退職金にかかる税金を減らす控除と受取時の注意点


この記事のポイント
- ✓退職金にかかる税金を減らす控除
- ✓所得税・住民税の計算方法
- ✓確定申告や退職後資金の注意点を解説します
まず、安心してください。退職金にかかる税金は、退職金の額面にそのまま高い税率がかかる仕組みではありません。退職所得控除や2分の1課税があるため、給与に比べると税負担が軽くなるように設計されています。ただし、勤続年数、受け取り方、申告書の提出有無、退職後の収入によって手取りは変わります。この記事では、退職金にかかる税金を減らす控除の考え方、計算方法、確定申告の要否、保険・年金・転職との関係まで、順番に整理します。
退職金にかかる税金は所得税と住民税が中心
退職金にかかる税金は、主に所得税、復興特別所得税、住民税です。会社員の給与は毎月の給与から源泉徴収され、年末調整で精算されます。一方、退職金は退職所得として、給与とは分けて計算されます。退職金は長年の勤務に対する一時的な収入という性格があるため、退職所得控除という大きな控除が用意されています。さらに、原則として控除後の金額の2分の1を課税対象にするため、額面よりかなり小さい金額に税率がかかります。
ここで大切なのは、「退職金が1,000万円だから税金も高い」と単純に考えないことです。勤続年数が長ければ控除額が大きくなり、課税対象がゼロになることもあります。逆に、勤続年数が短い場合や役員退職金、短期退職手当等に該当する場合は、2分の1課税の扱いが変わることがあります。制度の一次情報を確認する入口としては国税庁が基本です。
手取りを見るには額面から逆算する
退職金の税金を考えるときは、額面、退職所得控除、課税退職所得、所得税、住民税、手取りの順に見ます。最初から税率表を見ると混乱します。私も退職前に最初にやったのは、退職金の見込み額を手取りに直す表を作ることでした。住宅ローン、教育費、国民健康保険料、住民税の支払い予定を並べると、見たくない数字も出ます。ただ、数字が見えれば対策できます。
退職金は所得の1つになるため、税金が課税されます。税額を差し引かれた金額が実際にもらえる退職金となるため、税金の仕組みや計算方法を理解しておくことが大切です。この記事では、退職金にかかる税金の仕組みや計算方法について、事例を紹介しながら解説します。
引用の通り、退職金は「もらえる額面」ではなく「税金を差し引いた後の額」で考える必要があります。退職金の通知書を見て安心する前に、源泉徴収される所得税、復興特別所得税、住民税を確認しましょう。退職後に収入が一時的に下がる人ほど、この確認が重要です。
退職所得控除で税金は大きく変わる
退職金にかかる税金を減らす最大の仕組みが退職所得控除です。勤続年数が20年以下の場合、退職所得控除額は原則として40万円に勤続年数をかけます。ただし、控除額の最低額は80万円です。勤続年数が20年を超える場合は、800万円に、20年を超える勤続年数1年あたり70万円を足します。
たとえば勤続15年なら控除額は600万円です。勤続30年なら、800万円に10年分の700万円を足して、控除額は1,500万円になります。退職金がこの控除額以下なら、退職所得として課税される金額は基本的に発生しません。
勤続年数の端数と退職時期にも注意
勤続年数は税金計算上、端数の扱いが重要です。一般に、勤続期間に1年未満の端数がある場合は切り上げて計算する扱いがあります。たとえば勤続19年2カ月なら、税務上の勤続年数は20年として計算される可能性があります。退職時期を少しずらせる人は、控除額が変わるかを事前に確認する価値があります。
ただし、税金を減らすためだけに退職時期を無理に動かすのはおすすめしません。賞与、社会保険、転職先の入社日、退職金規程、有給消化、家族の生活費まで含めて判断します。退職所得控除は非常に大きな要素ですが、人生全体の資金繰りでは一部です。退職金の手取りを増やしても、退職後の無収入期間が長くなりすぎれば、結果として家計は苦しくなります。
私も会社を辞める前に、退職月をどうするかで悩みました。税金だけを見れば有利に見える月があっても、案件の準備、家計の現金残高、子どもの学校行事、妻の勤務状況まで考えると単純ではありませんでした。退職は税務イベントであると同時に、生活イベントです。控除の計算と生活の現実は同じ表で見たほうがいいです。
所得税と住民税の計算方法
退職金の税金計算は、手順を分ければ難しくありません。まず退職金の収入金額を確認し、退職所得控除額を差し引きます。次に、原則として残額の2分の1を課税退職所得金額にします。その課税退職所得金額に、所得税の速算表を当てはめます。所得税額には復興特別所得税として2.1%が加算されます。住民税は原則として課税退職所得金額に10%をかけます。
具体例で見ます。勤続15年、退職金1,000万円の場合、退職所得控除額は600万円です。差額は400万円、その2分の1で課税退職所得金額は200万円になります。この200万円に所得税と住民税がかかるため、退職金1,000万円全体に税率がかかるわけではありません。
住民税は退職金と翌年分を分ける
退職金にかかる住民税は、通常、退職金支払い時に特別徴収されます。一方で、退職前の給与に対する住民税は前年所得をもとに翌年請求されます。退職金にかかる住民税と、退職後に届く住民税の通知は別物です。ここを混同すると、「退職金から住民税が引かれたのに、また住民税が来た」と感じます。
退職後に会社員収入がなくなる人は、翌年の住民税、国民健康保険料、国民年金保険料を先に確保しておきましょう。目安として退職金の一部を納税・社会保険用の口座に分けておく方法が有効です。私は退職前に、生活費口座、納税口座、事業用口座を分けました。これだけで、口座残高を見たときの錯覚が減ります。大きな退職金が入ると、全部使えるお金に見えてしまうので注意が必要です。
住民税や所得税の制度は改正されることがあります。実際の申告や納税では、国税庁、自治体、税理士などで最新の情報を確認してください。オンライン申告を検討する人はe-Taxの利用環境も早めに確認しておくと、確定申告時期に慌てずに済みます。
一時金と年金受取で税金は変わる
退職金の受け取り方には、一時金としてまとめて受け取る方法と、年金形式で分割して受け取る方法があります。一時金で受け取る場合は退職所得として扱われ、退職所得控除と2分の1課税の対象になりやすいです。年金形式で受け取る場合は、公的年金等に係る雑所得として扱われることがあり、公的年金等控除を使って計算します。どちらが税金面で有利かは、退職金額、勤続年数、年齢、他の年金収入、退職後の収入で変わります。
一時金のメリットは、退職所得控除を使えること、まとまった資金を確保できることです。住宅ローンの繰上返済、生活防衛資金、医療・介護費、独立準備資金に使いやすい。一方で、まとまった現金が入ると、投資商品や保険商品、リフォーム、事業投資の判断を迫られやすくなります。急いで決める必要はありません。退職直後は生活リズムも心理状態も変わるので、大きな契約は一呼吸置くべきです。
年金受取は税金以外の影響も見る
年金形式の受け取りは、毎年一定額を受け取れるため、使いすぎを防ぎやすいメリットがあります。ただし、毎年の所得として扱われるため、所得税、住民税、国民健康保険料、介護保険料などに影響する場合があります。公的年金、給与、フリーランス収入がある人は、合計所得で見る必要があります。税額だけでなく、社会保険料や家計の安定性を含めて判断してください。
おすすめの考え方は、税金だけで一時金か年金かを決めないことです。生活費12カ月分、医療・介護予備費、住宅関連費、納税資金、学び直し資金を分け、そのうえで受け取り方を検討します。税金が少なくても、使いすぎれば老後資金は減ります。逆に、多少税金が増えても、毎年のキャッシュフローが安定するほうが合う人もいます。
保険の見直しも同時に考えたいところです。退職後は会社の福利厚生がなくなり、医療保険、生命保険、介護費の備えを自分で判断する比重が上がります。ただし、退職金が入った直後に一時払い保険や外貨建て保険へ大きく入れるのは慎重に進めてください。流動性、手数料、解約控除、為替リスクを理解しない契約は、老後資金の自由度を下げます。
確定申告が必要なケースと不要なケース
退職金について確定申告が不要になりやすいのは、会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出し、退職所得控除を反映した正しい源泉徴収が済んでいるケースです。この場合、退職金部分だけで見れば、会社の源泉徴収で税金の精算が完了することが多いです。ただし、退職した年の給与所得、医療費控除、寄附金控除、副業所得、フリーランス収入などがある場合は、全体として確定申告が必要または有利になる可能性があります。
確定申告が必要になりやすいのは、申告書を提出していない場合、複数の会社から退職金を受け取った場合、退職金以外の所得がある場合、年末調整を受けていない場合、医療費控除や住宅ローン控除を使いたい場合です。退職金の税金だけを見て「申告不要」と判断すると、還付を取り逃がすことがあります。退職した年は、給与、退職金、年金、副業が混ざりやすいので、所得の種類ごとに整理してください。
申告書の提出漏れは税金が大きくなりやすい
退職所得の受給に関する申告書を提出していない場合、退職金に対して一律で高めの源泉徴収がされることがあります。この場合、確定申告で精算すれば払いすぎた税金が戻る可能性がありますが、手続きの手間は増えます。退職前に会社から書類を受け取ったら、内容を後回しにしないでください。退職時は有給消化、引き継ぎ、転職準備、家族への説明で忙しいですが、ここはかなり重要です。
必要書類は、退職所得の源泉徴収票、給与所得の源泉徴収票、社会保険料控除証明書、生命保険料控除証明書、医療費の明細、寄附金受領証明書などです。フリーランスや副業を始めた人は、請求書、入金記録、経費の領収書も必要になります。私は退職後、紙の書類を封筒に入れっぱなしにして、後から探すのに苦労しました。今なら、受け取った日に「税金」「保険」「年金」「事業」のフォルダへ分けます。
電子申告を使う場合は、マイナンバーカード、利用者識別番号、対応スマートフォンやICカードリーダーなどが必要になることがあります。紙で提出する場合も、税務署の混雑や郵送日数を考える必要があります。確定申告は計算そのものより、書類集めと確認に時間がかかります。退職金が絡む年は、通常年より早めに準備するのが安全です。
退職後の転職・副業と税金の見方
退職金にかかる税金を減らすことは大切ですが、それだけで退職後の生活は安定しません。退職金は一度受け取れば増え続けるものではないため、次の収入源をどう作るかが重要です。転職する人、独立する人、しばらく休む人、年金生活に入る人で、必要な資金計画は違います。退職金の税引後手取りを把握したうえで、退職後24カ月の資金繰りを作ることをおすすめします。
転職を考える場合は、年収の額面だけでなく、入社時期、賞与、退職金制度、社会保険、住民税の支払いタイミングを確認します。外資系ITやコンサルなど高収入領域への転職を検討する人は、求人市場やエージェントの特徴を整理した年収2000万超えを狙う!外資系IT・コンサルに強いエージェント5選が参考になります。高年収ほど、税金と社会保険料の見え方も重要になります。
退職金を学び直しや副業準備に使う
退職後に知識や経験を活かしたい人には、オンライン講座やコンサルティングという選択肢もあります。シニアのオンライン講座開業|Udemyやストアカで教える方法は、講座テーマの決め方やプラットフォーム活用の流れを整理しています。業界経験を相談業務に変えたい人は、経験の棚卸しや案件化の考え方を扱うシニアのコンサルティング副業|長年の業界経験を高額案件に変えるも確認しておくとよいです。
退職金の一部を学び直しに使うのは合理的ですが、回収見込みのない高額講座や資格に一気に使うのは危険です。まず小さく試し、実際に案件や転職に結びつくかを確認します。私も退職前に副業を始めたことで、会社の外で仕事をする感覚を少しずつ掴めました。いきなり大きく独立するより、請求書を出す、納期を守る、修正対応をする、税金用の資金を分ける。こうした地味な準備が効きます。
退職後の収入を作るうえでは、職種別の相場を知ることも大切です。開発経験やITスキルがある人は、ソフトウェア作成者の年収・単価相場で案件単価や市場感を確認できます。文章や編集、技術文書の仕事に関心がある人は、著述家,記者,編集者の年収・単価相場を見ると、仕事の広がりを考えやすくなります。
スキル、資格、仕事選びを資金計画に組み込む
退職金を守るには、税金だけでなく、退職後にどのスキルで収入を作るかを考える必要があります。AI導入や業務改善に関心がある人は、企業の課題整理からツール活用までを扱うAIコンサル・業務活用支援のお仕事が参考になります。マーケティングやセキュリティまで広げたい人には、複数領域を組み合わせた案件像を説明するAI・マーケティング・セキュリティのお仕事が役立ちます。
アプリや業務ツールの開発に関心がある場合は、要件定義、設計、実装、保守の流れを理解することが大切です。アプリケーション開発のお仕事では、開発案件の役割や工程を把握できます。退職金を使って学ぶなら、学習内容がどの仕事につながるのか、どれくらいの期間で案件化できそうか、必要な初期費用はいくらかを確認しましょう。
資格は説明力と信頼性の補強に使う
資格は万能ではありませんが、退職後の仕事で説明力や信頼性を補強する材料になります。提案書、報告書、契約前の説明文を整える力をつけたい人には、実務文書の基礎を確認できるビジネス文書検定が向いています。ITインフラやネットワークの基礎を学びたい人には、学習範囲とキャリア接続を整理できるCCNA(シスコ技術者認定)も選択肢になります。
ただし、資格取得費用も退職金から出るなら、家計の固定費と同じく管理が必要です。受講料、教材費、試験料、学習期間中の収入減を含めて考えます。退職金は「余ったお金」ではありません。生活防衛資金、納税資金、保険料、年金保険料、住宅費、教育費を確保した後に、学び直しや副業準備へ回す順番が現実的です。
保険も同じです。退職後は会社の保障がなくなるため、生命保険や医療保険を見直す人が多いです。ただし、退職金が入った直後に高額な保険へ一括で入る必要があるかは慎重に考えましょう。保障内容、保険料、解約返戻金、手数料、家族構成、既存の貯蓄を比較します。退職金の税金を減らしても、不要な固定費を増やせば資金繰りは悪化します。
税金を減らすより先に資金繰り表を作る
退職金にかかる税金を減らす方法として、退職所得控除の確認、申告書の提出、受け取り方の比較、控除の活用、確定申告による還付確認があります。ただし、節税だけを目的に動くと判断を誤ります。税金を減らすことより、退職後の生活を崩さないことが先です。退職金の手取りを出したら、生活費、社会保険料、住民税、医療費、住宅費、事業準備費を月別に並べてください。
資金繰り表を作ると、退職金をどこまで使えるかが見えます。大きな買い物や投資、保険加入、開業費用を検討する前に、最低でも12カ月から24カ月分の現金推移を確認しましょう。収入が安定するまでの期間を甘く見ると、退職金を予定より早く取り崩すことになります。
手取り、納税、次の収入を同じ表で見る
退職金にかかる税金の実務チェックは、退職金の額面、勤続年数、退職所得控除、源泉徴収税額、住民税、手取り、退職後の月次支出、次の収入予定を同じ表にまとめることです。これにより、「税金はいくらか」「生活費は何カ月分あるか」「いつから収入が必要か」が見えます。複雑な節税策を探す前に、この表を作るだけで判断がかなり安定します。
退職金は、長年働いた結果として受け取る大切な資金です。税金を減らす控除を正しく使い、必要書類を出し、確定申告で還付の可能性を確認する。そのうえで、保険、年金、転職、副業、学び直しを現実的に組み合わせる。皆さんが見るべきなのは、税金だけを引いた瞬間の手取りではなく、退職後の生活と仕事を支えるために、手元資金がどれだけ長く、どれだけ安定して使えるかです。
よくある質問
Q. 退職金にかかる税金は何がありますか?
主に所得税、復興特別所得税、住民税がかかります。ただし、退職所得控除と2分の1課税があるため、退職金の額面全体にそのまま税率がかかるわけではありません。
Q. 退職金に税金がかからないことはありますか?
退職金が退職所得控除額以下であれば、退職所得としての税金がかからないことがあります。勤続年数によって控除額が変わるため、まず自分の勤続年数で計算してください。
Q. 退職金を受け取ったら確定申告は必要ですか?
「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出し、正しく源泉徴収されていれば、退職金部分は申告不要なケースが多いです。ただし、副業所得や医療費控除などがある場合は確定申告が必要または有利になることがあります。
Q. 一時金と年金受取はどちらがおすすめですか?
一時金は退職所得控除を使えるため税金面で有利になりやすい一方、年金受取は使いすぎを防ぎやすい特徴があります。税金だけでなく、社会保険料、生活費、退職後の収入予定を含めて判断しましょう。

この記事を書いた人
前田 壮一
元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身
大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。
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