未経験から企業主導型保育園で働く|受け入れている募集と、慣れるまで


この記事のポイント
- ✓未経験から企業主導型保育園で働く道筋を整理しました
- ✓入職後3か月で起きること
- ✓そして資格取得までの現実的な順番を
「未経験でも本当に大丈夫なんでしょうか」。企業主導型保育園の求人を見ながら、このご相談をいただくことがよくあります。
そして、お話を伺うと「未経験」の中身が人によってまったく違うんです。保育士資格は持っているけれど現場に出たことがない方。子育ての経験はあるけれど資格がない方。まったく別の業界から移ろうとしている方。
大丈夫ですよ。企業主導型保育園は、この3つのどのパターンにも入口があります。制度上、保育従事者の全員が保育士である必要がないからです。ただし、入りやすいことと、働き続けられることは別の話です。
この記事では、どんな募集が未経験を受け入れているのか、入ってから何につまずくのか、そしてどのくらいで慣れるのかを、順番にお伝えしていきます。あなたは一人じゃありませんし、最初から全部できる人なんていません。
未経験の入口が開いているのは、制度がそう作られているから
まず、なぜ未経験でも入れるのかをご説明しますね。ここが分かると、求人票の読み方が変わります。
企業主導型保育事業は2016年度に始まった制度で、企業が従業員のために保育施設を設置し、その費用を国が助成する仕組みです。2023年4月のこども家庭庁の発足以降は同庁が所管し、実施の窓口は公益財団法人児童育成協会が担っています。
分類としては認可外保育施設です。市町村の認可は受けていません。その代わり、助成の水準は認可保育所に準じます。
そして、ここが未経験の方にとって大事な点です。企業主導型保育園では、保育にあたる職員の全員が保育士である必要がありません。制度上、保育従事者の一定割合が保育士であればよく、残りは保育士以外の人で満たせる仕組みになっています。
※ この割合は制度の見直しによって変更されてきました。新しく開設する施設にはより高い保育士割合が求められる一方、既存の施設には従来の水準が残っている場合があります。応募先の施設が現在どの水準で運営しているかは、面接で確認してください。
では、保育士以外の人とは誰か。多くの場合、子育て支援員研修を修了した方です。この研修は国が定めた制度で、都道府県や市町村が実施します。基本研修と専門研修に分かれていて、地域保育コースを修了すると、地域型保育事業や企業主導型保育事業の保育従事者として配置に数えられるようになります。
費用は多くの自治体で無料またはテキスト代程度、期間も数日から2週間程度です。ただ、年に数回しか募集がなく、定員に達すると締め切られます。受講を考えている方は、応募したい園を探すより先に、お住まいの都道府県の実施要項を見ておいてください。
もう1つ、研修を受けていなくても採用される道があります。保育補助や保育支援員という名称で、配置基準の人数には数えない形で雇う方法です。この場合、任される業務は限定されますが、働きながら研修を受けて資格要件を満たしていくことができます。
つまり、入口は3段階あるということです。保育士として入る、子育て支援員として入る、補助として入って後から研修を受ける。どの入口から入るかで、最初の待遇も任される範囲も変わります。
実際の募集は、どんな書き方をしているか
求人サイトに並んでいる企業主導型保育園の募集を、実際の文面で見てみましょう。
【仕事内容】20-50代活躍中/企業主導型保育園の保育士/経験を活かしながら安心して長く働ける環境です!...応募=企業への直接応募ではありません。 本人材紹介サービスは完全無料でご利用いただけます。 出典: 求人ボックス
この「20-50代活躍中」という表現、よく見かけますよね。年齢の幅を明示している募集は、経験年数だけで選んでいないという意味です。40代や50代で保育の仕事に入る方は、実際にいらっしゃいます。
未経験を受け入れている募集には、いくつか共通する言葉があります。
「未経験歓迎」「無資格可」「資格不問」。これは文字通りです。「ブランクOK」は、資格はあるが現場を離れていた方に向けた表現です。「子育て経験を活かせます」は、無資格の方を想定していることが多いです。「保育補助」「保育支援員」という職種名も、資格を必須としない募集で使われます。
逆に、「保育士資格必須」「有資格者のみ」と書かれていれば、その枠には入れません。ただし同じ施設が別枠で補助を募集していることもあるので、園に直接問い合わせる価値はあります。
もう1つ見ていただきたいのが、雇用形態です。未経験の募集は、パートや契約社員から始まることが多いです。これは悪いことばかりではありません。週3日から始めて体を慣らし、続けられそうだと分かってから常勤に切り替える方も少なくありません。
企業主導型は開園時間の幅が広い施設が多いので、この短時間からの入り方がしやすいという特徴があります。設置企業の勤務形態に合わせて開園時間を決められる制度なので、早朝だけ、夕方だけという募集も出ます。
給与はどのくらいか|数字の見方を整理します
お金の話も、避けずに書きますね。ここを曖昧にしたまま入ると、後でつらくなります。
求人サイトには、こうした条件の募集が出ています。
埼玉県さいたま市浦和区の企業主導型保育園<給与>月給223500円~293500円...0歳児~2歳児の保育業務業務に関わる事務作業保護者対応定員:19名 出典: 求人ボックス
この幅の見方をお伝えします。月給22万3,500円から29万3,500円という表記の場合、下限が未経験の保育士、上限が経験者や役職者に対応していると考えるのが一般的です。未経験で応募するなら、下限に近い額から始まると見ておいてください。
無資格の補助として入る場合は、この幅よりさらに下、地域の最低賃金に近い時給から始まることが多いです。そこから資格を取ることで上がっていく形になります。
見るべきポイントを3つお伝えします。
1つ目は、内訳です。「月給22万円(処遇改善手当を含む)」という書き方の場合、基本給がいくらなのかを確認してください。基本給が低く手当で見かけの月給を作っていると、賞与の計算基礎が小さくなります。
2つ目は、賞与です。年2か月分と年4か月分では、年収で数十万円の差になります。月給だけを比べないでください。
3つ目は、住宅の支援です。保育士の待遇の中で、金額のインパクトがいちばん大きいのが借り上げ社宅の制度です。ただし自治体ごとに上限も要件も違い、「採用から5年以内」「常勤のみ」といった条件が付くことがあります。未経験で入る場合に使えるかどうかは、必ず確認してください。
保育士として働く条件が地域や経験年数でどのくらい動くのかを先に知っておくと、提示された額が妥当かどうかを自分で判断できます。保育士の年収・単価相場には職種全体の相場が整理されているので、面接前に見ておくと落ち着いて話せますよ。
企業主導型ならではの、未経験にとっての負荷
ここは正直にお伝えしておきたい部分です。企業主導型保育園には、認可保育所にはない業務があります。
先ほどの求人文面にも「業務に関わる事務作業」「保護者対応」と書かれていました。この一文の中身が、実は大きいんです。
企業主導型は認可外で、入園は保護者と施設の直接契約です。つまり、入園の問い合わせを受けるのも、見学を案内するのも、契約手続きを進めるのも園の仕事になります。認可保育所なら市町村が担っていた部分です。
定員19人程度の施設では、事務専任の職員を置く余裕がありません。施設長や主任が担当しますが、手が足りなければ保育士が対応します。
さらに、共同利用契約という仕組みがあります。設置企業以外の企業が利用契約を結ぶと、その企業の従業員も枠を使えるようになる制度です。この契約先とのやり取りが日常的に発生します。相手は企業の人事担当者や総務担当者なので、保育の言葉は通じません。
そして、助成金の実績報告があります。在籍児童数、利用日数、従業員枠と地域枠の内訳、職員の配置状況を毎月まとめて児童育成協会に報告します。この元になるデータを日々記録するのは現場です。
未経験の方が最初からこれらを担うことは、まずありません。でも、周りの職員がこの業務に時間を取られているという事実は知っておいてください。「先輩に聞きたいけれど、ずっと電話している」という状況が起きやすい職場なんです。
こういうご相談がよくあります。「聞きたいことがあるのに、みんな忙しそうで声をかけられない」。これ、未経験の方が最初の1か月でいちばん苦しむ部分です。
対処法を1つお伝えします。聞きたいことをメモに溜めておいて、1日の終わりにまとめて聞く。これだけで、声をかけるハードルが下がります。そして「今日はこの3つを聞きたいのですが、いつなら大丈夫ですか」と時間を先に確保してもらう。相手にとっても、そのほうが答えやすいんですよ。
最初の2週間|手順の細かさに戸惑う時期
ここからは、入職後に何が起きるかを時間軸でお伝えしますね。先に知っておくと、しんどい時期を「そういうものだ」と受け止められます。
最初の2週間で戸惑うのは、手順の細かさです。
おむつ交換の手順と動線。消毒液の希釈の割合。手洗いのタイミング。玩具の片付け場所。食事の配膳の順番。これらすべてに決まったやり方があります。そして多くは、文書になっていません。職員数が少ないので、口頭で伝えてきたからです。
未経験の方がここでつまずくのは、能力の問題ではありません。情報が明文化されていないから、覚えるしかない。それだけのことです。
この時期にやっておくと楽になることが3つあります。
1つ目、自分でメモを作ることです。教わったやり方を、その日のうちに書き出す。翌日には忘れています。これは誰でもそうです。
2つ目、同じことを2回聞いても大丈夫だと思っておくことです。1回で覚えられる人はいません。メモがあれば2回目は減りますが、ゼロにはなりません。
3つ目、自己流にしないことです。少人数の職場では、1人が違う手順で動くと他の職員の動きが崩れます。遠慮して自分のやり方でやることのほうが、聞くよりずっと迷惑になります。
体力の面でも、この時期はきついです。1日8時間、ほとんど座りません。中腰の姿勢が多く、抱っこも続きます。前の仕事がデスクワークだった方は、最初の1週間で腰や肩に来ます。
帰宅後に何もできなくなる日が続いても、心配しないでください。体が慣れるまで2週間から1か月かかります。この期間に予定を詰め込まないことをおすすめします。
1か月目|子どもに泣かれる時期をどう乗り切るか
次に来るのが、子どもとの関係です。ここが、未経験の方にとっていちばん心が揺れるところかもしれません。
0歳児から2歳児は、人見知りと後追いの真っただ中にいます。新しい大人が入ってくると、しばらく受け入れてもらえません。
抱っこしようとすると泣かれる。食事の介助を嫌がられる。おむつ交換で体をよじる。その横で、慣れた職員が抱くとすっと泣き止む。
これ、本当にこたえます。「自分はこの仕事に向いていないんじゃないか」と言い出す方が、この時期にいちばん多いです。
でも、聞いてください。これは能力の差ではなく、時間の差です。子どもにとって、あなたはまだ「知らない人」なんです。0歳児から2歳児が人を見分けて警戒するのは、発達上ごく自然で、むしろ健全な反応です。
多くの場合、3週間から1か月で変わります。ある日ふっと、目が合って笑うようになる。手を伸ばしてくるようになる。その瞬間まで、無理に距離を詰めようとしないことです。
この時期にできることは、遠くから見ていることです。無理に抱こうとせず、その子が安心している場所の近くにいる。声をかけるときは、正面からではなく横から。急に近づかない。
私が相談を受けた方で、この時期に毎日泣いて帰っていた方がいました。1か月半ほど経ったころ、いちばん警戒していた子が自分から手をつないできたと報告してくださいました。そのときの声が、今でも忘れられません。
慣れるまでの時間は、人によっても子どもによっても違います。焦らなくて大丈夫ですよ。
2か月目から3か月目|保護者との関係が動き始める
2か月を過ぎたあたりから、保護者との関係が始まります。
企業主導型保育園は定員が小さいので、保護者も職員の顔をすぐ覚えます。送迎のたびに顔を合わせるので、半年もすれば全家庭の事情がある程度分かるようになります。
未経験の方がここで戸惑うのは、何をどこまで話していいのかという線引きです。
伝えるべきことは決まっています。その日の食事量、午睡の時間、排便の有無と状態、機嫌、けがや体調の変化。事実を正確に伝えることが基本です。
一方で、伝えるべきでないこともあります。発達に関する見立てです。「言葉が遅いかもしれません」「他の子と比べて」といった評価は、保育士であっても個人の判断で保護者に伝えるべきではありません。園としての見解をまとめ、必要なら市町村の巡回相談につなぐ。この手順が施設で決まっているはずなので、入職時に確認してください。
無資格で入った場合は、この線がさらにはっきりします。保育計画の作成、児童票への記載、発達に関する説明、市町村への報告書類。こうした判断と記録にかかわる部分は、資格を持つ職員が担います。
だから、保護者から発達について質問されたときは「担任に確認してお返事しますね」と受けて構いません。むしろ、それが正しい対応です。その場で答えなければならないと思い込まないでください。
企業主導型で気をつけたいのが、従業員枠の保護者との距離です。設置企業の従業員なので、園と同じ建物で働いている方もいます。廊下ですれ違う、社員食堂で顔を合わせる。この近さは信頼が築きやすい一方で、公私の線引きが難しくなる場面があります。園として決まったルールがあるはずなので、最初に聞いておきましょう。
3か月を過ぎると、園全体の流れが見えるようになります。誰がどこで詰まりやすいか、どの時間帯に手が足りなくなるか。ここまで来ると、自分から動けるようになって一気に楽になります。
つまり、いちばんしんどいのは最初の3か月です。この期間を「慣れるための時間」として予定に入れておくと、途中で辞めたくなる波をやり過ごせます。
未経験がつまずきやすい5つの場面と、その対処
具体的な場面ごとに、対処法をお伝えします。
1つ目、抱っこの仕方です。0歳児の首がすわる前と後では、抱き方がまったく違います。無理な姿勢で抱くと、子どもにも自分にも負担がかかります。腰を痛める原因の多くがここにあります。最初に必ず教わってください。見よう見まねは危険です。
2つ目、離乳食です。初期、中期、後期、完了期で、形状も1回の量も違います。定員19人の施設でも食形態が5種類以上になることがあります。そしてアレルギー対応の除去食は、配膳で取り違えると重大事故に直結します。ここは絶対に自己判断せず、複数人での確認を守ってください。
3つ目、午睡チェックです。乳幼児突然死症候群の予防のため、決められた間隔で呼吸と体位を確認し記録します。0歳児はおおむね5分間隔、1歳児と2歳児は10分間隔が一般的です。担当している間は部屋を離れられません。未経験の方が最初に任されることも多い業務なので、記録の付け方を最初に確認しておいてください。
4つ目、記録の書き方です。連絡帳に何を書くか。「今日も元気に過ごしました」では、保護者に何も伝わりません。事実を1つ具体的に書く。「積み木を3つ重ねられました」「にんじんを初めて完食しました」。この具体性が、保護者の安心につながります。
5つ目、けがの報告です。0歳児から2歳児は、転倒も噛みつきも起きます。起きたこと自体を隠さず、いつ、どこで、どんな状況で起きたか、どう対応したかを正確に伝えます。相手の子の名前は伝えないのが原則です。この手順は施設で統一されているはずなので、入職時に確認してください。
どれも、教わらなければ分からないことばかりです。分からないことが多いのは、あなたの準備不足ではありません。
見学と面接で、未経験の方こそ確かめてほしいこと
応募する前に確かめておくと、入ってからの不安がかなり減ります。未経験だと聞きにくいと感じるかもしれませんが、どれも当然の確認ですよ。
1つ目、教える体制があるかどうか。「未経験の方は、最初の1か月どなたが見てくださいますか」と聞いてください。担当の職員が決まっている施設と、その日いる人が適当に教える施設では、立ち上がりがまるで違います。決まっていない施設では、教わる内容が人によって食い違い、あなたが板挟みになります。
2つ目、手順が文書になっているかどうか。消毒の方法、午睡チェックの間隔、けがの報告手順。マニュアルがある施設は、未経験を受け入れ慣れています。「口頭でお伝えしています」という答えなら、自分でメモを作る覚悟が必要です。
3つ目、時間帯ごとの職員数です。開園直後、午睡中、閉園直前の3つについて何人で回しているかを聞いてください。人数が薄い時間帯に未経験者が1人で入ることになると、責任の重さが違ってきます。
4つ目、休憩の取り方です。誰が交代に入るのか、どこで取るのか。定員の小さい施設では、休憩に人が抜けると保育が回らなくなることがあります。
5つ目、閉園後の作業が勤務時間に入っているかどうか。清掃や翌日の準備は30分から1時間かかります。ここが勤務時間外になっていないかを確認してください。
6つ目、開園時間と閉園時間です。企業主導型は設置企業の勤務形態に合わせるので、施設によって振れ幅が大きいところです。求人票に「シフト制」とだけあるなら、最も早い勤務開始時刻と最も遅い終了時刻を聞いてください。
そして見学のときは、子どもよりも大人を見てください。職員同士がどんなふうに声をかけ合っているか。1人が手を離したときに、誰かが自然に代わりに入っているか。この2つが成り立っている施設は、未経験でも育ててもらえる確率が高いです。
資格を取るなら、どの順番が現実的か
無資格で入った方が次に考えるのが、資格の取得です。ここは順番があります。
まず、子育て支援員研修です。これを修了すると、配置基準に数えられる保育従事者になれます。費用は無料またはテキスト代程度、期間も短い。働きながらでも受けやすい。無資格で入ったなら、まずここを目指すのが現実的です。
次が、保育士資格です。国家資格で、働きながら目指すなら保育士試験が現実的な経路になります。年2回実施され、筆記が9科目、これに実技が加わります。
この試験の大きな特徴は、合格した科目が3年間有効だということです。1回で全科目を取る必要がなく、数回に分けて積み上げられます。年2回の機会を使えば、3年で最大6回挑戦できる計算になります。
受験資格には注意してください。大学や短大を卒業している方は学部を問わず受験できますが、高校卒業の方は卒業年月日によって条件が変わり、児童福祉施設での実務経験が必要になる場合があります。「受けられると思っていたら受験資格がなかった」という相談を、私は何度も受けています。試験の実施要項で、必ずご自身の条件を確認してください。
そして、園の支援制度を聞いてみてください。受験料を補助する園、試験日にシフトを配慮する園、勉強会を開いている園があります。企業主導型は職員数が少ないぶん、こうした個別の配慮を柔軟に決められる利点があります。
面接のときに「資格取得を目指していますが、支援制度はありますか」と聞くのは、まったく失礼ではありません。長く働く意思の表明として受け取られます。
保育の経験を将来どう活かすかを広く考えるなら、人の相談を受けて働き方を整理する仕事も視野に入ります。職場・転職・キャリア相談のお仕事には業務の流れと必要な力がまとまっていて、保育の保護者対応で身につくものがどう転用できるかが見えてきます。国家資格として整備されているキャリアコンサルタントの養成講習と試験の構成も、保育士試験とは別の型なので、比べて読むと自分に向いた勉強の仕方が分かります。
20年この市場を見てきた立場からの観察
在宅ワークやフリーランスの求人市場を長く運営してきた立場から、未経験で入る方について1つ観察をお伝えします。
続く人と続かない人の差は、覚えの早さではありません。「分からない」と言えるかどうかです。
運営者として見てきた限りでは、未経験から長く続いた方の多くは、最初の3か月に大量の質問をしています。逆に、早く辞めた方の多くは、分からないまま自己判断で動いて、後からずれが表面化しています。
保育の現場では、このずれが安全に直結します。消毒液の濃度、アレルギー児の配膳、午睡チェックの間隔。どれも間違えると子どもの体に影響します。だから、聞くことは迷惑ではなく仕事の一部です。
もう1つ。職種を越えて言えることですが、間に人を挟まない働き方のほうが、双方にとって条件が良くなりやすいという構造があります。企業主導型保育園の入園も、共同利用契約も、園と相手が直接結びます。仲介がないぶん、受け取る側の手取りは厚くなり、依頼する側も同じ予算で多くを頼める。この形は保育に限らず、仕事の受け渡し全般に当てはまります。長く見てきて、この構造は変わらないと感じています。
最後に、これは相談を受ける立場としてお伝えしたいことです。
未経験で新しい仕事に入るとき、多くの方が「早く戦力にならなければ」と焦ります。その気持ちは自然ですが、焦りは判断を鈍らせます。分からないことを聞けなくなり、疲れているのに休めなくなる。
最初の3か月は、成果を出す期間ではありません。慣れる期間です。ここを踏まえておくだけで、必要以上に自分を責めずに済みます。
保育の現場は、人が足りていません。0歳児から2歳児を見られる人は、どこでも必要とされています。その事実は、あなたが慣れるまでの時間の中でも変わりません。ゆっくりで大丈夫ですよ。
よくある質問
Q. 保育士資格がなくても企業主導型保育園で働けますか?
働けます。企業主導型保育事業では保育従事者の全員が保育士である必要はなく、一定割合が保育士であれば残りは子育て支援員研修の修了者などで満たせます。研修を受けていない場合も、配置基準に数えない保育補助として採用され、働きながら研修を受ける道があります。ただし保育士割合の要件は見直しが続いているので、応募先の現在の水準を面接で確認してください。
Q. 未経験の給与はどのくらいから始まりますか?
求人の月給が22万3,500円から29万3,500円のように幅で示されている場合、下限が未経験の保育士に対応すると考えるのが一般的です。無資格の補助として入る場合は、地域の最低賃金に近い時給から始まることが多くなります。基本給と手当の内訳、賞与の月数、借り上げ社宅が使えるかを必ず確認してください。
Q. 慣れるまでにどのくらいかかりますか?
最初の2週間は手順の細かさ、1か月目は子どもに受け入れてもらえないことで悩む方が多いです。人見知りへの対応は3週間から1か月で変わります。2か月目から保護者との関係が始まり、3か月を過ぎると園全体の流れが見えて動けるようになります。いちばんしんどいのは最初の3か月だと知っておくと乗り切りやすくなります。
Q. 未経験でもできる業務と、任されない業務は何ですか?
食事の介助、おむつ交換、着替えの手伝い、玩具の消毒、午睡チェックの記録、清掃などは資格の有無で分けないのが一般的です。一方で保育計画の作成、児童票への記載、発達に関する保護者への説明、市町村への報告書類は資格を持つ職員が担います。保護者から発達について質問されたら「担任に確認してお返事します」と受けて構いません。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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