書いてみたものの、これならデイサービスでも特養でも同じだと気づいて、消してしまった。そんな経験はありませんか。
結論から言うと、小規模多機能の志望動機で大事なのは、「なぜ介護なのか」より「なぜ小規模多機能なのか」と「なぜこの事業所なのか」を書き分けることです。小規模多機能は、通い・訪問・泊まりを同じ事業所の同じ職員で担う、少し特殊な職場です。採用する側は、応募者がその特殊さを分かったうえで選んでいるのかを見ています。
これ、知らない人が本当に多いんです。仕組みを理解していることが一文で伝わるだけで、志望動機の説得力はぐっと上がります。この記事では、採用担当者が見ている点から、組み立ての型、立場別の例文、避けたい書き方、面接での話し方まで順に整理します。
採用担当者が小規模多機能の志望動機で見ていること
まず、読む側の立場に立ってみます。小規模多機能の管理者や採用担当者は、志望動機のどこを見ているのでしょうか。
1つ目は、仕事の幅を理解しているかどうかです。小規模多機能では、同じ職員が通いのフロアで入浴や食事の介助をし、訪問で利用者の自宅に行き、月に何度か夜勤にも入ります。送迎の運転を担当することもあります。採用する側がいちばん心配しているのは、「デイサービスのような仕事だと思って入ったら、訪問も夜勤もあって辞めてしまった」というすれ違いです。
2つ目は、予定の変更に対応できそうかどうかです。料金が月額定額なので、家族から「今日は夕方まで預かってほしい」「午後に一度見に行ってほしい」といった依頼が当日に入ります。そのたびに職員の配置を組み直すのが、この職場の日常です。決まった流れでしか動けない人は、続きにくいと判断されます。
3つ目は、少人数のチームで働けそうかどうかです。職員は非常勤を含めても十数人程度という事業所が多く、一人ひとりの働き方が職場全体に影響します。協調性という言葉を書くより、「どういう場面でどう動いてきたか」が伝わるほうが評価されます。
4つ目は、長く働いてくれそうかどうかです。小規模多機能は、なじみの職員が利用者と長く関わることに価値がある職場です。職員が短期間で入れ替わると、利用者、とくに認知症のある方が混乱します。だから採用する側は、応募者がその事業所で何年か働くイメージを持っているかを見ています。
逆に言えば、この4つに答える材料が入っていれば、飾った言葉を使わなくても志望動機は十分に伝わります。「寄り添いたい」「貢献したい」という言葉が悪いわけではありません。その言葉の後ろに、小規模多機能の仕組みを理解した具体的な理由があるかどうかが、読まれているのです。
もう1つ付け加えると、小規模多機能の管理者は、採用の面接だけでなく、送迎や夜勤に自ら入っていることも多い立場です。応募書類を読むのは、明日から一緒に現場に立つかもしれない人だということです。だからこそ、きれいな言葉より、「この人と一緒に朝の送迎を回せそうか」「急な訪問を頼んだときに動いてくれそうか」が想像できる書き方のほうが、ずっと響きます。志望動機は、その想像を助けるための材料だと考えてください。
小規模多機能の仕組みを、自分の言葉で説明できるようにする
志望動機を書く前に、小規模多機能がどういうサービスなのかを、自分の言葉で説明できるようにしておきます。ここがあいまいなまま書くと、どうしても一般的な介護の話になってしまいます。
小規模多機能型居宅介護は、1つの事業者と契約するだけで、「通い(デイサービス)」を中心として、要介護者の様態や希望に応じて、随時「訪問(訪問介護)」や「泊まり(ショートステイ)」のサービスを、組み合わせて利用できます。中重度となっても在宅での生活が継続できるように支援するものです(図1)。 出典: tyojyu.or.jp
つまり、ポイントは3つです。
1つ目は、1つの事業所で通い・訪問・泊まりを組み合わせること。利用者は、デイサービス、訪問介護、ショートステイを別々の事業所と契約する必要がありません。
2つ目は、利用者の状態や希望に応じて、随時組み合わせを変えること。週3日の通いだった方が、体調を崩して毎日の訪問に切り替える。家族の出張に合わせて3泊する。こうした変更に、同じ事業所が応えます。
3つ目は、中重度になっても在宅での生活を続けられるように支えること。施設に入るのではなく、住み慣れた家で暮らし続けたいという本人と家族の希望を支えるサービスです。
これに、登録定員が29人以下、1日の通いは原則15人以下、泊まりは9人以下という小さな単位で運営されていること、事業所に所属する介護支援専門員が利用者のケアプランを作ることを加えれば、基本は押さえられます。
志望動機の中で、この仕組みを長々と説明する必要はありません。「通い・訪問・泊まりを同じ職員が担うことで、利用者の生活を切れ目なく支えられる点に惹かれました」と一文入れるだけで、仕組みを理解して選んでいることが伝わります。
似た名前のサービスとの区別も押さえておきましょう。看護小規模多機能型居宅介護(看多機)は、小規模多機能に訪問看護を加えたサービスで、医療的なケアが必要な方の利用が多くなります。応募先がどちらなのかを取り違えて志望動機を書くと、それだけで「調べていない」と受け取られます。求人票のサービス種別の欄は、書き始める前に必ず確認してください。
志望動機の組み立ての型
小規模多機能の志望動機は、次の4つの段落で組み立てると書きやすくなります。
1. きっかけ:介護の仕事、あるいは在宅での介護に関心を持った具体的な出来事。
2. なぜ小規模多機能なのか:デイサービスや訪問介護、特養などではなく、小規模多機能を選んだ理由。
3. なぜこの事業所なのか:数ある小規模多機能の中から、応募先を選んだ理由。
4. 入職後にどう動きたいか:これまでの経験や自分の強みを、その事業所でどう活かしたいか。
履歴書の志望動機の欄は、200字から300字程度が目安です。4つの段落をそれぞれ1〜2文にまとめると、ちょうど収まります。面接では、この4つを少しふくらませて1分から2分程度で話せるようにしておきます。
型に沿って書くときのコツは、2と3を分けることです。多くの人が、2の「なぜ小規模多機能なのか」だけを書いて、3の「なぜこの事業所なのか」を書き忘れます。すると、「小規模多機能ならどこでもいいのでは」と受け取られてしまいます。どちらか一方が欠けていないか、書き終えたら必ず確かめましょう。
反対に、3だけを書いて2がない場合もあります。「家から近いから」「見学で雰囲気がよかったから」。これは正直な理由ですが、それだけでは、小規模多機能の仕事の幅を理解して選んでいるのかが伝わりません。
4の「入職後にどう動きたいか」も、抽象的になりやすい部分です。「精一杯頑張ります」「一日も早く戦力になりたいです」では、どう頑張るのかが見えません。「まずは通いの業務を覚え、半年後には訪問にも一人で出られるようになりたい」「前職の経験を活かして、家族との連絡調整を担いたい」と、場面や時期を具体的にすると、採用する側が入職後の姿を思い描けます。
以前、介護職への転職を考えている方から、履歴書の相談を受けたことがあります。その方の志望動機は、ご家族の介護の経験から始まる、とても気持ちのこもった文章でした。ただ、最後まで読んでも、なぜ小規模多機能なのかが書かれていなかったんです。一緒に話していくと、「母が認知症になったとき、デイサービスとショートステイで職員の顔が変わるたびに母が混乱した」という経験がありました。その一文を加えただけで、なぜ小規模多機能なのかが、誰が読んでも分かる志望動機になりました。
「なぜ小規模多機能なのか」を、他のサービスとの比較で書く
「なぜ小規模多機能なのか」を書くときは、他のサービスと比べると理由がはっきりします。自分がどこに惹かれたのかを、次の比較から探してみてください。
デイサービスと比べて:デイサービスは日中の通いだけですが、小規模多機能は訪問や泊まりもあり、利用者の自宅での暮らしまで見ることができます。「フロアでの様子だけでなく、家での生活を知ったうえで支援したい」という理由が書けます。
訪問介護と比べて:訪問介護はヘルパーが一人で自宅に行きますが、小規模多機能はチームで情報を共有しながら支援します。「訪問で気づいた変化を、通いや泊まりのケアにすぐ活かせる」という理由が書けます。
特養やグループホームと比べて:施設は利用者の生活の場そのものですが、小規模多機能は在宅での生活を続けるための場所です。「住み慣れた家で暮らし続けたいという希望を支えたい」という理由が書けます。
複数の事業所を組み合わせる場合と比べて:デイサービス、訪問介護、ショートステイを別々の事業所で使うと、場面ごとに職員が変わります。小規模多機能では、なじみの職員がすべての場面で関わります。「環境の変化に弱い認知症の方が、同じ顔ぶれの中で安心して過ごせる点に価値を感じた」という理由が書けます。
どれか1つを選んで、自分の経験と結びつけるのがコツです。全部を並べると、パンフレットの説明のようになってしまいます。
比較で理由を書くときは、「その違いが、働く自分にとって何を意味するか」まで書けると、さらに伝わります。たとえば「なじみの職員がすべての場面で関わる」という特徴は、働く側から見れば「一人ひとりの利用者について、覚えることが多く、責任も重い」ということです。「その責任を引き受けたうえで、利用者の暮らしを丸ごと知る仕事がしたい」と書ければ、仕組みの良い面だけでなく、大変な面も理解して選んでいることが伝わります。
注意してほしいのは、他のサービスを下げる書き方をしないことです。「デイサービスでは利用者の生活が見えない」「特養は流れ作業になりがち」と書くと、読む側によっては不快に感じます。応募先の法人がデイサービスや特養を併設していることもあります。あくまで「小規模多機能のこの点に惹かれた」という、前向きな書き方にしてください。
「なぜこの事業所なのか」を見つける調べ方
次に、応募先の事業所を選んだ理由です。ここは、調べた量がそのまま文章の具体さになります。
事業所や法人のホームページ
運営の理念、力を入れている取り組み、地域との関わり方を確認します。「看取りまで支援している」「地域の認知症カフェを開いている」「併設のグループホームと連携している」など、その事業所ならではの特徴が見つかることがあります。
介護サービス情報公表システム
厚生労働省が運営する介護サービス情報公表システムでは、事業所ごとの登録者数、職員の人数や経験年数、提供しているサービスの内容などを調べられます。職員の経験年数が長い事業所であれば、「経験のある先輩のもとで学びたい」という理由にもつながります。
運営推進会議の取り組み
小規模多機能などの地域密着型サービスでは、利用者や家族、地域の住民、市町村の職員が参加する運営推進会議を、おおむね2か月に1回開くことになっています。ホームページで会議の報告を公開している事業所もあります。地域とどう関わっているかが分かり、志望動機の材料になります。
見学や体験
見学で感じたことは、いちばん説得力のある材料です。事業所によっては、利用を検討する方向けの体験利用を行っているところもあります。
本会の小規模多機能型居宅介護施設では無料体験利用のご案内ができます。送迎も対応していますのでお気軽にご相談ください。 ※お申し込みやご相談は施設へ直接ご連絡をお願いします。 出典: tottoricity-syakyo.or.jp
これは利用者向けの案内ですが、こうした取り組みをしている事業所は、地域に開かれた運営を大切にしているということでもあります。働く側としての見学は、応募前に電話で相談すれば受け入れてくれる事業所が多いです。見学では、職員同士の声のかけ方、利用者が職員を名前で呼んでいるか、管理者が現場に出ているかを見ておくと、志望動機に書ける具体的な場面が見つかります。
「見学のとき、職員の方が利用者さん一人ひとりの好きな話題を自然に交えながら声をかけていて、なじみの関係が大切にされていると感じました」。こうした一文は、どの事業所にでも使える言葉ではないので、読む側に強く伝わります。
例文1:介護の仕事が未経験の場合
ここからは、立場別の例文を紹介します。そのまま使うのではなく、自分の経験に置き換えて組み立ててください。
例文
祖母の介護をきっかけに、住み慣れた家での暮らしを支える仕事に関心を持ちました。祖母はデイサービスとショートステイを別々の事業所で利用していましたが、場所や職員が変わるたびに落ち着かなくなり、家族としても対応に悩みました。通い・訪問・泊まりを同じ職員が担う小規模多機能であれば、環境の変化に弱い方も安心して過ごせると考え、この働き方を志望しています。貴事業所を見学した際、職員の方々が利用者さんの生活歴を踏まえて声をかけている姿を拝見し、ここで一から学びたいと感じました。前職の接客業で身につけた、相手の表情から要望をくみ取る力を活かしながら、まずは通いの業務を確実に覚え、訪問や夜勤にも対応できる職員を目指します。
ポイント
未経験の場合、介護の技術がないことを気にする必要はありません。小規模多機能は、無資格・未経験から採用している事業所も多い職場です。大事なのは、仕事の幅を理解していることと、段階的に覚えていく姿勢です。
例文では、「まずは通いの業務を確実に覚え、訪問や夜勤にも対応できる職員を目指します」と書いています。これで、訪問も夜勤もある職場だと分かったうえで応募していることが伝わります。
前職の経験は、介護と直接関係がなくてもかまいません。接客、営業、事務、飲食など、人と関わる仕事で身につけたことは、家族との連絡調整や利用者とのコミュニケーションで活きます。ただし、「コミュニケーション能力があります」と書くだけでは伝わりません。どんな場面で、何ができたのかを一言添えてください。
家族の介護の経験がない場合は、ボランティアや地域の活動、介護職員初任者研修を受講したときの実習など、介護に関心を持った具体的な出来事を書きます。「ニュースで介護人材の不足を知って」という理由は、きっかけとしては弱くなりがちです。
資格を持っていない場合は、取得の予定を書いておくと前向きな印象になります。「現在、介護職員初任者研修を受講中で、来月修了予定です」「入職後に初任者研修の取得を目指します」。小規模多機能の訪問に入るには、初任者研修以上を求める事業所が多いので、資格取得の支援制度があるかどうかを面接で聞く流れにもつなげられます。
例文2:デイサービスや特養での経験がある場合
デイサービス経験者の例文
デイサービスで4年間、通所の利用者さんの入浴や機能訓練、送迎を担当してきました。その中で、帰りの送迎で自宅に着いた利用者さんが、家の中では転びそうな段差や散らかった台所の中で暮らしていることに気づき、日中の支援だけでは届かない部分があると感じるようになりました。通いに加えて訪問や泊まりにも同じ職員が関わる小規模多機能であれば、フロアで見た変化を自宅での支援にすぐ活かせると考え、志望しています。貴事業所が看取りまで在宅での生活を支えていると伺い、利用者さんの暮らしを最後まで見届けられる環境で経験を積みたいと考えました。デイサービスで培った送迎の運転や集団での見守りの経験を活かし、訪問と夜勤の業務も早く覚えて、チームの戦力になりたいと考えています。
特養経験者の例文
特別養護老人ホームで6年間、夜勤を含む介護業務に携わってきました。入居される方の中には「本当は家に帰りたかった」と話される方が多く、自宅での生活を少しでも長く続けられる支援に携わりたいと考えるようになりました。小規模多機能は、中重度の方でも通い・訪問・泊まりを組み合わせて在宅での暮らしを支えられる点に魅力を感じています。貴事業所では認知症の方の受け入れに力を入れていると伺い、特養で経験した認知症ケアと夜間の対応を活かせると考えました。在宅での支援は初めてになるため、訪問での生活支援や家族との連絡調整を一から学び、利用者さんとご家族の両方から信頼される職員を目指します。
ポイント
経験者の場合、採用する側が気にするのは「前の職場のやり方にこだわらないか」です。小規模多機能は、その日ごとに組み直す働き方なので、決まった流れに慣れた人ほど最初に戸惑うことがあります。
例文では、「訪問と夜勤の業務も早く覚えて」「在宅での支援は初めてになるため、一から学び」と、新しく覚えることがあると自覚していることを書いています。これがあると、経験を活かしつつ柔軟に動ける人だと伝わります。
転職の理由が前の職場への不満であっても、志望動機には前向きな言葉で書きます。「前の職場では夜勤が多すぎた」ではなく、「在宅での暮らしを支える仕事に携わりたい」と、次にやりたいことを軸にしてください。
介護福祉士の資格を持っている方は、資格そのものより、資格を取るまでの実務で何を学んだかを書くほうが伝わります。「介護福祉士を取得しています」は履歴書の資格欄で分かることです。志望動機には、「実務者研修で学んだ認知症の方への関わり方を、なじみの関係の中で深めたい」のように、資格の中身と小規模多機能の特徴を結びつけて書いてください。
例文3:訪問介護の経験者や看護職員、ブランクがある場合
訪問介護経験者の例文
訪問介護のサービス提供責任者として5年間、独り暮らしの高齢者の生活支援に携わってきました。訪問の時間が決まっているため、利用者さんの体調が悪そうな日にも、次の訪問先へ向かわなければならないことがありました。小規模多機能では、状態に応じて訪問の回数を増やしたり、通いや泊まりに切り替えたりできるため、利用者さんの変化にその日のうちに応えられると考えています。貴事業所は地域の見守り活動にも参加されていると伺い、在宅での暮らしを地域ぐるみで支える姿勢に共感しました。訪問介護で身につけた在宅での観察力とご家族との連絡調整の経験を活かし、通いや泊まりの業務も覚えながら、チームの中で情報をつなぐ役割を担いたいと考えています。
看護職員の例文
病院の病棟で7年間勤務し、退院支援にも関わってきました。退院される方の中には、在宅での医療的な見守りが必要なのに、サービスの組み合わせが難しく再入院になる方もいました。小規模多機能では、通い・訪問・泊まりを通して同じ職員が利用者さんを見守れるため、看護職員として体調の変化に早く気づき、介護職員の方々と連携して在宅での生活を支えられると考えています。貴事業所が協力医療機関と連携して看取りにも取り組まれていると伺い、病院で培った観察とアセスメントの経験を活かしたいと志望しました。介護職員の方が迷わず相談できる関係を築き、チーム全体で利用者さんの暮らしを守ることに力を尽くします。
看護職員として応募する場合、小規模多機能では看護職員の配置が少なく、介護職員から相談を受ける立場になることが多いです。「一緒に働く介護職員が相談しやすい看護職員になりたい」という視点を入れると、採用する側の安心につながります。看護師の働き方や給与の相場を病院や訪問看護と比べておきたい方は、職種ごとの分布をまとめた看護師の年収・単価相場が参考になります。
ブランクがある場合
子育てや家族の介護などで仕事を離れていた期間がある場合は、ブランクを隠す必要はありません。「子育てが落ち着いたため、以前から関心のあった在宅介護の仕事に復帰したい」と、復帰の理由を一言添えれば十分です。
そのうえで、働ける時間の条件がある場合は、志望動機ではなく本人希望欄や面接で伝えます。小規模多機能は日勤のみのパートや、短時間の働き方を用意している事業所もあるので、条件を正直に伝えたうえで相談するほうが、入職後のすれ違いを防げます。
避けたい書き方と、書いてはいけないこと
志望動機で避けたい書き方を整理しておきます。
条件だけを理由にする
「家から近いから」「給与がよいから」「夜勤手当が多いから」。これらは大切な条件ですが、志望動機の中心に置くと、条件のよい別の職場があればすぐに移るのではと受け取られます。条件は、面接で確認する項目として別に考えておきましょう。
どこにでも使える言葉だけで書く
「利用者様に寄り添いたい」「笑顔あふれる介護をしたい」「地域に貢献したい」。気持ちは伝わりますが、小規模多機能でも、デイサービスでも、特養でも同じ文章が使えてしまいます。必ず、小規模多機能の仕組みや、応募先の事業所の特徴と結びつけてください。
仕事の幅を理解していないように見える
「日中の介護に専念したい」「決まった業務をしっかりこなしたい」。これは悪い言葉ではありませんが、小規模多機能の志望動機としては、仕事の幅を理解していないように読めます。夜勤なしを希望する場合も、「夜勤はしたくない」と書くのではなく、面接で事情とあわせて相談します。
事実と違うことを書く
これは書き方の問題ではなく、書いてはいけないことです。持っていない資格を書く、実際より長い経験年数を書く、といった履歴書の虚偽の記載は、入職後に発覚すれば、就業規則に基づく懲戒の対象になることがあります。重大な経歴の詐称は、解雇が有効と判断された裁判例もあります。
とくに介護の資格は、正式な名称で書いてください。「ヘルパー2級」は現在の「介護職員初任者研修」に移行していますが、取得した当時の名称で「訪問介護員2級養成研修課程修了」と書くのが正確です。介護福祉士の実務経験の年数を書く場合も、勤務した期間を正確に数えておきましょう。
※経歴の書き方で判断に迷う場合や、前職との間でトラブルを抱えている場合は、ハローワークの相談窓口や専門家に相談してください。
使い回しの跡が残っている
複数の事業所に応募していると、志望動機を使い回したくなります。構成の型を使い回すのはかまいませんが、事業所の名前を書き換え忘れる、別の事業所の取り組みを書いたままにする、看多機向けの文章を小規模多機能に出してしまう、といったミスは意外と多いです。これをやると、どれだけ内容がよくても「うちでなくてもいいのだろう」と受け取られます。提出する前に、事業所名とサービス名、事業所の特徴を書いた一文を、応募先ごとに必ず読み直してください。
面接で志望動機を話すときのコツと、確認しておくこと
履歴書の志望動機は、面接でほぼ必ず掘り下げられます。書いた内容を、少しふくらませて話せるようにしておきましょう。
よく聞かれる質問
・なぜデイサービスや訪問介護ではなく、小規模多機能を選んだのですか ・夜勤や訪問、送迎の運転について、どう考えていますか ・当日に予定が変わることが多い職場ですが、対応できそうですか ・前の職場を辞めた理由、辞めようと思った理由は何ですか ・うちの事業所で、何年くらい働きたいと考えていますか
志望動機を4つの段落で組み立てておけば、これらの質問にも同じ軸で答えられます。「予定の変更に対応できそうか」と聞かれたら、「前の職場でも、急な欠勤の穴を埋めるために担当を組み替えることがありました」と、実際の経験を1つ挙げると説得力が出ます。
逆質問で確認しておくこと
面接の最後に「何か質問はありますか」と聞かれたら、働き方を具体的に確認するよい機会です。これは、自分を守るためにも大切なことです。
・夜勤は月に何回くらいで、夜勤は何人の体制ですか ・訪問の担当は、専任の方ですか、持ち回りですか ・当日の利用の変更が入ったとき、どなたが職員の配置を決めていますか ・入職後、独り立ちまでの期間はどのくらいですか
こうした質問は、仕事への関心の高さとして受け取られることが多いです。
労働条件は書面で確認する
最後に、法律の話を1つ。内定が出たら、労働条件を書面で確認してください。労働基準法では、雇い入れのときに、契約期間、就業の場所と業務の内容、労働時間、休日、賃金の決め方、退職に関することなどを、書面などで明示することが事業主に義務づけられています。2024年4月からは、就業の場所と業務の内容が将来変わる可能性がある範囲についても明示することになりました。
つまり、「併設のグループホームに応援に入ることがあるのか」「将来ほかの事業所に異動することがあるのか」も、書面で確認できるということです。面接で聞いた夜勤の回数や手当の額が、労働条件通知書と食い違っていないかも見ておきましょう。
実際に明示された労働条件が事実と違っていた場合、労働者は即時に労働契約を解除できることも、労働基準法で定められています。これ、知らない人が本当に多いんです。もちろん、いきなり辞めるより、まずは事業所に確認して話し合うのが先ですが、書面で条件を受け取っておくことが、自分を守る土台になることは覚えておいてください。
現場を長く見てきた立場から、志望動機に悩む人へ
働く人と職場の組み合わせを長く見てきた立場から言うと、介護の現場で長く働いている人の志望動機は、決して上手な文章ではありません。ただ、「なぜここなのか」が、その人自身の経験とつながっています。
志望動機を考えることは、採用されるための作業であると同時に、自分がその職場で続けられるかを確かめる作業でもあります。「なぜ小規模多機能なのか」を書こうとして、どうしても理由が出てこないなら、もしかすると、デイサービスや訪問介護のほうが合っているのかもしれません。それに気づけたなら、それも志望動機を考えた成果です。
逆に、仕組みを調べ、見学に行き、自分の経験と結びつけて書けた志望動機は、面接で何を聞かれてもぶれません。そして、入職後に大変なことがあっても、「自分はこういう理由でここを選んだ」と立ち返る場所になります。
志望動機を書いたら、提出する前に一晩置いて読み直すことをおすすめします。書いた直後は気持ちが入っているので、自分では伝わっているつもりになりがちです。翌日に読み直して、「この文章は、ほかの小規模多機能にも出せてしまわないか」「この事業所の管理者が読んで、自分の姿が浮かぶか」を確かめてください。ここで引っかかる部分があれば、見学で感じたことや自分の経験を1つ足すだけで、文章はぐっと具体的になります。
自分の経験をどう言葉にすればよいか、一人で整理するのが難しいときは、専門家と話してみるのも1つの方法です。これまでの職歴の棚卸しや、職場選びの軸づくりを支援する専門職としてキャリアコンサルタントがあり、資格の役割と相談できる内容がまとめられています。また、転職の迷いや職場の悩みを聞く仕事の中身は職場・転職・キャリア相談のお仕事で紹介されています。
応募先の給与の条件が妥当かどうかを判断するときは、介護職員の給与の分布をまとめた介護職員の年収・単価相場で、地域や経験による相場を確認しておくと安心です。
志望動機は、うまく書くことより、正直に、具体的に書くことが大切です。自分で調べて、自分で選んだ理由であれば、それは必ず読む人に届きます。法律も、そうして自分で確かめながら職場を選ぶ人の味方です。
よくある質問
Q. 小規模多機能型居宅介護の志望動機では何を書けばよいですか?
きっかけ、なぜ小規模多機能なのか、なぜその事業所なのか、入職後にどう動きたいかの4つで組み立てると書きやすくなります。とくに、通い・訪問・泊まりを同じ職員が担う仕組みを理解して選んだことが伝わる一文を入れると、デイサービスや特養でも使える志望動機との差がはっきりします。
Q. 未経験でも小規模多機能の志望動機は書けますか?
書けます。無資格・未経験から採用している事業所も多く、介護の技術より、仕事の幅を理解していることと段階的に覚える姿勢が見られます。家族の介護や前職の接客経験など、人と関わった具体的な場面を挙げ、まずは通いの業務を覚えて訪問や夜勤にも対応したいと書くと伝わりやすくなります。
Q. 志望動機に「家から近い」と書いてもよいですか?
通勤のしやすさは長く働くうえで大切な条件ですが、それだけを理由にすると、条件のよい職場があれば移るのではと受け取られます。小規模多機能を選んだ理由と事業所の特徴を中心に書き、通勤や給与などの条件は面接で確認する項目として分けて考えるのがおすすめです。
Q. 面接で志望動機以外に確認しておくべきことは何ですか?
夜勤の回数と人数、訪問の担当のしかた、当日の予定変更を誰が組み直すか、独り立ちまでの期間を確認しておくと、入職後のすれ違いを防げます。内定後は労働条件通知書で、業務の内容や就業場所の変更の範囲、賃金、労働時間が面接で聞いた内容と一致しているかを必ず確かめてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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