療養病棟を辞めたいと思ったとき|出ていく前に切り分けておくこと

長谷川 奈津
長谷川 奈津
療養病棟を辞めたいと思ったとき|出ていく前に切り分けておくこと

この記事のポイント

  • ✓療養病棟を辞めたいと感じたとき
  • ✓その理由が病棟の構造によるものか
  • ✓自分の状況によるものかを切り分ける方法を解説します

療養病棟を辞めたい。そう思いながら、今日も決まった時刻に経管栄養の注入を始め、体位変換の時間を気にしている方は少なくありません。

先日、療養病棟で働く看護師さんからこんな相談を受けました。「急性期に疲れて療養に移ったのに、前より体がきつい。でも、ここを辞めたら次はどこに行けばいいのか分からない」と。

結論から言うと、辞めるかどうかを決める前に、やっておくべきことが一つあります。それは、辞めたい理由を「療養病棟という場所そのものの性格」「今の病院だけの事情」「自分自身の今の状況」の三つに切り分けることです。つまり、問題の置き場所を特定するということ。ここを曖昧にしたまま転職すると、次の職場でも同じ理由で辞めたくなります。

この記事では、療養病棟の中で何が起きているのかを整理したうえで、理由の切り分け方、辞めずに状況を変える方法、辞めると決めたときの手続きの順番、そして次の職場の選び方までを順にお伝えします。

療養病棟の「辞めたい」は、病棟の動き方から生まれている

まず、療養病棟という職場がどう動いているかを確認しておきましょう。辞めたい理由の多くは、この動き方と深く結びついています。

療養病棟に入院しているのは、急性期の治療を終えたあとも医療的な管理が続く方たちです。経管栄養、中心静脈栄養、喀痰吸引、気管切開の管理、酸素投与、褥瘡の処置。寝たきりの方や認知症を併せ持つ方も多く、入院は月単位、年単位で続きます。

診療報酬の仕組みでは、療養病棟入院料1を算定する病棟は、医療区分2と3にあたる医療の必要度が高い患者さんが8割以上いることが求められます。入院料2でも5割以上です。つまり、「療養」という名前から想像するほど、処置の少ない病棟ではないということ。これ、知らない人が本当に多いんです。

一方で、看護職員の配置基準は患者20人に対して1人です。急性期一般病棟の7対1や10対1と比べると、1人の看護職員が見る患者さんの数はずっと多くなります。その分、看護補助者の配置も求められていて、おむつ交換や入浴、食事の介助は看護補助者と分担して回すのが基本の形です。

一日の流れは、時刻で固定された業務の積み重ねです。朝の申し送りのあと、バイタル測定と経管栄養の注入開始。注入中は体位と呼吸を観察し、終われば口腔ケアと体位変換。午前中に入浴や清拭が入り、昼の注入、午後は処置と記録、夕方の注入。吸引は一日に何度も入ります。夜勤帯は、看護職員1〜2人に看護補助者を加えた少人数で1病棟を見る体制が多く見られます。

急変は急性期ほど多くありません。その代わり、やることの総量が多く、しかもその多くが決まった時刻に発生します。この「予定された忙しさ」が療養病棟の性格です。

療養型病院の仕事はゆったりしていそうなイメージがありますが、実際はハードな内容となっています。患者さんの入浴介助や排泄介助があり、体力的にきつい業務も多いです。そのため、「想像していた業務と違う」と思いやすく、イメージギャップから辞めたいと感じる人もいます。 出典: kango-oshigoto.jp

このイメージの差が、療養病棟の「辞めたい」の出発点になっていることがよくあります。急性期で消耗した人が「落ち着いた職場」を期待して移ってくると、体を使う業務の多さと、変化の少なさの両方に戸惑うのです。

もう一つ、療養病棟ならではの事情が「関係の長さ」です。患者さんとも、そのご家族とも、同僚とも、付き合いが年単位になります。看取りも日常の一部です。数年担当した方を見送る経験が重なり、気づかないうちに気持ちがすり減っていく人もいます。

辞めたい理由を三つの箱に切り分ける

では、あなたの「辞めたい」はどこから来ているのか。紙に書き出して、次の三つの箱に分けてみてください。

一つ目の箱:療養病棟という場所そのものの性格

どこの療養病棟に行っても、程度の差はあれ変わらない要素です。

・医療区分の高い患者さんが中心で、経管栄養や吸引などの処置が一日中続く ・身体介助の比重が大きく、腰や肩への負担がある ・急性期のような検査や治療の展開が少なく、手技の幅が広がりにくい ・入院が長く、看取りが業務の一部になる ・病棟の人の入れ替わりが少なく、人間関係が固定されやすい

この箱に入る理由が大半なら、別の療養病棟に移っても解決しにくいと考えたほうが現実的です。職場の種類ごと見直す必要があります。

二つ目の箱:今の病院だけの事情

同じ療養病棟でも、病院によって大きく変わる要素です。

・夜勤の人数が少ない、夜勤回数が多い ・看護補助者が足りず、身体介助の多くを看護師が担っている ・電子カルテがなく、記録に時間がかかる ・特定の人との関係、ハラスメント ・残業代がきちんと支払われていない ・教育の仕組みがなく、分からないことを聞ける相手がいない

この箱に入る理由が中心なら、療養病棟という働き方自体は続けられる可能性があります。移るなら「別の療養病棟」も候補になり、比べる軸もはっきりします。

三つ目の箱:自分自身の今の状況

職場とは別に、自分の側で変わったことです。

・腰痛や持病など、体の状態の変化 ・育児や介護で、夜勤や残業が難しくなった ・急性期に戻って技術を磨きたい気持ちが出てきた ・看取りが続き、気持ちの回復が追いつかない

この箱の理由は、職場を変えても、勤務形態を変えても対応できる場合があります。たとえば夜勤が問題なら、日勤常勤やパートへの切り替えで解決することもあります。

切り分けたあとに見るべきこと

三つの箱に分けると、「全部が二つ目の箱」「一つ目と三つ目が混ざっている」など、自分の状況の形が見えてきます。

ここで大事なのは、一つ目の箱に入った理由を二つ目の箱の問題と取り違えないことです。私が以前相談を受けたケースでは、身体介助の多さに悩んで別の療養病棟に移った方が、半年後にまた同じ悩みで辞めていました。移った先の看護補助者の人数は前とほとんど変わらず、病棟の性格も同じだったからです。本人は「前の病院が悪かった」と思っていたのですが、実際には療養病棟という場所の性格が合っていなかったのです。

逆に、二つ目の箱の問題を一つ目の箱だと思い込んで、療養病棟という働き方そのものを諦めてしまう人もいます。夜勤の人数が十分で、看護補助者が揃っている療養病棟なら、同じ仕事でも負担はかなり違います。

辞める前に、今の病院の中で動かせることを試す

切り分けの結果、二つ目や三つ目の箱の理由が大きいなら、辞める前に病院の中で状況を変えられないか試す価値があります。退職は取り消しがききませんが、配置や勤務形態の相談はやり直しがききます。

部署異動や勤務形態の変更を相談する

療養病棟だけの単科病院でなければ、同じ法人の中に一般病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟、外来、併設の介護老人保健施設や訪問看護ステーションがあることがあります。法人内の異動なら、勤続年数や退職金の計算、有給休暇の残日数を持ち越せるのが大きな利点です。

夜勤が負担なら、日勤常勤への切り替えや夜勤回数の調整を相談できます。月8回の夜勤を4回に減らすだけでも、生活の立て直しにつながることがあります。ただし、夜勤手当が減る分だけ月収は下がるので、事前に試算しておきましょう。

相談するときは「事実」と「希望」を分けて伝える

上司に相談するときは、感情ではなく事実と希望を分けて話すと通りやすくなります。

・事実:「先月の夜勤は9回で、うち3回は看護補助者が1人の日でした」 ・希望:「夜勤を月5回までにしてもらえないか、検討していただけますか」

つまり、相手が判断できる材料を渡すということです。「もう限界です」だけでは、上司も何を変えればいいのか分かりません。

ハラスメントは、病院に対応の義務がある

人間関係のなかでも、暴言や過度な叱責、無視が続いているなら、それは「相性」ではなくハラスメントの問題かもしれません。労働施策総合推進法により、パワーハラスメントの防止措置は2022年4月から中小企業を含むすべての事業主の義務になっています。つまり、病院には相談窓口を設けて、事実を確認し、対応する責任があるということ。

相談するときは、日時、場所、言われた内容、その場にいた人をメモに残しておいてください。後から話を整理するときに、記憶だけでは弱くなります。院内の窓口が機能しない場合は、都道府県労働局の総合労働相談コーナーに相談できます。 ※身体的な暴力や、心身の不調が出ている場合は、早めに医療機関や弁護士への相談を検討してください。

未払いの残業代は、辞めたあとでも請求できる

「注入の片付けと記録が終わらず、毎日30分ほど残っているのに残業申請をさせてもらえない」という相談もよくあります。業務として必要な時間は労働時間です。賃金請求権の時効は現在3年なので、辞めたあとでも請求は可能です。ただ、証拠は在職中のほうが集めやすいので、勤務表や自分のメモは今のうちに残しておきましょう。

看取りと長い付き合いで、気持ちがすり減っているとき

療養病棟を辞めたい理由として、表に出にくいのが「気持ちの消耗」です。体のきつさは言葉にしやすいのですが、看取りが続くつらさは、同僚にも家族にも話しにくいものです。

療養病棟では、入院した方の多くが、そのまま病棟で最期を迎えます。月に数件の看取りがある病棟も珍しくありません。しかも、数か月から数年担当してきた方です。毎朝声をかけ、表情の変化を見て、ご家族とも顔なじみになった方を見送る。それが、次の週にもまた起きる。急性期の看取りとは、重さの種類が違います。

消耗のサインを見逃さない

次のような状態が続いているなら、気持ちの回復が追いついていないサインかもしれません。

・患者さんの名前を覚えるのが、以前より億劫になった ・ご家族と話すのを避けたくなる ・看取りのあと、何も感じなくなっている自分に気づく ・休日も病棟のことが頭から離れない ・眠れない、食欲が落ちている

これらは、仕事に真剣に向き合ってきた人ほど起きやすい反応です。怠けているわけでも、向いていないわけでもありません。

病棟の中に、振り返りの場があるか

看取りのあとに、カンファレンスで振り返る時間を設けている病棟もあれば、次の入院の準備に追われて何も話さないまま日常に戻る病棟もあります。これは二つ目の箱、つまり今の病院だけの事情に入る要素です。

私が話を聞いたある看護師さんは、前の病院では看取りのあと誰も何も言わず、夜勤明けにそのまま帰るのがつらかったそうです。移った先の病院では、看取りのあと短いデスカンファレンスがあり、担当者が「最期の数日にできたこと」を言葉にする時間がありました。仕事の中身はほとんど同じなのに、続けられる気がしたと話していました。

休むことも、選択肢に入れてよい

心身の不調がはっきり出ているなら、辞めるか続けるかを決める前に、まず休むことを考えてください。医師の診断書があれば、就業規則に基づく休職制度を使える場合があります。健康保険に加入していれば、業務外の病気で働けない期間に傷病手当金を受け取れることもあります。つまり、退職する前に「休んで回復する」という道があるということです。

退職してから体調を崩すと、次の職場探しと療養を同時に進めることになり、負担が一気に増えます。これ、知らない人が本当に多いんです。気持ちが限界に近いときほど、先に休む手続きを確認しましょう。 ※休職中の給与や手当の扱いは病院ごとに異なります。就業規則を確認し、不明な点は人事や社会保険労務士に相談してください。

今の職場の実態を、数字に置き換えておく

辞めるにしても、残るにしても、今の職場の実態を数字で把握しておくと判断がぶれません。次の職場を選ぶときの比較の物差しにもなります。

書き出しておきたい数字

・病棟の病床数と、日勤帯の看護職員数、看護補助者数 ・夜勤の人数(看護職員と看護補助者それぞれ) ・月の夜勤回数と、1回あたりの夜勤手当 ・経管栄養、中心静脈栄養、気管切開の患者さんのおおよその人数 ・月の看取りの件数 ・1か月の残業時間(申請した分と、実際の分) ・有給休暇の残日数と、昨年の取得日数 ・月収の内訳(基本給、夜勤手当、資格手当、その他の手当)

たとえば「60床を日勤看護職員5人で見ていて、夜勤は看護師1人と看護補助者2人、経管栄養の方が30人」と書けたら、それだけで職場の負荷がかなり具体的に見えます。

労働条件通知書と就業規則を読み直す

入職時に受け取った労働条件通知書(または雇用契約書)と、就業規則を読み直してください。確認するのは次の点です。

・退職の申し出は何日前までと書かれているか ・夜勤回数や残業について、どう定められているか ・退職金の支給条件(勤続3年以上など) ・賞与の支給日と、支給日に在籍している必要があるか

労働基準法では、雇い入れのときに労働条件を書面などで明示することが義務づけられています。2024年4月からは、就業場所や業務の「変更の範囲」も明示の対象になりました。つまり、「療養病棟以外に配置されることがあるのか」も本来は書面で分かるはずだということです。書かれていなければ、人事に確認してかまいません。

賞与と退職金のタイミングを把握する

賞与の支給日在籍要件がある病院で、支給日の直前に退職すると、数十万円単位で受け取れる金額が変わることがあります。退職金も、勤続年数がちょうど区切りの手前なら、数か月待つだけで支給額が変わる場合があります。辞める時期を決める前に、この二つのタイミングは必ず確認しておきましょう。

辞めると決めたら、手続きの順番で損をしない

切り分けて、試して、それでも辞めると決めたなら、次は手続きです。ここで順番を間違えると、お金や時間の面で損をします。

退職の申し出はいつまでにするか

民法第627条では、期間の定めのない雇用契約は、退職の申し入れから2週間で終了すると定めています。つまり、法律上は2週間前に伝えれば辞められるということです。

ただし、多くの病院の就業規則では「1か月前」「3か月前」などと定めています。法律と就業規則のどちらが優先されるかは議論がありますが、実務では、夜勤表が1か月単位で組まれることを考えると、1〜2か月前に伝えるのが現実的です。円満に辞められれば、次の職場への退職証明や、将来の出戻りの道も残ります。

※有期雇用契約(契約期間が決まっている働き方)の場合は、やむを得ない事由がなければ期間途中の退職が制限されることがあります。契約書の期間を確認し、不安があれば専門家に相談してください。

伝える順番と、伝え方

最初に伝えるのは直属の上司(病棟の師長)です。同僚に先に話すと、噂が先に届いて話がこじれやすくなります。

伝えるときは「相談」ではなく「決定」として伝えましょう。「辞めようか迷っていて」と言うと、引き止めの話し合いが何度も続きます。「〇月〇日付で退職したいと考えています」と日付を示すのがコツです。退職理由は詳しく話す義務はありません。「家庭の事情」「別の分野で経験を積みたい」で十分です。

引き止めで「人が足りないから」「後任が決まるまで」と言われることがあります。これ、よくあるんです。でも、人員の確保は病院の責任で、あなたが退職を延ばす義務はありません。退職届を出しても受け取ってもらえない場合は、内容証明郵便で送るという方法もあります。

有給休暇は消化してから辞めてよい

年次有給休暇は労働者の権利で、退職前にまとめて使うことも可能です。病院には時季変更権がありますが、退職日を超えて時季を変えることはできません。つまり、退職日までに残っている有給は、原則として使い切れるということです。

引き継ぎは、担当患者さんの注入時間、処置の手順、ご家族との約束事などを一覧にしておくと、短い期間でも済みます。

退職後の保険と年金の手続き

退職後すぐに次の職場に入らない場合は、次の手続きが必要です。

・健康保険:任意継続は退職日の翌日から20日以内に申請。国民健康保険に切り替えるなら14日以内に市区町村へ ・年金:国民年金への切り替えを14日以内に市区町村へ ・雇用保険:離職票が届いたらハローワークで手続き。自己都合退職の給付制限は2025年4月から原則1か月に短縮されています

ハラスメントや、労働条件が契約と大きく違っていたことが原因で辞める場合は、「正当な理由のある自己都合退職」として給付制限がかからないことがあります。証拠を持ってハローワークで相談してください。

療養病棟の経験は、次の職場でどう評価されるか

「療養病棟にいると技術が落ちる」と言われて、次を探すのが不安になっている方もいます。でも、療養病棟で積んだ経験は、行き先によってはしっかり評価されます。

療養病棟で身につくもの

・経管栄養、中心静脈栄養、気管切開、吸引の管理を、長期にわたって安全に続ける力 ・褥瘡の予防と処置 ・言葉で訴えられない患者さんの小さな変化に気づく観察力 ・看取りと、ご家族への説明や支え ・看護補助者と仕事を分け合い、少人数で病棟を回す段取り

これらは、急性期よりも、長期ケアや生活を支える場で求められる力です。

経験が活きやすい次の職場

・介護医療院:長期療養と生活の場を兼ねる施設で、療養病棟とよく似た患者層です。医療の比重は少し下がり、生活支援の比重が上がります ・訪問看護ステーション:在宅で経管栄養や吸引を続ける方が多く、療養病棟の管理経験がそのまま役立ちます。一人で判断する場面が増えるので、オンコール体制は必ず確認しましょう ・地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟:急性期と在宅の間をつなぐ病棟で、在宅復帰に向けた支援が中心です ・介護老人保健施設、特別養護老人ホーム:看護職員の人数は少なく、医療処置の判断を任される範囲が広がります

急性期に戻りたいときの考え方

一方で、急性期に戻りたい場合は、ブランクの長さによっては教育体制の整った病院を選ぶことが大切です。療養病棟にいた期間が長いほど、点滴の管理や検査の準備、術後の観察など、急性期で日常的に使う手技から離れています。

戻る先を選ぶときは、次の点を確認しておくと安心です。

・中途入職者向けの研修プログラムがあるか、あるなら何か月か ・プリセプターのような指導担当がつくか ・最初に配属される病棟を相談できるか(外科系より内科系のほうが戻りやすいと感じる人が多い) ・技術チェックリストがあり、できる手技から段階的に任される仕組みか

面接では「療養病棟で何ができるようになったか」を先に話し、そのうえで「急性期の手技は、研修を受けながら取り戻したい」と伝えると、前向きな印象になります。療養病棟での長期管理の経験は、急性期でも退院支援や高齢患者の看護で必ず役に立ちます。「技術が落ちた人」ではなく「別の専門性を持って戻ってくる人」として自分を説明してください。

療養病棟と次の職場の違いを表で見る

職場 患者層 医療処置 夜勤体制の傾向 療養病棟経験の活きやすさ
介護医療院 長期療養の高齢者 経管栄養や吸引あり 少人数 高い
訪問看護 在宅療養の方 在宅での管理 オンコール 高い
地域包括ケア病棟 在宅復帰を目指す方 中程度 病院の病棟並み 中程度
介護老人保健施設 在宅復帰を目指す高齢者 比較的少ない 看護職員は少数 中程度
急性期一般病棟 治療中の方 多い 複数の看護師 研修次第

相場と相談先を確認しておく

次の職場の条件を比べるときは、看護師全体の年収の水準を知っておくと、提示された条件が高いのか低いのかが判断しやすくなります。職種ごとの平均年収や地域差をまとめた看護師の年収・単価相場で、自分の今の収入がどのあたりにあるかを確かめてみてください。

一人で考えがまとまらないときは、キャリアの相談を受ける専門職に話を聞いてもらうのも一つの方法です。どんな相談をどんな形で受けているのかは、職場・転職・キャリア相談のお仕事で紹介されています。療養病棟を選んだ理由をどう言葉にするか迷ったら、療養病棟の志望動機をどう書くかの記事にある組み立て方が、辞める理由を整理するときにも使えます。また、療養以外の病棟も含めて辞めたい気持ちを整理したい方は、病棟を辞めたいと思ったときも参考になります。

次の職場で同じ理由で辞めないために、見学で確かめること

次の職場を決めるときは、求人票だけで判断しないでください。療養病棟や長期ケアの職場は、求人票の文言が似通っていて、違いは現場を見ないと分かりません。三つの箱で整理した「辞めたい理由」を、そのまま見学のチェック項目に変えるのがコツです。

体の負担が理由だった人が見るところ

・看護補助者の人数と、おむつ交換や入浴を誰が担当しているか ・スライディングシートやリフトなど、移乗を助ける用具が実際に使われているか ・入浴が機械浴か、何人で介助しているか ・経管栄養の患者さんが何人いて、注入を何人の看護師で回しているか

見学のときは、廊下に置かれた用具や、ナースステーションに貼られた業務分担表を見ると、口頭の説明より実態が分かります。

夜勤が理由だった人が見るところ

・夜勤の人数(看護職員と看護補助者の内訳) ・夜勤の回数の平均と、月の上限を決めているか ・2交代か3交代か、夜勤の休憩と仮眠は取れているか ・急変時に医師へ連絡する体制(当直医が院内にいるか、オンコールか)

「夜勤は月4回程度」と説明されても、それが平均なのか上限なのかで意味が変わります。「多い人で月何回ですか」と聞き直すと、実態に近い数字が返ってきます。

人間関係や職場の空気が理由だった人が見るところ

・ナースステーションで、看護師と看護補助者が普通に言葉を交わしているか ・案内してくれる人が、すれ違うスタッフに声をかけているか ・直近1年の離職者数と、勤続年数の長いスタッフの割合 ・新しく入った人の教育を誰が担当するか

見学の時間は短くても、スタッフ同士の会話の温度は伝わってきます。案内役の説明がどれほど丁寧でも、現場の人が目を合わせない職場は、慎重に考えたほうがいいでしょう。

労働条件は、内定前に書面で確かめる

面接で聞いた条件は、内定の段階で労働条件通知書に書かれているかを必ず確認してください。職業安定法では、求人の段階で示した条件を変更する場合、その内容を明示する義務があります。つまり、「面接では夜勤は月4回と言われたのに、書面では回数の記載がない」という場合は、入職前に確認してかまわないということです。

以前、口頭で「残業はほとんどない」と言われて入職した方が、実際には毎日1時間の残業があり、しかも申請できない運用だったという相談を受けました。書面に何も書かれていなかったため、話し合いが難航しました。入職前のひと手間で、こうしたトラブルの多くは防げます。

長く見てきて感じる、辞め方で差がつく場面

20年この市場を見てきた立場から言えば、職場を移ったあとに落ち着く人とそうでない人の違いは、辞めた理由の「言語化の深さ」にあると感じます。「きつかったから」で終わる人は、次の職場でも同じ言葉で辞めていきます。「夜勤の看護師が1人で、吸引の件数が多い日に対応しきれなかった」と具体的に言える人は、次の職場の求人票や見学で同じ条件を確かめるので、ミスマッチが起きにくいのです。

もう一つ、運営者として見てきた限りでは、医療や介護の資格を持つ人が、病院勤務と並行して、あるいは退職後に、健康相談や記事の監修、研修資料の作成など、臨床経験を活かした仕事を個人で受ける流れは年々広がっています。組織の中での働き方だけが選択肢ではありません。依頼する側と受ける側が直接やりとりできる場では、中間に手数料が挟まらないため、同じ予算でも受け手の手取りが厚くなるという構造があります。療養病棟で積んだ長期ケアの知識は、そうした場面でも十分に通用する専門性です。

辞めたいと思うのは、弱さではありません。今の働き方と、自分の状態が合っていないというサインです。三つの箱に分けて、動かせることを試し、それでも合わなければ、手続きの順番を守って次に進んでください。労働条件の明示も、有給休暇も、ハラスメントへの対応も、法律で守られた仕組みです。法律はあなたの味方です。

よくある質問

Q. 療養病棟を辞めたいと感じるのは甘えでしょうか?

甘えではありません。療養病棟は医療区分の高い患者が中心で、看護職員の配置が20対1と少ない分、身体介助や処置の総量が多い職場です。まずは辞めたい理由を、病棟の性格によるもの、今の病院固有のもの、自分の状況によるものに分けて、どこに問題があるのかを確かめることをおすすめします。

Q. 退職は何か月前に伝えればよいですか?

民法では期間の定めのない雇用なら2週間前の申し入れで終了しますが、就業規則で1か月前や3か月前と定めている病院が多くあります。夜勤表が1か月単位で組まれることを考えると、1〜2か月前に師長へ日付を示して伝えるのが現実的です。有期契約の場合は契約書の期間を先に確認してください。

Q. 療養病棟の経験は転職で不利になりますか?

行き先によっては評価されます。経管栄養や吸引、気管切開の長期管理、褥瘡ケア、看取りの経験は、介護医療院や訪問看護ステーション、地域包括ケア病棟などで求められる力です。急性期に戻る場合は、ブランクに応じて教育体制の整った病院を選ぶと、戻ったあとの負担が小さくなります。

Q. 辞める前に病院の中でできることはありますか?

同じ法人内の別病棟や併設施設への異動、日勤常勤やパートへの切り替え、夜勤回数の調整を相談できます。相談するときは、夜勤回数や看護補助者の人数などの事実と、どうしてほしいかという希望を分けて伝えると通りやすくなります。ハラスメントがある場合は院内の相談窓口に記録を持って相談してください。

この記事について

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編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年4月7日最終更新:2026年9月17日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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