エクセルの資格を初心者が取るなら何から始めるか|在宅の事務での使い道


この記事のポイント
- ✓エクセルの資格を初心者が取るなら
- ✓サーティファイのExcel表計算処理技能認定試験
- ✓日商PC検定のどれから始めるかを
エクセルの資格を初心者が取ろうと調べ始めると、MOS、表計算処理技能認定試験、日商PC検定と、似た名前の試験がいくつも出てきます。どれも「エクセルが使えることを証明する資格」と説明されていて、違いが分からないまま教材を買ってしまう人も少なくありません。
結論から言うと、エクセルをほとんど触ったことのない初心者が最初に目指すなら、実技だけで合否が決まり、出題範囲がはっきりしている試験から始めるのが近道です。具体的には、MOSのExcelの一般レベル、またはサーティファイのExcel表計算処理技能認定試験の3級が候補になります。この記事では、主な試験を受験料、試験時間、合格基準の公式の数字で比べ、どんな人にどれが合うか、そして在宅の事務の仕事でその資格がどう役立つかまでを順に整理します。
エクセルの資格は初心者に意味があるのか
最初に、そもそも初心者がエクセルの資格を取る意味があるのかを考えます。ここを押さえておくと、どの試験を選ぶかの判断がぶれません。
エクセルは、事務、経理、営業の補助、データの入力など、多くの仕事で使われる表計算のソフトです。ただ、「エクセルが使えます」という言葉の中身は人によって大きく違います。数字を打ち込んで合計を出せる人も、関数を組み合わせて集計表を自動で作れる人も、同じ「使えます」と言えてしまいます。資格は、この曖昧な言葉に「どの水準まで操作できるか」という目安を与えてくれるものです。
もう1つの意味は、学ぶ順番が決まることです。独学でエクセルを覚えようとすると、目の前の作業に必要な機能だけを拾い読みすることになり、知らない機能に気づかないまま時間が過ぎがちです。資格の出題範囲は、仕事でよく使う機能を体系的に並べたものなので、それに沿って学ぶだけで抜けが減ります。転職の支援をしている会社の解説にも、こうした考え方が書かれています。
エクセルの操作は頭で理解していても、実際に手を動かさなければなかなか身につかないものです。資格取得という目標に向かって体系的に学べば、実践的なスキルを無理なく高められるでしょう。 出典: mynavi-agent.jp
一方で、資格があれば仕事が決まるわけではない点も、最初に押さえておきます。採用する側が見ているのは、資格の名前そのものよりも、その資格を取る過程で身についた操作が実際の業務で使えるかどうかです。資格は「学んだ証拠」であり、「仕事ができる証拠」ではありません。この違いを意識しておくと、合格したあとに何をすべきかが見えてきます。
初心者が比べたいエクセルの主な資格
エクセルの資格はいくつもありますが、初心者が最初に比べる候補は、次の3つにほぼ絞られます。
MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)
MOSは、マイクロソフトのOfficeのソフトを使う力を証明する資格で、日本ではオデッセイ コミュニケーションズが運営しています。Excelには、数式や基本的な関数、セルの書式、グラフの作成などを扱う一般レベルと、ピボットテーブルによる分析、条件付き書式や入力規則、マクロなどを扱う上級レベル(エキスパート)の2つがあります。試験はOfficeのバージョンごとに分かれていて、現在はExcel 365とExcel 2019の試験が用意されています。
Excel表計算処理技能認定試験(サーティファイ)
サーティファイのソフトウェア活用能力認定委員会が運営する試験で、1級から3級までの3段階があります。特徴は、素材のデータから集計表やグラフなどの「完成物」を一から作る出題形式です。3級は実技だけ、1級と2級は知識の問題と実技の問題の両方があります。
日商PC検定(データ活用)
日本商工会議所が運営する検定で、文書作成、データ活用、プレゼン資料作成の3分野があり、エクセルに当たるのはデータ活用です。1級から3級までに加えて、基本的な操作を問うベーシックがあります。2級と3級は、ITやネットワークの知識を問う知識科目と、エクセルを操作する実技科目で構成されています。業務データの集計や分析、報告書づくりまでを意識した内容で、事務の仕事に近い形で出題されます。
日本商工会議所の案内では、データ活用の3級は「指示に従い正確かつ迅速に業務データベースを作成し、集計、分類、並べ替え、計算、グラフ作成等を行う」水準、2級は「最適なデータベースを作成するとともに、適切な方法で分析し、表やグラフを駆使して業務報告・レポート等を作成する」水準とされています。3級は指示どおりに作る力、2級は自分で考えて報告をまとめる力、と読み替えると違いがつかみやすくなります。
3つ以外の資格は後回しでよい
ほかにも、エクセルのマクロやVBAの力を問うVBAエキスパートや、表計算を含むパソコンの操作全般を問う試験があります。ただ、これらは基本の操作が身についていることを前提にした内容で、初心者が最初に受ける試験としては難しすぎるか、範囲が広すぎます。まずは上の3つのどれかで基本を固め、そのあとで必要に応じて検討するのが無駄のない順番です。
3つとも受験の資格に制限はなく、年齢や学歴を問わず誰でも受けられます。違いは、試験の形式、出題の考え方、そして受験料です。次の節で数字を並べて比べます。
受験料・試験時間・合格基準を公式の数字で比べる
ここでは、それぞれの公式サイトに載っている数字をもとに、初心者が気になる点を比べます。料金は改定されることがあるので、申し込む前に必ず公式の最新の記載を確かめてください。
MOSの数字
MOSのExcel 365の一般レベルは、パソコンを使った実技の試験(CBT)で、試験時間は50分です。受験料は一般価格が12,980円(税込)、学割価格が9,680円(税込)とMOSの公式サイトのExcel 365の試験概要に書かれています。上級レベル(エキスパート)も、試験時間は50分、受験料は一般レベルと同じ額と記載されています。試験はすべて実技で、筆記の試験はありません。
サーティファイの数字
サーティファイのExcel表計算処理技能認定試験は、サーティファイの試験概要・出題範囲のページによると次のとおりです。
| 級 | 知識試験 | 実技試験 | 受験料(税込) |
|---|---|---|---|
| 1級 | 15分 | 90分 | 8,600円 |
| 2級 | 15分 | 90分 | 7,500円 |
| 3級 | なし | 60分 | 6,400円 |
合格基準は、1級と2級が知識と実技の合計の得点率70%以上、3級が実技の得点率70%以上です。同じ公式サイトには、2025年度の平均の合格率が81.7%と載っています。合格率は全級の平均なので、3級だけの数字ではない点に気をつけてください。
日商PC検定の数字
日商PC検定は、商工会議所のネット試験として全国の試験会場で行われます。受験料は試験会場によって扱いが異なる場合があるので、受ける会場の案内で確かめるのが確実です。実技科目の試験時間は、日本商工会議所の案内に2級が40分、3級が30分と書かれています。
数字から見える違い
受験料だけを見ると、サーティファイの3級が最も手頃で、MOSはその2倍ほどです。一方、MOSは世界共通の資格で、マイクロソフトのOfficeの資格として名前が知られているという強みがあります。試験時間はサーティファイの1級、2級が長く、その時間で一から完成物を作る力を細かく見ています。「最初の1つを手頃に取りたい」ならサーティファイの3級、「名前の通りのよさを重視したい」ならMOSの一般レベル、という分け方が1つの目安になります。
初心者に向いた選び方の基準
数字を比べたうえで、自分に合う試験を選ぶための基準を整理します。
今のエクセルの水準で選ぶ
セルに数字を入れて合計を出す程度しか触ったことがない人は、サーティファイの3級か日商PC検定のベーシックから始めると、学ぶ量が多すぎずに済みます。SUMやAVERAGEのような基本の関数を使ったことがあり、表の形を整えるのにも慣れている人は、最初からMOSの一般レベルを目指しても無理はありません。MOSは試験の科目が独立していて、最初から上級レベルを受けることもできますが、初心者がいきなり上級を受けるのは遠回りになりやすいので、一般レベルから順に進めるのがおすすめです。
使う目的で選ぶ
就職や転職の応募書類に書くことが目的なら、名前が広く知られているMOSが説明しやすい資格です。事務の仕事で集計表や報告書を作る力を伸ばしたいなら、完成物を作る形式のサーティファイや、業務データの分析まで扱う日商PC検定が、実際の作業に近い練習になります。
試験の受けやすさで選ぶ
MOSには、毎月決まった日に行う全国一斉試験と、試験会場でほぼ毎日受けられる随時試験の2つの受け方があります。このうち全国一斉試験は、運営会社が2026年12月で終了すると発表しています。公式サイトのお知らせでは、最後の回が2026年12月13日(日)で、申し込みの受付は11月16日(月)までとされています。これから受ける人は、随時試験を前提に予定を立てると迷いません。サーティファイも、随時試験の会場での受験のほか、自宅などから受けられるリモートWebテストを案内しています。
パソコンの環境で選ぶ
意外に見落としやすいのが、自分のパソコンの環境です。MOSの公式サイトには「Mac版Officeの試験は行っていません」と書かれていて、試験の環境はWindows 11です。サーティファイも、推奨のOSはWindows 11で、Macには対応していないと書かれています。Macを使っている人は、学習の段階からWindowsのエクセルに触れる機会を作っておかないと、試験の画面で戸惑います。Mac版のエクセルはメニューの位置やショートカットキーが一部違うので、学習用にWindowsのパソコンを用意するか、パソコン教室の自習の席を使うといった工夫が必要です。
合格までの勉強の進め方
選ぶ試験が決まったら、次は勉強の進め方です。初心者が独学で合格を目指すときの流れを、段階ごとに説明します。
最初の1週間は操作に慣れる
いきなり問題集に取りかかる前に、エクセルの画面に慣れる時間を取ります。セルの選択、行と列の挿入と削除、コピーと貼り付け、罫線と書式の設定など、基本の操作を一通り触ってみるだけで、その後の学習の速さが変わります。家計簿や買い物の一覧のような身近な表を、実際に作ってみるのが効果的です。
公式の出題範囲を手元に用意する
MOSもサーティファイも、公式サイトで出題範囲を公開しています。MOSのExcel 365の一般レベルなら、ワークシートやブックの管理、セルやセル範囲のデータの管理、テーブルの管理、数式や関数を使った演算、グラフの管理といった項目が並んでいます。この一覧を印刷して、学んだ項目に印を付けていくと、残りの量が見えて途中で止まりにくくなります。
問題集は1冊を繰り返す
教材は、試験に対応した公式または定番の問題集を1冊に絞り、何度も繰り返します。複数の教材を少しずつ解くより、1冊を3回解くほうが、操作の手順が指に残ります。2回目以降は、時間を計って解くようにすると、本番の時間配分の感覚がつかめます。MOSは50分、サーティファイの3級は60分なので、その時間の中で全問を解き終えられるかを確かめます。
模擬試験で時間の使い方を練習する
実技の試験は、操作を知っているかどうか以上に、時間内に終えられるかで差がつきます。分からない問題に時間をかけすぎて、後半の簡単な問題に手が回らなかった、という失敗はよく聞きます。模擬試験では、迷った問題は印を付けて後回しにし、最後に戻って解く練習をしておきます。
学習時間の目安
学習の時間は、元の水準によって大きく変わるので一概には言えません。毎日1時間ずつ学ぶとして、操作に慣れている人なら数週間、ほとんど初めての人ならもう少し長めに見ておくと、焦らずに済みます。大切なのは、時間の長さより、毎日少しずつでもエクセルを開く習慣を作ることです。
合格したあとに必要なこと
資格を取ったあと、そのまま何もしないと、覚えた操作はすぐに忘れます。合格した瞬間がスタートだと考えて、次の3つに取り組みます。
実際の業務の形で使ってみる
試験の問題は、あらかじめ指示が細かく書かれています。実際の仕事では、どの関数を使うか、どんな表の形にするかを自分で決めなければなりません。合格したら、身近なデータを使って、集計表と簡単なグラフを一から作ってみます。売上の一覧、毎月の支出、作業時間の記録など、何でも構いません。「指示がなくても作れる」状態になって初めて、仕事で使える力になります。
次の段階の資格に進むか決める
基本の操作が身についたら、上の段階に進むかを考えます。MOSなら上級レベル(エキスパート)、サーティファイなら2級です。上の段階では、ピボットテーブルによる集計、条件付き書式、データの入力規則、検索の関数など、事務の仕事で「この人に任せたい」と思われる操作が増えます。さらにマクロやVBAで作業を自動にしたい人には、同じ運営会社が行うVBAエキスパートという資格もあります。
書類の作り方も学ぶ
エクセルで作った表は、多くの場合、報告書やメールに添えて人に渡します。数字が正しくても、説明の文章が分かりにくければ伝わりません。ビジネスの文章の書き方を体系的に学ぶなら、ビジネス文書検定の解説が参考になります。社内文書や社外文書の書き方を問う検定で、エクセルの資格と組み合わせると、事務の仕事で求められる力の両輪がそろいます。
在宅の事務の仕事での使い道
在宅で事務の仕事をしたい人にとって、エクセルの資格はどう役立つのかを具体的に見ていきます。
在宅でよくあるエクセルの仕事
在宅の事務の仕事でエクセルを使う場面は、データの入力、表の整理、集計表の作成、請求書や見積書の作成、アンケートの集計などです。依頼する側は、細かい手順を毎回説明しなくても任せられる人を探しています。資格は、その最初の判断の材料の1つになります。
応募のときの伝え方
在宅の仕事に応募するときは、資格の名前だけを書くのではなく、「何ができるか」を具体的に書きます。たとえば「MOSのExcelの一般レベルを取得。VLOOKUPやXLOOKUPで2つの表を突き合わせ、ピボットテーブルで月別の集計表を作れます」と書けば、依頼する側は任せられる仕事の範囲を想像できます。作った表の見本を、個人の情報を除いて用意しておくと、さらに伝わりやすくなります。
文章の仕事と組み合わせる
在宅の仕事では、エクセルの作業と文章の作業を組み合わせた依頼もあります。調べた情報を表にまとめてから記事にする、アンケートの結果を集計して報告の文章を書く、といった仕事です。文章の仕事に関心がある人は、Webライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】で、実績の見せ方の工夫を確かめておくと、エクセルの作業と文章の作業の両方を見せる準備になります。
報酬の水準を知っておく
在宅の仕事を始めるときは、報酬の相場を知っておくことも大切です。文章の仕事の報酬の水準は、著述家,記者,編集者の年収・単価相場で全国平均と都道府県別の相場を確かめられます。エクセルの作業と組み合わせた依頼は、作業の範囲が広がるため、単純な入力の仕事より報酬が上がりやすい傾向があります。
初心者がつまずきやすい注意点
最後に、初心者がエクセルの資格を目指すときにつまずきやすい点を挙げておきます。
バージョンの違いを確かめずに教材を買う
MOSはOfficeのバージョンごとに試験が分かれています。Excel 365の試験を受けるのに、古いバージョンの教材で学ぶと、画面の見た目や機能の名前が違って混乱します。教材を買う前に、受ける試験のバージョンと教材の対応を必ず確かめます。MOSの公式サイトにも、自分の使っているOfficeに合った試験と教材の選び方の案内があります。
再受験のルールを知らない
MOSには再受験のルールがあり、同じ科目を2回目に受けるときは、前回の受験から1日(24時間)待つ必要があると公式サイトに書かれています。不合格だったときにすぐ受け直せると思っていると、予定がずれることがあります。
資格を取ることが目的になる
一番大きな落とし穴は、資格を取ることそのものが目的になってしまうことです。資格は仕事で使う力を身につけるための道しるべで、合格証を集めることに意味があるわけではありません。資格を1つ取ったら、その力を使う仕事に早めに応募してみるほうが、次に何を学ぶべきかがはっきりします。
試験の当日の準備を後回しにする
実技の試験は、会場のパソコンを使って受けます。普段と違うキーボードやマウス、画面の大きさに戸惑って、最初の数分を無駄にする人は少なくありません。MOSの公式サイトには、試験の環境としてWindows 11、Microsoft 365、日本語入力はMicrosoft IME、キーボードはJIS配列と書かれています。普段からこれに近い環境で練習しておくと、当日の戸惑いを減らせます。学生の人が学割価格で申し込んだ場合は、当日に学生証が必要と案内されているので、持ち物の確認も前日までに済ませておきます。
情報の古さに気をつける
エクセルの資格の解説は、インターネット上にたくさんありますが、受験料や試験の形式は改定されることがあります。MOSの全国一斉試験の終了のように、受け方そのものが変わることもあります。解説を読んだら、最後は必ず各試験の公式サイトで今の記載を確かめる習慣をつけておきます。
初心者が最初に覚えたい操作と関数
どの試験を選んでも、最初に身につけるべき操作はほとんど共通しています。ここでは、試験にも在宅の仕事にも効く基本を、学ぶ順番に沿って紹介します。
表の形を整える操作
最初の段階は、見やすい表を作る操作です。列の幅と行の高さの調整、セルの結合と中央ぞろえ、罫線、数値の桁区切りや日付の表示形式などがここに入ります。地味に見えますが、依頼する側が受け取った表を見て最初に感じる「読みやすい」「読みにくい」は、ほとんどこの段階で決まります。数値の右ぞろえ、見出しの太字、合計の行の上に線を引くといった、小さな決まりを守るだけで表の印象は大きく変わります。
計算の基本となる関数
関数とは、決まった計算を短い式で行う仕組みのことです。最初に覚えたいのは、合計を出すSUM、平均を出すAVERAGE、件数を数えるCOUNT、条件によって表示を変えるIF の4つです。この4つを使いこなせるだけで、売上の合計、1件あたりの平均、提出済みの件数、目標に届いたかどうかの判定など、事務の仕事で求められる計算の多くに対応できます。
2つの表を突き合わせる関数
次の段階で覚えたいのが、別の表から情報を探して持ってくる関数です。VLOOKUPやXLOOKUPがこれに当たり、たとえば商品の番号から商品名と価格を引いてくる、社員の番号から所属の部署を引いてくる、といった作業を自動にできます。在宅の事務の仕事では、依頼する側から2つのファイルを渡されて「片方にしかないものを探してほしい」と頼まれる場面がよくあり、この関数を使えるかどうかで作業の時間が何倍も変わります。
並べ替えとフィルター、テーブル
大量のデータを扱うときは、並べ替えとフィルターが欠かせません。フィルターとは、条件に合う行だけを表示する機能のことで、「今月の分だけ」「特定の取引先だけ」といった絞り込みができます。表をテーブルという形に変えておくと、行を追加しても書式や計算式が自動で広がり、集計の範囲がずれる失敗を防げます。
グラフの作成
最後に、数字の動きを見せるグラフです。棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフの使い分けと、タイトルや軸の名前の付け方を覚えておけば、報告書に添える図を作れます。どのグラフを選ぶかは「何を比べたいか」で決まり、項目の大小を比べるなら棒、時間の流れに沿った変化を見せるなら折れ線、全体に占める割合を見せるなら円、と覚えておくと迷いません。
独学とスクール、どちらで学ぶか
エクセルの資格の勉強は、独学でもパソコンスクールでもできます。どちらが合うかは、使える時間と費用、そして自分で学習を続けられるかどうかで決まります。
独学が向いている人
独学の強みは、費用を抑えられることです。問題集1冊と受験料で始められ、時間の都合に合わせて夜や週末に進められます。毎日決まった時間に机に向かえる人、分からないところを自分で調べて解決するのが苦にならない人は、独学で十分に合格を目指せます。問題集の多くには模擬試験のソフトが付いていて、本番に近い形で練習できます。
スクールが向いている人
スクールの強みは、分からないところをその場で質問できることと、通う日が決まっていて学習が途切れにくいことです。パソコンにあまり慣れていない人、独学で何度か挫折したことがある人は、費用がかかってもスクールのほうが結果的に早く合格できることがあります。Macしか持っていない人にとっては、Windowsのパソコンで練習できる場所としての価値もあります。
公的な支援を確かめる
働きながら学ぶ人や、仕事を探している人は、学び直しの費用を支援する公的な制度の対象になる場合があります。たとえばサーティファイの公式サイトには、Excel表計算処理技能認定試験が厚生労働省の教育訓練給付制度に指定されていると書かれています。ただし、制度の対象になるのは指定を受けた講座を受けた場合で、受ける本人の雇用保険の加入期間などの条件もあります。使えるかどうかは、ハローワークの窓口で自分の場合を確かめてください。
学ぶ費用の目安を立てる
独学なら、費用は問題集と受験料が中心です。受験料は先に紹介したとおり、サーティファイの3級で6,400円、MOSの一般レベルで12,980円(いずれも税込)です。スクールに通う場合は、講座の費用がこれに加わります。どちらを選ぶ場合も、1回で合格できなかったときの再受験の受験料まで含めて、余裕を持って見積もっておくと安心です。
在宅の事務で頼まれやすい作業と、必要な水準
資格の勉強で身につけた操作が、在宅の事務の仕事のどの作業につながるのかを、よくある依頼の例で整理しておきます。自分がどの段階の作業まで引き受けられるかの目安になります。
データの入力と整理
紙の書類や画像に写った情報を、エクセルの表に打ち込む作業です。求められるのは、正確さと、決められた形式を守ることです。日付の書き方をそろえる、全角と半角を統一する、空白のセルを残さないといった、細かい決まりを守れるかどうかが評価を分けます。資格で言えば、サーティファイの3級やMOSの一般レベルの前半の内容で十分に対応できます。
顧客の名簿や商品の一覧の整理
複数のファイルに分かれた名簿を1つにまとめる、重複した行を探して取り除く、住所の表記をそろえるといった作業です。ここでは、並べ替え、フィルター、重複の削除、文字列を扱う関数が役立ちます。2つの名簿を突き合わせる場面では、先に紹介したVLOOKUPやXLOOKUPが欠かせません。MOSの一般レベルを一通り学んだ人なら、無理なく引き受けられる水準です。
月ごとの集計と報告の表
売上や問い合わせの件数を、月ごと、担当者ごと、商品ごとに集計して表とグラフにまとめる作業です。ここで力を発揮するのが、ピボットテーブルという機能です。ピボットテーブルとは、大量のデータを、項目を選ぶだけで自動的に集計表の形にまとめてくれる機能のことです。MOSの上級レベルやサーティファイの2級で扱う内容で、ここまでできると依頼の幅が一段広がります。
繰り返しの作業の自動化
毎月同じ手順で行う集計や、決まった形式の書類の作成を、ボタン1つで終わるようにする作業です。マクロやVBAという仕組みを使います。初心者がいきなり目指す段階ではありませんが、基本の操作と関数に慣れたあとの次の目標として意識しておくと、学ぶ方向が定まります。
自分がどの段階まで引き受けられるかを正直に伝えることは、在宅の仕事で信頼を得る近道です。できない作業を引き受けて納期に間に合わないより、「この段階まではできます」と範囲を示したほうが、依頼する側も安心して任せられます。
運営者として見てきた、エクセルの力が仕事につながる人
フリーランスと在宅ワークの市場を20年にわたって運営してきた立場から言えば、エクセルの資格を持っている人の中でも、仕事が続く人とそうでない人ははっきり分かれます。続く人に共通しているのは、指示された表を作るだけでなく、「この集計はこう並べたほうが見やすい」「この入力は関数で自動にできる」と、依頼する側の手間を減らす提案ができることです。依頼する側から見ると、こうした人は「この人に任せると楽」という存在になり、次の依頼が自然に回ってきます。
もう1つの実感として、仲介の手数料が乗らない直接の取引では、同じ予算で依頼する側はより多くの作業を頼め、受ける側は手取りが厚くなります。手数料0%で直接取引できる環境では、この双方の得が、そのまま関係の長さに表れやすいものです。エクセルの資格は、その関係の入口に立つための最初の一歩です。
エクセルの次に何を学ぶかで、在宅でできる仕事の幅は広がります。業務の効率化の支援に関心がある人は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事の解説で、企業の業務にAIやITを組み込む仕事の中身を確かめられます。エクセルで表を整え、集計を自動にする力は、こうした業務の効率化の仕事の土台にもなります。また、エクセルで作業を自動にする延長で、プログラミングに進む人もいます。ソフトウェア作成者の年収・単価相場では、その先の仕事の報酬の水準を確かめられます。まずは1つ目の資格を、自分の水準と目的に合った試験から選んでみてください。
よくある質問
Q. エクセルの資格は初心者ならどれから受けるのがよいですか?
エクセルにほとんど触れたことがないなら、実技だけで合否が決まるサーティファイのExcel表計算処理技能認定試験の3級が手頃な出発点です。基本の関数や表の書式に慣れているなら、MOSのExcelの一般レベルを目指しても無理はありません。名前の通りのよさを重視するならMOS、と目的で選ぶと決めやすくなります。
Q. MOSのExcelの受験料と試験時間はいくらですか?
MOSの公式サイトによると、Excel 365の一般レベルは試験時間50分、受験料は一般価格12,980円(税込)、学割価格9,680円(税込)です。上級レベル(エキスパート)も試験時間と受験料は同じ記載です。料金は改定されることがあるので、申し込む前に公式サイトで最新の記載を確かめてください。
Q. Macしか持っていなくてもエクセルの資格は取れますか?
受験はできますが、MOSは「Mac版Officeの試験は行っていません」と公式に書かれていて、試験の環境はWindows 11です。サーティファイもMacには対応していません。Mac版のエクセルはメニューやショートカットが一部違うので、学習の段階からWindowsのエクセルに触れる機会を用意しておくと、本番で戸惑いません。
Q. エクセルの資格を取れば在宅の事務の仕事は見つかりますか?
資格だけで仕事が決まるわけではありません。依頼する側は、資格の名前より「何ができるか」を見ています。応募のときは、使える関数や作れる集計表を具体的に書き、個人の情報を除いた表の見本を用意すると伝わりやすくなります。資格は学んだ証拠として、実際の作業の見本と組み合わせて使うのが効果的です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
榊原 隼人@SOHO編集部
フルスタックエンジニア・テックライター
SIerで8年間システム開発に携わった後、フリーランスエンジニアに転身。React/Next.js/Pythonを中心に開発案件をこなしながら、技術系の記事を執筆しています。
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