編み物を副業にする|売り先の選び方と作品の値づけの考え方

長谷川 奈津
長谷川 奈津
編み物を副業にする|売り先の選び方と作品の値づけの考え方

この記事のポイント

  • 編み物副業は売り先の選び方で結果が変わります
  • 編み図販売という5つの道の取り分と向き不向き
  • 材料費からの値づけの組み立て

編み物を副業にしたい人が本当に聞きたいのは、「稼げますか」ではなく「どうすれば割に合うか」だと思います。手を動かせば形になる。作ったものを褒めてもらえる。それでも値段を付ける段になると、急に自信がなくなる。この感覚は、手仕事に関わる人がほぼ全員通る場所です。

結論から書きます。編み物の副業は、売り先の選び方で結果が9割決まります。同じセーターでも、ハンドメイドマーケットに出すのか、店に委託するのか、注文を受けて編むのか、内職として請け負うのか、それとも編み図を売るのかで、手元に残る額と手間がまったく違います。技術の差より、この選択の差のほうが大きい。

そしてもう一つ。販売するときに守らなければいけないルールが、実はいくつもあります。繊維製品の表示、編み図の扱い、通信販売の表示義務。これ、知らない人が本当に多いんです。あとから困らないように、この記事で一緒に押さえておきましょう。

まず時間の壁を知る。ここを飛ばすと必ず苦しくなる

最初に、いちばん厳しい話をします。編み物は時間がかかります。

手編みのセーターを1枚仕上げるのに、慣れた人でも十数時間から数十時間かかります。マフラーなら数時間から十時間ほど。この時間を無視して価格を決めると、時給が驚くほど低くなります。編み物の世界で「アルバイトのほうが稼げる」という言い方がよくされるのは、誇張ではなく算数の話です。

だから考える順番を変えます。「いくらで売れるか」から始めるのではなく、「1時間あたりいくら欲しいか」から始めてください。仮に1時間1,000円としましょう。20時間かかる作品なら、時間の対価だけで2万円です。ここに毛糸代と送料と手数料が乗ります。この金額で買ってもらえる相手がいるか。いなければ、作るものを変えるか、売り先を変えるかの判断になります。

実際に副業として続けている人の時間の使い方も参考になります。

しらたまさんは本業があるため、作業時間は本業がある日は2時間ほどで、休日は5時間ほど。しらたまさん自身は締切がある仕事は苦手で、納期のプレッシャーを感じながらも、今のところ間に合わせることができているので、「そこまで厳しいわけではないかも」と話しています。 出典: nlab.itmedia.co.jp

平日2時間、休日5時間。月に均すと80時間ほどです。これが手仕事の副業として現実的な上限に近い量だと考えてください。そしてこの時間で作れる点数が、そのまま月の売上の天井になります。

ここで大事なのは、天井が低いことを悲観しないことです。点数を増やせないなら、1点あたりの価値を上げるか、時間を売らない形に移す。この記事の後半で、その両方の道を書きます。

売り先は5つ。取り分と向き不向きを表で比べる

編み物で収入を得る経路を整理します。同じ技術で、まったく違う商売になります。

売り先 手元に残りやすさ 向いている人 注意点
ハンドメイドマーケット(オンライン) 販売価格から手数料が引かれる 写真と文章が作れる人 出品数が多く、埋もれやすい
委託販売(店舗やイベント) 掛け率で3割から5割が店側 対面で説明できる人 売れ残りの在庫が自分に残る
オーダー(受注制作) 手数料が薄く、単価が高い 採寸と対話ができる人 仕様のずれがそのまま作り直しになる
内職としてのニッター 工賃制で単価は低め 量をこなせる人、締切に強い人 家内労働法の世界。後述します
編み図やレシピの販売 一度作れば在庫がない 説明を書ける人、図が描ける人 作るのに時間がかかる。売れるまで無収入

この表で見てほしいのは、右端の注意点です。どの道にも弱点があり、弱点の性質が違います。

オンラインのハンドメイドマーケットは、始めるのは簡単ですが、同じような作品が並ぶ中で選ばれる必要があります。売れている人の多くは、編む技術ではなく写真と説明文で差を付けています。

委託販売は、店の客層に合えば安定します。ただし掛け率の交渉を最初にきちんとやってください。売価の何割が自分に入るのか、売れ残った在庫はどう戻るのか、預けた作品が汚れたり紛失したりしたときはどうなるのか。ここを口約束にしたまま預けて、後で困る人が多い。

オーダーは、手元に残る額がいちばん厚くなる形です。仲介が入らないので、当然そうなります。代わりに、仕様の確定という仕事が増えます。この点は後の節で書きます。

編み図の販売は、時間を売らない唯一の道です。1つ作るのに何十時間もかかりますが、作った後は在庫を持たずに売れます。編み物が得意な人ほど、ここを軽く見ている印象があります。

内職としてのニッターは「家内労働法」の世界

編み物の副業を探していると、「ニッター募集」「内職」という形の募集に出会います。会社や工房から糸と指示を受け取り、編んで納め、工賃を受け取る形です。これは自分で値段を決める商売ではなく、労働に近い関係になります。

ここで知っておいてほしい法律が、家内労働法です。物品の製造や加工などを業者から委託されて、主に自分の手で行う人を家内労働者と呼び、この法律が保護の枠組みを定めています。編み物の内職は、まさに典型例です。

つまり、委託する側には守るべき義務があります。代表的なものが家内労働手帳の交付です。委託者は、家内労働者に対して、仕事の内容、工賃の単価、支払期日などを記載した手帳を交付しなければなりません。口約束で糸を渡され、あとで「思っていた工賃と違う」となるケースを防ぐための仕組みです。

また、業種と地域によっては最低工賃が定められている場合があります。制度の全体像や、自分の仕事が対象になるかどうかは、厚生労働省のサイト(https://www.mhlw.go.jp/ )や都道府県労働局の窓口で確認できます。

実務でよく問題になるのは、次の3点です。

  • 工賃の単価が書面で示されないまま作業が始まっている
  • 検品で不合格とされた分の扱いが決まっていない
  • 糸や針の費用、送料をどちらが負担するのかが曖昧

どれも、始める前に書面で確認すれば防げます。つまり、「手帳や書面をください」と言うことは、相手を疑う行為ではなく、法律が想定している普通の手続きです。言いづらいと感じるなら、「あとで行き違いがないように、条件を書いたものをいただけますか」と伝えてください。それで嫌がる委託先は、そもそも避けたほうがいい相手です。

内職の形が向いているのは、締切に強く、同じ作業を安定して続けられる人です。自分でデザインを考えたい人、値段を自分で決めたい人には向きません。どちらが良いという話ではなく、性格と生活に合うほうを選んでください。

値づけの組み立て。材料費の3倍では足りない

ハンドメイドの値づけで「材料費の3倍」という目安を聞いたことがあるかもしれません。編み物では、この目安は多くの場合足りません。時間がかかりすぎるからです。

積み上げる要素を分解します。

  1. 材料費。毛糸、ボタンやファスナーなどの付属品、洗濯表示などのタグ
  2. 作業時間の対価。編む時間だけでなく、採寸、水通し、仕上げのブロッキング、検品、梱包の時間も入れます
  3. 販売にかかる費用。プラットフォームの手数料、振込手数料、送料、梱包材
  4. 写真と説明文を作る時間。1点ごとに撮影して文章を書く時間は、確実にかかります
  5. 売れなかった分と失敗した分。ほどいてやり直した糸、サイズを間違えた作品

この5つを足して、初めて原価が出ます。特に4と5を入れていない人が多い。ここを無視すると、売れているのに手元にお金が残らないという状態になります。

具体的に組んでみます。毛糸代が4,000円、付属品と梱包で800円、編む時間が20時間、仕上げと撮影と梱包で3時間。時間の対価を1時間1,000円とすると、23,000円。ここまでで27,800円です。さらにプラットフォームの手数料が売価の1割前後かかるとすれば、売価は31,000円前後になります。

この金額を見て「高すぎて売れない」と感じたなら、それが答えです。手編みのセーターは、量産品と同じ価格帯では戦えません。だから選ぶ道は3つです。

1. 価格が通る相手に売る。糸の質、サイズの調整、デザインの個別性に価値を感じる人に届ける。オーダーの形にすると、この対話が自然にできます。

2. 時間が短い商品に変える。小物、ヘアアクセサリー、ベビー用品のように、数時間で仕上がるものに寄せる。単価は下がりますが、時間あたりの効率は上がります。

3. 時間を売らない商品を作る。編み図、動画の手順解説、教室。1回作れば繰り返し売れる形です。

値づけを下げて数を売る道は、編み物では成立しにくい。手の速度に上限があるからです。単価を上げる考え方そのものは、他の在宅の仕事でも共通しています。文章の仕事で単価を上げる過程を追ったWebライターが文字単価を上げる方法【2026年版】|1円→5円のステップは、同じ作業量で受け取る額を変えていく手順が具体的に書かれていて、手仕事にも読み替えられます。

時間を売らない道。編み図と教えることの組み立て

点数に上限があるという壁を超える道が、ここです。作るのに時間はかかりますが、作った後は在庫を持たずに売れます。

編み図を作って売る。自分がデザインした作品の編み図を、データとして販売する形です。必要なのは、誰が編んでも同じものができる精度です。使用糸の名称と使用量、針の号数、ゲージ、段ごとの目数、サイズの展開。ここが曖昧だと、購入者から質問が来続けて時間を取られます。最初の1つは、必ず自分以外の人に編んでもらって確認してください。テスト編みを引き受けてくれる人を探す手間は、後の問い合わせ対応より確実に軽い。

手順を動画や写真で解説する。文字の編み図が読めない層は、実は多い。同じ作品でも、手元の動画があるだけで買える人が増えます。編み図と動画をセットにすると、価格を上げても納得されます。

教室やワークショップを開く。対面でもオンラインでも成立します。人数分の時間を同時に売れるので、1点ずつ編むより時間あたりの効率が高い。材料をセットにして送る形にすると、遠方の人も参加できます。

材料キットとして売る。糸と編み図と説明をまとめて1つの商品にする形です。編む作業を相手に渡すので、自分の時間は準備だけで済みます。糸の仕入れを工夫できる人に向いています。

注意点を1つ書きます。編み図や教材を売るなら、自分の作品であることが前提です。他人のデザインを元にした編み図を販売する行為は、著作権の問題に正面から当たります。次の節でその線引きを整理します。

編み図の著作権。ここを知らない人が本当に多い

いちばん相談が多く、そして誤解が多いところです。丁寧に整理します。

編み図そのものは、著作物として保護され得ます。デザイナーが作った編み図や文章による解説を、コピーして配ったり、自分の作品として販売したりする行為は、著作権の侵害になり得ます。書籍を買ったからといって、その図を複製して人に渡す権利までは付いてきません。

では、他人の編み図で編んだ作品を売るのはどうか。ここは単純ではありません。完成した衣類は実用品なので、著作権による保護が及びにくい領域です。ただし、書籍や販売されている編み図には、多くの場合「個人で楽しむ範囲でお使いください」「商用利用はご遠慮ください」といった利用条件が書かれています。この条件に反して販売すれば、著作権の話とは別に、その条件との関係で問題になります。つまり「法律上グレーだから自由」ではなく、「その編み図に付いている条件に従う」が正解です。

作り手の側の気持ちも、率直に語られています。

だからこそ、ルールを無視して他人のデザインを無断で販売する人を見ると、私は「泥棒と同じだ」と強く感じてしまいます。 出典: popknitter.com

法律の線引きの話をする前に、この感覚を共有しておいたほうがいい。編み物の世界は狭く、デザイナーと編み手が同じ場所にいます。条件を守らない人の話は、必ず広がります。

キャラクターの毛糸や生地を使う場合は、さらに注意が必要です。キャラクターや図案は著作権と商標権で守られており、それを使った作品を販売する行為は権利者の許諾が必要になることが多い。「生地を正規に買ったから自由」ではありません。

安全な進め方を書きます。自分でデザインした作品を売る。商用利用が明示的に許可されている編み図を使う。許可の範囲が分からないときは、デザイナーや出版社に直接問い合わせる。問い合わせは失礼ではなく、むしろ歓迎されます。

なお、権利関係で具体的な争いが起きてしまった場合、個別の判断は事案によって変わります。金額が大きい場合や相手から警告が来た場合は、弁護士に相談してください。

販売するときの表示義務。繊維製品には決まりがある

ここも見落とされがちです。衣類やインテリアの繊維製品を販売する場合、家庭用品品質表示法にもとづく表示が求められます。表示すべき内容は品目によって異なりますが、繊維の組成、家庭洗濯などの取扱い方法、そして表示をした者の氏名または名称と連絡先が基本になります。

「ハンドメイドだから対象外」ではありません。事業として販売するなら対象になります。既製品のタグを思い出してください。あのタグに書かれていることを、自分の作品にも付ける必要があるということです。手芸店でも洗濯表示のタグは売られていますし、使った毛糸のラベルに組成が書かれているので、それを見れば内容は作れます。

通信販売で売る場合は、もう一つあります。特定商取引法にもとづく広告表示です。販売価格、送料、支払いの方法と時期、引渡しの時期、返品の可否と条件、そして事業者の氏名または名称、住所、電話番号などを表示する必要があります。ハンドメイドマーケットを使う場合は、プラットフォーム側が枠を用意していることが多いので、空欄にせず埋めてください。

住所を公開したくないという相談はよくあります。プラットフォームによっては、請求があったときに遅滞なく開示すると明示する運用が認められている場合があり、また私書箱やバーチャルオフィスを使う方法もあります。いずれにしても「書かない」という選択は取らないでください。

取引の文書や説明文をきちんと書く力そのものが、この領域では武器になります。ビジネス文書検定は、社外に出す文書の型や敬語の使い方を体系的に押さえる試験で、作品の説明文や注文のやり取りにそのまま効いてきます。

トラブルを防ぐ取引の書き方

オーダーで受ける場合の実務です。作り直しが発生すると、時間が二重にかかります。手仕事では、これが致命傷になります。

注文を受ける前に、次の項目を文字で残してください。メッセージのやり取りでも構いませんが、口頭だけは避けます。

  • 作るもの(品目、デザイン、糸の種類と色)
  • サイズ(採寸した数値。「Mサイズ」ではなく実寸で)
  • 納期(余裕を持った日付。手仕事は体調で遅れます)
  • 金額と支払いの時期(着手前に一部を受け取る形にすると、材料費の立て替えが減ります)
  • 変更とキャンセルの扱い(着手後の変更は追加費用、糸を買った後のキャンセルは材料費負担など)
  • 仕上がりの個体差について(手編みは1点ごとに差が出ることを、先に伝えておく)

特に大事なのは、サイズと納期、そしてキャンセルの扱いです。着手後にデザインを変えたいと言われたとき、追加費用を請求できるかどうかは、事前に書いてあるかどうかで決まります。言いにくいことを先に書いておくのが、いちばん優しい進め方です。

値引きを求められたときの対応も決めておきましょう。断る理由を説明しようとすると苦しくなります。「材料と時間から計算した価格なので、この金額でお願いしています」と、根拠を一度だけ伝えて終えるのがいい。値引きに応じた分は、そのまま自分の時給から引かれます。

最初の1点を売るまでの手順

何から手を付ければいいのか分からない、という声もよく聞きます。順番を決めてしまえば迷いません。

1. 作るものを1種類に絞る。最初から何でも作れる人を目指さないでください。ベビー用のスタイ、シンプルなニット帽、ブランケットのように、1種類を何度も作ると、時間の見積もりが正確になります。値づけの精度は、ここで決まります。

2. 同じものを3点作る。1点だけだと、かかる時間が正しく測れません。3点作ると、自分の速さと失敗しやすい工程が見えてきます。2点目と3点目は必ず速くなります。

3. かかった時間と費用を記録する。編んだ時間、糸代、付属品、梱包材。紙でもスマートフォンのメモでも構いません。この記録が、そのまま価格の根拠になります。

4. 写真を撮り直す。ここに時間をかけてください。窓際の自然光で、白か木目の背景に置いて、全体、寄り、使っている場面の3枚。編み地の質感が分かる寄りの写真が、いちばん効きます。手芸が分かる人は、写真の目の詰まり方を見て腕を判断します。

5. 説明文に、選んだ理由を書く。糸の素材、洗えるかどうか、サイズ、重さ、使う場面。そして「なぜこの糸にしたのか」を1文入れます。ここがあるだけで、価格への納得が変わります。

6. 小さく出して、反応を見る。最初の1点は、値づけの実験だと考えてください。売れなければ価格ではなく、写真と説明文を先に直します。それでも動かなければ、作るものを変える判断をします。

この順番で進めると、3か月ほどで自分の時間単価が数字で見えるようになります。見えたら、次に何を変えるべきかも決まります。感覚で悩む期間を短くするのが、この手順の目的です。

税と届出。副業として続けるなら避けて通れない

給与のほかに所得があり、その所得が年間20万円を超える場合は、所得税の確定申告が必要です。20万円以下なら申告が不要になるのは所得税だけで、住民税の申告は別に必要です。市区町村の窓口で確認してください。制度の考え方は国税庁のサイト(https://www.nta.go.jp/ )に整理されています。

所得は、売上そのものではありません。売上から必要経費を引いた残りです。毛糸、針、付属品、梱包材、送料、プラットフォームの手数料、撮影に使う道具、講座の受講料。事業に使った分は経費になり得ます。だから領収書を残す習慣が、そのまま税金の額に効いてきます。

もう一つ、手仕事に特有の話をします。在庫の扱いです。年末に売れ残っている作品や、使っていない毛糸は、その年の経費として全部落とせるわけではありません。売れたときに対応する原価として扱うのが基本です。細かい処理は迷いやすいので、量が増えてきたら早めに調べるか、税理士に相談してください。

事業として続けるなら、開業届の提出も検討してください。屋号で口座を作れるようになり、取引の信用も上がります。

続けている人が選んでいる道。市場から見た考察

最後に、市場の側から見た話を書きます。

編み物の副業を1年以上続けている人を見ていくと、共通点があります。作品を売る一本足で立っていません。作品の販売、編み図の販売、教えること、糸や道具の紹介。この2つか3つを組み合わせています。

理由は、時間の壁があるからです。手を動かす仕事は、点数を増やせません。だから収入の柱を「時間を売る」以外の場所に作る必要があります。編み図を売る、動画で手順を説明する、教室を開く。どれも最初に作る手間は大きいけれど、作った後は在庫を持たずに売れます。

もう一つの共通点は、文章です。作品の写真と同じくらい、説明文に時間をかけています。何を考えて作ったのか、どんな糸を選んだのか、どういう場面で使ってほしいのか。これが書けると、価格の説明が要らなくなります。文章で仕事を受ける世界の相場を知っておくと、自分の書く力がどのくらい市場価値を持っているのか見当がつきます。著述家,記者,編集者の年収・単価相場は、公的な統計をもとに職種ごとの水準を整理しているので、物差しとして使えます。手仕事と文章を組み合わせている人は、思ったより有利な位置にいます。

在宅で作る仕事を続けていくと、単価と時間の関係をどう組み替えるかという問題に、どの職種でも必ずぶつかります。Webデザイナー 年収のリアル:30代フリーランスが語る稼ぎ方とキャリアパスは、作る仕事から設計や提案の仕事へ役割を移していく過程を追っていて、手仕事の人が次の一手を考えるときの参考になります。作品の説明文や写真の整理に道具の助けを借りたい人は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で、どんな使い方が実際に仕事として依頼されているかを見ておくと、自分の作業を軽くする発想が出てきます。

20年この市場を見てきた立場から言うと、長く続いている人は、単発の販売を数えるのではなく「この人に頼むと安心だ」という関係づくりに時間を使っています。手仕事の場合、これがはっきり出ます。1度オーダーしてくれた人が、翌年また頼んでくれる。その人が家族の分も頼んでくれる。数を追う販売より、この積み上がりのほうが強い。

それから、運営者として見てきた限りで一つ付け加えます。仲介の取り分が乗らない直接の取引では、同じ予算でも頼む側はより多く頼めますし、受ける側は手取りが厚くなります。手数料0%の意味は、金額の大小ではなく、手元に残る質の話です。1点に20時間かける仕事なら、その1時間分がどこへ消えているかは決定的です。売り先を決めるとき、価格だけでなく「差し引かれる仕組み」を必ず確かめてください。

法律の話をいくつも書きましたが、どれも守らせるための決まりではなく、作る人を守るためのものです。家内労働手帳も、表示義務も、著作権の条件も、全部そうです。ルールを知っている人ほど、堂々と値段を付けられます。法律はあなたの味方です。

よくある質問

Q. 編み物の副業で、月にどのくらい作れますか?

平日2時間、休日5時間という配分で続けている例があり、月に均すと80時間ほどです。手編みのセーターは1枚で十数時間から数十時間、マフラーは数時間から十時間ほどかかるため、この時間で作れる点数が売上の上限になります。点数を増やせない前提で、単価と商品の種類を決めてください。

Q. 他人の編み図で編んだ作品を売ってもよいですか?

編み図自体は著作物として保護され得ますし、書籍や販売されている編み図には「商用利用はご遠慮ください」といった利用条件が付いていることが多く、その条件に従う必要があります。判断に迷うときはデザイナーや出版社へ直接問い合わせてください。キャラクターの図案や生地を使う場合は権利者の許諾が必要です。

Q. ハンドメイドでも洗濯表示のタグは必要ですか?

事業として繊維製品を販売する場合、家庭用品品質表示法にもとづく表示が求められます。繊維の組成、家庭洗濯などの取扱い方法、表示者の氏名または名称と連絡先が基本です。組成は使った毛糸のラベルから作れますし、タグ自体も手芸店で購入できます。手作りだから対象外にはなりません。

Q. ニッターの内職を受けるときに確認することは何ですか?

家内労働法により、委託する側には仕事の内容、工賃の単価、支払期日などを記載した家内労働手帳を交付する義務があります。まずこの書面を求めてください。あわせて検品で不合格になった分の扱い、糸や送料の負担、納期を文字で確認します。書面を渋る委託先は避けたほうが安全です。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年7月29日最終更新:2026年9月20日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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