ダイビングインストラクターがログ付け講座を教材化する|閑散期の収入づくり 2026

中西 直美
中西 直美
ダイビングインストラクターがログ付け講座を教材化する|閑散期の収入づくり 2026

この記事のポイント

  • ダイビング講座を教材化する方法を
  • ログ付け講座を軸に解説します
  • 教材フォーマットの選び方

「オフシーズンになると、教える相手がいなくなる」。ダイビングインストラクターの方からこういうご相談を受けることが、実はよくあります。夏は予約が取れないほど忙しいのに、冬になると収入がぱたりと止まる。そんな波のある働き方の中で、「これまで積み上げてきたログ付け講座のノウハウを、教材という形に残せないだろうか」と考える方が増えています。この記事では、ダイビング講座を教材化する具体的な方法を、閑散期の収入づくりという視点から丁寧にお話ししていきます。

ダイビング業界で「教材化」が注目される理由(マクロ視点)

ダイビング業界は、もともと季節性がとても強い業界です。海況や水温に左右されるため、繁忙期と閑散期の売上差が大きく、多くのショップやインストラクターが「この時期だけで年間収入を確保する」という綱渡りのような働き方を続けてきました。

一方で、ここ数年の大きな変化として、知識の切り売りを「一度作れば繰り返し販売できる資産」に変える動きが、あらゆる業界で広がっています。オンライン講座市場は世界的に成長を続けており、経済産業省もEC・デジタルコンテンツ分野の市場拡大を継続的に注視しています。ダイビングという体験型のスキルであっても、座学部分やログ付けの考え方といった「知識の部分」は、動画やテキスト教材として切り出すことが十分に可能です。

ダイビング・プロ・コース用教材は、インストラクターやダイブマスターを目指す人が学科知識を体系的に習得するために整備されています。 出典: padi.co.jp

この引用からもわかる通り、ダイビング業界にはもともと「教材を使って知識を伝える」という文化が根付いています。プロコースの学科講習では、専用のテキストやスレートを使い、受講生が自分のペースで理解を深められるように設計されています。この考え方を、インストラクター個人が「自分の講座」として教材化することは、決して突飛な発想ではありません。むしろ、業界の中にすでにある型を、個人の資産として応用しているだけとも言えます。

実際、フリーランスとして独立された方の中には、「一つのスキルを複数の収入源に分解する」という発想を持つ方が増えています。これはダイビングに限った話ではありません。動画で技術を教える仕事全般に共通する流れで、映像講座・レッスンのお仕事のように、対面指導と収録型コンテンツを組み合わせて収入源を複線化する働き方は、他の分野の講師業でも広がっています。

ログ付け講座を教材にするとはどういうことか

ログブックとログ付け講座の役割

ダイビングにおけるログブックは、単なる記録用紙ではありません。潜水本数、水深、水温、使用した器材、見た生物、バディの名前など、一本一本の潜水経験を積み重ねて記録していくものです。この記録は、次のダイビングを安全に計画するための重要な資料であると同時に、ステップアップコースを申し込む際の証明資料にもなります。

しかし、実際のところ、多くのダイバーが「何をどう書けばいいのかわからない」という悩みを抱えています。特にオープンウォーターを取得したばかりの初心者は、ログの書き方を体系的に教わる機会が少なく、なんとなく空欄が多いまま提出してしまうケースも珍しくありません。ここに、インストラクターが持つ「正しいログ付けの指導ノウハウ」を教材化する価値が生まれます。

ログ付け講座では、単に書き方を教えるだけでなく、次のような内容を扱うことが一般的です。潜水計画とログの整合性の取り方、生物観察の記録方法、器材トラブルやヒヤリハットの記録の仕方、ステップアップコース申請時に評価されやすい記載の仕方。これらは対面でなくても、動画やPDF資料、チェックリストといった形式で十分に伝えられる内容です。

教材化することで生まれる収入源

教材化のメリットは、大きく分けて3つあります。

一つ目は、対面での指導時間に縛られない収入が作れることです。動画教材やPDFテキストは、一度制作してしまえば、閑散期でも購入され続ける可能性があります。二つ目は、既存の受講生へのアップセルになることです。オープンウォーターコースを卒業した生徒に、ログ付け講座の教材を案内することで、追加の学びの機会を提供しながら収益化できます。三つ目は、対面では出会えなかった遠方のダイバーにもリーチできることです。教材はオンラインで販売できるため、自分のショップに来られない層にも知識を届けられます。

季節性の高い仕事において、この「作ってしまえば繰り返し売れる」という構造は非常に重要です。夏の繁忙期に体を動かして稼ぐ仕事と、冬の閑散期に知識を切り売りする仕事を組み合わせることで、年間を通じた収入の波を小さくできます。

教材化の具体的な手順

ステップ1:講座内容の棚卸し

まず最初にやるべきことは、これまで自分が対面で教えてきた内容を、すべて書き出してみることです。「どんな質問をよく受けるか」「初心者がつまずくポイントはどこか」「口頭で毎回同じ説明をしている箇所はどこか」を洗い出すと、教材化すべき部分が自然と見えてきます。

ログ付け講座であれば、「潜水計画の立て方」「記録すべき項目とその理由」「生物図鑑の活用方法」「ステップアップに向けた記録のコツ」といった単位に分解できます。この棚卸し作業は、一見地味ですが、教材の骨組みを決める最も重要な工程です。焦らず、最低でも数日かけてじっくり取り組むことをおすすめします。

ステップ2:教材フォーマットの選定

教材の形式には、いくつかの選択肢があります。動画形式は、実際にログブックへ記入する様子を見せられるため、初心者にとって理解しやすい形式です。PDFテキストは、後から見返しやすく、印刷して手元に置いておける利便性があります。チェックリスト形式は、ダイビング前後にサッと確認できる実用性の高い教材になります。

多くの場合、これらを組み合わせたパッケージにすることで、教材としての完成度が高まります。例えば、基本的な考え方を解説する動画と、実際の記入例をまとめたPDF、そして毎回のダイビングで使えるチェックリストをセットにする、といった形です。

制作にあたっては、動画編集や資料デザインといった専門スキルが必要になる場面もあります。この部分を自分だけで抱え込まず、外部のクリエイターに部分的に依頼することも選択肢の一つです。例えば作曲・編曲・効果音・ジングルのお仕事のように、教材動画のBGMや効果音を専門家に発注することで、教材全体のクオリティを底上げできます。

ステップ3:価格設定と販売経路

価格設定は、教材化における悩みどころの一つです。相場観としては、単発のPDF資料であれば数百円から数千円程度、動画とセットになった総合教材であれば数千円から1万円台まで、内容のボリュームによって幅があります。重要なのは、対面講習の単価と比べて「割安に感じられるが、制作側にとっても十分な利益が出る」バランスを見つけることです。

販売経路としては、自身のショップのウェブサイトで直接販売する方法、既存のオンライン講座プラットフォームに出品する方法、SNSでの告知から個別販売につなげる方法などがあります。それぞれ手数料体系や集客力が異なるため、複数の経路を併用しながら、どこからの反応が良いかを検証していくのが現実的な進め方です。

こうした知識の教材化という発想自体は、ダイビング業界に限った話ではありません。同じ考え方で成功している事例として、Udemy講座作成で副業|知識を収益化する始め方と稼ぐコツ【2026年版】では、専門知識を持つ個人が動画講座を作って販売する流れが具体的に紹介されています。またオンラインコース作成の副業|Udemy・Skillshareで講座を売る方法でも、プラットフォームごとの特徴や販売のコツが整理されており、教材化を検討する際の参考になります。

ステップ4:法令・表示面の整備

教材を有償で販売する場合、いくつかの法令面の整備が必要になります。特定商取引法に基づく表示、返金や返品に関するポリシーの明記、著作権の帰属の明確化などです。特にダイビングという安全に関わる分野では、「教材の内容はあくまで補助的なものであり、実際の潜水判断は個々のダイバーの責任で行う」といった免責事項を明記しておくことも大切です。

こうした表示や規約の整備に不安がある場合は、専門家に一度確認してもらうことをおすすめします。国税庁や中小企業庁などの公的機関の情報も参考になりますが、個別の契約書や利用規約については、行政書士や弁護士に相談する方が確実です。

PADIライセンスコースでは知識開発で様々な教材を使用します。オープンウォーターダイバーコース、PADIスクーバダイバーコース、アドバンスコース、レスキューダイバーコース、エマージェンシーファーストレスポンス用教材が用意されています。 出典: i-mc.co.jp

このように、既存のライセンスコースにおいても、段階ごとに整備された教材が使われています。個人が教材化する際も、こうした既存の型を参考にしながら、自分なりの体系に落とし込んでいくと進めやすくなります。

必要なスキルと準備

教材化にあたって求められるスキルは、意外と幅広いものです。まず、伝えたい内容を言語化・構造化する力が必要です。対面では表情や雰囲気で伝わっていたニュアンスを、文章や動画の構成だけで伝える工夫が求められます。

次に、簡単な動画編集や資料作成のスキルがあると、外注コストを抑えながら教材の質を高められます。近年は編集ソフトも直感的に使えるものが増えており、専門知識がなくても基本的な編集は独学で身につけられます。それでも難しいと感じる場合は、外部のクリエイターに依頼するのも一つの方法です。

また、教材の告知や販売にあたっては、簡単なマーケティングの知識も役立ちます。SNSでの発信、検索エンジンでの見つかりやすさ、購入者の声を集めて次の教材に活かす仕組みづくりなど、これらは専門的すぎる必要はありませんが、基礎知識があると成果につながりやすくなります。こうした周辺スキルを外部に頼る場合は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事のような分野で活動している専門家に、部分的な支援を依頼するという選択肢もあります。

教材制作を専門的に担う人材の相場感を知りたい場合、ソフトウェア作成者の年収・単価相場著述家,記者,編集者の年収・単価相場といった年収データベースを参照すると、外注する際の予算感を掴む参考になります。教材制作の一部を外注する際は、こうした相場を踏まえて依頼内容を決めると、無理のない予算配分ができます。

閑散期の収入源としての位置づけ

ダイビングインストラクターの働き方を考えるとき、教材化はあくまで「柱の一つ」として捉えるのが現実的です。教材だけで生計を立てようとするのではなく、繁忙期の対面指導、閑散期の教材販売、そして既存生徒への継続的なフォローという、複数の収入源を組み合わせる発想が大切です。

閑散期は、時間に余裕が生まれやすい時期でもあります。この時間を使って教材の制作や改訂に取り組むことで、翌シーズンに向けた準備にもなります。実際に、冬場にログ付け講座の動画教材を作り込み、翌春の繁忙期に既存生徒へ案内したところ、想定より多くの申し込みがあったという声も聞きます。もちろん、こうした成果は個々の状況によって差がありますが、閑散期を「何もできない期間」ではなく「資産づくりの期間」と捉え直すことで、心理的な焦りも和らぐという相談を受けることがよくあります。

私自身、フリーランスとして独立した当初、繁忙期と閑散期の収入差に強い不安を感じたことがあります。会社員時代は毎月決まった給与がありましたが、独立してからは「今月は良くても来月はどうなるかわからない」という状態が続き、精神的に落ち着かない時期がありました。その経験から言えるのは、収入の柱を複数持つことは、単にお金の問題だけでなく、心の安定にも直結するということです。教材化は、まさにこの「複数の柱を持つ」ための現実的な手段の一つだと感じています。

教材化のリスクと注意点

教材化には良い面ばかりでなく、注意すべき点もあります。まず、制作には相応の時間がかかります。動画の撮影・編集、テキストの執筆、構成の見直しなど、思っていたより工数がかさむことは珍しくありません。「隙間時間でサクッと作れる」という期待を持ちすぎると、途中で挫折してしまう可能性があります。

また、内容の陳腐化にも注意が必要です。ダイビングの器材やルールは少しずつ変わっていくため、一度作った教材をそのまま放置すると、情報が古くなってしまいます。定期的な見直しと更新の手間も、教材化を続ける上で織り込んでおくべきコストです。

著作権やコンテンツの流用リスクも無視できません。教材が違法に転載・共有されるリスクはゼロにはできませんが、購入者限定の配信システムを使う、透かしを入れるなど、一定の対策を講じることは可能です。完璧な対策を求めすぎず、リスクを許容範囲に抑えるという現実的なスタンスで臨むのが良いでしょう。

さらに、安全に関わる情報を扱う以上、誤った情報や古い基準を伝えてしまうことへの責任も伴います。定期的に自分自身の知識をアップデートし、業界団体が発表する最新のガイドラインを確認する習慣を持つことが欠かせません。

こうしたリスクへの向き合い方は、実は他の分野の副業とも共通しています。例えば、集中力を保ちながらコツコツと制作を進める必要がある点は、あらゆる在宅ワークに通じる課題です。在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックでは、限られた時間の中で作業効率を高める工夫が紹介されており、教材制作のような地道な作業にも応用できます。

独自データ考察:業務委託・直接契約という選択肢

長くフリーランス・在宅ワーク市場を見てきた立場から言えば、教材化に取り組むインストラクターの多くは、「自分のスキルを、誰かに中間マージンを抜かれずに直接届けたい」という思いを持っています。これはダイビング業界に限らず、専門知識を持つ個人事業主に共通する感覚です。

運営者として見てきた限りでは、長く安定して収入を得ている個人ほど、単発の取引で終わらせず「この人にまた頼みたい」と思ってもらえる関係づくりに時間をかけています。教材化も同じで、一度売って終わりではなく、購入者からのフィードバックを次の教材や講座内容に反映させることで、リピートや口コミにつながっていきます。仲介手数料0%を掲げる直接契約型のマッチングサービスが増えている背景には、こうした「額面ではなく手取りの厚さで信頼関係を築きたい」という双方のニーズがあります。同じ予算でも、中間マージンが乗らない直接取引であれば、依頼する側はより多くの発注ができ、受ける側の手取りは厚くなります。この双方が得をする構造は、教材制作を外注する場面でも、教材を販売する場面でも、意識しておく価値のある視点です。

教材制作を外部の専門人材に一部委託する際も、資格を持つ相手かどうかは一つの判断材料になります。制作サイドの体制を整えるうえで、例えばビジネス文書検定のような資格を持つライターに、教材のテキスト部分の校正や構成を依頼するという方法もあります。文章のわかりやすさは、初心者向けの教材において特に重要な要素です。

やや意外に思われるかもしれませんが、教材のオンライン配信システムを自前で構築したいと考える場合、システム面の知見を持つ人材が必要になることもあります。そうした場面ではCCNA(シスコ技術者認定)のようなネットワーク関連資格を持つ技術者に、配信環境の相談をするという選択肢も視野に入ります。専門分野の異なる人材と協働することで、ダイビングという一つの専門性を、教材という別の形に変換していく作業がより現実的になります。

閑散期の収入づくりという視点で見ると、教材化は決して奇抜な発想ではなく、業界内にすでにある「教える文化」を、個人の資産として組み立て直す作業だと言えます。焦らず、まずは自分の講座内容を棚卸しするところから始めてみてください。

よくある質問

Q. ダイビング講座を教材化するのに、特別な資格は必要ですか?

教材化そのものに専用の資格は不要です。ただしインストラクター資格の範囲を超える内容(医療的判断など)を教材に含める場合は、専門家への確認や免責表示が必要になります。

Q. 教材の価格はどのくらいが相場ですか?

単発のPDF資料は数百円から数千円、動画とセットの総合教材は数千円から1万円台が目安です。対面講習より割安に感じられる価格設定が受け入れられやすい傾向があります。

Q. 動画編集の経験がなくても教材は作れますか?

基本的な編集は直感的なソフトで独学でも対応できますが、質を高めたい場合は編集や資料デザインを外部のクリエイターに部分的に依頼する方法もあります。

Q. 教材化と対面指導、どちらを優先すべきですか?

どちらか一方に絞る必要はありません。繁忙期は対面指導、閑散期は教材制作というように組み合わせることで、年間を通じた収入の波を小さくできます。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年2月20日最終更新:2026年8月29日
中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美@SOHO編集部

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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