フリーランスの再委託(下請け)ルール|法的にOK?クライアントへの伝え方


この記事のポイント
- ✓フリーランスが仕事を再委託(下請けに出す)する際の法的ルール
- ✓クライアントへの伝え方まで解説
- ✓再委託禁止条項の確認方法も紹介します
案件が増えてきたフリーランスが必ず直面する問題——「この仕事の一部を、別の人に手伝ってもらいたい」。
これが「再委託」です。法的に問題はないのか、クライアントにはどう伝えればいいのか。ここ、意外と見落としがちなんですが、契約書の条項によってはペナルティが発生するケースもあります。
会計事務所時代に数多くの業務委託契約を見てきた経験から、フリーランスの再委託ルールを解説します。
再委託(下請け)とは
再委託とは、クライアントから受けた業務の全部または一部を、別の第三者に委託することです。「下請け」「外注」とも呼ばれます。
よくある再委託のパターン
| パターン | 具体例 |
|---|---|
| 業務の一部を委託 | Webサイト制作を受注し、コーディング部分を別のエンジニアに外注 |
| 特定の工程を委託 | ライティング案件で、取材・リサーチ部分をリサーチャーに外注 |
| 全体を委託 | 受注した案件をそのまま別のフリーランスに丸投げ |
注意: 3つ目の「丸投げ」は、多くの場合トラブルの原因になります。
再委託は法的にOKなのか
民法上の原則
民法上、業務委託契約(準委任契約・請負契約)における再委託の扱いは異なります。
| 契約類型 | 再委託の可否 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 準委任契約 | 原則禁止 | 民法第644条の2 |
| 請負契約 | 原則自由 | 制限なし(ただし契約条項による) |
準委任契約では、受任者は原則として自ら業務を遂行する義務があり、委任者の許諾がなければ再委託できません。
一方、請負契約では、結果(成果物)の引き渡しが目的であるため、誰が作業するかは原則自由です。
実際には契約書の条項が優先
法律の原則がどうであれ、実際には契約書の再委託条項が優先されます。多くの業務委託契約書には、再委託に関する条項が含まれています。
よくある再委託条項のパターン
| パターン | 条項例 | フリーランスへの影響 |
|---|---|---|
| 全面禁止 | 「再委託を禁止する」 | 一切外注できない |
| 事前承諾型 | 「事前の書面による承諾を得て再委託できる」 | 最も一般的。承諾を得れば可 |
| 通知型 | 「再委託する場合は事前に通知する」 | 通知すれば可 |
| 制限なし | 条項なし | 原則自由(ただし契約類型による) |
再委託の契約上のリスク
リスク1:再委託禁止条項に違反
契約で再委託が禁止されているのに外注した場合、契約違反となります。
発覚するパターン:
- 成果物の品質・スタイルが明らかに変わった
- 外注先のフリーランスがクライアントに直接連絡した
- SNS等で外注先が案件について投稿した
ペナルティ:
- 契約解除
- 損害賠償請求
- 報酬の支払い拒否
リスク2:外注先の品質問題
再委託先の成果物に問題があった場合、クライアントに対する責任を負うのはあなたです。外注先がミスしたことは言い訳になりません。
リスク3:情報漏洩
クライアントの機密情報を外注先に共有することになるため、NDA違反のリスクがあります。
リスク4:再委託先との契約トラブル
再委託先のフリーランスとの間でも、報酬未払い、著作権、品質トラブルが発生する可能性があります。再委託先とも書面で契約を結ぶことが必須です。
クライアントへの再委託の伝え方
伝えるタイミング
ベストは契約前、遅くとも作業開始前に伝えてください。作業が始まってから「実は外注してました」と言うと、信頼を損ないます。
伝え方テンプレート
パターン1:契約前に伝える場合
今回のプロジェクトについて、
コーディング部分は信頼できるパートナーの
エンジニアに協力を依頼したいと考えております。
・氏名:△△△△
・実績:○年のコーディング経験
・当方が品質管理・最終確認を行います
・NDAの締結も当方の責任で行います
ご了承いただけますでしょうか。
パターン2:プロジェクト途中で必要になった場合
プロジェクトの進行にあたり、
○○の工程について専門性の高い作業が
必要であることがわかりました。
品質を確保するため、当該部分を
専門のパートナーに協力を依頼したいと
考えておりますが、ご了承いただけますでしょうか。
なお、最終的な品質管理・納品物の責任は
すべて当方が負います。
クライアントが気にするポイント
| クライアントの懸念 | 対応方法 |
|---|---|
| 品質は大丈夫か | 品質管理は自分が行うことを明示 |
| 機密情報は漏れないか | 再委託先ともNDAを締結することを伝える |
| 追加費用はかかるか | 追加費用は発生しないことを明示 |
| 誰に外注するのか | 可能であれば外注先の実績を提示 |
再委託する場合の実務チェックリスト
再委託を行う際は、以下を必ず確認・準備してください。
- クライアントとの契約書に再委託禁止条項がないか
- クライアントの事前承諾を書面(メール可)で得たか
- 再委託先との間に業務委託契約を結んだか
- 再委託先とNDAを締結したか
- 再委託先の著作権の帰属を契約で明確にしたか
- 納品物の品質チェック体制を整えたか
- 報酬の支払いサイクルを再委託先と合意したか
再委託の報酬設定
再委託する場合、自分の利益をどう確保するかも重要です。
一般的な利益率の目安:
| 自分の関与度 | 利益率の目安 | 例(受注50万円の場合) |
|---|---|---|
| ディレクション + 品質管理 | 20〜30% | 自分:10〜15万円、外注:35〜40万円 |
| 企画 + ディレクション + 品質管理 | 30〜40% | 自分:15〜20万円、外注:30〜35万円 |
| 一部作業 + ディレクション | 40〜50% | 自分:20〜25万円、外注:25〜30万円 |
注意: クラウドソーシングサイトで手数料10〜20%を払ったうえに再委託費用もかかると、利益がほとんど残りません。手数料0%の@SOHOなら、再委託時の利益確保がしやすくなります。
再委託を「する側」と「される側」の両方の視点
フリーランスは、再委託を「する側」にも「される側」にもなります。
される側として注意すべきこと:
- 元請けフリーランスとの契約書を必ず確認する
- 報酬の支払い条件を書面で合意する
- クライアントの存在を意識して品質を担保する
- 自分のポートフォリオに掲載してよいか確認する
まとめ:再委託は「ルールを守って」活用する
再委託は、フリーランスが事業を拡大するための有効な手段です。しかし、契約上のルールを無視すると、大きなトラブルに発展します。
再委託の3原則:
- 契約書の再委託条項を必ず確認する
- クライアントの事前承諾を書面で得る
- 再委託先との間にも書面で契約を結ぶ
この3つを守れば、再委託は安全に活用できます。
※ この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的アドバイスではありません。再委託に関する具体的な問題については、弁護士にご相談ください。
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この記事を書いた人
織田 莉子
FP2級・フリーランス経理サポーター
会計事務所で10年間の実務経験を経て独立。フリーランスの確定申告・節税・資金管理を専門に、お金にまつわる記事を執筆しています。











