保育士資格を最短で取る独学の進め方と、ベビーシッターとして働くときの強み


この記事のポイント
- ✓保育士資格を独学の最短ルートで取りたい人に向けて
- ✓科目合格の仕組みを全国保育士養成協議会の案内をもとに解説します
- ✓ベビーシッターとして働くときの届出と資格の強みまで整理します
保育士資格を独学で、できるだけ短い期間で取りたいと考える人は少なくありません。子育てが一段落して保育の仕事に戻りたい人、ベビーシッターとして働きたい人、今の仕事を続けながら資格を取っておきたい人など、事情はさまざまです。共通しているのは、養成校に2年通う時間や費用はかけられないが、国家資格はしっかり取りたいという思いです。
保育士資格は、保育士試験に合格すれば、養成校に通わなくても取れる国家資格です。試験は年2回あり、筆記試験の9科目と実技試験に合格すれば資格を得られます。筆記試験の合格科目は一定期間持ち越せるため、一度にすべてを合格しなくてもかまいません。この記事では、まず自分に受験資格があるかを確かめる方法を説明し、試験の日程と科目、最短で合格するための勉強の組み立て方、合格後の登録の手続き、そしてベビーシッターとして働くときに資格がどう生きるかを、公的な案内をもとに順に整理します。
保育士資格を取る2つの道
保育士は、児童福祉法で定められた国家資格です。全国保育士養成協議会は、法律の定義を次のように紹介しています。
保育士とは、第18条の18第1項の登録を受け、保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者をいう。 出典: 全国保育士養成協議会 保育士試験とは
保育士資格を取る方法は2つです。1つは、都道府県知事が指定した保育士養成校(大学、短大、専門学校など)を卒業する方法です。もう1つは、保育士試験に合格する方法です。独学で目指すのは後者で、学校に通わずに資格を取れます。
定義の中に「登録を受け」とあるとおり、試験に合格しただけでは保育士を名乗ることはできません。合格したあとに都道府県知事への登録の手続きを済ませ、保育士証を受け取って初めて、保育士として働けます。保育士の資格を持たない人が保育士やそれにまぎらわしい名称を使うことは、法律で禁じられています。この登録の手続きには時間がかかるため、後の節で詳しく説明します。
保育士試験は、都道府県から指定を受けた一般社団法人全国保育士養成協議会が、試験の事務を行っています。受験の申し込み、受験票の発送、試験の結果の公開などは、すべて同協議会を通して行います。
最初に確かめるのは受験資格
保育士試験は、誰でも受けられるわけではありません。学歴か、児童福祉施設などで働いた経験のどちらかで、受験資格を満たす必要があります。独学で最短を目指す人にとって、最初の関門はここです。
全国保育士養成協議会の案内による主な受験資格を、わかりやすく整理すると次のとおりです。
| 区分 | 主な条件 |
|---|---|
| 大学 | 大学に2年以上在学して62単位以上を修得した人(在学中で年度中に見込みの人を含む) |
| 短大・高専 | 短大や高等専門学校を卒業した人、または最終学年に在学していて年度中に卒業見込みの人 |
| 専門学校 | 修業年限2年以上の専修学校の専門課程などを卒業した人 |
| 高校卒業(古い卒業年) | 平成3年3月31日までに高校を卒業した人 |
| 高校卒業+実務経験 | 高校を卒業し、児童福祉施設で2年以上かつ合計2,880時間以上、児童の保護に従事した人 |
| 実務経験のみ | 児童福祉施設で5年以上かつ合計7,200時間以上、児童の保護に従事した人 |
大学で2年以上学んで62単位以上を取っていれば、学部や学科を問わず受験資格があります。短大や専門学校の卒業者も同じです。迷いやすいのは高校卒業の人で、平成3年3月31日までに卒業していればそのまま受験できますが、それより後に卒業した人は、児童福祉施設などでの実務経験が必要になります。
実務経験について、全国保育士養成協議会は次のように示しています。
児童福祉施設において、2年以上の勤務で、総勤務時間数が2,880時間以上、児童の保護に従事した者 出典: 全国保育士養成協議会 受験資格詳細
このほか、認定こども園、幼稚園、小規模保育事業、放課後児童クラブ、届出をした認可外保育施設など、児童福祉施設以外の施設で働いた経験も、受験する都道府県の知事の認定を受けることで受験資格になる場合があります。こうした施設での経験で受ける人は、知事の認定の手続きが別に必要なので、申し込みの前に案内を必ず確かめます。
実務経験の時間は、勤務先が発行する証明書で示します。パートで短い時間働いてきた人は、2年以上という期間と2,880時間以上という時間の両方を満たしているかを、勤務先に確かめてから申し込みます。
試験の日程と科目の全体像
保育士試験は、毎年前期と後期の2回行われます。全国保育士養成協議会が公表している日程は次のとおりです。
| 回 | 筆記試験 | 実技試験 | 申し込み期間 |
|---|---|---|---|
| 令和8年前期 | 4月18日・19日 | 6月28日 | 1月8日から1月28日 |
| 令和8年後期 | 10月24日・25日 | 12月13日 | 7月3日から7月23日 |
| 令和9年前期 | 4月17日・18日 | 6月27日 | 令和8年12月下旬ごろに案内予定 |
| 令和9年後期 | 10月23日・24日 | 12月12日 | 令和9年6月下旬ごろに案内予定 |
令和8年後期の申し込みはすでに締め切られているため、これから準備を始める人が次に受けられるのは令和9年前期の試験です。申し込みの期間は3週間ほどと短く、見落とすと半年先の試験まで待つことになります。案内が出る時期を手帳に書いておくと安心です。
筆記試験は2日間で9科目を受けます。科目と満点は次のとおりです。
| 科目 | 満点 |
|---|---|
| 保育の心理学 | 100点 |
| 保育原理 | 100点 |
| 子ども家庭福祉 | 100点 |
| 社会福祉 | 100点 |
| 教育原理 | 50点 |
| 社会的養護 | 50点 |
| 子どもの保健 | 100点 |
| 子どもの食と栄養 | 100点 |
| 保育実習理論 | 100点 |
各科目とも、満点の6割以上を取ると合格です。筆記試験はマークシート方式で行われます。注意したいのは、教育原理と社会的養護の2科目で、この2つは同じ回で両方とも6割以上を取らなければ合格になりません。片方だけ6割を超えても、その科目は合格として扱われない仕組みです。
筆記試験の9科目すべてに合格した人だけが、実技試験に進めます。実技試験は、音楽、造形、言語の3分野から2つを選んで受け、選んだ2分野とも満点の6割以上で合格です。
受験料と、かかる費用の全体
受験料は、オンラインで申し込む場合、受験手数料12,700円に支払いの事務手数料が加わります。クレジットカードで払うと合計13,054円、コンビニで払うと12,975円です。申し込んだあとは、自己都合で受けなかった場合も、自然災害などで試験が中止になった場合も、受験手数料は返金されません。
独学にかかる費用は、受験料のほかに教材費と登録の費用です。教材は、市販のテキストと過去問題集をそろえるのが一般的です。全国保育士養成協議会のサイトでは、過去の試験問題が公開されています。試験の傾向をつかむには、まずこれを解いてみるのが近道です。
独学で一度に合格した人の費用感として、次のような体験談もあります。
テキストは近所の書店で新品購入したため、中古で揃える人はもう少し安くなるかと思います。戸籍謄本は結婚で名字が変わっていたため必要でした。人によって必要書類などの細かい部分は変わりますが、一発合格なら大体2万円ほどで保育士資格が得られることになります。 出典: note.com
一方で、科目の合格を複数回に分けた場合は、回ごとに受験料がかかります。最短で取ることは、時間だけでなく費用を抑えることにもつながります。合格後には保育士登録の手数料もかかるので、金額は登録の手引きで確かめておきます。
持っている資格で科目が免除される人
最短で資格を取りたい人がもう1つ確かめておきたいのが、科目の免除です。ほかの資格を持っている人は、申請すると筆記試験の一部の科目や実技試験が免除になる場合があります。受ける科目が減れば、勉強の量も減り、一度で筆記をすべて合格できる見込みが高まります。
全国保育士養成協議会の案内による主な免除は次のとおりです。
| 持っている資格 | 免除される科目 |
|---|---|
| 幼稚園教諭免許状(臨時免許を除く) | 保育の心理学、教育原理、実技試験 |
| 社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士 | 社会的養護、子ども家庭福祉、社会福祉 |
幼稚園教諭の免許を持っている人は、免許の種類(1種、2種、専修)に関係なく、保育の心理学、教育原理、実技試験の3つが免除になります。さらに、指定保育士養成施設で対応する科目を修得すれば、残りの筆記試験の科目も免除される仕組みがあります。幼稚園教諭の免許がある人は、学校に通って科目を修得する道と、残りの科目を試験で受ける道を比べて、自分に合うほうを選べます。
社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士のいずれかを持っている人は、登録証のコピーを出すことで、社会的養護、子ども家庭福祉、社会福祉の3科目が免除になります。介護の仕事から保育の仕事へ移りたい人にとっては、9科目のうち3科目を受けずに済むのは大きな利点です。
免除を受けるには、受験の申し込みの際に必要な書類を出す必要があります。成績証明書では免除にならないなど、書類の条件が細かく決められているので、申し込みの前に案内を読み、必要な証明書を早めに取り寄せておきます。
最短ルートは「前期で筆記を全部、6月に実技」
保育士試験で最短の道は、前期の筆記試験で9科目すべてに合格し、同じ年の6月の実技試験にも合格する流れです。この場合、4月の筆記から半年ほどで試験はすべて終わります。
ただし、9科目すべてを一度で合格するのは簡単ではありません。科目数が多く、それぞれに6割以上が必要です。そこで役に立つのが、筆記試験の合格科目を持ち越せる仕組みです。合格した科目は、通常3年間有効とされています。たとえば、前期で6科目に合格したら、後期では残りの3科目だけを受ければよいということです。
さらに、保育所などの対象施設で一定の期間と時間、子どもの保護に従事した場合は、合格科目の有効期間を最長5年まで延ばせる制度もあります。働きながら少しずつ合格を積み上げたい人にとっては心強い仕組みです。
最短を狙う人の計画の立て方は、大きく2通りあります。
- 一発型:前期の筆記で9科目すべての合格を狙い、6月の実技で仕上げる
- 分割型:前期で得意な科目を中心に合格し、後期で残りを片づける
勉強時間を十分に確保できる人は一発型、仕事や育児で時間が限られる人は分割型が向いています。分割型でも、年内の後期で筆記をすべて合格し、12月の実技に合格すれば、1年以内に試験を終えられます。
9科目を独学で勉強する順番
科目数が多い保育士試験では、勉強する順番の組み立てが合否を左右します。おすすめの考え方は、科目どうしのつながりを生かして順番を決めることです。
最初に取り組みたいのは、保育原理と保育の心理学です。保育原理は保育所保育指針の考え方が中心で、ほかの科目の土台になります。保育の心理学は子どもの発達の流れを扱い、子どもの保健や保育実習理論の理解を助けます。
次に、子ども家庭福祉と社会福祉、社会的養護を続けて学びます。この3科目は、法律や制度、施設の種類など重なる内容が多く、まとめて勉強すると効率が上がります。制度の数字や年号が出題されることもあるため、表にまとめて覚えると整理しやすくなります。
子どもの保健と子どもの食と栄養は、病気、発達、栄養素、食事の量など、具体的な知識が問われる科目です。暗記の量が多いので、早めに始めて繰り返し触れるのが効果的です。
保育実習理論は、音楽の楽譜の読み方や、造形の色の知識、保育の実践に関する問題が出ます。音楽の基礎がない人は、楽譜の問題で点を落としやすいため、早めに過去問題で傾向をつかんでおきます。
教育原理は、教育の思想や歴史、教育に関する法律が出ます。社会的養護と同じ回で両方とも6割以上が必要なので、この2科目は同じ時期に仕上げるように計画します。
全科目に共通するのは、過去問題を中心に勉強することです。テキストを最初から最後まで覚えようとするより、過去問題を解いて、出題される論点をテキストで確かめるほうが、限られた時間で得点を伸ばせます。
働きながら合格を目指す6か月の計画例
最短の流れに乗るには、筆記試験の半年前から勉強を始めるのが1つの目安です。令和9年前期の筆記試験は4月17日と18日なので、10月から11月ごろに始めると、6か月ほどの準備期間を取れます。平日に1時間、週末に3時間ほど勉強する人を想定した計画の例を示します。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 1か月目 | 保育原理と保育の心理学のテキストを読み、過去問題を1回分解く |
| 2か月目 | 子ども家庭福祉、社会福祉、社会的養護をまとめて学ぶ。制度を表に整理する |
| 3か月目 | 子どもの保健と子どもの食と栄養に取り組む。数字や栄養素を繰り返し確かめる |
| 4か月目 | 教育原理と保育実習理論を仕上げる。楽譜の問題に慣れておく |
| 5か月目 | 9科目の過去問題を通して解き、6割に届かない科目を洗い出す |
| 6か月目 | 弱い科目の見直しと、時間を計った過去問題の演習 |
この計画で大事なのは、1か月目から過去問題に触れることです。テキストを全部読み終えてから過去問題に取りかかると、どこが出題されやすいのかを知らないまま時間を使ってしまいます。最初に過去問題を見ておけば、テキストのどこに力を入れて読めばよいかがわかります。
もう1つは、12月の時点で受験申し込みの案内を確かめることです。令和9年前期の申し込みの詳細は、令和8年12月下旬ごろに掲載される予定と案内されています。勉強に集中していると申し込みの期間を見落としがちなので、案内の掲載時期を予定表に書いておきます。
子育て中の人は、まとまった時間が取りにくいことが多いでしょう。その場合は、1回15分の短い時間を1日に何度か重ねるやり方が向いています。過去問題を1問ずつ解いて解説を読む、覚えたい数字を1枚の紙に書いて家の中の目につく場所に貼る、といった小さな積み重ねが、半年後には大きな差になります。
法令と指針は、出題の基準日に合わせて学ぶ
保育士試験では、児童福祉法などの法令や保育所保育指針の内容が多く出題されます。ここで注意したいのが、どの時点の法令にもとづいて出題されるかです。全国保育士養成協議会は、令和8年後期の筆記試験について、令和8年4月1日以前に施行された法令や保育所保育指針等にもとづいて出題すると案内しています。
法令は毎年のように改正があり、子どもに関わる制度も変わっています。古いテキストで勉強すると、改正前の内容を覚えてしまうおそれがあります。中古のテキストは安く手に入りますが、試験の年に合った版かどうかを確かめてから使います。
制度の改正点は、新しいテキストの冒頭や巻末にまとめられていることが多いので、そこを重点的に読みます。子どもに関わる行政の仕組みが変わった点は、子ども家庭福祉や社会福祉、社会的養護など、複数の科目に関係することがあるので、科目をまたいで確かめておきます。
実技試験は2分野を早めに決めて練習する
実技試験は、音楽、造形、言語の3分野から2つを選んで受けます。申し込んだあとに分野を変えることはできないため、申し込みの時点で何を選ぶかを決めておく必要があります。
| 分野 | 試験の内容(令和8年後期の例) |
|---|---|
| 音楽 | 指定された2曲を、ピアノかギターで弾き歌いする |
| 造形 | 当日示される条件にそって、保育の一場面を色鉛筆などで描く(45分) |
| 言語 | 3歳児クラスの子どもに向けて、指定された昔話などを3分間で語る |
音楽は、ピアノかギターを弾きながら歌う課題です。令和8年後期は『うれしいひなまつり』と『山の音楽家』が課題曲でした。楽譜の持ち込みや移調は認められていますが、ピアノの経験がない人には練習の時間が必要です。造形は、当日示される問題文と条件にそって保育の一場面を描く課題で、試験時間は45分、使えるのは鉛筆と色鉛筆です。限られた時間で人物や背景を描き分ける練習が要ります。言語は、3歳児クラスの子どもに3分間のお話をすることを想定した課題で、令和8年後期は「ももたろう」「おむすびころりん」などの中から指定されたお話を語ります。声の出し方や、幼児に向けた話し方が見られます。
楽器の経験がない人は、造形と言語の組み合わせを選ぶのも1つの方法です。どちらも課題の形が決まっているため、練習の計画を立てやすい分野です。筆記試験が終わってから実技試験までは2か月ほどしかないので、筆記の勉強と並行して、週に1回は実技の練習の時間を取っておくと、最短の流れに乗りやすくなります。
独学でつまずきやすい3つの点
独学で保育士試験に挑む人がつまずきやすい点は、おおむね決まっています。前もって知っておけば、避けられるものがほとんどです。
1つ目は、申し込みの書類の不備です。受験資格を証明する書類が足りない、実務経験の証明書の記載が条件を満たしていない、といった理由で、受験そのものができなくなることがあります。卒業証明書や実務経験の証明書は、取り寄せに時間がかかることもあるため、申し込みの期間が始まる前に手元にそろえておきます。
2つ目は、得意な科目に時間をかけすぎることです。9科目すべてで6割以上が必要な試験なので、1つの科目で満点に近い点を取っても、ほかの科目が6割に届かなければ合格になりません。過去問題を解いて、6割に届いていない科目から優先して時間を割くのが効率的です。得意な科目は、試験の直前に過去問題で感覚を取り戻す程度で十分なことが多く、浮いた時間を苦手な科目に回せます。
3つ目は、筆記試験に合格したあとの実技の準備の遅れです。筆記の結果が出てから実技の練習を始めると、本番までの時間が足りなくなります。とくに音楽を選ぶ人は、弾き歌いの練習に時間がかかるため、筆記の勉強と並行して少しずつ練習しておくことが、最短の流れに乗るための条件になります。
合格してから働けるまでの登録の手続き
保育士試験に合格したら、保育士として働く前に登録の手続きをします。全国保育士養成協議会の案内では、登録事務処理センターで、合格通知書を使って登録の手続きを行うよう示されています。申請書類の受付からおおむね2か月程度かかるとされています。
この期間は、最短で資格を取りたい人にとって見落としやすい点です。たとえば、令和8年後期の実技試験の結果は令和9年1月12日に公開予定です。そこから登録の手続きをして保育士証が届くのは、早くても春先になります。4月からの就職を考えている人は、合格発表の直後に手続きを始めないと間に合わない可能性があります。
登録の申請には、合格通知書のほかに、戸籍の書類などが必要になることがあります。氏名が変わっている人は、変更の経緯がわかる書類が求められます。必要な書類は登録の手引きで確かめ、合格発表の前から準備しておくと手続きが早く進みます。
ベビーシッターとして働くときに必要な届出
保育士資格を取ったあと、保育園に勤めるのではなく、ベビーシッターとして働く道を考える人もいます。家庭を訪問して子どもを預かるベビーシッターは、個人で仕事を受ける形が多く、働く時間や曜日を自分で決めやすい働き方です。
ここで知っておきたいのが、届出の義務です。こども家庭庁の案内では、平成28年4月以降、1日に保育する乳幼児の数が1人以上であれば、ベビーシッターの事業を行う人は都道府県知事などへの届出が必要とされています。届出先は、個人のベビーシッターなら住んでいる都道府県(指定都市や中核市ならその市)です。児童福祉法では、事業を始めた日から1か月以内に届け出ることが定められています。マッチングサイトを使って仕事を受ける場合は、使っているサイトのURLも届け出る必要があります。
届出に加えて、国が定めた認可外保育施設の指導監督基準では、家庭を訪問して保育をする人について、保育士か看護師の資格を持つか、都道府県知事などが行う研修を修了していることを求めています。こども家庭庁の基準では、この研修について次のように説明しています。
居宅訪問型保育事業(法第6条の3第11 項に規定する居宅訪問型保育事業をいう。以下同じ。)で受講を求めている基礎研修の内容(20 時間程度の講義と1日以上の演習)を基本とする。 出典: こども家庭庁 認可外保育施設関係 通知・事務連絡等
保育士資格を持っていれば、この研修の修了がなくても基準を満たせます。資格のない人は研修を受ける必要があるため、保育士資格はベビーシッターとして働き始めるときの手間を減らしてくれます。
ベビーシッターとして保育士資格が強みになる理由
保育士資格は、ベビーシッターとして働くうえで、届出や基準の面だけでなく、仕事を受ける場面でも強みになります。
1つ目は、保護者からの信頼です。家庭に入って子どもを預かる仕事は、保護者にとって大きな決断です。国家資格を持っていることは、子どもの発達や安全について体系的に学んだことの裏付けになり、初めての依頼でも選ばれやすくなります。
2つ目は、対応できる子どもの幅です。保育士試験の勉強では、乳児から就学前までの発達、病気の見分け方、食事やアレルギーの配慮など、幅広い年齢の子どもに関する知識を学びます。新生児の家庭や、発達に配慮が必要な子どもの家庭からの依頼にも、落ち着いて対応しやすくなります。
3つ目は、働き方の選択肢です。ベビーシッターとして個人で働きながら、保育園の短時間勤務や、一時預かり、放課後児童クラブなどの仕事を組み合わせることもできます。保育士資格があれば、こうした施設の求人に応募できる範囲が広がります。
一方で、個人のベビーシッターは、仕事の量が依頼の数に左右されます。報酬の受け取り方、キャンセルの扱い、事故が起きたときの保険など、会社に勤める場合には会社が決めていたことを、自分で決める必要があります。賠償責任保険への加入や、利用規約の作成は、働き始める前に準備しておきます。
ベビーシッターとして働き始めるまでの順番
保育士資格を取ったあとにベビーシッターとして働く場合の準備を、順番に整理します。
- 保育士登録を済ませ、保育士証を受け取る
- 働き方を決める(個人で受けるか、ベビーシッターの会社に登録するか、マッチングサイトを使うか)
- 個人で事業として受ける場合は、住んでいる都道府県などに届出をする
- 賠償責任保険への加入を検討する
- 料金、キャンセルの扱い、預かれる年齢や時間帯を決め、利用規約にまとめる
- 預かる前の打ち合わせの手順と、緊急時の連絡先の確認方法を決める
2番の働き方によって、届出が必要かどうかや、必要な準備が変わります。ベビーシッターの会社に雇われて働く場合は、会社が事業者として手続きをしていることが一般的です。個人で仕事を受ける場合は、自分が事業者になるため、届出も自分で行います。届出の様式や添付書類は自治体ごとに決められているので、住んでいる都道府県や市のページで確かめます。
事業として仕事を受けるようになったら、税金の手続きも必要です。報酬から交通費などの経費を差し引いた所得に税金がかかります。開業届の提出や確定申告の方法は、収入の額や働き方によって変わるので、税務署で確かめておきます。
保護者とのやり取りと、仕事の広げ方
ベビーシッターの仕事は、保育そのものと同じくらい、保護者とのやり取りが大切です。預かる前の打ち合わせ、当日の様子の報告、次回の予定の調整など、文章で伝える場面が多くあります。子どもの様子を正確に、読みやすく伝えられる人は、保護者からの信頼が厚くなり、継続の依頼につながりやすくなります。
報告の文章は、事実と自分の判断を分けて書くのが基本です。「14時に37.5度の熱がありました」という事実と、「機嫌はよく、水分も取れていました」という様子を分けて書けば、保護者は必要な判断をしやすくなります。文書の書き方を体系的に学びたい人には、ビジネス文書検定があります。ビジネス文書の形式や敬語、伝わる文章の組み立てを問う検定で、報告の文章を整える力を伸ばすのに役立ちます。
仕事を広げるうえでは、自分のサービスを知ってもらう発信も欠かせません。地域の子育て世帯に向けて、預かれる年齢や時間帯、得意なことを発信することで、マッチングサイト以外からの依頼も受けられるようになります。発信やマーケティングの仕事の全体像は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で、仕事の種類や求められるスキルとともに紹介しています。
運営者として見てきた、資格を仕事につなげる人の共通点
20年にわたって在宅ワークやフリーランスの市場を見てきた立場から言えば、資格を取ったあとに仕事を安定させている人には共通点があります。それは、資格そのものより、資格を取る過程で身につけた知識を、相手にわかる言葉で説明できることです。保育士資格を持つベビーシッターであれば、子どもの発達の段階や、季節の病気への備えを、保護者にわかりやすく伝えられる人ほど、継続の依頼を受けています。
保育や子育ての経験は、文章の仕事にもつながります。子育ての情報を発信するメディアでは、専門知識に裏付けられた記事が求められており、保育士資格を持つ人が執筆に関わることもあります。文章の仕事の水準は、著述家,記者,編集者の年収・単価相場で職業としての年収の分布を確認できます。
運営者として見てきた限りでは、仲介の手数料が差し引かれない直接の取引は、同じ報酬でも受け手の手元に残る額が厚くなります。ベビーシッターのように継続の依頼が中心になる仕事では、その差が積み重なって働き方の安定につながります。保育士資格を最短で取ることは、その出発点です。受験資格の確認、申し込みの期間、登録の手続きと、時期を逃しやすい手続きを一つずつ押さえていけば、独学でも十分に資格を手にできます。
よくある質問
Q. 高校卒業だけで保育士試験は受けられますか?
平成3年3月31日までに高校を卒業した人は、そのまま受験できます。それより後に卒業した人は、児童福祉施設で2年以上かつ合計2,880時間以上、児童の保護に従事した経験などが必要です。認定こども園や幼稚園などでの経験は、受験する都道府県の知事の認定を受けることで受験資格になる場合があります。
Q. 保育士試験は独学で最短どのくらいで取れますか?
前期の筆記試験で9科目すべてに合格し、同じ年の6月の実技試験にも合格すれば、試験は半年ほどで終わります。ただし合格後の登録に、申請書類の受付からおおむね2か月程度かかります。働き始める時期から逆算して、受験の回と登録の手続きを計画しておくことが大切です。
Q. 筆記試験で一部の科目だけ合格した場合はどうなりますか?
合格した科目は通常3年間有効で、次の回からは残りの科目だけを受ければよくなります。保育所などの対象施設で一定の期間と時間働いた場合は、有効期間を最長5年まで延ばせる制度もあります。ただし教育原理と社会的養護は、同じ回で両方とも6割以上を取らないと合格になりません。
Q. 保育士資格がなくてもベビーシッターとして働けますか?
資格がなくても働くことはできますが、国の指導監督基準では、家庭を訪問して保育する人に、保育士か看護師の資格、または都道府県知事などが行う研修の修了を求めています。また、1人でも子どもを預かる事業を行う場合は、都道府県などへの届出が必要です。資格があれば研修の修了を求められません。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
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@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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