【修正回数の上限】在宅3Dモデリングの商談で決めること

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
【修正回数の上限】在宅3Dモデリングの商談で決めること

この記事のポイント

  • ✓3Dモデリングの商談を在宅で行うときに決めておくべき条件を整理しました
  • ✓修正回数の上限と追加単価
  • ✓揉める前に確定させる項目と具体的な言い回しを解説します

結論から書きます。在宅の3Dモデリング案件で揉める原因の大半は、単価ではなく修正回数です。金額に合意していても、修正の上限とその先の追加単価を決めていない商談は、ほぼ確実にどこかで衝突します。3Dモデリング 商談 在宅と検索している方は、すでに一度その目に遭っているか、これから商談を控えて不安を感じているかのどちらかでしょう。この記事では、オンラインの商談で決めておくべき項目を具体的に並べ、そのまま使える言い回しまで書きます。きれいごとは書きません。正直なところ、日本の在宅制作案件の商談は、条件を曖昧にしたまま「まずは走りながら」で始めてしまう慣行が根強く、それが受け手側に一方的な負担として返ってきているのが実情です。

在宅の商談で最初に壊れるのは、金額ではなく前提

対面での商談と在宅のオンライン商談には、決定的な違いがあります。それは、その場の空気で埋められる余白の量です。

対面であれば、相手の表情や間合いから「これは言い過ぎだな」「ここは押していいな」を読み取れます。オンラインでは、この情報がほとんど落ちます。回線越しの会話は、言葉に書かれたことしか伝わりません。つまり、在宅の商談では曖昧に残した部分が後から自動的に埋まることがなく、双方が都合よく解釈したまま作業が始まります。

3Dモデリングは、この「都合のよい解釈」が発生しやすい領域です。理由は3つあります。第一に、成果物の完成度に客観的な基準がない。第二に、工程が多く、どこまでを依頼範囲と考えるかが人によって違う。第三に、発注者側が3Dの工程を理解していないことが多く、そもそも何を頼んでいるか本人も整理できていない。

この3つが重なると、「イメージと違うのでもう少し直してください」という一言で、無限の作業が発生します。正直なところ、この状態を招いているのは発注者だけの責任ではありません。受け手側が商談で確定させなかった責任も同じくらいあります。

発注者は悪意で無限修正を求めているわけではない

これは受け手が誤解しやすい点です。何度も修正を求めてくるクライアントを「タチが悪い」と評する声をよく聞きますが、実際に話を聞いてみると、悪意があるケースは少数です。多くは単に、修正が有償になる感覚がない。

社内のデザイナーに頼む感覚のまま外部に依頼すると、修正は無料で何度でもできるものだと思ってしまう。この認識のずれを埋めるのが、商談の役割です。「修正には上限があり、それを超えると費用が発生する」と最初に伝えておけば、相手は依頼の出し方を変えます。伝えなければ変わりません。

走りながら決めるは、ほぼ必ず受け手が損をする

「細かいことは進めながら決めましょう」という提案を受けたら、警戒してください。この形式で得をするのは常に発注側です。作業が進めば進むほど、受け手は撤退しにくくなり、条件交渉の力が弱まるからです。7割作った段階で条件を持ち出しても、もう引き返せない。

対処法は単純で、着手前に決めることと、進めながら決めてよいことを分けて示すことです。「デザインの方向性は進めながら擦り合わせでかまいませんが、修正回数の上限と工程範囲は着手前に確定させてください」。この線引きを提示できる受け手は、それだけで信頼されます。

商談で必ず決める8つの項目

順番に見ていきます。この8項目を確定させれば、在宅案件で揉める余地はかなり減ります。

項目1: 成果物の定義と工程範囲

何を納品したら完了なのかを、工程名で書きます。「キャラクターモデル1体」では足りません。「モデリング、リトポロジー、UV展開、テクスチャ作成までを含み、リギングとアニメーションは含まない。納品形式はFBXとテクスチャ一式」。ここまで書いて初めて範囲が確定します。

含まないものを明記するのが特に重要です。含むものだけ書くと、書いていないものは「当然含まれる」と解釈されがちです。逆に、含まないものを列挙しておけば、後から追加依頼が来ても追加費用の話に持ち込めます。

項目2: 修正回数の上限と、超過時の単価

本題です。詳しくは後の節で扱いますが、商談時点で必ず数字を出してください。「修正は2回まで無償、3回目以降は1回あたり基本料金の20%を追加でいただきます」。この一文があるかないかで、案件の性質が変わります。

項目3: 中間確認のタイミング

修正回数を減らす最も効果的な手段が、中間確認の設定です。完成してから見せるのではなく、ブロッキング段階、ディテール投入前、テクスチャ前の3点で確認を挟む。

早い段階での方向修正は作業量が小さく、完成後の修正は作業量が大きい。この差は5倍から10倍になることもあります。中間確認を提案するのは、発注者のためではなく自分のためです。

項目4: 納品形式とデータ規約

ファイル形式、バージョン、命名規則、ポリゴン数上限、テクスチャ解像度、UV配置ルール、単位系、原点位置、階層構造。この辺りを商談で確認しないと、納品後に「うちの環境で開けない」「命名が社内規約と違う」といった差し戻しが起きます。差し戻しは修正回数にカウントされないことが多く、実質的なただ働きになります。

規約が定まっていない発注者も少なくありません。その場合はこちらから提案してください。「命名規則は特に指定がなければ、当方の標準規則で納品します」と書いておけば、後から文句を言われる筋がなくなります。

項目5: 権利の扱い

著作権を譲渡するのか、利用許諾にとどめるのか。二次利用の範囲はどこまでか。制作物を実績として公開してよいか。この3点を確認します。

特に実績公開の可否は、受け手にとって将来の受注に直結する重要事項です。商談の段階で「リリース後、静止画1枚をポートフォリオに掲載できますか」と聞いておく。後から聞くより通りやすい。

著作権を全部譲渡する場合は、その分を単価に反映させるのが本来の姿です。譲渡と許諾で同じ金額なのは、受け手が権利を安く手放していることになります。

項目6: 支払期日と分割の有無

支払いのタイミングは必ず数字で決めます。「納品後、翌月末払い」といった慣行的な表現より、「検収完了日から30日以内」のように起算点を明示するほうが安全です。

2024年11月に施行されたフリーランス保護新法では、発注者は取引条件を書面や電磁的方法で明示する義務を負い、報酬の支払期日は給付を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内で定めることとされています。制度の詳細は公正取引委員会が案内しています。長期の案件では、着手金と中間金を設定して分割にするのが現実的です。全額後払いは、受け手が資金と工数の両方のリスクを一人で背負う形になります。

項目7: 稼働時間と連絡ルール

在宅案件では、これを決めないと生活が侵食されます。連絡可能な時間帯、返信の目安時間、緊急時の連絡手段。副業として受ける場合は特に明示が必要です。

「平日は21時以降、土日は日中に対応します。返信は24時間以内を目安とします」。これを最初に伝えておけば、深夜の連絡に即レスしないことが問題になりません。

項目8: 中止になったときの取り扱い

案件が途中で止まることは、実際にあります。企画自体が消える、予算が付かない、担当者が異動する。そのときに、それまでの作業分がどう扱われるかを決めておきます。

「中止の場合、進捗に応じて実施済み工程分をお支払いいただきます」。この一文を入れておくだけで、途中終了時の損失が大きく変わります。切り出しにくい話題ですが、商談の最後に事務的に確認すれば角は立ちません。

修正回数の上限を、どう決めてどう書くか

ここが最重要なので、掘り下げます。回数だけ決めても不十分です。

修正と仕様変更の線引きを先に定義する

「修正2回まで」と決めても、何を1回と数えるかが揃っていないと機能しません。実務でよく起きるのは、発注者が細かい指摘を10個まとめて送ってきて、それを1回と数えるのか10回と数えるのかで揉めるパターンです。

定義の仕方は2つあります。ひとつはラウンド方式で、「1回のフィードバックにまとめて送られた指摘群を1ラウンドと数える」。もうひとつは項目方式で、「指摘1件を1修正と数える」。実務ではラウンド方式が一般的で、受け手にとっても管理しやすい。ただしラウンド方式を採る場合、1ラウンドあたりの指摘数に上限を設けないと、1ラウンドで50項目という事態が起きます。「1ラウンドあたり指摘10件を目安とします」と添えておくのが安全です。

さらに重要なのが、修正と仕様変更の区別です。指定された仕様の範囲内で品質を上げる作業が修正、仕様そのものが変わるのが仕様変更。「もう少し目を大きく」は修正、「キャラクターを人型から獣人に変更」は仕様変更です。仕様変更は修正回数のカウント外で、別途見積もりとする。これを商談で明言しておいてください。

上限の数字はどう決めるか

案件の性質によります。仕様が明確なアセット制作なら2回で足ります。デザインの方向性から一緒に作るキャラクター制作なら3回程度は見ておくべきでしょう。参考資料がほぼない状態から起こす案件は、そもそも中間確認を増やして対応します。

無制限にすると、単価に修正リスクを乗せざるを得なくなり、結果として提示額が上がります。上限を切ることは、発注者にとっても金額を抑える手段です。商談ではこの説明の仕方が効きます。「無制限修正で見積もると1.5倍の金額になります。上限を設けたほうが総額は抑えられます」。

超過分の単価をどう設定するか

基本料金に対する比率で決めるのが扱いやすい。「3回目以降は1ラウンドあたり基本料金の20%」といった形です。時間単価で出す方法もありますが、作業時間の証明を求められることがあるので、比率方式のほうが揉めにくい。

ここで大事なのは、超過時に本当に請求することです。決めておいて請求しないと、次から上限が意味を失います。請求しにくいと感じるなら、修正3回目に入る前に「次のラウンドから追加費用が発生します。お進めしてよろしいでしょうか」と確認を挟む。事前に伝えれば、請求は事務手続きになります。

オンライン商談の進め方

在宅前提の商談は、対面とは進め方が違います。実務的なコツをまとめます。

事前に資料を送っておくのが基本です。商談の場で初めて条件を口頭で伝えると、相手は記憶できません。工程範囲、修正回数、納品形式、金額のレンジを1枚にまとめて、商談前日までに送る。相手は事前に社内で共有できるので、決裁が早まります。

商談中は画面共有でその資料を映しながら進めます。話しながら該当箇所を指しておくと、認識のずれがその場で見つかります。口頭だけで進めた商談は、後から「そんな話は聞いていない」が発生します。

そして、商談後24時間以内に議事録をメールで送る。これが最も効きます。「本日ご相談した内容を以下にまとめました。相違があればご指摘ください」として、8項目の合意内容を箇条書きにする。相手が返信しなくても、この記録が後の根拠になります。正直なところ、この一手間を省いている受け手が多すぎます。

無料相談の扱いにも触れておきます。商談の名目で仕様の詳細検討や簡易的な試作を求められることがあります。要件整理や技術的な助言は、本来なら有償の作業です。30分程度の初回相談は無料でよいとして、その先に踏み込む場合は「ここから先は設計工程になりますので、正式にご発注いただいてからの対応とさせてください」と線を引く。無料で試作を渡してしまうと、それを持って他社に発注されるケースが実際にあります。

単価の出し方と、値下げ要求への返し方

商談で金額を聞かれたとき、いきなり1つの数字を出すのは得策ではありません。仕様がまだ確定していない段階での単一の金額提示は、その後に仕様が膨らんでも動かせなくなります。

有効なのはレンジ提示です。「工程範囲と修正回数によって、5万円から18万円の幅があります。詳細をうかがったうえで確定させます」。この形なら、予算が合わない相手はここで離脱し、時間を無駄にせずに済みます。

値下げを求められたときの返し方も定型を持っておくべきです。金額だけを下げるのは最悪の選択で、次回以降の基準がそこに固定されます。代わりに、範囲を削って金額を合わせる。「ご予算に合わせるなら、テクスチャ工程を外して8万円とする形が可能です」。金額と範囲をセットで動かすのが原則です。

もうひとつ、相場観を持っておくことが交渉の土台になります。3D領域は職種分類上ソフトウェア開発に近い扱いを受けることが多いため、ソフトウェア作成者の年収・単価相場で全体の水準を確認しておくと、自分の提示額が市場のどこにあるかを把握できます。制作物に付随する仕様書やマニュアルの作成を兼ねる案件も増えているので、文章仕事の水準として著述家,記者,編集者の年収・単価相場も見ておくと、複合案件の見積もりで根拠を示せます。

未経験から入る場合、最初の数件は安く受けざるを得ない現実があります。ただし、安く受けること自体より、安く受けた案件で修正無制限を飲むことのほうが致命的です。金額は後から上げられますが、無制限修正の慣習は一度作ると崩せません。

有名ゲーム制作会社でゲームデザイナーを募集しています。担当は、キャラクターモデラー、背景モデラー、エフェクトデザイナー、アニメーターのいずれかです。必須条件として、いずれかの経験が2年以上必要です。OJTがあるので、ゲーム業界未経験の方でも安心してスキルアップできます。研修期間中は出社ですが、その後はリモートワークが可能です。土日祝休み、残業は月10~20時間程度と少なめで、ワークライフバランスが取りやすい環境です。... 出典: 求人ボックス

こうした転職型の求人が並ぶ一方で、業務委託の在宅案件は条件が個別交渉になります。雇用であれば就業規則と給与テーブルが条件を決めてくれますが、業務委託では自分が決めるしかない。この違いを理解していないと、雇用の感覚のまま条件を相手任せにしてしまいます。

見積書に何を書くかで、商談の主導権が変わる

条件を口頭で伝えるだけでは、相手の社内で正しく共有されません。見積書は金額を伝える書類だと思われがちですが、実際には条件を固定するための道具です。ここに何を書くかで、その後の進行が決まります。

金額の内訳を工程で割る

総額だけを書いた見積書は、値下げ交渉のときに「全体で1割下げてほしい」という雑な要求を招きます。工程ごとに金額を割っておけば、削る対象を具体的に議論できます。

モデリング、リトポロジー、UV展開、テクスチャ、書き出しと動作確認。この単位で金額を並べると、発注者は「テクスチャは社内でやるので外してほしい」といった判断ができるようになります。これは受け手にとっても得です。値下げではなく範囲縮小に話が移るからです。

前提条件を見積書の中に書く

見積書の下部に、前提条件の欄を作ってください。ここに、修正回数の上限、含まない工程、納品形式、支払期日、実績公開の可否を並べます。

5行から8行程度で十分です。見積書は社内の決裁で回覧されるので、ここに書いた条件は関係者全員の目に触れます。口頭で伝えた条件は窓口担当者の記憶にしか残りませんが、見積書に書いた条件は組織の記録になります。

有効期限を入れる

見積書に有効期限を書いていないケースが目立ちます。半年前に出した見積もりを持ち出されて、同じ金額で受けざるを得なくなる事故が実際に起きています。

「本見積の有効期限は発行日から30日とします」。この一行を入れておけば、期限を過ぎた案件は再見積もりの機会が生まれます。仕様が変わっている可能性も高いので、再見積もりは双方にとって合理的です。

概算と確定見積もりを分ける

仕様が固まっていない段階で見積もりを求められたら、概算であることを明記してください。「本書は現時点の情報に基づく概算です。仕様確定後に確定見積もりを提出します」。

概算という言葉を入れずに数字を出すと、その金額が確定額として一人歩きします。正直なところ、これは受け手側の初歩的なミスとして最も多いものの一つです。

商談でよくある地雷を5つ

実際に起きている事例を挙げます。個人が特定できない形にしていますが、構造は実物です。

1つ目は、参考画像だけ渡されて「こんな感じで」と言われるパターン。参考画像は方向性を示すものであって仕様ではありません。ここから起こすと、完成後に「参考と違う」という指摘が必ず来ます。対処は、参考画像から仕様を文字に起こして相手に確認してもらうこと。「参考画像から読み取った仕様は次の通りです」と箇条書きで返す。この一手で修正が激減します。

2つ目は、決裁者が商談に出てこないパターン。窓口担当者と条件を詰めても、上長に持ち帰った段階でひっくり返る。2回目の商談でも決裁者が出てこない場合は、条件の確定を書面で求めるべきです。

3つ目は、複数人からバラバラに修正指示が来るパターン。ディレクターとプロデューサーとクライアントから、それぞれ違うことを言われる。これは受け手には整理できません。商談時に「指示の窓口を1名に集約してください」と条件に入れておく。集約されない場合、修正回数のカウントを窓口ごとに独立させる。

4つ目は、納期だけ先に決まっているパターン。「来月末までに」とだけ言われて工数の見積もりを取らない。この場合、納期から逆算した工数が現実的かを商談の場で計算して見せます。「この仕様だと18営業日必要ですが、ご希望の納期まで12営業日です。工程を削るか、納期を延ばすか、どちらかを選んでいただく必要があります」。

5つ目は、契約書を交わさないパターン。少額だから、急ぎだから、信頼関係があるから。理由はいろいろですが、結果は同じです。せめて発注書か、条件を並べたメールの相互確認は残してください。

私自身、フリーの編集者として動き始めた頃、口頭の合意だけで進めた案件で痛い目を見たことがあります。修正の範囲を曖昧にしたまま進め、最終的に当初想定の3倍の作業時間がかかりました。金額は変わりませんでした。相手に悪意はなく、単に線が引かれていなかっただけです。あれ以来、条件は必ず文字にしています。

商談が決裂したときの見極め

すべての商談をまとめる必要はありません。むしろ、まとめるべきでない商談があります。

降りるべき条件を挙げます。修正回数の上限を設けることを明確に拒否された場合。工程範囲を書面で確定させることを避け続ける場合。支払期日を明示しない場合。契約書も発注書も出さないと言われた場合。これらは、条件の交渉が難しいという話ではなく、そもそも取引の形として成立していません。

判断に迷ったら、商談で「言いにくいことを言ったときの反応」を見てください。修正回数や支払期日の確認は、受け手として当然の質問です。これに対して不機嫌になったり、「そういうことを言う人は珍しい」といった反応が返ってきたりする相手は、進行中も同じ態度を取ります。逆に、質問に対して具体的に答えてくれる相手は、その後のやり取りも楽です。

降りるときの伝え方も持っておきましょう。「今回はスケジュールの都合でお受けできません」で十分です。理由を詳しく説明する必要はなく、条件が合わないことを長々と論じると角が立ちます。関係を残しておけば、条件が変わったときに再度声がかかることもあります。

在宅で一人で商談していると、断る判断が精神的にきつくなる時期があります。この案件を断ったら次がないのではないかという不安が判断を狂わせる。孤立した状態での判断は歪みやすいので、在宅ワーカーのメンタルヘルスケア|孤独・燃え尽きを防ぐ5つの習慣【2026年版】にある考え方を先に入れておくと、条件の悪い案件を飲まずに済みます。

運営者として見てきた、商談の質が決めるもの

20年この市場を見てきた立場から言えば、長く仕事が続いている在宅の制作者は、交渉が上手というより、最初の商談で決める項目が多い人です。金額を粘るタイプではなく、条件を漏らさず確定させるタイプ。この差が、1年後の稼働状況にはっきり出ます。

運営者として見てきた限りでは、条件を丁寧に詰める受け手を、発注者は嫌がりません。むしろ安心します。発注する側も、進行中のトラブルは避けたい。条件を先に出してくれる相手は、進行が読める相手です。「面倒くさいと思われるのでは」という懸念はほぼ杞憂で、実際には逆の評価につながっています。

もうひとつ、手取りの構造の話をしておきます。仲介を挟む取引では、発注者が支払った金額と受け手に届く金額の間に差が生まれます。同じ予算でも、その差がなければ発注者はもう一段深い依頼ができ、受け手の手取りは厚くなる。手数料0%の直接取引が持つ意味は、金額の大小ではなく、同じ仕事に対して双方の手元に残るものが変わるという構造にあります。商談で条件を詰められる関係は、直接取引でこそ作りやすい。間に仲介が入ると、条件の細部が伝言ゲームになり、決めたはずのことが崩れます。

商談の力は、3Dの技術とは別に鍛える必要があります。在宅の3D案件は、単独職種としてよりも開発チームの一部として発注されることが増えており、体制の中でどこに位置づけられるかを理解していると、条件交渉の言葉が変わります。アプリケーション開発のお仕事で在宅開発案件の分業の形を押さえておくと、工程範囲の話がしやすくなります。

近年はAI技術が3Dの工程に入り込み、テクスチャ生成やリトポロジーの半自動化が実務で使われ始めました。これにより「AIで作れるなら安くなるはず」という値下げ圧力が商談で出てくる場面が増えています。この論点に応じるには、AIが何をどこまで置き換えられるかを自分で説明できる必要があります。AIコンサル・業務活用支援のお仕事はAIを業務に組み込む側の仕事を整理したもので、交渉の材料になります。AI、マーケティング、セキュリティ領域を横断して在宅案件の動きを見たい方はAI・マーケティング・セキュリティのお仕事も参考になります。

条件を文字にする力そのものを底上げしたい方には、ビジネス文書検定のような、業務文書の構成と要件の伝え方を扱う検定が実務に直結します。議事録や発注条件の確認メールは、まさにこの領域の技術です。データ授受のセキュリティに関する信頼を得たい場面では、CCNA(シスコ技術者認定)のようなネットワーク系の資格が効くこともあります。

専門資格が交渉力に転換される構造は、他業種の在宅事例を見るとわかりやすい。税理士試験合格者の在宅ワーク事情|科目合格が武器になる理由【2026年版】は、資格の一部保有が在宅案件でどう評価されるかを扱っており、専門性の見せ方という点で3D制作者にも通じます。機密性の高い業務が在宅でどう運用されているかは法律事務所のパラリーガルの働き方|在宅・時短勤務の現状【2026年版】が参考になり、守秘義務を含む条件交渉の材料になります。

最後にひとつ。商談で決めた条件は、記憶ではなく文書に置いてください。人は都合よく忘れます。それは相手も自分も同じです。文書に置いた条件だけが、半年後のあなたを守ります。

よくある質問

Q. 在宅の3Dモデリング案件で、修正回数は何回に設定するのが妥当ですか?

仕様が明確なアセット制作なら2回、デザインの方向性から作るキャラクター制作なら3回程度が目安です。回数だけでなく、1回のフィードバックにまとめられた指摘群を1ラウンドと数える定義と、超過時の追加単価を必ずセットで決めてください。

Q. 修正と仕様変更はどう区別すればよいですか?

指定された仕様の範囲内で品質を上げる作業が修正、仕様そのものが変わるのが仕様変更です。目の大きさの調整は修正、人型から獣人への変更は仕様変更にあたります。仕様変更は修正回数のカウント外とし、別途見積もりとすることを商談で明言しておいてください。

Q. オンライン商談で条件を確定させるには何をすればよいですか?

前日までに工程範囲、修正回数、納品形式、金額レンジをまとめた資料を送り、商談中は画面共有しながら進めます。そして商談後24時間以内に議事録をメールで送り、相違があれば指摘してもらう形にします。この記録が後の根拠になります。

Q. 値下げを求められたとき、どう返すのが正解ですか?

金額だけを下げると次回以降の基準が固定されるため避けてください。範囲を削って金額を合わせるのが原則です。テクスチャ工程を外す、修正回数を減らす、納品形式を絞るなど、削る対象を具体的に示して金額と範囲をセットで動かします。予算が合わなければ降りる判断も必要です。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年7月7日最終更新:2026年9月16日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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