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弁理士の資格の取り方|試験と実務修習

@SOHO編集部
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弁理士の資格の取り方|試験と実務修習

この記事のポイント

  • ✓弁理士資格取得までの道のりを
  • ✓弁理士試験の3段階(短答式・論文式・口述)
  • ✓合格後の実務修習と登録の費用まで

弁理士資格取得を考え始めた人が最初につまずくのは、「試験に受かれば弁理士になれる」と思っていたら、その先に実務修習と登録という手続きが続いている点です。弁理士は、特許や商標の出願を本人に代わって行う国家資格で、名乗って仕事をするには、試験の合格、実務修習の修了、日本弁理士会への登録の3つをすべて済ませる必要があります。

この記事では、弁理士の資格を取るまでの流れを、試験の3段階、使える免除、合格後の実務修習、登録にかかる費用の順に整理します。試験の日程や合格者の数字は、特許庁の弁理士試験のページと統計、日本弁理士会の案内で確かめた内容だけを使っています。

弁理士資格取得の全体像

弁理士とは、発明や商品の名前、デザインといった知的財産を権利にするための手続きを、依頼した人に代わって行う専門家のことです。特許庁への出願書類の作成、拒絶されたときの反論、権利をめぐる争いの手続きなどを担います。

弁理士になれる人は、弁理士法の第7条で決まっています。次のいずれかに当てはまり、そのうえで実務修習を修了した人が、弁理士となる資格を持ちます。

  • 弁理士試験に合格した人
  • 弁護士となる資格を持つ人
  • 特許庁で審判官または審査官として、審判や審査の仕事に通算7年以上就いた人

多くの人が通るのは1つ目の弁理士試験の道です。全体の流れを時期と合わせて並べると次のようになります。

段階 時期の目安 内容
受験の申し込み 3月から4月上旬 受験願書を入手して提出する
短答式筆記試験 5月中旬から下旬 マークシートで60題
論文式筆記試験 6月下旬から7月 必須科目と選択科目の記述式
口述試験 10月中旬から下旬 面接方式
最終合格発表 10月下旬から11月上旬 合格証書が届く
実務修習 12月から翌年3月 日本弁理士会が実施
登録 修習の修了後 日本弁理士会へ申請する

試験は年に1回だけで、受験資格はありません。特許庁の案内では、学歴、年齢、国籍による制限は一切ないとされています。文系の人も理系の人も、今年から受け始めることができます。

試験に受かっただけでは弁理士を名乗れない点は、最初に押さえておきたいところです。平成20年10月1日に改正された弁理士法で、合格後に実務修習を修了しないと登録できない仕組みになりました。勉強の計画を立てるときは、合格の年の冬から翌年3月まで、修習の時間も空けておく必要があります。

弁理士試験の3段階と科目

弁理士試験は、筆記試験と口述試験で行われます。筆記試験はさらに短答式と論文式に分かれ、前の段階に合格しないと次の段階を受けられません。

短答式筆記試験

短答式とは、選択肢から正しいものを選ぶマークシートの試験のことです。特許庁の案内によると、出題は全部で60題、試験時間は3.5時間です。

科目 出題数
特許・実用新案に関する法令 20題
意匠に関する法令 10題
商標に関する法令 10題
工業所有権に関する条約 10題
著作権法及び不正競争防止法 10題

合格の基準は、総合得点の満点に対して65%の得点を基準に、工業所有権審議会が決めた点以上であることです。そのうえで、科目ごとに満点の40%を下回る科目が1つもないことが求められます。得意な科目だけで点を稼ぐことはできず、5つの科目をまんべんなく仕上げる必要があります。

論文式筆記試験

論文式は、問題に対して文章で答える記述式の試験です。必須科目と選択科目に分かれています。

必須科目は、特許・実用新案、意匠、商標の3つです。試験時間は特許・実用新案が2時間、意匠と商標がそれぞれ1.5時間で、試験のときには弁理士試験用の法文が貸し出されます。条文を丸暗記しているかではなく、条文を使って事例にどう答えるかが問われます。3科目のうち1科目でも受けないと、必須科目全体が採点されない点に注意が要ります。

選択科目は、理工系の5科目(機械・応用力学、数学・物理、化学、生物、情報)と、弁理士の業務に関する法律の中から、受験願書を出すときに選択問題を1つ選びます。選んだあとは変えられません。

口述試験

口述試験は、試験委員の前で質問に口頭で答える面接方式の試験です。科目は特許・実用新案、意匠、商標の3つで、各科目10分程度です。評価はA、B、Cの3段階で、C評価が2つ以上ないことが合格の条件です。

令和8年度の試験は、短答式が5月17日、論文式の必須科目が6月28日、選択科目が7月26日、口述試験が10月17日から19日のいずれかの日に行われ、最終合格の発表は11月9日の予定と公告されています。受験手数料は特許印紙で12,000円です。収入印紙では受けられないので、郵便局などで特許印紙を買って貼ります。

合格率と受験者の顔ぶれ

弁理士試験は難しい試験として知られています。特許庁が公表している令和7年度の最終合格者の統計では、合格率は6.4%、最終合格者は205人でした。志願者は3,501人です。

弁理士試験の難易度はかなり高く、年によって多少の変動はあるものの、合格率は常に10%を下回っています。 出典: agaroot.jp

同じ統計からは、どんな人が受かっているかも見えてきます。

  • 職業は会社員が49.3%、特許事務所が29.8%で、働きながら受けている人が大半です
  • 年齢は30代が43.4%、20代が34.6%、40代が14.1%で、平均年齢は34.3歳です
  • 出身の系統は理工系が82.0%、法文系が13.2%です
  • 合格者の平均受験回数は2.93回で、初回で受かった人は16.1%でした

合格率が1桁なので一発勝負の試験に見えますが、数字を見ると、1回で受かる人は少数で、2回から5回の受験で受かる人が多いことが分かります。後で触れる免除の仕組みを使い、段階ごとに合格を積み上げていく人が多いのが実情です。

理工系の出身者が8割を占めるのは、選択科目が理工系中心であることと、仕事そのものが技術を読み解く力を求めることによります。ただ、法文系の合格者も毎年出ていて、商標や意匠を中心に扱う事務所では法文系の弁理士も活躍しています。系統で向き不向きを決めつけず、どの分野の仕事をしたいかで考えるほうが実際に近いと言えます。

免除の仕組みで段階的に合格する

弁理士試験には、一度受かった段階や、持っている学位や資格で、次の年から試験の一部を受けなくてよくなる仕組みがあります。免除は、受験願書を出すときに申請しないと受けられません。

免除の対象 条件 免除される期間
短答式 短答式に合格した 合格発表の日から2年間
短答式の一部 工業所有権の単位を修得して大学院を修了し、認定を受けた 修了の日から2年間
論文式(必須科目) 必須科目に合格した 合格発表の日から2年間
論文式(選択科目) 選択科目に合格した 永久
論文式(選択科目) 修士・博士の学位で認定を受けた 永久
論文式(選択科目) 特許庁が指定する公的資格を持つ 永久

選択科目の免除を受けられる公的資格には、技術士、一級建築士、薬剤師、情報処理安全確保支援士や情報処理技術者などがあります。令和7年度の最終合格者のうち、選択科目の免除を使っていた人は180人で、合格者の大半が選択科目を免除で済ませていました。そのうち修士・博士の学位による免除が60.6%、情報処理技術者が16.7%でした。

この表から言えるのは、次の2つです。

  • 理系の大学院を出ている人や、情報処理技術者試験に受かっている人は、選択科目の免除を申請できるか、先に確かめる価値がある
  • 短答式に受かった年の翌年と翌々年は、論文式と口述に集中できる

短答式の免除は2年間だけなので、短答式に受かった翌年から2回のうちに論文式に受かる、という計画を立てる人が多くいます。逆に言えば、論文式の準備が間に合わないまま短答式だけに受かり、2年間が過ぎると、また短答式から受け直しになります。

令和9年度から選択科目が9つに整理される

特許庁は、令和9年度の試験から論文式の選択科目を見直すと案内しています。今ある15の選択問題を、各科目の基礎的な分野に統合したり、他の選択問題で代わりに測れるものを廃止したりして、9つにまとめる内容です。受験者が5人に満たない選択問題があり、問題どうしで難しさをそろえにくいことが理由とされています。

修士・博士の学位による免除の対象分野は変わらないとされています。これから選択科目を受験で突破しようとしている人は、令和9年度以降の選択問題の名前と範囲を、特許庁の案内で確かめてから勉強の範囲を決めてください。

働きながら合格を目指す勉強の進め方

合格者の半数近くが会社員であることからも分かるように、弁理士試験は働きながら受ける人が多い試験です。限られた時間で進めるための考え方を整理します。

1年目は短答式に照準を合わせる

最初の年は、短答式の5科目を一通り仕上げることを目標にします。60題のうち特許・実用新案が20題を占めるので、ここから始めると全体の土台ができます。意匠と商標は特許法の仕組みを準用している条文が多く、特許法を理解してから入ると覚える量が減ります。

条約と、著作権法及び不正競争防止法は、出題数は少ないものの、40%を下回ると不合格になる科目です。後回しにしすぎず、過去問で出る範囲を押さえておきます。特許庁は短答式の問題と解答を試験後に公表しているので、過去問は公式のページから入手できます。

2年目以降は論文式の答案を書く練習に時間を使う

論文式は、知っていることを書くのではなく、問いに対して条文を当てはめて結論を出す試験です。法文は貸し出されるので、条文の番号を覚えることより、どの場面でどの条文を使うかを判断する練習が中心になります。答案を時間内に書き切る練習を繰り返し、書いた答案を他の人に読んでもらう機会を作ると伸びやすくなります。

口述試験は声に出して答える練習をする

口述試験は合格率の高い段階ですが、筆記試験と違い、質問をその場で聞き取り、条文の考え方を口で説明する必要があります。家族や受験仲間に質問役を頼み、10分程度で受け答えする練習をしておくと、本番で頭が真っ白になるのを防げます。

勉強の時間を確保する工夫

働きながら受ける人にとって、最も大きな壁は時間です。平日は通勤や昼休みに条文や過去問を読み、週末にまとまった時間を取って答案を書く、という分け方をする人が多くいます。試験の日程は毎年1月中旬ごろに官報で公告されるので、その時点で、短答式の5月中旬から逆算して、科目ごとの仕上げの時期を手帳に書き込んでおきます。

資格の勉強を長く続けるコツは、合格までの道のりを段階に分け、1つずつ終わらせていくことです。弁理士試験は免除の仕組みがあるので、「今年は短答式」「来年は論文式」と目標を区切りやすい試験でもあります。

合格後の実務修習

弁理士試験に合格したら、次は実務修習です。実務修習とは、弁理士として働くために必要な技能と応用の力を身につけるための研修で、弁理士法で登録の条件として義務付けられています。現在は日本弁理士会が、経済産業大臣から指定を受けた唯一の機関として実施していて、申請の方法や日程は日本弁理士会の実務修習のページにまとまっています。

令和8年度の実務修習は、次の日程で行われます。

  • 受講申請の受付は令和8年11月11日から11月18日まで(当日消印有効)
  • 実施期間は令和8年12月4日から令和9年3月31日まで
  • e-ラーニングの配信は令和8年12月4日から令和9年2月28日まで
  • 開講式は令和8年12月9日にオンラインで開催

受講料は118,000円(非課税)で、申請書を出す前に振り込みます。納付後の受講料は原則として返金されません。申請書類は配達証明郵便で送り、持参での提出はできません。

修習は、e-ラーニングと、Zoomで行う集合研修を組み合わせて進みます。集合研修に出るには、課目ごとに決められた期限までに課題に対する起案を出す必要があります。起案とは、明細書や意見書などの書類を、課題に沿って実際に書いてみることです。最初の起案の提出期限は令和8年12月15日と案内されています。

ここで注意したいのは、受付期間が1週間ほどしかないことです。最終合格の発表から受付までの間も短いので、合格発表の前から、申請書の作成フォームや必要な書類、写真の規格を確かめておくと慌てずに済みます。年末年始をはさんで起案の締め切りが続くので、仕事を持っている人は、勤め先に早めに予定を伝えておきます。

登録の手続きと費用

実務修習を修了したら、日本弁理士会に登録を申請します。必要な書類と費用は日本弁理士会の登録申請の案内に載っています。登録を受けて初めて、弁理士として仕事ができます。日本弁理士会の案内によると、登録にかかる費用は次のとおりです。

費用 金額 払い先
登録免許税 60,000円 麹町税務署
登録料 35,800円 日本弁理士会
登録した月の会費 15,000円 日本弁理士会

登録料と登録した月の会費を合わせた50,800円は、申請前に振り込みます。登録免許税は申請前に納め、領収証書の原本を申請書に貼ります。登録後は会費を納め続ける必要があるので、独立を考えている人は、毎月の会費も事業の費用として見込んでおきます。

申請に必要な書類は、申請書のほか、誓約書、勤務証明書、履歴書、住民票、弁理士となる資格を証する書面、本籍地の市区町村が出す身分証明書などです。住民票はマイナンバーの記載がないものに限られます。書類は原則として郵送で、追跡のできる方法で送ります。

試験の受験手数料、実務修習の受講料、登録の費用を合わせると、合格から登録までにかかる公的な費用だけで20万円を超えます。予備校や教材の費用は人によって大きく違いますが、少なくとも合格の年の冬には、この金額を払える準備をしておく必要があります。

弁理士になれない人の条件

弁理士試験に合格し、実務修習を修了していても、弁理士となる資格を持てない場合があります。弁理士法第8条に定められていて、日本弁理士会の案内では次のような例が挙げられています。

  • 禁錮以上の刑に処せられた人
  • 特許法や商標法などの罪で罰金の刑を受け、刑の執行が終わってから5年を経過しない人
  • 公務員で懲戒免職の処分を受け、処分の日から3年を経過しない人
  • 弁理士の登録の取消しの処分を受け、処分の日から3年を経過しない人

受験の段階では制限がないため、受けたあとで気づくと勉強の時間が無駄になります。思い当たることがある人は、勉強を始める前に日本弁理士会の「弁理士になるには」を読み、必要なら問い合わせて確かめておきます。

弁護士や行政書士との違い

知的財産の仕事を考えるとき、弁護士や行政書士との違いを聞かれることがよくあります。それぞれの資格でできることを整理しておくと、弁理士の資格を取る意味がはっきりします。

弁護士は、弁理士法第7条の2つ目の道に当たり、弁護士となる資格を持つ人は、実務修習を修了すれば弁理士として登録できます。権利をめぐる裁判では弁護士が中心になり、特許の侵害訴訟では、弁護士と弁理士が組んで対応することが多くあります。弁理士は、一定の研修と試験を経て付記を受けると、特許などの侵害訴訟で弁護士と共同して訴訟代理人になることができます。

行政書士は、役所に出す書類の作成を仕事にする資格ですが、特許庁への出願の手続きを依頼を受けて代わりに行うことはできません。著作権に関する登録の手続きなど、行政書士が扱える知的財産の手続きもありますが、特許、実用新案、意匠、商標の出願の代理は弁理士の仕事です。

企業の知的財産部で働く人は、資格がなくても自社の出願の手続きを担当できます。会社が自分の名前で出願するのは本人の手続きに当たるからです。ただし、他の会社や個人から依頼を受けて手続きを代わりに行うには、弁理士の資格が要ります。社内の担当から社外の依頼を受ける立場へ広げたいときに、弁理士の資格が意味を持ちます。

資格を取ったあとの働き方と将来性

弁理士の主な勤め先は、特許事務所と企業の知的財産部です。令和7年度の最終合格者でも、会社員と特許事務所の勤務者で8割近くを占めていて、今の勤め先で知的財産の仕事をしながら資格を取る人が多いことが分かります。

特許事務所で働く

特許事務所では、依頼を受けた発明について、明細書と呼ばれる出願書類を書くのが中心の仕事です。明細書とは、発明の中身を、他の人が読んでも再現できるように文章と図で説明した書類のことです。技術を正確に理解する力と、権利の範囲を言葉で決める力の両方が求められます。

企業の知的財産部で働く

企業の知的財産部では、自社の発明を出願するかどうかの判断、他社の特許を侵害していないかの調査、ライセンスの交渉などを担います。研究者や技術者から知的財産部へ移り、そこで弁理士の資格を取る人もいます。研究職の働き方や年収の水準は研究者の年収・単価相場で見ることができ、研究から知財へ移るかを考えるときの比較の材料になります。

独立して事務所を開く

経験を積んで独立し、自分の事務所を開く弁理士もいます。独立すると、出願の手続きだけでなく、依頼してくれる企業や個人を自分で見つける必要があります。中小企業や個人の発明者からの依頼は、紹介や地域の支援機関を通じて来ることが多く、技術の分野と依頼してくれる相手の業種を絞って発信していく人が目立ちます。

合格前から知財の仕事に就く

資格を取ってから知財の世界に入るのではなく、先に特許事務所や知的財産部に移り、働きながら合格を目指す道もあります。特許事務所では、資格を持たない技術者が弁理士の指導のもとで明細書の下書きを担当することが多く、仕事そのものが論文式の勉強に近い内容になります。令和7年度の最終合格者の約3割が特許事務所の勤務者だったことも、この道を選ぶ人が多いことを示しています。求人を探すときは、資格取得の支援や、試験の前の休暇の取り方を面接で確かめておくと、入ってからの勉強の計画が立てやすくなります。

知財の知識を生かした周辺の仕事

弁理士の資格がなくても、知的財産の知識は周辺の仕事で生かせます。特許の調査、知財に関する記事の執筆、技術文書の翻訳などです。ただし、他人の依頼を受けて特許庁への手続きを代わりに行うことは、弁理士でなければできません。資格を取る前の人がこうした仕事を受けるときは、手続きの代理に当たらない範囲で引き受けます。

将来性については、生成AIをはじめとする新しい技術の出願や、海外への出願の増加で、技術と法律の両方が分かる人の役割は残り続けると見られています。一方で、定型的な書類の作成は道具の進化で効率が上がっていくので、技術の分野で強みを持つことと、依頼人の事業を理解して権利の取り方を提案できることが、これからの弁理士に求められる力になります。

弁理士が扱う4つの権利を知っておく

勉強を始める前に、弁理士が扱う権利の違いをつかんでおくと、試験の科目がなぜその形になっているかが分かります。弁理士の仕事の中心は、次の4つの権利を取るための手続きです。

権利 守るもの 身近な例
特許権 技術的なアイデアのうち、高度な発明 新しい電池の構造、薬の製法
実用新案権 物の形や構造についての、比較的小さな工夫 持ちやすい形にした文房具
意匠権 物や建物、画面のデザイン 家電の外観、アプリの操作画面
商標権 商品やサービスに付ける名前やマーク 社名のロゴ、商品名

試験の短答式で特許・実用新案に20題が割り当てられているのは、仕事の中で特許の手続きの比重が大きいことの表れです。一方で、商標は業種を問わずどの会社にも必要な権利で、中小企業や個人の店からの依頼も多くあります。どの権利を中心に扱いたいかで、勤め先の選び方や、身につけたい技術の分野が変わってきます。

特許の仕事では、発明の中身を理解するために技術の知識が欠かせません。選択科目が理工系中心なのはこのためです。商標や意匠を中心に扱う場合は、技術の知識より、市場の動きや似た名前を見分ける調査の力が求められます。試験では全員が4つの権利を学びますが、合格後にどの権利に力を入れるかは人によって違います。

条約が試験科目に入っているのは、外国で権利を取る手続きが仕事の大きな部分を占めるからです。日本の会社が海外で製品を売るときは、その国でも特許や商標を取る必要があり、国際的な出願の仕組みを知っていることが求められます。英語の明細書を読む機会も多く、語学の力は合格後の仕事の幅を広げます。

独学か予備校かを決めるときの考え方

弁理士試験は、独学で受かる人もいれば、予備校の講座を使う人もいます。どちらが合うかは、今の仕事と知財との距離で変わります。

独学が向いている人

特許事務所や企業の知的財産部で働いていて、日々の仕事で条文に触れている人は、独学でも進めやすい立場にあります。特許庁が公表している過去の問題と、短答式の解答、論文式の論点を使えば、出題の傾向は公式の資料だけでもつかめます。わからない点を職場の弁理士に聞ける環境があれば、なおさらです。

予備校が向いている人

知財と関わりのない仕事をしている人、法律の勉強が初めての人は、予備校の講座で全体の地図を先に手に入れるほうが早く進みます。特に論文式は、自分の答案のどこが足りないかを一人で判断するのが難しく、添削を受けられる環境があると伸びやすくなります。

費用の見方

予備校の講座の料金は、学校やコースで大きく違います。申し込む前に、次の点を比べると選びやすくなります。

  • 短答式から論文式、口述までがひとつながりになっているか、段階ごとに申し込むか
  • 論文式の答案の添削が何回含まれているか
  • 教育訓練給付金の対象の講座かどうか

教育訓練給付金とは、雇用保険に一定期間入っている人が、国の指定を受けた講座を修了したときに、受講料の一部をハローワークから受け取れる制度のことです。対象の講座かどうかは、厚生労働省の教育訓練講座の検索で調べられます。使えるかどうかは加入していた期間などで決まるので、申し込む前にハローワークで確かめてください。

受験願書を出すときの注意点

弁理士試験は、受験願書を出す段階でつまずくと、その年は受けられません。令和8年度の試験では、インターネットでの受験願書の請求が2月2日から3月19日まで、郵送での請求が3月2日から3月19日まで、窓口での交付が3月2日から3月31日までと案内されていました。請求の方法によって締め切りが違うので注意が要ります。

願書を出すときに気をつけたい点は次のとおりです。

  • 受験手数料は特許印紙で納める。収入印紙は使えない
  • 写真は提出前6か月以内に撮った、縦4.5cm、横3.5cmのものを貼る
  • 免除を受ける人は、合格通知や認定通知書の写しを添付する
  • 選択科目の選択問題は、願書を出すときに選び、あとから変えられない

特に選択問題は、受験願書の提出の時点で決める必要があります。免除の認定を待っている人や、どの問題を選ぶか迷っている人は、願書の請求より前に結論を出しておきます。翌年の令和9年度からは選択問題が9つに整理されるので、来年以降に受ける人は、新しい選択問題の名前で選ぶことになります。

資格取得までの段取りを書き出しておく

ここまでの内容を、これから受け始める人の段取りとして並べ直します。

  1. 1月中旬に官報と特許庁のページで、その年の試験日程を確かめる
  2. 自分の学位や資格で、選択科目や短答式の免除を申請できるか調べる。学位による免除は事前の申請が要る
  3. 2月から3月に受験願書を請求し、4月上旬までに特許印紙12,000円を貼って提出する
  4. 5月の短答式に向けて、5科目を40%の基準を割らないように仕上げる
  5. 短答式に受かったら、免除が続く2年間のうちに論文式に受かる計画を立てる
  6. 最終合格の発表後すぐに、実務修習の申請書類と受講料118,000円を用意する
  7. 実務修習を修了したら、登録免許税と登録料を納めて日本弁理士会に登録を申請する

勉強を始める前にこの流れを紙に書き出し、各段階の時期を手帳に入れておくと、どの時期に何を準備すればよいかがはっきりします。試験は年に1回なので、申し込みの時期を逃すと1年待つことになります。短答式の合格発表から論文式の必須科目までは3週間ほどしかないので、短答式の勉強をしている時期から論文式の答案を書く練習を少しずつ始めておくと、受かったあとの準備に追われずに済みます。

運営者の視点から見た、資格と仕事のつながり

在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、専門性の高い資格を持つ人ほど、資格そのものより「どの分野を任せられるか」で仕事が決まっていく傾向があります。弁理士でも、機械、化学、情報といった技術の分野と、出願の手続き、調査、翻訳といった仕事の種類を組み合わせて、自分の得意を言葉にできる人が、紹介で次の仕事につながりやすくなります。

また、知財の仕事は文章の正確さが成果を左右します。明細書や意見書は、1つの言葉の選び方で権利の範囲が変わる書類です。資格の勉強と並行して、仕事の文章を論理的に書く力を磨いておくと、合格後の実務修習の起案でも役立ちます。ビジネスの文章の型を学ぶなら、ビジネス文書検定の出題範囲を確かめておくと、報告書や依頼人への説明の書き方を整理できます。

技術と知財の知識を生かして記事の執筆や調査の仕事を受けるときは、実績の見せ方が仕事の決まりやすさに直結します。Webライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】では、書いた記事をどう並べて見せるかを整理しています。手数料のかからない直接取引なら、同じ予算で依頼者はより多くの仕事を頼めて、受ける側の手取りも厚くなります。専門の知識を持つ人ほど、この差が積み重なっていきます。

研究や開発の経験を知財の仕事に生かしたい人は、研究者の年収・単価相場で今の働き方の水準を確かめ、弁理士の資格を取った後の働き方と比べてみてください。

よくある質問

Q. 弁理士試験に受験資格はありますか?

受験資格はありません。特許庁の案内では、学歴、年齢、国籍による制限は一切ないとされています。文系の人も理系の人も受けられ、令和7年度の最終合格者でも法文系の出身者が13.2%いました。受験手数料は特許印紙12,000円で、受験願書は特許庁のページからの請求や、特許庁、日本弁理士会の窓口で入手できます。

Q. 弁理士試験の合格率はどのくらいですか?

特許庁の統計では、令和7年度の最終合格率は6.4%、最終合格者は205人でした。合格者の平均受験回数は2.93回で、初回で受かった人は16.1%です。短答式や論文式の合格には2年間の免除が付くため、段階ごとに合格を積み上げていく人が多くいます。

Q. 試験に合格したらすぐ弁理士として働けますか?

すぐには働けません。合格後に日本弁理士会が実施する実務修習を修了し、日本弁理士会に登録して初めて弁理士として仕事ができます。令和8年度の実務修習は受講料118,000円で、12月から翌年3月まで行われます。登録には登録免許税60,000円と、登録料と登録した月の会費を合わせた50,800円がかかります。

Q. 選択科目は免除できますか?

できる場合があります。選択科目に関係する分野の修士・博士の学位を持ち、認定を受けた人や、技術士、薬剤師、情報処理技術者など特許庁が指定する公的資格を持つ人は、論文式の選択科目が永久に免除されます。一度選択科目に合格した人も同じです。免除は受験願書を出すときに申請しないと受けられないので、早めに条件を確かめてください。

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年1月17日最終更新:2026年11月2日
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