外来の人間関係|狭い職場での距離の取り方

中西 直美
中西 直美
外来の人間関係|狭い職場での距離の取り方

この記事のポイント

  • 外来の人間関係に悩む看護師さんへ
  • 医療事務や検査部門との境目など
  • 外来ならではの人間関係の形を整理し

「外来に移ってから、人間関係がしんどくて」。このご相談、本当に多いんです。

病棟にいたころは、苦手な人がいても、勤務が重ならない日があった。チームが大きいから、話しやすい人を見つけられた。それが外来に移ると、毎日同じ数人と、同じ狭い空間で過ごすことになります。1人と気まずくなると、その日1日がずっと重たい。

大丈夫ですよ。外来の人間関係がしんどくなりやすいのは、あなたの性格のせいではありません。外来という職場の「形」が、人間関係を濃く、逃げ場のないものにしやすいんです。

この記事では、外来の人間関係がなぜ独特になるのかを、職場の中で起きていることから整理します。そのうえで、医師、看護師同士、医療事務や検査部門との関係ごとに、よく起きることと距離の取り方をお話しします。職場の規模による違いや、苦手な人がいるときの対処、それでもつらいときの判断の目安まで、順番に見ていきましょう。

外来の人間関係が濃くなりやすい理由

まず、外来という職場の形を確認しておきます。人間関係の悩みは、形を知るだけで少し軽くなることがあります。

持ち場が狭く、人数が少ない

医療法の人員配置の標準では、外来は患者30人に対して看護職員1人が目安です。多くの病院では、この人数が診療科ごとに分かれて配置されるので、1つの診療科の外来に看護師は1〜2人ということがよくあります。クリニックなら、看護師は院内に1〜3人です。

病棟のように、同じフロアに10人、20人の看護師がいる環境とは違います。つまり、外来では「相性の合わない人と距離を置く」ための物理的な余白がほとんどありません。

毎日同じ顔ぶれ、でも曜日で入れ替わる

外来は、常勤の看護師に加えて、午前だけ、週3日だけといったパートの看護師さんが多い職場です。常勤同士は毎日顔を合わせ、パートの方は曜日ごとに入れ替わる。この「固定メンバー」と「入れ替わるメンバー」が混ざる構造が、外来の人間関係を複雑にします。

固定メンバーの間では、長い付き合いの中で暗黙のルールができていきます。入れ替わるメンバーは、そのルールを知らないまま入ってくる。ここで小さなすれ違いが生まれやすいんです。

休憩室も更衣室も同じ

病棟なら、休憩時間がずれることで、苦手な人と顔を合わせずに済むこともあります。外来では、昼休憩の時間帯がほぼ同じなので、休憩室で同じ人と毎日一緒になります。午前の診察でぴりっとしたやりとりがあった相手と、30分後に同じテーブルでお弁当を食べる。これが外来の日常です。

いろいろな職種と境目を接している

外来では、医師、看護師、医療事務、外来クラーク、臨床検査技師、放射線技師、薬剤師と、多くの職種が1つの流れの中で働いています。患者さんが受付から会計まで移動するあいだに、何人もの手を経由します。その「受け渡し」の境目で、誰の仕事か曖昧なことが起き、摩擦が生まれます。

こうして見ると、外来の人間関係がしんどいのは、職場の形として当然のことだと分かります。自分を責める必要はありません。形を知ったうえで、どう距離を取るかを考えていきましょう。

医師との関係:診察室の中の小さな緊張

外来の1日は、医師のペースで動きます。そのため、医師との関係は外来の人間関係の中でも特に大きな比重を占めます。

医師によって診察のスタイルがまったく違う

外来の医師は、1人ひとり診察の進め方が違います。1人あたり3分で次々に回す医師もいれば、1人に20分以上かける医師もいます。ある病院の専門外来の案内には、こんな言葉が書かれていました。

平成19年7月に開設した診療科です。この様な『日曜日にも、一人にじっくり』という外来診療は、まだ他の病院では行なわれてないように思います。 出典: jiaikai.or.jp

1人の患者さんにじっくり向き合う診察は、患者さんにとってはとてもありがたいものです。一方で、外来の看護師から見ると、待合の患者さんへの説明や、次の準備の組み立て方がまったく変わります。医師の方針が、外来で働く人たちの1日の過ごし方を決めているということです。

曜日ごとに担当医が変われば、看護師はそのたびに動き方を切り替えます。月曜の先生は検査を多く出す、水曜の先生は説明が長い、金曜の先生は準備が少しでも遅れると機嫌が悪くなる。この切り替えそのものが、外来の看護師にとって大きな負担になります。

医師の機嫌が職場の空気を決める

外来では、医師のひとことで診察室の空気が変わります。忙しい午前中に「まだ?」と強い口調で言われる。準備した物品が違っていたとため息をつかれる。こうした小さな出来事が積み重なると、その先生の担当日が近づくだけで胃が重くなります。

こういう相談がよくあります。「先生が怖くて、必要なことを報告できない」。待合で具合の悪そうな患者さんがいても、診察の流れを止めることをためらってしまう。これは、患者さんの安全にも関わる問題です。

医師との距離を保つための工夫

医師との関係で消耗しにくい看護師さんは、医師を「怖い人」「優しい人」という感情で見るのではなく、「この先生はこう進める人」という情報として整理しています。先生ごとに、よく出す検査、好む物品の並べ方、報告のタイミングをメモにしておく。これだけで、次の担当日への不安はずいぶん小さくなります。

報告のときは、「〇〇さんについて1点だけよろしいですか」と前置きをして、事実を短く伝える型を持っておくと楽です。心理学では、あらかじめ行動の手順を決めておくことで不安を減らす方法があります。難しく聞こえますが、要するに「言い方を先に決めておけば、その場で悩まずに済む」ということです。

もう1つ大切なのは、医師の強い口調を「自分への評価」と受け取りすぎないことです。多くの場合、それは医師自身の忙しさや焦りの表れです。もちろん、人格を否定するような言動は別で、それは後の章でお話しする方法で対処してください。

看護師同士の関係:常勤とパート、長く勤める人と新しく来た人

外来の人間関係の悩みで、実は最も多いのが看護師同士の関係です。

常勤とパートの間にできる見えない溝

外来では、常勤の看護師とパートの看護師が一緒に働きます。この2つの立場の間には、役割の違いから溝が生まれやすいです。

常勤の看護師は、委員会活動、物品管理、勉強会の準備、パートの方が帰った後の時間帯の対応など、見えにくい仕事を引き受けています。「パートさんは時間になったら帰れるけど、残りは全部こっち」と感じやすいです。

パートの看護師は、決まった時間の中で業務に集中しています。家庭の事情で時間の融通がきかない方も多いです。「相談もなしに手順が変わっている」「常勤の人たちだけで話が決まる」と感じやすいです。

どちらも悪くありません。立場が違えば、見えている景色が違うんです。

長く勤める人がつくる暗黙のルール

外来には、10年、20年と同じ場所で働いている看護師さんがいることが多いです。こうした方は外来の流れを知り尽くしていて、とても頼りになります。一方で、長い時間の中でできた暗黙のルールがあり、新しく来た人はそれを知らずに踏んでしまうことがあります。

物品の置き場所、休憩室の座る位置、昼休憩に入る順番、医師への声のかけ方。明文化されていないルールを知らないまま動くと、「前にも言ったよね」「ここではそうしないの」と言われて、居心地が悪くなります。

看護師同士の距離の取り方

常勤とパートの溝については、相手の立場で見えている景色を想像することが一番の近道です。常勤なら、パートの方が帰る前に必要な情報を渡しておく。パートなら、常勤の方が抱えている見えない仕事に「いつもありがとうございます」と一言添える。これだけで、関係はずいぶん柔らかくなります。

暗黙のルールについては、入職して最初の数か月は「知らなくて当然」と自分に言い聞かせてください。そして、分からないことはその日のうちに聞く。「これ、ここではどうしていますか」と聞かれて嫌な顔をする人は、実は多くありません。聞かずに違うやり方をされるほうが、長く勤める人にとってはストレスなんです。

聞いたことは、自分用のノートに書き留めておきましょう。同じことを2回聞かずに済むだけで、「ちゃんと覚えようとしてくれている」と受け止めてもらえます。

医療事務・クラーク・検査部門との境目で起きること

外来の人間関係は、看護師の中だけでは完結しません。患者さんの流れの中で隣り合う職種との関係も、毎日の居心地を大きく左右します。

受付と看護師の境目

受付を担当する医療事務のスタッフと看護師の間では、「どこまでが誰の仕事か」で摩擦が起きやすいです。

たとえば、患者さんが受付で「具合が悪い」と訴えたとき、受付がすぐに看護師を呼ぶのか、順番通りに案内するのか。電話の問い合わせが症状に関することだったとき、受付で答えるのか、看護師に回すのか。この線引きが曖昧な職場では、「なんでこれを回してくるの」「なんで呼んでくれなかったの」という不満がお互いに生まれます。

クラークと看護師の境目

外来クラークがいる職場では、予約の取り直しや書類の準備、電子カルテの入力補助をクラークが担います。ここでも、「この書類はクラークの仕事か看護師の仕事か」「検査の説明はどちらがするか」といった境目で摩擦が生まれます。

検査部門との境目

採血室や放射線部門、生理検査室との間では、患者さんの受け渡しや検査の順番、至急の検査への対応で調整が必要です。「至急でお願いします」と頼んだのに後回しにされた、あるいは反対に「そんなに急ぐ理由を説明してほしい」と言われた、というすれ違いもよく聞きます。

境目で消耗しないために

境目の摩擦は、多くの場合、個人の性格ではなく、ルールが決まっていないことから生まれます。だから、相手を責めるより、「こういうときはどうしましょうか」とルールを一緒に決める方向で話すほうが、関係が壊れにくいです。

実際には、1人の看護師がルールを変えるのは難しいこともあります。そういうときは、看護師長や外来の責任者に「受付からの症状の問い合わせの回し方を決めてもらえると助かります」と相談してみてください。個人間の問題にせず、職場の仕組みの問題として扱ってもらうことで、自分が矢面に立たずに済みます。

普段から、受付やクラークの方に「さっきは回してくれてありがとう、助かりました」と声をかけておくのも効果があります。境目の仕事は、うまくいったときには誰にも気づかれず、うまくいかなかったときだけ目立ちます。うまくいったときに言葉にしてもらえると、人はその関係を大切にしようと思えるんです。

反対に、境目でミスが起きたときは、その場で相手を責めないことが大切です。患者さんの対応を先に済ませ、落ち着いた時間に「さっきの件、次はどうしましょうか」と振り返る。これだけで、同じすれ違いが繰り返されにくくなります。

職場の規模で、人間関係の形が変わる

同じ外来でも、職場の規模によって人間関係の形はかなり違います。自分に合う形を知っておくと、職場選びにも役立ちます。

大学病院や大規模病院の外来

看護師の数が多く、診療科ごとや部門ごとに持ち場が分かれています。1人と相性が合わなくても、持ち場が違えばあまり顔を合わせずに済みます。人間関係の逃げ場が比較的あるのが特徴です。

一方で、組織が大きいぶん、部署間の調整や上下関係がはっきりしています。医師の数も多く、研修医の出入りもあるので、いろいろな医師とやりとりすることになります。個別の関係は薄めで、仕組みで動く人間関係と言えます。

中規模の地域病院の外来

看護師は5〜15人程度で、複数の診療科を兼務することが多いです。持ち場が曜日ごとに変わるので、いろいろな人と組むことになります。1人の苦手な人を避けきることは難しいですが、毎日ずっと一緒というわけでもありません。

病棟との応援の行き来があるので、病棟の看護師との関係も生まれます。外来と病棟の間で「応援に来てもらうのに気を遣う」「応援に行くと雑用ばかり頼まれる」といった摩擦が起きることもあります。

クリニックの外来

看護師は1〜3人程度で、医療事務のスタッフを合わせても10人に満たないことが多いです。人間関係はとても濃く、逃げ場はほとんどありません。

院長の考え方が職場の雰囲気をほぼ決めます。院長の家族が事務長を務めていたり、開院当初から勤めている古参のスタッフがいたりすると、その人たちとの関係が働きやすさの大部分を占めます。

相性が合えば、家族のような温かい職場になります。合わなければ、毎日がとてもつらくなります。クリニックを選ぶときは、見学で院長とスタッフのやりとりを必ず見てください。

自分に合う形を考える

人との距離が近いほうが安心できる方は、クリニックや中規模病院の外来が合いやすいです。反対に、仕事とプライベートをはっきり分けたい方、1人の相手との関係に左右されたくない方は、大規模病院の外来のほうが心地よく感じられることが多いです。

今の人間関係のしんどさが「距離が近すぎること」から来ているのか、「誰とも深く関われないこと」から来ているのかを考えてみると、次に選ぶ職場の規模の目安が見えてきます。こういう相談がよくあるのですが、クリニックで人間関係に疲れて大病院に移り、「誰も私のことを見ていない寂しさ」に気づいてまた小さな職場を選び直す方もいます。どちらが正しいということはなく、自分がどちらの距離で落ち着けるかを知ることが大切なんです。

狭い職場で、心地よい距離を保つ方法

ここからは、外来の狭い人間関係の中で、自分を守りながら心地よく働くための具体的な方法をお話しします。

仲良くなることより、「仕事がしやすい関係」を目指す

狭い職場だと、みんなと仲良くしなければと思いがちです。でも、目指すのは仲良しではなく、仕事がしやすい関係で十分です。挨拶をする、お礼を言う、必要な情報を渡す。この3つができていれば、職場の人間関係として困ることはほとんどありません。

私生活の話は、少しずつ出す

外来の休憩室では、家族の話、休日の過ごし方、子どもの学校の話などが自然に出てきます。最初から全部話す必要はありません。聞かれたことに軽く答える程度から始めて、相手との関係を見ながら少しずつ出していけば大丈夫です。狭い職場では、一度話したことが全員に伝わると考えておくと安心です。

誰かの悪口の輪には、入らず、離れすぎない

狭い職場では、その場にいない人の話題になることがあります。そこで一緒に悪口を言うと、今度は自分が別の場で話題にされやすくなります。かといって、露骨に席を立つと浮いてしまいます。「そうなんですね」と相づちだけ打って、自分の意見は言わない。話題を仕事の段取りに戻す。このくらいの距離が、狭い職場ではちょうどいいです。

職場のグループチャットとの付き合い方

最近は、外来のスタッフでメッセージアプリのグループを作っている職場も多いです。シフトの交代や連絡に便利ですが、勤務時間外にも通知が来て、気が休まらないこともあります。仕事の連絡を確認する時間を決めておく、通知を切っておくなど、自分なりのルールを持っておくと楽になります。

職場の外に、話せる場所を持つ

外来の中に愚痴を言える相手がいないのは、よくあることです。別の病院で働く看護師仲間、看護学校の同期、家族、趣味の友人。職場の外に話せる人が1人いるだけで、職場の人間関係に心を占められずに済みます。

帰り道に、気持ちの区切りをつくる

外来では、午前中にあった気まずいやりとりを、そのまま家まで持ち帰ってしまいがちです。更衣室で深呼吸を1回する、帰り道に好きな音楽を聴く、家に着いたら着替えてから家族と話す。こうした小さな区切りが、職場の人間関係を私生活に持ち込まないための助けになります。心理学では、仕事から心を離す時間をつくることが、疲れの回復にとても大切だと言われています。

苦手な人がいるとき、そして言動がつらいとき

どれだけ工夫しても、苦手な人はいます。ここでは、苦手な人がいるときの対処と、言動がつらいときの対応を分けてお話しします。

苦手な人がいるとき

まず、その人の「どこが」苦手なのかを具体的にしてみてください。口調がきついのか、仕事の進め方が合わないのか、自分への態度だけが違うのか。漠然と「あの人が苦手」と思っていると、その人の存在すべてがストレスになります。「朝の準備のときの言い方が苦手」と具体的になると、その場面だけ気をつければよくなります。

相手の行動パターンが見えてくると、先回りもできます。準備のときにきつくなる人なら、その人が来る前に準備を済ませておく。報告を嫌がる人なら、メモで渡す。相手を変えようとせず、ぶつかる場面を減らす工夫です。

苦手な人にも、仕事の上で頼りになる部分があることは少なくありません。口調はきついけれど、急変のときには誰より早く動ける。手順に厳しいけれど、そのおかげで事故が起きていない。苦手な部分と頼りになる部分を分けて見られるようになると、その人への気持ちは少し穏やかになります。無理に好きになる必要はありません。「この場面ではこの人に頼る」と決めておくだけで十分です。

言動がハラスメントに当たるとき

患者さんの前で繰り返し大声で叱責される、人格を否定する言葉を言われる、特定の人だけ無視される、仕事を与えられない。こうした言動が続いているなら、それは我慢する問題ではありません。

職場のパワーハラスメントについては、事業主に相談窓口を設けることが義務づけられています。病院の中の相談窓口を確認してください。相談するときは、いつ、どこで、誰に、何を言われたか、周りに誰がいたかを記録しておくと、状況が伝わりやすくなります。院内の窓口が機能していない場合は、各都道府県の労働局にある総合労働相談コーナーに相談できます。詳しくは厚生労働省のサイトから確認できます。

眠れない、朝起きると体が動かない、休日も職場のことばかり考えてしまう。こうした状態が2週間以上続いているなら、まず医療機関を受診してください。看護師さんは、自分の不調を後回しにしがちです。あなたの心と体は、職場の人間関係より大切です。心身の不調で仕事を休む場合、健康保険の傷病手当金を受け取れることもあるので、加入している健康保険に確認してみてください。

入職して最初の3か月で、関係の土台をつくる

これから外来で働き始める方、異動したばかりの方に向けて、最初の3か月でやっておくと後が楽になることをお話しします。

最初の1か月は、聞く人になる

外来は、診療科ごと、医師ごとにやり方が違います。最初の1か月は、自分のやり方を出さず、「ここではどうしていますか」と聞くことに徹してください。前の職場での経験は、後で必ず役に立ちますが、最初から出すと「前の病院ではこうだった」という人に見えてしまいます。

この時期は、休憩室での会話も「聞く側」で大丈夫です。無理に話題を出そうとしなくても、相づちを打って話を聞いているだけで、職場の人たちの関係や、誰に何を聞けばいいかが自然に見えてきます。

2か月目は、小さなお礼を積み重ねる

教えてもらったこと、助けてもらったことに対して、その都度お礼を言います。受付やクラーク、検査部門の方にもです。2か月目くらいになると、職場の人たちが「この人はちゃんと受け取ってくれる人だ」と感じ始めます。

3か月目に、自分の経験を少しずつ出す

職場の流れがつかめてきたら、前の職場での経験を少しずつ出していきます。「前の職場ではこういう工夫をしていたんですが、ここでも使えそうでしょうか」と、相談の形で出すと受け入れてもらいやすいです。

提案が採用されなくても、がっかりしなくて大丈夫です。外来のやり方には、医師の好みや過去の出来事など、新しく来た人には見えない理由があることが多いんです。「そういう理由があったんですね」と受け止めておくと、次に何かを提案するときにも耳を傾けてもらいやすくなります。

3か月の間に、1人だけ味方をつくる

全員と関係を築こうとすると疲れてしまいます。最初の3か月で目指すのは、困ったときに気軽に聞ける人を1人見つけることです。同じ曜日によく組む人、休憩時間が重なる人、受付やクラークの人でも構いません。1人いるだけで、職場の居心地はまったく違います。

私自身、会社勤めをしていたころ、異動した先の部署で、最初の週に前の部署のやり方を得意げに話してしまったことがあります。悪気はなかったのですが、しばらくのあいだ、なんとなく距離を置かれていました。聞く側に回るようにしてから、少しずつ関係が戻っていった。あのときの経験は、今でもカウンセリングの中でお伝えしている大切な教訓です。

それでもつらいときの判断の目安

工夫しても人間関係がつらいとき、どこで判断すればいいかの目安をお伝えします。

外来の人間関係に悩む方の中には、「辞めたら負けだ」「ここで逃げたらどこへ行っても続かない」と自分を追い込んでしまう方がいます。でも、環境を変えることは逃げではありません。合わない場所で消耗し続けるより、合う場所で力を発揮するほうが、患者さんにとっても、あなた自身にとっても良いことです。次の状態に当てはまるかどうか、落ち着いて確かめてみてください。

・心と体に不調が出ている ・ハラスメントに当たる言動が続いていて、相談しても改善されない ・特定の人を避けるために、仕事の質が落ちている、患者さんへの報告をためらっている ・3か月以上工夫を続けても、状況が変わらない

こうした状態なら、異動や転職を考えてよい段階です。

異動という選択

院内の異動なら、勤続年数や有給休暇を引き継いだまま環境を変えられます。外来の中で診療科を変えてもらう、化学療法室や内視鏡室などの別の部門に移る、病棟に戻る、といった方法があります。人間関係が理由の場合、同じ外来の中で持ち場を変えるだけでも、毎日顔を合わせる相手が大きく変わることがあります。

師長に相談するときは、特定の人の悪口として伝えるより、「今の持ち場で報告がしにくい状況が続いていて、患者さんの安全にも関わると感じています」というように、仕事への影響として伝えるほうが、話を前に進めてもらいやすいです。

転職するときに確かめること

転職する場合は、次の職場で同じことを繰り返さないように、人間関係の形を事前に確かめてください。見学は午前中の混雑している時間にお願いし、忙しいときの声のかけ方、医師の指示の出し方、受付と看護師のやりとりを見ます。面接では、外来の看護師の人数、常勤とパートの割合、診療科の担当が固定か回るか、看護師の入れ替わりが多くないかを聞いておくと安心です。

今の職場でつらかった理由を書き出したメモを手元に置いて、次の職場に同じ原因がないかを1つずつ照らし合わせる。このひと手間で、選び直しの精度はかなり上がります。

職場を変えると、年収も変わることがあります。病棟に戻るのか、別の外来に移るのか、クリニックに移るのかで、給与の水準は違います。看護師の年収や時給の相場を勤務先の種類ごとにまとめたページがあるので、次の職場を考えるときの目安にしてください。看護師の年収・単価相場

20年この市場を見てきた立場から見える、関係の築き方

ここからは、フリーランスや在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見えていることをお話しします。

運営者として長く見てきた限りでは、組織の中でも外でも、長く働き続ける人は、単発の作業ではなく「この人に任せると安心」という関係づくりに時間を使っています。外来で、医師の動きを先回りし、受付やクラークにお礼を言い、パートの方に情報を丁寧に渡している看護師さんは、まさにこの関係づくりを毎日しています。こうした関係は、職場を移っても、組織の外で仕事をするようになっても、次の仕事を連れてきてくれます。

もう1つの観察は、間に仲介が入らない直接の関係のほうが、双方にとって無理がない形になりやすいということです。手数料が乗らなければ、依頼する側は同じ予算でより丁寧に頼め、受ける側は手数料0%のぶん手取りが厚くなります。どちらかが我慢する関係ではなく、お互いが得をする関係は、長く続きます。外来の狭い人間関係の中で身につけた距離の取り方は、こうした直接の仕事の場でも生きてきます。

組織の外で仕事をするとき、相手とのやりとりはメールやチャットが中心になり、顔を合わせる機会は少なくなります。そこで大切になるのは、必要な情報を過不足なく渡すこと、うまくいったときにお礼を言うこと、行き違いが起きたときに責めずに次のやり方を決めること。外来の境目で毎日やっていることと、まったく同じなんです。

人間関係の悩みを1人で抱えきれないときは、相談を専門にする人の力を借りてください。国家資格であるキャリアコンサルタントの役割や試験の概要をまとめたページがあります。キャリアコンサルタント

職場や転職の悩みを相談できる仕事がどのように行われているかをまとめたガイドもあります。相談先を探すときの手がかりになります。職場・転職・キャリア相談のお仕事

外来の人間関係は、狭くて濃いぶん、うまく距離を取れれば温かい職場にもなります。全員と仲良くならなくて大丈夫です。仕事がしやすい関係を、1つずつ積み重ねていきましょう。あなたは一人じゃありません。

よくある質問

Q. 外来の人間関係が病棟よりしんどく感じるのはなぜですか?

外来は診療科ごとに看護師が1〜2人という持ち場が多く、休憩室も更衣室も同じなので、相性の合わない人と距離を置く余白がほとんどありません。常勤とパートが混ざり、曜日でメンバーが入れ替わる構造もすれ違いを生みやすいです。性格の問題ではなく職場の形によるものなので、自分を責める必要はありません。

Q. 外来の医師が怖くて報告しにくいときはどうすればいいですか?

先生ごとによく出す検査や報告のタイミングをメモにして、動き方を情報として整理すると不安が小さくなります。報告は「1点だけよろしいですか」と前置きして事実を短く伝える型を決めておくと、その場で悩まずに済みます。人格を否定する言動が続く場合は、院内の相談窓口に記録を持って相談してください。

Q. 外来で常勤とパートの関係がぎくしゃくしたらどうすればいいですか?

立場によって見えている景色が違うことを想像するのが近道です。常勤ならパートの方が帰る前に必要な情報を渡し、パートなら常勤の方の見えにくい仕事に一言お礼を添えるだけで関係は柔らかくなります。手順の変更などで不満が出やすい場合は、情報共有の仕組みを師長に相談して職場全体で整えてもらうのも有効です。

Q. クリニックの外来は人間関係が大変ですか?

看護師が1〜3人ほどの少人数なので人間関係は濃く、逃げ場はほとんどありません。院長の考え方や古参スタッフとの相性が働きやすさの大部分を決めます。相性が合えば温かい職場になりますが、合わないとつらくなりやすいため、応募前の見学で院長とスタッフのやりとりや、看護師の入れ替わりが多くないかを確かめてください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年3月10日最終更新:2026年9月18日
中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美@SOHO編集部

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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