キッチンカーの開業に必要なもの|車両・設備・許可と資格を順に確認

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キッチンカーの開業に必要なもの|車両・設備・許可と資格を順に確認

この記事のポイント

  • ✓キッチンカーの開業に必要なものを
  • ✓営業許可と食品衛生責任者
  • ✓税務署への届出の順に一覧で確認できるよう整理しました

キッチンカーの開業に必要なものを調べると、車、厨房機器、許可、資格、出店場所と、項目がいくつも出てきます。どれも必要なのは分かっても、何をどの順番でそろえればよいのか、どこまでが全国共通でどこからが地域で違うのかが見えにくいのが、開業準備の難しいところです。

この記事では、キッチンカーの開業に必要なものを、車両、車内の設備、許可と資格、場所、書類、お金、保険、届出の8つに分けて、1つずつ確認できる形で整理します。設備や許可の基準は東京都保健医療局の手引、制度の説明は厚生労働省と国税庁、道路の扱いは警視庁の一次資料で確かめた内容を書いています。地域や扱う料理で変わる部分は、保健所に確かめる点として分けて書きます。

まず全体を一覧で確認する

最初に、キッチンカーの開業に必要なものを一覧にしておきます。細かい説明はこのあとの節で順に書きます。

分類 必要なもの 用意する相手・相談先
車両 改造したキッチンカー、運転できる免許 製作業者・販売業者
設備 給水タンク、排水タンク、シンク、手洗い、冷蔵設備、換気、電源など 製作業者、保健所
許可と資格 営業許可、食品衛生責任者 保健所、食品衛生協会など
場所 仕込場所、車両の保管場所、出店場所 自分で確保、仲介サービス
書類 申請書、図面、営業の大要、衛生管理計画など 保健所
お金 開業資金と、数か月分の運転資金 自己資金、金融機関
保険 自動車保険、生産物賠償責任保険など 保険会社
届出 開業届、必要に応じて青色申告の承認申請書 税務署

この一覧で大事なのは、用意する順番です。設備の基準は、扱う料理の内容によって変わります。車両を先に買ってから保健所に相談すると、基準に合わずに改造のやり直しになることがあります。東京都保健医療局の自動車関係営業許可申請の手引でも、施設の設計図などを持って保健所へ事前に相談するよう案内しています。メニューを決め、保健所に相談し、そのあとで車両と設備を決める、という順番を最初に頭に入れておきます。

車両に必要なもの

車両の大きさと形

キッチンカーの車両は、軽トラックや軽バンを改造した小さなものから、1トンから2トンほどのトラックを改造した中型、大型のものまであります。選ぶ基準は、メニューの工程の多さ、営業する人数、出店したい場所の3つです。

大きさ 向いている場面 気をつけること
軽自動車 1人で営業する、メニューを絞る、狭い区画に入る 設備と食材を積める量が限られる
1トンから1.5トン程度 2人で営業する、メニューの種類を広げる 車両代が上がり、駐車場も広さが要る
2トン以上 大きなイベント中心、工程の多いメニュー 出店できる場所が限られる

オフィス街の出店区画や商業施設の駐車場には、小さい車両しか入れない場所があります。どこで営業したいかを先に決め、その場所に入れる大きさを選ぶのが順番です。

運転できる免許

見落とされやすいのが運転免許です。改造して設備を積んだ車両は、元の車より重くなります。車両総重量や最大積載量によっては、普通免許で運転できない区分になることがあります。取得した時期によって運転できる範囲が違うので、自分の免許証の区分と、購入を考えている車両の車検証の数字を照らし合わせておきます。

新しく作るか、中古を買うか

新しく製作すれば、自分のメニューと作業の流れに合わせて設備を配置できます。中古を買えば費用を抑えやすく、すぐに使えることもあります。中古の場合、前の持ち主が受けていた営業許可は引き継げず、自分の名前で改めて申請して検査を受けます。中古車の設備が、自分の営業する地域の基準に合っているかを、買う前に保健所へ確かめておきます。

車検証の用途の区分

キッチンカーとして改造した車両は、改造の内容によって車検証の用途の区分が変わることがあります。どのような登録になるかは、改造の内容と製作業者の説明を確かめ、必要に応じて運輸支局に問い合わせます。用途の区分によって、車検の期間や自動車保険の扱いが変わることがあるので、購入前に確かめておくと後で慌てずに済みます。

車内の設備に必要なもの

保健所の基準で求められる設備

キッチンカーの設備は、保健所の基準に合っている必要があります。東京都の自動車関係営業許可申請の手引では、飲食店営業を行う営業車の設備の例として、次のものが示されています。

設備 役割
給水タンク 決められた容量以上の水を供給する
排水タンク 給水タンクと同等の容量の排水をためる
洗浄設備 器具や食器を洗う。使う目的に応じた大きさと数が要る
手洗設備 手を洗う。洗浄設備とそれぞれに給水栓を設ける
冷蔵設備 食品を衛生的に保管する
換気設備 熱や煙、においを外に出す
区画 運転席と食品を扱う場所を仕切る
廃棄物容器 ふたがあり、汚液や汚臭が漏れない構造のもの
保管設備 食品や容器を種類ごとに保管する

床や内壁、天井は清掃しやすい材料で作ること、手洗設備には石けんや消毒液を常に使える状態で用意することなども、同じ手引に書かれています。

給水タンクの容量

設備の中で、メニューと最も強く結びつくのが給水タンクの容量です。東京都の手引では、自動車で調理する営業の場合、次のような目安が示されています。

食品と器具の扱い 給水タンクの容量の目安
簡易な調理のみ(温める、揚げる、盛り付けるなど)、単一品目、使い捨て容器 約40リットル
大量の水を要しない調理、2工程程度までの簡易な調理、複数品目、使い捨て容器 約80リットル
大量の水を要する調理、複数の工程からなる調理、通常の食器、仕込みを行う 約200リットル

たとえば、仕込場所で作った料理を温めて盛り付けるだけのメニューと、車内で野菜を切り、炒めて、複数の品目を出すメニューでは、求められる容量が変わることがあります。どの区分に当たるかは保健所が判断するので、メニューと作り方の手順を書いた紙を持って相談します。

調理の機器と電源

調理の機器は、メニューに合わせて選びます。鉄板、フライヤー、コンロ、炊飯器、電子レンジ、コーヒーマシンなどが代表的です。機器を決めたら、次に考えるのが電源です。

キッチンカーの電源は、発電機かポータブル電源でまかなうことが多くなります。発電機は音と排気が出るので、住宅地やオフィス街の出店場所では使えないことがあります。出店先によっては電源を貸してくれるところもあります。機器の消費電力を合計し、同時に使う場面を想定して、電源の容量が足りるかを計算しておきます。ガスを使う場合は、ボンベの固定や換気などの安全な取り扱いが欠かせません。

営業に使う小物

設備のほかにも、営業に必要な小物があります。看板、のぼり、メニュー表、レジや決済端末、容器や割りばしなどの消耗品、ごみ袋、消火器、温度計、記録用紙などです。イベントによっては消火器の設置を出店の条件にしていることがあるので、出店の募集要項を確かめておきます。

許可と資格に必要なもの

営業許可

キッチンカーで食べ物を売るには、食品衛生法に基づく営業許可が必要です。営業許可とは、食中毒などを防ぐために、決められた設備と管理の基準を満たした施設だけに営業を認める仕組みのことで、保健所が審査します。

食品衛生法は改正され、令和3年6月1日から新しい営業許可と届出の制度が始まっています。厚生労働省は、改正の内容を次のように説明しています。

HACCPに沿った衛生管理の制度化に伴い、食品等事業者を把握できるよう、営業の届出制度を創設しました。また、食中毒等のリスクや、食品産業の実態を踏まえ、営業許可が必要な業種の見直しを行いました。 出典: mhlw.go.jp

車内で調理して提供するなら、飲食店営業の許可が基本です。自動車で営業する場合は、自動車ごとに許可を受けます。ただし、菓子を製造して袋詰めで売るなど、扱う品目によっては別の許可が必要になることがあります。改正前の業種の区分で説明している古い情報も残っているので、令和3年6月1日以降の制度で説明されているかを確かめて読みます。

営業許可は、許可を出した自治体の範囲で有効になるのが原則です。隣の県のイベントにも出店したい人は、その地域でも手続きが必要になるかを、開業前に確かめておきます。

食品衛生責任者

キッチンカーには、1台ごとに食品衛生責任者を配置する必要があります。食品衛生責任者とは、営業する施設ごとに配置することが決められている衛生管理の担当者のことです。

東京都保健医療局の案内では、調理師、製菓衛生師、栄養士、管理栄養士などの資格を持っている人はそのまま食品衛生責任者になれます。持っていない人は、計6時間程度の養成講習会を受講します。講習では、食中毒の原因と予防、施設の衛生管理、食品衛生法の全体像、HACCPに沿った衛生管理、公衆衛生学などを学び、最後に理解度を確かめる試験があります。東京都では、一般社団法人東京都食品衛生協会が講習会を実施しています。平成9年4月1日以降の修了証書は全国で有効とされています。詳しくは東京都保健医療局の食品衛生責任者のページで確認できます。

HACCPに沿った衛生管理計画

HACCP(ハサップ)とは、食中毒や異物の混入を防ぐために、危険が起きやすい工程を洗い出して重点的に管理する方法のことです。令和3年6月1日から、原則としてすべての食品事業者にHACCPに沿った衛生管理が求められています。小さな事業者は、業界団体が作った手引書を参考に、簡単な形で取り組めます。東京都の手引では、申請や施設検査のときに衛生管理計画を確認すると書かれているので、温度の記録用紙や手洗いの手順を前もって用意しておきます。

場所に必要なもの

キッチンカーの開業では、車両とは別に、3つの場所が必要になります。

仕込場所

仕込場所とは、東京都の手引の説明では、自動車で扱う食品の調理や包装、器具の洗浄と消毒、給水タンクへの給水、食品や容器の保管を行う施設のことです。自宅の台所をそのまま使えるとは限らず、営業許可を受けた施設であることが求められる場合があります。飲食店を営業している知人の厨房を借りる、シェアキッチンを利用する、といった方法があります。どの形が認められるかは自治体で違うので、保健所に確かめます。

仕込場所は、申請先の保健所を決める基準にもなります。東京都では、仕込場所が都内にあればその所在地を所管する保健所、なければ事務所か自動車の保管場所、それもなければ申請者の住所地、それにも当たらなければ主な営業地を所管する保健所が申請先になると案内しています。

車両の保管場所

営業していない時間に車両を停めておく駐車場も必要です。キッチンカーは一般の乗用車より大きいことが多く、住宅地の月極駐車場に入らないこともあります。仕込場所と保管場所が離れていると毎日の移動に時間がかかるので、できるだけ近い場所で確保します。

出店場所

最後に、営業する場所です。出店場所の仲介サービス、イベントやお祭り、土地の所有者との直接交渉の3つが主な探し方です。

道路に車を停めて営業することについては注意が必要です。警視庁の道路使用許可の案内では、道路を通行以外の目的で使う場合は、その場所を管轄する警察署長の許可が必要とされ、場所を移動しないで道路に露店や屋台を出す場合は、原則としてこれまで慣習上出店してきた場所に限るとされています。新しく始めるキッチンカーは、私有地か、許可を得たイベント会場を基本にします。詳しくは警視庁の道路使用許可のページで確認できます。

移動販売の利点について、キッチンカーの製作と販売を手がけるストアエキスプレスは次のように説明しています。

キッチンカーを使った移動販売なら、日にちや時間帯に応じて出店場所を変えられます。営業許可証がある場所に限りますが、お客さんの集まりが悪いと感じたら、場所を変えながら商品を販売することも可能です。 出典: store-express.com

ここで「営業許可証がある場所に限りますが」と書かれている点が大事です。場所を変えられる自由は、許可の範囲の中での自由です。出店したい地域が広がるほど、どこで許可が必要かを確かめる作業が増えます。

書類に必要なもの

営業許可の申請に必要な書類として、東京都の手引には次のものが挙げられています。

書類 内容
営業許可申請書 申請者と施設の情報
施設の構造と設備を示す図面 2通。車内の配置、シンク、タンクなど
営業の大要 2通。仕込場所、出店予定地、自動車の登録番号、給水タンクの容量、取扱品目など
食品衛生責任者の資格を証明するもの 食品衛生責任者手帳など
水質検査成績書 水道水などを使わない場合のみ
許可申請手数料 自治体ごとに決まっている

書類は、施設の工事が完成する予定日の10日くらい前に出すよう案内されています。申請は保健所の窓口のほか、厚生労働省の食品衛生申請等システムからオンラインでも出せます。

手数料は自治体ごとに違います。東京都の食品衛生関係許可手数料の表(令和8年4月1日から適用)では、飲食店営業の新規申請が18,000円、飲食店営業(移動又は臨時)の新規申請が9,300円とされています。どちらの区分に当たるかは申請する保健所で確かめます。

書類を出したあとは、保健所の担当者と検査日を打ち合わせ、完成した車両の確認検査を受けます。検査には営業者が立ち会い、基準に合わない点があれば直してから再検査になります。許可書の交付までには数日かかるので、営業を始める日は保健所と打ち合わせて決めます。

お金に必要なもの

開業資金の相場

キッチンカーの開業資金は、車両の大きさと、新しく作るか中古を買うかで大きく変わります。ストアエキスプレスは、固定店舗との違いを次のように説明しています。

固定店舗を開業するには、内装工事や家賃、機材や備品の用意などで、通常1,000万~1,500万円程度の開業資金が必要とされています。一方で、自動車の大きさや厨房設備の内容などに左右されますが、キッチンカー開業にかかる初期費用の相場は350~750万円ほどです。 出典: store-express.com

相場に幅があるのは、車両の大きさと設備の内容で費用が大きく変わるからです。

開業資金の内訳

項目 内容
車両と改造費 費用の大部分を占める。中古なら抑えやすい
厨房機器 鉄板、フライヤー、冷蔵庫、発電機など
外装と販促物 ラッピング、看板、のぼり、メニュー表
許可と資格 営業許可の手数料、食品衛生責任者の講習の費用
保険 自動車保険、生産物賠償責任保険など
運転資金 数か月分の食材費、出店料、燃料代、駐車場代

見落とされやすいのが運転資金です。開業してすぐに出店先が埋まるとは限らないので、数か月分の費用を手元に残しておきます。運転資金が足りないと、焦って条件の悪い出店先を選ぶことになりかねません。

資金の調達

自己資金で足りない場合は、金融機関からの借り入れを検討します。個人で事業を始める人向けには、日本政策金融公庫が創業時の融資を扱っています。融資を申し込むときは、事業計画書で、どこで何をいくらで売り、1か月にどれだけの売上と経費を見込むかを説明します。条件や金利は時期で変わるので、申し込む時点で案内を確かめます。

保険に必要なもの

キッチンカーの保険は、車両の事故に備える自動車保険と、提供した食べ物が原因の食中毒などに備える生産物賠償責任保険の2つを中心に考えます。生産物賠償責任保険とは、自分が提供した商品が原因で他人にけがや損害を与えたときの賠償に備える保険のことです。

イベントの出店では、主催者から賠償責任保険への加入を出店の条件にされることがあります。加入の証明書を求められることもあるので、出店を申し込む前に準備しておきます。キッチンカーの業界向けに、自動車保険と賠償責任保険を組み合わせた商品を用意している保険会社や業者もあるので、補償の範囲と保険料を比べて選びます。

届出に必要なもの

個人でキッチンカーを始めるなら、税務署に個人事業の開業届を出します。開業届とは、個人で事業を始めたことを税務署に知らせる書類のことです。国税庁は、提出の時期を次のように案内しています。

事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までに提出してください。 出典: nta.go.jp

「開業から1か月以内」と書いている情報もありますが、国税庁の現在の案内とは違います。

帳簿をつけて青色申告をしたい人は、青色申告の承認申請書も出します。青色申告とは、日々の取引を帳簿に記録して申告する方法で、条件を満たすと所得から一定額を差し引ける特別控除を受けられます。国税庁のタックスアンサーNo.2070では、青色申告特別控除は最高55万円で、電子帳簿保存かe-Taxによる電子申告をすると最高65万円になると説明されています。キッチンカーは食材費、出店料、燃料代、車両の減価償却費など経費の多い事業なので、帳簿をつける習慣は早いうちに作っておきます。

会社に勤めながら週末だけ営業する人は、勤め先の就業規則で副業が認められているかを確かめます。給与を1か所から受けている人は、給与以外の所得の合計が20万円を超えると、所得税の確定申告が必要になります。20万円以下でも住民税の申告は別に必要なので、住んでいる市区町村の案内を確かめます。個別の扱いは税務署か税理士に相談します。

メニューによって必要なものはどう変わるか

ここまで書いた必要なものは、どのキッチンカーにも共通する骨組みです。実際には、売るメニューによって、そろえる設備の重さが大きく変わります。代表的なメニューの型ごとに、気をつける点を整理します。

盛り付けや温めが中心のメニュー

仕込場所で作ったカレーや丼の具を、車内で温めてご飯に盛るような形です。車内の工程が少ないので、設備は比較的軽く済みます。その代わり、仕込場所の確保が欠かせません。仕込場所で作った料理を車まで運ぶ間の温度管理も、衛生管理計画に書き込んでおきます。

鉄板やフライヤーを使うメニュー

焼きそば、たこ焼き、からあげ、ポテトなどです。熱と煙、油が出るので、換気設備と、火の扱いの安全対策が重要になります。油を使う場合は、使い終わった油の処理方法も決めておきます。出店先によっては、揚げ物の油の持ち帰りを条件にしていることがあります。

ドリンクやスイーツのメニュー

コーヒー、ジュース、クレープ、かき氷などです。調理の工程は少なくても、電力を多く使う機器が多いので、電源の容量の計算が欠かせません。氷や乳製品を扱う場合は、冷蔵や冷凍の設備と温度の記録が重点になります。焼き菓子を自分で作って袋詰めして売る場合は、菓子の製造の許可が別に必要かどうかを保健所に確かめます。

工程の多いメニュー

車内で野菜を切り、炒め、複数の品目を組み合わせて出すような形です。給水タンクの容量が大きい区分になる可能性があり、シンクや作業台の広さも必要になります。車両も中型以上が候補になります。1人で回すのは難しいので、人を雇う場合の人件費も計画に入れておきます。

メニューの型を決めておくと、保健所への相談の場でも話が具体的になり、製作業者との打ち合わせも早く進みます。

開業までのスケジュールの目安

必要なものをそろえるには時間がかかります。開業したい時期から逆算して、準備の順番を組み立てておきます。

時期の目安 やること
開業の半年ほど前 メニューと事業計画を決め、資金の見通しを立てる
5か月ほど前 保健所に事前相談し、食品衛生責任者の講習を予約する
4か月ほど前 製作業者と車両の仕様を決め、図面を保健所に確かめてもらう
3か月ほど前 車両の製作を発注し、仕込場所と保管場所を確保する
2か月ほど前 保険を選び、出店場所の仲介サービスに登録する
1か月ほど前 営業許可を申請し、施設の検査を受ける。税務署に開業届を出す
開業の直前 試作と提供の練習をし、SNSで告知を始める

車両の製作にかかる期間は、製作業者の混み具合や改造の内容で大きく変わります。イベントの多い春から秋に開業したい人は、冬のうちに準備を始めておくと、繁忙期の出店募集に間に合いやすくなります。この表は一般的な目安なので、実際の日数は保健所と製作業者に確かめて組み直します。

営業日に必要な衛生管理の手順

許可を受けたあとも、営業のたびに衛生管理を続けることが求められます。キッチンカーは車内が狭く、水の量にも限りがあるため、固定店舗以上に手順を決めておくことが大切です。営業日の基本の流れを示します。

  1. 出発前に、従事する人の体調を確かめる(下痢や発熱、手の傷がある人は食品に触れない)
  2. 冷蔵庫の温度を確かめ、記録する
  3. 給水タンクに十分な水を入れ、排水タンクが空であることを確かめる
  4. 営業中は、作業の切り替えのたびに手を洗い、生の食材と加熱済みの食品を分けて扱う
  5. 営業後は、排水を決められた場所で処理し、器具とシンクを洗浄する
  6. その日の温度記録と、気づいたことを記録に残す

東京都の手引でも、給水タンクは定期的に清掃し、営業終了後は給水タンクと排水タンクの水を公衆衛生上支障のない方法で処理するよう書かれています。記録用紙をあらかじめ作り、毎日の手順に組み込んでおくと続けやすくなります。

出店を申し込むときに手元に用意しておくもの

開業したあと、出店場所の仲介サービスやイベントの主催者に申し込むときには、いくつかの書類や情報の提出を求められることがあります。何を求めるかは出店先によって違いますが、次のものを手元にそろえておくと、募集が出たときにすぐ申し込めます。

用意しておくもの 使われる場面
営業許可証の写し 出店する地域で営業できるかの確認
食品衛生責任者の資格を示すもの 衛生管理の担当者の確認
車検証の写し 車両の大きさと重さの確認、区画に入るかの判断
保険の加入を示す書類 事故や食中毒が起きたときの備えの確認
メニュー表と価格 ほかの出店者とメニューが重ならないかの調整
車両と販売の様子の写真 出店の審査や、イベントの告知
電源と火気の使い方 会場の設備や消防の条件との照合

人気のあるイベントは、募集が出てから短い期間で締め切られることがあります。写真やメニュー表を1つのフォルダにまとめておけば、申し込みの手間が減り、出店の機会を逃しにくくなります。

そろえる順番のチェックリスト

ここまでの必要なものを、そろえる順番に並べ直します。

  1. 売るメニューと価格、営業したい地域と出店場所の候補を決める
  2. 食品衛生責任者の資格を用意する(講習会の予約を早めに取る)
  3. 仕込場所と車両の保管場所の候補を探す
  4. メニューと作業の手順、図面の案を持って保健所に事前相談する
  5. 免許の区分を確かめ、車両と設備の仕様を決めて製作や購入を発注する
  6. 保険の見積もりを取り、出店先の条件に合う保険を選ぶ
  7. 出店場所の仲介サービスに登録し、イベントの募集を確かめる
  8. 工事完成予定日の10日くらい前に営業許可を申請し、施設の検査を受ける
  9. 税務署に開業届と、必要に応じて青色申告の承認申請書を出す
  10. 試作と提供の練習をし、SNSで開業の告知を始める

このチェックリストで特に大事なのは、4の保健所への相談を5の発注より前に置いていることと、7の出店場所の確保を車両の完成を待たずに進めることです。車両ができても出店先が決まっていなければ、売上は0円の日が続きます。

必要なものをそろえたあとで、よく起きるつまずき

必要なものを一通りそろえても、開業してから困る点がいくつかあります。

1つ目は、メニューを広げすぎることです。固定店舗と同じ感覚でメニューを増やすと、仕込みの量が増え、車内の作業が追いつかなくなります。最初は看板のメニューを1つから3つ程度に絞ります。2つ目は、原価と出店料の計算が甘いことです。食材の原価、容器代、出店料、燃料代を差し引くと、手元に残る額は思ったより少なくなります。1日に何食売れれば赤字にならないかを、開業前に計算しておきます。3つ目は、天候への備えです。雨や猛暑の日は来客が減り、イベントが中止になることもあります。売上が少ない日が続いても困らないよう、運転資金に余裕を持たせておきます。4つ目は、体力です。早朝の仕込みから夜の片付けまで長時間になることがあり、夏の車内は非常に暑くなります。休む日を決めて予定を組みます。

働き方として見た、キッチンカーの開業

最後に、フリーランスや在宅ワークの市場を長く運営してきた立場から、キッチンカーの開業を見てみます。

運営者として見てきた限りでは、個人で事業を始めて長く続く人は、開業前の準備で「自分に足りないものを自分で全部抱えない」判断をしています。キッチンカーで言えば、車両の製作は製作業者、許可の判断は保健所、出店場所は仲介サービスや主催者、ロゴやメニュー表のデザインはデザイナーと、それぞれの専門家に頼る部分を早めに決めています。必要なものの一覧は、自分でそろえるものと、人に頼むものを分ける表としても使えます。

もう1つの観察は、間に入る手数料が少ない取引ほど、双方の手取りが厚くなるという点です。信頼関係ができた出店先と直接取引する、デザインや撮影を知り合いのフリーランスに直接頼む、といった形は、同じ予算で頼める仕事の幅を広げ、受ける側の手取りも厚くします。

キッチンカーの集客に欠かせないSNSの運用やWebでの見つけてもらい方を知りたい人は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で、Web集客にどんな仕事と技術があるかを確認できます。メニューの説明文や出店の告知文を書く力を伸ばしたい人には、文章で仕事をする人の収入の目安をまとめた著述家,記者,編集者の年収・単価相場も参考になります。出店先への企画書や見積書、申請書類を正確に作る力は、ビジネス文書検定で体系的に学べます。

キッチンカーの開業に必要なものは多く見えますが、車両、設備、許可と資格、場所、書類、お金、保険、届出の8つに分けて、順番どおりにそろえれば迷わずに進められます。まずはメニューと出店したい場所を書き出し、図面の案を持って保健所に相談するところから始めます。

よくある質問

Q. キッチンカーの開業に必要な資格は何ですか?

保健所の営業許可を受けるために、1台ごとに食品衛生責任者を配置する必要があります。調理師や栄養士、製菓衛生師などの資格があればそのまま就けます。持っていない人は、食品衛生協会などが開く計6時間程度の養成講習会を受講します。このほか、車両の重さによっては普通免許で運転できない区分になるので、免許の区分も確かめます。

Q. キッチンカーの車内にはどんな設備が必要ですか?

東京都の手引では、給水タンクと同等の容量の排水タンク、洗浄設備と手洗設備、冷蔵設備、換気設備、運転席との区画、ふた付きの廃棄物容器などが例として示されています。給水タンクの容量は、簡易な調理なら約40リットル、2工程程度なら約80リットル、工程の多い調理なら約200リットルが目安です。区分は保健所が判断します。

Q. 仕込場所は自宅の台所でもよいですか?

自宅の台所をそのまま仕込場所として使えるとは限らず、営業許可を受けた施設であることを求められる場合があります。知人の飲食店の厨房を借りる、シェアキッチンを使うといった方法があります。どの形が認められるかは自治体によって違うので、車両や設備を決める前に、営業する地域の保健所に確かめます。

Q. キッチンカーの開業資金はどれくらい必要ですか?

キッチンカーの製作と販売を手がけるストアエキスプレスは、初期費用の相場を350万から750万円ほどと説明しています。幅があるのは、車両の大きさと厨房設備の内容で費用が大きく変わるためです。これとは別に、出店先が安定するまでの数か月分の食材費、出店料、燃料代などの運転資金を手元に残しておきます。

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年1月9日最終更新:2026年10月10日
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