アイリストの講師になるには|経験と資格


この記事のポイント
- ✓アイリストの講師になるには
- ✓まず美容師免許とサロンでの実務経験が土台になります
- ✓まつ毛エクステンションが美容師法の美容に当たるという厚生労働省の通知
アイリストの講師になるには、どんな経験と資格が必要なのかを調べている人は多いはずです。サロンで技術を磨いてきて、次は後輩やスクールの生徒に教える立場になりたいと考えたとき、何から準備すればよいのかが分かりにくいと感じるのではないでしょうか。
結論から書くと、アイリストの講師に国が定めた専用の資格はありません。ただし、まつ毛エクステンションの施術そのものに美容師免許が必要なため、講師を目指す人も美容師免許を持ち、サロンで実務経験を積んでいることが前提になります。そのうえで、協会の技能検定の上位の級や、協会の認定講師の資格を取って、教える立場を目指すのが一般的な道です。この記事では、法律上の位置づけ、協会の検定と認定講師試験の受験資格と費用、講師の働き方、教える力の身につけ方を、厚生労働省と各団体の公式の案内をもとに順に整理します。
まつ毛エクステンションには美容師免許が必要
アイリストの講師を考える前に、まず押さえておきたいのが、まつ毛エクステンションの法律上の位置づけです。アイリストとは、まつ毛エクステンションやまつ毛パーマ(まつ毛カール)などの施術をする技術者のことです。
厚生労働省は、まつ毛エクステンションが美容師法でいう「美容」に当たると通知で示しています。平成20年3月7日の通知では、美容師法の「美容」を、パーマネントウエーブ、結髪、化粧などの方法で容姿を美しくすることと説明したうえで、次のように書いています。
いわゆるまつ毛エクステンションについては、(中略)当該行為は美容師法に基づく美容に該当するものであることを申し添える。 出典: 厚生労働省 まつ毛エクステンションによる危害防止の徹底について(平成20年3月7日)
美容師法の第6条は、美容師でなければ美容を仕事としてはいけないと定めています。そのため、お客様にまつ毛エクステンションを施術するには、美容師免許が必要です。平成24年11月28日の厚生労働省の通知でも、まつ毛エクステンションの施術に美容師免許が必要であることはこれまでの通知で示してきたとおりで変わりはない、と改めて書かれています。
講師は、自分が施術する立場から、他の人に施術を教える立場になります。教える相手がお客様に施術するにも美容師免許が必要なので、講師は技術だけでなく、こうした法律の前提を正しく伝える役割も担います。
美容師免許を取るまでの流れ
美容師免許を持っていない人が、アイリストとして、さらに講師として働くことを目指す場合は、まず美容師免許を取ることから始まります。公益財団法人理容師美容師試験研修センターの理容師美容師になるためにはによると、美容師になるには、美容師養成施設を卒業し、美容師国家試験に合格する必要があります。
美容師法の第4条によると、美容師試験は厚生労働大臣が行い、都道府県知事が指定した美容師養成施設で、決められた期間以上学んだ人でなければ受けられません。養成施設には、昼間課程、夜間課程、通信課程があります。働きながら学びたい人は、夜間課程や通信課程を選ぶことになります。美容師法では、通信課程は昼間課程か夜間課程を設けている養成施設に限って設けられることになっています。通信課程を選ぶ場合も、学校に通って学ぶ日があるかどうか、その日数と時期を説明会で具体的に確かめておくと、仕事との両立の計画が立てやすくなります。
国家試験は筆記試験と実技試験があり、両方に合格したあと、免許の登録を申請すると美容師免許証が交付されます。受験の申し込みや免許の申請は、試験研修センターのオンラインの仕組みで行うようになっています。センターのサイトでは、第55回の国家試験の受験申し込みの期間が11月6日から11月30日までと案内されています。
美容師の養成課程は、厚生労働大臣が指定した講座であれば、雇用保険の教育訓練給付の対象になることがあります。厚生労働省が公表している専門実践教育訓練の指定状況では、令和8年10月1日時点で美容師の養成課程が171講座指定されています。条件を満たせば受講費用の一部が戻ってくるため、学校を選ぶ前に、教育訓練講座検索システムで確かめておくとよいでしょう。
アイリストの講師に求められる3つの条件
アイリストの講師になるために、多くの団体やスクールが求めているのは、次の3つです。
- 美容師免許を持っていること
- サロンでの実務経験が一定以上あること
- 協会の上位の検定や講師の資格を持っていること
1つ目は、ここまで書いたとおり、施術をするための前提です。2つ目の実務経験は、教える内容に説得力を持たせるために欠かせません。サロンでは、まつ毛の状態や目の形、お客様の希望がそれぞれ違います。そうした場面で安全に仕上げてきた経験があってこそ、生徒がつまずいたときに具体的な助言ができます。
実務経験の年数は、団体やスクールによって求める基準が違います。必須の条件にしていない団体もありますが、教える立場として信頼を得るには、一定の年数をサロンで働いた経験があるほうが有利です。
3つ目は、外から見て技術と知識の水準を示すためのものです。次の節から、一般社団法人日本アイリスト協会(JEA)の検定と認定講師の資格を例に、具体的な流れを見ていきます。
日本アイリスト協会の技能検定の3つの級
日本アイリスト協会は、まつ毛エクステンション技能検定を、3級、2級、1級の3段階で行っています。協会の検定の概要のページによると、それぞれの級の対象と受験資格は次のとおりです。
| 級 | 対象 | 美容師免許の扱い | 受験料(税込) |
|---|---|---|---|
| 3級(ベーシック) | 施術をしないサロンのスタッフ、これから学び始める人 | 不問 | 会員4,000円・一般6,000円 |
| 2級(スタンダード) | 安全な施術の技能を身につけた技術者 | 必要 | 会員16,000円・一般22,000円 |
| 1級(プロフェッショナル) | 上級の技能を身につけた技術者 | 必要 | 会員20,000円(一般は受験不可) |
2級と1級は実技試験があるため、受験できるのは美容師免許を持っている人と、美容学校の在学者・卒業者に限られます。美容師免許以外の証明で受験して合格した人は、美容師免許を取るまで毎年証明を出す必要があり、ライセンスは美容師免許を取ってから有効になると案内されています。協会は、美容師免許を取らずに施術をすることは違法だと明記しています。
2級は、毛髪学や衛生学、まつ毛の構造などの専門知識の筆記試験と、安全をテーマにした実技試験です。1級は、2級を持っている個人正会員が受けられ、デザインのアレンジを含むあらゆるタイプの施術の実技が問われます。実技試験には、16歳以上のモデルを自分で用意する必要があります。ライセンスは1年間有効で、会員の更新と合わせて期限を更新する仕組みです。
協会は、まつ毛カールの検定も行っています。まつ毛カールとは、まつ毛に薬剤を使って上向きのカールを付ける施術のことで、いわゆるまつ毛パーマです。認定講師を目指す場合は、エクステとカールの両方の検定が関わってきます。
JEA認定講師試験の受験資格と費用
日本アイリスト協会の認定講師は、毎年行われる資格試験に合格した人に与えられる資格です。協会の案内によると、認定講師は協会の講師会のメンバーとして、検定試験の試験官、コンテストの審査員、セミナーの担当、イベントの実行委員などの活動を担います。
協会のJEA認定講師試験のページに書かれている2026年度の受験資格は、次のとおりです。
- 申し込みのときに、JEAまつ毛エクステ1級とまつ毛カール1級のライセンスを持っている
- 申し込みのときに、その年の衛生管理士資格講習を受けている
- 日本アイリスト協会の個人正会員である
- その年の認定講師試験対策セミナーを受けている
- 受験日に満18歳以上である
- 業界と協会の発展のために力を尽くす意志がある
費用は、認定講師試験の受験料が税込35,000円、事前に受けることが必須の受験対策セミナーが税込20,000円です。2026年度は、対策セミナーが10月6日にオンラインで、試験が11月18日に対面で行われる日程で、試験の科目は試験官試験、面接、小論文の提出などとされています。受付が完了したあとのキャンセルはできず、キャンセルしても全額がかかると案内されています。結果は、試験日からおよそ1か月から2か月で文書で届きます。
受験資格を順にたどると、認定講師になるまでには、美容師免許、エクステとカールのそれぞれの2級と1級、衛生管理士の講習、協会の会員、対策セミナーと、いくつもの段階を踏む必要があります。費用も、検定料、講習料、年会費、セミナーと試験の費用が積み重なります。認定講師を目指すなら、数年がかりの計画として、どの年にどの資格を取るかを書き出しておくのが現実的です。
認定講師までにかかる費用を見積もる
認定講師を目指すときは、資格を1つ取るごとの費用だけでなく、数年間の合計で考えておくと計画が立てやすくなります。日本アイリスト協会の公式の案内に載っている金額をもとに、主なものを並べると次のようになります。
- まつ毛エクステンション技能検定の2級:会員16,000円
- まつ毛エクステンション技能検定の1級:会員20,000円
- 認定講師試験の受験対策セミナー:20,000円
- 認定講師試験:35,000円
金額はいずれも税込です。エクステの2級と1級、認定講師試験と対策セミナーだけで合計91,000円になります。このほかに、まつ毛カールの検定料、衛生管理士の資格講習の費用、協会の年会費、検定の実技で使う道具やモデルにかかる費用が加わります。不合格になって受け直す場合は、そのたびに受験料がかかります。2級と1級の検定では、筆記と実技のどちらかだけが不合格だった場合、合格した科目は次回に限り免除される仕組みがあり、免除の有効期限は受験日から1年間とされています。
まつ毛カールの検定料や衛生管理士の講習の費用、年会費は、協会の各ページで最新の金額を確かめてください。サロンによっては、スタッフの検定の費用を負担したり、補助したりする制度を設けているところもあります。働いているサロンに制度があるかを確かめ、会社の支援を受けながら段階的に資格を取っていくと、自己負担を抑えられます。
アイリストの講師の働き方
アイリストの講師の働き方は、大きく次のように分けられます。
- サロンの中で、新人のアイリストを育てる教育担当として働く
- アイリストを育てるスクールや美容学校で、講師として授業を受け持つ
- 商材メーカーや協会のセミナーで、講師として技術を教える
- 協会の検定の試験官やコンテストの審査員として活動する
- 自分のサロンを開き、施術と並行して技術講習を開く
最も多いのは、1つ目のサロンの教育担当です。サロンの規模が大きくなると、新人の技術の研修や、検定の対策を担当する人が必要になります。サロンで店長や技術責任者を務めながら、教育も受け持つ人が多くいます。
スクールや美容学校の講師は、授業の時間が決まっていて、教える内容もカリキュラムに沿って組み立てます。美容学校では、美容師の国家試験の科目に加えて、アイリストの技術を学べる授業を設けている学校もあります。
商材メーカーのセミナー講師は、接着剤(グルー)やまつ毛のエクステの商品を扱う会社が開く講習会で、新しい技術や商品の使い方を教える仕事です。協会の試験官やコンテストの審査員は、日本アイリスト協会の場合、認定講師の活動の1つとして位置づけられています。
自分のサロンを開いて講習も行う場合は、施術の売上と講習の収入の両方が収入源になります。一方で、美容所を開くには、美容師法の第11条に基づき、美容所の位置や構造設備、管理美容師などの従業者の氏名を、あらかじめ都道府県知事に届け出る必要があります。実際の窓口は多くの地域で保健所です。美容師が常に2人以上いる美容所では、免許を取ってから3年以上の実務経験があり、講習会を修了した管理美容師を置く必要があります。手続きの細かい流れは自治体によって違うため、開設を考えたら早めに保健所に相談します。
講習の場所にも注意が必要です。美容師法の第7条は、美容師は美容所以外の場所で美容の業をしてはならないと定めていて、例外は政令で決められた特別な事情がある場合に限られます。貸し会議室やイベントの会場で、モデルに実際の施術を実演する講習を開く場合は、その場所での施術が認められるのかを、開く前に保健所などに確かめておくと安心です。
教える立場で特に大切な安全と衛生
アイリストの講師が技術と同じくらい重く扱うべきなのが、安全と衛生です。まつ毛エクステンションは、目のすぐ近くで接着剤を使う施術です。厚生労働省は、まつ毛エクステンションをめぐって消費生活センターなどに健康被害の相談が寄せられていることを受けて、複数の通知を出してきました。
平成24年11月28日の通知では、目などに異常が出た場合には、すぐに医師の診察を受けるよう勧めることを、消費者とサロンの営業者に注意するよう求めています。講師は、こうした通知の内容を生徒に伝え、施術の前のカウンセリング、アレルギーの確認、接着剤の扱い、器具の消毒、施術後のケアの説明までを、技術の一部として教える必要があります。
日本アイリスト協会が認定講師の受験資格に、その年の衛生管理士資格講習の受講を入れているのも、衛生の知識が講師に欠かせないと考えているからです。生徒に教えるときは、仕上がりのきれいさより先に、安全の手順を身につけさせることを優先します。
教える場で生徒が実際に人のまつ毛で練習する場合、その練習が美容師法の「美容」に当たるかどうかや、練習の相手の安全の確保についても注意が必要です。教える相手が美容師免許を持っているのか、美容学校の在学者なのかを確かめ、法律の範囲で教えることが講師の責任です。判断に迷うときは、所属する協会や保健所に確認します。
講師に向いている人と向いていない人
アイリストとして腕がよい人が、必ずしも講師に向いているとは限りません。講師の仕事は、自分が施術する時間が減り、人を育てる時間が増える仕事です。講師を目指す前に、自分の向き不向きを考えておくと、あとで後悔しにくくなります。
講師に向いているのは、次のような人です。
- 自分の技術を言葉で説明するのが苦にならない
- 相手ができるようになるまで、同じことを何度でも説明できる
- 新しい技術や商材の情報を集めるのが好き
- 人前で話したり、実演したりすることに抵抗がない
- 安全や衛生の決まりを、自分にも他人にも厳しく守れる
逆に、自分の手で仕上げることに一番のやりがいを感じる人や、一人で黙々と作業するのが好きな人は、講師の仕事に移ると物足りなさを感じることがあります。その場合は、施術の現場を中心にしながら、ときどきセミナーを担当するといった関わり方も選べます。
向き不向きを確かめるには、まずサロンの中で新人の練習を見る役割を引き受けてみるのが手軽です。数か月続けてみて、教えることに手応えを感じるなら、本格的に講師を目指す準備を始めるとよいでしょう。
教える力を身につける方法
技術が高いことと、教えるのがうまいことは別の力です。アイリストの講師を目指す人は、技術を磨くのと並行して、教える力を意識して身につけていく必要があります。
1つ目は、自分の手順を言葉にすることです。サロンで何年も施術していると、多くの動きが無意識になっています。まつ毛の選び方、接着剤の量、エクステを付ける角度、乾かす時間など、自分が何をどの順番でしているのかを書き出してみると、教えるときの台本になります。
2つ目は、新人の指導を担当することです。サロンで新人の練習を見る役割を引き受けると、どこでつまずきやすいか、どの説明なら伝わるかが分かってきます。最初は1人の新人を担当し、技術の習得の進み具合を記録しながら教えると、教え方の改善点も見えてきます。
3つ目は、他の講師のセミナーを受けることです。教わる側に回ると、説明の順番や実演の見せ方、質問への答え方を、教える側の目線で観察できます。協会や商材メーカーのセミナーは、技術の最新の動向を知る場にもなります。
4つ目は、教材と評価の基準を作ることです。生徒の技術がどこまで身についたかを判断するには、仕上がりのどこを見るのかという基準が必要です。モデルのまつ毛の状態ごとの注意点、合格の目安となる仕上がりの写真などをまとめておくと、教える人によって評価がぶれにくくなります。教材の文章を分かりやすく書く力は、ビジネス文書検定で問われる内容とも重なります。
講師になるまでの道筋の例
ここまでの内容を、美容師免許を持っていない人がアイリストの講師を目指す場合の道筋として整理すると、次のようになります。年数は一つの目安で、人によって大きく変わります。
- 美容師養成施設に入学し、卒業して美容師国家試験に合格する
- まつ毛エクステンションのサロンに就職し、施術の経験を積む
- 協会の2級、1級の検定を受け、上位のライセンスを取る
- サロンで新人の教育を担当し、教える経験を積む
- 協会の認定講師やメーカーのセミナー講師、スクールの講師に挑戦する
すでに美容師免許を持っている人は、2つ目から始めることになります。美容室で働いていた人がまつ毛エクステンションのサロンに移る場合も、まずはサロンで施術の経験を重ね、検定で技術の水準を確かめてから教える立場を目指すのが一般的です。
どの段階でも大切なのは、資格の数より実際の施術の経験です。講師に応募するとき、採用する側は検定の級だけでなく、何年、どんな種類の施術をしてきたのか、新人の指導の経験があるのかを見ています。自分の経験を、施術の件数や担当した技術の種類、指導した人数などの事実で説明できるよう、日ごろから記録しておくと役立ちます。
生徒がつまずきやすい点と教え方の工夫
まつ毛エクステンションを学ぶ人がつまずきやすい点は、ある程度決まっています。講師はこうした点を先回りして教えることで、生徒の上達を早められます。
1つ目は、まつ毛を1本ずつ分ける作業です。自まつ毛を1本だけ取り分けてエクステを付けるのが基本ですが、慣れないうちは隣のまつ毛がくっついてしまいます。くっついたまま付けると、まつ毛の成長を妨げ、お客様のまつ毛を傷めるおそれがあります。最初は練習用の道具で、取り分ける動きだけを繰り返し練習させると効果的です。
2つ目は、接着剤の量と乾くまでの時間です。量が多すぎると固まりやすく、少なすぎると持ちが悪くなります。温度や湿度でも乾き方が変わるため、なぜその量なのかを理屈とともに伝えます。
3つ目は、施術の時間です。初めのうちは、決められた時間内に仕上げることができません。時間を意識させるのは基本が身についてからにし、最初は正確さを優先させます。
4つ目は、お客様とのやり取りです。カウンセリングで希望を聞き取り、目の形やまつ毛の状態に合ったデザインを提案する力は、技術の練習だけでは身につきません。講師が実際のカウンセリングの例を見せ、生徒同士で役を分けて練習させると、現場での対応力が育ちます。
講師としての収入と働き方の考え方
アイリストの講師の収入は、働き方によって大きく変わります。サロンの教育担当なら、サロンの給与に教育の手当が加わる形が多く、スクールや美容学校の講師なら、雇用されて月給で働く形と、授業の時間ごとに報酬を受け取る形があります。メーカーのセミナー講師や協会の活動は、1回ごとの報酬になることが多い仕事です。
講師の仕事だけで生活できる収入を得るのは、簡単ではありません。多くの講師は、サロンでの施術を続けながら、教える仕事を組み合わせています。施術の現場を離れると、新しい技術や商材の変化に遅れやすくなるため、施術を続けること自体が講師としての価値を保つことにもつながります。
講習を自分で開く場合は、会場、モデル、商材、器具の費用に加え、協会の年会費や更新の費用もかかります。受講料を決めるときは、こうした費用と、準備や片付けにかかる時間を含めて考える必要があります。個人で講習を開いて継続して収入を得るなら、税務署に開業届を出し、所得に応じて確定申告をすることになります。所得の区分や申告の要否は収入の形で変わるため、迷ったら税務署の窓口で確かめます。
講習の内容を組み立てるときの考え方
講師として講習を開くときは、誰に向けた講習なのかを先に決めます。サロンの新人向けなのか、経験者の技術の向上なのか、検定の対策なのかで、内容も時間配分も変わります。
新人向けの講習では、安全と衛生の基本、器具の扱い、まつ毛の構造、カウンセリングの手順を先に教え、そのあとで練習用の道具を使った技術の練習に進む流れが基本です。いきなりモデルで練習を始めると、安全の手順が身につかないまま手が動くようになり、あとで直すのに時間がかかります。
経験者向けの講習では、デザインのアレンジや、まつ毛の状態が難しいお客様への対応など、現場で迷いやすい場面を取り上げます。受講者から事前に悩みを聞いておくと、講習の内容を絞り込めます。
検定の対策の講習では、協会の検定要綱に沿って、筆記試験の範囲と実技試験の採点の観点を整理し、時間内に仕上げる練習を重ねます。日本アイリスト協会の場合、検定要綱は受付のあとに送られる仕組みのものもあるため、講習を開く講師自身が最新の要綱を確認しておくことが大切です。
どの講習でも、終わったあとに受講者の仕上がりを写真で記録し、次にどこを直すとよいかを具体的に伝えると、受講者は自分の成長を実感しやすくなります。受講者やモデルの写真を講習の案内やSNSに使う場合は、必ず本人の許可を取ります。
講師になったあとも続けたいこと
講師の資格を取ったあとも、学び続けることが講師の価値を保ちます。まつ毛エクステンションの技術や商材は変化が早く、数年前に学んだ方法が今は使われていないこともあります。
日本アイリスト協会の検定のライセンスは1年間有効で、会員の更新と合わせて期限を更新する仕組みです。認定講師の受験資格にも、その年の衛生管理士資格講習の受講が入っています。資格を一度取れば終わりではなく、毎年の更新や講習を通じて、知識を新しく保つことが前提になっていると言えます。
講師として続けたいことは、次のようなものです。
- 自分でも施術を続け、現場の感覚を保つ
- 協会やメーカーのセミナーに参加し、新しい技術や商材を知る
- 厚生労働省の通知や協会からの安全に関する情報を確かめる
- 教えた生徒のその後の様子を聞き、教え方を見直す
- 他の講師と情報を交換し、教え方の工夫を学ぶ
特に4つ目は、講師にしかできない振り返りです。教えた生徒が現場でどこに困っているのかを知ると、講習の内容のどこが足りなかったのかが分かります。卒業した生徒に簡単な聞き取りをする、サロンの新人の半年後の様子を確かめるといった小さな工夫が、次の講習の質を上げます。
スクールやサロンの講師に応募するときの準備
スクールやサロンが講師を募集するとき、応募する側が準備しておきたいことがあります。採用する側が知りたいのは、技術の水準、教えた経験、そして安全への意識です。
まず、自分の経歴を事実で整理します。美容師免許を取った年、アイリストとして働いた年数、担当してきた技術の種類、持っている検定の級、新人を指導した人数と期間を、一覧にしておきます。数字で書けることは数字で書くと、読む側が判断しやすくなります。
次に、施術の写真をまとめます。仕上がりの写真は、まつ毛の状態や目の形が違う例を幅広くそろえると、対応できる範囲の広さが伝わります。写真を使うときは、お客様やモデルの許可を必ず取ります。
さらに、模擬の講習を準備しておきます。講師の採用では、実際に短い講習をしてみせる選考を行うところもあります。10分から15分ほどで、1つの技術の要点を説明して実演する練習をしておくと、選考で落ち着いて臨めます。
最後に、安全と衛生についての自分の考えを言葉にしておきます。面接では、トラブルが起きたときにどう対応するか、衛生の手順をどう教えるかを聞かれることがあります。厚生労働省の通知や協会の衛生講習で学んだことを踏まえて、自分の言葉で答えられるようにしておくと、教える立場にふさわしい人だと伝わります。
講師としての発信と仕事の広げ方
在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、技術職から教える立場に移って長く活躍する人ほど、自分の技術と考え方を言葉と写真で発信しています。講師の仕事は、紹介や指名で決まることが多く、「この人に教わりたい」と思ってもらうには、施術の写真や講習の様子、技術についての考え方を、日ごろから見える形にしておくことが大切です。
発信の土台になるのは、施術の実績をまとめた資料です。施術例の写真、得意な技術、指導の経験を整理しておくと、スクールやメーカーに講師として応募するときの自己紹介になります。実績のまとめ方は、文章の仕事向けの解説ですが、Webライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】の考え方がそのまま参考になります。
サロンの集客やSNSの運用に詳しくなった講師は、他のサロンの発信を手伝う仕事に広げることもあります。そうした仕事の中身は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で紹介しています。講習の企画や発信の仕事を業務委託で受ける場合、仲介する会社に手数料を差し引かれない直接の取引なら、同じ報酬でも手元に残る額が厚くなり、依頼する側も同じ予算でより多くを頼めます。アイリストの講師は、美容師免許と現場の経験を土台に、教える力と伝える力を積み上げた人がたどり着く仕事です。
よくある質問
Q. 美容師免許がなくてもアイリストの講師になれますか?
厚生労働省は、まつ毛エクステンションが美容師法の美容に当たると通知で示しており、お客様に施術するには美容師免許が必要です。講師は施術を教える立場なので、美容師免許を持ち、サロンで実務経験を積んでいることが前提になります。日本アイリスト協会の検定も、実技のある2級と1級は美容師免許を持つ人と美容学校の在学者・卒業者に限られています。
Q. JEA認定講師試験を受けるには何が必要ですか?
日本アイリスト協会の2026年度の案内では、申し込みのときにまつ毛エクステ1級とまつ毛カール1級のライセンスを持ち、その年の衛生管理士資格講習を受けていること、個人正会員であること、事前の対策セミナーを受けていること、受験日に満18歳以上であることなどが条件です。受験料は税込35,000円、対策セミナーは税込20,000円です。
Q. アイリストの講師にはどのくらいの実務経験が必要ですか?
必要な年数は、団体やスクール、サロンによって違い、必須の条件にしていない団体もあります。ただし、教える内容に説得力を持たせるには、さまざまなまつ毛の状態やお客様の希望に対応してきた経験が欠かせません。施術の件数や担当した技術、新人の指導の経験を記録しておくと、講師に応募するときに自分の経験を事実で説明できます。
Q. アイリストの講師はどんな場所で働けますか?
サロンの教育担当、アイリストを育てるスクールや美容学校の講師、商材メーカーのセミナー講師、協会の試験官やコンテストの審査員などがあります。自分のサロンを開いて施術と講習を並行する人もいます。美容所を開くには、美容師法に基づき都道府県知事への届け出が必要で、窓口は多くの地域で保健所です。手続きは自治体ごとに確かめてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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