院内保育のパートという働き方|勤務時間の組み方と、任される範囲

中西 直美
中西 直美
院内保育のパートという働き方|勤務時間の組み方と、任される範囲

この記事のポイント

  • 勤務時間の組み方が認可保育園と大きく違います
  • 土曜だけといった枠が生まれる理由
  • パートに任される仕事の範囲

「院内保育のパートって、実際どのくらいの時間で働くんですか」

このご相談、最近とても増えています。求人を見ると、週1日から、1日3時間から、土曜だけ、夜だけ。同じ「院内保育のパート」という言葉の下に、まったく違う働き方が並んでいる。これでは比べようがありませんよね。

大丈夫です。この幅には、はっきりした理由があります。院内保育所は病院のシフトに合わせて開いているので、認可保育園のように「朝から夕方まで」という1本の時間軸では回らないのです。だから時間が細かく切れる。切れるからこそ、自分の生活に合わせて組める。この記事では、その組み方と、パートに任される仕事の範囲を、具体的に見ていきます。

院内保育のパート求人に、これだけ時間の幅がある理由

まず、なぜこんなに時間帯がばらけるのかを知ってください。ここが分かると、求人票の見え方が変わります。

院内保育所は、病院で働く職員のお子さんを預かる施設です。預ける側の保護者は看護師や医師、検査技師といった医療職の方が中心で、その方たちは交代勤務で働いています。日勤、準夜勤、深夜勤。あるいは日勤と当直。保護者の勤務時間がばらけるので、預かる時間も当然ばらけます。

運営している側の解説には、こう書かれています。

一般的な保育園と院内保育園の大きな違いは、早朝や夜間勤務に対応するしないにあります。 医療機関は24時間365日稼働しており、急な残業やお預かりが発生するため柔軟な対応が求められます。 一般的な保育園と比べて定員が少なく、アットホームな雰囲気で運営を行う保育園も多く、柔軟な保育ができる要因となっています。 出典: kids-21.co.jp

24時間365日動いている場所の中に、保育室があります。開所時間が長いということは、そこを埋める人の組み合わせが必要になるということです。常勤の職員だけで24時間を埋めようとすると、人数が足りません。だから、朝の時間帯だけ、夕方だけ、といった細切れの枠が生まれます。

そしてもう1つ。院内保育所は定員が小さい施設が多く、預かる人数が日によって変わります。月曜は4人、水曜は11人ということが普通に起きる。人数が読めないので、固定の常勤を増やすより、時間で調整できるパートを厚めに配置したほうが運営側は回しやすい。

つまり、時間の幅は施設側の都合から生まれています。でも、その都合は働く側にとっても使えるものです。「この時間しか働けない」という制約を持った人が、そのまま受け入れられる。これは認可保育園ではなかなか起きないことです。

ここで注意しておきたいことが1つ。細かく切れるということは、逆に言えば「その時間だけを埋めてほしい」という期待が明確だということです。ふわっと「できる日に入ってください」という募集ではなく、「火曜と木曜の16時から19時」のように、必要な穴が決まっている。応募前に、自分が埋められる穴かどうかを確認してください。

実際にどんな時間の組み方があるか

求人に出てくる主な型を並べます。自分がどれに当てはまりそうか、読みながら考えてみてください。

朝の枠7時から10時ごろまで。日勤の看護師さんが出勤する前に子どもを預けていくので、この時間帯に受け入れが集中します。受け入れと検温、朝の身支度、午前の活動の立ち上げまでを担当します。早起きが苦にならない方、午後に別の用事がある方に向いています。早朝手当がつく施設もあります。

日中の枠8時30分から16時、あるいは9時から15時。いちばん募集が多い型です。自分のお子さんの登園と下校の時間に合わせやすいので、子育て中の方に選ばれています。「週4日から」といった条件がつくことが多く、曜日を固定できる施設が大半です。

夕方から夜の枠15時16時から、19時20時まで。準夜勤の保護者が子どもを預けにくる時間と、日勤の保護者が迎えにくる時間が重なるので、人手が要ります。夕食を出す施設なら、その準備と食事介助も入ります。家族の協力が得られる方向けです。

土曜だけの枠。病院は土曜も外来を開けていますし、病棟は曜日に関係なく動いています。「土曜日のみ、週1日」という募集が実際にあります。本業がある方の副業として、あるいは資格を持っていて長く現場を離れていた方の足慣らしとして選ばれる枠です。

夜勤パート16時30分ごろから翌朝9時ごろまで、といった長時間の枠です。夕食、入浴、就寝、起床、朝食までを担当します。夜勤手当が1回あたり1万円程度つく募集があり、月に数回入るだけでまとまった金額になります。ただし、預かる子どもが少ない時間帯に1人または2人で担当することが多く、判断を1人で下す場面が出てきます。

どの枠を選ぶときも、必ず確認してほしいことがあります。その時間の前後に、引き継ぎの時間が含まれているかどうかです。

たとえば16時までの契約で、16時から次の担当者に子どもの様子を伝えるとしたら、その10分は勤務時間に入っているでしょうか。入っていなければ、毎日少しずつ無給で働くことになります。1日10分でも、週4日なら月に160分です。

これ、聞きにくいと感じる方が多いんです。でも、面接で聞いておくのがいちばん角が立ちません。入ってから「実は」と言い出すほうが、ずっと気まずい。見学や相談は無料でできますから、応募を決める前に一度足を運んでみてください。

パートに任される範囲は、常勤とどこで線が引かれるか

ここが、院内保育のパートを考えるときのいちばん大事なところかもしれません。

認可保育園のパートは、役割がはっきり分かれています。担任は常勤、パートは保育補助。指導計画も連絡帳も、基本的には常勤が書きます。ところが院内保育所では、この線が曖昧になりやすい。

理由は人数です。定員10人から20人の施設で、職員が常勤2人とパート4人といった構成だと、時間帯によってはパートだけが保育室にいる状況が生まれます。夕方以降や土曜日は、まさにそうなります。

その時間帯に、体調を崩したお子さんが出たらどうするか。保護者にどう連絡するか。判断は、その場にいる人がします。契約上は保育補助でも、実質的には保育を任されている。ここを「話が違う」と感じるか、「任せてもらえている」と感じるかで、続けられるかどうかが変わってきます。

具体的に、パートが担当することが多い仕事を挙げます。

食事の介助と配膳、下膳。おむつ替えとトイレの介助。着替えの手伝い。午睡の見守りと呼吸チェック。おもちゃや床の消毒。洗濯。連絡ノートへの簡単な記入。保護者へのその日の様子の口頭報告。

逆に、常勤が担当することが多い仕事はこちらです。

月ごとの保育計画。個別の経過記録。保護者との面談。利用申請の受付と調整。病院側との連絡。シフトの作成。備品の発注。

ただし、施設によってこの線は動きます。小規模なところほど、パートに記録や発注まで回ってきます。面接では「私が担当する業務を、具体的に教えてください」と聞いてください。曖昧に「みんなで協力してやっています」と返ってきたら、その施設では線引きが存在しないということです。それが悪いわけではありませんが、知っておいたほうがいい。

保育士という職種そのものの待遇水準を知っておくと、提示された時給が妥当かを自分で判断できます。雇用形態ごとの傾向は保育士の年収・単価相場にまとまっています。あわせて、預ける側である看護師の年収・単価相場も見ておくと、この保育室が病院にとってどういう位置づけの施設なのかが見えてきます。院内保育所は、看護師に働き続けてもらうための設備として維持されている。そう理解しておくと、運営側の判断の理由が読みやすくなります。

夕方の枠に入った日、実際にどう動くか

言葉だけだと伝わりにくいので、いちばん募集の多い夕方の枠を例に、実際の流れを追ってみます。想像しながら読んでみてください。

出勤したら、まず日中の担当者から引き継ぎを受けます。今日は何人預かっているか。体調を崩している子はいるか。午睡はきちんと取れたか。誰が何時ごろのお迎え予定か。ここで聞き漏らすと、あとで困るのは自分です。メモを取る習慣をつけてください。特に「保護者がどの部署にいるか」は必ず控えておきます。連絡が必要なときに、病棟へ内線をかけることがあるからです。

おやつの時間になります。年齢の幅が広いので、同じ卓で食べさせながら、乳児にはこちらが介助し、幼児には自分で食べるのを見守る。この同時進行が、院内保育所の特徴です。食物アレルギーの有無は、日中の担当者から必ず確認しておきます。小規模な施設ほど、名札や食器の色分けで区別する工夫がされています。

おやつのあとは自由遊びです。ここが、いちばん院内保育らしい時間かもしれません。認可保育園なら年齢別に分かれて活動しますが、混合保育では大きい子が小さい子の面倒を見る場面が自然に生まれます。そのやりとりを壊さずに見守りつつ、危ないところだけ手を出す。この距離感は、経験を重ねるほど上手になります。

そのあいだに、こちらは別の仕事を進めます。おもちゃの消毒、床の掃除、洗濯機を回す、連絡ノートの記入。認可保育園なら別の職員が担当していた仕事を、保育をしながら同時に進めることになります。慣れないうちは、手が回らないと感じるはずです。それは能力の問題ではなく、業務量の設計の問題です。先輩がどの順番でやっているかを見て、自分なりの型を作ってください。

夕方になると、順番にお迎えが来ます。ここが夕方の枠の本番です。相手は夜勤明けだったり、日勤を終えて疲れきっていたりします。長く話す時間はありません。今日の様子を、短く、要点だけ伝える。「機嫌よく過ごしました」ではなく、「午後の途中で少しぐずりましたが、おやつのあとは落ち着いていました」くらいの具体さがあると、保護者は安心します。この伝え方が上手な人は、どの現場でも重宝されます。

最後の子が帰ったら、片づけと戸締まり、そして翌日の準備です。夜間の預かりがある施設なら、夜勤担当者への引き継ぎがここに入ります。1日の流れを通して見てみると、保育そのものより「つなぐ仕事」の比重が大きいことに気づくはずです。

病院の規模によって、パートの使われ方が変わる

同じ院内保育のパートでも、母体の病院の規模で働き方はかなり変わります。ここを知らずに応募すると、想像とのずれが出ます。

大学病院や大規模な総合病院に併設された保育所は、預かる子どもが多く、職員も十人前後います。この規模になると、認可保育園に近い形で年齢ごとのグループができ、早番、中番、遅番、夜勤とシフトが整理されています。パートの役割も明確で、保育補助として決められた範囲を担当します。手順書があり、研修もある。初めて院内保育に入る人にとっては、いちばん安心できる環境です。ただし、時間帯の融通は思ったほどききません。組織として動いているぶん、シフトの変更には手続きが必要になります。

中規模の病院に併設された保育所が、院内保育の典型です。定員は十人から二十人ほど、職員は常勤とパートを合わせて数人。パートの担当範囲は広く、時間帯によっては保育室を任されます。求人数がいちばん多いのもこの層です。ここでは、施設長との相性が働きやすさをほぼ決めます。見学のときに責任者がどう説明するかを、内容だけでなく話し方まで含めて見ておいてください。人数が少ない職場では、責任者の性格がそのまま職場の空気になります。

クリニックや小規模な病院の託児所は、預かる子どもが数人、職員も一人か二人という規模です。ここでのパートは、実質的に保育の全部を担当します。相談できる同僚が物理的にいないので、経験の浅い方が最初に入る場所としては負荷が重い。逆に、認可保育園で経験を積んだ方が「自分のペースで保育したい」という理由で選ぶと、とても良い職場になります。同じ求人票でも、読む人の経験によって評価が正反対になるのが、この層です。

もう1つ、運営の主体でも違いが出ます。病院が直接運営している場合、雇用主は病院です。保育事業者に委託している場合、雇用主は保育会社になります。委託運営だと、病院職員向けの福利厚生は原則として適用されません。院内の食堂や売店が使えるかどうかも施設ごとに違います。同じ建物で働いていても立場が違う、ということを先に知っておくと、入ってからの小さな不満が減ります。そして委託契約は数年ごとに更新されるので、運営会社が入れ替わる可能性もあります。面接で「現在の委託契約の期間」を聞いておく価値はあります。

扶養と社会保険の境目を、先に設計しておく

パートで働くとき、いちばん後から困るのがここです。先に決めておきましょう。

週の所定労働時間が20時間以上あり、賃金が月額8.8万円以上で、雇用期間が2か月を超える見込みがある。この条件を満たすと、一定規模の事業所では社会保険の被保険者になります。

院内保育所の時給は地域差がありますが、時給1,200円で週20時間働けば、月の賃金は9.6万円ほどになります。つまり、週20時間のラインは、想像よりずっと手前にあります。1日5時間を週4日で、もう届いてしまう。

扶養の範囲で働きたい方は、契約する所定労働時間を週20時間未満に抑える必要があります。ここで注意してほしいのが、所定労働時間と実労働時間は別物だということです。契約上は週19時間でも、残業や代わりの出勤が重なって実際には超える月が出てくる。この状態が続くと、実態に合わせて加入を求められることがあります。

逆に、社会保険にしっかり入りたい方もいらっしゃいます。傷病手当金や出産手当金は、健康保険の被保険者でなければ受け取れません。厚生年金に入れば将来の年金額も変わります。そう考えて、あえて週20時間以上で契約する方も増えています。制度の詳しい要件は日本年金機構の案内で確認できます。

どちらを選ぶにしても、面接の時点で「私の希望するシフトだと、社会保険は加入対象になりますか」と聞いてください。この質問に即答できる施設は、労務管理がきちんとしています。

もう1つ、労災のことも覚えておいてください。保育中のけがは業務災害として労災保険の対象になります。子どもの抱き上げによる腰痛、園庭での転倒、感染症の罹患。パートであっても、労災保険は適用されます。認可外保育施設だから対象外、ということはありません。この点は安心してよいところです。

「言われた時間で終われるか」という問題

正直にお伝えします。院内保育のパートで、いちばん相談が多いのがここです。

病院は、予定どおりに終わらない場所です。手術が延びる、急患が入る、申し送りが長引く。保護者の勤務が延びれば、お迎えも延びます。そして保育室は、最後の1人が帰るまで閉められません。

18時までの契約なのに、18時40分まで残る日が月に何度かある。この「何度か」が、家庭の予定と噛み合わないとつらくなります。保育園のお迎え、家族の食事、自分の通院。

ですから、応募の段階でこう聞いてください。「お迎えが遅れたとき、誰が残ることになっていますか」。

答えは施設によって違います。常勤が必ず残る決まりになっているところ。その日の遅番が残るところ。手が空いている人が残るところ。3つ目の答えが返ってきたら、それは実質的に「言い出しにくい人が残る」という意味になりがちです。

そしてもう1つ。「残った分の賃金はどう計算されますか」。15分単位で切り捨てている施設がまだあります。労働時間は1分単位で計算するのが原則ですから、これは本来認められていません。この質問をしたときの反応で、その施設が労務をどう扱っているかが分かります。

私がこれまでお話を聞いてきた中で、長く続いている方は、この確認を入る前に済ませています。逆に、早い段階で辞めてしまった方の多くは、「聞きにくかったから聞かなかった」とおっしゃいます。

聞くことは、わがままではありません。自分の生活を守るための当たり前の手順です。そして、きちんと答えられる施設のほうが、入ってからも働きやすい。質問は、相手を試す道具ではなくて、お互いの前提を揃えるための道具なんです。

シフトの決め方と、無理なときの断り方

入ってからの話をします。ここを上手にできるかどうかが、続けられるかどうかを大きく左右します。

まず、シフトの希望はいつ、どういう形で出すのか。院内保育所は、翌月のシフトを前月の中旬ごろに確定させる施設が多いです。締切を過ぎてから「この日は無理です」と言うと、すでに他の人のシフトが組まれた後になります。締切日を最初に確認して、カレンダーに入れておいてください。

次に、希望を出すときのコツです。「この日は休みたい」より、「この日は休みたいので、代わりにこの日に入れます」のほうが通ります。当たり前のようですが、これができている人は意外と少ないんです。

そして、断り方。急な代替出勤を頼まれたとき、どう返すか。

ここで大事なのは、理由を詳しく説明しないことです。「子どもの用事があるので難しいです」で十分。詳しく説明すればするほど、「それなら調整できるのでは」という会話が始まってしまいます。断りたいときは、短く、はっきりと。そして「次に空いている日」を1つ添える。これだけで、印象はまったく変わります。

私自身、相談を受ける仕事を始めた頃、断ることが下手でした。相手の事情を汲もうとして、全部引き受けて、結果的に自分が倒れそうになった時期があります。そのとき先輩に言われたのが、「あなたが続けられなくなるのが、いちばん相手の迷惑になる」という言葉でした。これは保育の現場でも同じだと思います。

それから、断り続けるとシフトを減らされるのでは、と心配される方がいます。院内保育所は慢性的に人が足りない施設が多いので、そこまで神経質にならなくて大丈夫です。むしろ、入れる日をはっきり示してくれる人のほうが、シフトを組む側にとってはありがたい。曖昧な返事がいちばん困るんです。

小さな成功を積み重ねてください。1回断れた。希望どおりの日に休めた。その積み重ねが、この職場で続けていける感覚を作ります。

パートから先へ進むときの道筋

最後に、その先の話をします。パートは終着点ではなく、選べる道が複数あります。

常勤に切り替える道。院内保育所では、パートとして働いていた人が常勤に移るケースがよくあります。施設側から見れば、施設の動きを分かっている人を採るのが最も確実だからです。時期としては、常勤が退職する前後に声がかかります。移る前に、常勤になったら担当する業務がどう増えるかを具体的に確認してください。夜勤が必須になるのか、記録や面談が加わるのか。

別の現場に移る道。院内保育所で身につくものは、はっきりしています。異年齢を同時に見る目配り、少人数で回す段取り、短時間で保護者に伝える力、感染対策の手順。これらは企業内保育所、病児保育、小規模保育園でそのまま通用します。認可保育園に移る場合も、実務経験として評価されます。

働き方そのものを見直す道。保育の現場から少し離れて、人を支える仕事に軸を移す方もいらっしゃいます。相談業務の実際については職場・転職・キャリア相談のお仕事に概要があり、資格としてはキャリアコンサルタントが体系立っています。保育の現場で保護者の話を聞いてきた経験は、この方向に自然につながります。

どの道を選ぶにしても、いま働いている時間が無駄になることはありません。院内保育所の経験は、履歴書の上では小さく見えるかもしれませんが、中身は濃いです。

見学と面接で、必ず確かめておく項目

ここまで出てきた確認事項を、応募の流れに沿って並べ直します。全部を一度に聞く必要はありません。見学のときに目で見て分かること、面接で言葉にして聞くこと、内定の連絡を受けてから書面で確かめること。この3つに分けると、無理なく確認できます。

見学のときに見るのは、まず子どもの人数と職員の人数です。パンフレットの定員ではなく、その日その場に何人いるか。次に、部屋の広さと動線。乳児と幼児が同じ空間にいる施設では、乳児が安全に過ごせる区画が確保されているかを見てください。それから、職員どうしの声のかけ方。少人数の職場は、ここに空気がそのまま出ます。最後に、掲示物や記録の様子。手書きのメモが所狭しと貼られている施設は、仕組みで回すより人の記憶で回している可能性があります。

面接で言葉にして聞くのは、次の項目です。自分が担当する業務の具体的な内容。引き継ぎの時間が勤務時間に含まれているかどうか。お迎えが遅れたときに誰が残る決まりになっているか。残業分の賃金をどの単位で計算しているか。シフト希望の締切はいつで、どういう形で出すのか。自分の希望するシフトだと社会保険の加入対象になるかどうか。夜勤や早朝勤務を将来的に求められる可能性があるか。

内定の連絡を受けてから確かめるのは、労働条件通知書の記載です。ここに、勤務時間、賃金、手当、契約期間、更新の有無が書かれています。面接で聞いた話と食い違っていないかを、必ず突き合わせてください。口頭の約束は、担当者が変わると消えてしまいます。書面に残っていることだけが、あとで根拠になります。

質問の数が多いと感じるかもしれません。でも、これを聞かずに入って、あとから合わないと気づくほうが、お互いにとって時間の損失です。丁寧に答えてくれる施設は、入ってからも丁寧に扱ってくれます。答えを濁す施設は、入ってからも濁します。面接は、選ばれる場であると同時に、選ぶ場でもあります。

市場から見た、パートという働き方の位置づけ

在宅ワークと業務委託の市場を20年見てきた立場から、少し広い話をさせてください。

運営者として見てきた限りでは、この10年で「短い時間で確実に価値を出す人」の立場が、はっきり強くなりました。かつては、長く働けることが価値でした。いまは、決まった時間に確実に来て、決まった仕事を確実に終える人のほうが、現場では重宝されます。人手が足りない職場ほど、その傾向が強い。

院内保育所は、まさにそういう職場です。週2日でも、その2日が確実に埋まることに価値がある。だから、短時間だからといって引け目を感じる必要はまったくありません。

もう1つ、報酬の見方について。額面の時給だけを比べると、院内保育所が飛び抜けて高いわけではありません。でも、行事の準備で持ち帰る時間、休日の打ち合わせ、指導計画を書く時間。これらが少ない職場では、同じ額面でも自分の時間の減り方が違います。

長く続いている方を見ていると、この「自分の時間がどう削られるか」で職場を選んでいます。額面の数字ではなく、生活全体で見たときの手応え。中間に人が入らない直接のやりとりが増えるほど、同じ金額でも手元に残る感覚が厚くなる。これは保育に限らず、私たちが市場全体で見てきたことと一致します。

そして、続いている方にはもう1つ共通点があります。「この人がいると回る」と思われる動き方をしていること。手順書に書かれていない部分を、少しだけ気づいて埋める。少人数の職場では、その積み重ねが信頼になります。

無理をして埋める必要はありません。自分が続けられる範囲で、確実に。それがいちばん、あなたにとっても職場にとっても良い形です。あなたは一人ではありませんし、条件は交渉していいものです。

よくある質問

Q. 院内保育のパートは、週何日から働けますか?

週1日から募集している施設があります。土曜だけ、平日の夕方だけといった枠も実際に出ています。病院が24時間動いているため、埋めたい時間帯が細かく分かれているからです。ただし「入れる日に入ってください」ではなく、必要な曜日と時間が決まっている募集が多いので、自分が埋められる枠かを応募前に確認してください。

Q. パートでも夜勤に入る必要がありますか?

入職時の契約で日勤のみとしていれば、夜勤は義務ではありません。夜勤専属のパート枠は別に募集されており、夜勤手当が1回1万円程度つく施設もあります。ただし夜間は1人から2人の体制になることが多く、判断を1人で下す場面が出ます。慣れてから検討するのが順当です。

Q. 扶養の範囲で働き続けられますか?

週の所定労働時間が20時間以上で賃金が月額8.8万円以上になると、一定規模の事業所では社会保険の加入対象になります。時給1,200円なら週20時間で月9.6万円ほどになるため、1日5時間を週4日で届いてしまいます。契約の所定労働時間を調整し、面接時に加入対象になるかを確認してください。

Q. お迎えが遅れたとき、パートも残らされますか?

施設によって決まりが違います。常勤が残る、その日の遅番が残る、手が空いている人が残る、の3通りがあります。3つ目の場合は言い出しにくい人に負担が寄りやすいので、応募前に「お迎えが遅れたとき誰が残ることになっていますか」と確認してください。残業分の賃金計算方法もあわせて聞いておくと安心です。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年4月24日最終更新:2026年9月17日
中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美@SOHO編集部

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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