発注書の書き方と必須項目|依頼内容と条件を明記して認識ズレを防ぐ


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この記事のポイント
- ✓発注書の書き方を発注者向けに解説
- ✓必須項目・記載のコツ・下請法対応・電子発行のメリットまで網羅
- ✓依頼内容と条件を明記して外注トラブルを防ぎ
先日、あるEC事業者の方から相談を受けました。「フリーランスのデザイナーさんに商品ページの制作をお願いしたのに、納品されたものが自分のイメージと全然違っていて、追加費用まで請求された」と。詳しく聞いてみると、依頼のときにメールで「いい感じのバナー10枚くらい」と伝えただけで、発注書は一切交わしていなかったんです。外注トラブルの大半は「発注書を書かなかった」「書いたけど中身がスカスカだった」ことが原因です。
発注書の記載事項|まずこの13項目を埋める
先に結論をお伝えします。発注書に書くべき項目は、次の13個です。この表を横に置いて、手元のテンプレートに抜けがないかを確認してください。
| # | 記載事項 | 必須度 | 書き方のポイント |
|---|---|---|---|
| 1 | 書類名(発注書・注文書) | 必須 | 用紙の最上部に大きく |
| 2 | 発行日 | 必須 | 空欄禁止。保存期間の起算点になる |
| 3 | 発注番号(管理番号) | 推奨 | 「2026-0801-001」形式が管理しやすい |
| 4 | 受注者の宛名 | 必須 | 法人は「御中」、個人は「様」 |
| 5 | 発注者の情報 | 必須 | 社名・住所・電話・担当者名・押印 |
| 6 | 件名 | 必須 | 「商品ページ用バナー制作の件」など |
| 7 | 発注内容(品名・仕様) | 必須 | 数量、サイズ、形式まで具体的に |
| 8 | 数量・単価・小計 | 必須 | 内訳を分けて記載 |
| 9 | 消費税額・合計金額 | 必須 | 税抜か税込かを明記 |
| 10 | 納期・納品方法・納品場所 | 必須 | 日付で書く。「今月中」は不可 |
| 11 | 検収の条件と期日 | 推奨 | 何をもって合格とするか |
| 12 | 支払条件(支払期日・支払方法) | 必須 | 受領日から60日以内に設定 |
| 13 | 特記事項(修正回数・著作権・秘密保持) | 推奨 | 揉めやすい3点はここで固める |
下請法の対象取引では、このうち発注者名・受注者名、発注日、給付の内容、給付を受領する期日、給付を受領する場所、検査を行う場合はその期日、下請代金の額、支払期日、支払方法などが法律で明示を義務付けられています。対象取引で漏らすと法令違反になるため、テンプレート自体にこれらを組み込んでおくのが安全です。
そのまま使える発注書の文面例
発注書
発注日:2026年8月1日
発注番号:2026-0801-001
株式会社○○ 御中
(または ○○ ○○ 様)
株式会社△△
〒000-0000 東京都○○区○○1-2-3
TEL:00-0000-0000
担当:営業部 □□ □□ 印
下記の通り発注いたします。
件名:ECサイト商品ページ用バナー制作
[明細]
品名・仕様 数量 単価 金額
商品ページ用メインバナー 10点 8,000円 80,000円
・サイズ 1200×400px、PNG形式
・初回3案提示、修正2回まで含む
・使用フォント、素材のライセンスは受託者にて確保
小計 80,000円
消費税(10%) 8,000円
合計 88,000円
納期:2026年8月20日(初稿提出:8月10日)
納品方法:指定のクラウドストレージへアップロード
検収:納品後5営業日以内に発注者が確認し、合否を通知する
支払条件:検収完了月の月末締め、翌月15日銀行振込(振込手数料は当社負担)
特記事項
・修正は2回まで無料。3回目以降は1回あたり5,000円(税抜)を追加する
・納品物の著作権(著作権法第27条・第28条の権利を含む)は、
代金完済をもって受託者から発注者へ譲渡する
・本発注に関して知り得た情報は、第三者に開示しない
・第三者への再委託は、事前に書面で当社の承諾を得ること
本発注書の内容にご承諾いただける場合は、発注請書のご返送をお願いいたします。
この文面をベースに、自社の取引内容に合わせて調整すれば、そのまま実務で使えます。
発注申請とは|社内で発注の承認を取る手順
「発注申請」で調べている方は、社外に出す発注書ではなく、社内で発注の許可を取る手続きを探しているケースが多いはずです。ここは混同しやすいので、はっきり分けて説明します。
社外への「発注書」を出す前に、社内で「この金額でこの相手に発注してよい」という承認を得る必要があります。これが発注申請(購買申請、購買稟議とも呼びます)です。順番は次の通りです。
| 順番 | 手続き | 相手 | 書類 |
|---|---|---|---|
| 1 | 見積依頼 | 社外の候補先 | 見積依頼書(RFQ) |
| 2 | 見積取得 | 社外の候補先 | 見積書 |
| 3 | 発注申請 | 社内の承認者 | 発注申請書・稟議書 |
| 4 | 社内承認 | 社内の承認者 | 承認印・電子承認 |
| 5 | 発注 | 社外の発注先 | 発注書 |
| 6 | 受注確認 | 社外の発注先 | 発注請書 |
つまり、発注申請は社内向け、発注書は社外向けです。この2つを1枚の書類で兼ねている会社もありますが、その場合は「社内承認欄」を発注書の上部に設けて、承認後に社外用の部分だけを切り出して送る運用になります。
発注申請書に書くべき項目
【発注申請書(購買稟議書)】
申請日:2026年 月 日
申請部署: 申請者:
1. 件名:
2. 発注先:(社名/個人名、所在地、担当者)
3. 発注金額: 円(税込/税抜)
4. 予算科目: 予算残高: 円
5. 発注理由・必要性:
(なぜ外注が必要か。内製できない理由も書く)
6. 発注時期・納期:
7. 相見積の状況:
□ 3社取得(A社 円/B社 円/C社 円)
□ 1社のみ(理由: )
8. 発注先を選定した理由:
9. 想定される効果:
10. リスクと対策:
11. 支払条件:
12. 契約書の有無:□ 締結予定 □ 発注書のみ □ 既存の基本契約あり
承認欄
申請者 / 課長 / 部長 / 役員 / 経理
承認金額の基準を決めておく
発注申請でよく起きる問題が、「誰の承認まで必要なのか分からない」ことです。会社の規模にかかわらず、金額別の承認者を決めておくと、申請の往復がなくなります。目安は次の通りです。
| 発注金額 | 承認者 | 相見積 |
|---|---|---|
| 5万円未満 | 課長 | 不要 |
| 5万円以上30万円未満 | 部長 | 2社以上 |
| 30万円以上100万円未満 | 役員 | 3社以上 |
| 100万円以上 | 代表者 | 3社以上+比較検討書 |
小規模な会社なら、「10万円までは担当者判断、それ以上は代表承認」といったシンプルな二段階でも十分です。大事なのは、金額の線引きを文書にして全員が知っている状態を作ることです。
発注申請でよく差し戻される理由
・相見積を取っていない:「この会社しか知らないから」は理由になりません。1社しか取れない場合は、その理由(特殊技術、既存システムとの互換性、緊急性など)を書きます。 ・予算科目と残高が書かれていない:経理が判断できず止まります。 ・必要性が「忙しいから」しか書かれていない:内製した場合の工数と人件費を数字で出し、外注費と比較して見せると通ります。 ・納期の根拠がない:「なぜその日までに必要か」を書きます。 ・金額の内訳がない:一式いくらではなく、単価×数量で書きます。
発注申請から発注書までの実務の流れ
見積書を受け取ったら、その内容をそのまま発注申請書に転記します。承認が下りたら、承認された金額・条件と一字一句同じ内容で発注書を作り、相手に送ります。ここで金額がずれると、社内では30万円で承認されたのに40万円の発注書を出してしまった、という事故が起きます。
社内の承認が下りる前に「口頭で先に進めておいて」と発注先に伝えるのは、絶対に避けてください。相手は作業を始めてしまい、後から社内承認が下りなかった場合、相手の作業分を支払う根拠がなくなります。急ぐ場合は、金額の上限を区切った暫定発注(「まず構成案の作成まで5万円で発注、本発注は承認後」)にするのが正しい進め方です。
そもそも発注書とは何か|発注者が交わすべき理由
発注書とは、仕事や商品を注文する側(発注者)が、受注する側(受注者)に対して「この内容・この条件で依頼します」という意思を正式に伝える書面です。注文書とほぼ同じ意味で使われ、業界によって呼び方が違うだけと考えて差し支えありません。口頭やメールのやり取りだけでも契約自体は成立しますが、それだと「何を・いくらで・いつまでに」という肝心な条件が曖昧なまま進んでしまいます。
発注書を交わす最大の目的は、取引の内容と条件を証拠として残すことです。あとから「そんな話は聞いていない」「その金額では受けていない」といった認識のズレが起きたときに、書面が判断の基準になってくれるわけです。
発注書は法律で作成が義務付けられている書類ではありません。ただし、後述する下請法の対象となる取引では、発注者側に「発注書(3条書面)の交付義務」が課されます。つまり、相手や取引の内容によっては、発注書を出さないこと自体が法律違反になるケースがあるということです。フリーランスに継続的に仕事を頼んでいる中小企業なら十分に対象になり得ます。
発注者にとって発注書を作るメリットは、大きく3つあります。1つ目は、依頼内容を明確にすることで納品物の品質のブレを減らせること。2つ目は、金額・納期・支払い条件を事前に固定することで、あとから追加費用を請求されるリスクを抑えられること。3つ目は、税務調査や監査の際に「正当な外注取引である」ことを客観的に示せることです。
発注書・注文書・見積書・外注依頼書の違いを整理する
混同されがちな書類の違いを整理しておきましょう。
| 書類 | 出す人 | タイミング | 役割 |
|---|---|---|---|
| 見積依頼書(RFQ) | 発注者 | 最初 | 条件を示して見積もりを求める |
| 見積書 | 受注者 | 依頼を受けて | 金額と条件を提示する |
| 発注申請書 | 社内の担当者 | 発注前 | 社内で承認を得る |
| 発注書・注文書 | 発注者 | 依頼確定時 | 正式に依頼する |
| 外注依頼書 | 発注者 | 依頼確定時 | 発注書とほぼ同義。製造・建設業で多い呼称 |
| 発注請書 | 受注者 | 発注書受領後 | 依頼を承諾する |
| 納品書 | 受注者 | 納品時 | 何を納めたかを示す |
| 検収書 | 発注者 | 検収時 | 合格したことを示す |
| 請求書 | 受注者 | 検収後 | 代金を請求する |
「外注依頼書」と「発注書」は何が違うのか
結論としては、中身の要件は同じです。呼び方が業界で違うだけと考えて差し支えありません。製造業、建設業、印刷業などでは「外注依頼書」「加工依頼書」「注文書」という名称が使われることが多く、IT・広告・出版などでは「発注書」が一般的です。
ただし実務上、外注依頼書と呼ばれる書類は、作業指示の内容が細かい傾向があります。図面番号、材質、公差、加工方法、支給品の有無といった技術的な項目が並びます。呼び方にかかわらず、次の点だけは押さえてください。
・依頼内容が、受け取った相手だけで再現できるレベルまで書かれているか ・金額と納期が確定しているか ・検収の合格基準が書かれているか ・支給する材料・データがある場合、その受け渡し方法と期日が書かれているか
発注請書まで取り交わすべきか
発注請書は、発注書を受け取った受注者側が「その内容で承ります」と返す書面です。発注書と発注請書がセットで揃うと、双方の合意が書面で確認できたことになり、契約としての証拠力が格段に上がります。発注書だけでは「発注者が一方的に送っただけ」という反論の余地が残るため、金額が大きい取引では請書まで取り交わすのが安全です。
目安として、30万円を超える発注、または3か月を超える継続案件では請書を取ることをおすすめします。少額の単発案件であれば、発注書に「本発注書の内容に異議がある場合は3営業日以内にご連絡ください。ご連絡がない場合は承諾いただいたものとして進めます」と書いておく方法でも実務は回ります。
この記事では、発注書が果たす役割や記載内容、注文書や見積書などとの違いについて解説します。発注書の実際の書き方も解説しますので、参考にしてください。 出典: biz.moneyforward.com
発注書の書き方|項目別の詳しい解説
タイトル・書類名と発行日
まず書面の一番上に「発注書」または「注文書」というタイトルを明記します。これがないと、受け取った側が何の書類なのか判断できません。次に発行日を記載します。発行日は「いつこの発注を行ったか」を示す重要な情報で、下請法の書類保存期間の起算点にもなります。
日付を空欄にしたまま送ってしまう方がたまにいますが、これは絶対に避けてください。日付のない発注書は、いつの取引か特定できず、証拠としての価値が大きく下がってしまいます。
発注者・受注者の情報
発注する側(自社)と受注する側(相手)の両方の情報を記載します。発注者側は、会社名または屋号、住所、電話番号、担当者名を書きます。個人事業主として発注する場合も、屋号と氏名を明記しておくと相手が安心します。受注者側は、相手の会社名・氏名を宛名として記載します。
ここで意外と抜けがちなのが担当者名です。特に組織で発注する場合、誰が窓口なのかを明記しておかないと、質問や確認の連絡がスムーズにいきません。発注書に担当者の連絡先まで書いておくと、受注者が疑問点をすぐに確認できて、結果的に手戻りが減ります。
発注番号(管理番号)
発注書には通し番号となる発注番号を振っておくと、後々の管理が格段に楽になります。「2026-0801-001」のように日付と連番を組み合わせる方式が一般的です。番号があれば、請求書や納品書と照合するときに「どの発注に対する請求か」がひと目で分かります。最初から番号を振る習慣をつけておくのがおすすめです。
発注内容(品名・仕様・数量)
発注書の心臓部です。ここが曖昧だと、発注書を作った意味がほとんどなくなってしまいます。「何を」「どういう仕様で」「いくつ」依頼するのかを、できる限り具体的に書いてください。
業種別に、書くべき仕様の例を挙げておきます。
| 依頼の種類 | 必ず書く仕様 |
|---|---|
| バナー・画像制作 | サイズ(px)、ファイル形式、点数、提案案数、修正回数 |
| 記事執筆 | 文字数、見出し構成の事前確認の有無、画像選定の有無、参考URL |
| 動画編集 | 尺、解像度、縦横比、テロップの有無、BGMの手配元、納品形式 |
| Webサイト制作 | ページ数、対応ブラウザ、スマホ対応、CMSの有無、公開作業の範囲 |
| システム開発 | 機能一覧、対応環境、テストの範囲、ドキュメントの有無、保守の範囲 |
| データ入力 | 件数、入力項目、元データの形式、納品形式、エラー率の許容範囲 |
| 加工品の製作 | 完成寸法、許容公差、材質、表面仕上げ、数量、図面番号 |
「いい感じで」「おまかせで」といった曖昧な依頼は、外注トラブルの温床です。発注者が具体的に書けない部分は、受注者と事前にすり合わせてから発注書に落とし込みましょう。
単価・数量・金額(税抜・税込・消費税)
金額欄には、単価・数量・小計・消費税額・合計金額を分けて記載します。特に消費税の扱いは明確にしてください。「報酬10万円」とだけ書くと、それが税込なのか税抜なのかで受注者との認識がズレて、支払い段階でもめる原因になります。「単価50,000円×2件=小計100,000円、消費税10,000円、合計110,000円(税込)」のように内訳を明示するのが正解です。
インボイス制度との関係で、受注者が適格請求書発行事業者かどうかによって、消費税の扱いを事前に確認しておくことも大切です。ここで注意すべきは、相手が免税事業者であることを理由に、一方的に報酬を減額するのは下請法違反になり得るという点です。取引条件の見直しをするなら、必ず事前に協議し、双方の合意を書面に残してください。
納期・納品方法・納品場所
いつまでに、どういう形で、どこに納品してもらうのかを明記します。納期は「2026年8月15日まで」のように具体的な日付で書きます。「今月中」「なるべく早く」といった曖昧な表現は避けてください。納品方法は、データ納品ならファイル形式と受け渡し手段を、物品なら配送方法を記載します。
制作物の場合、中間確認のタイミングも書いておくと安心です。「初稿を8月8日までに提出、修正確認後8月15日までに最終納品」のように、途中のチェックポイントを設けておくと、納期直前になって「思っていたものと違う」という事態を防げます。納期トラブルの多くは、中間確認を設けていなかったケースです。
検収の条件と期日
見落とされがちですが、発注者にとって重要な項目です。「何をもって合格とするか」を書いておかないと、受注者は「納品したのに検収されない」状態に置かれ、支払いも滞ります。
書き方の例を挙げます。
・「納品後5営業日以内に発注者が確認し、書面またはメールで合否を通知する」 ・「上記期間内に通知がない場合は、検収に合格したものとみなす」 ・「不合格の場合は、具体的な理由を明示し、修正期限を協議する」
検収期間を長く取りすぎると、支払期日も後ろにずれます。下請法の対象取引では、検収の有無にかかわらず、受領日から60日以内に支払う義務があるため、検収に1か月かけるような設計は避けてください。
支払い条件(支払期日・支払方法)
報酬をいつ・どうやって支払うのかを明記します。「納品月末締め翌月末払い」「銀行振込」のように具体的に書きます。ここで気をつけたいのが、支払期日を勝手に長く設定しないことです。下請法の対象取引では、発注者は成果物を受け取った日から起算して60日以内、かつできる限り短い期間内に報酬を支払う義務があります。
つまり、「納品から90日後払い」のような設定は、下請法の対象取引では違法になり得るということです。振込手数料をどちらが負担するかも、トラブルになりやすいポイントなので明記しておきましょう。慣習的には発注者負担が多いですが、事前に決めておけば揉めません。
なお、月末締め翌々月末払いは、締め日から起算すると60日を超えることがあります。自社の支払サイトが法律の要件を満たしているか、一度カレンダーで数えて確認しておくことをおすすめします。
有効期限・その他特記事項
発注書の有効期限を設けておくと、「いつまでに承諾がなければこの発注は無効」という線引きができます。また、著作権や成果物の権利の帰属、機密保持の有無なども、必要に応じて特記事項として記載します。
特に著作物を発注する場合、成果物の著作権が発注者と受注者のどちらに帰属するかは、事前に決めておかないと後で大きなトラブルになります。「制作した記事を自社サイト以外にも転載したい」と思っても、著作権が受注者に残っていると自由に使えないことがあるんです。
著作権の譲渡を受ける場合は、次の一文を入れておくのが確実です。
納品物に関する著作権(著作権法第27条及び第28条に定める権利を含む)は、
発注代金の完済をもって、受注者から発注者へ譲渡されるものとする。
また、受注者は発注者に対し、著作者人格権を行使しないものとする。
第27条・第28条を明記しないと、翻案権や二次的著作物の利用権が受注者に残ってしまいます。ここは実務上の定型なので、テンプレートに組み込んでおいてください。
手書きの発注書は有効か|書き方と注意点
「発注書を手書きで作ってもよいのか」というご質問もよくいただきます。答えは、有効です。発注書に書式の法的な定めはなく、手書きであっても記載事項が揃っていれば、証拠としての効力に違いはありません。下請法の3条書面についても、手書きが禁じられているわけではありません。
とはいえ、実務では手書きならではの注意点があります。
手書き発注書の6つの注意点
1. 金額は改ざんできない書き方をする。数字の頭に「¥」、末尾に「ー」または「※」を付けて、「¥88,000ー」のように書きます。空白を残すと桁を書き足される余地が生まれます。漢数字の大字(壱、弐、参、拾、萬)を使う方法もあります。
2. 修正は二重線と訂正印。修正液や修正テープで消したものは、後から「改ざんされた」と主張される余地があります。間違えたら二重線を引き、訂正印を押して、正しい内容を書き直します。金額欄の訂正が多い場合は、書き直したほうが安全です。
3. 複写(カーボン)式の用紙を使う。手書きの最大の弱点は、控えが残らないことです。複写式の伝票を使えば、相手に渡す分と自社控えが同時に作れます。市販の注文書伝票が使えます。
4. 判読できる字で書く。「1」と「7」、「0」と「6」、「3」と「8」の書き分けは意識してください。読み違えによる誤発注は、実際によく起きます。
5. 押印を忘れない。手書きの場合、押印がないと社内の正式な書類として扱われないことがあります。会社印または担当者印を押してください。
6. 電子帳簿保存法との関係を確認する。手書きの紙で作成・郵送した発注書は「電子取引」に該当しないため、紙のまま保存できます。ただし、手書きしたものをスキャンしてメールで送った場合は電子取引となり、電子データでの保存が必要になります。ここは混乱しやすいので、運用を統一しておくことをおすすめします。
手書きが向いている場面・向いていない場面
手書きが向いているのは、現場での即時発注、少額・少件数の取引、相手が電子データを扱わない場合です。建設現場や小売店の店頭発注など、その場で書いて渡す運用が実際に機能しています。
一方、件数が月10件を超える、金額が大きい、複数人で管理する、といった条件が1つでも当てはまるなら、電子発行への切り替えを検討してください。検索性、控えの管理、集計のしやすさが桁違いです。
発注書を書く際の注意ポイント
曖昧な表現を残さない
発注書で最も避けるべきは「曖昧さ」です。「いい感じに」「適宜」「おまかせで」「臨機応変に」といった言葉は、発注者と受注者で解釈がズレます。数量、サイズ、形式、回数、範囲。数えられるものはすべて数字で書く。これを徹底するだけで、外注トラブルの大半は防げます。
私自身、初めて外部のライターさんに記事を発注したとき、修正回数を決めずに依頼してしまい、何度も修正をお願いする形になって、相手にも申し訳ないし自分も疲弊するという経験をしました。あのとき「修正は2回まで、それ以降は追加料金」と発注書に書いておけば、お互い気持ちよく進められたはずなんです。曖昧さは、発注者と受注者の両方を苦しめます。
追加費用の発生条件を先に決める
外注で最ももめるのが追加費用です。発注書に「基本料金に含まれる範囲」と「範囲外の作業の単価」を明記しておくと、追加が発生してもスムーズです。範囲を明確にしておくことは、受注者を守ることにもなり、結果的に良い関係が続きます。
書き方の例です。
【基本料金に含まれる範囲】
・初回提案(3案)
・修正2回(テキスト・色・レイアウトの調整)
・最終データの納品(PNG・元データ)
【別途費用となる作業】
・3回目以降の修正:1回 5,000円(税抜)
・当初仕様にないサイズ展開:1点 3,000円(税抜)
・素材の新規撮影・購入:実費+作業費
・納期の前倒し依頼:見積総額の20%を上限に協議
相手が本人・正規の事業者か確認する
発注書を交わす前に、相手が実在する事業者・本人であることを確認しましょう。特にオンラインで初めて取引する相手の場合、身元が不明なまま前払いを求められるようなケースには注意が必要です。実績や評価、過去の取引履歴を確認できるサービスを使うと安心です。もし相手の身元や契約内容に不安がある場合は、弁護士や行政書士など専門家に相談してください。
信頼できる相手かどうかを見極めるには、いきなり大きな仕事を任せるのではなく、小さな依頼から始めて相手の対応品質を確かめる方法もあります。発注書のやり取りがスムーズにできる相手は、それだけでビジネスの基本ができている証拠とも言えます。
記載内容は見積書と一致させる
発注書の金額や条件は、事前にもらった見積書と一致させてください。見積書では10万円だったのに発注書では8万円になっている、といった食い違いがあると、受注者は混乱しますし、不信感にもつながります。見積書の内容をそのまま発注書に転記するのが基本です。もし金額を変更したい場合は、必ず事前に受注者と交渉して合意を得てから発注書に反映しましょう。
一方的な減額は、下請法の「買いたたき」や「代金の減額」に該当する可能性があります。合意のプロセスと、その記録を残すことが自衛になります。
下請法・フリーランス新法で発注書に求められること
下請法(正式名称は下請代金支払遅延等防止法)は、立場の弱い受注者を守るための法律です。発注者が資本金の大きい事業者で、受注者が中小規模の場合、この法律の対象になることがあります。資本金1,000万円を超えた時点で親事業者になりうるため、「うちは中小企業だから関係ない」は通用しません。
2024年11月に施行されたフリーランス保護新法(フリーランス・事業者間取引適正化等法)も、発注者に取引条件の明示義務を課しています。こちらは資本金の大小に関係なく、従業員を雇っていない個人事業主に業務委託する全ての事業者が対象です。
| 義務 | 下請法 | フリーランス新法 |
|---|---|---|
| 適用条件 | 資本金の組み合わせ | 相手が従業員なしの個人事業主 |
| 書面(電子可)の交付 | 義務 | 義務 |
| 支払期日 | 受領日から60日以内 | 受領日から60日以内 |
| 一方的な減額 | 禁止 | 禁止 |
| 受領拒否 | 禁止 | 禁止(1か月以上の継続取引) |
| 中途解除の予告 | 定めなし | 原則30日前(6か月以上の継続時) |
つまり、フリーランスに業務委託する発注者は、業務内容・報酬額・支払期日などを書面または電子的方法で明示する義務があります。発注者は成果物の受領日から60日以内に報酬を支払わなければならず、「イメージと違う」は支払い拒否の正当な理由にはなりません。だからこそ、発注書で条件を明確にしておくことが、発注者自身を守ることにもつながるんです。
対象になるかどうかの判断は、資本金の額や取引の内容によって細かく分かれます。公正取引委員会は下請法に関する情報を公正取引委員会の公式サイトで公開しています。判断に迷う場合は弁護士や行政書士に相談することをおすすめします。
フリーランスに発注する際に押さえておきたい実務は、フリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストで、発注者が守るべきルールと必須項目をチェックリスト形式でまとめています。
発注書の送付方法と収入印紙・保存期間
発注書の送付方法
発注書は郵送、FAX、メール(PDF添付)、電子契約サービスなど、複数の方法で送れます。ここで注意したいのが、紙の発注書を郵送する場合のルールです。発注書は「信書」に該当するため、送り方に法律上の制約があります。
発注書は「信書」に該当します。日本郵便株式会社または国が指定した信書便事業者のみが配達できることが法律により定められているため、メール便などで送らないようにしましょう。 違反した場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられる可能性があります。 出典: biz.moneyforward.com
つまり、紙の発注書を宅配便のメール便で送るのは法律違反になる可能性があるということです。郵送する場合は普通郵便などの正規の方法を使いましょう。この点でも、電子発行に切り替えたほうが安全でシンプルです。
発注書に収入印紙は必要か
発注書に収入印紙が必要かどうかは、多くの発注者が迷うポイントです。
基本的に発注書には収入印紙を貼る必要はありませんが、貼付が必要なケースもあります。 収入印紙は、その取引によって利益が発生する「課税文書」に対して貼付する「印紙税」です。代表的な課税文書には、「契約書」や「領収書」があり、「実際の金銭授受を証明する文書か否か」で判断されます。 収入印紙の貼り忘れは脱税とみなされ、罰金が科されてしまうため注意が必要です。 出典: biz.moneyforward.com
通常の一方的な発注書には収入印紙は不要ですが、発注書が契約書に相当する内容(双方の署名・押印があり、継続的な取引の基本契約を定めているなど)を含む場合は、課税文書として印紙が必要になることがあります。判断に迷う場合は、収入印紙の扱いについて国税庁の情報を確認するか、税理士に相談すると確実です。
なお、電子データで発行した発注書には印紙税がかかりません。印紙代の削減だけでも、電子化する理由になります。
発注書の保存期間
発注書には保存義務があります。法人の場合、税法上は原則7年間の保存が必要です(欠損金が生じた事業年度は最大10年)。下請法の対象取引では、発注書の写しを2年間保存する義務が定められています。個人事業主の場合も、確定申告に関わる書類として一定期間の保存が求められます。
2022年施行の改正電子帳簿保存法により、電子取引でやり取りした書類は電子データのまま保存することが原則になりました。つまり、メールやシステムで受け取った発注書は、原則として電子データで保存する必要があるということです。この点でも、発注書の電子化は避けて通れない流れになっています。
発注書を電子発行するメリット|無料テンプレートの活用も
電子発行の最大のメリットは、コスト削減です。紙・印刷・郵送のコストがゼロになり、収入印紙が必要なケースでも電子データには印紙税がかからないため、印紙代も節約できます。取引件数が多い事業者ほど、この差は大きくなります。
2つ目のメリットはスピードです。郵送だと相手に届くまで数日かかりますが、電子発行なら送信した瞬間に相手に届きます。3つ目は管理のしやすさです。電子データなら検索も簡単ですし、電子帳簿保存法にも対応しやすい。過去の発注書をすぐに引っ張り出せるので、税務調査の際にも慌てずに済みます。
発注書のテンプレートは、無料で使えるものが数多く公開されています。会計ソフトを提供しているfreeeやマネーフォワードなどが、無料の発注書テンプレートやクラウドでの発行機能を提供しています。ExcelやWordのテンプレートも広く出回っているので、最初はそうした無料テンプレートをベースに、自社の取引に合わせて項目を調整していくのがおすすめです。ただし、無料テンプレートを使う場合も、冒頭の13項目がすべて含まれているかは必ず確認してください。テンプレートによっては項目が足りないものもあります。
外注を継続的に行うなら、発注書を含む取引書類を一元管理できるサービスを導入すると、業務全体が効率化されます。見積書・発注書・請求書を連携させれば、金額の転記ミスもなくなり、二重チェックの手間も減らせます。
発注書は「安く・安心して」外注するための土台になる
発注書をきちんと整えることは、外注費用を適正化することにも直結します。
外部に仕事を依頼する方法には、大きく分けて2つのルートがあります。1つは代理店や制作会社などの仲介会社を通すルート、もう1つはフリーランスに直接依頼するルートです。仲介会社を通すと、担当者がついて安心感はありますが、その分だけ中間マージンが上乗せされます。一方、フリーランスへ直接依頼すれば中間マージンがない分、同じ予算でより多くの依頼ができます。
もちろん、直接依頼には「相手を自分で見極める」「契約や発注書を自分で整える」という手間が伴います。でも、まさにその手間を減らすためにあるのが、この記事で解説してきた発注書なんです。発注書で依頼内容と条件をきちんと固めておけば、仲介会社が担っていた「条件のすり合わせ」を自分でカバーできる。つまり、発注書を使いこなせる発注者は、中間マージンを払わずに安心して直接取引ができるようになるということです。
どんな業務を外注できるのか、その相場観をつかむには、職種ごとの単価データが参考になります。例えばシステムやアプリの開発を外注するなら、ソフトウェア作成者の年収・単価相場で相場感を確認できます。記事やコンテンツの制作なら、著述家,記者,編集者の年収・単価相場が発注金額を決める際の目安になります。相場を知っておくと、見積もりが適正かどうかを判断でき、高すぎる仲介手数料を払わずに済みます。
依頼したい分野が決まっているなら、具体的な業務内容を整理しておくとスムーズです。AI活用やコンサルティングを頼みたいならAIコンサル・業務活用支援のお仕事、マーケティングやセキュリティ領域ならAI・マーケティング・セキュリティのお仕事、システム開発ならアプリケーション開発のお仕事で、どんな業務を外注できるかのイメージがつかめます。
運営者視点で見た「良い発注者」の共通点
フリーランス・在宅ワーク市場を20年運営してきた立場から、少し現場の実感をお話しします。長く外注を続けて、良い受注者に恵まれる発注者には、はっきりした共通点があります。それは「毎回きちんと発注書を出す」ことと、「依頼内容を具体的に伝える」ことです。
一見すると、発注書を作るのは面倒な事務作業に見えるかもしれません。でも運営者として見てきた限りでは、この一手間を惜しまない発注者ほど、優秀なフリーランスから「また一緒に仕事をしたい」と思われています。なぜなら、条件が明確な依頼は受注者にとっても安心だからです。何をどこまでやればいいか、いつお金がもらえるかがはっきりしている。この安心感が、受注者のモチベーションと成果物の品質を底上げするんです。
もう1つ、長く続く発注者ほど「単発の作業依頼」ではなく「この人に任せると楽だ」という関係づくりに時間を使っています。発注書はその関係づくりの入口です。条件を明確にした誠実な発注を重ねるうちに、相手も「この発注者は信頼できる」と感じてくれる。そうなると、多少無理なお願いでも快く引き受けてくれるようになり、結果的に発注者側が得をするんです。
そして、中間マージンが乗らない直接取引は、同じ予算で発注者はより多くを頼め、受け手であるフリーランスは手取りが厚くなります。手数料0%で直接つながる仕組みの本当の価値は、単に「安い」ということ以上に、この「双方が得をする」という関係の質にあります。金額だけで選んだ関係より、条件を明確にして信頼を積み重ねた関係のほうが、はるかに長く続きます。
発注書作成に役立つ関連知識とリソース
発注書の書き方を身につけたら、周辺の知識も押さえておくと、外注全体をより安全に進められます。
補助金の申請などで書類作成のノウハウが必要な場面もあります。事業計画書の書き方は発注書とは別のスキルですが、持続化補助金 事業計画 書き方で、条件や根拠を明確に文書化する考え方が参考になります。相手に伝わる書面を作るという点では、発注書にも通じる部分があります。
また、外注先のフリーランスがどういう立場で仕事をしているのかを理解しておくと、良い関係を築きやすくなります。フリーランス 開業届の提出ガイド!メリット・書き方・節税の手順を読むと、受注者側の事情が分かり、発注時の配慮につながります。
ビジネス文書の作成スキルを体系的に高めたいなら、ビジネス文書検定のような資格の学習内容も役立ちます。発注書に限らず、見積書・請求書・契約書など、取引にまつわる文書全般の作り方を学べます。
発注書は面倒な事務作業ではなく、あなたを守る盾
最後に一番伝えたいことをお話しします。発注書は「面倒な事務作業」ではありません。あなたを外注トラブルから守る盾であり、同時に、安く・安心して仕事を任せるための道具です。
冒頭の13項目をきちんと押さえ、依頼内容を具体的に書き、金額と条件を明確にする。社内では発注申請で承認を取り、社外には承認された内容と同じ発注書を出す。たったこれだけで、冒頭のEC事業者の方が経験したような「イメージと違う」「追加費用を請求された」というトラブルの大半は防げます。そして下請法やフリーランス新法の知識を持っておけば、発注者としての法的リスクも避けられます。
条件を明確にした誠実な発注は、優秀なフリーランスとの長い信頼関係の入口になります。中間マージンのない直接取引で、双方が得をする関係を築いていく。その第一歩が、この記事で解説した1枚の発注書です。無料テンプレートから始めて構いません。まずは次の外注から、発注書を交わす習慣をつけてみてください。
よくある質問
Q. 発注書に必ず書かなければならない項目は何ですか?
書類名(発注書)、発行日、発注者・受注者の情報、発注内容(品名・仕様・数量)、単価・金額・消費税、納期、納品方法、支払い条件が基本の必須項目です。下請法の対象取引では、給付内容・受領期日・検査期日・下請代金額・支払期日・支払方法などの明示が法律で義務付けられています。
Q. 発注書と注文書は何が違いますか?
発注書と注文書は基本的に同じ意味の書類で、業界によって呼び方が違うだけです。どちらも発注者が「この内容・条件で依頼します」と受注者に正式に伝える書面を指します。記載すべき項目や果たす役割に違いはないため、取引先が使っている名称に合わせれば問題ありません。
Q. 発注書に収入印紙は必要ですか?
通常の一方的な発注書には収入印紙は不要です。ただし、双方の署名押印があり継続的取引の基本契約に相当する内容を含む場合は、課税文書として印紙が必要になることがあります。判断に迷う場合は国税庁の情報を確認するか、税理士に相談すると確実です。電子発行なら印紙税はかかりません。
Q. フリーランスに直接発注すると仲介会社より安くなりますか?
一般的に、代理店や制作会社などの仲介を通すと中間マージンが上乗せされるため、フリーランスへ直接依頼するほうが同じ予算でより多く頼めます。ただし直接依頼では発注者自身が相手の見極めや発注書の作成を担う必要があります。発注書で条件を明確にしておけば、その手間を抑えて安心して直接取引ができます。
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入力は3分ほど。掲載料も取引手数料も0円です。@SOHOに登録しているフリーランス・副業ワーカーから、早ければ当日中に最初の応募が届きます。
この記事について
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監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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