フリーランスの新NISA活用術|つみたて投資で老後資金を作る方法


この記事のポイント
- ✓フリーランスが新NISAを活用して老後資金を作る方法を解説
- ✓つみたて投資枠と成長投資枠の使い分け
- ✓おすすめの運用方針まで具体的に紹介します
フリーランスには厚生年金がありません。会社員と比べて、老後に受け取れる年金額は大きく下がります。だからこそ、自分で資産形成の仕組みを作っておく必要があるんです。
私自身、会計事務所に勤めていた頃は厚生年金に加入していましたが、フリーランスになってからは国民年金のみ。将来の年金受給額を試算したとき、月額6万8,000円という数字を見て正直なところ不安を感じました。そこで活用を始めたのが新NISAです。
実は最初、私は「投資なんて余裕のある人がやること」と思い込んでいて、独立から2年間なにも始めていませんでした。会計事務所のクライアントさんには資産形成を勧めていたのに、自分は日々の業務や資金繰りに追われ手つかず。今振り返ると、あの2年間に月1万円でも積み立てていれば、複利で約26万円分の差がついていた計算です。
フリーランスという働き方は自由である反面、経済的な自己責任が伴います。本記事では、将来の不安を少しでも減らし、安心して本業に集中するための「新NISA活用術」を詳しく解説します。
新NISAの基本を押さえる
2024年1月にスタートした新NISAは、投資で得た利益に税金がかからない制度です。フリーランスにとって特に重要なポイントを整理しました。
| 項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
|---|---|---|
| 年間投資上限 | 120万円(月額10万円) | 240万円 |
| 非課税保有限度額 | 1,800万円(合計) | うち1,200万円まで |
| 対象商品 | 投資信託(金融庁の基準を満たすもの) | 株式・投資信託・ETFなど |
| 非課税期間 | 無期限 | 無期限 |
| 投資手法 | 定期的な積立のみ | 一括投資・積立投資どちらも可 |
旧NISA(一般NISA・つみたてNISA)では非課税期間がそれぞれ5年、20年間に限定されていましたが、新NISAでは無期限に変更されました。長期でコツコツ積み立てるフリーランスにとって、この変更は非常に大きなメリットです。
また、旧制度では「一般NISA」と「つみたてNISA」のどちらか一方しか選べませんでしたが、新NISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用が可能になりました。これにより、ベースとなる老後資金はつみたて投資枠で作る一方、資金に余裕ができたタイミングで成長投資枠を使って高配当株などを買う、といった柔軟な戦略が取れるようになっています。
つみたて投資枠と成長投資枠の違い、図解や表で見ると頭に入りやすいですよね。私のクライアントさんにも「まずは全体像を把握してから、無理のない範囲で始めましょう」とお伝えしています。
フリーランスが新NISAを使うべき3つの理由
フリーランスが資産形成を行う手段は複数ありますが、その中でも真っ先に新NISAを検討すべき理由が3つあります。
理由1:厚生年金がない分を補える
厚生労働省の公的データ(令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況)によれば、会社員の場合、厚生年金と国民年金を合わせて月額約14万4,000円の年金を受け取れます(平均値)。一方、フリーランスが受け取れるのは国民年金(老齢基礎年金)のみで、40年間欠かさず保険料を納付して満額受給できたとしても、月額は約6万8,000円にとどまります。
この差額は月に約7万6,000円。年間で約91万円、仮に65歳から85歳までの20年間生きるとすると、なんと1,820万円もの差になります。いわゆる「老後2,000万円問題」は、会社員よりもむしろフリーランスにとって深刻な課題です。
フリーランスは定年退職がないため「生涯現役で稼げばいい」と考える方も多いですが、病気や体力低下で働けなくなるリスクはゼロではありません。この圧倒的な年金不足分を、現役時代からの新NISAの運用益で補うという考え方が必須になります。
理由2:運用益が非課税(手残りが全く違う)
通常、株式や投資信託などの投資で得た利益には20.315%の税金(所得税および住民税など)がかかります。たとえば、長年の運用で100万円の利益が出たとしても、手元に残るのは約80万円になってしまいます。
しかし、新NISA口座を通じて得た利益ならこの税金が完全にゼロになります。100万円の利益がそのまま100万円手元に残るのです。
フリーランスは日頃から経費の計上や節税、社会保険料の負担額に敏感な方が多いと思います。事業における「利益率20%アップ」がいかに大変かを身に染みて理解しているからこそ、この「約20%の税金が合法的に免除される」という非課税メリットの絶大さが見逃せません。長期間運用し、複利効果が雪だるま式に膨らむほど、この非課税メリットによる金額差は数百万円単位へと拡大していきます。
理由3:いつでも引き出せる(流動性の高さ)
老後資金の準備といえば「iDeCo(個人型確定拠出年金)」も有名ですが、iDeCoの最大のデメリットは原則60歳まで資金を引き出せない点にあります。
フリーランスは収入の波が大きく、以下のような突発的な資金需要が発生しやすい働き方です。
- 取引先の倒産や契約打ち切りによる一時的な収入減
- 病気やケガによる休業(傷病手当金がないケースが多い)
- パソコンや機材の突然の故障による買い替え
- 予期せぬ多額の税金支払い(消費税の支払い等)
新NISAの最大の強みは、いつでも自由に売却・引き出しが可能な点です。「どうしても事業資金や生活費が必要になった」という緊急事態において、数日以内に現金化できる流動性の高さは、フリーランスにとって非常に大きな安心材料となります。さらに、新NISAでは売却した分の「非課税保有限度額の枠」が翌年に復活するため、資金繰りが落ち着いた後に再び投資を再開しやすいという柔軟性も備えています。
毎月いくら積み立てるべきか
フリーランスの収入は月によってばらつきがあるため、「無理のない金額」を設定することが何よりも重要です。投資の世界では、相場が下がったときに怖くなって投資をやめてしまうのが最も損をするパターンと言われています。
以下の表は、月収別の推奨積立額の目安です。
| 月収(税引後) | 推奨積立額の目安 | 年間投資額 | 20年後の見込み額(年利5%想定) |
|---|---|---|---|
| 20万円 | 2万円 | 24万円 | 約822万円 |
| 30万円 | 3万円 | 36万円 | 約1,233万円 |
| 40万円 | 5万円 | 60万円 | 約2,055万円 |
| 50万円以上 | 10万円 | 120万円 | 約4,110万円 |
※ 上記は年利5%で複利運用した場合の金融庁の資産運用シミュレーション等に基づく概算です。実際の運用成績を保証するものではなく、相場変動により元本割れするリスクもあります。
ここ、意外と見落としがちなんですが、つみたて投資枠の年間上限は120万円(月額換算で最大10万円)です。月10万円以上を投資に回せる場合は、成長投資枠を併用して積立設定を行う必要があります。
NG例: 「今は手元の現金を残しておきたいから、年末に余裕ができたらまとめて一括投資しよう」と考えて、気づいたら相場が一番高いタイミングで慌てて集中投資してしまうパターンです。これは高値掴みのリスクを高めます。
OK例: 「毎月確実に払える最低ライン(例:月3万円)」と決めてクレジットカードや銀行口座から自動積立を設定する。そして、大型案件の入金があったボーナス月(売上が多かった月)だけ、成長投資枠を使ってスポットで追加投資を行う。 毎月一定額を買い続ける手法を「ドルコスト平均法」と呼びます。価格が高いときには少ししか買わず、価格が安いときにはたくさん買うことになるため、長期的に見て購入単価を平準化でき、高値掴みのリスクを分散できる王道の手法です。
つみたて投資枠と成長投資枠の使い分け
フリーランスの場合、まずは「つみたて投資枠」を満額活用することから始めることをおすすめします。投資の勉強や銘柄選びに時間を奪われて、本業の売上が下がってしまっては本末転倒だからです。
つみたて投資枠で買うべき商品の王道:
- 全世界株式インデックスファンド(例:eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)など)
- 米国株式インデックスファンド(例:eMAXIS Slim米国株式(S&P500)など)
これらの投資信託は、金融庁が「長期・積立・分散投資に適している」と厳格な基準で選定した商品に限られており、購入手数料が無料で、保有中のコスト(信託報酬)も非常に低く設定されています。世界中の企業にまるごと投資するパッケージ商品のようなものなので、これ1本で十分な分散投資が完了します。
成長投資枠で買うもの(資金と時間に余裕がある場合):
- 高配当ETF(定期的な配当収入(インカムゲイン)を得て、日々の生活費の足しにしたい場合)
- 国内株式・米国個別株(自身の事業領域に近いなど、特定企業の成長に投資したい場合)
- つみたて投資枠と同じインデックスファンドの追加購入(最もシンプルで推奨される方法です)
私のクライアントには「全世界株式のインデックスファンドを、つみたて投資枠で月3万円ずつ買い続ける」という極めてシンプルな方法をお伝えしています。相場を毎日チェックする必要もなく、ほったらかしにできるため、投資に時間を取られたくないフリーランスにとって、手間のかからない仕組みが一番長続きします。
新年度や確定申告が終わったタイミングで、自身の売上状況を見直し、積立設定を調整するのは良い習慣ですよね。
新NISAとiDeCoの併用がベスト
@SOHOの年収データベースを見ると、フリーランスの年収や売上規模は職種によって大きく異なりますが、事業所得(利益)が安定して年間400万円以上ある方であれば、新NISAとiDeCo(個人型確定拠出年金)の併用を強く検討する価値があります。
iDeCoは原則60歳まで資金を引き出せないという強力なデメリットがある反面、**「掛金が全額所得控除になる」**というフリーランスにとって最強の節税メリットを持っています。
→ [フリーランスの年収データを職種別に見る(@SOHO データベース)]
| 制度 | 最大のメリット(節税効果) | 資金の引き出し | 年間上限額 |
|---|---|---|---|
| 新NISA | 運用で得た利益がずっと非課税 | いつでも自由に売却・引き出しOK | 最大360万円 |
| iDeCo | 掛金が全額所得控除(所得税・住民税が安くなる) + 運用益も非課税 | 原則60歳まで引き出し不可 | 最大81.6万円(国民年金第1号被保険者の場合、月額6.8万円) |
たとえば、所得税率20%、住民税率10%のフリーランスがiDeCoで毎月3万円(年間36万円)を積み立てた場合、年間で約10万8,000円もの税金が安くなります。確実に戻ってくる税金という「ノーリスクのリターン」を得ながら、将来の年金を作れるわけです。
資金の流動性を重視して「新NISA」をメインの土台としつつ、節税対策として「iDeCo」を掛け合わせる。さらに余裕があれば、退職金代わりになり事業資金の貸付制度もある「小規模企業共済」を組み合わせるのが、フリーランスの資産形成の黄金ルートと言えます。
フリーランスが注意すべきポイント
投資を始めるにあたって、フリーランスならではの注意点があります。ここを間違えると事業の存続に関わるため、必ず押さえておきましょう。
1. 生活防衛資金を確保してから始める
投資を始める前に、最低でも生活費と事業の固定費の6ヶ月分〜1年分の現金を、絶対に手をつけてはいけない「生活防衛資金」として銀行口座に確保してください。
会社員であれば生活費の3ヶ月分が目安と言われますが、フリーランスには有給休暇も失業保険も、休業時の傷病手当金も(原則として)ありません。万が一、最大のクライアントとの契約が途切れたり、自身が数ヶ月入院したりしても、焦って投資信託を暴落時に売却しなくて済むよう、厚めのクッションを持っておく必要があります。投資はあくまで「当面使う予定のない余剰資金」で行うのが鉄則です。
2. 事業用口座とプライベート口座を明確に分ける
新NISAの証券口座を開設し、毎月の積立金を引き落とす際は、必ず**「プライベート用の銀行口座」**から引き落とすように設定してください。
事業の売上が入金される事業用口座から直接NISAの積立金を引き落としてしまうと、毎月の帳簿付けで「事業主貸(事業のお金をプライベートに回した)」という仕訳を切る手間が発生します。経理作業を複雑にしないためにも、事業用資金と投資用資金は入口の段階で明確に分離しましょう。
3. NISAの運用益は確定申告に含めなくてよい
フリーランスの皆さんが毎年苦労している確定申告ですが、新NISA口座内で発生した売却益や配当金は非課税であるため、確定申告書に記載する必要は一切ありません。これも嬉しいポイントです。
ただし、NISA口座の枠を使い切ってしまい「特定口座」や「一般口座」などの課税口座で株式や投資信託を取引している場合は注意が必要です。その際は、「特定口座(源泉徴収あり)」を選んでおけば証券会社が代わりに税金を納付してくれるため、原則として確定申告の手間を省くことができます。
4. 収入が減った月・年は積立額を下げてもいい
「一度月5万円と決めたら、何があっても毎月同じ額を積み立てなければならない」と思い込む必要はありません。
フリーランスの業績は波があります。大型案件が終わって収入が落ち込む時期や、多額の税金支払い・機材投資が重なる時期は、迷わず証券会社のマイページから積立額を「月1万円」などに減額しましょう。 重要なのは**「金額を減らしてでも、相場から完全に退場せず、細々とでも積立投資を継続すること」**です。この柔軟なマインドセットを持てるかどうかが、フリーランスの資産形成の成否を分けます。
よくある質問
Q. フリーランスが法人化した場合、これらの制度はどうなりますか?
法人化すると小規模企業共済は引き続き加入できますが、iDeCoの上限額が月23,000円に下がります(企業年金がない場合)。国民年金基金と付加年金は加入できなくなります。ただし、法人化すれば厚生年金に加入できるため、年金面ではメリットもあります。税金の仕組みについてはフリーランスの税金完全ガイドも併せてご覧ください。
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この記事を書いた人
織田 莉子
FP2級・フリーランス経理サポーター
会計事務所で10年間の実務経験を経て独立。フリーランスの確定申告・節税・資金管理を専門に、お金にまつわる記事を執筆しています。
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