パッケージ・書籍デザインの案件の取り方は、実物の写真を出せるかで変わる


この記事のポイント
- ✓パッケージ・書籍デザインの案件の取り方を
- ✓実物の写真を出せるかどうかという観点から整理しました
- ✓守秘義務と実績公開の関係
パッケージ・書籍デザインの案件の取り方で、他のデザイン分野と決定的に違う点が一つあります。それは、実績を「店頭に並んでいる実物の写真」として見せられるかどうかで、次の受注の確率が大きく変わることです。
先日、あるデザイナーさんから相談を受けました。「3年で20点近くパッケージを担当したのに、営業のときに何も見せられない」と。理由は、すべての案件で秘密保持契約を結んでいて、公開していいかどうかを誰にも確認していなかったからです。結論から言うと、これは確認さえしていれば防げた事態でした。
この記事では、案件の取り方を「実物の写真を出せる状態をどう作るか」という角度から整理します。守秘義務との関係、掲載許可の取り方、写真が出せない場合にどう戦うか。法務の視点も交えて具体的に書いていきます。
なぜ「実物の写真」が受注を決めるのか
まず、この前提から確認します。他のデザイン分野と何が違うのか。
発注側が見たいのは「実際に世に出たかどうか」
Webデザインであれば、URLを共有すれば実物が見られます。ロゴであれば、画像を1枚出せば伝わります。
パッケージと書籍は違います。店頭に並んでいる状態、手に取ったときの見え方、他社商品と並んだときの見分けやすさ。これらは平面のデータでは伝わりません。
そして発注側が本当に知りたいのは、「この人のデザインは実際に製造されて流通したのか」という一点です。データとしてきれいに作れることと、量産され、法令表示が収まり、印刷所で問題なく刷れて、店頭で機能したことは、別の能力です。
実物の写真は、その一点を証明します。これは他の要素では代替しにくい証拠です。
「作った風の画像」との差が、写真には出る
近年は、実際には製造されていない架空の商品を、精巧なモックアップ画像として見せる例が増えました。技術的には非常に完成度が高く、パッと見では区別がつきません。
だからこそ、発注側は「実物の写真かどうか」を注意深く見るようになっています。店頭の棚に並んだ写真、手に持った写真、開封した写真。これらは架空の商品では撮れません。
正直なところ、モックアップだけを並べた実績集は、発注側から見ると評価が難しい。悪いという意味ではなく、判断材料として弱いということです。実物1点が、モックアップ10点より効くことは珍しくありません。
写真が1枚あると、その後の営業が変わる
実物の写真を1枚持っていると、営業の会話が変わります。
「こういう案件を担当しました」と写真を見せると、相手は具体的な質問をしてきます。「用紙は何を使いましたか」「ロットはどのくらいですか」「加工は何を入れましたか」。この会話が成立すると、相手はこちらを「工程を通した経験がある人」と認識します。
写真がないと、この会話が始まりません。抽象的なスキルの説明に終始することになり、印象に残りません。
守秘義務と実績公開の関係を、正しく理解する
ここが最も誤解の多いところです。丁寧に整理します。
NDAを結んでいても、公開が全面禁止とは限らない
「NDA(エヌディーエー)を結んだから、実績は一切公開できない」と思い込んでいる方が本当に多いです。
NDAは秘密情報の取り扱いを定める契約です。何が秘密情報にあたるかは契約書に定義が書かれています。一般的には、発売前の商品情報、原価、販売計画、社内資料といったものが対象になります。
一方で、すでに市販されている商品のパッケージは、店頭に並んで誰でも見られる状態にあります。この状態のものを「秘密情報」として扱い続けるかどうかは、契約書の書き方と、その後の合意次第です。
つまり、発売後であれば公開可能なケースはあります。ただし、これは契約書ごとに判断が変わるところなので、自分の契約書を読み、判断がつかなければ確認するのが正しい手順です。契約内容によっては公開が制限される場合もあるため、判断に迷うときは弁護士など専門家に相談してください。
「発売後に実績公開してよいか」を、受注時に聞く
これが最も重要な実務です。案件が終わってから聞くのではなく、受注の段階で聞きます。
具体的な文面としては、こう伝えます。「本件について、発売後にポートフォリオへ掲載させていただくことは可能でしょうか。可能な場合、掲載可能時期と、掲載してよい範囲(商品名の記載可否、写真の使用可否)をご指定いただけますと幸いです」。
これを受注時に聞くと、相手は事務的に判断してくれます。案件が終わってから聞くと、「担当者が変わっていて誰も判断できない」「いまさら社内に上げられない」という理由で、返事が来ないまま終わります。
これ、知らない人が本当に多いんです。タイミングの問題だけで、公開できたはずの実績が公開できなくなっている例を、いくつも見てきました。
契約書に一行入れておく
さらに確実なのは、業務委託契約書の中に実績公開の条項を入れておくことです。
たとえば「乙は、本件成果物が公に販売された後、甲の事前の書面による同意を得たうえで、自己の実績として本件成果物を公表することができる」といった形です。同意を得る前提であっても、条項があること自体に意味があります。相談する経路が契約上に用意されるからです。
契約書の作成や確認にあたっては、必要に応じて弁護士や行政書士といった専門家に相談してください。特に企業案件では、相手側の書式で契約する場面が多く、条項の追加交渉が必要になります。
実物の写真を、どう手に入れるか
許可が取れたとして、次は写真そのものです。ここにも実務のコツがあります。
納品時に「見本をいただけますか」と伝える
パッケージや書籍の案件では、完成品の見本が制作側に配られることがあります。ただし、黙っていると届きません。
納品時、あるいは入稿の段階で「完成しましたら、見本を1点いただけますでしょうか」と伝えておくことです。多くの場合、快く送ってもらえます。断られたとしても、聞いたことで損はありません。
見本が手元にあれば、自分で撮影できます。撮影の条件を自分で決められるので、ポートフォリオに使いやすい写真が作れます。
撮影できないときは、店頭で買う
見本がもらえない場合、市販品であれば購入するという手があります。自分がデザインした商品を自分で買うのは少し不思議な感覚ですが、実績を残す費用として考えれば安いものです。
ただし、店頭の棚をそのまま撮影する行為には注意が必要です。店舗によっては撮影を禁止しているため、無断で撮らないこと。購入して自宅で撮るのが安全です。
撮影の基本を押さえる
写真の質は、実績の説得力に直結します。高価な機材は不要ですが、いくつかの基本は押さえておきたいところです。
背景を白か無地にすること。自然光か、色温度の安定した照明で撮ること。真正面だけでなく、斜め45度から立体感が出る角度でも撮ること。開封した状態、シリーズで並べた状態も撮ること。書籍であれば、平積みの状態、背表紙、開いた見開きも撮ること。
この5点を押さえるだけで、写真の印象はかなり変わります。
写真が出せないときの、案件の取り方
すべての案件で写真が出せるわけではありません。出せない場合の戦い方も用意しておきます。
「言葉で工程を語れる」ことは、写真の次に強い
写真が出せなくても、工程の話ができれば信頼は伝わります。
たとえば、「食品パッケージで、原材料表示と栄養成分表示の版面設計を担当しました。表示項目が増えたときにレイアウトが崩れないよう、可変部分を独立させた設計にしています」といった説明です。
この説明ができる人は、実務を通していることがわかります。商品名を伏せていても、内容の具体性で伝わります。
守秘義務がある案件については、「クライアント名は伏せますが、カテゴリと担当範囲であればお伝えできます」と前置きしたうえで話す。この前置き自体が、秘密情報を守る姿勢の表明になり、むしろ信頼につながります。
自主制作を「実案件の代わり」ではなく「補足」として使う
写真が出せない場合の穴埋めとして自主制作を並べる方は多いのですが、これは慎重に考えたほうがいい。
自主制作は、実案件の代替にはなりません。ただし、実案件で示せない部分を補う役割は果たせます。たとえば、実案件では守秘義務で見せられない構造設計の考え方を、自主的に作った作例で説明する、といった使い方です。
このとき必ず、「これは自主制作です」と明記してください。実案件と混ぜて見せると、後で発覚したときに信用を失います。表記の誠実さは、それ自体が評価対象です。
案件の取り方、経路ごとの特徴
写真と実績の話を踏まえたうえで、具体的な経路を整理します。
印刷会社と製函会社を経由する経路
意外に見落とされるのが、印刷会社や製函会社からの紹介です。
これらの会社には、パッケージや書籍を作りたいがデザイナーがいない、という相談が持ち込まれます。社内に十分なデザイン部門を持たない会社も多く、外部のデザイナーを探しています。
この経路の利点は、工程を理解している相手だということです。入稿データの要件、色校正の進め方、加工の可否といった会話が通じるので、進行が楽になります。
近づき方としては、まず自分が使っている印刷会社の担当者と関係を作ることです。入稿データが整っているデザイナーは、印刷会社にとってありがたい存在です。「データがきれいな人」という評価は、紹介につながります。
出版社と編集プロダクションを経由する経路
書籍側の経路です。装丁や本文組みは、出版社の編集者が直接デザイナーを指名するケースが多くあります。
ここで効くのは、実際に書店に並んだ本の実績です。書名を挙げられるかどうかで、話の進み方が変わります。書籍は市販された時点で公開情報なので、パッケージよりは実績を出しやすい領域です。
業務委託とマッチングサービスを経由する経路
在宅ワークの仲介サービスや業務委託の募集を経由する経路もあります。この場合、書類選考で実績を見られるため、写真の有無がそのまま通過率に影響します。
デザインの副業全体の収入感については、Web系デザイナーについて次のような見方が示されています。
Web業界では、デザイナーの需要が非常に高く、スキルと知識を身につければ副業でも月10万円以上稼ぐ可能性があります。未経験者の場合、まずは月3万円程度を目標に始め、徐々にスキルを磨いていくことで収入アップが期待できるでしょう。 出典: moreworks.jp
パッケージや書籍のデザインはWeb系とは工程が違いますが、「最初は小さく始めて実績を積む」という考え方は共通します。最初から大型案件を狙うより、小ロットの商品や自費出版の案件で実物の写真を1点作るほうが、その後の展開が早くなります。
この領域の仕事の内容と流れを把握しておくと、募集要項を読むときの理解が変わります。商品パッケージ・ブース・書籍デザインのお仕事には、求められるスキルと案件の進み方が整理されているので、経路を選ぶ前に一度目を通しておくといいでしょう。
知識を仕込んでおくと、初回の会話で差がつく
案件を取る場面では、相手の業界用語についていけるかどうかが効きます。パッケージの実務でつまずきやすい場面を扱った書籍が出ており、こうした本で語彙を仕込んでおくと、初回の打ち合わせでの印象が変わります。
パッケージデザインに関わる人が持つ悩みや疑問に、ていねいに答える一冊。パッケージのオリエンテーションの方法や評価基準、リニューアルのコツなど、実際のパッケージ制作でつまづきがちなシーンが具体的に挙げられており、対策が学べます。 出典: pkgpartner.net
紹介文にある「評価基準」という言葉が示すとおり、パッケージには良し悪しを判断する業界共通の観点があります。それを知らずに感覚だけで話すと、提案が通りにくくなります。
提案の場で、何を持っていくか
経路が決まったら、次は初回の接触で何を出すかです。ここも実物の写真が軸になります。
実績集は「並べる」のではなく「1点を深く」
実績集を作るとき、多くの方は点数を増やそうとします。20点並べれば強く見える、という発想です。
実際には逆の傾向があります。発注側が見ているのは点数ではなく、1点あたりの説明の深さです。20点をロゴのように並べた資料より、3点について工程と判断の理由が書かれた資料のほうが、記憶に残ります。
1点あたりに書くべきなのは、依頼の背景、制約条件、その制約の中で何を優先したか、結果として現物がどうなったか、という流れです。ここに実物の写真が入ると、説明が地に足のついたものになります。
制約条件の記述は特に効きます。「表示項目が多く、正面の面積が限られていた」「既存シリーズとの並びを崩せなかった」「ロットが小さく特殊加工が使えなかった」。制約を書ける人は、実案件を通しています。
見積書と工程表を、その場で出せるようにしておく
提案の場でよく起きるのが、「では見積もりをお願いします」と言われて、後日メールで送るという流れです。
これ自体は悪くありませんが、その場で概算の枠組みを示せると、話が一段進みます。デザイン費、修正対応の範囲、色校正の回数、入稿データ作成費、といった項目の内訳を用意しておく。金額は案件次第でも、項目の並びは事前に作れます。
工程表も同じです。オリエンから入稿までの標準的な流れを1枚用意しておき、その場で日付を書き込む。これができると、進行を任せられる相手だと認識されます。
見積書や提案書の型を整えたい場合、ビジネス文書検定の学習範囲が実務的な参考になります。資格を取るかどうかとは別に、書式の基本を知っているかどうかで、書類の印象は変わります。
断られた理由を、聞ける関係にしておく
提案が通らなかったとき、多くの人はそこで関係を切ります。もったいない判断です。
「今回は残念でしたが、次の参考にしたいので、決め手になった点を教えていただけますか」と一言聞く。答えてもらえないことも多いですが、答えてもらえたときの情報価値は高い。価格だったのか、実績の分野だったのか、進行への不安だったのか。この3つのどれかであることが大半で、それぞれ対策が違います。
そして、断られた相手から半年後に依頼が来ることは、実際にあります。最初の候補者との進行がうまくいかなかった、という理由です。関係を残しておくことに損はありません。
一件目をどう取るか、実績がない段階の現実的な手
実物の写真が効くと言われても、一件目がなければ写真は生まれません。この鶏と卵をどう抜けるか。
小ロットの商品と、自費出版を狙う
大手メーカーの商品は、実績のない相手には依頼が来ません。一方で、個人事業や小規模事業者が作る商品は、デザイナーを探しています。
具体的には、地域の食品加工業者、クラフト系の飲料や菓子、化粧品や雑貨の小規模ブランド、そして自費出版の書籍。これらは予算が限られているぶん、実績よりも意欲と対応の丁寧さで選ばれることがあります。
そして重要なのは、小ロットであっても実際に製造され、流通するという点です。写真が残ります。一件目の目的は報酬ではなく、実物の写真と工程の経験を得ることだと割り切ると、選ぶ案件が変わります。
印刷会社の担当者と、先に関係を作る
もう一つの手が、案件を探す前に印刷会社と関係を作っておくことです。
印刷会社の営業担当者は、日々多くの発注者と接しています。そのなかで「デザイナーを探している」という相談を受ける機会があります。ここに名前が挙がる位置にいられるかどうかです。
近づき方は難しくありません。自主制作でもいいので、実際に小ロットで印刷を発注してみることです。発注者として一度取引すると、担当者がつきます。そこで入稿データの相談をし、こちらがデザイナーであることを伝えておく。この一手間が、後々効いてきます。
一件目で、後処理の型を作る
一件目で最も大事なのは、実は納品物の出来ではありません。後処理の型を作ることです。
受注時に実績公開の可否を聞き、納品時に見本を依頼し、完成後に撮影し、担当者との連絡経路を残す。この流れを一件目で通しておくと、二件目以降は自動的に実績が積み上がります。
逆に、一件目でこの型を作らないと、十件担当しても手元には何も残りません。冒頭で紹介した相談は、まさにこの状態でした。
報酬の交渉と、契約で守るべき点
案件を取ることと、取った案件で消耗しないことは別の話です。契約の観点を整理します。
検収と支払期日を、書面で確認する
業務委託で仕事を受けるとき、報酬の支払時期は必ず書面で確認してください。フリーランスとの取引に関する法制度は整備が進んでおり、発注側には取引条件の明示や支払期日の設定といった義務が課されています。詳しくは公正取引委員会などの公的機関が案内を出しているので、公正取引委員会の情報を確認してください。制度の運用は年によって変わる部分があるため、最新の内容は必ず一次情報で確かめてください。
パッケージや書籍の案件で特に注意すべきなのが、「発売されたら支払う」という条件です。商品の発売はデザイナーの責任範囲外です。発売が延期されれば、支払いも延期されます。納品と検収を基準にした支払条件にしてもらうよう、受注時に交渉してください。
修正回数と入稿後の責任範囲を決める
修正回数の上限、入稿後に発生した修正の扱い、印刷事故が起きたときの責任範囲。この3点は、受注時に文章で決めておくべきです。
特に入稿後の責任は曖昧になりやすい部分です。データの不備による刷り直しなのか、依頼者側の情報提供の誤りによる刷り直しなのかで、負担すべき側が変わります。判断が難しいケースでは専門家に相談してください。
報酬水準の目安を持っておく
交渉するには、相場の感覚が必要です。制作系の職種の水準としてはソフトウェア作成者の年収・単価相場、出版に近い職種としては著述家,記者,編集者の年収・単価相場が参考になります。職種は異なりますが、専門的な制作物を納品する仕事の取引水準を知っておくと、提示された金額が妥当かどうかの判断がしやすくなります。
そして見るべきは手取りです。仲介手数料が20%の経路で20万円の案件を受けると、手元に残るのは16万円です。手数料0%で直接取引できる経路があれば、同じ作業で手取りが厚くなります。依頼者から見ても、同じ予算でより多くを依頼できることになります。
運営者の視点から見えていること
フリーランスと在宅ワークの市場を20年見てきた立場から、案件の取り方について観察していることがあります。
継続的に依頼が来ている人は、営業の技術が高いわけではありません。共通しているのは、一件目の案件を「次につながる形」で終えていることです。実績公開の許可を取り、見本をもらい、写真を撮り、担当者との連絡経路を残している。この後処理をしているかどうかで、二件目以降の難易度がまったく変わります。
逆に、案件が取れないと悩んでいる方の話を聞くと、過去の案件の後処理が抜けていることが多い。担当した実績はあるのに、それを次の営業に使える形にしていない。もったいない話です。
もう一つ観察していることがあります。長く仕事が続く関係では、依頼者が「この人に頼むと自分の仕事が減る」と感じています。入稿データが整っている、確認事項が最初にまとまって届く、印刷会社への説明が要らない。この実務の楽さが、単価の維持と継続の両方を支えています。
案件の取り方を、実行順に並べる
最後に、動く順番として整理します。
一つ目。いま進行中の案件について、実績公開の可否を発注者に確認する。発売後に掲載してよいか、商品名を出してよいか、写真を使ってよいか。この3点です。
二つ目。過去に担当した案件のうち、すでに市販されているものについて、掲載可否を確認する。担当者と連絡が取れるうちに聞いておきます。
三つ目。許可が取れたものについて、見本を入手し、撮影する。背景、光、角度、開封状態、シリーズ並び。この5つの条件で撮ります。
四つ目。写真が出せない案件については、工程の説明で語れる形に整理する。カテゴリ、担当範囲、工夫した点。商品名を伏せても伝わる書き方にします。
五つ目。契約書に実績公開の条項を入れる交渉を、次の案件から始める。
六つ目。印刷会社、製函会社、出版社、業務委託の各経路に、整えた実績を持って接触する。
在宅で仕事の幅を広げたい方は、隣接領域も見ておくといいでしょう。商品の売り方まで提案できると案件が広がります。AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で募集の傾向がつかめます。商品まわりには音の制作もあり、作曲・編曲・効果音・ジングルのお仕事のような領域が並んでいます。
書面のやり取りが多い仕事なので、文書の型を押さえておくことも武器になります。ビジネス文書検定の学習範囲は、見積書や提案書の型を整えるのに役立ちます。企業案件で扱うデータやセキュリティの話題についていくには、CCNA(シスコ技術者認定)の基礎知識も遠回りに見えて効いてきます。在宅で通用する資格の全体像は在宅ワークに強い資格10選|自宅で稼げるスキルを身につけるに整理があります。
案件の取り方は、営業トークの上手さではありません。実物の写真という証拠を、契約と後処理によって手元に残せるかどうかです。そして、それは受注時の一つの質問から始まります。法律も契約も、正しく使えば、あなたの実績を守る味方になります。
よくある質問
Q. NDAを結んだ案件は、実績として公開できないのですか?
契約書の定義次第です。一般には発売前の情報や原価、販売計画が秘密情報にあたり、市販後のパッケージ自体は店頭で誰でも見られる状態になります。ただし契約ごとに扱いが異なるため、受注時に「発売後に実績として掲載してよいか」を確認するのが確実です。判断に迷う場合は弁護士など専門家に相談してください。
Q. 実績公開の許可は、いつ聞くのがよいですか?
受注の段階です。案件終了後に聞くと、担当者の異動や社内判断の手間で返事が来ないまま終わることが多くなります。受注時であれば発注条件の一部として事務的に処理されます。掲載可能時期、商品名の記載可否、写真の使用可否の3点をあわせて確認しておくと後が楽です。
Q. 実物の写真がないと、案件は取れませんか?
取れないわけではありませんが、通過率は下がります。写真がない場合は、担当範囲と工程上の工夫を具体的に言語化して伝えてください。商品名を伏せたうえで、表示項目の版面設計やレイアウトの可変対応といった実務の話ができれば、経験の裏づけは伝わります。自主制作を使う場合は必ず自主制作と明記します。
Q. 報酬の支払条件で、特に注意すべき点は何ですか?
「商品が発売されたら支払う」という条件は避けてください。発売の時期はデザイナーの責任範囲外で、延期されれば支払いも止まります。納品と検収を基準にした支払条件を交渉してください。取引条件の明示や支払期日については公的機関が案内を出しているので、最新の内容を一次情報で確認することをおすすめします。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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