経理・帳簿代行のポートフォリオの作り方|見る人が知りたいこと

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
経理・帳簿代行のポートフォリオの作り方|見る人が知りたいこと

この記事のポイント

  • ✓経理・帳簿代行のポートフォリオは
  • ✓守秘義務があるため実績をそのまま見せられません
  • ✓依頼者が本当に確認したい項目

経理・帳簿代行のポートフォリオを作ろうとして、手が止まった人は多いはずです。デザインやライティングなら成果物をそのまま並べれば済みますが、経理の仕事は依頼者の売上も取引先も従業員の給与も全部が機密です。作った帳簿を見せることはできません。

結論から書きます。経理・帳簿代行のポートフォリオは「成果物を見せるもの」ではなく「業務プロセスと判断基準を見せるもの」です。依頼者が知りたいのは、あなたがどんな帳簿を作ったかではありません。自分の会社の経理を任せたときに、どう進んで、何が返ってきて、どこで困らずに済むかです。ここを示せていれば、実績の中身を一切見せなくても選ばれます。

正直なところ、この点を取り違えているポートフォリオがかなり多いという傾向が見られます。資格の一覧と経歴の年表だけを並べて、肝心の「どう働く人なのか」がまったく分からない。そういう自己紹介は、依頼者にとって判断材料になりません。この記事では、依頼者が実際に確認している項目と、それをどう表現するかを順に整理します。

経理・帳簿代行のポートフォリオが特殊な理由

まず前提を押さえます。他の職種のポートフォリオの作り方を真似すると、この分野では失敗します。

守秘義務が最優先で、実績の開示に厳しい制限がある

経理の代行は、依頼者の経営情報そのものに触れる仕事です。売上、粗利、取引先の名前と取引額、役員報酬、従業員の給与。これらはどれも外に出せません。

そして、ここでの姿勢は依頼者から見られています。他社の実績を具体的に語る受注者は、自社の情報も外で語る人だと判断されます。ポートフォリオに実績の中身を書き込むほど、選ばれにくくなるという逆転が起きます。この分野では、見せないことが信頼の証明になります。

だからといって何も書かないと、判断材料がゼロになります。この矛盾を解く方法が、業種と規模と業務範囲だけを抽象化して示すことです。「小売業、従業員十名未満、記帳代行と月次報告を担当」のような書き方であれば、依頼者を特定できず、しかも読み手は自分との近さを判断できます。

依頼者が探しているのは「安心して任せられる相手」

経理の外注先を探している依頼者は、優秀な人を探しているのではありません。事故が起きない人を探しています。この違いは大きい。

依頼者が抱えている不安は具体的です。情報が漏れないか。途中で連絡が取れなくなったりしないか。税理士とうまく連携できるか。自分の会計ソフトを使えるか。専門用語で煙に巻かれないか。この五つです。ポートフォリオは、この不安に順番に答える文書として作るのが正解です。

技術力のアピールは、この五つの後に来ます。順番を逆にすると、読まれません。

会計ソフトの前提が、選ばれるかどうかを大きく左右する

現在の記帳代行は、クラウド会計の運用スキルとほぼ一体になっています。依頼者はすでにソフトを使っていることが多く、そのソフトを扱えるかどうかが最初のふるいになります。

経理代行のプロがマネーフォワード クラウド会計を運用することで、この自動化率を80〜95%レベルまで引き上げることが可能です。手入力が極限まで減るため、「月末から翌月末」までかかっていた月次実績の確定が「翌月中旬(10日〜15日)」へと大幅に前倒しされるケースが多く、スピーディな経営判断が可能になります。 出典: go.taxita.com

ここに書かれている自動化率80〜95%という水準は、ソフトの標準機能をどこまで使いこなせているかで決まります。連携の設定、自動仕訳ルールの登録、明細の取り込み方の設計。この運用ができる人とできない人では、同じ依頼でも依頼者の手間がまるで変わります。

つまり、ポートフォリオに書くべきは「簿記の知識があります」より「このソフトでこういう運用を組めます」のほうです。後者のほうが、依頼者にとって具体的に想像できます。会計ソフトの実務での使い勝手や運用のコツはフリーランス 経理 会計ソフト freee 評判!2026年最新の活用術で整理されているので、自分の運用方針を言語化する参考になります。

依頼者が実際に確認している項目

ポートフォリオに載せるべき内容は、依頼者の確認項目から逆算して決めます。順に挙げます。

対応できる業務範囲を、含む含まないで書く

最初に来るのがこれです。記帳代行と経理代行は、同じように語られますが範囲が違います。

記帳代行は、領収書や通帳の内容を会計ソフトに入力して帳簿を作るところまでです。経理代行はそこに、請求書の発行、入金消込、支払処理、経費精算のチェック、給与計算などが加わります。依頼者はこの違いを知らないことが多いので、こちらから示す必要があります。

書き方は、対応する業務を箇条書きにして、続けて対応しない業務も箇条書きにします。対応しないものを明記するのが要点です。特に、税務代理、税務書類の作成、税務相談は税理士の独占業務なので対応できません。ここを最初に書いておくと、依頼者は境界を理解したうえで相談してきます。あとで揉めません。

経理まわりの業務がどう分類されるかを俯瞰したいときは、経理・財務・帳簿・税務のお仕事で扱われている区分を眺めると、自分の守備範囲を整理しやすくなります。

対応できる会計ソフトと、その運用レベル

ソフトの名前を並べるだけでは足りません。何ができるかまで書きます。

書く項目は、導入と初期設定ができるか、既存環境の引き継ぎができるか、銀行やカードの自動連携を設定できるか、自動仕訳ルールを設計できるか、複数人での権限管理を設定できるか。この五つです。

「freee 使用可」とだけ書かれた自己紹介と、「freeeの銀行連携とカード連携の設定、取引先ごとの自動仕訳ルールの登録、部門別の集計設定まで対応します」と書かれた自己紹介では、読み手の解像度がまったく違います。後者は、依頼者が自分の作業がどれだけ減るかを想像できます。

業種の経験を、抽象度を上げて示す

依頼者は、自分の業界を分かっている相手を探しています。業界ごとに取引の形が違うからです。飲食なら日々の売上と仕入の処理、建設なら工事ごとの原価管理、EC なら決済代行会社ごとの入金サイクル。処理の癖が違います。

ここは実績を出さずに示せます。「小売業、飲食業、EC 事業者の記帳経験があります」と業種だけ書けば、依頼者を特定できません。そのうえで、その業種特有の処理について一言添えます。「EC の場合は決済代行会社ごとに入金サイクルが異なるため、売掛金の消込ルールを最初に設計します」といった具合です。

この一文があると、依頼者は「経験がある」ではなく「分かっている」と読みます。抽象的な経験の主張より、具体的な処理の言及のほうが説得力を持ちます。

稼働の条件を、はっきり書く

見落とされがちですが、依頼者が最も気にしている項目の一つです。

書くべきは、対応可能な曜日と時間帯、返信の目安、月次作業のスケジュール、長期不在時の扱い、繁忙期の受注方針。この五つです。

「柔軟に対応します」は書かないほうがよい表現です。柔軟という言葉には条件がなく、依頼者は最も都合のよい解釈をします。後で期待とずれます。「平日の午前中に前日分をまとめて返信します」と具体的に書くほうが、制約があっても信頼されます。予測可能であることは、速いことより価値があります。

情報の取り扱い方針を明記する

守秘の姿勢は、言葉で書くだけでも意味があります。

NDA(エヌディーエー)の締結に対応すること、データを保管する場所とその管理方法、会計ソフトの権限は業務に必要な最小限にとどめる方針、契約終了時のデータの扱い。この四つを書きます。

特に「必要最小限の権限で結構です」と自分から申し出る姿勢は、依頼者に強く効きます。権限を欲しがらない人は、リスクを理解している人だと伝わるからです。

ポートフォリオの構成と、書く順番

内容が決まったら、並べ方です。読まれる順番を意識します。

冒頭は自己紹介ではなく「何を任せられるか」

多くのポートフォリオは経歴から始まります。これは読み手の関心と順序が合っていません。

依頼者が最初に知りたいのは「この人に何を任せられるか」です。だから冒頭には、対応業務の要約を三行程度で置きます。「クラウド会計を使った月次記帳、月次報告書の作成、税理士への提出資料の準備までを担当します。税務判断は行いません」。この三行で、読み手は自分の依頼に合うかを判断できます。

経歴はその後です。経歴は、任せられる理由の補強として機能します。順番を逆にすると、補強が先に来て本題が読まれません。

実績は「業務プロセス」として書く

守秘義務があるので、実績を成果として書けません。代わりに、プロセスとして書きます。

たとえば、初月にやること、月次の作業の流れ、確認事項の出し方、納品物の形式、年度末に向けた準備。この流れを、匿名化した想定ケースとして一件書きます。

「小売業、従業員十名未満の事業者を担当した場合の進め方」として、初月は前年度の帳簿を確認して科目のルールを揃える、二か月目から自動連携を設定して手入力を減らす、毎月の締めのタイミングで確認事項を一覧にして提出する、といった具合に書きます。

これは架空の話ではなく、自分が実際にやっている手順を、依頼者を特定できない形で書いたものです。読み手は、自分が依頼したときの流れをそのまま想像できます。成果の数字より、この想像のしやすさが選ばれる決め手になります。

資格は「何ができる証明か」まで書く

資格の一覧をただ並べても、依頼者には意味が伝わりません。その資格が何を保証するかを添えます。

日商簿記であれば、複式簿記の処理と決算整理までの基礎を持っていること。財務諸表の読み方を扱うビジネス会計検定であれば、作った帳簿から経営状況を説明できること。IT 系の資格を持っているなら、データの取り扱いや情報管理に関する理解の裏づけとして書けます。

資格がない場合でも、代わりに書けるものはあります。使えるソフト、対応できる業種、扱える業務範囲。資格は入口の一つであって、必須条件ではありません。実務で何ができるかのほうが、依頼者にとっては直接的な判断材料になります。

簿記を軸に経理代行で独立していく道筋については、簿記2級のフリーランス年収は?経理代行で独立する方法で段階を追って整理されています。

依頼者が選び方で迷っている点に、先回りして答える

ポートフォリオは自己紹介であると同時に、依頼者の選び方を助ける文書でもあります。相手が何で迷っているかを知っておくと、書くべき内容が決まります。

依頼者は三つの選択肢の間で迷っている

記帳を外に出そうとしている依頼者の前には、選択肢が三つあります。税理士事務所や会計事務所に顧問契約ごと任せる、記帳代行を専門にする会社に頼む、個人のフリーランスに頼む。この三つです。

税理士事務所は、記帳から申告までを一つの窓口で完結できるのが最大の利点です。税務判断まで任せられるので、依頼者は責任を持たずに済みます。ただし顧問契約が前提になることが多く、記帳だけを切り出しにくい。担当が補助スタッフに割り振られると、レスポンスが読めなくなることもあります。

専門会社は、処理体制が組織化されているので量に強く、担当が休んでも止まりません。一方で、依頼者ごとの事情に合わせた柔軟な対応は難しく、決まった形式で資料を出す手間が依頼者側に残ります。税務判断は含まれないので、結局は税理士も必要になります。

個人に頼む利点は、窓口が一人で完結すること、細かい事情を汲んだ対応が得られること、範囲を柔軟に決められることです。逆に不安は明確で、その人が倒れたら止まる、情報管理の体制が見えない、税務判断はできない。この三点です。

不安を消す記述を先に置く

つまり、個人としてポートフォリオを作るなら、この三つの不安を先回りして消すのが最短経路になります。強みを並べるより、相手の不安に答えるほうが効きます。

長期の不在に備えて、どこまでの情報を依頼者側に残しておくかを書きます。科目のルール、按分の根拠、月次の手順を文書化して依頼者と共有する運用にしていると書けば、依存のリスクが下がって見えます。情報管理については、保管場所、権限の範囲、契約終了時の扱いを明記します。税務判断については、対応しないことと、税理士との連携方法を書きます。

この三点が書かれているポートフォリオは、他の選択肢と比べられたときに残ります。逆に、この三点に触れていないポートフォリオは、能力がどれだけ書かれていても、比較の場で落ちます。依頼者は減点方式で見ているからです。

依頼から着手までの流れを、そのまま書く

もう一つ、依頼者が知りたいのが「頼んだら何が起きるか」です。問い合わせから着手までの流れを、そのまま書いておきます。

問い合わせを受けたらどんなことを聞くのか、見積もりを出すまでに何日かかるのか、契約はどう交わすのか、着手にあたって依頼者側に用意してもらうものは何か。この四つを箇条書きにします。

依頼者にとって、外注は不慣れな行為です。何をどう頼めばよいか分からないから、問い合わせをためらいます。流れが書いてあるだけで、その心理的な障壁が下がります。これは能力の説明ではありませんが、問い合わせの数に直接効きます。

実績がない段階でポートフォリオを作る方法

まだ受注経験がない人にとって、ここが最大の壁です。方法はあります。

自分の帳簿を教材にする

最も現実的なのが、自分自身の事業の帳簿を素材にすることです。フリーランスとして活動していれば、自分の確定申告のために記帳をしています。これは立派な実務経験です。

ポートフォリオには、自分の事業でどういう運用を組んでいるかを書きます。使っているソフト、自動連携の設定、勘定科目の整理の仕方、月次で締めるタイミング。自分の数字は開示しなくても、運用の設計だけなら書けます。

さらに一歩進めるなら、架空の事業者を設定して、初期設定から月次の締めまでを一通りやってみます。クラウド会計は試用期間があるので、実際に触れます。この過程で作った手順書は、そのままポートフォリオの中身になります。

知人の事業を、条件を明示して手伝う

小規模な事業者の記帳を手伝わせてもらうのも有効です。ただし、注意点があります。

無償で手伝う場合でも、業務範囲と情報の扱いは文章にしておくことです。曖昧なまま始めると、範囲が広がって疲弊します。そして、後でポートフォリオに書く可能性があるなら、どこまでを匿名で書いてよいかを事前に確認しておきます。事後に許可を取るのは筋が悪く、断られたら書けません。

学習の記録を、判断基準として整理する

実績の代わりになるのが、判断基準を書いた文書です。

たとえば「新しい取引が出たときに勘定科目をどう決めるか」という自分なりの手順を、根拠とあわせて書きます。制度の一次情報は国税庁で確認できるので、根拠として参照先を示すこともできます。

この種の文書は、実績のあるなしに関係なく、書いた人の理解度を直接示します。依頼者は経理の専門家ではありませんが、説明が筋道立っているかどうかは分かります。丁寧に整理された判断基準は、経験年数より強い材料になることがあります。

どこに置くか、どの形式で作るか

内容が揃ったら、置き場所と形式を決めます。ここも成果に影響します。

紙の書類やPDFだけで持っていると、更新が滞ります。閲覧できるページとして持っておき、URL で渡せる形にするのが実用的です。文書作成ツールの共有機能でも、簡単なサイトでも構いません。凝ったデザインは不要です。経理の依頼者が見るのは体裁ではなく中身なので、読みやすい文字の大きさと、見出しで区切られた構成があれば十分です。

構成は、一枚に全部を詰め込むより、階層を作ったほうが読まれます。冒頭に対応業務の要約、次に業務範囲の詳細、会計ソフトの対応状況、稼働条件、情報の取り扱い、業務の流れ、経歴と資格。この順です。依頼者は上から順に読んで、途中で判断が付いたらそこで止めます。だから重要なものほど上に置きます。

分量は、多ければよいものではありません。読み手は経営者や個人事業主で、時間がありません。各項目を短くまとめて、詳細は問い合わせで補う設計にしておくほうが、実際には問い合わせが増えます。全部書ききってしまうと、聞くことがなくなって連絡の理由が消えます。

そして、応募や提案の文面とポートフォリオは役割を分けます。提案文はその案件に合わせて書くもの、ポートフォリオは共通の判断材料です。提案文の中に全部を書き込むと長くなりすぎるので、要点だけを書いて詳細はポートフォリオに誘導する形が扱いやすくなります。

よくある失敗と、その直し方

作ったポートフォリオが機能しないときに、原因になりやすいものを挙げます。

経歴だけが並んでいる

前職の会社名と在籍期間、担当業務の名称だけが並んでいるパターンです。依頼者から見ると、何ができるのかが分かりません。

直し方は、経歴の各項目に「そこで何を任されて、どう進めていたか」を一行ずつ足すことです。「経理部で三年」ではなく「経理部で三年、月次決算の締めと支払処理を担当し、四半期ごとに監査法人への資料提出を行っていました」。この一行があるだけで、読み手は業務の実像を掴めます。

専門用語が説明なしで並んでいる

決算整理仕訳、消込、按分、未払計上。経理の人には日常語ですが、依頼者である経営者には通じないことがあります。

依頼者が経理の専門知識を持っていないから外注するのだという前提を忘れないことです。用語を使うなら、直後に一言で言い換えを添えます。「消込(入金と請求の対応づけ)」といった形です。これができる人は、日常のやり取りでも説明が分かりやすいだろうと推測されます。

何でもできると書いてしまう

対応範囲を広く書けば依頼が増えると考えて、あらゆる業務を並べるパターンです。実際には逆効果になります。

範囲が広すぎると、専門性がないように見えます。そして依頼者は、範囲外の依頼まで持ち込んできます。断れば期待を裏切ることになり、受ければ苦しくなります。

自分の中心となる業務を明示して、周辺は「相談に応じます」にとどめるのが健全です。中心が明確な人のほうが、結果として声がかかります。

更新されないまま放置される

ポートフォリオは一度作って終わりではありません。対応できるソフトが増えた、新しい業種を経験した、稼働の条件が変わった。こうした変化を反映しないと、実態と乖離していきます。

三か月に一度は見直す習慣を持つのがおすすめです。特に稼働条件は、状況が変わりやすい項目です。古い条件のまま置いておくと、受けられない依頼が来て、断る手間が発生します。

隣接する分野への広がりも視野に入れる

経理・帳簿代行のポートフォリオは、経理だけを書く必要はありません。数字を扱う仕事は隣接領域が広く、そこへの展開が依頼の幅を広げます。

たとえば、集計や分析の依頼は経理の周辺から自然に発生します。売上データを月次で整理していれば、そのまま販売分析の依頼に繋がることがあります。データを扱うスキルを示しておけば、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事のような分野の依頼にも届きます。他の専門分野を持っている人が経理も担当するケースもあり、複数の軸を持つこと自体は不利になりません。

ただし、ポートフォリオの中では軸を分けて書きます。混ぜると、どちらの専門家なのか分からなくなります。経理を頼みたい依頼者には、経理の部分だけが見える構成にしておくのが親切です。分野をまたぐ場合は、ページやセクションを分けて、それぞれの入口を用意するのが実用的な形になります。

収入の目安を知りたい場合、職種ごとの分布を見ておくと自分の位置づけが把握できます。ソフトウェア作成者の年収・単価相場のように公的統計をもとにした資料を見ておくと、感覚での判断を避けられます。ポートフォリオに金額を書くかどうかは判断が分かれますが、書くなら根拠を持ったうえで、範囲として示すのが無難です。

長く見てきた立場からの観察

経理の外注は、地域や規模を問わず広がっています。制度対応の負担と人手不足が重なった結果、社内で抱えきれない業務が外に出てきています。

徳島県で事業を営む方々、日々の経理業務に追われ、本業に集中できないと感じることはないでしょうか。人材の確保や、インボイス制度・電子帳簿保存法といった度重なる法改正への対応は、特に中… 出典: biz.moneyforward.com

20年この市場を見てきた立場から言えば、選ばれ続けている受注者のポートフォリオには共通点があります。自分の能力ではなく、依頼者の作業がどう減るかが書かれていることです。作業の速さや資格の数を強調している自己紹介より、「毎月ここまで済ませて返します」「この確認だけお願いします」と書かれているもののほうが、問い合わせに繋がっています。依頼者は能力を買っているのではなく、自分が考えなくて済む状態を買っています。

運営者として見てきた限りでは、中間マージンが乗らない直接取引の場では、この「作業がどう減るか」の説明が特に効きます。仲介手数料に消えていた分が業務の対価に回るので、依頼者は同じ予算でより多くを任せられ、受け手の手取りは厚くなります。手数料0%の意味は、金額の大きさではなく、依頼者と受け手が同じ情報を見ながら範囲を決められることにあります。範囲を決める会話が直接できる場では、ポートフォリオの精度がそのまま受注に反映されます。

以前、資格と経歴を細かく書き込んだ自己紹介を作ったことがあります。反応はほとんどありませんでした。書き直して、対応できる業務と、月次でどう進めるかと、稼働の条件だけを冒頭に置いたところ、問い合わせの中身が変わりました。相手が「これはお願いできますか」と具体的に聞いてくるようになったのです。読み手が判断できる材料を並べることと、自分を良く見せることは別の作業です。ポートフォリオは、後者のために作るものではありません。

よくある質問

Q. 経理・帳簿代行のポートフォリオに、担当した会社名は書けますか?

書かないほうがよい項目です。経理の代行は依頼者の経営情報に触れる仕事なので、他社の実績を具体的に語る受注者は、自社の情報も外に出す人だと判断されます。業種と規模、担当した業務範囲だけを抽象化して示すのが安全です。見せないこと自体が、この分野では信頼の材料になります。

Q. 実績がまだない場合、何をポートフォリオに載せればよいですか?

自分自身の事業の記帳運用が使えます。使っているソフト、自動連携の設定、科目の整理方法、月次で締める手順を書けば、数字を出さずに実務の理解を示せます。あわせて、新しい取引の科目をどう決めるかといった判断基準を根拠つきで整理した文書も、経験年数に代わる材料になります。

Q. 会計ソフトについては、どこまで書けばよいでしょうか?

名前を並べるだけでは不十分です。初期設定ができるか、既存環境の引き継ぎができるか、銀行やカードの自動連携を設定できるか、自動仕訳ルールを設計できるか、権限管理を設定できるかまで書きます。依頼者は自分の作業がどれだけ減るかを知りたいので、機能単位で書くと伝わります。

Q. 対応できない業務も書いたほうがよいですか?

書いてください。特に税務代理、税務書類の作成、税務相談は税理士の独占業務なので対応できません。この線を最初に示しておくと、依頼者は境界を理解したうえで相談してきます。含まない業務を書かないと、書かれていないものは含まれると解釈され、後で認識のずれが起きます。

Q. ポートフォリオはどのくらいの頻度で見直すべきですか?

三か月に一度を目安にしてください。対応できるソフトが増えた、新しい業種を経験した、稼働できる時間帯が変わったといった変化は、反映しないと実態と乖離します。特に稼働条件は変わりやすい項目で、古いまま置いておくと受けられない依頼が来て、断る手間が発生します。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年6月6日最終更新:2026年9月16日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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