商品PR動画の制作費用|料金相場と尺・演出別の内訳と外注のコツ 2026

長谷川 奈津
長谷川 奈津
商品PR動画の制作費用|料金相場と尺・演出別の内訳と外注のコツ 2026

この記事のポイント

  • 商品PR動画の制作費用の相場を
  • 尺別・演出別・依頼先別に徹底解説
  • 見積もりで確認すべき項目

先日、あるアパレルEC事業者の方から相談を受けました。「商品PR動画を作りたいけれど、A社は50万円、B社は15万円、C社は3万円と見積もりがバラバラで、何が違うのか全然わからない」と。これ、知らない人が本当に多いんです。同じ「商品PR動画1本」でも、撮影の有無・出演者・演出の作り込み・尺・修正回数で費用は10倍以上変わります。つまり、相場を知らないまま見積もりだけを並べても、高いのか安いのか、適正なのかは判断できません。

この記事では、商品PR動画の制作費用について、相場の全体像から料金の内訳、尺・演出別の目安、依頼先ごとの価格差、そして仲介会社を通す場合と個人のクリエイターへ直接依頼する場合のコスト差までを、発注者が「いくらで・どこに・どう頼めばいいか」を自分で決められる粒度で整理します。読み終わるころには、手元の見積もりが妥当かどうかを自分の目で判断できるようになっているはずです。

商品PR動画の制作費用の相場【全体像】

まず結論から示します。商品PR動画の制作費用は、依頼する内容によって3万円から300万円まで、非常に幅広い分布になります。この幅の広さが、発注者を最も混乱させる原因です。

大まかな価格帯を整理すると、次のようになります。既存の写真や素材を使ったスライドショー形式のシンプルな動画であれば3万円から10万円程度、簡単な撮影と編集を含む標準的な商品紹介動画で20万円から50万円程度、出演者やロケ撮影、アニメーション、ナレーションなどを組み合わせた本格的なプロモーション動画になると50万円から150万円程度、そしてタレント起用や大規模なセット撮影、3DCGを伴うハイエンドな案件では150万円以上になることも珍しくありません。

参考として、動画制作会社が公開している相場観を引用します。

そのため制作費用相場にも幅があります。簡単なアニメーション(モーショングラフィックス)など、最低限の編集だけを用いる場合には30万円程度、ドローン撮影や3DCG編集、ナレーションなどまで依頼する場合には100万円程度が相場となっています。

つまり、業界のプロが提示する標準的なラインは30万円から100万円ということです。ただし、これはあくまで制作会社に依頼した場合の目安です。後述しますが、個人のクリエイターへ直接依頼する場合や、素材をこちらで用意する場合には、この相場より大幅に費用を抑えられるケースがあります。

ここで大切なのは、「安い=手抜き」「高い=良い」という単純な図式では判断できないということです。3万円の動画が悪いわけでも、100万円の動画が常に必要なわけでもありません。自社の商品・目的・配信先に対して、どのレベルの動画が必要なのかを見極めることが、費用対効果の高い発注の第一歩になります。

なぜこれほど価格に幅が出るのか

商品PR動画の費用がここまで幅広い理由は、動画制作が「工程の組み合わせ」で成り立っているからです。企画・構成、撮影、出演者の手配、編集、ナレーション、音楽、CG・アニメーション、修正対応…これらの工程を、どこまで人の手で作り込むかによって、必要な工数と人件費が大きく変わります。

たとえば、既にある商品写真を並べてテロップと音楽を付けるだけなら、編集者1人が数時間で仕上げられます。一方、モデルを起用してスタジオで撮影し、プロのナレーションを入れ、オリジナルの音楽を付け、細かい修正に何度も対応する動画なら、ディレクター・カメラマン・照明・編集・出演者と、関わる人数も日数も一気に増えます。動画制作費の大部分は「人件費」だと考えると、この価格差の理由が腑に落ちるはずです。

だからこそ、見積もりを比較するときには「金額の大小」ではなく「その金額に何の工程が含まれているか」を読み解く必要があります。次の章では、その内訳を具体的に分解していきます。

商品PR動画の制作費用の内訳

見積書を受け取ったとき、多くの発注者が「一式 30万円」といった大雑把な記載に戸惑います。ここでは、その「一式」の中身を分解して、どこにいくらかかっているのかを明らかにします。内訳を理解すれば、削れる工程・削れない工程が見えてきて、予算調整の交渉もしやすくなります。

動画制作費は大きく分けて、「企画・ディレクション費」「撮影費」「出演・キャスティング費」「編集費」「音声・音楽費」「諸経費」の6つで構成されます。それぞれを見ていきましょう。

企画・ディレクション費

動画全体の設計にかかる費用です。どんなメッセージを、どんな構成で、どんなトーンで伝えるかを決める「企画・構成」と、制作全体を統括する「ディレクション(進行管理)」がここに含まれます。相場は1本あたり3万円から20万円程度です。

この費用を「無駄」と考える発注者もいますが、実は動画の出来を最も左右するのがこの工程です。構成があいまいなまま撮影に進むと、後から「やっぱり違った」と撮り直しになり、かえって費用がかさみます。特に商品の魅力を伝えるPR動画では、最初の設計が売上への効果を決めると言っても過言ではありません。安さだけを求めてこの工程を削る依頼先は、慎重に見極めたほうがよいでしょう。

撮影費

実際にカメラを回して映像を撮る工程の費用です。カメラマンの人件費、機材レンタル費、スタジオやロケ地の使用料が含まれます。撮影が半日か1日かでも金額は変わり、相場は5万円から30万円程度です。ドローン撮影や特殊機材を使う場合は、さらに追加費用が発生します。

一方で、既存の商品写真や、こちらで撮影した素材を使えば、この撮影費はまるごと省略できます。ECサイト用にすでに商品写真がある事業者なら、それを活用したスライドショー型の動画にすることで、費用を大幅に圧縮できます。撮影が必要かどうかは、費用を左右する最大の分岐点の一つです。

出演・キャスティング費

動画にモデルやタレント、ナレーターを起用する場合の費用です。一般的なモデルなら1人あたり3万円から15万円程度、知名度のあるインフルエンサーや有名タレントになると数十万円から数百万円と、青天井になります。

商品PR動画では「人が商品を使っている様子」を見せると訴求力が上がりますが、必ずしもプロのモデルが必要とは限りません。社員やオーナー自身が出演することでコストを抑えつつ、かえって親近感を出せるケースもあります。誰を出演させるかは、費用と訴求効果のバランスで決める部分です。

編集費

撮影した素材、あるいは既存の素材をつなぎ合わせ、テロップ・効果・色調整などを加えて1本の動画に仕上げる工程です。相場は3万円から30万円程度と幅があり、テロップの量、エフェクトの凝り具合、修正回数によって変動します。

編集はスキルの差が出やすい工程でもあります。同じ素材でも、テンポの良いカット割りや見やすいテロップ設計ができる編集者に頼むと、動画の完成度が段違いになります。見積もりに「修正回数」が明記されているかは必ず確認してください。「修正は2回まで、3回目以降は1回あたり1万円」といった条件が最初から示されている依頼先は、トラブルになりにくく信頼できます。

音声・音楽費

ナレーション録音、BGM、効果音にかかる費用です。プロのナレーターに依頼すると2万円から10万円程度、著作権フリーの音源を使えば無料から数千円で済みます。オリジナル楽曲を作曲する場合は10万円以上かかることもあります。

ここで注意したいのが著作権の問題です。市販の楽曲を無断で使うと権利侵害になります。商用利用可能な音源かどうかは、必ず制作側に確認してください。この点は法律上も重要なポイントなので、後の章で改めて触れます。

諸経費・その他

上記に加えて、交通費、素材購入費、ストレージ費用、そして制作会社の場合は管理費(全体の10〜20%程度が上乗せされることが多い)が発生します。見積もりの「その他」「諸経費」の欄が不自然に大きい場合は、内訳を尋ねるのが賢明です。

尺・演出別の商品PR動画の制作費用

商品PR動画といっても、15秒のSNS用ショート動画と、3分の商品説明動画では、必要な工数がまったく違います。ここでは、動画の尺と演出のタイプ別に、費用の目安を整理します。自社が作りたい動画がどこに当てはまるかを考えながら読んでください。

尺(長さ)による費用の違い

一般的に、動画は長くなるほど費用が上がります。ただし「長さに正比例する」わけではなく、構成の複雑さや撮影量のほうが影響します。目安としては、15〜30秒のショート動画で3万円から30万円程度、1分前後の標準的なPR動画で15万円から50万円程度、3分以上のしっかりした商品説明動画で30万円から100万円程度が相場です。

短い動画のほうが安いとは限らない点にも注意が必要です。15秒のSNS広告動画は、限られた時間で強い印象を残す必要があるため、企画とテンポに高いスキルが求められます。実際、広告用の短尺動画は、尺の割に単価が高くなることがあります。次の引用がその実態をよく表しています。

たとえば使用されることの多い「スキップ可能なインストリーム広告」であれば、スキップされる前の”冒頭5秒間”でインパクトを与えることを意識しなければなりません。撮影・編集技術はもちろん、キャッチコピー(サウンドロゴ)などにもこだわった場合、全体の尺が30秒程度であれば、制作費用は50万円〜100万円程度が相場となります。

つまり、「30秒だから安い」とは言い切れず、広告として成果を出すための作り込みが入ると、短尺でも数十万円規模になるということです。尺で機械的に判断せず、目的とセットで費用を考える必要があります。

演出タイプ別の費用

演出のスタイルによっても費用は大きく変わります。代表的な4タイプで見てみましょう。

スライドショー・静止画ベースの動画は、既存の写真とテロップ、音楽で構成するシンプルな形式で、3万円から10万円程度。EC商品の紹介やSNS投稿用に手軽に作れます。実写撮影ベースの動画は、商品や使用シーンを撮影して構成するもので、20万円から80万円程度。多くの商品PR動画がこのタイプです。

アニメーション・モーショングラフィックス型は、イラストや図解を動かして商品の特徴や仕組みを説明する形式で、20万円から60万円程度。無形のサービスや、機能を説明したい商材に向いています。そして3DCGを使ったハイエンドな動画は、製品の内部構造を立体的に見せたり、実写では不可能な表現をするもので、80万円から300万円程度と最も高額です。

自社の商品がどのタイプに合うかは、「何を伝えたいか」で決まります。手触りや質感を見せたいなら実写、仕組みや効果を説明したいならアニメーション、というように、目的から逆算して選ぶと予算のムダが出ません。

配信先(媒体)による考え方の違い

商品PR動画は、どこで流すかによっても最適な作り方が変わります。YouTube広告、Instagram・TikTokなどのSNS、自社ECサイト、店頭サイネージでは、求められる尺・縦横比・トーンがそれぞれ異なります。

YouTube広告用の動画については、次のような相場が示されています。

依頼する映像制作会社のスキル・まとめ撮りへの対応の可否によっても変動しますが、YouTube広告用の動画制作にかかる費用相場は10万円〜100万円程度と考えていいでしょう。

SNS向けの縦型ショート動画であれば、比較的低予算でも十分に成果が出せます。逆に、テレビCMや大規模な展示会で流す動画は、媒体の性質上、高い完成度が求められるため費用も上がります。「どこで誰に見せるか」を最初に決めておくと、過剰な作り込みで予算を使いすぎることを防げます。

商品PR動画を外注する依頼先の比較

商品PR動画を外注する先は、大きく分けて「制作会社」「動画制作に特化したフリーランス・個人クリエイター」「クラウドソーシング・マッチングサービス」の3つがあります。それぞれ費用・品質・対応力に特徴があるので、自社の予算と目的に合わせて選ぶ必要があります。

制作会社に依頼する場合

制作会社の強みは、企画から撮影・編集・納品までを一気通貫で任せられる体制と、複数人のチームによる安定した品質です。大型の案件や、絶対に失敗できないブランドPRには向いています。

一方で、費用は最も高くなります。会社としての管理費・営業費が上乗せされるため、同じ内容でもフリーランスに頼むより1.5倍から2倍程度になることが一般的です。相場は1本あたり30万円から200万円程度。予算に余裕があり、手厚いサポートを重視する場合の選択肢です。

フリーランス・個人クリエイターに直接依頼する場合

動画制作を専門とするフリーランスへ直接依頼する方法は、近年、費用対効果の高い選択肢として注目されています。相場は1本あたり3万円から50万円程度と、制作会社よりかなり抑えられます。

なぜ安くなるのか。理由はシンプルで、間に入る中間業者がいないからです。制作会社や広告代理店を通すと、実際に手を動かすクリエイターの報酬に、会社の利益や営業コスト、仲介手数料が上乗せされます。フリーランスへ直接依頼すれば、この中間マージンがまるごと不要になり、その分だけ発注者の支払う金額が下がります。同じ品質の動画でも、直接取引のほうが安く済むのはこのためです。

ただし、フリーランスは個人であるため、スキルや対応力に差があります。撮影から編集まで一人でこなせる人もいれば、編集専門の人もいます。だからこそ、過去の制作実績(ポートフォリオ)を必ず確認し、自社が作りたい動画のイメージと合うかを見極めることが重要です。動画編集のスキル相場感を把握したい場合は、ソフトウェア作成者の年収・単価相場のような職種別データも、クリエイターの技術単価を理解する参考になります。

クラウドソーシング・マッチングサービスを使う場合

フリーランスを探す手段として、クラウドソーシングや在宅ワークのマッチングサービスを使う方法があります。多数のクリエイターが登録しており、予算や納期に合う相手を比較しながら選べるのが利点です。相場は3万円から30万円程度と、最も手軽な価格帯からスタートできます。

ここで、発注者が見落としがちなのが「手数料」です。一般的なクラウドソーシングサービスでは、システム利用料として発注額や受注額の一部が差し引かれる仕組みになっています。手数料の分だけ、クリエイターに実際に届く金額は目減りし、その結果として提示単価が上がることもあります。

これに対して、発注者と受注者が直接つながる形の仲介サイトの中には、手数料0%で直接取引ができるサービスもあります。仲介手数料がかからない分、同じ予算でもクリエイターにより多くの報酬を渡せる、あるいは同じ品質をより安く発注できるという構造的なメリットがあります。動画制作のような専門スキルを外注するときは、この「手数料が発注コストにどう影響するか」を必ず確認しておきましょう。実際にどんな仕事が発注されているかは、サムネイル・バナー・素材制作のお仕事のようなクリエイティブ系の募集事例を見ると、相場感がつかめます。

商品PR動画の制作費用を抑えるコツ

品質を落とさずに費用を抑えるには、いくつかの実務的なコツがあります。ここでは、発注者側の準備と工夫でコストを下げる具体的な方法を紹介します。

素材を自社で用意する

先述のとおり、撮影費は費用を左右する大きな要素です。すでに商品写真や過去に撮った動画素材があるなら、それを提供することで撮影工程をまるごと省略でき、5万円から30万円程度の撮影費をカットできます。スマートフォンで撮った素材でも、編集者の腕次第で十分に見栄えのする動画になります。

構成・台本を先に固めてから依頼する

「どんな動画にしたいか」があいまいなまま依頼すると、企画のやり取りに時間がかかり、その分の工数が費用に反映されます。伝えたいメッセージ、入れたいシーン、参考にしたい動画のイメージを、事前に箇条書きでもよいのでまとめておくと、企画費を抑えられるうえ、完成イメージのズレも防げます。

修正回数を最初に決めておく

動画制作で費用が膨らむ典型的な原因が、修正の繰り返しです。「もう少しここを変えたい」を無制限に続けると、追加費用がかさみます。契約時に「修正は何回まで無料か」を明確にしておき、その範囲内で仕上げられるよう、修正の指示はまとめて一度に伝えるのがコツです。

複数本をまとめて発注する

商品ラインナップが複数あるなら、1本ずつ発注するより、まとめて発注したほうが1本あたりの単価は下がります。撮影や企画の段取りを共通化できるため、制作側もコストを圧縮しやすく、値引き交渉に応じてもらいやすくなります。

仲介を通さず直接依頼する

繰り返しになりますが、中間マージンをなくすことは、費用を抑える最も効果的な方法の一つです。代理店や制作会社を経由すると、実作業者の報酬に上乗せされるコストが発生します。信頼できるフリーランスを直接見つけて依頼できれば、その上乗せ分がまるごと不要になります。Webサイトなど他の制作物の外注でも同じ構造が働くので、Webサイト制作の外注費用相場|失敗しない発注のコツ【2026年版】もあわせて読むと、直接発注のメリットが立体的に理解できます。

商品PR動画の外注で失敗しない選び方

費用を抑えることと同じくらい大切なのが、「安物買いの銭失い」を避けることです。ここでは、発注先を選ぶときに確認すべきポイントと、契約時の注意点を整理します。

見積もりで必ず確認すべき項目

見積書を受け取ったら、金額の総額だけでなく、次の項目が明記されているかを確認してください。撮影の有無と日数、出演者の手配範囲、編集の内容とテロップ量、ナレーション・音楽の有無、修正回数の上限、納品形式(データ形式・解像度)、そして著作権・使用権の扱いです。

特に見落とされがちなのが「著作権・使用権」です。完成した動画を、どの媒体で、どの期間、どう使えるのか。音楽や素材の商用利用は許諾されているのか。ここがあいまいだと、後から「その使い方は追加料金です」と言われることがあります。契約前に文書で確認しておきましょう。

ポートフォリオと実績を確認する

依頼先を選ぶとき、過去の制作実績は最も信頼できる判断材料です。自社が作りたい動画のジャンル(実写・アニメ・ショート等)で、質の高い実績があるかを確認してください。制作会社なら制作事例、フリーランスならポートフォリオを見せてもらいましょう。実績を出し渋る相手は避けたほうが無難です。

契約書とフリーランス保護新法

ここで、行政書士として一つ、発注者の方に必ず知っておいてほしいことがあります。2024年11月に施行された「フリーランス保護新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)」です。これ、発注する側こそ知っておくべき法律なんです。

つまり何かというと、事業者がフリーランス(従業員を雇っていない個人)に業務を委託する場合、発注者には一定の義務が課される、ということです。具体的には、業務内容・報酬額・支払期日などを書面またはメール等で明示する義務、そして成果物を受け取った日から原則60日以内に報酬を支払う義務があります。

先日、あるWebデザイナーさんから相談を受けました。「50万円分のWebサイトを納品したのに、クライアントが『イメージと違う』と言って報酬を払ってくれない」と。結論から言うと、これは新法で明確に禁止されている行為です。発注者は、受領日から60日以内に報酬を支払う義務があります。「イメージと違う」は、支払い拒否の正当な理由にはならないんです。こういうケース、実は本当に多い。

動画制作を外注する発注者の立場からすると、これは「面倒な義務が増えた」ではなく「トラブルを防ぐルールができた」と捉えるべきです。最初に条件を書面で明示し、期日どおりに支払う。この基本を守るだけで、クリエイターとの信頼関係が生まれ、次もいい仕事をしてもらえます。法律の詳しい内容は公正取引委員会の情報も参考になります。(※個別の契約トラブルで判断に迷うケースでは、弁護士や行政書士など専門家に相談してください。)

私が発注側で経験した失敗

ここで一つ、私自身が発注する側で経験した失敗をお話しします。以前、事務所の紹介動画を作ろうとしたとき、3社から見積もりを取りました。A社は40万円、B社は25万円、C社は8万円。私は深く考えず、いちばん安いC社に決めてしまったんです。

ところが、これが失敗でした。C社の見積もりには「撮影なし・素材はこちら提供・修正1回まで」という条件が小さく書かれていたのを、私が見落としていたんです。実際には撮影が必要で、修正も何度も発生し、追加費用がどんどん積み重なって、最終的にはB社の見積もりを超える金額になりました。つまり、安さだけで選んで、内訳を読まなかったことが原因です。

この経験から学んだのは、「見積もりは総額でなく内訳で比較する」という当たり前のことです。安く見える見積もりほど、何が含まれていないかを確認する。これ、知らない人が本当に多いんですが、発注で失敗しないための一番大事なポイントです。

契約書は必ず交わす

口約束だけで進めるのは、発注者・受注者の双方にとってリスクです。業務範囲、金額、納期、修正回数、著作権の扱い、支払い条件を明記した契約書(または発注書)を必ず交わしてください。フリーランス保護新法でも取引条件の明示が義務づけられているので、これは法律上の要請でもあります。契約書を交わす習慣は、記事やコンテンツの外注でも同じく重要です。記事制作・ライティングの外注費用相場|文字単価の適正価格【2026年版】でも、契約と条件明示の大切さに触れています。書面作成の基礎スキルとしてはビジネス文書検定の考え方も役立ちます。

商品PR動画の外注を成功させる依頼の流れ

最後に、実際に商品PR動画を外注するときの標準的な流れを整理します。この手順に沿って進めれば、大きな失敗は避けられます。

目的と予算を決める

まず、「この動画で何を達成したいのか」を明確にします。認知拡大なのか、購入促進なのか、ブランドイメージの向上なのか。目的が決まれば、必要な尺・演出・配信先が絞り込まれ、適正な予算感が見えてきます。予算は「上限」だけでなく「最低ライン」も決めておくと、安すぎて品質が伴わない依頼先を除外できます。

依頼先を複数比較する

いきなり1社に決めず、最低でも2〜3社(人)から見積もりを取りましょう。このとき、同じ条件を伝えて比較することが大切です。条件がバラバラだと、金額の違いが「内容の違い」なのか「単なる価格差」なのか判断できません。見積もりと一緒にポートフォリオも見せてもらい、実績とセットで比較します。

業務範囲と条件を書面で固める

依頼先が決まったら、業務範囲・金額・納期・修正回数・著作権・支払条件を書面にします。フリーランス保護新法の観点からも、この明示は発注者の義務です。あいまいなまま進めると、後から「言った・言わない」のトラブルになります。制作会社とフリーランスのどちらに頼むか迷っている段階なら、フリーランスと制作会社どっちに外注すべき?費用・品質・対応力を徹底比較【2026年版】が判断の助けになります。

制作・修正・納品

制作が始まったら、途中段階(構成案・仮編集)でこまめに確認するのがコツです。完成してから大きな修正を求めるより、途中で方向性をすり合わせるほうが、時間もコストも抑えられます。修正指示はまとめて具体的に伝え、決めた修正回数の範囲で仕上げます。納品時には、契約どおりの形式・解像度・使用権になっているかを確認して完了です。

@SOHO独自データから見る動画外注の費用感

ここまで一般的な相場を見てきましたが、実際の在宅ワーク・業務委託の募集データからも、動画制作を含むクリエイティブ外注のリアルな費用感が読み取れます。

動画制作は、Web制作・デザインと隣接するスキル領域です。たとえば、映像編集者の多くは、動画編集ソフトの操作に加えて、テロップデザインやサムネイル制作、簡単なコーディングまで手がけることがあります。こうした複合スキルを持つクリエイターの単価感は、関連職種のデータからも推測できます。文章構成やナレーション台本のスキルについては著述家,記者,編集者の年収・単価相場が、技術的な編集スキルについては前述のソフトウェア系のデータが参考になります。

実務のデータから見えてくるのは、「同じスキルでも、どの経路で発注するかによって発注者の支払い額が大きく変わる」という事実です。制作会社経由では管理費と営業費が乗り、クラウドソーシング経由では手数料が乗ります。一方、発注者とクリエイターが直接つながれる手数料0%の仲介であれば、その上乗せがなく、相場より抑えた金額で同等の品質を発注できる可能性が高まります。動画制作に限らず、ホームページ・ブログ制作のお仕事LP制作・HTML/CSSコーディングのお仕事といったWeb系の外注でも、この「直接取引による中間マージン削減」の構造は共通しています。

もう一つ、データから読み取れる傾向があります。それは、専門スキルを持つフリーランスほど、単発の安値案件より「継続的に発注してくれる信頼できる発注者」を求めているということです。つまり、発注者側が条件を明示し、期日どおりに支払い、丁寧にやり取りをすれば、優秀なクリエイターに長く関わってもらえます。これは、フリーランス保護新法が目指す「取引の適正化」とも方向性が一致しています。動画を1本作って終わりではなく、シリーズで発注していくことを見据えるなら、最初の1本で信頼関係を築けるかどうかが、その後のコストと品質を大きく左右します。技術系の資格を持つクリエイターを見極める視点としてはCCNA(シスコ技術者認定)のような資格の意味を理解しておくと、発注先の技術力を判断する助けにもなります。

商品PR動画の外注は、相場を知り、内訳を読み解き、直接取引でコストを抑え、条件を書面で固める。この4つを押さえれば、はじめての発注でも大きく失敗することはありません。法律はあなたの味方です。フリーランス保護新法の下で、発注者もクリエイターも安心して取引できる時代になりました。適正な費用で、成果の出る動画を作っていきましょう。

なお、関連テーマを扱ったBtoBサービス説明動画の制作費用|サービス紹介動画の相場と料金内訳 2026もあわせて参考にしてください。

なお、関連テーマを扱ったECの商品レビュー動画の制作費用|使用イメージ動画の相場と発注のコツ 2026もあわせて参考にしてください。

よくある質問

Q. 商品PR動画の制作費用の相場はいくらですか?

依頼内容によって幅があります。既存写真を使ったスライドショー型なら3万円〜10万円、撮影を含む標準的な動画で20万円〜50万円、出演者やナレーションを含む本格的な動画で50万円〜150万円が目安です。制作会社よりフリーランスへ直接依頼するほうが、中間マージンがない分、費用を抑えられます。

Q. 制作会社とフリーランスでは費用はどれくらい違いますか?

同じ内容でも、制作会社はフリーランスの1.5〜2倍程度になるのが一般的です。会社の管理費・営業費が上乗せされるためです。フリーランスへ直接依頼すれば中間マージンが不要になり、手数料0%の仲介サービスを使えばさらにコストを抑えられます。ただしスキルに個人差があるため、実績確認は必須です。

Q. 動画制作の費用を安く抑えるにはどうすればいいですか?

撮影素材を自社で用意して撮影費を省く、構成を事前に固めて企画の手戻りを減らす、修正回数を契約時に決めておく、複数本をまとめて発注する、仲介を通さず直接依頼する、といった方法が有効です。特に直接取引で中間マージンをなくすことは、品質を落とさずコストを下げる効果的な手段です。

Q. 発注時に必ず確認すべきことは何ですか?

見積もりは総額でなく内訳で比較してください。撮影の有無、出演者、編集内容、修正回数の上限、著作権・使用権の扱い、納品形式を確認します。またフリーランスへ依頼する場合は、フリーランス保護新法により取引条件の書面明示と受領後60日以内の支払いが義務づけられているため、契約書の締結が重要です。

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年2月18日最終更新:2026年7月9日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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