第一種衛生管理者 講師・講座の仕事

長谷川 奈津
長谷川 奈津
第一種衛生管理者 講師・講座の仕事

この記事のポイント

  • 第一種衛生管理者の免許を持っている方から
  • 「教える仕事はできませんか」というご相談を受けることがあります
  • この分野は教えられる人が足りていません

第一種衛生管理者の免許を持っている方から、「教える仕事はできませんか」というご相談を受けることがあります。結論から言うと、できます。しかも、この分野は教えられる人が足りていません。

ただ、始める前に整理しておくべきことがあります。安全衛生の教育には、法令で事業者に実施が義務づけられているものと、そうでないものがあるんです。この違いを知らないまま引き受けると、後で「約束した内容と違う」という話になります。これ、知らない人が本当に多いんです。

この記事では、教える仕事にどんな種類があるのか、それぞれで何を求められるのか、いくらで受けるのか、そして契約で何を決めておくべきかを順に見ていきます。免許の取り方の話はしません。すでに持っている方に向けて、その免許をどう使うかだけを書きます。

教える仕事は大きく三つに分かれる

まず全体像です。第一種衛生管理者の知識で教える仕事は、性格の違う3種類に分かれます。

ひとつめが、免許試験の対策を教える仕事です。受講者は個人で、目的は合格。教える内容は試験範囲そのものなので、自分が通ってきた道を再現する形になります。参入しやすく、需要も安定しています。

ふたつめが、企業向けの研修です。受講者は事業場の労働者や管理職で、目的は職場の安全衛生を保つこと。ここには法令で実施が義務づけられている教育が含まれます。単価は高いのですが、責任も重くなります。

みっつめが、自分で開く講座です。オンラインの少人数講座、動画教材、勉強会。誰かに雇われるのではなく、自分で募集して開催します。自由度が高い代わりに、集客をすべて自分で背負います。

つまり、雇われて教えるのか、事業者の義務を代行するのか、自分で商売として開くのか。この3つは必要な準備がまったく違います。順番に見ていきましょう。

教育の実施義務は誰にあるのかを先に押さえる

企業向けの研修を考えるなら、ここを飛ばせません。法律はあなたの立場を守ってくれますが、そのためには構造を知っておく必要があります。

労働安全衛生法は、労働者に対する安全衛生教育の実施を事業者の義務としています。労働安全衛生規則第35条には、労働者を雇い入れたときや作業内容を変更したときに行う教育の内容が定められています。危険または有害な業務については、特別の教育を行うことが求められる場面もあります。

つまり、教育を「行わなければならない」のは事業者であって、外部の講師ではありません。外部の講師は、事業者が果たすべき義務の履行を手伝う立場です。

この違いは、契約の書き方に直結します。「教育を実施する」と書くと、義務の主体が移ったように読めてしまいます。正しくは「事業者が実施する教育について、講義を担当する」です。細かいようですが、後でトラブルになったときに効いてきます。

もうひとつ。教育には、講師の資格要件が定められているものがあります。すべての教育を第一種衛生管理者の免許だけで担当できるわけではありません。依頼を受けたら、その教育に講師の要件があるかどうかを必ず確認してください。要件がある場合は、自分が満たしているかを確かめる。ここを確認せずに引き受けるのが、いちばん危ない進め方です。

※ 特定の教育について講師要件の有無が判断できない場合は、依頼元とともに所管の労働基準監督署に確認してください。確認した記録を残しておくと、双方の安心につながります。

試験対策の講師をやる

いちばん始めやすいのが、免許試験の対策を教える仕事です。

需要の背景ははっきりしています。衛生管理者の選任は、常時50人以上の労働者を使用する事業場に義務づけられています。労働安全衛生法第12条と労働安全衛生法施行令第4条がその根拠です。人が増えれば選任が必要になり、選任が必要になれば誰かが免許を取ることになります。会社から「取ってこい」と言われた人が、独学で行き詰まって講師を探す。この流れが常にあります。

第一種を教えられることの意味は大きいです。労働安全衛生規則第7条により、製造業、建設業、医療業、清掃業といった業種では第一種衛生管理者免許を持つ者などから選任することとされています。これらの業種の受講者は第一種を目指すことになり、有害業務に関する科目が試験範囲に加わります。ここが独学でつまずきやすい部分であり、教えられる人が少ない部分でもあります。

教え方の形は、個別指導とグループ講座に分かれます。個別は時間あたりの単価が高く、グループは総額が大きくなります。オンラインであれば、どちらも在宅で完結します。

料金の水準としては、公開されている例があります。

② 安全衛生マニュアル作成 衛生管理計画書や委員会運営マニュアルの作成 1件1〜3万円③ 試験対策講師(オンライン) 衛生管理者試験合格指導1時間3,000〜6,000円 出典: note.com

1時間3,000円から6,000円という帯です。つまり、週に2コマ持てば月に数万円の規模になります。準備の時間を含めて考えると決して高くはありませんが、教材が固まってくると準備時間は確実に減ります。

つまずきやすい単元を知っておく

教える側として、どこで受講者が止まるかを把握しておくと講義の設計が楽になります。

有害業務に関する科目は、覚えることが多いうえに現場を見たことがない人には想像しにくい領域です。有機溶剤、特定化学物質、粉じん、騒音、振動、酸素欠乏。それぞれに予防規則があり、健康診断の種類も分かれます。丸暗記させようとすると挫折します。

関係法令も同じです。法律、政令、省令の階層関係が分かっていないと、条文の場所が覚えられません。逆に、この階層を最初に説明してしまえば、あとは整理して覚えられます。つまり、覚える前に構造を渡すということです。

労働生理は、範囲は狭いのに用語が多い分野です。ここは図で説明したほうが早い。

そして、受講者が最も不安に感じるのは「どこまで細かく覚えるのか」という点です。ここに答えを持っていることが、講師としての価値になります。過去の出題の傾向を整理して、優先順位を渡してあげてください。

私が法律の講座で受講者を見てきた経験から言うと、つまずいている人は理解できていないのではなく、優先順位が分からずに全部を同じ重さで抱え込んでいることが多いんです。安全衛生の学習でも、この構造は同じだと思います。

企業向けの研修講師をやる

単価が大きく変わるのが、企業向けの研修です。

依頼の形は2種類あります。ひとつは、事業者が自社の労働者に行う教育の講師として呼ばれる形。もうひとつは、研修会社や産業保健のサービス会社から、講師として派遣される形です。

内容としては、雇入れ時の教育、作業内容変更時の教育、化学物質の取り扱いに関する教育、熱中症や腰痛の予防、衛生委員会の運営、管理職向けの労働衛生の基礎。このあたりが定番です。

報酬の相場感を掴むために、研修講師の募集で公開されている条件を見ておきましょう。

子育て支援員研修・保育士等キャリアアップ研修講師を募集しています。児童福祉に詳しい方で、乳児保育、幼児教育、障害児保育、食育・アレルギー、保健衛生・安全対策、保護者支援・子育て支援、マネジメントに関する大学・専門学校教員、または現場実務経験10年以上の方が対象です。特に食育・アレルギーの講義ができる管理栄養士の方を急募しています。研修期間は2024年4月~2025年3月で、平日昼間、土日祝日の講義があります。報酬は時給5000円~7000円で、交通費・宿泊費も支給されます。... 出典: 求人ボックス

分野は違いますが、研修講師の時給が5,000円から7,000円で、実務経験10年以上が条件として置かれている点が参考になります。つまり、資格に加えて現場の経験が評価される世界だということです。

企業研修では、講義時間だけでなく資料作成の時間も見積もりに入れてください。90分の講義に対して、初回は資料作成に8時間前後かかることが普通です。2回目以降は使い回せますから、初回だけ別建てにするか、初回の単価を高く設定するのが実務的です。

自分で講座を開く

三つめが、自分で募集して開く形です。

オンラインの少人数講座であれば、必要なものは会議システムと資料だけです。動画教材にすれば、一度作って繰り返し売れます。勉強会という形で人を集め、そこから個別指導につなげる方法もあります。

自由度が高い代わりに、集客と決済と問い合わせ対応をすべて自分でやることになります。ここを軽く見ると続きません。

始めるなら、まず小さく試してください。5人を集めて90分の講座を1回やる。それだけで、自分の説明が伝わるか、時間配分が適切か、受講者が何に困っているかが分かります。いきなり動画教材を作り込むより、はるかに早く学べます。

なお、講座の販売にあたっては、特定商取引法に基づく表示や、返金の条件の明示が必要になる場合があります。※ 個人が継続的に有料講座を販売する場合の表示義務については、扱う形態によって判断が変わるため、事前に確認しておいてください。

個人で講座を売る形は、相談や助言の仕事と入口が似ています。キャリア・副業・人生相談のお仕事には、個人向けに時間を売る仕事がどう募集されているかがまとまっているので、値付けと募集文の書き方の参考になります。

一本の講義をどう組み立てるか

講義の設計には型があります。90分を例に、配分を示します。

最初の10分は、この講義で何ができるようになるかを示します。受講者は「自分に関係あるのか」を最初に判断します。ここで関係があると分かれば、後の集中力が変わります。

次の20分で、全体の構造を渡します。法律と省令の関係、義務の主体、対象となる業種や規模。細部に入る前に地図を渡すことで、後の情報が置き場所を持ちます。

続く40分が本体です。ここで具体的な内容を扱います。企業研修なら自社の作業に引き付けた例、試験対策なら出題の形式に沿った説明。抽象論のまま終わらせないでください。

残りの20分は質疑と確認です。質問が出ない場合に備えて、こちらから問いかける材料を3つ用意しておきます。

そして、講義の最後には必ず「この場では判断できないこと」を伝えてください。個別の事業場の状況によって答えが変わる論点、医師の判断が必要な論点、手続の代行が必要な論点。これを言える講師は信頼されます。

値付けをどう考えるか

料金は、時間ではなく工数と責任で決めます。

試験対策の個別指導なら、1時間3,000円から6,000円の帯が目安です。準備がほとんど要らない代わりに、単価は抑えめになります。

グループ講座なら、1人あたりの料金と定員で総額が決まります。90分で1人5,000円、定員8人という設計なら、1回で4万円です。ただし集客の手間が乗ります。

企業研修は、講義料と資料作成料を分けるのが基本です。研修講師の時給として5,000円から7,000円という水準が公開されていますが、これは講義中の時間に対するものです。移動、資料作成、事前打ち合わせ、事後の質問対応。これらを含めた総工数で考えないと、実質の時給は半分以下になります。

そして、仲介の手数料は無視できません。手数料0%の直接取引ができれば、同じ予算で依頼側は回数を増やせますし、受け手の手取りは厚くなります。研修は年間で複数回入ることが多いので、この差は年単位で大きくなります。

講師の仕事の全体像や募集の形はITコンサルティング・講師のお仕事にまとまっています。分野は違っても、講義料と資料作成料をどう分けるか、どう見積もるかという型は共通しています。

教材を資産にする

講師を続けるなら、教材を自分の資産として設計してください。

まず、著作権の扱いを決めます。企業研修で使う資料を自分で作った場合、その資料の権利がどちらにあるのかを契約で明確にします。「納品した資料の著作権は発注者に移転する」と書かれていると、次の研修で同じ資料を使えなくなります。使用許諾にとどめる形で交渉できないか、確認する価値があります。

次に、汎用部分と個別部分を分けます。法令の説明や基本的な考え方は、どの事業場でも共通です。ここを作り込んでおけば、個別の事情に合わせた部分だけを毎回差し替えれば済みます。

そして、更新の仕組みを持ってください。制度が変わったときに、どの資料のどこを直すべきかが分かる状態にしておく。資料が増えるほど、この管理が効いてきます。厚生労働省の公表資料を定期的に確認し、変更点を教材に反映する習慣を作ってください。

教材が固まると、準備時間が劇的に減ります。同じ90分の講義でも、初回8時間かかった準備が1時間になる。これが講師業の収益構造の核心です。

依頼はどこから来るか

講師の仕事の入り口は4つあります。

ひとつめが研修会社です。安全衛生や労務の研修を扱う会社は、講師の登録制度を持っていることがあります。登録しておくと、案件が発生したときに声がかかります。単価は一次の発注元より下がりますが、集客をしなくてよいのが利点です。

ふたつめが業務委託のマッチングサービスです。研修講師、社内勉強会の講師、eラーニングの監修といった形で募集が出ます。単発が多いので、これだけで生計を立てるのは難しいのですが、実績を作る場所としては有効です。

みっつめが直接の依頼です。前職の取引先、業界団体、地域の商工団体。安全衛生の世界は横のつながりが強く、一度良い研修をすると紹介が回ります。この経路がいちばん単価が高く、しかも継続します。

よっつめが、自分の発信からの依頼です。記事を書いている、勉強会を開いている、質問に答えている。こうした活動を見た人から依頼が来ます。時間はかかりますが、価格の主導権をこちらが持てるのが大きい。

現実的には、二番目と三番目を並行させるのが早いと思います。マッチングサービスで実績を作りながら、直接の依頼が来る状態を育てる。この順番で軌道に乗せた方を何人も見てきました。

受講者の人数と形式で、準備は変わる

同じ90分でも、人数と形式で必要な準備がまったく違います。ここを見誤ると当日に苦しみます。

5人以下の少人数なら、対話しながら進められます。受講者の反応を見て、その場で内容を調整できる。資料は骨組みだけでも成立します。

30人を超えると、対話は成立しません。一方向の講義になるので、資料の完成度がそのまま講義の質になります。話す内容をすべて書き出して、時間を測っておく必要があります。

オンラインと対面でも違います。オンラインは受講者の表情が見えにくいので、理解度の確認を意図的に挟む必要があります。15分ごとに問いかけを入れる、投票機能で理解度を聞く、といった工夫が要ります。

録画を配布する前提の講義は、さらに条件が変わります。後から見る人には質問の機会がありません。だから、想定される疑問を講義の中で先に潰しておく必要があります。準備の負荷は最も高くなるので、単価もその分を反映させてください。

依頼を受けるときは、人数、形式、録画の有無を必ず確認してください。この3点を聞かずに見積もりを出すと、後で足が出ます。

契約で決めておくこと

トラブルの相談を受けていて思うのは、揉める案件はほぼ例外なく契約が曖昧だということです。決めておく項目を挙げます。

担当する範囲です。講義だけなのか、資料作成を含むのか、事後の質問対応を含むのか。「教育を実施する」という表現ではなく「講義を担当する」と書く。前に述べたとおり、教育の実施義務は事業者にあります。

日程の変更とキャンセルの扱いです。企業研修は直前に延期されることがあります。何日前までなら無償で変更できるのか、それ以降はどうするのかを決めておきます。準備が終わった後のキャンセルは、実質的に働いた分が消えることになります。

資料の権利と使用範囲。前述のとおりです。録画される場合は、その録画をいつまで、どの範囲で使ってよいかも決めます。社内研修用として録画したものが、後から販売される可能性もあります。

報酬の支払い時期です。フリーランスとして業務委託で受ける場合、発注者が守るべき取引の条件は法律で定められています。契約や書類の位置づけを整理しておきたい方は、行政書士の資格ガイドで、業務として書類を扱うことがどう区分されているかを見ておくと理解が進みます。

そして、講義内容に起因する責任の範囲です。受講者が講義の内容を誤って理解して事故が起きた場合、どこまで責任を負うのか。極端に重い条項が入っていないかを確認してください。※ 判断に迷う条項があれば、契約前に弁護士に相談してください。

本業がある方が気をつけること

会社にお勤めのまま講師をする場合、確認すべき点があります。

まず就業規則です。副業が許可制なのか届出制なのか、外部での講演や講師について特別な定めがないかを見てください。研修講師は名前が外に出る仕事なので、勤務先に伝わる可能性が高い形態です。

次に、勤務先で衛生管理者に選任されている場合です。労働安全衛生規則第7条には、選任される者がその事業場に専属であることを求める規定があります。また労働安全衛生規則第11条は、衛生管理者が少なくとも毎週1回作業場等を巡視することを定めています。つまり、選任されている以上は果たすべき職務があるということです。外部での活動がこれを妨げないかを見ておく必要があります。

そして守秘義務です。研修の場で自社の事例を話すのは避けてください。一般化する、公表資料の範囲にとどめる。この線を最初に引いておきます。

労働時間の通算という論点もあります。労働基準法第38条第1項は、事業場を異にする場合においても労働時間に関する規定の適用については通算すると定めています。これは雇用契約で働く場合の話であり、業務委託として講師を受ける場合とは扱いが異なりますが、契約の形態がどちらなのかは意識しておくべきです。

教える仕事から広がる先

講師を続けていると、周辺の仕事が入ってきます。

資料の作成です。研修で使う資料を作れる人は、社内向けの手引きやマニュアルも作れます。単価は1件あたりで設定でき、公開されている例では1万円から3万円という帯があります。

記事の執筆と監修です。教える内容をそのまま文章にできるので、移行の負担が小さい。書く仕事の相場感は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で確認できます。講師と執筆の両方を持っていると、季節による収入の波が小さくなります。

そして相談の仕事です。研修を受けた事業場から、個別の相談が来るようになります。ここは範囲の線引きが重要になる領域ですが、単価は最も高くなります。

資格を活かして独立する道筋については、キャリアコンサルタント資格の活かし方|副業・独立ガイド【2026年版】マンション管理士の副業|管理組合のコンサルティング【2026年版】のように、他分野の資格保有者がどう仕事を組み立てているかを見ると参考になります。教える、書く、相談を受けるという三本柱は、分野を問わず共通しています。

最初の一本をどう作るか

ここまで読んで「やってみたい」と思った方に、具体的な手順をお伝えします。

まず、教えるテーマを1つだけ決めてください。複数用意しようとすると、どれも中途半端になります。試験対策なら「有害業務に係る労働衛生の科目」、企業研修なら「化学物質を扱う職場の基礎知識」のように、範囲を絞ります。

次に、90分の構成を紙に書きます。前に述べた配分に沿って、各パートで何を話すかを箇条書きにする。ここで書けない部分が、自分の弱点です。調べ直して埋めてください。

そして、資料を作ります。スライドなら25枚前後が90分の目安です。1枚に情報を詰め込みすぎないこと。読ませる資料と、話しながら見せる資料は違います。

できたら、誰かに聞いてもらってください。家族でも友人でも構いません。専門外の人に聞いてもらうと、伝わっていない箇所が分かります。ここを飛ばすと、初回の本番でつまずきます。

最後に、時間を測って通しでやってみる。ほぼ確実に、予定より長くなります。2割削る前提で作っておくとちょうどよくなります。

この一本ができれば、あとは応用です。企業向けに調整する、試験対策に組み替える、動画に切り出す。最初の一本を作る労力が最も大きく、その後は驚くほど楽になります。

市場を長く見てきた立場からの観察

在宅の仕事の市場を20年見てきた立場から、ひとつだけ書き添えます。

講師として長く続いている人は、話が上手いわけではありませんでした。共通していたのは、受講者が何につまずくかを記録していることです。質問された内容をメモして、次の回の資料に反映する。これを繰り返した人の講義は、年々短くなって、しかも分かりやすくなります。

もうひとつ。中間の手数料が乗らない直接の関係では、依頼する側は同じ予算で回数を増やせますし、受け手の手取りは厚くなります。研修は年に複数回入る仕事なので、この差は静かに積み上がります。金額の話に見えて、実は「もう一回お願いしたい」と言いやすいかどうかの話です。

第一種衛生管理者の免許を持っていて、しかも現場を知っている人は、思っているより貴重です。まずは90分の講義を一本、組み立ててみてください。法律はあなたの立場を守ってくれますし、教える相手は必ず見つかります。

よくある質問

Q. 第一種衛生管理者の免許だけで企業の安全衛生教育の講師をしてよいですか?

教育の実施義務は事業者にあり、外部講師はその履行を手伝う立場です。教育の種類によっては講師の要件が定められているものがあるため、依頼を受けたら要件の有無を必ず確認してください。判断できない場合は依頼元とともに所管の労働基準監督署に確認し、記録を残しておくのが安全です。

Q. 講師の報酬はどのくらいが目安ですか?

試験対策のオンライン指導では1時間3,000円から6,000円という帯が公開されています。企業研修の講師では時給5,000円から7,000円という条件の募集も見られます。ただし講義時間だけでなく、資料作成や事前打ち合わせを含めた総工数で計算しないと、実質の時給は大きく下がります。

Q. 教材の著作権は誰のものになりますか?

契約で決まります。「納品した資料の著作権は発注者に移転する」と書かれていると、次の研修で同じ資料を使えなくなります。使用許諾にとどめる形で交渉できないかを確認してください。汎用部分と個別部分を分けて作っておくと、権利の整理もしやすくなります。

Q. 勤務先で衛生管理者に選任されていても講師の仕事はできますか?

就業規則の副業に関する定めを確認するのが先です。あわせて、労働安全衛生規則には選任される者がその事業場に専属であることを求める規定があり、少なくとも毎週1回の作業場の巡視も定められています。外部での活動が職務の遂行を妨げないかを見ておく必要があります。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年3月26日最終更新:2026年8月31日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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