海外向けのハンドメイド販売|売り場と発送の準備


この記事のポイント
- ✓海外向けのハンドメイド販売を始めたい人に向けて
- ✓Etsyや海外向けの販売サイトの手数料
- ✓英語での説明文とやり取り
海外向けのハンドメイド販売とは、自分で作った作品を、海外に住む人に向けて販売し、国際郵便などで届ける売り方のことです。和柄の小物、つまみ細工、刺繍、陶器、木工品のように、日本らしさや細かい手仕事が伝わる作品は、国内とは違う人に価値を感じてもらえることがあります。
ただ、海外に売るには、国内の販売にはない準備が要ります。売り場の選び方、外国のお金での値段の付け方、国際郵便の送り方、税関に出す書類、国によって送れない物、英語でのやり取り。どれか1つでも抜けていると、売れたあとに発送できない、届かない、ということが起こります。この記事では、海外向けのハンドメイド販売を始める前に整えておくことを、順番に説明します。
海外向けに売ることの魅力と、難しさ
国内のハンドメイドの販売サイトでは、似た作品が数多く並び、値段で比べられやすい面があります。海外に向けて売ると、日本で作られたこと、日本の素材や技法を使っていること自体が、作品を選ぶ理由になる場合があります。
海外向けに売ることには、次のような魅力があります。
- 日本の伝統の柄や技法が、珍しいものとして受け取られやすい
- 売る相手の数が広がり、季節や流行の波が国内とずれる
- 英語で作品を説明する経験が、ほかの仕事にも生きる
一方で、難しさもはっきりしています。
- 送料が国内より高く、作品の値段より送料のほうが高くなることがある
- 届くまでの日数が長く、途中の状況が分かりにくいことがある
- 国によって、送れない物や、税関で求められる情報が違う
- 返品や交換のやり取りに、時間と送料がかかる
- やり取りを英語などの外国語で行う必要がある
これらの難しさは、準備の段階で多くを減らせます。どの国に向けて、どの作品を、どの送り方で届けるのかを先に決めておけば、売れたあとに慌てることはありません。最初から世界中に売ろうとせず、送り方と条件を確かめた国から始めるのが、失敗の少ない進め方です。
売り場の選び方。海外の販売サイトと国内サイトの海外向け
海外向けに売る場所は、大きく分けて3つあります。海外の人が集まるハンドメイドの販売サイト、国内の販売サイトが用意している海外向けの売り場、自分で作るネットショップです。
海外のハンドメイドの販売サイトの代表がEtsyです。Etsyの公式ヘルプ「Etsy手数料の基本」には、出品料、取引手数料、入金手数料の3つが基本の手数料として案内されています。主な内容は次のとおりです。
- 出品料は、商品ひとつごとに0.20米ドルの一律料金で、売れたかどうかに関わらずかかる
- 取引手数料は、選んだ商品の通貨で、注文総額の6.5%。送料とギフトラッピング(お客さまに請求する場合)も含めた合計に対してかかる
- 入金手数料は、1回ごとの定額に販売合計の一定の割合を加えたもので、定額と割合は国によって違う
このほか、Etsyの広告や外部サイト広告、配送ラベルの購入を使うと、それぞれに手数料がかかると案内されています。手数料はドル建てで、改定されることもあるので、登録の前に公式ヘルプで最新の内容を確かめてください。
国内の販売サイトにも、海外の人に向けた売り場を持つところがあります。Creemaは台湾と香港のサイトを運営しており、公式ヘルプでは、台湾と香港のサイトで売買が成立した場合の成約手数料が決済総額の一律21%(税込)と、1取引あたり42円の決済手数料(税込)と案内されています。国内向けの作品と同じ管理画面で扱えるのが利点で、手数料は国内の取引より高く設定されています。
自分のネットショップは、作品の世界観を自由に見せられ、常連の人に直接案内できる一方で、海外の人に見つけてもらうための集客を自分で行う必要があります。最初は人が集まる販売サイトで実績を作り、その後に自分のお店を育てる、という順番が無理のない進め方です。
売る国を決める
海外向けの販売では、「どこに売るか」を先に決めることが、その後の準備をすべて左右します。国によって、送れる物、送り方、税関で求められる情報、届くまでの日数が違うからです。
売る国を決めるときに確かめたいのは、次のような点です。
- 日本郵便の国際郵便で、その国に送れるか。送れる郵便の種類は何か
- その国で、作品に使っている素材が輸入を制限されていないか
- その国への送料と、届くまでの日数の目安
- 税関で事前の申告やデータの送信が求められるか
- 作品を説明する言語。英語で通じるか、別の言語が必要か
日本郵便のサイトには、国や地域ごとに、送れる郵便の種類や条件を整理した「国・地域別情報(国際郵便条件表)」があります。売る国を決めたら、まずその国の欄を開いて、送り方と条件を確かめます。条件は国際的な情勢で変わることがあるので、発送のたびに一度は見直す習慣をつけておくと安全です。
最初は、送れる郵便の種類が多く、条件が分かりやすい国を2〜3か国だけ選んで始め、発送に慣れてから広げていくと、手間と失敗を抑えられます。販売サイトによっては、発送先の国を自分で選んで設定できるので、確かめた国にだけ送る設定にしておきます。
国際郵便の送り方の基本
ハンドメイドの作品を個人が海外に送るときは、日本郵便の国際郵便を使うのが一般的です。国際郵便には、届くまでの速さと料金、追跡のできる範囲が違ういくつかの種類があります。
送り方を選ぶときに比べたいのは、次の4つです。
- 料金。重さと大きさ、送り先の国で決まる
- 届くまでの日数。航空便は速く、船便は遅いが安い
- 追跡ができるか。どこまで届いたかを確かめられるか
- 損害の補償があるか。届かなかったとき、壊れたときに補償されるか
ハンドメイドの小物は軽くて小さいものが多く、軽い荷物向けの送り方を使えると送料を抑えられます。一方、追跡や補償のない送り方では、届かなかったときに「送った」「届いていない」の行き違いが起き、返金で対応せざるを得なくなることもあります。作品の値段が高いもの、壊れやすいものは、追跡と補償のある送り方を選ぶほうが、結果として安心です。
料金と日数は、日本郵便のサイトで、送り先、送るもの、重さを入れて計算できます。値段を付ける前に、作品を梱包した状態で重さと大きさを測り、売る国ごとの送料を一覧にしておくと、送料の設定で損をしなくなります。
税関告知書と、通関電子データ
海外に物を送るときには、税関に中身を伝えるための書類が必要になります。日本郵便は、税関告知書について次のように説明しています。
税関に対して郵便物の内容品等を申告するための用紙で、CN22とCN23の2種類があります。税関検査の対象とされる可能性のあるもの(物品などの金銭的価値のあるもの)を包有する郵便物を海外へ郵送する際には、郵便物の内容品の品名、個数および価格等の詳細を具体的に記入し、郵便物に必ず添付してください。 出典: 日本郵便 税関告知書について
ハンドメイドの作品は売り物なので、この書類が必要になります。日本郵便の「国際郵便マイページサービス」でラベルを作ると、必要な枚数の税関告知書が自動で作られる、とも案内されています。
もう1つ知っておきたいのが、通関電子データです。通関電子データとは、差出人と受取人の氏名と住所、中身の品名、総重量、郵便物の番号などの情報を電子化し、送り先の国に事前に送るデータのことです。日本郵便は、世界的にこのデータを求める動きが強まっているため、対象となる郵便の種類では、データの送信がないと差し出せないと案内しています。
価格の欄には、実際に販売した値段を書きます。関税を少なくしようとして低い価格を書いたり、売り物なのに贈り物として申告したりすることは、送り先の国の税関の決まりに反するおそれがあり、荷物が止められる原因にもなります。販売サイトの注文の画面に表示された金額と、税関告知書の価格がそろっているかを、発送のたびに確かめます。
品名の書き方にも注意が要ります。「gift」や「handmade」のような大まかな書き方では、税関で中身が分からず、止められたり、追加の情報を求められたりすることがあります。「cotton fabric pouch」「ceramic cup」のように、素材と品物の種類が分かる書き方にします。EU加盟国などに送る場合は、品物の分類を表すHSコードの入力が推奨されているので、マイページの画面で入力しておきます。
米国に送るときの事前申告
海外向けのハンドメイド販売で、米国は大きな売り先の1つですが、2025年から2026年にかけて送り方の条件が大きく変わっています。日本郵便の2026年10月14日のお知らせ「米国宛て郵便物の引受け対象の拡大」では、米国の税関・国境警備局(CBP)の決まりの変更に伴い、2026年10月15日から次のように変わると案内されています。
- 2,500米ドル以下の物品を含むすべての郵便物について、CBPへの事前の申告が必要になった(書状と郵便葉書を除く)
- 事前の申告は、日本郵便が推奨する認定事業者(Zonos、SafePackageの2社)のアプリなどを通じて行う
- これまで指定の郵便局に限っていた米国宛ての郵便物の引き受けが、原則としてすべての郵便局に広がった(国際郵便を扱わない簡易郵便局を除く)
ハンドメイドの作品を米国に売る場合、発送の前にアプリなどで申告の登録を行い、関税などを事前に支払う流れになります。関税をどちらが負担するか、作品の値段にどう含めるかは、販売サイトの設定と合わせて考える必要があります。申告にはアプリを提供する事業者の手数料がかかることもあるので、送料と同じように、売る前に費用として見込んでおきます。
米国宛ての条件は、この1年で何度も変わっています。米国に売るときは、日本郵便の「海外に送る」のお知らせのページで、発送の時点の最新の条件を必ず確かめてください。
送れない物と、素材の確かめ方
国際郵便には、世界共通で送れない物と、送り先の国によって送れない物があります。日本郵便の「国際郵便として送れないもの」のページでは、全世界共通で送れない物の代表例として、スプレー缶、香水、花火やクラッカー、アルコール濃度が24%を超える日焼け止めやマニキュア、ヘアトニック、アルコール飲料、電子タバコ、モバイルバッテリーが挙げられています。リチウム電池にも条件があると案内されています。
ハンドメイドの作品で気をつけたいのは、次のような場合です。
- ネイルチップに、マニキュアやトップコートの液を同梱する
- アロマの小物に、香水や精油を同梱する
- 光るアクセサリーや小物に、ボタン電池やリチウム電池を入れる
- 押し花やドライフラワー、木の実、種を使った作品を、植物の輸入を厳しく制限する国に送る
- 革や貝殻、羽根など、動物に由来する素材を使う
作品そのものは送れても、一緒に入れた付属品が送れない物に当たる、ということがあります。梱包の前に、作品と付属品の素材を書き出し、送れない物の一覧と、送り先の国の条件を見比べて確かめます。植物や動物に由来する素材を使う場合は、送り先の国の輸入の決まりも合わせて確かめてください。判断に迷う物は、郵便局の窓口で尋ねてから送るのが確実です。
値段と送料の決め方
海外向けの値段は、国内向けと同じ考え方で決めると、手数料と送料の分で手取りが大きく減ることがあります。
値段を決めるときに見込むものは、次のとおりです。
- 材料費と作業時間に見合う額
- 販売サイトの手数料。送料を含めた合計にかかる手数料もある
- 入金のときの手数料と、外国のお金から円に換える手数料
- 梱包の資材の費用。国内より丈夫な梱包が要る
- 送料。売る国ごとに違う
- 米国宛てなどで必要になる事前申告の手数料
販売サイトの多くは、作品の値段と送料を分けて設定できます。送料を別に設定する場合は、売る国ごとに実際の送料に近い額を設定し、送料で損をしないようにします。送料を作品の値段に含めて「送料無料」と見せる方法もありますが、その場合は送料の分を値段に入れておく必要があります。
外国のお金で値段を付ける場合、為替の動きで、同じ値段でも円での手取りが変わります。円での手取りの最低ラインを決めておき、為替が大きく動いたときには値段を見直すようにしておくと、知らないうちに赤字になることを防げます。
最初は、送料を含めると高く感じられる値段になることもあります。海外の人にとっては、日本から届く手作りの品であること自体が価値なので、安さで勝負するより、作品の背景や手間が伝わる説明に力を入れるほうが、値段に納得してもらいやすくなります。
梱包の工夫
国際郵便は、国内の配送より長い時間、多くの人の手を経て届きます。途中で押しつぶされたり、雨にぬれたりすることを前提に、丈夫に梱包する必要があります。
梱包のときに気をつけたいのは、次のような点です。
- 作品を透明の袋に入れて、水と汚れから守る
- 壊れやすい作品は、緩衝材で包み、箱の中で動かないようにする
- 封筒で送る場合も、厚紙を入れて折れを防ぐ
- 宛名と税関告知書がはがれないよう、しっかり貼る
- 送り先の住所は、相手が登録した表記をそのまま使い、省略しない
梱包したあとの重さと大きさで送料が決まるので、丈夫さと軽さのつり合いが大切です。箱が大きすぎると送料が上がり、小さすぎると中で作品が押される、ということが起きます。作品ごとに、ちょうどよい大きさの箱や封筒をあらかじめ選んでおくと、発送のたびに迷わずに済みます。
梱包の資材は、発送の件数が増えてきたら同じ規格のものを決めて買いそろえておくと、1件ごとに大きさを考える手間が減り、送料の見込みも立てやすくなります。作品の種類ごとに「この封筒に入れて何グラム」と記録しておけば、新しい国から注文が来たときにも、すぐに送料を計算できます。
作品と一緒に、英語で書いたお礼のカードや、手入れの方法を書いた紙を入れると、受け取った人の印象が良くなります。作品の名前と、使っている素材、洗い方や保管のしかたを短く書いておくと、届いたあとの問い合わせも減ります。
英語での説明文の書き方
海外の人に作品を選んでもらうには、英語の説明文が欠かせません。完璧な英語である必要はありませんが、大きさ、素材、使い方が正しく伝わることが大切です。
説明文に入れたいのは、次のような項目です。
- 作品の名前。何の品物かが分かる語を入れる(pouch、earrings、mug など)
- 大きさ。センチメートルとインチの両方を書くと親切
- 素材。cotton、linen、glass beads、resin のように具体的に
- 作り方の特徴。hand-stitched、hand-painted など
- 手入れの方法。hand wash only、avoid direct sunlight など
- 発送の目安。注文から何日で発送するか
日本の伝統の技法や柄を使っている場合は、その意味を短く説明すると、作品の価値が伝わりやすくなります。たとえば、つまみ細工なら「Tsumami zaiku is a traditional Japanese craft of folding small squares of fabric into flower petals」のように、技法の名前と中身を1文で書きます。
説明文の長さは、長すぎず短すぎず、写真で伝わらない情報を補う量にとどめます。最初の数行で作品の名前と特徴が分かるようにし、細かい大きさや手入れの方法は、その後に項目ごとに並べると、スマートフォンで読む人にも見やすくなります。
翻訳の道具を使うのは問題ありませんが、訳した英語をそのまま使うのではなく、もう一度日本語に訳し戻して、意味がずれていないかを確かめます。大きさや素材のような事実の部分は、とくに丁寧に確かめてください。間違った大きさを書くと、届いたあとに「思っていたのと違う」と言われる原因になります。
問い合わせとトラブルへの対応
海外の人とのやり取りでは、時差と言葉の壁があります。返信が遅れると、相手は不安になり、評価にも響きます。
やり取りをなめらかにするために、次のような文面の型を英語で用意しておくと便利です。
- 注文のお礼と、発送の目安の連絡
- 発送の連絡と、追跡番号の案内
- 届くまでの日数の目安と、遅れることがある旨の説明
- 届かないという問い合わせへの返信
- 受け取りの連絡へのお礼
国際郵便は、税関で止められたり、送り先の国の配達で時間がかかったりして、予定より大幅に遅れることがあります。発送の連絡のときに、届くまでの目安の日数と、遅れることがあることを先に伝えておくと、問い合わせが減ります。
届かない、壊れていた、という連絡があった場合は、まず追跡の状況を確かめ、写真を送ってもらうなど事実を確かめてから対応を決めます。返金や再送の決まりは、販売サイトの規約と、自分のお店の決まりの両方を確かめたうえで、出品の説明にあらかじめ書いておくと、いざというときに判断がぶれません。
海外で選ばれやすい作品の考え方
海外向けに売る作品を選ぶときは、国内で売れている作品をそのまま並べるより、「海外の人が日本から取り寄せる理由がある作品か」という目で選び直すと、売れ行きが変わります。
選ぶときの目安は、次のような点です。
- 日本の技法や素材が分かる作品。つまみ細工、刺し子、組紐、和紙、ちりめんなど
- 軽くて小さく、送料が値段に比べて重くなりすぎない作品
- 壊れにくく、長い輸送に耐えられる作品
- 大きさの合う合わないが出にくい作品。服や指輪より、ポーチやピアスのほうが扱いやすい
- 送れない物や輸入の制限に当たる素材を使っていない作品
たとえば、ちりめんの小さな巾着や、刺し子の布巾は、軽くて壊れにくく、日本の手仕事であることが伝わりやすい作品です。一方、大きな陶器やガラスの作品は、魅力があっても梱包と送料の負担が大きく、壊れたときの対応も難しくなります。最初は扱いやすい作品から始め、発送に慣れてから重い作品や壊れやすい作品を加えるのが安全です。
作品の色や柄の好みも、国や地域で違いがあります。国内で人気の淡い色の作品が、海外ではあまり選ばれないこともあれば、その逆もあります。最初はいくつかの色や柄を並べ、見られている数やお気に入りの数を比べて、売れ筋を探っていきます。
海外向けの写真の撮り方
言葉の壁がある海外の人にとって、写真は説明文以上に大切な情報です。英語の説明を読まなくても、写真だけで大きさ、素材、使い方が分かるように撮ることを目指します。
写真で押さえたいのは、次のような点です。
- 1枚目は、白や明るい色の無地の背景で、作品の全体が分かる写真にする
- 大きさが分かる写真を入れる。手に持った写真や、定規やコインと並べた写真
- 素材の質感が分かる近くからの写真を入れる。縫い目や布の織り目、釉薬の表情など
- 使っている場面の写真を入れる。ポーチに物を入れた様子、ピアスを着けた様子
- 裏側や内側の写真を入れる。仕上げの丁寧さが伝わる
背景に日本らしい小物を少しだけ添えると、作品の雰囲気が伝わりやすくなります。ただし、小物が目立ちすぎると、何が売り物なのかが分かりにくくなります。付属しない小物を写す場合は、説明文に「写真の小物は含まれません」と英語で書いておくと、行き違いを防げます。
色が実物と違って見えると、届いたあとの不満につながります。明るさを調整しすぎず、自然光で撮った色に近づけるようにします。
1件の注文が届くまでの流れ
海外向けの販売で迷わないように、注文を受けてから相手に届くまでの流れを、1件の注文を例に整理しておきます。
- 注文の通知を受け取る。送り先の国と住所、選ばれた送り方を確かめる
- お礼と発送の目安を英語で送る
- 作品を検品し、梱包する。重さと大きさを測る
- 日本郵便の国際郵便マイページサービスでラベルを作る。品名、個数、価格を入力する
- 米国宛てなど事前の申告が必要な国の場合は、アプリなどで申告の登録を行う
- 郵便局で差し出す。控えと追跡番号を受け取る
- 販売サイトに追跡番号を登録し、発送の連絡を英語で送る
- 届くまで追跡の状況を時々確かめ、大きく止まっていたら相手に状況を伝える
- 受け取りの連絡が来たらお礼を送り、評価をお願いする
この流れを紙に書いて作業台の近くに貼っておくと、注文が重なったときにも手順を飛ばさずに済みます。とくに4と5は、入力を間違えると税関で止められる原因になるので、品名と価格を毎回確かめる習慣をつけます。
始めて最初の1か月の進め方
海外向けの販売は、準備することが多いため、一度に全部をそろえようとすると疲れてしまいます。最初の1か月は、次のように段階を分けて進めると負担が軽くなります。
最初の1週目は、売り場と売る国を決めます。販売サイトに登録し、手数料と発送の設定を確かめ、送る国を2〜3か国に絞ります。2週目は、作品を3〜5点選び、写真を撮り直して、英語の説明文を作ります。大きさと素材の表記は、ここで丁寧に整えます。
3週目は、梱包の資材をそろえ、作品を梱包した状態で重さと大きさを測って、国ごとの送料の一覧を作ります。その送料をもとに、値段と送料の設定を決めて出品します。4週目は、英語のやり取りの文面の型を用意し、注文が来たときの流れを一度通して確かめておきます。
最初の注文が届くまでには、時間がかかることもあります。その間に、見られている数やお気に入りの数を見ながら、写真や作品名を少しずつ直していきます。焦って値段を大きく下げるより、作品の伝え方を磨くほうが、長く続けられる販売につながります。
評価を集めて、信頼を積み上げる
海外の人にとって、知らない国の個人の作家から物を買うのは、国内で買うより勇気の要ることです。その不安を和らげるのが、ほかの購入者の評価です。最初の数件の評価がつくまでは、注文が入りにくい時期が続くこともあります。
評価を集めるために心がけたいのは、次のような点です。
- 注文への返信と発送の連絡を、できるだけ早く送る
- 約束した発送の日を必ず守る。守れないときは先に連絡する
- 受け取りの連絡のあとにお礼を送り、気に入ってもらえたら評価をお願いする
- 低い評価がついたときも、感情的にならず、事実に基づいて丁寧に返信する
評価の内容は、作品を改善する手がかりにもなります。「思ったより小さかった」という声が続くなら、大きさの写真や表記を見直す合図です。「梱包が丁寧だった」という声は、自分のお店の強みとして説明文に生かせます。一つひとつの注文を丁寧に積み重ねることが、海外の人に選ばれ続けるお店をつくる近道です。
著作権と商標、表示の注意
海外向けに売るときも、国内と同じように、他人の権利を侵さないことが大切です。キャラクターやブランドのロゴ、有名な作品の絵柄を使った品は、国内だけでなく売り先の国でも権利の問題になるおそれがあります。権利を持つ会社の許可がないものは売らない、という線を引いておくのが安全です。
使っている生地や図案に、販売の可否の決まりがある場合もあります。購入した図案や型紙、柄の入った生地を使うときは、作った品の販売が認められているか、海外への販売も含めて認められているかを、販売元の案内で確かめます。
作品の説明では、効果をうたう表現を避けます。たとえば、天然石のアクセサリーに「病気が治る」「運が良くなる」と書くことは、国内でも問題になる表現で、海外でも誤解やトラブルのもとになります。素材と見た目、使い方の事実だけを書くようにします。
お金の受け取りと記録
海外向けの販売では、売上がドルなどの外国のお金で計算され、入金のときに円に換えられることが多くあります。どの時点の為替で円に換わり、どんな手数料が引かれたかを、入金のたびに記録しておく必要があります。
記録しておきたいのは、次のような項目です。
- 注文ごとの売上(外国のお金と円の両方)
- 販売サイトの手数料、入金の手数料、両替の手数料
- 送料と、事前申告などの手数料
- 材料費と梱包の資材の費用
会社に勤めながら副業として販売している場合、給与以外の所得が年間で20万円を超えると、所得税の確定申告が必要になります。所得は、売上から手数料や送料、材料費などの経費を引いた額です。外国のお金で受け取った売上の円への換算のしかたや、海外への販売に関わる消費税の扱いは、事情によって変わるので、税務署の窓口で確かめてください。
海外向けの販売で育つ技能と、仕事の広げ方
フリーランスと在宅ワークの仲介を2004年から続けてきた運営者の立場から見ると、海外向けの販売に取り組んだ経験は、作品の売上以上のものを残します。英語で商品を説明する力、国ごとの決まりを調べて手順に落とし込む力、写真と文章で価値を伝える力です。これらは、海外向けのネットショップの運営支援や、商品ページの翻訳、販売の手続きの代行のような仕事にそのまま生かせます。
たとえば、作品の写真や販売ページの見せ方を磨いた人は、デザインの仕事を受ける道もあります。デザインの仕事の相場はデザイナーの年収・単価相場で確かめられます。説明文を正確に書く力を示したいなら、ビジネス文書検定のように、文書の作り方を体系的に学べる資格も役に立ちます。在宅で生かせる資格を広く比べたい人は、在宅ワークに強い資格10選|自宅で稼げるスキルを身につけるで、使い道と難しさを整理しています。
運営者として見てきたもう1つのことは、手取りの厚さです。海外の販売サイトでは、出品料、取引手数料、入金手数料、両替の手数料と、いくつもの費用が売上から引かれます。仲介の手数料が乗らない直接の取引では、頼む側は同じ予算でより多くを頼め、受ける側は手取りが厚くなります。作品の販売で身につけた技能を、手数料0%で直接受けられる仕事にも広げておくと、為替や送料の条件が変わった月でも、収入が大きくぶれにくくなります。
よくある質問
Q. 海外向けにハンドメイド作品を売るにはどこで始めるのがよいですか?
海外の人が集まるEtsyのような販売サイトか、Creemaの台湾と香港のサイトのように国内サイトが用意している海外向けの売り場から始めるのが一般的です。手数料は売り場ごとに違い、改定もあるので、登録の前に公式ヘルプで最新の内容を確かめてください。実績ができてから自分のネットショップを開く順番が無理のない進め方です。
Q. ハンドメイド作品を海外に送るときに必要な書類はありますか?
売り物を国際郵便で送るときは、中身の品名、個数、価格を書いた税関告知書(CN22またはCN23)が必要です。日本郵便の国際郵便マイページサービスでラベルを作ると、必要な税関告知書が自動で作られます。対象の郵便では通関電子データの送信も必要で、送信がないと差し出せません。
Q. 米国にハンドメイド作品を送るときに気をつけることは何ですか?
日本郵便の案内では、2026年10月15日から、2,500米ドル以下の物品を含むすべての郵便物について、米国税関への事前申告が必要になりました。日本郵便が推奨する認定事業者のアプリなどで申告し、関税などを事前に支払う流れです。条件は変わりやすいので、発送のたびに日本郵便のお知らせで確かめてください。
Q. 海外への送料はどのように値段に反映すればよいですか?
作品を梱包した状態で重さと大きさを測り、売る国ごとの送料を日本郵便のサイトで計算して一覧にしておきます。販売サイトで送料を別に設定するか、作品の値段に含めるかを決め、どちらの場合も実際の送料と手数料を下回らないようにします。為替の動きで手取りが変わるので、円での最低ラインも決めておくと安心です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
関連記事
カテゴリから探す

クラウドソーシング入門
クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド
職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

フリーランス
フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金
確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ
プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング
サービス比較・おすすめランキング

AI活用
職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド
市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド
クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア
転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人
看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人
薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人
介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人
保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人
医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険
生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人
無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース
バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業
契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代
シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ
サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック
暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス
経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材
フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方
子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金
個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

M&A・事業売却
会社売却・事業承継・事業譲渡を考える経営者向け。売却の流れ、税金、従業員への伝え方、仲介会社の選び方

アウトソーシング・外注ガイド
SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方







