ECサイト制作会社の選び方|集客まで見据えた外注先の見極め方 2026


この記事のポイント
- ✓ECサイト制作会社の選び方を
- ✓費用相場・依頼の流れ・失敗しない見極め方まで発注者目線で解説
- ✓仲介と直接依頼のコスト差
先日、あるアパレルの通販を始めたばかりの経営者さんから相談を受けました。「制作会社に見積もりを取ったら、A社は80万円、B社は350万円。同じ『ECサイトを作る』という依頼なのに、なぜ4倍以上も違うのか」と。これ、知らない人が本当に多いんです。ECサイト制作は「作って終わり」の世界ではなく、どこまでを任せるか、作った後に売れる仕組みまで見据えるかで、金額も選ぶべき相手もまったく変わります。この記事では、「ec 制作 会社 選び方」で迷っているあなたが、いくらで・どこに・どうやって外注すればよいかを判断できるよう、費用相場・依頼の流れ・失敗しない見極め方を、発注する側の目線で丁寧に整理していきます。
結論から言うと、ECサイト制作会社選びで失敗しないコツは、「デザインの見た目」でも「金額の安さ」でもなく、「自社が本当にやってほしい業務範囲」を先に言語化してから相手を探すこと。ここがずれていると、どれだけ有名な会社に頼んでも「イメージと違う」というトラブルに直結します。順番に見ていきましょう。
ECサイト制作会社選びで、まず理解すべき市場の全体像
ECサイト制作会社を選ぶ前に、そもそも今のEC市場がどんな状況にあるのかを押さえておくと、金額の判断軸が一気にクリアになります。経済産業省が公表している電子商取引に関する市場調査によれば、日本国内のBtoC-EC市場規模は年々拡大を続けており、物販系分野だけでも十数兆円規模に達しています。EC化率(すべての商取引に占めるEC経由の割合)も上昇傾向にあり、実店舗だけで商売をしていた事業者が「うちもネット販売を」と動き出す流れは、ここ数年でむしろ加速しています。
つまり、あなたが今「ECサイトを作りたい」と考えているのは、決して遅すぎる話ではなく、市場全体がまだ伸びている真っ只中だということ。ただし、伸びている市場だからこそ、制作会社の数も玉石混交で、料金体系もバラバラです。同じ「ECサイト制作」という言葉でも、テンプレートに商品を並べるだけの30万円の案件から、フルスクラッチで独自機能を組み込む1,000万円超の案件まで、幅が非常に広いのが実態です。
なぜ同じ「EC制作」で金額が10倍以上違うのか
金額差の正体は、大きく分けて3つの要素にあります。1つ目は「構築方法」。ShopifyやBASE、STORES、makeshopといった既存のECプラットフォームを使うのか、それともゼロからシステムを組むフルスクラッチなのかで、初期費用は桁が変わります。2つ目は「業務範囲」。デザインとコーディングだけなのか、商品登録・撮影・原稿作成まで含むのか、さらに公開後の運用や集客まで面倒を見るのかで、見積もりは大きく動きます。3つ目は「発注先の種類」。大手制作会社に一括で頼むのか、フリーランスや小規模チームに直接頼むのかで、同じ成果物でも中間マージンの有無によって費用が変わってきます。
ここで大事なのは、金額が高い=良い、安い=悪い、という単純な話ではないということ。月商100万円を目指す個人ショップが、いきなり500万円のフルスクラッチを組むのは明らかに過剰投資です。逆に、独自の会員機能や基幹システム連携が必要な事業者が、月額数千円のテンプレートで済ませようとすれば、後から作り直しになって二重のコストがかかります。自社の売上規模と要件に「ちょうど合う」相手を選ぶことが、最もコスパの良い選択なのです。
制作会社に依頼するメリットと、外注すべきかの判断基準
「そもそも外注すべきか、自分で作るべきか」で迷う方も多いので、ここを整理しておきます。ノーコードのECプラットフォームは進化していて、BASEやSTORESなら、パソコンが得意な人なら数日で最低限のショップを立ち上げられます。それでもプロに外注するメリットは主に3つあります。1つ目は「時間の節約」。本業がある中で、デザイン学習からSEO対策まで独学するのは現実的でなく、その時間を商品開発や仕入れに使ったほうが利益に直結します。2つ目は「売れる設計」。プロは購入導線やスマホ表示の最適化、カゴ落ち対策といった、売上に直結するノウハウを持っています。3つ目は「トラブル回避」。決済連携や在庫管理、セキュリティといった、自己流だと事故につながる部分を安全に組めます。
外注すべきかの判断基準は、シンプルに言えば次の3点です。「デザインや使い勝手が売上を左右する商材か(こだわりが必要なら外注)」「自分で運用を学ぶ時間があるか(なければ外注)」「独自機能やシステム連携が必要か(必要なら外注ほぼ必須)」。この3つのうち2つ以上が当てはまるなら、外注を前向きに検討していい段階です。逆にすべてノーなら、まずは自分で低コストに始めて、売れてきたら作り込む、という段階的な進め方もあります。
ECサイト制作の費用相場を、構築方法別に把握する
外注先を選ぶ前提として、費用相場を知らないと見積もりの妥当性が判断できません。ここでは構築方法別に、2026年時点の相場感を整理します。あくまで目安ですが、この幅を頭に入れておくだけで「ぼったくり」と「安すぎて不安」の両方を見抜けるようになります。
ASP・SaaS型(Shopify・BASE・STORESなど)の相場
もっとも手軽なのが、月額課金で使えるASP・SaaS型のECプラットフォームです。BASEやSTORESは初期費用0円で始められ、月額も無料〜数千円程度。Shopifyは月額33ドル前後のベーシックプランからスタートできます。ただし、これは「自分で構築する場合」の話。制作会社やフリーランスにデザイン・初期設定を依頼すると、Shopifyの構築代行で30万円〜150万円、こだわったデザインやアプリ連携を含めると200万円前後になることもあります。
この価格帯は、これからECを始める個人事業主や、実店舗のオンライン展開を試したい中小企業に最も向いています。テンプレートをベースにしつつ、ブランドの世界観に合わせてカスタマイズする、というのが現実的な落としどころ。月商数十万〜数百万円規模を目指すなら、まずはここから始めて問題ありません。
パッケージ・オープンソース型(EC-CUBEなど)の相場
もう少し自由度が欲しい、あるいは中規模以上の商品数を扱う場合に選ばれるのが、EC-CUBEに代表されるパッケージ・オープンソース型です。ライセンス費用を抑えつつ、自社の要件に合わせてカスタマイズできるのが強み。制作費用の相場は100万円〜500万円程度で、カスタマイズの度合いによって大きく変動します。サーバーの用意や保守も必要になるため、公開後のランニングコストも見込んでおく必要があります。
この価格帯を選ぶのは、独自の商品検索機能や会員ランク制度、複雑な送料計算などを実装したい事業者です。ASP型では実現できない要件がある場合の、現実的な選択肢になります。ただし、保守運用に専門知識が要るため、作った後のサポート体制まで含めて発注先を選ぶことが重要です。
フルスクラッチ型の相場
完全にゼロから独自システムを構築するフルスクラッチは、費用相場が500万円〜数千万円と、一気に跳ね上がります。基幹システムとのリアルタイム連携、独自の物流管理、大規模なアクセスを捌くインフラなど、既存のプラットフォームでは実現できない要件がある大企業・中堅企業向けです。制作期間も半年〜1年以上かかることが多く、要件定義から慎重に進める必要があります。
正直に言えば、これからECを始める段階の個人事業主や中小企業が、この価格帯を検討する必要はほとんどありません。まずはASP型やパッケージ型で売上の土台を作り、事業が拡大してプラットフォームの制約が明確なボトルネックになった段階で、初めて検討する選択肢だと考えてください。
費用を左右する「隠れコスト」に注意
見積もりを比較するときに見落としがちなのが、初期制作費以外の「隠れコスト」です。具体的には、公開後の保守運用費(月額1万円〜10万円程度)、商品登録の作業費(1点あたり数百円〜)、商品撮影費、バナーやLPの追加制作費、SEO・広告運用費などです。初期費用だけを見て「A社が安い」と判断すると、運用フェーズで想定外の請求が積み重なることがあります。見積もりを取る際は、必ず「公開後1年間にかかる総額」で比較する意識を持ってください。
EC制作の仕事内容や報酬の全体像をもう少し具体的に知りたい方は、実際にどんな作業にいくらの単価がつくのかをまとめたECサイト制作の仕事内容と報酬相場|Shopify・BASEで稼ぐ方法も参考になります。発注する側にとっても、作業ごとの相場感を知っておくと見積もりの妥当性を判断しやすくなります。
失敗しないECサイト制作会社の選び方7つのチェックポイント
ここからが本題です。費用相場を押さえたうえで、実際にどう相手を見極めるか。私がこれまで見てきたトラブル事例から逆算した、7つのチェックポイントを紹介します。
チェックポイント1:EC構築の実績があるか
まず大前提として、「Webサイト制作」ではなく「ECサイト構築」の実績があるかを確認してください。コーポレートサイトが得意な会社と、ECが得意な会社は、必要なノウハウがまったく違います。ECには決済連携、在庫管理、購入導線設計、カゴ落ち対策など、通販ならではの専門知識が不可欠です。ポートフォリオを見せてもらい、自社と近い商材・規模のEC実績があるかを必ずチェックしましょう。
以下は、EC事業者の支援に特化した会社の一例です。制作会社を比較する際、こうした「ECに強い」ことを明確に打ち出している相手かどうかは、一つの判断材料になります。
株式会社Eストアーは月商1,000万円超えを目指せるネットショップの通販システム「ショップサーブ」を提供しているほか、課題を浮き彫りにするコンサルティング、煩雑な作業をスムーズにする運営代行、コンバージョン率の高い「売れる」ページの制作、費用対効果の高い広告運用、など様々なサービスを展開しています。 出典: ecnomikata.com
このように、制作だけでなく運用代行や広告運用まで一気通貫で提供している会社もあれば、デザイン制作に特化した会社もあります。自社が「作った後の運用まで任せたい」のか「制作だけ頼んで運用は自社でやる」のかによって、選ぶべき相手が変わってきます。
チェックポイント2:得意な商材・業種が自社と合うか
ECと一口に言っても、アパレル、食品、化粧品、家具、BtoB向け卸売など、商材によって最適な設計は大きく異なります。たとえばアパレルなら豊富な商品バリエーションと美しいビジュアル表現が肝になりますし、食品なら定期購入(サブスク)機能や消費期限管理が重要になります。制作会社の過去実績を見て、自社の商材に近いジャンルを手がけた経験があるかを確認しましょう。同業種の勘所を知っている相手なら、こちらが説明しなくても「この商材ならこういう見せ方が売れる」という提案が出てきます。
デザインに特化した専門性を持つ会社もあります。たとえば以下のような、フルオーダーメイドのデザイン制作を強みにしている会社です。
PRONAZZI JAPAN 合同会社は、経験豊富な熟練したデザイナーが、ECサイト全体のデザインから各コーナー、バナーのデザインまでお客様にヒアリングさせて頂き、フルオーダーメイド制作します。また、ECに特化したAIロボットを構築している事が特徴でAIロボが、ユーザー行動データと予測をアシストします。 出典: ecnomikata.com
デザインの世界観をとことん作り込みたいブランドなら、こうした専門性の高い相手が向いています。一方、スピード重視でとりあえず立ち上げたい場合は、テンプレートベースで素早く構築できる相手のほうが適しているでしょう。自社の優先順位を明確にしてから探すことが大切です。
チェックポイント3:業務範囲(スコープ)が明確か
トラブルの温床になりやすいのが、業務範囲の曖昧さです。「ECサイト制作」という言葉の中に、どこまでが含まれるのか。商品登録は何点まで無料か、撮影はやってくれるのか、原稿は誰が書くのか、公開後の修正は何回まで対応してくれるのか。ここが契約時に曖昧だと、後から「それは別料金です」「その作業は聞いていません」という食い違いが必ず起きます。見積書と提案書に、業務範囲が箇条書きで明記されているかを確認し、不明点はすべて文書で残しておきましょう。
チェックポイント4:公開後のサポート・運用体制があるか
ECサイトは「公開してからが本番」です。商品の追加、季節ごとのバナー更新、キャンペーンページの制作、システムのアップデート対応など、運用フェーズで発生する作業は膨大です。制作だけして「あとはご自身で」と放り出す会社を選ぶと、更新のたびに困ることになります。保守契約の有無、月額費用、対応スピード、緊急時の連絡体制を必ず確認してください。EC運用や商品登録の作業を継続的に外注したい場合は、EC運用代行・商品登録のお仕事のように、運用フェーズの業務を切り出して依頼する方法もあります。制作と運用を分けて考えることで、コストを最適化できるケースも少なくありません。
チェックポイント5:集客・マーケティングまで見据えているか
これが最も見落とされがちで、最も重要なポイントです。ECサイトは、作っただけでは誰も来ません。実店舗のように「通りかかった人が入る」ことがないため、SEO対策、広告運用、SNS集客、メルマガといった「集客の設計」が売上を左右します。デザインがどれだけ美しくても、集客導線が設計されていなければ売上はゼロのままです。制作会社を選ぶ際は、「作った後、どうやってお客さんを集めるか」まで提案してくれる相手かを確認しましょう。SEOに配慮したサイト構造になっているか、商品ページのタイトルやディスクリプションを最適化してくれるか、といった点も重要です。
集客のうちSNS運用を外部に任せたい場合、制作会社に一括で頼むと割高になることがあります。そういうときは、SNS運用代行 おすすめ会社を徹底比較!選び方と費用相場、メリット・デメリットで解説されているように、集客だけを別の専門家に切り出して依頼する選択肢も検討してみてください。制作・運用・集客をすべて同じ会社に丸投げするより、得意な相手に分けて頼んだほうがトータルコストを抑えられることがあります。
チェックポイント6:見積もりの透明性と担当者の対応
見積書が「一式」でざっくりまとめられている会社は要注意です。「デザイン一式 100万円」ではなく、「トップページデザイン◯円、商品ページテンプレート◯円、決済連携◯円」と、項目ごとに内訳が明記されている会社を選びましょう。内訳が細かいほど、どこにお金がかかっているかが分かり、予算調整の相談もしやすくなります。また、問い合わせへの返信スピードや説明の分かりやすさは、そのままプロジェクト中のやり取りの質を反映します。最初の商談で「この人となら気持ちよく進められそうか」という感覚も、案外あなどれない判断材料です。
チェックポイント7:契約書と支払い条件を確認する
これ、知らない人が本当に多いんですが、Web制作の発注では契約書を交わさずに口約束で進めてしまうケースが少なくありません。つまり、後でトラブルになったときに「言った・言わない」の水掛け論になる、ということです。必ず業務委託契約書を交わし、業務範囲・納期・報酬・支払い時期・修正回数・著作権の帰属を明文化してください。
ここで一つ、発注する側として知っておいてほしい法律の話を。2024年に施行されたフリーランス保護新法(正式名称:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)では、発注者側にいくつかの義務が課されています。たとえば、業務内容や報酬額などの取引条件を書面またはメール等で明示する義務、そして成果物を受領してから原則60日以内に報酬を支払う義務です。つまり、フリーランスに直接発注する場合、発注者であるあなたにも守るべきルールがあるということ。「イメージと違うから払わない」といった一方的な支払い拒否は、この法律で明確に禁止されています。※契約内容に不安がある場合や、高額なフルスクラッチ案件では、契約書のリーガルチェックを弁護士や行政書士に相談することをおすすめします。
発注する側として、私自身が経験した失敗と気付き
ここで、私自身が発注する立場で経験した失敗を正直に共有させてください。以前、事務所のサイトをリニューアルする際、複数の制作会社から見積もりを取りました。恥ずかしい話ですが、当時の私は業務範囲の言語化が甘く、「おしゃれな感じで」という曖昧な要望のまま発注してしまったんです。結果、上がってきたデザインは確かにおしゃれでしたが、私が本当に伝えたかった「相談のハードルを下げる安心感」とはかけ離れていました。修正を重ねるうちに追加費用がかさみ、当初30万円の予定が最終的に50万円近くまで膨らんでしまいました。
この経験から学んだのは、「見た目」で会社を選ぶのではなく、「こちらの言語化を助けてくれるか」で選ぶべきだということ。優秀な制作者は、こちらが曖昧なことを言っても「それはつまり、こういう目的でこういう人に届けたいということですか」と、要件を一緒に整理してくれます。逆に、こちらの言うことをそのまま形にするだけの相手だと、発注者側の言語化能力に成果物の質が丸ごと依存してしまう。安さや実績数だけでなく、「対話の質」を見極めることが、結局は失敗しない一番の近道でした。
もう一つ気付いたのは、大手の制作会社に一括で頼むと、窓口の営業担当と実際に手を動かすデザイナーの間で伝言ゲームが発生し、こちらの意図が薄まりやすいということ。フリーランスや小規模チームに直接依頼すると、作る本人と直接話せるぶん、細かいニュアンスが伝わりやすく、修正のスピードも早い。もちろん相手のスキルを見極める目は必要ですが、この「直接話せる」というのは、想像以上に大きなメリットでした。
仲介会社経由と、フリーランスへの直接依頼のコスト差
外注先を選ぶうえで、多くの発注者が見落としているのが「中間マージン」の存在です。制作会社や代理店にECサイト制作を依頼すると、その金額の中には、実際に手を動かす制作者への報酬に加えて、会社の営業コスト・管理コスト・利益が上乗せされています。これは決して悪いことではなく、品質保証やプロジェクト管理、トラブル時の窓口といった付加価値の対価です。しかし、その分だけ発注者が支払う総額は高くなります。
一方、フリーランスやフリーのデザイナー・エンジニアに直接依頼すれば、この中間マージンがない分、同じ成果物でもコストを抑えられる可能性があります。たとえば、制作会社経由だと150万円の案件が、同等スキルのフリーランスに直接依頼すると80万円〜100万円程度で収まる、というのはよくある話です。特に、業務範囲が明確で、こちら側にディレクション能力がある場合は、直接依頼のコストメリットが大きくなります。
もちろん、直接依頼にはリスクもあります。相手のスキルや信頼性を自分で見極める必要があり、大規模プロジェクトだと進行管理を発注者側が担う負担も生じます。しかし、「デザインだけ」「コーディングだけ」「商品登録だけ」といった切り出しやすい業務であれば、直接依頼は非常に合理的です。実際、LP制作・HTML/CSSコーディングのお仕事のように、業務を細かく切り出して専門家に直接発注する動きは、コスト意識の高い事業者の間で広がっています。手数料を抜く中間業者を挟まず、必要な業務を必要な人に直接頼む。この発想を持っておくと、外注コストの最適化の幅が大きく広がります。
こうした直接依頼を仲介する仕組みとして、ECサイト制作・運用・画像制作のお仕事のように、発注者とフリーランスをつなぐマッチングサービスがあります。中間マージンを最小限に抑えた形で専門家と直接つながれるため、予算を抑えつつ質の高い相手を探したい発注者にとって、有力な選択肢のひとつになります。
ECサイト制作の依頼から公開までの流れ
初めてEC制作を外注する方のために、依頼から公開までの一般的な流れを整理しておきます。全体像を把握しておくと、各社への問い合わせや商談がスムーズになります。
ステップ1:要件整理と業務範囲の言語化
最初にやるべきは、外注先を探すことではなく、「自社が何をやってほしいか」を言語化することです。扱う商品数、目標とする月商、必要な機能(定期購入・会員機能・ポイント制度など)、公開希望時期、予算の上限、そして「制作だけ」なのか「運用・集客まで」なのかの範囲。ここを紙に書き出しておくだけで、各社への説明が一貫し、見積もりの比較もしやすくなります。私の失敗談でも触れたとおり、この工程を飛ばすと後で必ず痛い目を見ます。
ステップ2:複数社への相見積もりとヒアリング
要件が固まったら、3〜4社に相見積もりを取ります。1社だけだと金額が適正か判断できないため、必ず複数社を比較してください。ただし、単に金額を並べるのではなく、「同じ要件を伝えて、どんな提案が返ってくるか」を見ることが重要です。提案の質、こちらの課題への理解度、コミュニケーションの取りやすさ。金額だけでなく、この総合力で判断しましょう。
ステップ3:契約と要件定義書の作成
依頼先を決めたら、業務委託契約書を交わし、要件定義書を作成します。ここで業務範囲・納期・報酬・修正回数・著作権の帰属を明文化します。フリーランス保護新法の観点からも、取引条件を書面で明示することは発注者の義務です。曖昧なまま進めず、双方が合意した内容を必ず文書に残してください。
ステップ4:デザイン・構築・テスト
要件定義に基づいて、デザイン制作、システム構築、コーディングが進みます。この間、途中段階のデザイン確認(ワイヤーフレームやデザインカンプ)のタイミングで、こちらの意図とずれていないかをこまめにチェックすることが大切です。最後にまとめて確認しようとすると、修正範囲が大きくなり追加費用の原因になります。公開前には、決済テスト、スマホ表示の確認、注文フローのテストを必ず実施しましょう。
ステップ5:公開と運用開始
テストが完了したら公開です。ただし、繰り返しになりますが、公開はゴールではなくスタート。公開後の集客施策、商品の追加、効果測定と改善のサイクルをどう回すかを、あらかじめ計画しておきましょう。この運用フェーズを自社で担うのか、外注し続けるのかで、必要な体制も変わってきます。
運営者の視点から見た、外注先選びで本当に効くこと
フリーランスと在宅ワークの市場を20年以上見てきた立場から、一つお伝えしたいことがあります。制作会社選びで長期的にうまくいっている発注者は、共通して「単発の発注」ではなく「関係づくり」に時間を使っています。つまり、一度きりの安い相手を探し続けるのではなく、「この人に任せると楽だ」と思える相手を見つけて、継続的に付き合っているんです。
なぜこれが効くのか。ECサイトは公開後も、商品追加、キャンペーン、システム更新と、無限に作業が発生します。そのたびにゼロから相手を探して、自社の事情を一から説明するのは、想像以上にコストがかかります。自社の商材や方針を理解してくれている相手なら、少ない指示で意図を汲んでくれるため、結果的にトータルの外注コストも品質も安定するのです。運営者として数多くの発注・受注の現場を見てきた実感として、「安い相手を渡り歩く人」より「信頼できる相手と長く組む人」のほうが、最終的に事業を伸ばしています。
もう一つ、中間マージンについての観察を。仲介を挟まない直接取引は、単に「安くなる」という金額の話にとどまりません。同じ予算なら、発注者はより多くの作業を頼めるし、受け手であるフリーランスは手数料0%で手取りが厚くなる。この「双方が得をする」構造が生まれると、受け手のモチベーションが上がり、結果として発注者に返ってくる仕事の質も上がる、という好循環が起きます。20年見てきて確信しているのは、コストを削るためだけの直接取引より、「お互いが気持ちよく続けられる」ための直接取引のほうが、長い目で見て圧倒的にワークするということです。額面の安さだけでなく、手取りが厚くなることで相手が本気で応えてくれる。この質的なメリットこそ、直接取引の本当の価値だと考えています。
こうした信頼関係を築ける相手を見つける手段として、業務を細かく切り出して個人の専門家に直接依頼できる仕組みは、これから外注を始める発注者にとって強力な武器になります。デザイン、コーディング、商品登録、運用、集客。それぞれの工程で「この人だ」と思える相手を見つけ、少しずつ関係を育てていく。遠回りに見えて、これが失敗しないECサイト制作会社選びの、最も確実な道筋だと私は考えています。法律はあなたの味方ですし、良い相手との出会いも、正しい知識と準備があってこそ引き寄せられるものです。
よくある質問
Q. ECサイト制作の費用相場はどのくらいですか?
構築方法で大きく変わります。ShopifyやBASEなどのASP型を制作会社に依頼する場合は30万〜200万円程度、EC-CUBEなどのパッケージ型は100万〜500万円程度、フルスクラッチは500万円以上が目安です。初期費用だけでなく、保守運用費や商品登録費などの隠れコストも含め、公開後1年間の総額で比較することが大切です。
Q. 制作会社とフリーランスへの直接依頼、どちらが安いですか?
一般的に、フリーランスへの直接依頼のほうが中間マージンがない分コストを抑えられます。制作会社経由で150万円の案件が、同等スキルのフリーランスへの直接依頼だと80万〜100万円程度に収まることもあります。ただし進行管理や品質の見極めを発注者側が担う必要があるため、業務範囲が明確な案件ほど直接依頼のメリットが大きくなります。
Q. ECサイト制作会社を選ぶとき、最も重要なポイントは何ですか?
「集客まで見据えているか」です。ECサイトは作っただけでは誰も来ないため、SEOや広告、SNSなどの集客設計が売上を左右します。加えて、EC構築の実績があるか、業務範囲が明確か、公開後の運用サポートがあるかも重要です。デザインの見た目や金額の安さだけで選ぶと、公開後に売れずに後悔するケースが多くなります。
Q. 初めてEC制作を外注する際、契約で気をつけることは?
必ず業務委託契約書を交わし、業務範囲・納期・報酬・修正回数・著作権の帰属を明文化してください。口約束は「言った・言わない」のトラブルの原因になります。2024年施行のフリーランス保護新法では、発注者に取引条件の書面明示義務と受領後60日以内の報酬支払い義務が課されているため、フリーランスへ直接発注する場合はこれらのルールも押さえておきましょう。
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監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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