技術士の講師・講座の仕事


この記事のポイント
- ✓技術士 講師 副業を考えている人向けに
- ✓企業研修や技術セミナー
- ✓オンライン講座といった教える仕事の種類
技術士の資格を持つ人が在宅で始められる仕事のなかで、教える側に回る仕事は、単価がいちばん高くなりやすい領域です。理由は単純で、代わりがいないからです。特定の分野を実務として20年やってきて、それを人に説明できる人は、企業から見ると社内にも社外にもほとんどいません。ただし、準備にかかる時間を読み違えると、時間単価は簡単に崩れます。この記事では、どんな依頼が来るのか、いくらで受けるのか、教材づくりにどれだけ時間がかかるのかを、実務の順番どおりに整理します。
教える人を探している場所は思っているより多い
まず、どこに需要があるのかをはっきりさせます。教える仕事というと大学の講義を思い浮かべる人が多いのですが、実際に件数が多いのは企業の研修です。
技術士の副業全体を見渡した整理では、講師業は主要な柱のひとつに位置づけられています。
結論:技術士の副業は「技術顧問・コンサル」「技術文書作成」「研修・講師」「スポット相談」が中心です。案件単価は内容・専門性で大きく変わりますが、スポット相談は1時間あたり数万円規模、顧問契約は週1日相当で月20〜50万円といった募集例が一般的に見られます。会社員でも、就業規則の許可と守秘・利益相反の管理、税務手続きを押さえれば現実的に始められます。 出典: jobhouse.jp
研修の中身についても、具体的な整理があります。
企業研修や技術セミナー、大学・専門学校での非常勤講師も副業として人気です。 テーマは「品質管理」「構造解析」「施工管理」「技術文書作成法」など幅広く、 自身の経験を体系化して伝える仕事です。 1回あたり2〜3時間で数万円の報酬になることも多く、 「自分の専門を言語化して伝える力」を磨く点でも有益です。 出典: jobhouse.jp
ここで注目してほしいのは「自分の専門を言語化して伝える力」という部分です。技術士試験の筆記と口頭試問を通ってきた人は、この力をすでに鍛えています。専門とする事項について、背景、課題、解決策、結果を筋道立てて説明する訓練を受けているからです。教える仕事は、その延長線上にあります。
需要が増えている背景も押さえておきます。製造業や建設業では、技術を持った層の退職が続いており、社内で教えられる人が急速に減っています。教育の外注は、コスト削減のためではなく、社内に教える人がいないという理由で発生しています。この構造は当面変わりません。
依頼される「教える仕事」の種類
一口に講師といっても、実際の依頼は性質の異なる型に分かれます。準備の量も報酬の決まり方も違うので、区別して考えてください。
企業の技術研修
いちばん件数が多い型です。新入社員向けの基礎講座、中堅技術者向けの専門講座、管理職向けの品質や安全のマネジメント講座など、対象と目的が明確に決まっています。1回あたり2時間から1日で、オンラインでの実施が定着しました。在宅で受けやすい型です。
業界団体や研修会社が主催する技術セミナー
不特定の企業から受講者を募る形式です。研修会社が集客と運営を担い、講師は中身に集中できます。受講者の所属がばらばらなので、特定企業の事情に踏み込まない普遍的な内容が求められます。
大学や専門学校の非常勤講師
半期や通年で担当する型です。1コマあたりの報酬は企業研修より低くなる傾向がありますが、実績としての価値は高く、他の依頼につながります。対面が原則の学校も多いため、在宅で完結させたい人には向かない場合があります。
資格試験の受験指導
技術士試験の対策講座は、この分野で継続的に募集が出ています。答案の添削、口頭試問の模擬練習、専門とする事項の整理といった業務です。受講者が同じ資格を目指す技術者なので、話が通じやすいのが特徴です。ただし、他人の答案を読んで指導する作業は思った以上に時間を食います。受け持つ人数の上限を先に決めてください。
オンライン講座の販売
動画を収録して、講座として販売する型です。一度作れば売り続けられる反面、最初の収録と編集に大きな時間がかかります。継続的な収入になるまでには時間が必要で、最初の仕事として選ぶ型ではありません。
個人指導と少人数の勉強会
企業の技術者数人を相手に、定期的に指導する形式です。オンライン会議で完結し、教材の作り込みも軽くて済みます。継続契約になりやすく、実は最も効率の良い型のひとつです。
コンサルティングや講師の仕事がどのような形で募集されるかは、ITコンサルティング・講師のお仕事に整理されています。分野は違っても、契約の形や求められる進め方は共通しているので、一度目を通しておくと発注側の言葉が理解しやすくなります。
値付けをどう決めるか
報酬の提示のされ方は、時間単価、日当、講座単位の固定額、受講者数に連動する形の四つです。
企業研修では、2時間の講座で5万円から15万円あたりが一つの帯です。1日6時間の研修になると15万円から30万円という水準の募集も見られます。専門性が高く、代わりがきかないテーマほど上に振れます。
ここで多くの人が間違えるのが、講義時間だけで計算してしまうことです。2時間の講座を初めて作るとき、資料づくりに10時間から20時間かかります。この準備時間を含めて計算すると、初回の実質時間単価は驚くほど低くなります。逆に言えば、同じ内容を2回目、3回目と使い回した時点で、時間単価は一気に上がります。
したがって、値付けの原則は次のようになります。初回は準備時間を含めた金額を提示する。同じ内容を再演する場合は、準備が不要になった分を割り引いても構わないが、必ずしも下げる必要はない。教材の改訂には手間がかかるからです。
交渉で使える材料は三つあります。ひとつは資料の権利です。作った資料を発注側が自由に再利用してよいのか、講義のときだけ使うのかで、金額は変わります。二つ目は録画です。録画して社内で繰り返し使う場合、実質的に講座を売ったのと同じなので、別立ての金額を提示して問題ありません。三つ目は質疑への対応です。講義後に個別の質問を受ける場合、その時間も業務です。
専門職の時間あたりの収入水準を把握しておくと、提示額が妥当か判断しやすくなります。ソフトウェア作成者の年収・単価相場で技術職の分布を確認できます。教材の原稿を書く作業に近い仕事の水準は著述家,記者,編集者の年収・単価相場が参考になります。
教材づくりにかかる時間の見積もり方
準備の量を読み違えると、この仕事は赤字になります。実務的な目安を示します。
新規に2時間の講座を作る場合、構成の設計に2時間、スライドの作成に8時間から12時間、演習や事例の準備に3時間から5時間、通しの練習に2時間。合計で15時間から20時間を見込んでください。これが2回目以降になると、内容の更新と受講者に合わせた調整だけになり、2時間から3時間に縮みます。
時間を減らす方法は三つあります。
第一に、手持ちの資料から作ることです。本業で作った社内向けの資料をそのまま使うことはできませんが、扱ったテーマや説明の順序は再利用できます。ゼロから考えるより早く、内容も安定します。
第二に、スライドを作り込みすぎないことです。技術者は図を丁寧に描きたくなりますが、受講者が見ているのは図の美しさではありません。伝えたい構造が読み取れれば十分です。資料作成の道具そのものを効率化したい場合はAdobe認定プロフェッショナル Adobe Expressのような制作系の資格ガイドを見ておくと、どんなツールが使われているかの見当がつきます。
第三に、講座を分割できる単位で作ることです。30分単位の塊で作っておけば、90分の依頼にも3時間の依頼にも組み替えて対応できます。毎回ゼロから作らずに済むのは、この設計をしているかどうかで決まります。
1コマの構成をどう組むか
受講者の満足度は、内容の高度さではなく構成で決まります。実務で使える型を示します。
冒頭の10分で、この講座を受けると何ができるようになるかを示します。技術者向けの研修では、受講者は業務時間を割いて参加しているため、時間の価値を最初に納得させる必要があります。
次に、受講者の現在地を確認します。オンラインなら簡単な質問を投げて反応を見る。ここを飛ばして話し始めると、全員にとって難しすぎるか、易しすぎる講義になります。
本論は、原則、具体例、失敗例の順で組みます。技術者が最も記憶に残すのは失敗例です。実際に起きた不具合、その原因、対処。ここを厚く話せる人は、それだけで代わりがききません。ただし、勤務先で経験した個別の事例をそのまま話すのは秘密保持の問題があります。一般化して、どこの現場でも起きうる形に直してから使ってください。
終盤に演習を入れます。聞くだけの講義は、終わった瞬間に忘れられます。10分でも手を動かす時間があると、定着率が変わります。
最後に質疑を必ず取ります。ここで出る質問は、次の講座を改善する材料になります。答えられない質問が出たら、その場で調べずに「確認して後日回答します」と伝えて構いません。有資格者として、わからないことをわかると言わない姿勢のほうが信頼されます。
名称の出し方と守秘の決まり
講師として名前を出すとき、法律上の決まりに従う必要があります。
技術士法(昭和58年法律第25号)第46条は、業務に関して技術士の名称を表示するときは、登録を受けた技術部門を明示しなければならないと定めています。講座の告知ページや配布資料の講師紹介欄には「技術士(機械部門)」のように部門まで書いてください。研修会社が略した表記を使おうとすることがあるので、講師側から指定するのが確実です。
同法第44条は信用失墜行為の禁止、第45条は秘密保持義務を定めています。第45条は技術士でなくなった後も同様とされ、罰則も設けられています。講義中に勤務先の未公開情報や、顧客の固有名詞を出すことは、この義務に触れる恐れがあります。事例を使うときは、企業名、地名、時期を伏せ、技術的な構造だけを取り出してください。条文はe-Gov法令検索の技術士法で確認できます。
なお、技術研修の講師を技術士だけができると定めた規定はありません。技術士は名称を独占する資格であって、教える行為を独占する資格ではないという理解が正確です。特定の法定講習の講師や、法令で資格者が定められている教育については、その分野の根拠法で要件が決まっているため、依頼を受ける前に根拠を確認する必要があります。資格ごとの業務範囲の考え方を整理したい場合は行政書士の資格ガイドが比較材料になります。
本業がある人が先に確認すること
会社員として勤めながら講師をする場合、就業規則の副業規定が最初の関門です。届出制か許可制か、競業避止条項がどこまで及ぶかを確認してください。とくに講師業は、勤務先の同業他社を相手にする可能性があるため、分野の重なりを事前に整理しておく必要があります。
公務員や公的機関の職員は扱いが異なります。国家公務員法や地方公務員法には営利企業への従事等の制限があり、報酬を伴う業務には任命権者の許可が必要とされています。技術士には官公庁や公的研究機関に勤める人が多いため、所属先の規程を必ず確認してください。大学の講義や公的団体の研修は、許可が下りやすい場合もあります。
税務では、給与以外の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要になるのが一つの目安です。講師料は支払時に源泉徴収されることが多く、確定申告で精算します。働き方の全体像を確認したい場合はキャリア・副業・人生相談のお仕事が、業務委託で関わる形の整理に役立ちます。技術寄りの案件がどう募集されるかはAI・マーケティング・セキュリティのお仕事で確認できます。
オンラインで実施するための準備
在宅で講師をするなら、環境の整備は最低限やっておくべきです。凝った機材は要りませんが、音声だけは妥協しないでください。
音が聞き取りにくい講義は、内容がどれだけ良くても評価が下がります。マイクは外付けのものを使い、部屋の反響を減らす。この二点だけで印象が変わります。
映像は、明るさを確保できれば十分です。逆光にならない位置に座り、背景を整理する。カメラの解像度より、明るさのほうが影響が大きいというのが実務上の感覚です。
回線は有線を推奨します。無線でも実施できますが、途中で切れたときの損害が大きすぎます。
画面共有の練習も必ずしておいてください。資料が正しく映らない、スライドの切り替えがうまくいかないといったトラブルは、開始直後の信頼を大きく削ります。本番と同じ手順で一度通してから臨むべきです。
分野ごとに求められている講座は違う
自分の技術部門でどんな講座に需要があるかを知っておくと、応募先を絞れます。
建設部門と上下水道部門では、施工管理、品質管理、維持管理管理の講座に安定した需要があります。加えて、若手技術者向けの図面の読み方、現場での安全管理、発注者との協議の進め方といった、教科書に載っていない実務の講座が求められています。技術士試験の受験指導も、この分野は受講者の母数が大きく、募集が途切れません。
電気電子部門と機械部門では、設計の基礎、材料の選定、故障解析、規格への適合といったテーマが中心です。製造業の社内研修として発注されることが多く、企業ごとに扱う製品が違うため、受講前のヒアリングが特に重要になります。
化学部門と金属部門では、材料の特性、表面処理、分析手法の講座に需要があります。実験や測定を伴うテーマはオンラインで扱いにくいため、座学部分だけを切り出す設計ができると受注しやすくなります。
環境部門と衛生工学部門では、法令と基準値の講座が中心になります。改正が頻繁にあるため、最新の内容に更新できる講師が求められます。ここは資料の改訂作業が毎年発生する前提で値付けしてください。
経営工学部門では、生産管理、品質管理の手法、統計的な工程管理といったテーマが定番です。製造業の中堅社員向けとして、継続的な研修プログラムに組み込まれやすい領域です。
情報工学部門では、産業機器の制御、工場のネットワーク、機能安全のように、実務経験がないと教えられないテーマに需要が集中します。一般的なプログラミング講座は競合が多く、有資格者の優位が出にくい領域です。
農業部門、森林部門、水産部門は、案件数こそ多くありませんが、教えられる人がほとんどいません。自治体や業界団体が主催する研修で募集が出ることがあり、応募できる状態にしておく価値があります。
単発の講座を継続契約に育てる
一度きりで終わるか、毎年の依頼になるかは、講義そのものより前後の動き方で決まります。
事前のヒアリングが最初の分かれ目です。受講者の人数、経験年数の幅、いま困っていること、研修後にどうなってほしいか。この四点を聞いておくだけで、講義の当たり具合がまったく変わります。多くの講師はこれをやりません。だからこそ、やる人が印象に残ります。
講義後の報告も効きます。当日に出た質問、受講者の反応で気づいたこと、次回に向けた提案を、1ページにまとめて送る。研修担当者は上司に成果を報告する必要があるので、この資料はそのまま使われます。担当者の仕事を減らす講師は、次も呼ばれます。
教材の更新も継続の材料になります。法令や規格が変わったタイミングで「この部分の内容が変わったので、次回は差し替えます」と先に伝える。放っておくと古い内容のまま使われ、後で問題になります。
受講者からの個別の質問に応じる窓口を用意しておくのも有効です。講義後の一定期間だけメールで質問を受け付ける形にすれば、負担を限定しながら関係を深められます。この対応が評価されて、技術相談の顧問契約に発展する例は珍しくありません。
引き受けないほうがよい依頼
続けるためには、断る判断が要ります。
内容を指定されすぎる依頼は避けたほうが無難です。台本まで決められている研修は、講師である必要がありません。有資格者の名前を並べたいだけの案件である可能性があります。
準備時間が報酬に反映されない依頼も見送ります。「資料はこちらで用意します」と言われて渡された資料が使い物にならず、結局作り直すという展開はよくあります。資料の責任範囲を先に決めてください。
競合他社の研修は、就業規則以前の問題として避けます。分野が近いほど声はかかりますが、ここは線を引くべきです。
無償での試し講義を求める依頼も断って構いません。実績を示す資料や過去の講座の構成を見せることで代替できます。
受講者の反応をどう受け止めるか
初めて講師をした人がいちばん動揺するのは、受講者の反応が薄いことです。オンラインだと顔が見えず、うなずきも拍手もありません。ここで失敗したと判断するのは早すぎます。
企業研修の受講者は、業務命令で参加していることが多く、最初から前のめりではありません。反応が薄いのは講義の質とは別の問題です。評価は、後から届くアンケートや、翌年また呼ばれるかどうかで判断してください。
アンケートの読み方にも注意が要ります。自由記述の否定的な意見は目立ちますが、全体の傾向を見るほうが重要です。よくあるのは「もっと具体例がほしかった」という指摘で、これは内容が悪いのではなく時間配分の問題であることがほとんどです。原則の説明を削り、事例を増やすだけで解決します。
逆に、深刻に受け止めるべき指摘もあります。「話が速すぎてついていけない」「前提知識がないと理解できない」という声が複数出た場合は、受講者の現在地を読み違えています。次回は事前のヒアリングをやり直してください。
運営者として見てきたこと
在宅の仕事の市場を20年見てきた立場から言うと、教える仕事で長く続いている人には共通点があります。講義の質を上げることより、依頼側の困りごとを先に聞いている点です。
研修を発注する担当者は、教育の専門家ではありません。「若手の技術力が上がらない」という漠然とした課題を抱えていて、それを講座の形に落とせずにいます。ここで、何が起きていて何を変えたいのかを一緒に整理できる講師は、単発の依頼が年間の契約に変わります。逆に、決まったテーマを上手に話すだけの人は、次の年に別の講師に替わります。
もうひとつ、手取りの構造の話をします。同じ10万円の講師料でも、仲介手数料が20%差し引かれる経路と、手数料0%の直接取引とでは、手元に残る額が明確に違います。この差は依頼側にとっても意味を持ちます。同じ予算でより多くの回数を頼めるからです。運営者として見てきた限りでは、最初の実績づくりに仲介型を使い、関係ができた相手とは直接契約に移す人が、年間の手取りを安定させています。
資格を活かして教える側に回った人の進み方は、分野が違っても似た形をたどります。キャリアコンサルタント資格の活かし方|副業・独立ガイド【2026年版】やマンション管理士の副業|管理組合のコンサルティング【2026年版】には、資格保有者が相談や指導の仕事へ移っていく流れが整理されています。オンライン講座の運営に必要な仕組みづくりに関心があればWordPressカスタマイズで稼ぐ|副業エンジニアの実践法【2026年版】も、自分で講座の受け皿を作る際の参考になります。
講座を作ると本業にも効く
副業として教える仕事を始めた人が口を揃えて言うのは、本業の説明が上手くなったということです。理由ははっきりしています。人に教えるためには、自分が感覚でやってきた判断を、言葉と手順に直す必要があるからです。この作業を通すと、なぜその材料を選ぶのか、なぜその順序で確認するのかが整理されます。
社内で若手を育てる立場にある人ほど、この効果は大きくなります。研修用に作った資料は、そのまま社内の指導にも使えます。逆に、社内で使った資料を副業の教材に流用することはできません。会社の資産だからです。この向きの違いだけは間違えないでください。
もうひとつの効果は、業界の動きが見えることです。研修の依頼が集まるテーマは、企業が困っているテーマそのものです。どの分野の依頼が増えているかを見ていると、業界がいま何を課題にしているかが手に取るようにわかります。
最初の一件をどう取るか
やることは三つです。教えられるテーマを3つに絞って書き出す。それぞれについて、90分の構成案を作る。そして、募集が出ている場所に応募する。
構成案は1ページで十分です。対象者、この講座で何ができるようになるか、見出しの並び、演習の有無。これだけあれば、研修会社や企業の担当者は判断できます。完成した教材を作ってから応募する必要はありません。むしろ、依頼が決まってから相手に合わせて作るほうが、無駄がなく満足度も上がります。
技術士として20年、30年と積み上げてきた経験は、教える形にすれば、そのまま仕事になります。足りないのは教材でも話術でもなく、教えられる人がここにいると知らせる場所だけです。
よくある質問
Q. 技術研修の講師料はどのくらいが相場ですか?
企業研修では2時間の講座で5万円から15万円、1日6時間の研修で15万円から30万円あたりが一つの帯です。専門性が高く代わりがきかないテーマほど上に振れます。ただし初回は資料づくりに15時間から20時間かかるため、準備時間を含めた金額を提示してください。同じ内容を再演すると準備が2時間から3時間に縮み、実質の時間単価が大きく上がります。
Q. 人前で話した経験がなくても講師の仕事は受けられますか?
受けられます。技術士試験の口頭試問を通っている人は、専門とする事項を筋道立てて説明する訓練をすでに受けています。評価を分けるのは話術ではなく構成です。冒頭で講座の到達点を示し、受講者の現在地を確認し、原則、具体例、失敗例の順で組み、最後に演習と質疑を入れる。この型を守れば内容は伝わります。
Q. 講師のプロフィールに技術士と書くとき、決まりはありますか?
あります。技術士法第46条により、業務に関して技術士の名称を表示するときは登録を受けた技術部門を明示する必要があります。告知ページや配布資料の講師紹介には「技術士(機械部門)」のように部門まで書いてください。研修会社が略した表記を使おうとすることがあるため、講師側から表記の形を指定するのが確実です。
Q. 講義で勤務先の事例を話してもよいですか?
そのままの形では話せません。技術士法第45条は業務上知り得た秘密を漏らすことを禁じ、技術士でなくなった後も同様と定めています。就業規則上の秘密保持義務も重なります。事例を使うときは企業名、地名、時期を伏せ、技術的な構造だけを取り出して、どの現場でも起きうる形に一般化してから話してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
前田 壮一@SOHO編集部
元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身
大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。
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