動画作成の副業を始める|要る道具と最初の1本の作り方

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
動画作成の副業を始める|要る道具と最初の1本の作り方

この記事のポイント

  • ✓動画作成副業を始めるために本当に必要な道具
  • ✓案件の探し方と単価の考え方を整理しました
  • ✓機材にいくらかけるべきか

動画作成副業について調べている人の多くは、実のところ「稼げますか」ではなく「自分の手元にある機材で始められますか」を知りたがっています。結論から言うと、始められます。ただし始められる条件は狭く、最初に用意すべきものは3つだけで、そのうちお金がかかるのは実質1つです。

この記事では、動画作成の副業に本当に要る道具、覚える順番、最初の1本をどう仕上げるか、そして案件をどこで探して単価をどう考えるかを、順番に整理します。機材紹介で終わらせず、最初の納品までを通しで見られる形にしました。

動画作成の副業はいま需要のどこにあるのか

動画作成の副業を語るとき、多くの記事が「動画市場が伸びているから仕事がある」という説明で止まります。正直なところ、これはあまり役に立ちません。伸びている市場のどこに個人が入れる隙間があるのか、そこまで書かないと判断材料になりません。

いま個人に流れてくる動画の仕事は、大きく3つの層に分かれる傾向が見られます。

ひとつめは、すでに撮影された素材を整える仕事です。企業のインタビュー動画、セミナーの録画、YouTubeの撮って出し素材。これらは撮影が終わっていて、不要部分を切る、字幕を入れる、音量をそろえる、冒頭と末尾を整える、という作業が中心になります。技術的な難易度は高くありません。かわりに件数が多く、納期が短い。動画作成副業の入口は、ほぼここです。

ふたつめは、素材そのものを作る仕事です。スライドやイラスト、図解、テキストアニメーションを組み合わせて、撮影なしで説明動画を成立させるもの。商品説明、採用案内、社内研修などで使われます。デザインの素養が要求されますが、撮影機材が要らないので在宅と相性がよく、単価も一段上がる傾向があります。

みっつめは、企画から関わる仕事です。構成を考え、台本を書き、必要ならナレーションや撮影の手配までやる。ここまで来ると動画作成者というより制作進行の役割で、報酬は本数ではなく案件単位になります。

副業で最初に狙うべきは、迷わずひとつめです。おすすめされやすいからではなく、需要の絶対量がここに集まっているためです。そして重要なのは、ひとつめの仕事をこなしながらふたつめの技術を足していく道筋が、実際に通っているという点です。編集だけで単価を上げようとすると早い段階で天井に当たりますが、素材を作れるようになると相談される案件の種類が変わります。

もうひとつ押さえておきたいのは、発注側の事情です。動画を外に出したい企業は増えていますが、社内に編集できる人を置くほどの本数は出ません。月に2本から4本だけ、というケースが多い。この「雇うほどではないが自分でやる時間もない」という量が、そのまま個人への発注になります。動画作成の副業に仕事がある理由は、市場規模ではなくこの本数の中途半端さにあります。

動画作成副業で実際にやる作業の中身

未経験の人が想像する動画編集と、納品物として求められる動画編集には、かなりの差があります。ここを先に埋めておくと、学習の無駄が減ります。

実案件でほぼ必ず発生する作業は次のとおりです。

作業 中身 未経験がつまずく点
カット 沈黙、言い間違い、雑談を削る 削りすぎて話の筋が飛ぶ
字幕 話し言葉を読める文にする 誤字と表記ゆれの放置
音の整え 音量をそろえ、ノイズを下げる 音を全く触らない
テロップ 見出しや強調を入れる 色と書体がバラバラになる
書き出し 指定された形式で出す 指定を読まずに出す

このうち、評価の差が最も出るのは字幕と音です。映像がきれいでも音が聞き取りにくい動画は、視聴者が数十秒で離れます。逆に、映像が素材そのままでも音がそろっていれば最後まで見られます。発注者はそれを経験的に知っているので、音をきちんと整えてくる人を手放しません。

カットについても、単に沈黙を消す作業ではありません。話し手が言い直した箇所をどちらも残すか、後の言い方だけ残すか。これは判断であって作業ではない。判断を任せられるようになると、指示の分量が減り、その分だけ発注者の手間が減ります。ここが継続につながる分かれ目です。

一方で、未経験のうちは要らない作業もあります。派手なエフェクト、複雑なトランジション、凝ったモーショングラフィックス。これらは学習コストが高いのに、実案件では「使わないでください」と言われることが多い。企業の動画では、目立つ演出は内容の邪魔になるからです。動画作成の副業を始めるとき、チュートリアルで見た華やかな技術から手を付けると、時間だけ消えます。

在宅で作業する前提なら、もうひとつ意識すべき点があります。ファイルの受け渡しです。動画素材は1本で数ギガバイトになることがあり、メール添付では動きません。共有ストレージのリンクで受け取り、書き出したものを同じ場所に返す。この段取りが雑だと、技術と無関係なところで信頼を落とします。

要る道具は3つ、お金がかかるのは実質1つ

ここが最も知りたい部分だと思うので、結論を先に書きます。動画作成の副業を始めるのに要るのは、パソコン、編集ソフト、ヘッドホンの3つです。カメラもマイクも照明も、編集だけを請ける段階では要りません。

パソコンの見極め方

新しく買う必要があるかどうかは、性能表ではなく手元での挙動で判断できます。手持ちのパソコンで10分程度の動画を読み込み、無料の編集ソフトでカットを20箇所入れて再生してみてください。再生が引っかからず、書き出しが実時間の3倍以内で終わるなら、そのまま始められます。

買い替えが必要な場合、優先順位はメモリ、ストレージ、画面の順です。メモリは16GBを下限に考えます。8GBでも動きますが、編集ソフトとブラウザを同時に開いた時点で待ち時間が発生し、作業時間がそのまま伸びます。ストレージは外付けで足せるので本体は512GBあれば十分です。むしろ素材置き場として外付けを1台用意したほうが、後の管理が楽になります。

編集ソフトは無料から始める

有料ソフトを最初に契約する理由は、ほぼありません。無料の編集ソフトでもカット、字幕、音量調整、テロップ、書き出しはすべてできます。未経験の段階で有料版が要るのは、発注者からプロジェクトファイルの形式を指定されたときだけです。そしてその指定が来るのは、たいてい何本か納品して信頼ができた後です。

ソフト選びで見るべき点は機能数ではなく、日本語の解説がどれだけ出てくるかです。詰まったときに検索して答えが見つかるかどうかが、学習速度をほぼ決めます。

ヘッドホンは削らない

数千円で買える有線のヘッドホンで構いませんが、これは省略しないでください。パソコンの内蔵スピーカーで音を確認すると、低い音のノイズや左右の音量差が聞こえません。聞こえていないものは直せない。音の品質で評価が決まるのに、確認する手段を持たないまま作業するのは、単純に不利です。

私自身、最初に請けた編集の仕事で内蔵スピーカーだけで確認して納品し、「後半のホワイトノイズが気になる」と差し戻されたことがあります。自分の環境では全く聞こえていませんでした。機材にお金をかける必要はほとんどありませんが、確認する道具だけは別枠です。

未経験が覚える順番を間違えない

学習で時間を無駄にする人の共通点は、順番です。ソフトの全機能を覚えようとして、最初の1本にたどり着かないまま数か月が過ぎる。初心者向けの講座やスクールも、機能の網羅から入るものが多い。

覚える順番は、実案件で使う頻度に合わせるのが合理的です。

第1段階(最初の1週間)。素材の読み込み、カット、並べ替え、書き出しだけを覚えます。ここまでで動画は成立します。この段階で1本通しで作り切ることが目的で、見栄えは問いません。

第2段階(次の1週間)。字幕と音量調整を足します。字幕は自動生成に頼ってよいのですが、生成された文字をそのまま使うと誤字が残ります。修正する前提で使ってください。音量は、全体をそろえてから、大きすぎる部分を下げる順で触ります。

第3段階(2週目から3週目)。テロップと簡単な図の挿入です。ここで書体と色を自分の中で2種類ずつ決めてしまいます。案件ごとに考えていると時間が溶けるうえ、統一感が出ません。

第4段階(3週目以降)。作業の速度を上げる工程に入ります。ショートカットキーを覚える、よく使う設定をテンプレートとして保存する、フォルダ構成を毎回同じにする。動画作成の副業で収入を左右するのは技術の高さより所要時間なので、実はここが一番効きます。

ネット上には、動画編集を未経験から始める人の相談が数多く投稿されています。

動画編集を副業として始めたいと考えています。 ただ未経験のためThefoundというオンラインサロンで学ぼうかと考えているのですが他におすすめのサロン等ありますでしょうか? 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

こうした質問が繰り返し立つ理由は、学ぶ手段が多すぎて選べないことにあります。ただ、有料の学習環境が必要になるのは、独学で3本ほど作ってみて、自分の弱点が具体的に言えるようになってからです。弱点が分からない状態で講座を選ぶと、すでに知っていることを聞く時間にお金を払うことになります。

似た構造は他の在宅職種にもあります。単価の上げ方を段階で整理した記事として、文字単価の引き上げ手順をまとめたWebライターが文字単価を上げる方法【2026年版】|1円→5円のステップが参考になります。価格を上げる根拠を、技術ではなく相手の手間の削減で作るという考え方は、動画でも同じように使えます。

最初の1本の作り方

練習用の動画を作るとき、多くの人が身近な風景や旅行の映像を編集します。気持ちは分かるのですが、これは案件の見本になりません。発注される動画とかけ離れているためです。

最初の1本は、次のどれかにしてください。

ひとつは、公開されている講演や解説の映像を素材に見立てて、自分で3分に再編集するやり方です。カット、字幕、音の整え、テロップという実案件の工程が全部入ります。ただし、他人の映像をそのまま公開すると権利の問題が出るので、これは自分の練習と見本用に留め、見せるときは自分で撮影した素材に差し替えるか、許諾を取った素材を使ってください。

もうひとつは、自分で台本を書いてスライドを作り、それに声を乗せて説明動画にするやり方です。撮影が要らず、権利の問題も起きません。素材を作る力も同時に付くので、二段目の仕事につながります。時間はかかりますが、見本としての価値は高いです。

作るときの手順を固定しておくと、案件に入ってからも同じ流れで動けます。

  1. 素材をフォルダに入れ、名前を「日付_案件名_連番」でそろえる
  2. 全体を通しで1回見て、削る場所をメモする
  3. カットだけ先に終える。この時点で字幕は触らない
  4. 音量をそろえ、ノイズを下げる
  5. 字幕を入れ、読み上げて誤字を確認する
  6. テロップと見出しを足す
  7. 指定形式で書き出し、書き出したファイルを最初から最後まで見る

最後の工程を省く人が多いのですが、書き出し後に音が消えていたり字幕が途中で止まっていたりする事故は普通に起きます。確認は3分の動画なら3分で終わります。差し戻しの往復に比べれば、はるかに安い時間です。

仕上がった1本は、どこにでも出せる形で置いておいてください。応募のときに「動画編集できます」と書くより、3分の動画を1本見せるほうが、判断は早く進みます。

案件の探し方と、単価をどう考えるか

動画作成の副業で案件を探す場所は、大きく4つです。クラウドソーシングサイト、在宅ワーク求人サイト、知り合いからの紹介、そして発注者への直接の提案。

未経験のうちは、クラウドソーシングと在宅ワーク求人サイトの併用が現実的です。前者は件数が多く応募の練習になりますが、競争が激しく、手数料が報酬から引かれます。一般に16.5%から20%程度が差し引かれる仕組みで、年間で100万円を受け取る人なら16万円から20万円が手元に残らないことになります。後者は仲介の形が異なり、手数料0%で直接やり取りする仕組みを取るサイトもあります。

単価の考え方で大事なのは、本数あたりの金額ではなく時間あたりの金額です。5,000円の案件でも10時間かかれば時間あたり500円で、続けるほど疲れます。逆に3,000円でも2時間で終わるなら時間あたり1,500円です。応募する前に、素材の長さと指示の細かさから作業時間を見積もる習慣を付けてください。

見積もりの目安として、未経験のうちは素材の実時間の4倍から6倍を見ておくと大きく外しません。10分の素材なら、おおよそ40分から60分で終わる計算になります。実際には素材の確認、フォルダ整理、書き出し後の見直しが加わるので、10分の素材で1時間半前後を見ておくと安全です。慣れてくるとカットと字幕の速度が上がり、実時間の2倍程度まで縮みます。この縮み方が、そのまま収入の伸びになります。

逆に、見積もりが大きく膨らむ条件もはっきりしています。素材が複数のカメラで撮られている、話し手が3人以上いる、専門用語が多くて字幕の確認に調べものが要る、指定されたテロップの体裁が細かい。この4つのどれかが当てはまる募集は、金額が同じでも時間が倍近くかかることがあります。応募前に素材のサンプルを見せてもらえないか聞くだけで、この事故は減ります。

発注者が応募文のどこを見ているか

応募文で書くべきことは3点に絞れます。募集内容のどこを読んだか、自分が納品できる形式と所要日数、見本のリンク。自己紹介は短くてかまいません。発注者が知りたいのは経歴ではなく、依頼して大丈夫かどうかです。

未経験の応募文でよく見るのは、意欲だけを書いたものです。「丁寧に対応します」「早く覚えます」「精一杯がんばります」。気持ちは伝わるのですが、判断材料がありません。発注者は同じ募集に何十件も応募を受けているので、読む時間は1件あたり数十秒しかない。その数十秒で伝わるのは、意欲ではなく事実です。

書き方の型として、次の順番が扱いやすいです。

  1. 募集文のうち、自分が対応できる具体的な作業を復唱する
  2. 見本の動画リンクを置き、何をした動画かを1行で添える
  3. 稼働できる曜日と時間帯、初回の納品までにかかる日数を書く
  4. 使っているソフトと書き出せる形式を書く
  5. 確認したい点があれば1つだけ質問する

最後の質問は、意外に効きます。「素材はどの形式で共有いただけますか」「字幕の表記ルールの指定はありますか」といった実務的な問いは、作業の段取りを考えている証拠になります。ただし3つも4つも並べると、相手の手間が増えて逆効果です。

文面の例として、次の程度の分量で足ります。

はじめまして。募集内容を拝見し、セミナー録画のカットと字幕入れについてご連絡しました。 直近で制作した3分の説明動画がこちらです(リンク)。カット、字幕、音量調整、テロップまで対応しています。 稼働は平日20時以降と土日で、初回は素材のお受け取りから4日以内に初稿をお出しできます。 書き出しはMP4のフルHDが標準で、ほかの形式もご指定いただければ対応します。 素材の共有方法についてご希望があればお知らせください。

金額の話を先に持ち出す必要はありません。募集に単価が書かれていればそれに合わせ、書かれていなければ作業量を確認してから提示するほうが、後で揉めにくくなります。ただし、明らかに時間あたり500円を下回る条件については、受ける前に一度考え直してください。安い案件で実績を作るという考え方はありますが、実績として使えるのは見本にできる作品と、継続してくれた発注者の数です。金額だけ低い案件を重ねても、そのどちらも増えません。

職種別の単価の相場観をつかんでおきたいなら、公的な統計をもとに職種ごとの収入水準を整理した著述家,記者,編集者の年収・単価相場が目安になります。映像や制作に近い職種の水準を知っておくと、提示された金額が極端に低いかどうかを判断できます。

また、映像の仕事から隣接分野へ広げる場合は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事のように、動画を使った広告運用や解析の領域で募集が出ることもあります。編集だけでなく「何のための動画か」を話せる人は、こちらの相談も受けやすくなります。

動画作成の副業が続かない理由

始めた人のうち一定数が数か月で手を止めます。理由は技術力ではなく、ほぼ次の3つに集約される傾向があります。

時間の見積もりを外し続ける。副業なので作業できるのは平日の夜と休日です。ここで作業時間を甘く見積もると、納期の前日に徹夜する形になり、本業に影響が出ます。2回続くと、たいてい受けるのが怖くなります。対策は単純で、見積もりに1.5倍の余裕を掛けて回答することです。早く終われば早く出せばいい。

修正の範囲を決めていない。動画は「もう少しこうしたい」が出やすく、修正が無限に続きます。最初のやり取りで、修正は2回まで、それ以降は別途相談という形を明示しておけば、この消耗は避けられます。言いにくい話ですが、先に決めておけば揉めません。

単価の低い案件を数でこなす。報酬の低い案件を本数で埋めると、時間あたりの金額が下がり続けます。しかも見本として使える作品が増えません。3本納品したら、次は少しでも条件のよい案件に応募する。この上書きを止めると、同じところに留まります。

もうひとつ、あまり語られないつまずき方があります。素材の管理を場当たりでやってしまうことです。動画のファイルは容量が大きく、案件が3件並行すると、どのフォルダにどの版があるのか分からなくなります。書き出したファイルを間違って送る、修正前の版を納品する、という事故はここから起きます。フォルダの名前を「日付_発注者名_案件名」でそろえ、書き出したものは「納品」という名前のフォルダだけに置く。これだけで防げます。

体調の話も付け加えておきます。動画編集は座って画面を見続ける作業で、本業がデスクワークの人にとっては負荷が積み上がります。60分ごとに立つ、画面の明るさを下げる、といった対処は精神論ではなく作業継続の条件です。

始める前に確かめておく税と勤務先の決まり

技術の話とは別に、始める前に確かめておくべきことが2つあります。勤務先の副業に関する決まりと、確定申告の必要性です。

勤務先については、就業規則に副業の扱いが書かれているかを先に読んでください。禁止と書かれている場合と、届け出が必要と書かれている場合、何も書かれていない場合で対応が変わります。届け出制なら出しておくほうが安全です。動画編集は在宅で完結し、勤務先の業務と競合しにくいので、届け出が通りやすい部類ではあります。ただし、勤務先の取引先の動画を受けるようなケースは話が別になるので、そこだけは慎重に見てください。

税については、給与所得のある人が副業で得た所得が年間20万円を超える場合、確定申告が必要になります。ここで言う所得は受け取った金額そのものではなく、売上から必要経費を引いた額です。編集ソフトの利用料、外付けストレージ、ヘッドホン、通信費のうち業務に使った割合などは経費として扱える可能性があります。制度の正確な要件と手続きは国税庁の案内で確認してください。金額の線引きや申告の要否は個々の事情で変わるため、判断に迷う場合は税務署か税理士に確認するのが確実です。

実務として大事なのは、始めた日から記録を付けることです。受け取った金額、支払った経費、日付。これを月ごとにまとめておくだけで、申告の作業は数時間で終わります。逆に1年分をまとめてやろうとすると、領収書を探すところから始まって週末が消えます。表計算ソフトの1枚のシートで足ります。

なお、資格は要りません。ただし、企業とやり取りする文書の作り方に不安があるなら、ビジネス文書検定の出題範囲を眺めておくと、見積書や納品連絡の書き方の型が身に付きます。動画の技術とは別に、こうした基礎が案件の取りやすさを左右する場面は多いです。

手取りで見ると何が変わるか

ここまで技術と手順の話をしてきましたが、最後に収入の構造について整理します。動画作成の副業を数年続ける人と、途中で止まる人の差は、ここの理解にかなり依存しています。

20年にわたって在宅ワークと業務委託の市場を運営してきた立場から言えば、長く続いている人の特徴は技術の高さではありません。同じ発注者から繰り返し声がかかる関係を持っていることです。新しい案件を毎月探す人と、決まった3社から定期的に依頼が来る人では、同じ作業量でも消耗が全く違います。探す時間が要らない分を、そのまま作業か休息に回せるからです。

そして、この関係を作るうえで見落とされやすいのが仲介の構造です。中間マージンが乗る取引では、発注者が支払う金額と受け手が受け取る金額の間に差が生まれます。仮に20%が中間で引かれるなら、発注者が5万円を出しても受け手には4万円しか届きません。逆に中間が乗らなければ、同じ5万円がそのまま届きます。

運営者として見てきた限りでは、この差が効いてくるのは金額そのものよりも交渉のしやすさです。中間が乗らない取引では、発注者は同じ予算でより多く頼めます。受け手は手取りが厚くなる。どちらかが我慢する構造ではないので、単価の話が対立になりにくい。手数料0%の仕組みが効くのは、月々の金額が少し増えるからではなく、値段の相談が気まずくならないからです。実際に長く続いている組み合わせを見ると、金額の交渉より納期と本数の相談に時間を使っています。

もう一点、現場を長く見てきて感じるのは、単発の作業をきれいに仕上げる人よりも、「この人に任せると自分の手間が減る」と思わせる人が残るという事実です。動画の場合、それは書き出し形式を確認してから出す、修正箇所を一覧にして返す、次回に使える設定を共有する、といった地味な行為の積み重ねです。技術の差は追いつかれますが、手間を減らす習慣は真似されにくい。

最後に、動画作成の副業を職業として見たときの現実的な位置づけを書きます。編集だけで生活を成り立たせるのは簡単ではありません。一方で、動画が扱えることを前提に別の仕事と組み合わせている人は多い。デザイン、ライティング、広告運用、システム開発のいずれかと組み合わせると、単独では届かない案件に手が届きます。近い分野の収入構造としてはソフトウェア作成者の年収・単価相場や、キャリアの広げ方を扱ったWebデザイナー 年収のリアル:30代フリーランスが語る稼ぎ方とキャリアパスが比較の材料になります。

動画作成副業を始めるかどうかの判断は、機材がそろっているかではなく、平日に1時間、休日に3時間を3か月続けられるかで決めてください。その時間があるなら、手元のパソコンと無料のソフトで、今週のうちに最初の1本まで進められます。

よくある質問

Q. 動画作成の副業はパソコンを買い替えないと始められませんか?

必ずしも買い替えは必要ありません。手持ちのパソコンで10分程度の素材を読み込み、カットを20箇所入れて再生が引っかからず、書き出しが実時間の3倍以内で終わるなら、そのまま始められます。買い替える場合はメモリ16GB以上を優先し、ストレージは外付けで足すほうが費用を抑えられます。

Q. 有料の編集ソフトは最初から契約したほうがいいですか?

最初は無料ソフトで十分です。カット、字幕、音量調整、テロップ、書き出しは無料ソフトでもすべてできます。有料版が必要になるのは、発注者からプロジェクトファイルの形式を指定されたときで、多くの場合は何本か納品して信頼ができた後です。

Q. 未経験でも案件に応募していいのでしょうか?

応募して構いません。ただし見本となる動画を1本用意してから応募してください。3分程度でも、カット、字幕、音の整え、テロップが入った動画があれば、発注者は判断できます。経歴よりも、納品できる形式と所要日数を明記するほうが効果があります。

Q. 作業時間はどれくらい見積もればいいですか?

未経験のうちは素材の実時間の4倍から6倍が目安です。10分の素材なら1時間強から2時間程度を見込んでください。慣れると2倍程度まで縮みます。回答するときは見積もりに1.5倍の余裕を掛けておくと、納期直前に無理をせずに済みます。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年6月5日最終更新:2026年9月20日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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