フリーランスの年金と退職金対策|老後資金を確保する4つの方法【2026年版】

前田 壮一
前田 壮一
フリーランスの年金と退職金対策|老後資金を確保する4つの方法【2026年版】

この記事のポイント

  • フリーランスの年金・退職金問題を解決する4つの制度を徹底解説
  • 国民年金基金・付加年金・小規模企業共済・iDeCoの比較
  • 年齢別の積立シミュレーション

「フリーランスには退職金も厚生年金もない。老後が不安だ。」

その不安、痛いほどわかります。私自身、43歳でメーカーの管理職を辞めてフリーランスに転身したとき、最も恐かったのが老後のお金のことでした。会社員時代は何も考えなくても厚生年金と退職金が積み上がっていたのに、フリーランスになった途端、すべてが自己責任になる。

でも、正しい知識を持って対策すれば、会社員以上の老後資金を築くことも不可能ではありません。私が実際に活用している4つの制度と、具体的なシミュレーションをお伝えします。

フリーランスの年金問題|会社員との差

会社員とフリーランスの年金制度の違い

項目 会社員 フリーランス
加入する年金 国民年金+厚生年金 国民年金のみ 厚生年金分が丸ごとない
月額保険料 約35,000円(会社と折半後) 17,510円(2026年度)
65歳からの年金月額 約14.5万円 約6.8万円 約7.7万円の差
退職金 平均1,500〜2,000万円 なし 退職金なし

フリーランスの国民年金だけでは、月額約6.8万円しか受け取れません。夫婦で考えても月13.6万円。これだけで生活するのは現実的に非常に厳しい金額です。

老後に必要な資金

項目 月額 年額 30年分(65〜95歳)
基本生活費 15万円 180万円 5,400万円
住居費 5万円 60万円 1,800万円
医療・介護費 3万円 36万円 1,080万円
予備費・余暇 3万円 36万円 1,080万円
合計 26万円 312万円 9,360万円
国民年金(65歳〜) −6.8万円 −81.6万円 −2,448万円
不足額 19.2万円 230.4万円 6,912万円

国民年金だけでは約6,900万円が不足します。この不足を埋めるのが、以下の4つの制度です。

老後資金を確保する4つの方法

制度の全体比較

制度 月額掛金の上限 年間の節税効果 受取時の税制 途中解約
① 国民年金基金 68,000円(②と合算) 最大約24万円 公的年金等控除 不可
② 付加年金 400円 約1,500円 公的年金等控除 可能
③ 小規模企業共済 70,000円 最大約25万円 退職所得控除 可能(元本割れリスクあり)
④ iDeCo 68,000円(①と合算) 最大約24万円 退職所得控除 or 公的年金等控除 原則60歳まで不可

① 国民年金基金

国民年金基金とは

国民年金だけでは足りない年金額を上乗せするための制度です。フリーランス(第1号被保険者)専用の制度で、会社員は加入できません。

項目 内容
対象者 国民年金の第1号被保険者(20〜60歳)
掛金 月額68,000円まで(iDeCoと合算)
受取開始 65歳から(終身型・確定型を選択)
税制優遇 掛金全額が社会保険料控除
リスク 途中脱退不可、予定利率が低い

加入プランと受取額の例

プラン 月額掛金 65歳からの年金月額 受取年数
A型(終身年金) 約15,000円 約20,000円 終身
B型(終身年金) 約10,000円 約15,000円 終身
Ⅰ型(確定年金) 約8,000円 約30,000円 15年間

② 付加年金

最もコスパの良い年金制度

付加年金は「月額400円」の追加負担で、年金を増額できる驚異的にコスパの良い制度です。

項目 内容
月額掛金 400円
増額される年金 200円 × 納付月数 / 年
損益分岐点 2年間受給すれば元が取れる

付加年金の具体的な効果

納付期間 総納付額 年間の増額 2年で元が取れる 20年受給で
10年 48,000円 24,000円 2年目で回収 48万円のリターン
20年 96,000円 48,000円 2年目で回収 96万円のリターン
30年 144,000円 72,000円 2年目で回収 144万円のリターン

月400円の投資で、30年納付すれば65歳以降年間72,000円の年金増額。2年で元が取れるので、加入しない理由がありません。

私は独立した翌月にすぐ付加年金に加入しました。「月400円で年金が増えるなら、やらないほうが損」。これは断言できます。

③ 小規模企業共済

フリーランスの退職金制度

小規模企業共済は、フリーランスや小規模事業者のための「退職金積立制度」です。独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しています。

項目 内容
対象者 フリーランス、小規模事業の経営者
月額掛金 1,000〜70,000円(500円刻み)
受取方法 一括受取、分割受取、併用
税制優遇 掛金全額が小規模企業共済等掛金控除
受取時の税制 退職所得控除(一括)or 公的年金等控除(分割)

積立シミュレーション

月額掛金 20年積立 30年積立 年間節税効果(税率20%の場合)
10,000円 約255万円 約410万円 約24,000円
30,000円 約766万円 約1,231万円 約72,000円
50,000円 約1,276万円 約2,052万円 約120,000円
70,000円 約1,787万円 約2,872万円 約168,000円

月7万円を30年積み立てると約2,872万円。しかも年間168,000円の節税効果つきです。

私は独立3年目から月5万円で小規模企業共済に加入しています。43歳から65歳まで22年間積み立てると、約1,400万円の退職金相当額になります。会社員時代の退職金には届きませんが、「何もない」と「1,400万円ある」では安心感がまったく違います。

小規模企業共済の注意点

注意点 詳細
加入20年未満の任意解約 元本割れのリスクあり
掛金の減額 減額分は運用されず放置される
共済金の受取時 退職所得控除の範囲内なら非課税

④ iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoの仕組み

項目 内容
対象者 20〜65歳の国民年金加入者
フリーランスの月額上限 68,000円(国民年金基金と合算)
運用方法 自分で投資商品を選ぶ(投資信託、定期預金等)
税制優遇 掛金全額控除、運用益非課税、受取時控除あり
受取開始 原則60歳以降(加入期間による)
途中解約 原則不可

iDeCoの3つの税制メリット

メリット 内容 年間の効果(月68,000円拠出の場合)
掛金の全額所得控除 所得税+住民税が軽減 約16〜24万円の節税
運用益の非課税 通常20.315%の税金がゼロ 運用益による
受取時の控除 退職所得控除 or 公的年金等控除 受取額による

iDeCoの運用シミュレーション

利回り年3%で運用した場合の想定です。

開始年齢 月額掛金 60歳時点の資産 うち運用益 節税効果の合計
25歳 30,000円 約1,982万円 約722万円 約252万円
30歳 30,000円 約1,582万円 約502万円 約216万円
35歳 50,000円 約1,809万円 約309万円 約300万円
40歳 68,000円 約1,801万円 約173万円 約326万円
45歳 68,000円 約1,354万円 約130万円 約245万円

早く始めるほど運用益が大きくなります。25歳から始めた場合と45歳から始めた場合では、同じ掛金でも資産額に約628万円の差が出ます。

年齢別のおすすめ組み合わせ

20〜30代のフリーランス

制度 月額掛金 年間の節税効果
付加年金 400円 約1,500円
iDeCo 30,000円 約72,000円
小規模企業共済 20,000円 約48,000円
合計 50,400円 約121,500円

40代のフリーランス(私の実例)

制度 月額掛金 年間の節税効果
付加年金 400円 約1,500円
iDeCo 40,000円 約120,000円
小規模企業共済 50,000円 約150,000円
合計 90,400円 約271,500円

私は43歳で独立してから上記の組み合わせで積み立てを始めました。月9万円の掛金は決して安くありませんが、年間約27万円の節税効果があるため、実質的な負担は月6.8万円程度です。そして65歳の時点で退職金+年金の上乗せとして約3,500万円を確保できる見込みです。

50代のフリーランス

制度 月額掛金 年間の節税効果
付加年金 400円 約1,500円
iDeCo 68,000円 約204,000円
小規模企業共済 70,000円 約210,000円
合計 138,400円 約415,500円

50代は「追い込み」の時期です。積立年数が短い分、月額を最大化して少しでも多く積み立てましょう。年間41万円の節税効果は非常に大きく、10年で410万円もの節税になります。

@SOHOで高単価案件を探そう

老後資金を確保するためには、まず安定した収入を確保することが大前提です。ITコンサルタントWeb系システム開発のような高単価案件を獲得し、余剰資金を積み立てに回すのが理想的です。@SOHOは手数料無料のクラウドソーシングサイトで、エージェントの手数料がかからないぶん手取りが増え、その分を年金や退職金の積立に回せます。

よくある質問

小規模企業共済とiDeCoはどちらを優先すべきですか?

まずは小規模企業共済を優先することをおすすめします。理由は、iDeCoが60歳まで引き出せないのに対し、小規模企業共済は廃業時に受け取れる柔軟性があるからです。フリーランスとしての収入が安定してきたら、iDeCoも追加するのが理想的です。

付加年金と国民年金基金は両方加入できますか?

いいえ、付加年金と国民年金基金は選択制です。どちらか一方しか加入できません。国民年金基金の1口目には付加年金相当の保険料が含まれているため、国民年金基金に加入する場合は付加年金に別途加入する必要はありません。

掛金を払えなくなったらどうなりますか?

小規模企業共済は掛金を減額(最低1,000円まで)できます。iDeCoも掛金の減額や拠出の停止が可能です。ただし、iDeCoは口座管理手数料(年間2,000〜7,000円程度)がかかり続けます。収入が不安定な時期は無理のない金額に設定することが大切です。経理・記帳代行のスキルがあれば、こうした資金管理も自分でスムーズに行えます。

フリーランスが法人化した場合、これらの制度はどうなりますか?

法人化すると小規模企業共済は引き続き加入できますが、iDeCoの上限額が月23,000円に下がります(企業年金がない場合)。国民年金基金と付加年金は加入できなくなります。ただし、法人化すれば厚生年金に加入できるため、年金面ではメリットもあります。税金の仕組みについてはフリーランスの税金完全ガイドも併せてご覧ください。

前田 壮一

この記事を書いた人

前田 壮一

元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身

大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。

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