フルリモートフルフレックスの正社員求人の探し方

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
フルリモートフルフレックスの正社員求人の探し方

この記事のポイント

  • フルリモートフルフレックスの正社員求人は数が限られ
  • 求人票の表記も統一されていません
  • コアタイムなしを見分ける条件

結論から言います。フルリモートかつフルフレックスの正社員求人は実在しますが、母数が小さいので「探し方」より「絞り込み方」が結果を決めます。求人サイトの検索条件にフルフレックスの項目がないため、キーワード検索に頼ると、コアタイムのある通常のフレックス制求人が大量に混ざってくるのです。

そしてもう一つ。求人票に書かれた「フルフレックス」という語は、法律上の用語ではありません。会社が自社の制度を説明するために使っている表現なので、中身は会社ごとに違います。コアタイムを完全に撤廃している会社と、名目上フルフレックスだが会議が朝10時に固定されている会社が、同じ言葉で募集をかけています。

この記事では、フルフレックスの定義、コアタイムなしを求人票から見分ける条件、職種ごとの現実、年収と単価の相場、そして正社員以外の選択肢まで順番に整理します。結論を先に置き、根拠を後に書く形で進めます。

フルフレックスとフレックスタイム制は何が違うのか

まず定義を押さえます。フレックスタイム制は労働基準法に定めのある制度で、一定期間(清算期間)の総労働時間を決めたうえで、始業と終業の時刻を働く人が決められる仕組みです。ここに「コアタイム」という必ず勤務すべき時間帯を設ける会社が多く、たとえば11時から15時をコアタイムにする例が一般的です。

フルフレックスは、このコアタイムを設けない運用を指す通称です。始業も終業も完全に本人が決められる。朝5時に始めて13時に終わってもよく、夜に集中して働いてもよい。清算期間の総労働時間だけを満たせばよいという設計です。

制度の要点として押さえるべきは3つです。1つ目は清算期間の長さです。1ヶ月が一般的ですが、法改正により最長3ヶ月まで設定できます。3ヶ月にすると、月ごとの繁閑を吸収しやすくなります。2つ目は総労働時間の考え方で、清算期間の所定労働時間を下回ると欠勤控除、上回ると割増賃金の対象になります。つまり自由なのは時間帯だけで、総量は自由ではありません。3つ目は、フレックスタイム制であっても深夜割増と休日割増は発生することです。夜型の人が深夜帯に働くと割増が付きますが、会社側がそれを避けるために「22時以降の稼働は事前申請」といった運用を入れている場合があります。制度の条文上の扱いは厚生労働省の解説で確認できます。

ここで正直なところを書きます。求人票の「フルフレックス」という表記だけを信じるのは危険です。コアタイムを撤廃していても、定例会議が毎朝10時に入っていれば、実質的にその時刻は拘束されます。制度としての自由度と、運用としての自由度は別物です。面接で確認すべきは制度の名前ではなく、定例会議の時刻と頻度です。

フルリモートとフルフレックスを両方満たす求人の実数

母数の話をしておきます。期待値を正しく設定しないと、探し方を間違えます。

在宅勤務可の求人は、この数年で大きく増えました。ただし「完全在宅」まで絞ると数分の一に減り、さらに「コアタイムなしのフレックス」を掛けると、かなり狭くなります。業種の偏りも明確で、情報通信業、専門サービス業、そして従業員300人未満の企業に集まっています。大企業は制度としてフレックスを持っていても、コアタイムを残しているケースが多いのです。

なぜ小さい会社に多いのか。理由は単純で、制度変更の意思決定が速いからです。全社の勤務ルールを変えるのに稟議を何段も通す必要がある会社では、コアタイムの撤廃まで至りません。一方、数十人規模の会社は「そもそも全員が別の時間に働いている」という実態に制度を合わせるだけで済みます。

求人票の実例を見ると、条件の書かれ方が分かります。

【仕事内容】 フルリモート可/フルフレックス/残業時間10~20時間程度...【勤務時間】<労働時間区分>フレックスタイム制(フルフレックス)休憩時間:60分時間外労働有無:有 出典: 求人ボックス

注目すべき点が2つあります。1つは「フルリモート可」の「可」です。原則出社で在宅が許可制という意味で使われることが多い表現です。もう1つは「時間外労働有無:有」です。フルフレックスであっても残業は発生します。時間帯の裁量があることと、総量が少ないことは別の話です。

したがって現実的な目標設定はこうなります。日本全国から探して、条件を完全に満たす求人が同時に10件から30件。この規模です。だから「たくさん応募して1つ当てる」戦略は成立しません。少数の求人に対して、書類の質で勝つ戦略に切り替える必要があります。

求人票からコアタイムなしを見分ける5つの条件

実務に入ります。求人票を開いたら、次の5点を順に確認してください。

勤務時間の欄に時刻の範囲が書かれているか。 「フレックスタイム制(コアタイム11:00〜15:00)」と明記されていれば、それは通常のフレックスです。時刻の記載がなく「フレックスタイム制(コアタイムなし)」「勤務時間は本人の裁量」とあれば本物です。

清算期間の記載。 1ヶ月か3ヶ月か。3ヶ月と書いてある会社は、制度を細かく設計しています。運用が成熟している指標として読めます。

「フルリモート」の表記の強さ。 可、フルリモート、完全在宅、居住地不問。この順に強くなります。居住地不問と書いてあれば、勤務地の概念がない設計です。

定例会議や朝会の記載。 求人票に書かれていることは少ないので、面接での質問事項にしてください。「定例のミーティングは週に何回、何時にありますか」が核心の質問です。

時間外労働と残業代の扱い。 「みなし残業○時間を含む」と書かれている場合、その時間までは残業代が出ません。フレックスとみなし残業が併用されていると、実質的な労働時間が読みにくくなります。給与の内訳を必ず確認してください。

この5点のうち、多くの人が見落とすのは4番目です。制度上はコアタイムがなくても、週3回の定例会議が朝10時に固定されていれば、生活設計はコアタイムがある会社と変わりません。制度の名前より運用の実態を聞くべきだというのは、この理由です。

どこで見つかるのが早いか

経路の話をします。効率差が大きいので、順番を守ることを勧めます。

企業の採用ページが最も確率が高い経路です。 フルフレックスを採用の武器として使う会社は、自社サイトに制度の詳細を書きます。求人サイトの掲載枠では文字数が足りないからです。「フルフレックス 完全在宅 採用」で検索して、求人サイトではなく会社のドメインが上位に出てきたら、そこは本気で運用しています。気になる会社を20社リスト化して月1回巡回するだけで十分です。

次が転職エージェントです。 使い方にコツがあります。最初の面談で「コアタイムのないフレックスに限ります」と条件を言語化して伝えることです。曖昧に「フレックスがいいです」と言うと、コアタイムありの求人が大量に送られてきます。担当者も制度の細部まで区別していない場合が多いので、こちらが定義を示す必要があります。

3つ目が求人検索エンジンです。 件数は多いのですが、検索語が分解されて無関係な求人が混ざります。「フルフレックス」を完全一致で検索できるサイトを選ぶか、勤務時間の欄を1件ずつ読む覚悟が必要です。

4つ目がスタートアップや小規模企業に特化した求人媒体です。 前述の通り制度は小さい会社に集まっているので、母数の質が違います。

サイト選びで迷っているなら、絞り込み機能の差を先に把握したほうが早いです。年代別・職種別の向き不向きと検索条件の作り方は転職サイトおすすめ比較【2026年版】|年代・職種別の選び方に整理されています。5サイトに登録して通知を全部受け取るのは時間の無駄です。2サイトに絞って検索条件を作り込むほうが結果が出ます。

職種別に見た成立しやすさ

職種によって成立しやすさが大きく違います。フェアに書きます。

エンジニア・開発系が最も多い領域です。 バックエンド、フロントエンド、インフラ、SRE。成果物で評価できるため、時間帯の裁量を与えやすい。求人数も他職種より一桁多いのが実態です。年収の幅が広いので、相場を知らずに交渉すると損をします。全国平均と都道府県別の水準はソフトウェア作成者の年収・単価相場で確認できます。ネットワークやインフラ側から入るならCCNA(シスコ技術者認定)のような基礎資格が書類選考の通過率を押し上げます。

デザイナー・編集・ライターも成立しやすい職種です。 成果物の締切だけが決まっていれば、いつ作業するかは本人の裁量にできます。ただし取引先とのやりとりが必要な工程では、相手の営業時間に合わせる必要が出てきます。年収の実勢は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で確認してください。

マーケティング・広告運用は中間です。 数字で成果が出るので裁量を与えやすい反面、広告媒体の入稿や配信の監視で時間の制約が生まれます。AI活用と組み合わせた募集が増えており、業務の広がりはAI・マーケティング・セキュリティのお仕事で確認できます。

企業のAI導入支援やコンサルティングも伸びている領域です。 顧客との打ち合わせが入るためコアタイムなしを完全に活かせるとは限りませんが、在宅で完結する業務の比率は高くなっています。求められる経験の範囲は募集ごとに幅があるので、業務内容の記述を丁寧に読んでください。

成立しにくいのはカスタマーサポートと営業です。 前者はシフトで受付時間を埋める必要があり、後者は相手の時間に合わせる仕事です。在宅は可能でも、フルフレックスは構造的に難しい。この2職種でフルフレックスを謳っている求人を見たら、実態を厳しく確認してください。

事務職はもっと難しいです。 受発注や請求のように締め日が決まっている業務は、特定の日に稼働が集中します。在宅は成立しますが、時間帯の自由は限られます。文書作成の基礎を持っていると評価されやすくなるので、ビジネス文書検定のような検定を履歴書に載せておくのは無駄になりません。

年収と単価の相場を数字で押さえる

金額の話をします。額面だけ見ると判断を誤るので、構造まで書きます。

エンジニアの正社員求人では、経験3年程度で年収450万円から600万円、リード級で700万円以上という提示をよく見ます。フルリモートかつフルフレックスを打ち出す会社は人材獲得の競争にいるため、相場より低い提示をしてくることは少ないのですが、例外もあります。「働き方の自由度で給与を抑える」という発想の会社です。面接で提示額が相場を明確に下回っていたら、その理由を聞いてかまいません。

デザイナーと編集者は、正社員で年収350万円から550万円の帯が中心です。マーケティングは400万円から650万円、コンサルティング系は500万円以上の提示も出てきます。

業務委託の場合は考え方が変わります。月額の単価で示され、還元率という概念が出てきます。求人の実例を見てください。

オックスフォードパートナーズ株式会社 | リモート案件多数/還元率83%/AWS/Azure/GCP/案件は選べる! 出典: tenshoku.mynavi.jp

還元率83%とは、発注元が支払う金額のうち83%が本人に渡り、17%が仲介側の収入になるという意味です。これを高いと感じるか低いと感じるかは比較対象で変わります。一般的な仲介サービスの手数料率は16.5%から20%なので、83%は平均的な水準です。

ここで考えるべきは、その17%が年間でいくらになるかです。月60万円の案件を1年続ければ年間720万円で、17%は122万円です。手数料0%で直接取引できる場を併用すると、同じ仕事量でも手元に残る額が変わります。正直なところ、還元率を数パーセント上げる交渉に労力を使うより、直接取引の口を1つ持つほうが効きます。

正社員と業務委託の手取り比較も書いておきます。年収600万円の正社員と、年間600万円を請け負う業務委託では、社会保険の負担構造が違います。正社員は健康保険と厚生年金の半分を会社が負担しますが、業務委託は全額自己負担になり、かわりに経費を計上できます。経費が年間100万円出るなら業務委託が有利に傾き、経費がほぼ出ないなら正社員が有利です。制度の詳細は日本年金機構の案内を確認してください。

選考で見られる点と、逆に聞くべき質問

フルリモートかつフルフレックスの求人に応募すると、採用側には2つの懸念が生まれます。この懸念を先に潰すのが選考の要点です。

1つ目の懸念は「時間の管理を自分でできるか」です。コアタイムがない環境では、進捗の遅れが発覚するのが遅くなります。だから採用側は、自己申告の精度を見ます。過去に締切を管理した具体例、遅れが見えた時点で報告した経験、作業の見積もりを外したときの対応。この3点を職務経歴書に書いてください。

2つ目の懸念は「非対面で意思疎通ができるか」です。文字だけのやりとりで誤解を生まなかった工夫、報告の頻度の設計、分からないことを聞くタイミング。ここを具体的に書ける応募者は多くありません。差がつく部分です。書き方の型は職務経歴書の書き方完全ガイド|転職成功率を上げるコツ【2026年版】に具体例つきでまとめられています。

逆に、こちらから聞くべき質問は4つです。定例会議の時刻と頻度、清算期間の長さ、みなし残業の有無と時間数、そして実際にコアタイムなしで働いている社員の比率。4つ目は特に重要で、答えを数字で言える会社は制度が運用に乗っています。「ほとんどの人が使っています」という曖昧な回答が返ってきたら、もう一度具体的に聞いてください。

もう一つ、初心者が見落とす点があります。試用期間中の扱いです。「試用期間中は出社」「入社3ヶ月はコアタイムあり」という条件が付いている会社があります。制度の適用開始時期は必ず確認してください。

20代で転職を考えている場合、届く求人の質は入口で決まります。未経験や第二新卒向けのサイトは、掲載される求人の層も選考の進め方も一般向けとは違います。

フルフレックスで崩れる人の共通点

制度を得たあとの話をします。ここが本題だと考えている人は少ないのですが、実際にはここで差が出ます。

崩れる人の1つ目の特徴は、始業時刻を毎日変えることです。自由だからといって日によって始業が5時と13時に振れると、体内時計が定まりません。3週間で睡眠の質が落ち、生産性が下がります。フルフレックスを活かしている人は、実は始業時刻をほぼ固定しています。自由に選べることと、毎日変えることは違います。

2つ目は、稼働時間の記録を取らないことです。清算期間の総労働時間を満たす必要があるので、月末に足りないと気づいて詰め込む羽目になります。日次で記録する習慣がないと、この事故が起きます。

3つ目は、終業の合図を作らないことです。在宅でコアタイムもないと、仕事と生活の境目が消えます。作業用の机から離れる、PCを閉じる、散歩に出る。何でもいいので終わりの動作を決めてください。

4つ目は、同僚との接点を自分から作らないことです。全員が違う時間に働くと、雑談が発生しません。半年経つと、業務の相談をする相手がいないことに気づきます。週1回でも重なる時間帯を作って、会話する枠を自分で確保してください。

5つ目は、深夜帯に寄せてしまうことです。深夜割増が付くので会社が制限している場合がありますし、翌日の集中力が落ちます。夜型の自覚がある人でも、22時までに終える設計を先に作ったほうが長続きします。

正直なところ、制度が自由になるほど、自己管理の負荷は上がります。これを「自由でうれしい」とだけ捉えていると、半年で疲れます。制度は道具なので、使い方を決めてから受け取ってください。

副業とスキルの棚卸しをどう組むか

フルフレックスの最大の実利は、副業との相性です。時間帯が自由なので、平日の午前に本業、午後に副業という設計が可能になります。就業規則で副業が認められている会社なら、この形は強い。

ただし条件が2つあります。1つは、本業の総労働時間を清算期間内で満たすこと。副業に寄せすぎて本業の時間が足りなくなると、欠勤控除の対象になります。もう1つは、副業の取引先に本業の稼働時間を侵食されないことです。副業側から「今すぐ確認したい」という連絡が来る取引は、本業の集中を壊します。

副業で何をやるか決めかねている人には、成果物で評価される仕事を勧めます。記事の執筆、図面の作成、データの整理、アプリの開発。時間で測られる仕事を副業にすると、フルフレックスの利点が消えます。開発側で受けるなら、求められる工程と準備はアプリケーション開発のお仕事に業務の流れごとに書かれています。

資格については、フルリモートの選考で直接評価されるものは限られます。効くのは、業務に直結する技術系の資格と、未経験分野に移るときの入口としての資格です。逆に、業務と関係のない資格を並べても選考では響きません。棚卸しの基準は「その資格が示すスキルを、いま募集されている業務で使うか」の一点です。

単価を上げる話も書いておきます。フルリモートかつフルフレックスで働く人が単価を上げる経路は2つあります。1つは専門領域を狭くすること、もう1つは取引先を増やして選択権を持つことです。前者は時間がかかりますが確実で、後者はすぐに効きます。取引先が1社しかない状態では、条件交渉の材料がありません。

初心者がここに届くまでの順番

今の職場が出社前提で、フルリモートもフルフレックスも縁がない状態から始める人向けに、順番を書きます。結論を先に言うと、実務の記録を作らずに応募しても書類で落ちます。理由は能力ではなく、採用側の懸念を消す材料がないからです。

最初の3ヶ月は、週5時間だけ副業に充てます。土日のどちらか半日で足ります。目的は稼ぐことではなく、非対面で仕事を完結させる感覚をつかむことです。チャットだけで要件を確認し、締切を守って納品する。これができるかを自分で確かめます。

次の3ヶ月は、同じ取引先から継続の依頼をもらうことを目標にします。単発を10件こなすより継続1件のほうが価値があります。営業の手間が減るうえ、職務経歴書に「継続して任された」と書けるからです。時間帯を自分で決めて納品した経験は、フルフレックスの選考で直接使える材料になります。

7ヶ月目から12ヶ月目は稼働を週10時間に増やし、取引先を2社に広げます。2社になると、稼働時間の配分を自分で組む練習になります。清算期間内で総労働時間を満たしながら別の仕事を回す、という後の運用と同じ構造です。

1年経ったら、フルリモートかつフルフレックスの正社員求人に応募します。書類には「在宅で1年間、複数の取引先と継続して仕事をした記録」が載ります。面接で「時間の管理を自分でできますか」と聞かれたとき、実例で答えられる。これが最も強い回答です。

在職中に始めることを勧めます。無職になってから探すと、母数の小さい求人群を待てずに条件の悪い内定を受けてしまいます。生活費の3ヶ月分を現金で持っていれば、待つ余裕ができます。

在宅の環境とお金の備え

制度が整っていても、環境が整っていないと続きません。実務的な備えを書きます。

回線が最優先です。無線しか使えない部屋で働くと、会議のたびに音が途切れます。可能なら有線で繋ぐ、それが無理なら中継機を1台入れる。会社が通信費を補助する場合もあるので、内定時に「在宅手当や通信費の補助はありますか」と聞いてください。月3,000円から5,000円の在宅手当を出す会社は珍しくありません。

椅子と机も同じくらい重要です。食卓の椅子で1日8時間働くと、数ヶ月で腰を痛めます。3万円台の作業椅子でも、食卓の椅子とは別物です。フルフレックスだと長時間まとめて作業する日が出るので、ここは先に投資してください。

音の環境も現実的な問題です。家族と同居している場合、会議中の生活音が入ります。時間帯を自由に選べるのがフルフレックスの利点なので、家族が不在の時間に会議を寄せる設計にできるかを面接で確認しておくと、入社後の運用が楽になります。

お金の備えは2つ。1つは、業務委託を副業として持つ場合の開業届と青色申告の準備です。経費を引ける幅が変わるので、年間の受注が見込めるなら早めに出しておくほうが得です。手続きと必要書類は国税庁の案内に出ています。もう1つは収入の谷への備えで、生活費の3ヶ月分を現金で持っておくと、条件の悪い仕事を断る判断ができます。

市場を長く見てきた立場からの観察

フリーランスと在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から、2つ書きます。

1つ目。時間の裁量が大きい環境で長く働き続けている人は、能力が特別高いわけではありません。共通しているのは、報告の設計を自分で持っていることです。着手した時点で一報、途中で一報、完了で一報。この3回を入れるだけで、同じ成果物の評価が変わります。運営者として見てきた限りでは、単発の作業を安く速くこなす人より、「この人に任せると様子が見えて楽だ」と思われている人のほうが、結局は安定して仕事を得ています。フルフレックスはこの型を持っていない人には向きません。

2つ目。中間マージンが乗らない直接取引の構造は、依頼側と受け手の双方に効きます。依頼側は同じ予算でより多く頼めるようになり、受け手は同じ仕事で手取りが厚くなる。還元率83%と直接取引の差を1年単位で見ると、金額の大小というより「単価を上げる交渉をしなくても手元が増えていく」という質の違いになって現れます。手数料の高い場だけで動いている人は、単価を上げ続けないと収入が伸びない構造に入っています。

そして、この20年で変わったことを1つ。企業が勤務場所や勤務時間を気にしなくなったわけではありません。変わったのは、「時間で測るしかない業務」と「成果で測れる業務」を切り分けられるようになったことです。フルリモートとフルフレックスを両方提示できる会社は、この切り分けを済ませています。だから求人を探す人がすべきことは、制度の名前で会社を選ぶことではなく、成果で測れる業務を持っている会社を見つけることです。

具体的な行動としては、検索条件に「完全在宅」「居住地不問」「コアタイムなし」のいずれかを入れる。勤務時間の欄に時刻の範囲が書かれた求人は開かない。そして面接では定例会議の時刻と頻度を必ず聞く。この3つだけで、読む求人の数は減り、質は上がります。候補が10件あれば転職には足ります。

よくある質問

Q. フルフレックスとフレックスタイム制はどう違いますか?

フレックスタイム制は法律に定めのある制度で、多くの会社は11時から15時などのコアタイムを設けています。フルフレックスはそのコアタイムを撤廃した運用を指す通称で、法律上の用語ではありません。中身は会社ごとに違うため、求人票の表記だけでなく定例会議の時刻と頻度を面接で確認してください。

Q. フルリモートかつフルフレックスの正社員求人はどのくらいありますか?

条件を完全に満たす求人は、全国で同時に10件から30件という規模です。情報通信業と専門サービス業、そして従業員300人未満の企業に偏って集まっています。数が少ないため、多数応募する戦略ではなく、少数の求人に書類の質で勝つ戦略が必要になります。

Q. フルフレックスなら残業はなくなりますか?

なくなりません。自由なのは始業と終業の時刻だけで、清算期間の総労働時間を上回れば割増賃金の対象になります。求人票に「時間外労働有無:有」「みなし残業○時間を含む」と書かれていることもあるため、給与の内訳と残業代の扱いは応募前に確認してください。

Q. 正社員と業務委託ではどちらが手取りが多くなりますか?

経費の額で逆転します。正社員は社会保険料の半分を会社が負担しますが、業務委託は全額自己負担で、かわりに経費を計上できます。年間100万円規模の経費が出るなら業務委託が有利に傾きます。加えて仲介手数料が16.5%から20%かかるため、直接取引の口を持つかどうかで手元の金額が変わります。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年1月2日最終更新:2026年9月24日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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