老後2000万円問題をフリーランスはどう乗り越える?3つの資産形成プラン

前田 壮一
前田 壮一
老後2000万円問題をフリーランスはどう乗り越える?3つの資産形成プラン

この記事のポイント

  • 老後2000万円問題はフリーランスにとってさらに深刻
  • 厚生年金がないフリーランスが老後資金を確保するための3つの資産形成プラン(iDeCo・小規模企業共済・NISA)を具体的に解説します

「老後2000万円問題」。あの報告書が出たのは2019年。実は、2000万円という数字は会社員の平均的な年金受給額を前提にした試算だ。

フリーランスの場合、厚生年金がない。つまり、老後に必要な自己資金は2000万円では足りない可能性が高い。

まず、安心してほしい。正しく準備すれば、フリーランスでも老後の資金は確保できる。私自身、43歳でメーカーを辞めてフリーランスになったとき、まっ先に考えたのが「年金がどうなるか」だった。

正直に告白すると、退職直後に年金事務所で将来の受給額を試算してもらったとき、月額6.5万円という数字を見て血の気が引いた。住宅ローンの返済がまだ20年残っていて、子ども2人の教育費もこれからピーク。妻に「大丈夫なの?」と言われて、「大丈夫。今から備える」と答えた。翌日にはiDeCoの口座開設手続きを始めていた。

まさにこの通りで、2000万円は「最低ライン」であって「ゴール」ではありません。物価上昇や年金制度の変更も考えると、フリーランスには余裕を持った備えが必要です。

フリーランスの年金はいくら足りないのか

会社員とフリーランスの年金受給額の差

項目 会社員(厚生年金+基礎年金) フリーランス(基礎年金のみ)
月額(平均) 約15万円 約6.5万円
年額 約180万円 約78万円
夫婦合計(月額) 約26万円 約13万円

会社員の夫婦は月額約26万円の年金に対し、フリーランスの夫婦は約13万円。その差は月13万円、年間156万円です。

フリーランスに本当に必要な老後資金

月の生活費を25万円とした場合、年金で賄えないのは月12万円(25万円−13万円)。65歳から90歳まで25年間で計算すると、不足額は3,600万円になります。

2000万円どころか、フリーランスには3,000〜4,000万円の老後資金が必要というのが現実的な数字です。

この数字を見て「無理だ」と思う方もいるかもしれません。でも、準備期間が20年以上あれば、毎月の積立と運用で十分達成可能な金額です。

NG例: 不安を感じて「老後のことは考えたくない」と先送りにする。40代後半で慌てて始めると、運用期間が短いため月々の積立額を大幅に増やす必要が出る。

OK例:1万円でもいいから今日始める。30歳から始めれば35年の運用期間があり、年利3%でも約740万円になる。金額より「始めるタイミング」のほうが重要。

プラン1:iDeCoで老後資金を積み立てる

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、フリーランスの老後資金づくりの王道です。

iDeCoの3つの税制優遇

優遇内容 効果
掛金が全額所得控除 所得税・住民税・国保料が下がる
運用益が非課税 通常約20%の税金がゼロ
受取時の控除 退職所得控除・公的年金等控除が適用

シミュレーション

40歳のフリーランスが月額68,000円(上限額)を65歳まで25年間積み立てた場合。

条件 金額
元本合計 2,040万円
運用利回り年3%の場合 約2,970万円
運用利回り年5%の場合 約3,940万円

さらに、所得税率20%+住民税10%の場合、年間の節税効果は約24万円。25年間で約600万円の節税になります。

ただし、iDeCoは60歳まで引き出せない点には注意が必要です。フリーランスは収入が不安定になることもありますから、生活防衛資金(最低6ヶ月分の生活費)を確保してから始めてください。

プラン2:小規模企業共済で退職金を作る

会社員には退職金がありますが、フリーランスにはありません。小規模企業共済は、フリーランスが自分で退職金を積み立てる制度です。

小規模企業共済のポイント

  • 掛金:月額1,000〜70,000円(500円単位で設定可能)
  • 掛金は全額所得控除
  • 廃業時に共済金として受取(退職金のイメージ)
  • 貸付制度あり(掛金の7〜9割を低利で借入可能)

iDeCoとの最大の違いは、事業資金が必要なときに貸付を受けられる点です。フリーランスにとって、この流動性は大きな安心材料です。

シミュレーション

40歳から月額30,000円を25年間積み立てた場合。

項目 金額
掛金合計 900万円
共済金A(廃業時) 約1,060万円
年間の節税効果(税率30%) 約10.8万円

プラン3:新NISAで資産を増やす

2024年に始まった新NISAは、運用益が非課税になる制度です。iDeCoと違い、いつでも引き出し可能なのが大きなメリットです。

新NISAの概要

項目 つみたて投資枠 成長投資枠
年間投資枠 120万円 240万円
非課税保有限度額 合計1,800万円 うち成長投資枠1,200万円
非課税期間 無期限 無期限
投資対象 投資信託 株式・投資信託等

おすすめの活用法

フリーランスの場合、まずiDeCoと小規模企業共済で節税メリットを最大限活用し、余裕があればNISAで追加投資するのがバランスの良い方法です。

NISAは「60歳前に必要になるかもしれないお金」の運用先として適しています。子どもの教育費や住宅購入の頭金など、老後より前に使う可能性がある資金はNISAで運用するのが合理的です。

「ただの我慢ゲー」という表現は的確です。積立投資は短期的には含み損を抱えることもありますが、長期で見れば右肩上がりになる可能性が高い。焦って売らずに淡々と積み立て続けることが最大の戦略です。

3つのプランを組み合わせたモデルケース

40歳のフリーランス(月収40万円)が3つの制度を組み合わせた場合。

制度 月額 25年後の見込み
iDeCo 30,000円 約1,310万円(年利3%)
小規模企業共済 30,000円 約1,060万円
新NISA 30,000円 約1,310万円(年利3%)
合計 90,000円 約3,680万円

月額9万円の積立で、25年後に約3,680万円。しかもiDeCoと小規模企業共済の掛金合計年間72万円は全額所得控除になるので、節税効果を含めた実質的な負担はさらに軽くなります。

@SOHOの年収データベースでは、フリーランスの職種別の年収相場を確認できます。自分の職種の年収帯を把握しておくと、無理のない積立計画を立てやすくなります。

まとめ

老後2000万円問題は、フリーランスにとっては「3000〜4000万円問題」です。厚生年金がない分、自分で備える必要があります。

でも、iDeCo・小規模企業共済・NISAの3つを組み合わせれば、月9万円の積立で25年後に3,600万円以上を目指せます。しかも節税効果付きです。

大切なのは「早く始めること」。複利の力は時間が長いほど大きくなります。まずは月1万円からでもいいので、今日口座開設の手続きを始めてみてください。

よくある質問

Q. 小規模企業共済とiDeCoはどちらを優先すべきですか?

まずは小規模企業共済を優先することをおすすめします。理由は、iDeCoが60歳まで引き出せないのに対し、小規模企業共済は廃業時に受け取れる柔軟性があるからです。フリーランスとしての収入が安定してきたら、iDeCoも追加するのが理想的です。

Q. iDeCoと小規模企業共済は併用できますか?

併用可能です。iDeCoは月最大68,000円、小規模企業共済は月最大70,000円まで、合計月138,000円の所得控除が可能。フリーランスの節税策としては両方フル活用が理想です。

Q. 小規模企業共済は途中で掛金の金額を変更できますか?

はい、可能です。月額1,000円から70,000円の範囲内で、500円単位で増額や減額の手続きができます。資金繰りが苦しい時は解約するのではなく、最低額の1,000円に減額して継続することをおすすめします。

Q. フリーランスが法人化した場合、これらの制度はどうなりますか?

法人化すると小規模企業共済は引き続き加入できますが、iDeCoの上限額が月23,000円に下がります(企業年金がない場合)。国民年金基金と付加年金は加入できなくなります。ただし、法人化すれば厚生年金に加入できるため、年金面ではメリットもあります。税金の仕組みについてはフリーランスの税金完全ガイドも併せてご覧ください。

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前田 壮一

この記事を書いた人

前田 壮一

元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身

大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。

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