手作り石鹸を販売するときに必要な化粧品の許可|届け出先と売り場の選び方

吉田 沙織
吉田 沙織
手作り石鹸を販売するときに必要な化粧品の許可|届け出先と売り場の選び方

この記事のポイント

  • ✓手作り石鹸を販売するときに必要な化粧品製造業と化粧品製造販売業の許可
  • ✓相談先となる都道府県の薬務課
  • ✓台所用・洗濯用石けんの表示ルール

手作り石鹸を販売したいと考えて調べ始めると、「許可が必要」「雑貨として売れば大丈夫」「少量なら問題ない」と、正反対の情報が並んでいて戸惑う人が多いはずです。

先に結論を書きます。手や体、顔を洗うための石鹸は、手作りであっても、法律の上では「化粧品」に当たります。化粧品を作って販売するには、化粧品製造業と化粧品製造販売業という2つの許可が必要です。インターネットやバザー、イベントで売る場合も同じで、作る量が少なくても対象になります。

この記事では、法律の条文と都道府県の案内をもとに、許可が必要な理由、許可を取るための条件、相談先、台所用や洗濯用の石けんとして売る場合の表示のルール、許可を取ったあとの売り場の選び方までを順に整理します。

手作り石鹸は「化粧品」に当たる

手作り石鹸の販売で最初に押さえておくべきなのは、体を洗う石鹸が法律の上でどう扱われるかです。医薬品や化粧品について定めた法律(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律。略して薬機法)の第2条は、化粧品を次のように定めています。

この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。 出典: e-Gov 法令検索(医薬品医療機器等法)

「人の身体を清潔にし」と書かれているとおり、手や体を洗うための石鹸は、この定義に当てはまります。神奈川県の薬務課のページでも、石けんは体を清潔にすることを目的とする場合には化粧品(清浄用化粧品)に当たり、インターネットやバザーなどで販売する場合も規制を受けると説明されています。

三重県の薬務課の案内では、手洗いや体を洗うための石けんを許可なく作り、他の人に販売することは規制の対象で、作る量が少なくても対象になると書かれています。「趣味の延長で少しだけ売る」という場合も、例外にはなりません。

自分で使うだけなら対象外

一方で、自分で作った石鹸を自分で使うことは、規制の対象ではありません。手作り石鹸の教室に通ったり、自宅で作って家族で使ったりすることは問題ありません。問題になるのは、他の人に「販売」する場合です。

必要な許可は2つ

体を洗う石鹸を作って販売するには、化粧品製造業と化粧品製造販売業の2つの許可が必要です。神奈川県の薬務課は、身体を清浄にすることを目的とする石けんを製造して販売する場合には、この2つの許可を取得する必要があると案内しています。

許可 何のための許可か 主な条件(三重県の案内より)
化粧品製造業 石鹸を作る(製造する) 責任技術者を配置すること、製造所の構造設備が基準に合うこと
化粧品製造販売業 作った製品を自分の責任で市場に出す 総括製造販売責任者を配置すること、品質管理と安全管理の基準に合うこと

化粧品製造業の許可

製造業の許可は、石鹸を作る場所(製造所)ごとに与えられます。法律の第13条には、製造業の許可を受けた者でなければ、業として化粧品を製造してはならないと書かれています。三重県の案内によると、許可を取るには、責任技術者を配置することと、製造所の構造設備が薬局等構造設備規則という基準に合っていることが必要です。

化粧品製造販売業の許可

製造販売業とは、作った製品を自分の責任で市場に出すことです。法律の第12条には、この許可を受けた者でなければ、業として化粧品の製造販売をしてはならないと書かれています。三重県の案内によると、許可を取るには、総括製造販売責任者を配置することと、GQP省令とGVP省令に適合することが必要です。GQPは製品の品質を管理する決まり、GVPは販売したあとの安全を管理する決まりのことです。

責任者になれる人の条件

三重県の案内では、総括製造販売責任者と責任技術者の例として「大学で化学に関する専門課程を修了した者等」が挙げられています。つまり、誰でもすぐに責任者になれるわけではなく、学歴や経験の条件があります。自分が条件に当てはまるか、当てはまらない場合にどうすればよいかは、都道府県の薬務課に相談して確かめてください。

許可がないまま販売した場合の罰則

許可を取らずに化粧品を製造販売した場合は、法律で罰則が定められています。

・化粧品製造販売業の許可なしに製造販売した場合(第12条の違反):第84条により、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方 ・化粧品製造業の許可なしに製造した場合(第13条の違反):第86条により、1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方

「懲役」と書かれた古い情報もありますが、刑法の改正で、現在の条文では「拘禁刑」と書かれています。

神奈川県の薬務課のページには、無許可で製造された石けんを販売することも禁止されていると書かれています。自分で作っていなくても、許可のない人が作った石鹸を仕入れて売ることも問題になる点に注意してください。

「雑貨」として売れば許可はいらないのか

「化粧品ではなく雑貨として売れば許可はいらない」という情報を見かけることがあります。この考え方には大きな落とし穴があります。

神奈川県の薬務課の説明は、石けんが化粧品に当たるかどうかを、体を清潔にすることを「目的とする」かどうかで判断しています。商品名や分類の欄に「雑貨」と書いても、実際に体を洗うために売っていれば、化粧品として扱われる可能性があります。商品の説明で「肌にやさしい」「洗顔に使える」などと書けば、体に使う目的がはっきりします。

台所用・洗濯用の石けんとして売る場合

台所用の石けんや洗濯用の石けんは、薬機法の化粧品には当たりません。三重県の案内でも、台所用石けんや洗濯用石けんは薬機法の規制は受けないものの、家庭用品品質表示法などの適用を受け、販売するときは適切な品質表示が必要だと書かれています。

家庭用品品質表示法とは、消費者が商品を選ぶときに困らないよう、決められた家庭用品に品質の表示を求める法律です。消費者庁の「洗濯用又は台所用の石けん」の案内では、次のような決まりが示されています。

・洗濯用の石けんは、純石けん分の重さが界面活性剤全体の重さの70%以上のものに限る ・台所用の石けんは、純石けん分の重さが界面活性剤全体の重さの60%以上のものに限る ・品名は「洗濯用石けん」「洗濯用複合石けん」「台所用石けん」「台所用複合石けん」の中から使い、それ以外の品名は使えない ・界面活性剤の成分を、決められた用語と含有率で表示する ・表示した者の名前などを付記する

純石けん分とは、石けんの洗う力のもとになる成分のことで、その割合は日本産業規格(JIS)の試験方法で求めると説明されています。ある石けんの販売店は、この点を次のように書いています。

洗濯用石けん、もしくは台所用石けんとして認められるには、きちんと成分分析をしたうえで上記の基準を満たさなければなりません。なお成分分析の結果は、たとえば「純石けん分(30%、脂肪酸カリウム)」といった具合にラベル表記することが義務付けられています。 出典: togashi1957.com

つまり、台所用や洗濯用の石けんとして売る場合も、成分を正しく調べて表示する必要があり、「許可がいらないから簡単」というわけではありません。しかも、台所用として売った石鹸をお客様が体を洗うのに使うことを前提にした説明をすれば、化粧品として扱われるおそれがあります。

許可を取るまでの流れ

体を洗う石鹸を販売したい場合の、許可を取るまでの流れを整理します。

ステップ1:都道府県の薬務課に相談する

最初にすべきことは、住んでいる都道府県の薬務課(薬務担当の課)に相談することです。神奈川県は「手作り石けんを製造しようとする方は、薬務課にご相談ください」と案内しており、三重県も同じように薬務課を問い合わせ先にしています。許可の申請先、必要な書類、手数料、製造所の基準は、都道府県によって案内の仕方が違うことがあるので、必ず自分の地域の窓口で確かめてください。

ステップ2:責任者を確保する

総括製造販売責任者と責任技術者の条件に、自分が当てはまるかを確かめます。当てはまらない場合は、条件を満たす人に加わってもらう必要があります。

ステップ3:製造所を整える

石鹸を作る場所を、薬局等構造設備規則の基準に合わせて整えます。自宅の台所をそのまま製造所にできるかどうかは、基準と照らし合わせて薬務課に確認が必要です。生活の場と製造の場を分けることを求められる場合もあります。

ステップ4:品質と安全の管理の仕組みを作る

製造販売業の許可には、品質管理(GQP)と販売後の安全管理(GVP)の決まりに合った体制が必要です。手順書を作り、記録を残す仕組みを整えます。

ステップ5:申請して許可を受ける

書類をそろえて申請し、審査と製造所の確認を経て許可を受けます。許可を受けたあとも、製品ごとに必要な届出や、法律に合った表示が求められます。

薬務課に相談に行く前に準備しておくこと

薬務課への相談を実りあるものにするには、自分の計画を整理してから行くことが大切です。準備しておきたい内容を挙げます。

  1. 作りたい石鹸の種類(体を洗う石鹸、洗顔用、台所用など)と、使う目的
  2. 使う予定の材料と、おおまかな配合
  3. 作る場所の情報(自宅のどの部屋か、広さ、水回りの設備)
  4. 1か月に作る予定の数と、販売する方法(ネット、イベント、委託など)
  5. 自分の学歴や経験(責任者の条件に当てはまるかを確かめるため)
  6. 製造を外部に頼む可能性があるかどうか

この内容をメモにまとめて持参するか、事前に送っておくと、担当者からの説明が具体的になり、自分に必要な手続きがはっきりします。相談は一度で終わらないことも多いので、聞いた内容は日付とともに記録しておきましょう。

相談の結果、許可を取るのが難しいと分かることもあります。その場合でも、台所用の石けんとして表示のルールを守って売る、製造を外部に頼む、教室や情報発信に力を入れるなど、別の道を考える材料になります。早い段階で相談すれば、材料や道具を買いそろえたあとで計画を変えるといった無駄も避けられます。

製造を外部に頼む方法

自分で許可を取るのが難しい場合は、化粧品の製造の許可を持つ会社に、石鹸の製造を頼む方法もあります。一般に「OEM」と呼ばれる方法で、自分の考えた石鹸の配合やデザインをもとに、許可を持つ会社が製造します。

この方法なら、自分で製造所を整える必要はありません。ただし、最低の製造数が決まっていることが多く、少量だけ作りたい人には向かないこともあります。また、製造を頼んだ場合に、自分の立場がどうなるのか、自分でどんな手続きが必要になるのかは、契約の形によって変わります。依頼先の会社と都道府県の薬務課に確かめてから進めてください。

手作り石鹸の販売でよくある誤解

手作り石鹸の販売については、インターネット上に誤った情報も多く残っています。よく見かける誤解を整理しておきます。

誤解1:手作りなら化粧品ではない

化粧品かどうかは、作り方ではなく、使う目的で決まります。工場で作られた製品でも、自宅のキッチンで作った石鹸でも、体を洗う目的なら化粧品です。神奈川県の薬務課のページは、手作り石けんがブームになる中で、許可を得ずに製造された製品が販売されている状況に注意を呼びかけています。

誤解2:売上が小さければ届け出だけで済む

売上の額によって許可が不要になる決まりはありません。三重県の案内にあるとおり、作る量が少なくても対象になります。

誤解3:材料を販売して、お客様が自分で作れば問題ない

石鹸を作るための材料を販売すること自体と、完成した石鹸を販売することは別の話です。ただし、苛性ソーダのように扱いに注意が必要な材料を販売する場合は、その材料にかかわる別の決まりがあることもあります。材料の販売を考える場合も、扱う品ごとに決まりを確かめてください。

誤解4:販売サイトが出品を認めていれば合法

ハンドメイドの販売サイトに出品できたからといって、法律の上で問題がないことにはなりません。サイトの審査は、法律の許可の有無をすべて確かめるものではないからです。法律を守る責任は、売る側にあります。

誤解5:許可を持つ人から完成品を買って、自分のラベルを貼れば売れる

完成した石鹸に自分のラベルを貼り直したり、小分けにして包装し直したりする作業は、製造の工程に当たる場合があります。こうした作業を考えている場合は、どの許可が必要になるかを薬務課に確認してください。

許可を取る前に試算しておきたいこと

許可を取るには、時間も費用もかかります。申請を始める前に、事業として成り立つかを試算しておきましょう。

1か月に何個作って売るのか

まず、1か月あたりに作れる数と、売れる見込みの数を考えます。手作り石鹸は、作ってから使えるようになるまでに熟成の期間が必要な作り方もあり、その間の保管の場所も必要です。作る数を増やすほど、保管と品質管理の手間も増えます。

許可と維持にかかる費用

申請の手数料、製造所を基準に合わせるための設備の費用、責任者を確保するための費用、品質管理の記録や検査にかかる費用などを書き出します。手数料の額は都道府県によって違うので、薬務課で確かめてください。許可には有効期間があり、更新の手続きと費用も必要になります。

回収できるまでの期間

費用の合計を、1個あたりの利益で割ると、何個売れば回収できるかが分かります。それを1か月に売れる見込みの数で割れば、回収までの期間の目安になります。回収までに何年もかかる計算になる場合は、販売の形を見直すか、製造を外部に頼む方法を考えたほうがよいかもしれません。

商品の表示と広告で気をつけること

許可を取ったあとも、商品の表示と広告には決まりがあります。

表示

化粧品には、法律にもとづく表示が必要です。神奈川県の薬務課のページにも、石けんの販売にあたっては法律にもとづく適切な表示がなされている必要があると書かれています。成分の表示の仕方や、製造販売業者の名前の書き方など、具体的な内容は薬務課の案内で確かめてください。

広告の表現

化粧品の広告で使える効能の表現には範囲があります。「ニキビが治る」「アトピーに効く」「殺菌する」のように、病気を治す、予防するといった表現は、化粧品の範囲を超えます。殺菌や消毒をうたう石鹸は、化粧品ではなく医薬部外品として、別の許可と承認が必要になる場合があります。

手作り石鹸の魅力を伝えるときは、使っているオイルの種類、香り、色、形、作り方へのこだわりなど、事実として伝えられることを中心にしましょう。使った人の感想を紹介する場合も、効能をうたう内容になっていないかを確かめてください。

許可を取ったあとの売り場の選び方

許可を取ったあとは、どこで売るかを決めます。主な売り場と、その特徴を整理します。

ハンドメイドの販売サイト

minneやCreemaなどのハンドメイドの販売サイトは、作品を探しているお客様が多く集まる場所です。各サイトの公式の案内で確かめた手数料は次のとおりです(2026年9月時点)。

・minne:作品価格と購入オプション価格と送料の合計の10.659%(税込)。振込手数料は220円 ・Creema:成約手数料は決済総額の10.67%(税込)。出店料と出品料は無料

化粧品の出品については、各サイトが規約で扱いを決めています。許可の情報の記載を求めるなど、出品の条件があることが多いので、出品の前に必ず規約を確かめてください。

自分のネットショップ

BASEなどのサービスを使えば、自分のネットショップを開けます。BASEのスタンダードプランは、月額の固定費が0円で、決済手数料3.6%+40円とサービス手数料3%がかかります。自分のショップは、ブランドの世界観を自由に作れる一方、集客は自分で行う必要があります。

イベントやマルシェ

対面で販売するイベントやマルシェは、香りや手触りを直接確かめてもらえる利点があります。出店の条件として、許可の確認を求める主催者もあります。

実店舗への委託販売

雑貨店やセレクトショップに商品を店頭に並べてもらい、売れた分の代金を受け取る方法です。店舗の側も、化粧品を扱う以上、許可を持った製造販売業者の製品であるかを確かめるのが一般的です。

購入者からの問い合わせと、肌の不調への対応

化粧品を販売すると、購入者から「肌に合わなかった」「かゆみが出た」といった連絡を受けることがあります。こうした連絡にどう対応するかも、化粧品を売る者の大切な責任です。

製造販売業の許可の条件になっているGVPは、販売したあとの安全を管理する決まりです。購入者から肌の不調の連絡を受けたときに、内容を記録し、原因を調べ、必要な対応を取る仕組みを持っておくことが求められます。具体的に何をどこまで行うかは、薬務課の指導と、自分で作った手順書に従います。

購入者への対応で気をつけたい点を挙げます。

・連絡を受けたら、まず使用をやめてもらい、症状が続く場合は医療機関の受診を勧める ・肌の状態について、自分で診断したり、治療の方法を助言したりしない ・いつ、どの商品を、どのように使ったかを聞き取り、記録に残す ・同じ製造の時期の商品で、ほかにも連絡がないかを確かめる

商品の説明には、使用上の注意として、肌に異常が出たら使用をやめることや、傷や湿疹のある部分には使わないことなどを書いておくと、購入者が判断しやすくなります。

商品説明の書き方とブランドづくり

手作り石鹸は、同じような商品が数多く並ぶ分野です。法律の範囲の中で、自分の石鹸の魅力を伝える説明文を書く工夫が必要です。

作り手の考えを伝える

なぜその材料を選んだのか、どんな人に使ってほしいのか、作るときに何を大切にしているのかを、自分の言葉で書きます。効能をうたえない分、作り手の考えや物語が、商品を選ぶ理由になります。

事実を具体的に書く

使っているオイルの名前と割合、香りの種類、重さ、大きさ、包装の形など、確かめられる事実を具体的に書きます。あいまいな表現より、具体的な事実のほうが信頼されます。

シリーズとして見せる

香りや色の違う石鹸をシリーズとして並べると、お客様が選ぶ楽しさが生まれ、まとめて買ってもらえるきっかけにもなります。ラベルや包装のデザインをそろえると、ブランドとして覚えてもらいやすくなります。

販売サイトの規約で確かめたい点

ハンドメイドの販売サイトやネットショップのサービスで石鹸を売る前に、規約で確かめておきたい点を整理します。

・化粧品の出品が認められているか、認められている場合の条件は何か ・許可の番号や製造販売業者の名前を、商品ページに記載する必要があるか ・出品の前に審査や書類の提出を求められるか ・商品の説明で使ってはいけない表現が定められているか ・購入者から肌の不調の連絡があったときの対応の流れが決められているか

規約は改定されることがあります。一度確かめたあとも、サイトからのお知らせに目を通し、条件が変わっていないかを定期的に確かめましょう。複数のサイトに出品する場合は、それぞれの規約の違いを一覧にしておくと管理しやすくなります。

保管と発送で品質を守る

手作り石鹸は、保管と発送の仕方によって品質が変わることがあります。購入者の手元に良い状態で届けるための注意点を整理します。

保管

湿気の多い場所に保管すると、石鹸の表面に水分が浮いたり、香りが弱くなったりすることがあります。直射日光や高温を避け、風通しのよい場所で保管しましょう。製造した日や製造の番号を記録し、どの商品がいつ作られたものかを追えるようにしておくことは、品質管理の基本でもあります。

包装

石鹸の香りがほかの物に移らないよう、また購入者の手元に届くまでに傷がつかないよう、個別に包装します。包装に使う素材によっては、石鹸の状態に影響することもあるので、実際に保管して試してから選ぶと安心です。

発送

小さく軽い商品なので、ポストに届く配送の方法を選ぶと、送料を抑えられます。ただし、夏場の高温や、配送中の衝撃で形が崩れることもあります。季節に合わせて梱包を変え、緩衝材を十分に使いましょう。送料を商品の値段に含めるか、別にもらうかは、販売サイトの手数料の対象とあわせて考えます。minneのように送料も手数料の対象になるサイトもあるので、値付けのときに計算に入れておきます。

売れる商品写真の撮り方

ネットで石鹸を売るとき、お客様が判断する材料は写真と説明文だけです。石鹸の魅力を伝える写真の基本を紹介します。

自然な光で撮る

窓から入るやわらかい光で撮ると、石鹸の色や質感が自然に写ります。直射日光は影が強く出るので、レースのカーテン越しの光が扱いやすくなります。

断面と質感を見せる

手作り石鹸の魅力の1つは、断面の模様や、表面の質感です。カットした断面を近くから撮った写真を入れると、他の商品との違いが伝わります。

大きさが分かる写真を入れる

石鹸だけを撮ると、大きさが分かりません。手に持った写真や、ものさしなど大きさの分かる物と一緒に撮った写真を入れると、お客様が実物を想像しやすくなります。

背景をそろえる

ショップに並ぶ写真の背景や明るさをそろえると、全体の印象が整い、ブランドとして覚えてもらいやすくなります。写真の見せ方は、デザインの考え方と共通しています。デザインの仕事の相場や考え方は、デザイナーの年収・単価相場で確認できます。

値付けの考え方

手作り石鹸の値段は、材料費だけで決めると、続けられない価格になりがちです。考えるべき費用を整理します。

  1. 材料費(オイル、苛性ソーダ、精油、添加物など)
  2. 包装の費用(箱、ラベル、緩衝材)
  3. 作る時間と、熟成させる期間の保管の手間
  4. 許可を取り、維持するための費用
  5. 品質管理の記録や検査にかかる費用
  6. 販売サイトの手数料と送料

特に、許可の取得と維持の費用は、趣味の手作りにはない費用です。これを販売の数で割って、1個あたりの値段に含める必要があります。何個売れれば費用を回収できるかを計算してから、値段を決めましょう。

値段を決めるときは、販売サイトの手数料が値段のどこにかかるかも確かめます。たとえば、minneは作品価格と購入オプション価格と送料の合計に手数料がかかり、Creemaは決済総額に手数料がかかります。同じ値段で売っても、手元に残る金額は売り場によって変わります。売り場ごとに、値段から手数料と送料と振込手数料を引いた額を計算し、どこで売ると利益が残るかを比べておきましょう。

また、安く売りすぎると、品質管理や購入者への対応にかける時間が取れなくなります。手作り石鹸は、量産品と同じ値段で競うのではなく、作り手の考えや材料へのこだわりに納得したお客様に選ばれる商品です。自分が続けられる値段をつけることが、結果として品質を守ることにつながります。

許可を取らずに石鹸作りを仕事に活かす方法

許可を取るのが難しい場合でも、石鹸作りの知識や技術を活かす方法はあります。

手作り石鹸の教室を開く

参加者が自分で石鹸を作り、自分で使うために持ち帰る教室は、販売とは性格が違います。ただし、苛性ソーダなど扱いに注意が必要な材料を使うため、安全の管理には十分な配慮が必要です。教室の形が販売に当たらないかなど、判断に迷う場合は薬務課に確認してください。

石鹸作りの情報を発信する

作り方のコツ、材料の選び方、安全な扱い方などを、ブログや動画で発信する方法もあります。発信を続けることで、教室の集客や、文章の仕事につながることもあります。

写真や文章の力を活かす

石鹸の撮影や説明文づくりで身につけた力は、他のハンドメイド作家やネットショップの商品写真、商品説明の仕事にも活かせます。在宅で取れる資格や身につけられる技術を広く知りたい人は、在宅ワークに強い資格10選|自宅で稼げるスキルを身につけるも参考にしてください。

在宅ワーク市場から見た、手作り品の販売の続け方

フリーランスと在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見ると、手作り品の販売を長く続けている人は、作る技術と同じくらい、法律や表示の決まりを最初に確かめることに時間を使っています。石鹸のように法律の規制がある商品で、あとから問題に気づいて販売をやめざるを得なくなった例は少なくありません。始める前に窓口に相談することが、結果として一番の近道になります。

また、個人で商品やサービスを売るときは、間に入る手数料の差が手取りに直結します。依頼者や購入者と直接やり取りできる形なら、中間マージンが乗らない分、相手は同じ予算で多くを頼め、受け手の手取りは厚くなります。手数料0%で直接取引できる場は、商品写真の撮影や説明文の作成など、販売を通じて身につけた技術を仕事として受けるときにも、無理のない条件で続けやすい選択肢です。

手作り石鹸の販売は、許可という高い壁がありますが、正しい手順を踏めば道は開けます。商品の案内文や販売ページの文章を整える力は、ビジネス文書の基本で身につけられます。ビジネス文書検定で文書の構成や言葉づかいを学んでおくと、販売ページや問い合わせへの返信の質も上がります。まずは都道府県の薬務課への相談から始めてください。

よくある質問

Q. 少量だけなら許可なしで手作り石鹸を販売してもよいですか?

手や体を洗うための石鹸は、手作りでも法律上の化粧品に当たり、作る量が少なくても販売には化粧品製造業と化粧品製造販売業の許可が必要だと、都道府県の薬務課が案内しています。インターネットやバザー、イベントでの販売も対象です。

Q. 雑貨として売れば許可はいりませんか?

化粧品に当たるかどうかは、体を清潔にすることを目的としているかで判断されます。商品名に雑貨と書いても、体を洗う目的で売っていれば化粧品として扱われる可能性があります。台所用や洗濯用の石けんとして売る場合は、家庭用品品質表示法にもとづく表示が必要です。

Q. 許可の相談はどこにすればよいですか?

住んでいる都道府県の薬務課(薬務担当の課)が相談先です。許可の申請先、必要な書類、責任者の条件、製造所の基準などを確かめられます。案内の仕方は都道府県によって違うことがあるので、自分の地域の窓口で確認してください。

Q. 許可なしで石鹸を販売するとどうなりますか?

化粧品製造販売業の許可なしに製造販売した場合は、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方と法律で定められています。許可のない人が作った石鹸を仕入れて売ることも問題になるので、仕入れる場合も相手の許可を確かめてください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年9月21日最終更新:2026年10月10日
吉田 沙織

この記事を書いた人

吉田 沙織@SOHO編集部

フリーランスカメラマン・レタッチャー

写真スタジオで5年間勤務後、フリーランスに独立。EC商品撮影・画像編集・レタッチを手がけ、写真・カメラ・画像編集系の記事を執筆しています。

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