未経験から障害者雇用でフルリモートを探す方法|求人の見分け方と準備


この記事のポイント
- ✓未経験から障害者雇用でフルリモートの仕事を探す方法を整理しました
- ✓完全在宅と在宅可の違い
- ✓応募書類での配慮事項の書き方
まず、安心してください。未経験で、障害者雇用枠で、しかもフルリモート。この3つを同時に満たす仕事は確かに存在します。数が多いとは言いませんが、探し方を間違えていて見つけられていないだけの方が、私の見てきた限りかなりの割合を占めています。
ただ、正直に書いておきたいこともあります。求人票に「リモート可」と書いてあっても、入社後ずっと在宅で働けるとは限りません。ここを確認しないまま応募すると、内定をもらってから条件が違うと気づくことになります。この記事では、皆さんが実際に動けるように、求人の読み分け方から応募書類の書き方、在宅で働くために整えておくものまで順番に書いていきます。良い話だけでなく、厳しい部分も同じ重さで書きます。
フルリモートの障害者雇用は、どのくらいあるのか
はじめに、市場の全体像を押さえておきます。障害者雇用促進法では、一定規模以上の企業に対して、従業員数に応じた割合で障害のある方を雇用することが義務づけられています。この法定雇用率は段階的に引き上げられてきており、民間企業では2.7%まで上がりました。数字が上がるということは、企業側が採用の枠を増やさなければならないという意味です。
もうひとつ、2024年4月から、民間の事業者に対して合理的配慮の提供が法律上の義務になりました。それまでは努力義務だったものが義務に変わったわけです。在宅勤務を認めるかどうかも、この配慮の一環として検討される対象になります。つまり、制度の方向は在宅を認めやすい側に動いています。
とはいえ、求人の実数で見ると、完全在宅の枠はまだ限られています。企業側の本音としては、初めて障害者雇用で人を採る部署は、最初の数か月は顔を合わせて業務を教えたいと考えることが多いからです。ここで「だから無理だ」と結論を出す必要はありません。実際に求人を見ていくと、完全在宅で募集している職種には明確な偏りがあり、その偏りを知っていれば探す手間は大きく減ります。
【仕事内容】基本情報 <職種>採用人事<サービス/施設>フルリモート お仕事内容 100%完全在宅です!...【経験・資格】障害者手帳(身体手帳、精神手帳、療育手帳)を取得済みの方 障害者採用実績あり 出典: 求人ボックス
この求人票のように、完全在宅と手帳の所持を明記している募集は実際にあります。探し先を絞れば、こういう案件に当たる確率は上がります。
「フルリモート」と「在宅可」は、まったく別の条件
ここが、この記事で一番お伝えしたい部分です。求人票に出てくる在宅関連の表現には、少なくとも4つの段階があります。
1つめは「完全在宅」「フルリモート」「出社なし」と明記されているもの。これは入社後も基本的に自宅で働く前提です。2つめは「研修後リモート可」。入社から数か月は出社して、その後に在宅へ移る形です。3つめは「リモート可」「在宅勤務OK」だけが書かれているもの。これは週の一部が在宅という意味である場合が多く、確認しないと判断できません。4つめは「テレワーク応相談」。これは現時点で制度が固まっていないという意味に近く、実質的には出社前提だと読んだほうが安全です。
皆さんが探しているのが1つめなら、検索の段階で絞り込みの言葉を変えるべきです。「リモート」ではなく「完全在宅」「フルリモート」「在宅勤務のみ」といった表現で探します。それでも、求人票の本文まで読んで、出社の頻度について書かれている箇所を確認する必要があります。
[在宅勤務・リモートワークOK][2年連続売上UP][中途入社50%以上]...研修後はフルリモートもOKです。『推し活手当』も活用してプライベートも充実。先輩の8割以上が未経験から活躍中です! 出典: 求人ボックス
この例は2つめの型です。「研修後はフルリモートもOK」という書き方には、条件が2つ隠れています。研修期間がどれだけあるのか、そして「もOK」という表現が示す、選べる余地の範囲です。悪い求人だという話ではありません。ただ、通勤が難しい事情がある方にとっては、研修期間の扱いが応募の可否を決めます。面接ではなく、応募前の問い合わせ段階で聞いてよい項目です。
未経験から入りやすい職種は、この4つに集まる
完全在宅で未経験を受け入れている職種は、業務の性質上、はっきりした偏りがあります。
1つめは事務とデータ入力です。請求書の処理、名簿の整備、アンケートの集計といった業務は、手順が決まっており、成果物が画面の中で完結します。在宅と相性がよく、未経験の募集も多い領域です。ただし単純作業の比率が高く、賃金の水準は高くありません。ここを入口として、あとで別の業務に手を広げる前提で考えるのが現実的です。
2つめはカスタマーサポートです。メールやチャットでの問い合わせ対応は、通信環境さえ整えば場所を問いません。電話対応が含まれるかどうかで負荷がかなり変わるので、求人票の業務内容を細かく読んでください。声を出す業務が難しい事情があれば、チャットとメールに限定した募集を探します。
3つめは人事や採用の補助です。日程調整、応募者への連絡、資料の整備といった業務が在宅でまとまっています。先ほど引用した求人票も、この分類にあたります。人と関わる仕事ですが、対面ではなく文面での調整が中心になるため、書く作業が苦にならない方には向いています。
4つめは、Webや制作の補助業務です。記事の入力、画像の書き出し、商品情報の登録といった作業から入り、経験を積んで制作そのものに移る道があります。未経験の入口としては、成果物が手元に残るという点で他の3つより有利です。応募のときに見せられるものが作れます。
逆に、未経験かつ完全在宅では入りにくいのは、現場作業を伴う職種と、紙の書類を扱う比率が高い経理の一部です。こちらを狙うと時間だけが過ぎます。
求人の探し先を5つに分けて、全部使う
1か所だけ見て「求人がない」と判断している方が多いので、探し先を整理します。
1つめは、ハローワークの障害者専門窓口です。専門の相談員が配置されており、一般の窓口には出てこない情報を持っている場合があります。在宅勤務を条件に含めて相談すれば、その条件で絞った紹介を受けられます。地方在住で通える企業が少ない方にとっては、在宅前提で全国の求人を見られるかどうかが大きな差になるので、そこを明確に伝えてください。
2つめは、障害者採用に特化した転職支援サービスです。企業側が配慮の内容をあらかじめ登録しているため、在宅可否の情報が整理されています。担当者が企業に条件を確認してくれるので、求人票の曖昧な表現を自分で問い合わせる手間が省けます。
3つめは、一般の求人検索サイトです。手帳の所持を条件にした求人も掲載されており、検索条件でフルリモートと障害者雇用を掛け合わせて探せます。件数は多いので、地域を限定せずに探すのがコツです。在宅なら勤務地の欄に意味がなくなるのに、つい住んでいる県で絞ってしまう方がいます。
4つめは、企業の採用ページを直接見ることです。障害者採用の専用ページを設けている企業は増えており、求人サイトには出さず自社ページだけで募集しているケースがあります。在宅勤務の実績がある企業を数社リストアップして、定期的に見る習慣をつけると当たります。
5つめは、就労移行支援の事業所です。訓練を受けながら就職先を探す仕組みで、在宅での訓練に対応している事業所もあります。すぐに働ける状態でないと感じている方には、この経路が一番無理がありません。
応募書類では、配慮事項を「対策つき」で書く
書類で落ちる原因の多くは、経験の不足ではなく、障害の説明の書き方にあります。ここは工夫の余地が大きい部分です。
やってしまいがちなのは、診断名と症状だけを書いて終わることです。読む側は医療の専門家ではないので、それだけでは何を用意すればよいか判断できません。判断できないものは、採用の側から見るとリスクに見えます。結果として、通るはずの書類が落ちます。
書くべきは3点セットです。どういう状況で困りやすいか。それに対して自分がすでにやっている工夫。そのうえで会社にお願いしたい配慮。この順番で書くと、読む側は自分たちが何をすればよいか分かります。たとえば、長時間の連続作業が難しい場合、90分ごとに10分休む形で作業量を維持している、会議の時間が長引く場合は事前に伝えたい、という書き方になります。
もうひとつ大事なのが、未経験であることの扱いです。職務経験がないからといって、書く材料がないわけではありません。訓練で学んだこと、独学で作ったもの、家族の事業を手伝った経験、こうしたものは全部材料になります。実績を役割と数字で書き分ける具体的な手順は職務経歴書の書き方完全ガイド|転職成功率を上げるコツ【2026年版】にまとまっているので、書き始める前に一度目を通しておくと、白紙で悩む時間が減ります。
私も会社員を辞めてフリーランスになったとき、最初の提案書で自分の経歴をただ並べて出して、まったく反応がありませんでした。相手が知りたいのは経歴ではなく、任せたときに何が起きるかです。この視点の切り替えに気づくまで、ずいぶん遠回りをしました。
オンライン面接では、皆さんの側も確認する
面接は、企業が皆さんを選ぶ場ですが、同時に皆さんが企業を確認する場でもあります。在宅で働く前提なら、確認しておくべき項目がはっきりしています。
まず、出社の頻度と、その例外です。完全在宅と書かれていても、年に数回の全体会議や、健康診断のための出社が発生する場合があります。その頻度と、参加が難しい場合の代替手段を聞いてください。聞いたことで不利になる心配をされる方がいますが、条件を確認する質問で落とす会社なら、入ってから苦労します。
次に、業務の指示がどのように出るかです。在宅では、仕事の切り出し方が曖昧な職場だと手が止まります。誰から、どの手段で、どの粒度で指示が来るのか。日報や進捗の共有をどうしているのか。この運用が固まっている会社は、在宅の受け入れに慣れています。
3つめは、配慮の実績です。すでに在宅で働いている障害のある社員がいるか。いる場合、どのような配慮をしているか。人数を聞き出す必要はなく、運用の事例を1つ聞ければ十分です。制度があるだけの会社と、実際に回している会社は、ここの答え方で分かります。
そして、面接そのものへの配慮も申し出てよい項目です。画面越しの会話が負担になる場合は、カメラをオフにできるか、質問を事前に共有してもらえるか、休憩を挟めるか。合理的配慮は入社後だけの話ではなく、採用の過程も対象です。
在宅で働くために、先に整えておくもの
技術的な準備は、実は企業側がかなり気にしている部分です。ここが整っていると、選考で一段有利になります。
通信環境が最優先です。オンライン会議が途切れる環境では、業務が成立しません。光回線が引けるかどうかを確認し、難しい場合は通信容量に余裕のある回線を用意します。無線が不安定なら、有線で繋ぐ準備をしておいてください。会議中に音声が途切れることが続くと、能力とは無関係に評価が下がります。
作業場所も整えます。机と椅子、それと背景です。常時カメラを使う職場は減りましたが、面接ではまず使います。壁を背にした場所を1か所確保しておくだけで、当日の慌てがなくなります。
パソコンは、貸与される会社が多いので急いで買う必要はありません。ただし、選考の段階で使うものは自分の機器です。文字入力の速度と、表計算ソフトの基本操作は、事前に練習しておく価値があります。事務やデータ入力の職種では、この2つがそのまま業務の速度になります。
ビジネス文書の型も、押さえておくと効きます。在宅では、口頭で補える場面がありません。メール1本の書き方で、話が通じるかどうかが決まります。社内文書や対外文書の基本的な型を体系的に確認したい方にはビジネス文書検定の出題範囲が参考になります。資格を取る必要はなく、範囲を眺めるだけで、敬語と構成の基準が手に入ります。
手帳と支援制度を、使える形に揃えておく
制度の話も押さえておきます。難しい話ではありませんが、知らないまま進めると選択肢が狭まります。
障害者雇用枠で応募するには、原則として障害者手帳が必要です。身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳のいずれかで、企業が法定雇用率の算定に含められるのは手帳を持っている方だからです。診断を受けているが手帳をまだ取っていないという方は、取得の手続きを先に進めてください。申請から交付までには自治体によって差がありますが、1か月以上かかるのが一般的です。応募の途中で待つことになると、タイミングを逃します。
あわせて知っておきたいのが、就労を支える公的な仕組みです。地域の障害者就業・生活支援センターは、就職の相談から就職後の定着まで扱っています。就労移行支援は、訓練を受けながら就職を目指す仕組みで、在宅での訓練に対応している事業所もあります。ジョブコーチの支援は、就職後に職場と本人の間に入って調整してくれる制度です。在宅勤務でこれを使うのは珍しいと思われがちですが、オンラインでの支援に対応している例もあります。
こうした制度の詳しい要件や窓口は、厚生労働省の公式サイトで確認できます。民間のまとめ記事だけを読んで判断すると、制度が改正されている部分を見落とすことがあるので、要件の確認は一次情報でしてください。
それから、企業側に用意されている助成金の存在も知っておくと、交渉の見え方が変わります。障害のある方を雇い入れた企業や、設備や環境を整えた企業に対して、公的な助成の仕組みがあります。在宅勤務のための機器の整備も対象になる場合があります。皆さんが直接申請するものではありませんが、こういう仕組みがあることを知っていると、配慮をお願いすることを過度に遠慮しなくて済みます。
応募から採用までの流れと、期間の目安
進め方の全体像を、期間つきで示します。目安なので、皆さんの状況に合わせて伸ばしてかまいません。
最初の2週間は、準備の期間です。手帳の確認、通信環境の確認、履歴書と職務経歴書の下書き、配慮事項の整理。この4つを終わらせます。書類は一度作れば使い回せるので、ここに時間をかける価値があります。逆に、準備をせずに応募から始めると、1社ごとに書き直すことになり、疲れて続きません。
次の2週間で、探し先を5つとも開きます。ハローワークの障害者専門窓口に相談の予約を入れ、障害者採用に特化した支援サービスに登録し、求人サイトで条件を保存し、気になる企業の採用ページをブックマークする。この段階では応募せず、情報を集めるだけでよいです。市場の相場が分かってから応募したほうが、条件の判断ができます。
1か月目の後半から応募を始めます。件数は、週に2社から3社が現実的なペースです。一度に10社出すと、面接の日程が重なったときに準備が回りません。書類を出した会社は記録しておいて、返信の有無と結果を残してください。落ちた理由が推測できるようになります。
面接は、早ければ応募から2週間ほどで入ります。内定から入社までは、1か月前後を見ておけば足ります。全部を合わせると、準備から入社までで3か月から半年が標準的な幅です。半年を超えても焦る必要はありません。私の周囲でも、1年近くかけて条件の合う会社に入った方が何人もいます。
未経験のまま待たない。半年で作る実務の証拠
未経験という言葉は、皆さんが思っているほど固定されたものではありません。半年あれば、応募のときに見せられるものは作れます。
事務系を狙うなら、表計算ソフトで関数を使った集計表を自分で作ります。架空の売上データを作り、集計して、グラフにするところまでを1枚にまとめる。これだけで、操作ができることの証明になります。文書作成なら、報告書と議事録の様式を自分で作っておきます。
Web系を狙うなら、記事を10本書いて公開するか、簡単なページを1つ作って公開します。公開してあることが重要で、URLを提示できると話が具体的になります。文章の仕事の相場感を知りたい方は著述家,記者,編集者の年収・単価相場を見ておくと、どのくらいの単価で取引されている領域なのかが分かります。目標を決めるときの物差しになります。
それから、技術寄りに進みたい方向けの選択肢も書いておきます。ネットワークの基礎を体系的に学べるCCNA(シスコ技術者認定)は、在宅で受験まで完結でき、学習の記録が資格という形で残ります。難易度は低くありませんが、未経験からIT寄りの職種を狙う場合、書類で目に留まる要素になります。
大事なのは、毎日少しずつでも手を動かした記録が残ることです。応募が続かない期間があっても、記録があれば次の面接で話せます。何もしていない空白の期間は、説明が難しくなります。
入社してからの3か月を、先に設計しておく
採用がゴールではないので、入社後の話も書いておきます。在宅での受け入れで問題が起きるのは、ほとんどが最初の3か月です。
一番多いのが、聞くタイミングを失うという問題です。出社していれば、隣の人に「これどうすればいいですか」と声をかけられます。在宅ではそれができません。チャットで聞くにも、相手が忙しそうだと遠慮してしまい、手が止まったまま1時間が過ぎる。これは能力の話ではなく、環境の話です。
対策は、質問を溜める仕組みを自分で作ることです。分からないことをメモに書き溜めて、1日2回まとめて聞く。この運用を入社初日に自分から提案すると、相手も構えやすくなります。決まった時間に10分だけ話す機会を作ってもらえるなら、それが一番効きます。
次に多いのが、働きすぎです。在宅では通勤がないので、始業前と終業後の境目が消えます。評価されたいという気持ちから、つい時間を延ばしてしまう。これを続けると、3か月目あたりで体調を崩します。私自身、会社を辞めて自宅で働き始めた最初の数か月、気づいたら深夜まで作業していて、翌日の午前がまるごと使えないという日を何度も作りました。作業時間を伸ばすほど、翌日の生産量が落ちるだけでした。終業の時刻を決めて、そこで手を止める。地味ですが、これが一番効く対策です。
3つめは、配慮の内容を入社後に見直す話です。面接のときに伝えた配慮事項が、実際の業務では足りなかったり、逆に不要だったりすることがあります。これは調整してよい項目です。3か月目くらいに、いちど上司と確認の場を持てるよう、入社時に伝えておいてください。最初に決めたことを変えられないと思い込んで、無理を続ける方が一番多いです。
20年この市場を見てきた立場からの観察
ここからは、在宅と業務委託の仕事を長く見てきた運営者としての見方を書きます。
在宅で長く働き続けている方に共通しているのは、作業の速さではなく、状況の共有がうまいという点です。体調に波がある場合でも、今日は集中が続かないので確認作業に回したい、と先に伝えられる人は、周囲が組み替えられます。逆に、抱えたまま黙ってしまうと、周囲は気づけません。運営者として見てきた限りでは、これは障害の有無とは関係なく、在宅で働く全員に共通する分かれ目でした。
もうひとつ、長く続く方ほど、単発の作業をこなすことより、この人に任せると楽だという関係を作ることに時間を使っています。前回の事情を覚えていて、聞かなくても分かってくれる相手に、次も頼みたくなる。この積み上げが、条件交渉よりも確実に仕事の安定につながっています。
構造の話もひとつ。仲介の手数料が乗らない直接の取引では、依頼する側は同じ予算でより多くを頼めて、受ける側は同じ仕事で手取りが厚くなります。手数料0%という条件が効くのは、単価が上がるからではなく、同じ金額のまま双方の余地が広がるからです。20年この市場を見てきた立場から言えば、長く回っている関係はほぼ例外なくこの構造で説明がつきます。中間コストの分だけ依頼の回数が増え、受け手は次の準備に投資できる。この循環があるかどうかが、数年後に残っているかどうかを決めています。
雇用だけが答えではない。業務委託という別の道
最後に、選択肢をもうひとつ書いておきます。障害者雇用枠での就職を探している方に、業務委託の話をすると意外な顔をされるのですが、実際には併走させている方が少なくありません。
雇用と業務委託の違いは、はっきりしています。雇用なら、給与が毎月決まった額で入り、社会保険に入り、有給休暇があります。守られている度合いが高い。かわりに、働く時間と業務の内容は会社が決めます。業務委託は逆で、守りは薄いかわりに、受ける量と時間を自分で決められます。体調の波が大きい方にとっては、この自由度が現実的な意味を持つ場合があります。
おすすめの進め方は、雇用の求人を探しながら、同時に小さな業務委託の仕事を1件受けてみることです。理由は2つあります。ひとつは、実務の経験になるので、雇用の応募のときに書ける材料が増えること。もうひとつは、自分が1日にどれだけ働けるのかを、自分で測れることです。この2つは、家で待っているだけでは絶対に手に入りません。
どういう仕事が在宅で発注されているのかを把握しておくと、狙いが定まります。たとえば業務の効率化を支援する領域の仕事の輪郭はAIコンサル・業務活用支援のお仕事で確認できますし、開発側の相場感はソフトウェア作成者の年収・単価相場にまとまっています。いずれも未経験からすぐに届く領域ではありませんが、事務やサポートから入って数年でここに移った方は実在します。
焦らないでください。未経験から在宅の仕事に就くまでの期間は、人によって数か月から1年以上まで幅があります。大切なのは、探し先を増やすこと、書類の書き方を直すこと、そして手を動かした記録を残すこと。この3つを止めなければ、確率は確実に上がっていきます。
よくある質問
Q. 未経験でも障害者雇用でフルリモートの仕事に就けますか?
就けます。ただし職種の偏りが大きく、事務やデータ入力、チャットとメールでのカスタマーサポート、人事や採用の補助、Web制作の補助といった領域に集まっています。逆に現場作業を伴う職種や紙の書類が多い業務では、未経験かつ完全在宅の募集はほとんど出てきません。
Q. 求人票の「リモート可」は完全在宅という意味ですか?
違う場合が多いです。在宅関連の表現には、完全在宅、研修後リモート可、週の一部が在宅、テレワーク応相談という段階があります。完全在宅を探しているなら、検索の言葉を「フルリモート」「完全在宅」に変え、求人票の本文で出社頻度に触れている箇所を必ず確認してください。
Q. 応募書類に障害のことはどう書けばよいですか?
診断名と症状だけを書くと、読む側が何を用意すればよいか判断できません。どういう状況で困りやすいか、それに対して自分がすでにしている工夫、そのうえで会社にお願いしたい配慮、という3点セットで書きます。対策まで書いてあると、採用側は受け入れの判断ができます。
Q. 在宅で働くために、事前に用意すべきものは何ですか?
最優先は通信環境です。オンライン会議が途切れる回線では業務が成立しないため、有線で繋ぐ準備まで含めて確認してください。次に机と椅子、面接で使える背景の確保です。パソコンは貸与される企業が多いので急いで買う必要はありませんが、文字入力と表計算の基本操作は練習しておくべきです。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
前田 壮一@SOHO編集部
元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身
大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。
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