居宅介護支援事業所の志望動機をどう書くか|ここを選んだ理由の組み立て方

長谷川 奈津
長谷川 奈津
居宅介護支援事業所の志望動機をどう書くか|ここを選んだ理由の組み立て方

この記事のポイント

  • ✓居宅介護支援事業所の志望動機を
  • ✓その事業所の中で実際に何が起きているかから組み立てる方法を解説します
  • ✓施設ケアマネや地域包括との違い

居宅介護支援事業所の志望動機を書こうとして、「利用者様に寄り添いたい」「ケアマネジャーとして成長したい」の2文から先に進めなくなっていませんか。実はこの2文、施設ケアマネにも地域包括支援センターにも、どこにでも出せる文章です。採用する側から見ると、なぜ居宅なのか、なぜこの事業所なのかが1つも書かれていません。

結論から言うと、居宅介護支援事業所の志望動機は「居宅でしか起きないこと」と「その事業所にしかない条件」を材料にすると書けます。つまり、職種への憧れではなく、職場の中身を知っていることを示す文章にするのです。これ、知らない人が本当に多いんです。この記事では、居宅介護支援事業所の1日と人員体制、他の職場との違い、求人票と公表情報の読み方を順に整理し、最後に経歴別の組み立て例まで示します。

採用側が志望動機で確かめているのは「入ってから辞めないか」

まず、採用する側の事情を押さえておきます。ここを知らないまま書くと、どうしても的外れな文章になります。

居宅介護支援事業所は、介護支援専門員(ケアマネジャー)が在宅の要介護者のケアプランを作る事業所です。人員基準では、常勤のケアマネジャーを1人以上置き、利用者44人ごとに1人を基準に配置することが求められています(令和6年度の介護報酬改定で、それまでの35人から見直されました)。管理者は原則として主任介護支援専門員です。

つまり、ケアマネジャーが1人辞めると、その人が抱えていた利用者30件から40件前後を、残りのメンバーで引き受けるか、新規の受け入れを止めるしかありません。常勤2人から3人の小さな事業所では、1人の退職が事業所の存続に直結します。事業所の数は全国で3万か所台と多いものの、ここ数年は減少傾向にあり、その背景の1つがこの人員の脆さです。

もう1つ、居宅介護支援は介護職員等処遇改善加算の対象になっていません。施設や訪問介護の介護職には加算による上乗せがありますが、居宅のケアマネジャーにはその仕組みが直接届きません。そのため、介護職から転職すると月給が下がるケースがあり、「思っていたのと違う」と早期に離職する人が一定数います。

こうした事情から、採用担当者が志望動機で見ているのは、文章のうまさではありません。次の3点です。

・居宅の仕事の実態(移動、単独行動、書類、締切)を分かったうえで応募しているか ・前の職場との落差(収入、夜勤手当の消失、1人で判断する重さ)を織り込んでいるか ・うちの事業所の条件を見て選んでいるか、どこでもよかったのか

私が以前、介護業界から相談を受けたときにも、同じ話を聞きました。ある小規模事業所の管理者さんが「志望動機がきれいな人ほど、3か月で辞める」と話していたんです。理由を聞くと、きれいな志望動機は理念の話ばかりで、担当件数や移動の話が1つも出てこない。つまり、仕事の中身を見ずに応募しているから、入ってから落差に耐えられないということでした。

この視点を持つと、志望動機に書くべき中身が変わります。「寄り添いたい」の代わりに、「在宅の利用者を1人で訪問し、複数の事業所と調整する働き方を、前職のこの経験から選んだ」と書く。これが、採用側の不安に答える文章です。

居宅介護支援事業所の中で毎日起きていること

志望動機の材料は、職場の実態から拾います。ここでは居宅介護支援事業所の1日を追いながら、他の職場にはない特徴を整理します。

営業時間は、平日の日中が中心です。たとえば公開されている事業所の案内には、次のように書かれています。

TEL :0858-76-0707FAX :0858-76-0708Mail:[email protected]   (居宅介護支援)営業時間:8:30~17:30休業日: 土日休み 出典: resi-bu.jp

土日休み、8時30分から17時30分。この形は居宅介護支援事業所ではよく見かけます。ただし、事業所が閉まっている時間に何も起きないわけではありません。

典型的な1日はこう動きます。朝に事務所へ出勤し、FAXとメールを確認します。夜間に入った病院からの入院連絡、ヘルパー事業所からの「昨日訪問したら様子がおかしかった」という報告が届いています。朝のうちに電話で確認し、必要ならその日の予定を組み替えます。

午前中は利用者宅への訪問です。ケアマネジャーには、原則として月1回以上、利用者の居宅を訪問してモニタリングを行う義務があります(令和6年度の改定で、一定の条件のもとテレビ電話装置等を使ったモニタリングも認められましたが、少なくとも2か月に1回は訪問が必要です)。担当が35件なら、月に35回以上の訪問が発生する計算です。1日に2件から4件、車や自転車で回ります。

午後はサービス担当者会議や、退院前カンファレンスが入ります。利用者宅に、訪問介護、訪問看護、福祉用具、デイサービスの担当者が集まり、ケアマネジャーが司会をします。病院の医療連携室から「来週退院なので在宅の準備を」と打診があれば、数日のうちにサービスを組み立てなければなりません。

夕方に事務所へ戻り、支援経過記録を入力し、翌月のサービス利用票を作ります。月末から月初はさらに忙しくなります。サービス事業所から実績を回収し、給付管理票を毎月10日までに国民健康保険団体連合会へ提出するためです。この締切は動きません。

人員体制で見ると、居宅介護支援事業所は「全員が外にいる職場」です。常勤ケアマネジャーが2人から5人程度、事務員がいればもう1人。管理者も担当件数を持っていることがほとんどです。施設のように、隣に同僚がいて相談できる環境ではありません。判断に迷う場面は、利用者宅の玄関先で1人で起きます。

また、特定事業所加算を算定している事業所では、24時間連絡が取れる体制を整えることが要件になっています。つまり、営業時間外も携帯電話を当番制で持つということです。求人票に「オンコールなし」と書かれていても、特定事業所加算を取っているなら、何らかの形で時間外の連絡体制があるはずです。ここは面接で確認すべき点でもあります。

志望動機の材料として拾えるのは、この中の「自分が向いている部分」です。1人で訪問して判断することに抵抗がない、複数の事業所との調整が得意、月初の締切に向けて段取りを組むのが苦にならない。こうした具体的な行動を、前職の経験と結びつけて書きます。

施設ケアマネ・地域包括・病院の相談員との違い

志望動機で「なぜ居宅なのか」を書くには、比較の軸が必要です。同じケアマネジャーの資格、あるいは同じ社会福祉士の資格でも、職場によって任される範囲がまったく違います。

主な違いを表にまとめます。

比較の軸 居宅介護支援事業所 施設ケアマネ(特養・老健など) 地域包括支援センター 病院の医療相談員
対象者 在宅の要介護1から5 施設の入所者 要支援者と地域の高齢者全般 入院患者と家族
担当件数の目安 1人30件から40件前後 入所者100人に1人 予防プランと総合相談 病棟単位
主な仕事 ケアプラン作成、事業所調整、訪問 施設サービス計画、多職種会議 相談、権利擁護、予防プラン 退院調整、制度案内
移動 毎日あり ほぼなし あり ほぼなし
夜勤 なし 介護兼務なら可能性あり なし なし
1人で判断する場面 多い 少ない 中程度 中程度

施設ケアマネは、利用者が同じ建物の中にいます。様子を見に行くのに移動は要りませんし、介護職や看護師がすぐ近くにいます。一方で、施設の方針や人員の制約の中でプランを作ることになり、使えるサービスは施設内で完結します。

居宅のケアマネジャーは、使えるサービスが地域全体に広がっています。訪問介護を3社の中から選ぶ、デイサービスを利用者の好みに合わせて探す、福祉用具を入れ替える。組み合わせの自由度が高い分、調整の手間も大きくなります。つまり「利用者の暮らし方に合わせて、地域の資源を組み合わせる」ことが居宅ならではの仕事です。

地域包括支援センターは、市町村から委託や直営で運営され、要支援者の予防プランと、地域の高齢者の総合相談を担います。虐待の通報、消費者被害、身寄りのない高齢者の相談など、介護保険の枠に収まらない問題も扱います。居宅から見ると、困難事例の相談先であり、新規利用者の紹介元でもあります。

病院の医療相談員(MSW)は、入院から退院までの期間に関わります。退院後の生活がどうなったかを、自分の目で確かめる機会はほとんどありません。

この比較から、志望動機に使える「居宅でしかできない理由」が見えてきます。

・利用者の生活の場に通い、長い期間(数年単位)で変化を追える ・施設内に閉じず、地域の複数の事業所を組み合わせてプランを作れる ・入院や退院の前後で、病院と在宅をつなぐ役割を担える ・要介護度が上がっても、在宅を続けるための手立てを考え続けられる

たとえば、病院の相談員から転職する人なら「退院後の生活を最後まで見届けたい」。施設ケアマネから転職する人なら「施設に入る前の段階で、在宅を続ける選択肢を広げたい」。この形で書くと、比較を踏まえて選んだことが伝わります。

志望動機は3段で組み立てる

ここからは、実際の書き方です。居宅介護支援事業所の志望動機は、次の3段で組み立てると、どの経歴の人でも形になります。

1段目は、前職で経験した具体的な出来事です。抽象的な「やりがい」ではなく、場面を1つ書きます。「特養で看取りに関わった」「病棟で退院支援を担当した」「訪問介護で独居の方を担当した」など、事実として書ける場面です。

2段目は、その出来事から「居宅」を選んだ理由です。1段目の場面で感じた限界や、もっと関わりたいと思った部分を書きます。ここで、前の章で整理した比較の軸を使います。「施設では入所前の生活に関われなかった」「病棟では退院後を見届けられなかった」という書き方です。

3段目は、その事業所を選んだ理由です。ここが一番抜けやすく、そして一番差がつく部分です。事業所の公表情報、求人票、ホームページから、具体的な条件を1つか2つ拾って書きます。

悪い例と良い例を比べます。

悪い例: 「利用者様一人ひとりに寄り添ったケアプランを作成したいと考え、貴事業所を志望しました。これまでの介護の経験を活かし、地域に貢献したいです。」

良い例: 「特別養護老人ホームで5年間、介護職として入所者の生活を支えてきました。その中で、入所前の在宅生活で適切な支援があれば、もう少し自宅で暮らせたのではないかと感じる方に何度も出会いました。在宅の段階から関わり、住み慣れた場所で暮らし続ける手立てを考える仕事がしたいと考え、居宅介護支援事業所を志望しています。貴事業所は主任介護支援専門員が複数在籍し、特定事業所加算を算定されていると公表情報で拝見しました。ケアマネジャーとしての実務経験がない私にとって、事例検討や同行訪問の体制がある環境で経験を積めることが、志望した理由です。」

良い例では、1段目で特養の経験、2段目で居宅を選んだ理由、3段目で主任ケアマネの人数と加算という具体的な条件を書いています。3段目の「特定事業所加算を算定している」は、つまり研修計画や事例検討の体制を持っていると公表しているということです。未経験者がそこに惹かれたと書けば、採用側は「この人は育成体制を見て選んでいる」と受け取ります。

文字数の目安は、履歴書の志望動機欄なら200字から300字程度です。面接で口頭で話すなら1分程度に収めます。長く書くほど良いわけではありません。3段がそれぞれ1文から2文で書けていれば十分です。

※なお、事業所の加算の状況や職員の人数は変わることがあります。公表情報の調査時点と現在が違う場合もあるので、書類に書く前にホームページや求人票と照らし合わせ、面接でも確認してください。

「この事業所を選んだ理由」は公表情報と求人票から拾う

3段目の材料を集める方法を具体的に説明します。居宅介護支援事業所は、ほとんどの場合、個別のホームページが簡素です。そこで使えるのが、厚生労働省が運営する介護サービス情報公表システムです。

公表システムには、全国の介護サービス事業所の情報が項目ごとに載っています。検索上位に出てくる事業所のページを見ると、「事業所を運営する法人等に関する事項」「事業所において介護サービスに従事する従業者に関する事項」「介護サービスの内容に関する事項」といった区分で情報が並んでいます。志望動機の材料として見るべきは、次の項目です。

・従業者の人数と、常勤・非常勤の内訳 ・主任介護支援専門員の人数 ・介護支援専門員の経験年数の分布 ・前年度の退職者数と採用者数 ・加算の算定状況(特定事業所加算、入院時情報連携加算など) ・利用者数と要介護度の分布 ・併設している事業所の有無

たとえば、主任介護支援専門員が2人以上いて、経験年数5年以上の人が多い事業所なら、「経験の長い先輩に相談できる環境」を志望理由にできます。前年度の退職者が少ないなら、職場が安定していると読めます。逆に、常勤が1人しかいない事業所に未経験で応募するなら、「1人で全部を回すことになる可能性」を理解したうえでの志望動機が必要です。

事業所の案内文にも、材料が隠れています。

しあわせ居宅介護支援事業所は看護師、保健師、社会福祉士等豊富な職種で構成するケアマネージャーで居宅支援や相談に応じています。また、一人暮らしや病気、重介護の方も“住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けたい”というご利用者様の当たり前の要求を実現することを目指して支援を行います。住み慣れた地域での“その人らしい”生活を支援し、地域包括支援センター、医療機関、介護施設、民生員、ボランティアさんと地域ネットワークづくりをすすめています。 出典: fico-op.jp

この案内から読み取れるのは、ケアマネジャーの基礎資格が看護師、保健師、社会福祉士と多様であること、一人暮らしや重介護の利用者を積極的に受けていること、地域の関係機関とのネットワークづくりに力を入れていることです。医療系の法人が母体なら、医療依存度の高い利用者を担当する機会が多いと推測できます。

看護師出身の人なら「医療的なケアが必要な方の在宅生活を支える体制がある」、介護福祉士出身の人なら「看護師出身のケアマネジャーと同じチームで学べる」と書けます。つまり、同じ案内文でも、自分の経歴との接点を探せば、その事業所だけの志望理由になるのです。

求人票からは、次の点を拾います。担当件数の目安、訪問の移動手段(社用車か自家用車か、自転車か)、研修費用の負担、記録ソフトの種類、併設サービスの有無です。「タブレットで訪問先から記録を入力できる」と書かれていれば、「移動の多い仕事でも記録を効率化できる環境」を理由にできます。

経歴別の組み立て例

経歴ごとに、1段目と2段目で使いやすい材料を整理します。3段目は応募先ごとに差し替えてください。

介護福祉士として施設で働いてきた人の場合、材料は「入所に至るまでの経緯」です。施設で出会った入所者の中に、在宅での支援が足りずに入所を早めた人がいた、という経験は多くの人が持っています。そこから「在宅の段階で関わりたい」とつなぎます。ただし、介護職からケアマネジャーに移ると、夜勤手当や処遇改善の上乗せがなくなり、収入が下がる場合があります。志望動機にお金の話を書く必要はありませんが、面接で聞かれたときに「承知している」と答えられるよう、自分の中で整理しておくと安心です。

訪問介護のヘルパーやサービス提供責任者だった人は、居宅に一番近い経験を持っています。材料は「ケアマネジャーとのやり取り」です。サービス担当者会議に出席して、プランの組み立て方を見てきた経験、ケアマネジャーに状態の変化を報告した経験を書きます。「プランを受け取る側から、組み立てる側に回りたい」という流れが自然です。

看護師の場合は、医療と在宅をつなぐ役割を材料にします。病棟で退院支援に関わった、訪問看護で在宅の医療的ケアを見てきた、という経験です。居宅のケアマネジャーは、主治医との連携、入院時の情報提供、退院前カンファレンスへの参加が頻繁にあります。看護師出身のケアマネジャーは、医療機関とのやり取りで頼られる存在です。ただし、ケアマネジャーは医療行為を行う立場ではありません。「看護の視点を、生活全体の計画づくりに活かしたい」という書き方にします。

社会福祉士や相談員の経験がある人は、相談援助の技術を材料にします。生活相談員として家族の相談に乗ってきた、病院の相談員として制度の案内をしてきた経験です。居宅では、利用者と家族の意向が食い違う場面、経済的な問題を抱えた家庭、虐待が疑われるケースに出会います。そうした場面で、関係機関と連携しながら支援を組み立てた経験は、強い材料になります。

施設ケアマネから居宅へ移る人は、比較そのものが材料です。施設で作ってきたプランと、居宅で作るプランの違いを理解していることを示します。「施設内のサービスで完結するプランではなく、地域の資源を組み合わせるプランを作りたい」と書けば、居宅の特徴を分かっていることが伝わります。

ブランクがある人は、ブランクの期間に何をしていたかより、「なぜ今、居宅で戻るのか」を書きます。家族の介護を経験した人なら、利用者の家族側の立場を知っていることは材料になります。ただし、個人的な事情を長く書く必要はありません。1文で触れ、すぐに居宅を選んだ理由に移ります。

面接で志望動機を深掘りされたときに備える

書類の志望動機は、面接で必ず深掘りされます。居宅介護支援事業所の面接は、管理者と法人の担当者の2人程度で行われることが多く、質問は具体的です。書類に書いた3段のそれぞれについて、1段深い答えを用意しておきます。

1段目の出来事については、「そのとき、あなたは何をしましたか」と聞かれます。たとえば「入所前の支援が足りなかったと感じた」と書いたなら、その場面で自分が何を試みたのか、誰に相談したのかを答えられるようにします。感じただけで終わっていると、行動につながらない人と見られます。小さなことでかまいません。「担当のケアマネジャーに入所前の生活の様子を聞きに行った」「家族に自宅での過ごし方を尋ねて記録に残した」といった行動を1つ話せれば十分です。

2段目の居宅を選んだ理由については、「施設ケアマネや地域包括ではだめなのですか」と聞かれることがあります。ここで比較の軸が役に立ちます。「地域包括は要支援の方と総合相談が中心で、要介護の方の生活を長く追う立場ではない」「施設ケアマネは入所後の支援が中心になる」と、違いを踏まえて答えます。他の職場を否定する言い方ではなく、自分がやりたいことに一番合うのが居宅だった、という答え方にします。

3段目の事業所を選んだ理由については、「うちの事業所のどこを見ましたか」と聞かれます。公表情報で見た項目を具体的に挙げ、さらに「実際にはどうなっているのか」を質問で返すと、会話が深まります。「主任介護支援専門員が2名在籍と拝見しましたが、新人の方の同行訪問はどのくらいの期間ありますか」という聞き方です。

もう1つ、よく聞かれるのが「担当件数が増えたとき、どう対応しますか」という質問です。居宅のケアマネジャーは、欠員が出れば件数が増えます。ここでは、優先順位のつけ方を答えます。「状態が不安定な方、退院直後の方から訪問の頻度を上げ、状態が安定している方は記録と電話連絡で状況を把握する。そのうえで、件数が限界に近づいたら早めに管理者に相談する」という答え方です。つまり、無理をして抱え込むのではなく、報告と相談ができる人だと示すことが大切です。

最後に「いつから働けますか」「移動手段は何ですか」といった実務的な質問も出ます。自家用車を業務で使う事業所では、任意保険の加入状況やガソリン代の精算方法も話題になります。こうした点は、雇用契約を結ぶ前に書面で確認しておくべき内容です。2024年4月からは、労働条件の明示のルールが改正され、就業場所や業務の変更の範囲も書面で示すことが求められています。口頭の説明だけで済ませず、労働条件通知書で確かめてください。

書いてはいけない志望動機と、注意したい表現

最後に、避けたほうがよい表現を整理します。悪気がなくても、採用側に誤解される書き方があります。

1つ目は「夜勤がないから」「体力的に楽そうだから」です。本音としては多くの人が持っている理由ですし、それ自体は悪いことではありません。ただ、志望動機の中心に置くと、「居宅の仕事の中身には関心がない」と受け取られます。居宅のケアマネジャーは移動が多く、夏も冬も利用者宅を回ります。体力的に楽とは限りません。どうしても触れたいなら、「長く働き続けられる働き方を考えた」とし、主となる理由は仕事の中身に置きます。

2つ目は「在宅勤務ができそうだから」です。最近は、ケアマネジャーの記録業務をテレワークで行える事業所や、直行直帰を認める事業所も出てきました。ただ、居宅の仕事の中心は利用者宅への訪問と、会議への出席です。在宅でできるのは記録や書類の一部に限られます。求人票に在宅勤務の記載がある場合でも、志望動機の中心に置くと、仕事の実態を知らないと見られる可能性があります。

3つ目は、併設サービスとの関係に触れた表現です。法人がデイサービスや訪問介護を併設している事業所では、「法人内のサービスと連携しながら」と書きたくなります。ただ、居宅介護支援には公正中立が求められていて、正当な理由なく特定の事業所にサービスが集中すると、特定事業所集中減算という報酬の減額の対象になります。つまり、自法人のサービスを優先して使うことは、制度の趣旨に反するのです。これ、知らない人が本当に多いんです。「法人内の連携を活かす」と書くなら、「利用者の選択を尊重したうえで、情報共有がしやすい」という書き方にとどめます。

4つ目は、前職への不満です。「前の職場は人間関係が悪かった」「上司の方針に納得できなかった」は、書類にも面接にも出さないほうが無難です。退職理由を聞かれたら、事実を短く伝えたうえで、次の職場で何をしたいかに話を移します。

※前の職場との間で、未払い残業代やハラスメントなど労働問題を抱えている場合、志望動機とは切り離して扱ってください。解決していない問題がある場合は、労働基準監督署や弁護士などの専門家に相談してください。

5つ目は、他の事業所にもそのまま出せる文章です。事業所名を入れ替えても通じる文章は、採用側に見抜かれます。3段目の「この事業所を選んだ理由」は、応募先ごとに必ず書き直してください。

居宅のケアマネジャーという働き方をどう見るか

ここまで志望動機の組み立て方を整理してきましたが、最後に働き方そのものについて、少し広い視点から触れておきます。

居宅介護支援事業所のケアマネジャーは、雇用されて働く人がほとんどです。一方で、独立して1人で事業所を開業する人もいますし、市町村から要介護認定の認定調査を受託する働き方、ケアプラン点検の業務を請け負う働き方もあります。資格と実務経験を持った人の選択肢は、正社員の求人だけではありません。

20年この市場を見てきた立場から言えば、専門資格を持つ人ほど、1つの勤務先に働き方のすべてを預けないほうが、長く続けやすいと感じています。雇用で経験を積みながら、研修講師、記事の監修、相談業務といった形で、資格を別の場で活かす人が少しずつ増えてきました。仲介に中間マージンが乗らない直接の取引なら、同じ依頼額でも受け手の手取りが厚くなり、依頼する側も頼みやすくなります。手数料0%の直接取引が向いているのは、こうした専門性の高い単発の仕事です。

収入の相場を確認しておくことも大切です。ケアマネジャーの基礎資格として多い介護職の年収データを見ると、処遇改善加算の有無で職場ごとの差が大きく、居宅へ移ったときに収入がどう動くかを考える手がかりになります。介護職員の年収・単価相場では、介護職員の年収の分布と地域差をまとめています。

看護師からケアマネジャーを目指す人は、病棟や訪問看護の給与水準と比べてから判断すると、転職後の落差に驚かずに済みます。看護師の年収・単価相場には、看護師の年収の幅と働き方ごとの違いが整理されています。

また、介護の相談業務の経験を、職場の外でのキャリア支援に広げる人もいます。職場・転職・キャリア相談のお仕事では、キャリア相談の仕事の種類と、求められる経験が紹介されています。相談援助の技術を体系的に学び直したい人は、キャリアコンサルタントの資格の概要も参考になります。

志望動機は、応募のための作文ではありません。自分がその職場で何をするのかを、事前に言葉にしておく作業です。居宅介護支援事業所の中で何が起きているかを知り、そのうえで「ここを選んだ」と書ければ、面接でもぶれずに話せます。法律や制度は、知っている人の味方です。事業所の公表情報を読むことも、その1つです。

よくある質問

Q. 居宅介護支援事業所の志望動機は何文字くらいが適切ですか?

履歴書の志望動機欄なら200字から300字程度が目安です。前職での具体的な場面、居宅を選んだ理由、その事業所を選んだ理由の3段を、それぞれ1文から2文で書けば収まります。面接で口頭で話す場合は1分程度にまとめ、詳しい経緯は質問されたときに補足すると伝わりやすくなります。

Q. ケアマネジャーの実務経験がなくても志望動機は書けますか?

書けます。実務経験がない場合は、前職で見てきた在宅や施設の場面を1段目の材料にし、3段目で育成体制を選んだ理由として書きます。主任介護支援専門員の人数や特定事業所加算の算定状況は公表情報で確認でき、研修や同行訪問の体制がある事業所を選んだと書けば、採用側に説得力が伝わります。

Q. 「夜勤がないから」という理由を書いてもよいですか?

本音として持っていても、志望動機の中心に置くのは避けたほうが無難です。居宅のケアマネジャーは移動が多く、特定事業所加算を算定している事業所では時間外の連絡体制もあります。触れるなら「長く働き続けられる働き方を考えた」とし、主となる理由は在宅の生活に関わる仕事の中身に置くと誤解されにくくなります。

Q. 事業所の情報はどこで調べればよいですか?

厚生労働省の介護サービス情報公表システムで、従業者の人数、主任介護支援専門員の数、経験年数、退職者数、加算の算定状況などを確認できます。あわせて事業所のホームページと求人票で、担当件数の目安や移動手段、研修費用の負担を確かめます。公表情報は調査時点の内容なので、面接で現在の状況を確認してください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年5月6日最終更新:2026年9月22日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

@SOHOで仕事を探してみませんか?

手数料0%・登録無料のクラウドソーシング。フリーランスの方も企業の方も、今すぐ始められます。

関連記事

カテゴリから探す

クラウドソーシング入門

クラウドソーシング入門

クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド

職種別ガイド

職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス

フリーランス

フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金

お金・税金

確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ

スキルアップ

プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング

比較・ランキング

サービス比較・おすすめランキング

AI活用

AI活用

職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド

最新トレンド

市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド

発注者向けガイド

クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア

転職・キャリア

転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人

看護師の転職・求人

看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人

薬剤師の転職・求人

薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保育士の転職・求人

保育士の転職・求人

保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人

医療職の転職・求人

医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険

保険

生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人

採用・求人

無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース

オフィス・ワークスペース

バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業

法律・士業

契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代

シニア・50代

シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ

セキュリティ

サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック

金融・フィンテック

暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス

経営・ビジネス

経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材

ガジェット・機材

フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方

子育て×働き方

子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金

補助金・助成金

個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

アウトソーシング・外注ガイド

アウトソーシング・外注ガイド

SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方