民法を学べる資格|種類と勉強法


この記事のポイント
- ✓国家資格と民間の検定に分けて整理しました
- ✓行政書士・宅建士・司法書士・ビジネス実務法務検定などで民法がどう問われるか
- ✓2020年からの改正で古い教材に注意すべき点
民法を学べる資格を探している人の多くは、「契約やお金の貸し借り、相続のことを体系的に知りたい」「法律系の資格に挑戦したいが、どれが自分に合うのか分からない」という悩みを持っています。民法は、法律系の資格試験のほとんどで出題される基本の科目で、どの資格を選ぶかによって、問われる深さも勉強にかかる時間も大きく変わります。
この記事では、民法とはどんな法律かを押さえたうえで、民法が出題される主な資格を国家資格と民間の検定に分けて紹介し、目的別の選び方、ここ数年の改正で古い教材に気をつけるべき点、続けやすい勉強法、学んだ知識を仕事に生かす方法までを順に整理します。
民法とはどんな法律か
民法とは、人と人、人と会社の間の、暮らしや取引に関する基本のルールを定めた法律のことです。買い物をする、部屋を借りる、お金を貸す、結婚する、親から財産を受け継ぐ、といった日常の出来事の多くは、民法のルールの上で動いています。条文は誰でもe-Govの法令検索で読める民法の全文で確かめられます。
民法は大きく5つの部分(編)に分かれています。
| 編 | 主な内容 | 身近な例 |
|---|---|---|
| 総則 | 人や法人、契約の有効・無効、時効などの共通のルール | 未成年者が結んだ契約は取り消せるか |
| 物権 | 物に対する権利(所有権、抵当権など) | 家を担保にお金を借りる |
| 債権 | 契約や損害賠償など、人に何かを求める権利 | 売買契約、賃貸借、交通事故の賠償 |
| 親族 | 結婚、離婚、親子、親権など | 離婚したときの子どもの親権 |
| 相続 | 遺産の分け方、遺言など | 親が亡くなったときの遺産分割 |
前の3つは財産に関するルールで「財産法」、後ろの2つは家族に関するルールで「家族法」とまとめて呼ばれます。資格試験では、財産法、特に債権の部分が多く出題される傾向があります。契約に関するトラブルは仕事でも日常でも起こりやすく、実務で必要になる知識だからです。
民法を学ぶと、契約書を読んで「この条項がないと困るのはどちらか」が分かるようになったり、相続や不動産の話で専門家の説明を理解できるようになったりします。法律系の資格を目指さない人にとっても、仕事や生活の中で損をしないための知識として役立つ法律です。
資格試験でよく問われる民法の分野
民法はすべての条文を同じ重さで覚える必要はありません。どの資格でも繰り返し問われる分野があり、そこから押さえると勉強の効率が上がります。代表的な分野を、どんな場面のルールなのかと合わせて紹介します。
まず総則の中では、意思表示と代理、時効がよく出ます。意思表示とは、「この商品を買います」のように、契約を結ぶ意思を相手に示すことです。だまされて契約した、勘違いして契約した、という場合にその契約を取り消せるかどうかが問われます。代理とは、本人に代わって別の人が契約を結ぶ仕組みのことで、代理の権限がない人が勝手に契約した場合に本人が責任を負うかどうかが論点になります。時効は、一定の期間が過ぎると権利を得たり失ったりする仕組みで、お金を請求できる期間がいつまでかという形でよく問われます。
物権の中では、不動産の所有権が誰に移るかと、抵当権がよく出ます。同じ土地を2人に売ってしまった場合に、どちらが所有者になるのかという問題は、登記の仕組みと合わせて理解する必要があります。抵当権とは、お金を借りるときに不動産を担保にする権利のことで、返済が滞ったときに不動産を売って貸したお金を回収できます。住宅ローンの仕組みそのものなので、不動産の資格では特に重視されます。
債権の中では、債務不履行と売買、賃貸借、不法行為が中心です。債務不履行とは、約束した支払いや引き渡しを期限までにしないことで、相手は損害賠償を求めたり契約を解除したりできます。賃貸借は部屋や土地を借りるときのルールで、敷金の返還や修繕の負担がどちらにあるかが問われます。不法行為とは、交通事故のように、契約がない相手に損害を与えたときの賠償のルールです。
家族法の中では、相続がよく出ます。誰が相続人になるか、それぞれの取り分はどれくらいか、遺言がある場合はどうなるかといった問題です。身近な話題であるうえ、計算の問題も出しやすいため、多くの資格で毎年のように問われます。
この4つの編ごとの頻出分野を先に押さえておくと、残りの分野を学ぶときにも、それがどの基本のルールの例外なのかが分かりやすくなります。
民法は最近大きく変わっている。古い教材に注意
民法を学ぶうえで最初に知っておきたいのは、ここ数年で大きな改正が続いていることです。古本や数年前の教材で勉強すると、今は通用しないルールを覚えてしまうおそれがあります。
| 施行日 | 改正の内容 | 主な変更点 |
|---|---|---|
| 2020年4月1日 | 債権に関する規定の見直し | 時効の期間の整理、法定利率、保証、契約不適合責任など |
| 2022年4月1日 | 成年年齢の引き下げ | 成年年齢が20歳から18歳に |
| 2026年4月1日 | 父母の離婚後の子の養育に関する見直し | 親権、養育費、親子交流などのルールの見直し |
2020年の改正について、法務省は次のように説明しています。
民法のうち債権関係の規定(契約等)は、明治29年(1896年)に民法が制定された後、約120年間ほとんど改正がされていませんでした。 今回の改正は、一部の規定を除き、令和2年(2020年)4月1日から施行されます 出典: 法務省 民法の一部を改正する法律(債権法改正)について
約120年ぶりの大きな見直しだったため、それより前の教材とは、契約に関する説明の多くが変わっています。たとえば、売った物に欠陥があったときの売主の責任は、改正前は「瑕疵担保責任」と呼ばれていましたが、改正後は「契約不適合責任」という考え方に変わりました。
2026年4月1日には、離婚した後の子どもの養育に関するルールも変わりました。法務省の案内によると、子の養育に関する父母の責務を明確にし、親権や監護、養育費、親子交流、養子縁組、財産分与などの規定を見直す内容です。家族法の部分を学ぶときは、この改正に対応しているかどうかを教材選びの基準にしてください。
資格試験は、その年度の4月1日時点で施行されている法令をもとに出題されるのが一般的です。たとえば行政書士試験は、試験を実施する年度の4月1日現在で施行されている法令に関して出題すると公表しています。教材は、受験する年度に合わせた最新の版を選ぶことが基本です。
民法が出題される主な資格
民法が出題される資格は、国が認める国家資格と、民間の団体が行う検定や認定試験に分かれます。それぞれで民法がどの程度の比重で問われるかを整理します。
| 資格 | 種類 | 民法の位置づけ | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 司法書士 | 国家資格 | 主要な科目の1つ。深く問われる | 登記や法律手続きの専門職を目指す人 |
| 行政書士 | 国家資格 | 法令等の科目の1つ。択一式と記述式で出題 | 許認可や書類作成の専門職を目指す人 |
| 宅地建物取引士 | 国家資格 | 権利関係の分野として出題 | 不動産の仕事に関わる人 |
| 司法試験・予備試験 | 国家試験 | 民事系の中心科目 | 弁護士・裁判官・検察官を目指す人 |
| ビジネス実務法務検定 | 民間の検定 | 契約や取引の基本として出題 | 会社で契約や取引に関わる人 |
| 民法法務士認定試験 | 民間の認定試験 | 民法そのものが試験の対象 | 民法を集中して学びたい人 |
司法書士
司法書士は、不動産や会社の登記、供託、裁判所に出す書類の作成などを仕事にする専門職です。司法書士法では、試験で問う内容の1つ目に「憲法、民法、商法及び刑法に関する知識」を挙げています。
司法書士試験は、次に掲げる事項について筆記及び口述の方法により行う。 一 憲法、民法、商法及び刑法に関する知識 出典: e-Gov法令検索 司法書士法
登記の仕事は、不動産の所有権や抵当権など、民法の物権の知識が土台になります。そのため司法書士試験では民法が深く問われ、民法を本格的に学びたい人にとって最も深い水準の資格の1つです。その分、合格までに長い勉強時間が必要になる難しい試験でもあります。
行政書士
行政書士は、役所に出す許認可の書類や、契約書などの権利や義務に関する書類を作る専門職です。行政書士試験研究センターの試験の概要では、「行政書士の業務に関し必要な法令等」(出題数46題)として、憲法、行政法、民法、商法、基礎法学から出題するとしています。
令和7年度の合否判定基準では、法令等の科目が択一式と記述式で合計244点、基礎知識の科目が56点の合計300点満点でした。合格の条件は、法令等で122点以上、基礎知識で24点以上、全体で180点以上をすべて満たすことです。記述式は、示された事例を読んで自分の言葉で答えを書く形式で、民法の分野からも問われます。暗記だけでなく、事例に当てはめて考える力が問われます。
令和8年度の試験は11月8日(日)の午後1時から4時までで、受験手数料は10,400円です。年齢や学歴に関係なく誰でも受験できます。令和7年度の試験結果の概要では、受験者数50,163人に対して合格者は7,292人、合格率は14.54%でした。
宅地建物取引士
宅地建物取引士は、不動産の売買や賃貸の取引で、重要事項の説明などを行う資格です。不動産適正取引推進機構の試験の概要では、試験の内容の1つに「土地及び建物についての権利及び権利の変動に関する法令に関すること」を挙げています。一般に「権利関係」と呼ばれる分野で、民法を中心に、借地借家法や区分所有法などが含まれます。
試験は50問の四肢択一式で、毎年10月の第3日曜日に行われます。受験手数料は8,200円で、日本国内に住んでいれば年齢や学歴に関係なく受験できます。民法は不動産の売買や賃貸借、相続の場面を中心に問われるので、身近な事例で考えやすく、法律の勉強が初めての人にも取り組みやすい分野です。
司法試験・予備試験
弁護士や裁判官、検察官になるための司法試験では、民法は民事系の中心となる科目です。法科大学院を修了するか、予備試験に合格すると受験資格が得られます。民法を最も深く学ぶ試験ですが、仕事として法曹を目指す人のための道で、民法の知識を身に付けたいだけの人が最初に選ぶ資格ではありません。
ビジネス実務法務検定
ビジネス実務法務検定は、東京商工会議所が行う民間の検定で、会社の仕事で必要になる法律の知識を問います。契約の結び方や取引のトラブル、会社のルールなど、民法を中心に会社法や労働法などの知識も幅広く扱います。
東京商工会議所の検定のページによると、第60回の2級・3級は2026年10月22日から11月9日までの期間に、インターネットを使った方式などで受験します。1級は2026年12月6日が試験日です。国家資格ほど深くは問われませんが、会社で契約書を扱う人や、法律の勉強が初めての人が全体像をつかむのに向いています。
民法に絞った民間の認定試験
民法だけを対象にした民間の認定試験もあります。たとえば民法法務士認定試験は、一般財団法人全日本情報学習振興協会が行う民間の試験で、民法そのものの理解を確かめる内容です。国家資格のような業務の独占(その資格を持つ人だけができる仕事)はありませんが、民法に絞って学んだ成果を形にしたい人には選択肢になります。受験の方法や費用は、主催団体の公式の案内で確かめてください。
目的別の資格の選び方
どの資格を選ぶかは、民法の知識を何に使いたいかで決まります。目的ごとに整理します。
法律の専門職として独立したい
書類作成や手続きの専門家として独立したいなら、行政書士か司法書士が候補です。行政書士は試験の範囲が比較的広く浅く、許認可の書類作成など独立して仕事を受けやすい資格です。司法書士は試験が難しい分、登記という専門性の高い仕事を担えます。まず行政書士で法律の勉強に慣れ、その知識を土台に司法書士を目指す人もいます。
不動産の仕事に生かしたい
不動産の会社で働いている、またはこれから働きたいなら、宅地建物取引士が最も直接的に役立ちます。不動産の取引の場面に絞って民法を学べるので、学んだことを仕事ですぐに使えます。宅地建物取引士の資格を持つ人でなければ担当できない重要事項の説明があるため、不動産の会社では取得を求められることが多い資格です。
会社の仕事に生かしたい
営業や総務、経理などで契約書を扱う機会があるなら、ビジネス実務法務検定から始めるのがおすすめです。民法を中心に、会社の仕事で必要な法律を広く学べます。3級で基本を押さえ、2級で契約の実務に踏み込む、という段階を踏めます。
教養として民法を知りたい
資格を仕事に使う予定はないけれど、相続や契約のことを知っておきたいという人は、ビジネス実務法務検定の3級や、民法に絞った民間の認定試験が手ごろです。試験の日程という締め切りがあることで、勉強を続けやすくなります。
複数の資格を順に目指す
民法は多くの資格で共通して出題されるので、1つの資格の勉強で身に付けた知識を、次の資格でも生かせます。たとえば宅地建物取引士で不動産の取引にかかわる民法を学んだ人が、その知識を土台に行政書士へ進み、さらに登記の専門家を目指して司法書士へ進む、という順番です。ビジネス実務法務検定の3級で法律の勉強に慣れてから、国家資格に挑戦する人もいます。
順に目指すときは、前の資格の教材を捨てずに、次の資格で問われる深さとの違いを確かめながら学ぶと効率的です。同じ分野でも、資格によって問われる細かさや出題の形式が違います。前の資格で理解した原則を土台に、新しく出てくる例外や論点を積み上げていく意識を持つと、勉強の重複が減り、知識もより確かなものになります。最初から難しい資格に挑むより、手の届く資格で合格の経験を積むほうが、勉強を続ける力にもつながります。
民法の勉強法
民法は条文の数が多く、範囲も広いため、やみくもに覚えようとすると挫折しやすい科目です。続けやすく、理解が進む勉強法を整理します。
全体像を先につかむ
最初から細かい論点を覚えようとせず、入門書を1冊通して読み、5つの編がそれぞれ何を扱っているのかをつかみます。最初は分からないところがあっても読み飛ばして構いません。全体を一度見てから細かい部分に戻ると、それぞれのルールがなぜあるのかが分かりやすくなります。
具体的な事例で考える
民法のルールは、具体的な事例に当てはめると理解しやすくなります。「AさんがBさんに車を売ったが、車に故障があった」「CさんがDさんにお金を貸したが返ってこない」のように、登場人物と出来事を置いて考える練習をします。誰が誰に何を求められるのかを、図に描いて整理するのが効果的です。人を丸で描き、矢印で「売った」「貸した」「請求できる」といった関係を書き込むと、複雑な事例も見通しがよくなります。
条文を自分で読む
教材の説明だけでなく、条文そのものを読む習慣を付けると理解が深まります。民法の条文はe-Govの法令検索で無料で読めます。教材で出てきた条文の番号を検索し、実際の文言を確かめてください。条文は最初は読みにくく感じますが、何度も読むうちに、主語と条件と結果の組み立てが分かってきます。
過去問を早いうちから解く
資格試験の勉強では、過去問を早い段階から解くことが大切です。過去問を見ると、どの分野からどのような形で出題されるのかが分かり、勉強の重点を決められます。行政書士試験は試験問題と正解を公開しているので、最新の問題で傾向を確かめられます。ただし、改正前の年度の過去問は、今のルールでは答えが変わる問題もあります。解説が改正に対応しているかを必ず確かめてください。
学んだことを自分の言葉で説明する
1つの分野を学び終えたら、そのルールを教材を見ずに自分の言葉で説明してみます。「売った物に欠陥があったら、買った人は直してほしい、代わりの物がほしい、値段を下げてほしいと求められる」のように、専門用語を使わずに言えれば、理解できている証拠です。説明に詰まったところは、もう一度教材と条文に戻る箇所になります。家族や友人に話してみる、ノートに書き出す、どちらの方法でも効果があります。
判例にも触れる
民法では、条文だけでなく、裁判所の判断の積み重ね(判例)も大切です。判例とは、似たような事件で裁判所がどう判断したかの先例のことで、条文の解釈を補います。資格試験でも判例の考え方が問われるので、教材に出てくる主要な判例は、結論とその理由をセットで覚えるようにします。
民法の勉強でつまずきやすい点と対処法
民法の勉強を始めた人が途中でつまずきやすい点はある程度決まっています。前もって知っておくと、行き詰まったときに立て直しやすくなります。
1つ目は、日常の言葉と法律の言葉で意味が違う用語です。代表的なのが「善意」と「悪意」です。民法での善意とは「ある事情を知らないこと」、悪意とは「ある事情を知っていること」を指し、良い人か悪い人かという意味はありません。ほかにも「第三者」「対抗」「催告」など、普段は使わない言葉や、普段と違う意味で使う言葉が多く出てきます。分からない用語が出てきたら、その場で意味を書き留め、自分専用の用語集を作っておくと、後で何度も同じところで止まらずに済みます。
2つ目は、原則と例外が入り組んでいることです。民法には、基本のルールがあり、それに当てはまらない場合の例外があり、さらに例外の例外がある、という組み立てがよくあります。細かい例外から覚えようとすると混乱するので、まず原則をしっかり理解し、例外は「なぜその場合だけ扱いが変わるのか」という理由と一緒に覚えるようにします。理由が分かれば、多くの例外は自然に覚えられます。
3つ目は、1つの事例に複数の分野がかかわることです。たとえば「借りたお金を返さないまま亡くなった人がいる」という事例は、債権の分野と相続の分野の両方にかかわります。分野ごとに学んでいると気付きにくいので、問題を解くときは「この事例にはどの分野のルールが使われているか」を最初に書き出す習慣を付けると、知識がつながっていきます。
4つ目は、覚えたことをすぐに忘れてしまうことです。民法は範囲が広いため、先に学んだ分野を後半には忘れてしまいがちです。1週間に1回、それまでに学んだ範囲の問題を少しずつ解き直すと、記憶が定着しやすくなります。
勉強時間の組み立て方
民法の勉強にかかる時間は、目指す資格と今の知識で大きく変わります。司法書士のように民法を深く問う資格では長い期間が必要になり、ビジネス実務法務検定の3級のように基本を問う検定では比較的短い期間で準備できます。
社会人が仕事と両立しながら勉強するなら、次のような組み立てが続けやすい形です。
- 平日は1日30分から1時間、通勤時間や朝の時間で教材を読み進める
- 週末にまとまった時間を取り、平日に読んだ範囲の問題を解く
- 月に1回、それまでの範囲を振り返り、理解が浅い分野を確かめる
試験日から逆算して計画を立てると、どの時期に何をすればよいかが見えてきます。たとえば試験の半年前から始めるなら、最初の3か月で全体を一通り学び、次の2か月で過去問を繰り返し、最後の1か月で苦手な分野の仕上げと模擬試験に充てる、という配分です。
独学と講座の選び方
民法は独学でも学べますが、資格によっては講座を使ったほうが効率的な場合もあります。
独学が向いているのは、ビジネス実務法務検定や宅地建物取引士のように、市販の教材が充実していて、試験の範囲がはっきりしている資格です。公式のテキストや問題集が出ている検定なら、それを中心に勉強を組み立てられます。
講座が向いているのは、行政書士の記述式や司法書士のように、答案の書き方を学ぶ必要がある資格です。独学では自分の答案のどこが足りないのかが分かりにくいため、添削を受けられる講座が役立ちます。また、勉強の計画を自分で立てるのが苦手な人も、講座の日程に合わせて進めることで続けやすくなります。
講座を選ぶときは、次の点を確かめてください。
- 最新の法改正に対応した教材か
- 自分の生活に合った受講の形(動画、通学、通信)か
- 質問や添削の仕組みがあるか
- 受講料と、その中に含まれるもの(教材、模擬試験、添削)
会社によっては、資格を取るための費用を補助する制度があります。また、雇用保険に入っている人などは、厚生労働大臣が指定した講座を受けると費用の一部が戻る教育訓練給付金を使える場合があります。対象の講座かどうかと、自分が条件を満たすかは、受講を始める前にハローワークで確かめてください。
無料で使える民法の学習資料
民法の勉強は、市販の教材に加えて、公的な機関が公開している無料の資料を組み合わせると、費用を抑えながら正確な情報で学べます。
- 条文:e-Govの法令検索で、民法の最新の条文を無料で読めます。改正があったときも、施行された内容に更新されます
- 改正の解説:法務省の民事局のページで、改正の概要や新旧の条文を比べた資料が公開されています。2020年の債権法の改正、2022年の成年年齢の引き下げ、2026年の離婚後の子の養育に関する見直しについて、それぞれ説明の資料があります
- 判例:裁判所のウェブサイトの裁判例検索で、最高裁判所などの判決を探して読めます
- 過去問:行政書士試験研究センターは過去の試験問題と正解を、不動産適正取引推進機構は宅地建物取引士の過去の試験問題を公開しています
教材の説明で気になったところを、条文や判例の原文で確かめる習慣を付けると、教材の誤りや古い記述にも気付けるようになります。特に改正のあった分野は、教材の版が古いと説明が今のルールと合わないことがあるので、法務省の資料で必ず確かめてください。
民法の知識を仕事に生かす
民法の知識は、資格の有無にかかわらず、さまざまな仕事で役立ちます。どのように生かせるかを具体的に見ていきます。
契約書を読む力になる
民法を学ぶと、契約書の条項が何のためにあるのかが分かるようになります。たとえば業務委託の契約書なら、報酬の支払い時期、成果物に問題があったときの対応、契約の解除の条件などが、民法のルールとどう関係しているのかを読み取れます。フリーランスとして仕事を受ける人にとっては、不利な条件に気付いて交渉する力になります。ただし、個別の契約の判断に迷うときは、弁護士などの専門家に相談してください。
仕事で使う文書の書き方を体系立てて確かめたいなら、ビジネス文書検定のような資格もあります。契約に関する知識と文書の書き方の両方を身に付けると、取引先とのやりとりで誤解を生みにくい文書を作れるようになります。
法律の分野の記事を書く
法律の知識は、記事を書く仕事でも生かせます。相続、不動産、契約などの分野は、読者の関心が高い一方で、正確に書ける書き手が限られています。民法を体系立てて学んでいれば、条文や公式の資料に基づいて、間違いの少ない記事を書けます。専門性のある分野を持つことは、文章の仕事で単価を上げる方法の1つです。どのように単価を上げていくかは、Webライターが文字単価を上げる方法|1円→5円にステップアップする戦略【2026年版】で詳しく解説しています。
法律の記事を書く仕事に応募するときは、学んだ分野の記事を作品として見せられるようにしておくと有利です。実績が少ないうちの作品の見せ方は、Webライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】で紹介しています。
会社の中で頼られる存在になる
会社の中で契約や取引のトラブルが起きたとき、民法の基本を知っている人は、問題を整理して専門家に相談する橋渡し役になれます。法務の部署がない中小企業では、こうした知識を持つ人が重宝されます。ビジネス実務法務検定のような資格を持っていると、その知識を社内に示しやすくなります。
在宅の仕事の現場から見た、民法の知識の生かされ方
在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、民法の知識は、仕事を受ける側の「身を守る力」として特に役立っています。業務委託の仕事では、契約の内容を自分で確かめる場面が多くあります。報酬の支払い時期、修正の回数、納品後に問題が見つかったときの扱いなどを、契約の前に確かめておける人ほど、トラブルに巻き込まれにくい傾向があります。
2024年11月には、フリーランスとして仕事を受ける人を守る法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)が施行され、発注する側には取引の条件を書面などで示すことが求められるようになりました。民法の基本を知っていると、こうした法律が何を守ろうとしているのかも理解しやすくなります。厚生労働省のフリーランスに関するページでは、この法律の内容と相談の窓口が紹介されています。
また、仲介のサービスを通さず、手数料0%で依頼する側と直接取引できる場では、契約の条件を当事者同士で決める場面が増えます。中間のマージンが乗らない分、依頼する側は同じ予算でより多くの作業を頼め、受ける側は手取りが厚くなります。その一方で、契約の中身を自分で確かめる力がより大切になります。民法を学ぶことは、こうした直接取引の良さを安心して生かすための土台にもなります。
民法の知識をどの分野の仕事に生かせるかは、仕事の中身から考えると見えてきます。AIを使った業務の改善のように、新しい分野でも契約や権利の知識が求められる場面があります。AIコンサル・業務活用支援のお仕事では、そうした仕事の依頼の中身を紹介しています。資格を目指すかどうかにかかわらず、民法を学ぶことは、仕事を選び、条件を確かめ、安心して働くための力になります。
よくある質問
Q. 民法を学べる資格で、初心者が最初に挑戦しやすいのはどれですか?
法律の勉強が初めてなら、ビジネス実務法務検定の3級が取り組みやすい選択肢です。会社の仕事で必要な法律の基本を、民法を中心に広く学べます。不動産の仕事に関心があるなら、宅地建物取引士も身近な事例で民法を学べるので、初めての人でも取り組みやすい国家資格です。目的に合わせて選んでください。
Q. 民法の古い教材で勉強しても大丈夫ですか?
おすすめしません。民法は2020年4月に契約に関する規定が大きく見直され、2022年4月には成年年齢が18歳に引き下げられ、2026年4月には離婚後の子の養育に関するルールが見直されました。古い教材では今は通用しないルールを覚えてしまうおそれがあります。受験する年度に合わせた最新の版を選んでください。
Q. 民法は独学でも合格できますか?
資格によります。ビジネス実務法務検定や宅地建物取引士は市販の教材が充実しているので、独学で合格を目指す人も多い資格です。行政書士の記述式や司法書士のように答案の書き方を学ぶ必要がある資格では、添削を受けられる講座を使うと効率的です。自分の生活と勉強の進め方に合わせて選んでください。
Q. 民法の知識は副業に役立ちますか?
役立つ場面があります。業務委託の仕事を受けるときに契約書の内容を確かめられるので、不利な条件に気付きやすくなります。また、相続や不動産、契約などの分野の記事を書く仕事では、民法を体系立てて学んでいることが強みになります。ただし、個別の契約の判断に迷うときは、弁護士などの専門家に相談してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
関連記事
カテゴリから探す

クラウドソーシング入門
クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド
職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク
副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス
フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金
確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

比較・ランキング
サービス比較・おすすめランキング

AI活用
職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド
市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド
クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア
転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人
看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人
薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人
介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人
保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人
医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険
生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人
無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース
バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業
契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代
シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ
サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック
暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス
経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材
フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方
子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金
個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

M&A・事業売却
会社売却・事業承継・事業譲渡を考える経営者向け。売却の流れ、税金、従業員への伝え方、仲介会社の選び方

アウトソーシング・外注ガイド
SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方







