住宅ローン審査でココを突かれる!確定申告書の見方個人事業主向けチェック集


この記事のポイント
- ✓確定申告書の見方個人事業主向けに
- ✓住宅ローン審査で銀行が見るポイントや年収の正確な読み取り方を実務目線で解説
- ✓青色申告特別控除の扱いまで具体例でまとめます
住宅ローン審査、クレジットカード申込み、保育園の入園申請。個人事業主として書類を求められた時、「確定申告書の見方個人事業主」と検索している人の悩みはほぼ共通しています。「年収はどこを見ればいい?」「所得と収入の違いは?」「青色申告特別控除を加算する必要があるのか?」。独立5年目のフリーランスとして、銀行窓口や役所で書類説明に何度も立ち会った経験から、本記事では確定申告書の読み方を実務ベースで整理します。
確定申告書は4種類ある
個人事業主が提出する確定申告書は、用途別に以下の4種類に分かれます。
| 書式 | 用途 | 必要な人 |
|---|---|---|
| 第一表 | 基本情報・所得・税額の総括 | 全員必須 |
| 第二表 | 所得の内訳・住民税・扶養控除等の明細 | 全員必須 |
| 第三表(分離課税) | 株式譲渡・土地譲渡の所得 | 該当者のみ |
| 第四表(損失申告) | 赤字の繰越 | 該当者のみ |
加えて、青色申告の場合は「青色申告決算書」(4ページ)が添付されます。住宅ローン審査等では、第一表・第二表+青色申告決算書のセットで確認されるのが一般的です。
マクロ視点: 個人事業主の確定申告事情
国税庁の統計によれば、2024年の個人事業主(営業等所得者)の確定申告提出人数は約657万人、全申告者の約3割を占めます。この中で青色申告を選択しているのは約6割です。
令和5年分の申告所得税等の確定申告状況によれば、所得税の確定申告書を提出した人員は2,316万人で、このうち個人事業主(営業等所得者)は約657万人である。営業等所得者の平均所得金額は約431万円であった。
個人事業主の平均所得金額は約431万円。ただしこの金額は「経費・控除を差し引いた後」の所得なので、売上ベースで見るとさらに大きな数字になります。この「所得と売上の関係」を理解することが、確定申告書を正しく読むための第一歩です。
確定申告書 第一表の見方(ゾーン別)
第一表は4つのゾーンに分かれています。それぞれの役割を押さえれば全体像がつかめます。
ゾーン1: 収入金額等(項目①〜⑦)
「収入金額」は売上の合計(経費控除前)。個人事業主なら**「事業 営業等 ①」**に売上が記載されます。給与所得やその他の所得もある場合、それぞれの欄に記入。
住宅ローン審査で銀行が最初に見るのはこの「①」の数字。売上ベースの事業規模を把握されます。
ゾーン2: 所得金額等(項目⑧〜⑫)
「所得金額」は収入から必要経費を差し引いた金額。個人事業主の場合、**「事業 営業等 ⑧」**がメインです。
ここが一般的な「年収」に最も近い概念。ただし青色申告者は要注意。
ただし、青色申告者の場合は注意が必要です。「所得金額等」には、すでに青色申告特別控除額が控除されています。そのため、実際の年収を算出するには、青色申告特別控除額(65万円・55万円・10万円)を加算しなければなりません。
65万円控除を受けている人が「年収」を聞かれたら、第一表の⑧+青色申告特別控除65万円を加算した金額が実質的な年収ベース。
ゾーン3: 所得から差し引かれる金額(項目⑬〜㉚)
基礎控除・社会保険料控除・生命保険料控除・ふるさと納税など、所得控除の内訳が並びます。**「合計 ㉚」**が総控除額。ここを最大化するのが節税のコツ。
ゾーン4: 税金の計算(項目㉛以降)
ここでは、所得税の計算や税額控除の記入を行います。実際の納税額(もしくは還付される金額)も記入する項目なので、計算ミスがないように注意しましょう。まず、「課税される所得金額㉛」の欄には、(2)所得金額等の「合計⑫」から、(3)所得から差し引かれる金額の「合計㉚」の金額を差し引いた金額(1,000円未満を切り捨てた金額)を記入します。
「課税される所得金額 ㉛」から税率を掛けて所得税額を算出する部分です。住宅ローン審査では「所得税額」(項目㊻付近)も見られます。
「年収」の正しい答え方
個人事業主が「年収を聞かれた」時の答え方には、場面ごとの正解があります。
住宅ローン審査
銀行は「所得金額 ⑧」を年収と見なすのが基本。さらに青色申告特別控除を加算した金額が実質年収。直近3期分の確定申告書控えを求められるので、大きく変動している場合は説明資料を別途用意。
保育園の入園申請
市区町村の保育料算定は「所得金額 ⑧」をベースに計算されます。控除前の所得金額が高いと保育料も上がるため、控除の最大化が保育料節約に直結。
クレジットカード申込み
「年収」記入欄には、所得金額 ⑧+青色申告特別控除の合算で答えるのが実務的。カード会社によっては売上(収入金額 ①)でOKなところも。
日常の会話
社会的な「年収」の認識は会社員の総支給額(額面)に近いので、個人事業主が「年収◯万円です」と言う時は所得金額 ⑧+控除を合算するのが自然。
住宅ローン審査での銀行の見るポイント
金融機関が個人事業主の確定申告書でチェックするのは、以下の5項目が中心です。
1. 売上の安定性(収入金額 ①の過去3期推移)
売上が右肩上がりか、安定か、減少傾向か。急激な変動は説明を求められます。
2. 所得金額 ⑧の水準
借入希望額の8倍〜10倍以内に収まっているか。年収400万円なら借入上限3,200万円〜4,000万円が目安。
3. 経費率(収入金額 ①−所得金額 ⑧)
同業他社の相場から大きく外れていないか。経費率が異常に高いと「所得圧縮のための経費水増し」を疑われます。
4. 社会保険料・税金の未納
国民年金・国民健康保険料・所得税・住民税の滞納歴は審査に直結。確定申告書とは別に納税証明書を提出させられます。
5. 本業と副業のバランス
本業所得が安定しているほど審査は通りやすい。副業収入が多すぎると「将来的に減少するリスク」と評価される。
私自身、フリーランス3年目に住宅ローン審査を受けた時、第一表の「①」が売上600万円、「⑧」が所得350万円で、銀行から「経費率42%は業界平均より少し高めです、内訳を教えてください」と聞かれた経験があります。Webエンジニアは業務上の経費が比較的少ない業種のため、経費率が3割程度が標準という認識を銀行は持っていました。青色申告決算書のページで経費の内訳を説明してクリア。
青色申告決算書の4ページ構成
青色申告を選んでいる場合、確定申告書第一表・第二表に加えて「青色申告決算書」(4ページ)も提出します。
| ページ | 内容 | 住宅ローン審査での重要度 |
|---|---|---|
| 1枚目 | 損益計算書 | 高 |
| 2枚目 | 月別売上・仕入・給料賃金の内訳 | 高 |
| 3枚目 | 減価償却費・地代家賃の内訳 | 中 |
| 4枚目 | 貸借対照表・製造原価の計算 | 高 |
特に1枚目の損益計算書と4枚目の貸借対照表は、銀行員が熟読するページ。貸借対照表の「元入金」(個人事業主の資本にあたる)の推移で事業の財務健全性が見えます。
実務での気付き: 経費処理の罠
フリーランス仲間から聞いた「確定申告書作成での失敗」は、経費の扱いに集中しています。
失敗1: 車両購入費の一括計上 業務用の車を200万円で買ってその年に全額経費計上→税務調査で減価償却が必要と指摘され修正申告。
失敗2: 家事按分の過剰計上 自宅の家賃を90%事業経費として計上→調査で按分率の根拠不足と判定され税額追加。
失敗3: 接待交際費の過剰計上 飲食代のレシートを全て経費処理→業務関連性の不明な支出と判断されて否認。
これらは個人事業主によくあるミスで、確定申告書を読む側(銀行・税務署)も警戒しています。節税の詳細は確定申告 節税完全ガイドで包括的に解説していますが、「合理的な範囲で経費計上する」バランス感覚が大事。
所得の種類と確定申告書の記入欄
個人事業主でも複数の所得がある場合、それぞれ記入欄が違います。
・事業所得: 第一表「事業 営業等」 ・不動産所得: 第一表「不動産」 ・給与所得: 第一表「給与」(元会社員で退職後に個人事業主になった場合等) ・雑所得: 第一表「雑 その他」(副業の少額所得など) ・配当所得: 第一表「配当」
特に複数の所得がある人は、どの所得で区分すべきか迷う場面があります。フリーランスの業務委託収入は事業所得、単発の講演料は雑所得、といった線引きの判断は税理士に相談するのが確実です。
・年間所得300万円未満: 約38% ・年間所得300〜600万円: 約34% ・年間所得600〜1,000万円: 約19% ・年間所得1,000万円超: 約9%
年間所得1,000万円を超えると消費税課税事業者や法人化の検討タイミング。この辺りの判断は売上1000万円超えたらやるべきこと5選で詳しく整理しています。
職種別ではAIコンサル・業務活用支援のお仕事やAI・マーケティング・セキュリティのお仕事、アプリケーション開発のお仕事といったIT系案件のフリーランスが、平均所得でも上位のゾーンに位置しています。職種別の詳細な単価相場はソフトウェア作成者の年収・単価相場や著述家,記者,編集者の年収・単価相場で確認できます。
税務リテラシーと単価の相関
確定申告書を自分で読めるフリーランスは、経費計上や控除の最適化で年間数万円〜数十万円の差が出ます。この節税効果は、スキルを磨いて単価を1〜2割上げるのと同等以上の効果。技術資格としてCCNA(シスコ技術者認定)やビジネス文書検定を取得して単価を上げつつ、税務の読解力を並行して身につけるのが効率的です。海外移住を検討するフェーズになったらリタイアメントビザからタイ・エリートまでも参考材料になります。
公的機関・関連参考情報
本記事の内容に関連する公的機関や信頼できる情報源は以下の通りです。最新情報は公式サイトで確認してください。
よくある質問
Q. 個人事業主の場合、「年収」を聞かれたら確定申告書のどこを見ればいいですか?
場面によって答え方が異なりますが、住宅ローン審査や保育園の入園申請などで公的に「年収(所得)」を求められた場合は、第一表の「所得金額等 ⑧(事業 営業等)」の金額が基準となります。ただし、青色申告をしている場合はこの金額からすでに青色申告特別控除額(最大65万円など)が差し引かれているため、実質的な年収を算出するには「所得金額等 ⑧ + 青色申告特別控除額」を加算した金額で答えるのが実務的です。
Q. 「収入」と「所得」の違いは何ですか?
「収入(確定申告書 第一表の①など)」は、事業で得た売上の総額(経費などを差し引く前の金額)を指します。一方「所得(第一表の⑧など)」は、収入から事業にかかった必要経費を差し引いた、手元に残る利益(儲け)のことを指します。
Q. 住宅ローンの審査では、銀行は確定申告書のどの数字をチェックしていますか?
銀行は主に、過去3期分の「収入金額 ①(売上の安定性)」、「所得金額 ⑧(借入希望額に対する返済能力)」、そして収入から所得を引いた「経費率(同業他社と比べて不自然に経費を水増ししていないか)」などを中心にチェックしています。
Q. 確定申告書は数種類あるようですが、どれを提出すればいいのでしょうか?
全員が必須となるのは基本情報や所得・税額をまとめた「第一表」と、所得の内訳や控除の明細を記載する「第二表」です。これらに加え、青色申告を選択している場合は4ページ構成の「青色申告決算書」も一緒に提出(または審査等で提示 )する必要があります。

この記事を書いた人
前田 壮一
元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身
大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。
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