眼科クリニックを辞めたいと思ったとき|出ていく前に切り分けておくこと

長谷川 奈津
長谷川 奈津
眼科クリニックを辞めたいと思ったとき|出ていく前に切り分けておくこと

この記事のポイント

  • ✓眼科クリニックを辞めたいと思ったときは
  • ✓不満がその院固有のものか
  • ✓眼科の外来という働き方全般のものかを先に切り分けることが大切です

眼科クリニックを辞めたい。 そう思ったとき、多くの人が最初にするのは、求人サイトを開くことです。でも、ちょっと待ってください。

先日、眼科クリニックで働く看護師さんから相談を受けました。 「毎日同じ検査の繰り返しで、看護師としての技術が落ちていく気がする。院長の機嫌で職場の空気が変わるのもつらい。もう辞めたい」と。話を聞いていくと、つらさの中身は3つに分かれていました。検査中心という業務の分け方の問題、院長とスタッフの関係の問題、そして、病棟に戻れなくなるのではという将来の不安です。

この3つは、それぞれ解決の方法が違います。 業務の分け方は、別の眼科に移れば変わるかもしれません。院長との関係は、その院に固有の問題です。将来の不安は、どの眼科に移っても消えない可能性があります。これを分けずに辞めてしまうと、次の職場で同じ悩みを抱えることになります。

これ、知らない人が本当に多いんです。 「辞めたい」の中身を切り分けておくことは、次の職場を選ぶためだけでなく、退職の手続きで自分を守るためにも役立ちます。

この記事では、眼科クリニックを辞めたいと思ったときに、出ていく前に切り分けておくことを順番にお話しします。 退職の段取りや、失業給付の考え方、次の職場の選び方までまとめたので、今の気持ちを整理する材料にしてください。

眼科クリニックで「辞めたい」が生まれやすい5つの構造

最初に、眼科クリニックという職場で「辞めたい」が生まれやすい構造を押さえておきます。 自分の悩みがこの中のどれに当たるかを考えると、切り分けがしやすくなります。

1つ目は、検査の比重の高さです。 眼科の患者さんの多くは、診察の前に視力、眼圧、屈折、視野、OCT(網膜の断面を撮る検査)などの検査を受けます。視能訓練士が少ない院では、看護師がこの検査を1日中担当することになります。点滴や採血の機会が少ないので、「看護師らしい仕事ができていない」と感じる方が出てきます。

2つ目は、待ち時間への不満を受け止める立場になることです。 眼科では、瞳を広げる目薬(散瞳薬)を使うと20〜30分ほど待ってもらう必要があり、受付の順番と診察の順番が入れ替わります。「後から来た人が先に呼ばれた」という不満は、受付や看護師が直接受け止めることになります。東京のあるクリニックも、受付の立場からこう書いています。

最後に待ち時間が長くなってしまうこともあり、心苦しく感じる場面もあります。それでも私たちは、「安心して診察を受けていただくこと」を何より大切にしています。もし分からないことや不安なことがありましたら、どうぞ遠慮なく受付・会計スタッフにお声がけください。これからも、患者さんにとって少しでも安心できるクリニックであり続けられるよう、スタッフ一同努めてまいります。 出典: csclinic.tokyo

3つ目は、小さなチームの距離の近さです。 眼科クリニックは、院長を含めて10人前後で回している院が多く、人間関係が合わないと逃げ場がありません。院長が医師であり経営者でもあるので、院長の考え方が職場の空気にそのまま表れます。

4つ目は、昼休みの手術です。 日帰りの白内障手術や硝子体注射を昼休みに行う院では、「休憩2時間30分」と書かれていても、実際に休めるのは1時間ほど、ということがあります。

5つ目は、忙しさの波の大きさです。 花粉症の時期、学校健診の後の子どもの受診が増える時期、休診日の翌日、手術日。忙しい時期が続くと、「ずっとこの忙しさが続くのでは」と感じて、辞めたい気持ちが強くなります。

この5つのうち、1つ目と5つ目は眼科の外来に共通する性質、2つ目と4つ目は院の体制でかなり変わる性質、3つ目はその院に固有の性質です。 次の節から、この違いを使って切り分けていきます。

切り分け1:その不満は「この院」固有か、「眼科の外来」全般か

最初の切り分けは、不満の原因が、今の院に固有のものか、眼科の外来という働き方全般のものか、です。

紙を1枚用意して、辞めたい理由を思いつくままに書き出してみてください。 書き出したら、1つずつ次の表に当てはめていきます。

不満の種類 今の院に固有の可能性が高い 眼科の外来全般の可能性が高い
業務の中身 看護師が検査ばかり担当している 点滴や採血の機会が少ない
忙しさ 人手が明らかに足りない 季節によって患者さんが大きく増える
休憩 昼休みの手術で毎日休めない 昼休みが長く拘束時間が長い
人間関係 特定の人との関係、院長の言動 小さな職場の距離の近さそのもの
給与 同じ地域の眼科の相場より低い 夜勤がないため病院より収入が低い
キャリア 教わる機会がまったくない 急性期の技術から離れることが不安

左の列に当てはまるものが多ければ、別の眼科クリニックに移ることで状況が変わる可能性があります。 右の列が多ければ、眼科以外の職場も視野に入れたほうが、納得できる結果になりやすいです。

眼科の場合、特に見分けておきたいのが「業務の中身」です。 同じ看護師でも、視能訓練士が何人もいる院では、看護師は手術、説明、処置が中心になります。視能訓練士がいない、または少ない院では、看護師が検査の大半を担います。つまり、「検査ばかりでつらい」は、眼科そのものではなく、今の院の体制の問題である可能性が十分にあります。

給与についても、比べる物差しを持っておきましょう。 看護師の年収・単価相場では、看護師の年収の水準が年齢や経験年数ごとに整理されています。今の給与が相場からどれくらい離れているかが分かると、「給与が低いから辞めたい」が院に固有の問題なのか、夜勤がない働き方の性質なのかを判断しやすくなります。

以前お手伝いした方は、書き出してみたら、辞めたい理由の8割が「昼休みに手術があって休めない」「片付けの時間が勤務時間に入っていない」という、その院の運用に関することでした。 眼科の仕事そのものは好きだったので、手術のない院に移ったところ、同じ眼科で落ち着いて働けるようになりました。書き出す作業は地味ですが、判断の精度はかなり上がります。

切り分け2:業務量と労働時間を、記録で確かめる

2つ目の切り分けは、忙しさの正体を、記録で確かめることです。 「毎日忙しい」「休めない」という感覚は、実際の数字にすると見え方が変わります。そして、この記録は、あとで退職の手続きや失業給付の判断で、自分を守る材料にもなります。

最低でも2週間、次の項目をメモしてみてください。

・出勤した時刻と、実際に仕事を始めた時刻 ・休憩を取り始めた時刻と、終えた時刻 ・診療が終わった時刻と、実際に退勤した時刻 ・その日の手術の有無と件数 ・いつもより忙しかった理由(花粉の時期、2診の日など)

ここで押さえておきたいのは、労働時間の考え方です。 労働時間とは、使用者の指揮命令の下に置かれている時間のことです。つまり、開院前の検査機器の立ち上げ、診療後の片付け、昼休み中の手術の介助は、指示されて行っているなら、すべて労働時間にあたります。「準備だから」「片付けだから」と勤務時間の外にされているなら、それは未払いの賃金になっている可能性があります。

休憩についても同じです。 労働基準法では、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を、労働時間の途中に与えることが義務づけられています。そして、休憩は労働から完全に離れて自由に使える時間でなければなりません。昼休みに電話番をしながら食事をしている、手術に呼ばれるかもしれないので待機している、という状態は、休憩とは言えません。

記録を2週間つけてみると、次のどちらかが見えてきます。 1つは、「忙しいのは特定の曜日や時期だけで、全体としては許容できる」という結果。もう1つは、「毎日決まって、休憩が取れず、勤務時間外の仕事がある」という結果です。

前者なら、忙しさの波を見通しながら働き続ける道があります。 後者なら、それは働き方の問題ではなく、院の労務管理の問題です。院長と話し合う根拠になりますし、改善されないまま辞める場合にも、記録が役に立ちます。

※未払いの賃金を請求したい場合や、労働時間の扱いが複雑な場合は、労働基準監督署や弁護士に相談してください。記録は、タイムカードの写しや、メモ、家族に送ったメッセージなど、日付が分かるものなら何でも材料になります。

切り分け3:人間関係の悩みは、ハラスメントにあたるかどうか

3つ目の切り分けは、人間関係の悩みが、相性の問題なのか、ハラスメントにあたるのか、です。 これを分けておくと、「我慢すべきことか、我慢しなくてよいことか」がはっきりします。

職場のパワーハラスメントについては、労働施策総合推進法で、事業主に防止のための措置を講じることが義務づけられています。 中小企業にも2022年4月から義務化されているので、小さなクリニックも対象です。

法律上、職場のパワーハラスメントは、次の3つをすべて満たすものとされています。

・優越的な関係を背景とした言動であること ・業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであること ・労働者の就業環境が害されるものであること

つまり、院長や先輩からの厳しい指導でも、業務上必要で相当な範囲なら、ハラスメントにはあたりません。 一方で、人格を否定するような言葉、ほかのスタッフの前で繰り返し怒鳴る、必要な情報をわざと伝えない、仕事を与えない、といった言動は、ハラスメントにあたる可能性があります。

眼科クリニックでよく聞くのは、次のような相談です。

状況 考え方
検査の手順の誤りを、その場で強く注意された 業務上の必要性がある。言い方が度を越していなければ指導の範囲
患者さんの前で「使えない」と繰り返し言われる 業務上必要な範囲を超えている可能性が高い
自分だけ手術の予定を教えてもらえない 業務に必要な情報を与えないことにあたる可能性がある
院長の機嫌で毎日空気が変わる 個別の言動を記録して判断する

もうひとつ、眼科ならではの悩みとして、患者さんからの強い言葉があります。 待ち時間への不満から、受付や看護師に大声を出す患者さんもいます。こうした顧客からの著しい迷惑行為、いわゆるカスタマーハラスメントについても、事業主に対策を義務づける法改正が行われ、職場としての対応が求められる方向になっています。

※ハラスメントにあたるかどうかの判断は、具体的な言動の内容や頻度によって変わります。つらい状況が続いている場合は、都道府県の労働局の総合労働相談コーナーや、弁護士に相談してください。

ここでも、記録が大切です。 いつ、誰が、どこで、どんな言葉を使ったか。その場に誰がいたか。メモでかまいません。相性の問題だと思って我慢していたことが、記録を並べてみると、繰り返されている不当な扱いだった、ということもあります。

切り分け4:キャリアの不安は、どこまでが本当の不安か

4つ目の切り分けは、キャリアの不安の中身です。 眼科クリニックで働く看護師から、いちばん多く聞くのがこの悩みです。「このまま眼科にいたら、病棟に戻れなくなるのでは」「採血や点滴の技術が落ちていく」。

この不安は、半分は本当で、半分は思い込みです。 本当の部分は、急性期の技術から離れると、手が慣れた感覚は薄れていく、ということです。点滴のルート確保や、急変時の対応を何年もしていなければ、戻ったときに勘を取り戻す時間は必要です。

思い込みの部分は、「眼科の経験が何の役にも立たない」と感じてしまうことです。 眼科クリニックで身につくのは、次のような力です。

・短い時間で、患者さんに分かりやすく説明する力 ・検査の流れを管理し、多くの患者さんを同時に回す力 ・見えにくさなど、患者さんの不便を想像して先回りする力 ・局所麻酔の手術で、意識のある患者さんの不安を和らげる力 ・子どもや高齢の方など、幅広い年代への接し方

これらは、健診センター、外来の多いほかの診療科、電話やオンラインでの健康相談など、多くの職場で求められる力です。 病棟以外の道を考えるなら、眼科の経験はむしろ強みになります。

不安を切り分けるには、「5年後、どこで働いていたいか」を具体的に書いてみるのが効果的です。 5年後に急性期の病棟で働いていたいなら、眼科に長くいることは確かに不利になります。その場合は、辞めるかどうかではなく「いつまでに移るか」を決める問題です。5年後も夜勤のない働き方をしていたいなら、眼科の経験は無駄にならず、不安の多くは思い込みだった、ということになります。

もうひとつ、キャリアの不安が「今の院で教わる機会がないこと」から来ている場合もあります。 眼科の中でも、日帰り手術や硝子体注射を行う院、網膜の病気や緑内障の専門外来を持つ院では、看護師が関わる処置や説明の幅が広がります。院長1人で一般診療を中心にしている院と比べると、同じ眼科でも身につく経験はかなり違います。つまり、「眼科ではキャリアが積めない」のではなく、「今の院の診療の範囲では積みにくい」という可能性もあるわけです。求人を見るときは、診療内容と手術の実施状況を必ず確認してください。

私自身、仕事の方向を変えるときに、同じような不安を抱えたことがあります。 それまでの経験が新しい仕事では役に立たないのでは、と。でも、実際に始めてみると、前の職場で当たり前にやっていた「相手に分かる言葉で説明する」ことが、いちばん役に立ちました。経験は、形を変えて活きるものです。

辞める前に、今の院でできること

ここまでの切り分けで、不満の原因が「今の院の運用」にあると分かった場合、辞める前にできることがあります。

1つ目は、業務の分け方の相談です。 「検査ばかりでつらい」なら、手術や説明の業務も担当したいと伝えてみます。「昼休みに休めない」なら、手術の日の休憩の取り方を相談します。小さなクリニックでは、院長がスタッフ一人ひとりの業務の偏りを把握していないことがよくあります。

伝えるときは、感情ではなく、記録にもとづいた事実で伝えるのがコツです。 「毎日つらいです」ではなく、「この2週間、手術のある日は休憩が平均で40分でした」と伝えるほうが、院長も判断しやすくなります。

2つ目は、勤務形態の変更です。 常勤からパートに切り替える、午前だけの勤務にする、手術日を担当から外してもらう。辞めるのではなく、働き方の形を変えることで、続けられる場合があります。

3つ目は、有給休暇を使って、少し距離を置くことです。 疲れが限界に近いときは、判断そのものが極端になりがちです。有給休暇は、労働者の権利です。まとまった休みを取って、頭を冷やしてから考えても遅くはありません。

4つ目は、職場の外の人に話を聞いてもらうことです。 家族や友人に話すと、「辞めなよ」「もう少し頑張りなよ」と、どちらかの答えを返されがちです。答えを急がずに、自分の考えを整理する手伝いをしてくれる相手がいると、冷静に判断できます。職場やキャリアの悩みに向き合う仕事については、職場・転職・キャリア相談のお仕事で、どんな相談にどう応じるのかがまとめられています。職業の選択や能力開発について相談に乗る国家資格として、キャリアコンサルタントもあるので、相談相手を探す手がかりにしてください。

これらを試しても変わらない、あるいは、ハラスメントのように試すこと自体が負担になる状況なら、辞めることは十分に正当な選択です。 我慢を続けることが、いつも正しいわけではありません。

話し合いの場を持つときに、気をつけておきたいことがあります。 小さなクリニックでは、相談の窓口が院長しかいないことが多く、院長本人の言動が悩みの原因になっていると、相談そのものができません。この場合、法人の事務長や、院を運営する医療法人の本部に窓口がないかを確認してみてください。事業主には、ハラスメントの相談に応じる体制を整えることが義務づけられています。院の中に相談できる相手がいない場合は、外部の窓口を使うことをためらわないでください。

また、話し合った内容は、日付と要点をメモしておきましょう。 「手術日の休憩を交代で取れるようにする」と約束してもらったのに、何も変わらない。そういうときに、いつ何を話したかが残っていれば、次の話し合いも、辞めると決めたあとの手続きも、落ち着いて進められます。

辞めると決めたときの段取り

辞めると決めたら、段取りを押さえて、自分を守りながら進めましょう。

まず、退職の意思を伝える時期です。 期間の定めのない雇用契約なら、民法では、退職の申入れから2週間で雇用契約は終了するとされています。つまり、法律上は、院が認めなくても、2週間たてば辞められるということです。

ただし、多くの院では、就業規則で「1か月前までに申し出ること」などと定めています。 眼科クリニックは小さな職場で、1人抜けると検査や手術の体制に影響が出ます。円満に辞めたいなら、就業規則の期間を守り、引き継ぎの時間をとるのが現実的です。有期契約の場合は、契約期間の途中で辞めるには原則としてやむを得ない理由が必要なので、契約書を確認してください。

次に、有給休暇です。 退職日までに残っている有給休暇は、使うことができます。院には休暇の時季を変えてもらう権利がありますが、退職日を越えて変えることはできないので、退職前の有給休暇の取得は、実際には拒みにくいものです。引き継ぎの期間と、有給休暇を使う期間を逆算して、退職日を決めましょう。

段取りを表にまとめると、次のようになります。

時期 やること
退職日の2〜3か月前 就業規則で申し出の期限を確認、有給休暇の残日数を確認
退職日の1〜2か月前 院長に退職の意思を伝える、退職日を決める
退職日の1か月前 引き継ぎの資料を作る(検査の手順、物品の場所など)
最終出勤日の前後 有給休暇の消化、貸与品の返却
退職後 離職票、源泉徴収票の受け取り、健康保険と年金の手続き

退職後の手続きで大事なのが、失業給付です。 自己都合で退職した場合、2025年4月からは、給付を受けるまでの制限の期間が原則1か月に短縮されています。

さらに、これ、知らない人が本当に多いんです。 長時間の残業が続いていた場合や、ハラスメントを受けていた場合などは、自分から辞めた場合でも、会社都合に近い扱い(特定受給資格者など)と判断されることがあります。たとえば、離職の直前の6か月のうち連続する3か月で、時間外労働が月45時間を超えていた場合などです。この判断のときに、切り分け2や切り分け3でつけた記録が役に立ちます。

健康保険は、退職の翌日から20日以内に申し出れば、それまでの健康保険を最長2年続けられる任意継続という方法があります。 国民健康保険に切り替えるか、家族の扶養に入るかと比べて、保険料の安いほうを選びましょう。

※院が退職を認めない、離職票を出してくれない、退職を理由に不利益な扱いを受けた、といった場合は、労働基準監督署、ハローワーク、弁護士に相談してください。

次の職場は、切り分けの結果から選ぶ

最後に、次の職場の選び方です。 ここまでの切り分けの結果を使うと、選ぶべき方向が見えてきます。

切り分けの結果 次の職場の方向
不満の多くが今の院に固有 体制の違う別の眼科クリニック
検査中心の業務が合わない 視能訓練士の多い院、手術のある院
外来の働き方そのものが合わない 病棟、訪問看護など関わりの深い職場
夜勤なしは続けたいが眼科以外も見たい 健診センター、ほかの診療科のクリニック
通勤や時間の制約を減らしたい 在宅での健康相談などの仕事

別の眼科クリニックに移る場合は、面接で「看護師の業務の中身」「視能訓練士の人数」「昼休みの手術の有無」「片付けの時間の扱い」を必ず確認してください。 今の院で辞めたくなった理由を、次の院で繰り返さないための確認です。

辞める時期にも、眼科ならではの考え方があります。 花粉症の時期や、学校健診の後に子どもの受診が増える時期は、院がいちばん人手を必要とする時期です。この時期の直前に辞めると、引き継ぎが十分にできず、気まずい別れ方になりやすくなります。反対に、次の院に入る側から見ると、忙しい時期の直前に入職すると、仕事を覚える余裕がないまま山場を迎えることになります。可能であれば、忙しい時期が過ぎたあとに退職し、次の院の落ち着いた時期に入職できるよう、転職の時期を組み立てると、自分にとっても双方にとっても負担が小さくなります。

眼科以外に目を向ける場合、眼科での経験は、説明の力や検査の流れの管理として活かせます。 臨床の経験を在宅の仕事に活かす道もあります。電話やオンラインでの健康相談、医療系の記事の監修などの具体例は、看護師におすすめの在宅ワーク5選|臨床経験を活かす副業【2026年版】で紹介されています。雇用ではなく業務委託で働く場合は、契約の性質が変わるので、報酬の支払い期日や業務の範囲を書面で確認することが大切です。

運営者として長くこの市場を見てきた限りでは、職場を移って満足している人は、辞める前に「何が嫌だったのか」を言葉にできていた人です。 言葉にできていると、次の職場に求める条件がはっきりし、面接でもそれを確かめられます。これは雇用でも業務委託でも同じです。業務委託の世界では、仲介の手数料が挟まらない直接の取引なら、依頼する側は同じ予算で頼みたいことを頼め、受ける側は手数料0%で受け取る分が厚くなります。ただしそのぶん、条件を自分の言葉で確かめる力が求められます。辞める前の切り分けは、その力を育てる練習にもなっています。

眼科クリニックを辞めたいと思うことは、決して悪いことではありません。 大切なのは、その気持ちの中身を切り分けて、自分にとって納得できる次の一歩を選ぶことです。そして、退職の場面でも、記録と正しい知識があれば、あなたは自分を守れます。法律はあなたの味方です。

よくある質問

Q. 眼科クリニックを辞めたい理由で多いものは何ですか?

多いのは、検査ばかりで看護師としての技術が落ちる不安、待ち時間への不満を直接受け止める負担、小さな職場での人間関係、昼休みの手術で休憩が取れないこと、季節による忙しさの波です。このうち業務の分け方や休憩の運用は院によって大きく違うので、別の眼科に移ることで解決する場合もあります。

Q. 退職はどれくらい前に伝えればよいですか?

期間の定めのない雇用契約なら、民法上は申入れから2週間で退職できます。ただし、多くの院は就業規則で1か月前までの申し出を定めています。眼科クリニックは少人数で運営しているため、円満に辞めたい場合は、就業規則の期間を守り、引き継ぎと有給休暇の消化の期間を逆算して、1〜2か月前に伝えるのが現実的です。

Q. 自己都合で辞めても、失業給付はすぐにもらえますか?

自己都合の退職では、2025年4月以降、給付を受けるまでの制限の期間が原則1か月です。ただし、長時間の残業が続いていた場合やハラスメントを受けていた場合などは、特定受給資格者などと判断され、制限がかからないことがあります。判断の材料になるので、勤務時間や言動の記録を残しておくことが大切です。

Q. 眼科クリニックの経験は、次の職場で活かせますか?

活かせます。短時間で分かりやすく説明する力、多くの患者さんの検査の流れを管理する力、見えにくい患者さんへの先回りの配慮、局所麻酔の手術での声かけなどは、健診センターやほかの診療科の外来、電話やオンラインでの健康相談などで求められる力です。急性期の病棟に戻る場合は、技術の勘を取り戻す期間を見込んでおきましょう。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年2月12日最終更新:2026年9月15日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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