帳簿 つけ方 個人事業主 初めて 2026|在宅ワーカーが最初に揃える記帳

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
帳簿 つけ方 個人事業主 初めて 2026|在宅ワーカーが最初に揃える記帳

この記事のポイント

  • 帳簿のつけ方が分からない個人事業主・初めての在宅ワーカー向けに
  • 会計ソフトの選び方まで2026年の最新ルールで具体的に解説します

「帳簿 つけ方 個人事業主 初めて」と検索してこの記事にたどり着いたあなたは、おそらく開業届を出したばかりか、在宅ワークの収入が増えてきて「そろそろ帳簿をつけなきゃまずいかも」と焦っている段階ではないでしょうか。結論から言います。個人事業主の帳簿は、簿記の専門知識がなくても、最初に「何を・どこに・いつ記録するか」というルールさえ押さえれば、誰でもつけられます。そして、その記録の精度がそのまま納める税金の額に直結します。

この記事では、帳簿が必要な理由から、白色申告と青色申告での記帳方法の違い、単式簿記と複式簿記の具体的な書き方、揃えるべき帳簿の種類、保存期間、そして初めての人がつまずきやすいポイントまで、客観的なデータを交えて順番に解説します。読み終える頃には、「明日から何をすればいいか」が具体的に見えているはずです。

なぜ個人事業主に帳簿が義務付けられているのか

まず大前提として、帳簿の作成は「やったほうがいい」ではなく「やらなければならない」義務です。所得税法では、事業所得・不動産所得・山林所得のある人に対して、青色申告か白色申告かを問わず帳簿の備付け・記録・保存を求めています。つまり、副業の在宅ワークであっても、それが事業所得や雑所得として申告対象になる規模であれば、帳簿付けからは逃げられません。

「収入が少ないうちは関係ない」と考えている人が多いのですが、これは誤解です。2014年(平成26年)1月以降、白色申告者にも記帳・帳簿保存が完全義務化されました。それ以前は前々年または前年の所得が300万円以下であれば記帳義務が免除されていましたが、現在その例外はありません。収入の多寡にかかわらず、事業を営んでいる以上は帳簿が必要だと考えてください。

帳簿をつける3つの実利

義務だからという理由だけでは、なかなかモチベーションが続きません。そこで、帳簿をつけることで得られる実利を整理しておきます。

1つ目は、正確な確定申告ができることです。帳簿がなければ、年間の売上や経費を正確に集計できず、申告の根拠を示せません。税務調査が入ったとき、帳簿と証憑(しょうひょう。領収書や請求書のこと)が揃っていなければ、経費を否認されるリスクが高まります。

2つ目は、経営状況の可視化です。月ごとにいくら売り上げ、何にいくら使っているのかが数字で見えると、「この経費は本当に必要か」「単価をもっと上げるべきか」といった判断ができるようになります。在宅ワーカーが収入を安定させるうえで、これは想像以上に重要です。

3つ目は、節税です。青色申告を選び、複式簿記で帳簿をつければ、最大65万円の青色申告特別控除が受けられます。所得税・住民税・国民健康保険料の計算基礎となる所得を圧縮できるため、節税効果は決して小さくありません。具体的な節税の打ち手については個人事業主 節税 2026 テクニックで網羅的に解説していますので、帳簿を整えたあとに読み進めると効果的です。

帳簿をつけなかった場合のペナルティ

帳簿付けを怠った場合、どうなるのか。正直なところ、ここを甘く見ている人が多すぎると感じます。

まず、青色申告の承認を受けているのに帳簿が不備だと、青色申告の承認が取り消され、特別控除が一切受けられなくなります。さらに、申告内容に誤りがあって追徴課税となった場合、帳簿がないと過少申告加算税や、悪質と判断されれば重加算税(最大35〜40%)が課されることもあります。記帳していないこと自体に直接の罰金があるわけではありませんが、いざ調査が入ったときの不利益が極めて大きいのです。「20年つけていない人もいる」というネットの体験談を見かけることがありますが、それは単に運良く調査が入っていないだけで、リスクを取っているという自覚は持つべきです。

帳簿付けを始める前に知っておくべき会計用語

帳簿の話に入る前に、最低限おさえておきたい会計用語を整理します。ここでつまずく初心者が非常に多いので、丁寧に説明します。

単式簿記と複式簿記の違い

帳簿の付け方には、大きく分けて「単式簿記(簡易簿記)」と「複式簿記」の2種類があります。

単式簿記は、家計簿に近いイメージです。「いつ・いくら・何のために」お金が動いたかを、収入と支出として一列に記録していきます。シンプルで初心者にも分かりやすい反面、財産の状況(現金がいくらあるか、売掛金がいくら残っているか)までは把握できません。

複式簿記は、1つの取引を「借方(かりかた)」と「貸方(かしかた)」の2つの側面から記録する方法です。例えば「報酬5万円が普通預金に振り込まれた」という取引なら、「(借方)普通預金 50,000/(貸方)売上 50,000」と記録します。手間はかかりますが、お金の流れと財産の状況を同時に把握でき、貸借対照表と損益計算書を作成できます。

複式簿記の意義について、freeeは次のように整理しています。

複式簿記では財産状況の把握も可能です。単式簿記よりも多くの情報を読み取れるため、一般的に法人会計では複式簿記が採用されます。個人事業主でも、青色申告で適用される青色申告特別控除の額を55万円・65万円にする場合には、複式簿記での記帳が要件の1つになっています。

つまり、節税メリットの大きい65万円控除を狙うなら複式簿記が必須、というのが結論です。

発生主義と現金主義

もう1つ重要なのが、取引をいつ計上するかという考え方です。

現金主義は、実際に現金を受け取った・支払ったタイミングで記録する方法です。シンプルですが、青色申告特別控除は10万円に制限されます。

発生主義は、現金の動きとは関係なく、取引が発生した時点(売上が確定した時点、費用が発生した時点)で記録する方法です。例えば、3月に納品して報酬の入金が4月だった場合、発生主義では3月の売上として計上します。

freeeはこの点について、次のように指摘しています。

ただし、現金主義で帳簿付けをした場合、青色申告特別控除は10万円しか適用されません。個人事業主で節税効果を高めたい人は、発生主義で帳簿付けを行いましょう。

在宅ワークでは「納品月と入金月がずれる」ことが日常的に起こります。クラウドソーシング経由の案件などは特にそうです。だからこそ、発生主義での記帳に慣れておくと、年をまたぐ取引の処理で混乱しにくくなります。

勘定科目とは

勘定科目(かんじょうかもく)とは、取引の内容を分類するためのラベルのようなものです。「売上高」「消耗品費」「通信費」「旅費交通費」「外注費」「接待交際費」などがあります。在宅ワーカーであれば、インターネット回線やサーバー代は「通信費」、パソコン周辺機器(10万円未満)は「消耗品費」、外部のライターやデザイナーに発注した費用は「外注費」といった具合に振り分けます。最初は迷いますが、会計ソフトを使えば候補を提示してくれるので、過度に心配する必要はありません。

白色申告と青色申告で記帳方法はこう変わる

個人事業主の帳簿は、白色申告か青色申告かによって必要なレベルが大きく異なります。ここを理解しないまま始めると、「思ったより大変」「控除が受けられなかった」という事態になりかねません。

白色申告の場合

白色申告は、事前の申請が不要で、誰でも選べる申告方法です。記帳は単式簿記(簡易な方法)で構いません。

具体的には、収入金額と必要経費を、日々の合計金額をまとめて記載する程度で認められています。1件ずつ詳細に記録する必要はなく、「1日の売上合計」「1日の経費合計」を品目別に記録すればよいため、手間は比較的軽いです。作成する帳簿は「収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿)」が中心となります。

ただし、白色申告には青色申告特別控除のような税制優遇がありません。手間が軽いぶん、節税メリットも小さいというトレードオフがあります。「とりあえず初年度は白色で」という選択は悪くありませんが、収入が安定してきたら青色への移行を検討すべきです。

青色申告の場合

青色申告を選ぶには、原則として開業から2か月以内、または青色申告をしたい年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。この申請を忘れると、その年は青色申告ができません。在宅ワークを始めたばかりの人が最も後悔しやすいのが、この申請忘れです。

青色申告には控除額によって3段階あります。

控除額 必要な記帳方法 主な追加要件
10万円控除 単式簿記(簡易簿記) 現金主義も可
55万円控除 複式簿記 貸借対照表・損益計算書の添付、期限内申告
65万円控除 複式簿記 55万円の要件+e-Taxでの電子申告または電子帳簿保存

65万円控除を受けるには、複式簿記での記帳に加えて、e-Taxによる電子申告か、優良な電子帳簿の保存が条件になります。紙で郵送・持参すると、同じ複式簿記でも55万円までしか認められない点に注意してください。

どちらを選ぶべきか

結論を言えば、収入がある程度見込めるなら、最初から青色申告(複式簿記)を選ぶのが合理的です。複式簿記は確かに難しそうに見えますが、後述する会計ソフトを使えば、実質的な作業負担は単式簿記とほとんど変わりません。一方で、得られる控除額の差は最大55万円にもなります。所得税率20%・住民税10%のゾーンの人なら、控除65万円で実に約20万円近い税負担の差が生まれる計算です。

個人事業主が揃えるべき帳簿の種類

帳簿と一口に言っても、実際には複数の種類があります。青色申告(65万円控除)を前提に、主要なものを整理します。

主要簿(仕訳帳・総勘定元帳)

複式簿記で必須となるのが「主要簿」です。これは2つの帳簿から成ります。

仕訳帳は、すべての取引を発生順(日付順)に、借方・貸方に分けて記録する帳簿です。事業のあらゆる取引が、まずここに集約されます。

総勘定元帳は、仕訳帳の内容を勘定科目ごとに転記・整理した帳簿です。「現金」「普通預金」「売上高」「通信費」などの科目ごとに、増減の履歴と残高が分かるようになっています。

この2つが複式簿記の根幹です。手書きやエクセルでこれを正確に維持するのは相当な手間ですが、会計ソフトであれば、取引を1回入力すれば仕訳帳と総勘定元帳の両方に自動で反映されます。

補助簿

補助簿は、主要簿を補完する帳簿で、必要に応じて作成します。代表的なものを挙げます。

現金出納帳(げんきんすいとうちょう)は、現金の入出金を記録する帳簿です。預金出納帳は、普通預金など銀行口座の入出金を記録します。売掛帳(得意先元帳)は、掛け取引による売上と入金の状況を取引先ごとに管理します。買掛帳(仕入先元帳)は、掛けで仕入れた費用と支払いの状況を管理します。経費帳は、勘定科目ごとに経費を記録します。固定資産台帳は、10万円以上の備品など、減価償却の対象となる資産を管理する帳簿です。

在宅ワーカーの場合、現金商売はほとんどないため、預金出納帳と売掛帳、経費帳あたりが中心になります。すべてを完璧に揃える必要はなく、自分の事業で発生する取引に対応した補助簿を用意すれば十分です。

白色申告で必要な帳簿

白色申告の場合は、複式簿記ではないため、揃える帳簿はぐっとシンプルになります。収入金額と必要経費を記載した「法定帳簿」が必須で、これに加えて任意で「任意帳簿」(業務に関して作成した上記以外の帳簿)を作る形です。法定帳簿は7年間、それ以外の帳簿や書類は5年間の保存が求められます。

帳簿を実際につける手順【6ステップ】

ここからは、初めての人が実際に帳簿付けを始めるための具体的な手順を、順を追って説明します。

取引の証憑を集めて整理する

帳簿付けの出発点は、記録の根拠となる証憑を漏れなく集めることです。具体的には、売上に関する請求書・契約書・入金明細、経費に関する領収書・レシート・クレジットカード明細・通帳のコピーなどです。

在宅ワーカーでありがちな失敗が、「PayPalやクラウドソーシングの取引明細を後から探せなくなる」ことです。プラットフォーム側の明細はダウンロード期限がある場合もあるため、月次でPDF保存しておく習慣をつけてください。実際、私が記帳代行の現場を見てきた限りでは、確定申告の直前に「あの入金の明細が見つからない」と慌てるケースが本当に多いです。証憑は「発生したその月のうちに集める」のが鉄則です。

勘定科目を決めて仕訳する

次に、集めた証憑を見ながら、それぞれの取引にどの勘定科目を当てるかを決めます。例えば、レンタルサーバー代は「通信費」、Webツールの月額サブスクは「通信費」または「支払手数料」、コワーキングスペースの利用料は「地代家賃」や「会議費」などです。

迷ったら、一度決めた科目は毎回同じ科目を使い続けることが重要です。同じ性質の費用を年によってバラバラの科目に入れると、経年比較ができなくなり、調査の際にも不自然に見えます。

帳簿に記帳する

仕訳が決まったら、帳簿に記入します。複式簿記なら仕訳帳に日付・借方科目・金額・貸方科目・摘要(取引内容のメモ)を記録します。会計ソフトを使う場合は、日付・金額・取引内容を入力すれば、借方・貸方の振り分けはほぼ自動で行われます。

月次で集計・チェックする

毎月末(または毎週末)に、その期間の取引が漏れなく記帳されているかを確認します。通帳残高と帳簿上の預金残高が一致しているか、未入力の経費がないかをチェックします。この「月次締め」を習慣化すると、年末にまとめて1年分を入力する地獄から解放されます。初心者ほど、ここをサボって後で苦しみます。

決算整理を行う

年末(12月31日)には、決算整理という作業を行います。具体的には、減価償却費の計上、年をまたぐ売上・費用の調整(未収・前払いなど)、棚卸資産の計上、家事按分(自宅兼事務所の家賃・光熱費・通信費のうち事業使用分を経費に振り分ける処理)などです。在宅ワーカーにとって家事按分は節税の要なので、事業使用割合の根拠(使用面積、稼働時間など)を説明できるようにしておきましょう。

決算書・申告書を作成する

決算整理が終わったら、損益計算書と貸借対照表(青色申告決算書)を作成し、確定申告書とともに提出します。提出期間は原則として翌年の2月16日から3月15日までです。e-Taxを使えば自宅から電子申告でき、65万円控除の要件も満たせます。

手書き・エクセル・会計ソフト、どれを選ぶべきか

帳簿付けの方法は、大きく「手書き」「エクセル」「会計ソフト」の3つに分かれます。それぞれの特徴を、フェアに比較します。

手書きの帳簿

市販の帳簿用紙やノートに手で記入する方法です。コストはほぼゼロで、パソコン操作が苦手な人でも始められます。

ただし、複式簿記を手書きで維持するのは現実的に厳しいです。1つの取引を仕訳帳と総勘定元帳の両方に転記する必要があり、転記ミスや計算ミスが起こりやすく、見直しにも時間がかかります。取引件数が少ない白色申告・10万円控除なら選択肢になりますが、65万円控除を狙うなら正直おすすめできません。

エクセルの帳簿

表計算ソフトで帳簿を管理する方法です。無料のテンプレートも多く出回っており、関数で自動集計できるため手書きよりは効率的です。

ただし、エクセルにも限界があります。自分でフォーマットを管理しなければならず、関数を1つ壊すと集計全体が狂います。また、複式簿記の仕訳帳と総勘定元帳、各種補助簿を整合的に連動させるのは、かなりのスキルが必要です。電子帳簿保存法の要件(訂正・削除の履歴が残ること等)を満たすのも難しく、65万円控除に必要な「優良な電子帳簿」としては認められにくいのが実情です。記帳件数が増えるほど、エクセルの運用コストは跳ね上がります。

会計ソフト

クラウド型の会計ソフト(freee、マネーフォワード クラウド確定申告、弥生会計オンラインなど)を使う方法です。

最大のメリットは、銀行口座やクレジットカードと連携して、取引データを自動で取り込める点です。取り込んだデータに勘定科目を割り当てるだけで、仕訳帳・総勘定元帳・各種補助簿・決算書まで自動で作成されます。簿記の知識がほとんどなくても、ガイドに沿って入力すれば確定申告書が完成します。費用は年間1万円前後からですが、節税効果や時間短縮を考えれば、十分に元が取れる投資だと考えられます。

弥生は、自社サービスの解説のなかで、初心者でも確定申告が完結できる点を強調しています。会計ソフトを使えば、簿記や会計の知識がなくても帳簿作成から確定申告まで対応できるというのが、各社共通のメッセージです。

正直なところ、2026年現在において、初めて帳簿をつける個人事業主が手書きやエクセルを選ぶ合理性はほとんどありません。会計ソフトの自動連携を前提に運用するのが、最もミスが少なく、時間効率も高い選択です。

インボイス制度・電子帳簿保存法への対応

帳簿付けを語るうえで、近年無視できないのがインボイス制度と電子帳簿保存法です。

インボイス制度については、自分が課税事業者か免税事業者かで対応が変わります。弥生は次のように整理しています。

個人事業主の場合、前々年の課税売上高が1,000万円を超える事業者や、インボイス制度導入によって適格請求書発行事業者になった事業者は、消費税の課税事業者となり、仕入税額控除の計算をすることになります。その際は、原則として適格請求書発行事業者が発行した適格請求書の受領と、内容に沿った記帳、適格請求書の保存が必要です。一方、消費税の納税を行わない免税事業者の帳簿作成方法や書類の保存方法は、制度導入前と変わりません。

つまり、免税事業者である限り、帳簿付けの基本は従来通りで構いません。一方、適格請求書発行事業者になった場合は、受け取った適格請求書の保存と、それに沿った記帳が必要になります。

電子帳簿保存法については、2024年(令和6年)1月から、電子取引のデータ保存が義務化されています。メールやWeb上で受け取った請求書・領収書などの電子データは、原則として紙に印刷して保存するのではなく、電子データのまま一定の要件で保存する必要があります。在宅ワーカーはやり取りのほとんどが電子なので、この影響を強く受けます。会計ソフトの多くは電子帳簿保存法に対応した保存機能を備えているため、この点でもソフトの利用が現実的です。詳しい制度の詳細は国税庁の公式情報を確認してください。

帳簿や領収書の保存期間

帳簿付けと並んで重要なのが、作成した帳簿や受け取った書類の保存です。せっかく記帳しても、根拠書類を捨ててしまっては意味がありません。

青色申告の場合、保存期間は書類の種類によって異なります。仕訳帳・総勘定元帳などの帳簿、決算関係書類、現金預金取引関係の証憑(領収書・小切手控えなど)は7年間です。請求書・見積書・契約書・納品書などその他の書類は5年間が原則です(一部例外あり)。

白色申告の場合は、収入金額や必要経費を記載した法定帳簿が7年間、それ以外の任意帳簿や書類が5年間です。

保存期間の起算点は、原則として「確定申告期限の翌日」からです。意外と長く感じるかもしれませんが、税務調査は数年前の分まで遡ることがあるため、安易に捨てないことが肝心です。電子帳簿保存法に対応した形で、データのまま保存しておくと、保管スペースも取らず検索性も高くなります。

在宅ワーカーが帳簿付けで特につまずくポイント

ここからは、これまで多くの在宅ワーカーの記帳を見てきた経験から、初めての人が特につまずきやすいポイントを挙げます。

事業用と個人用の口座・カードを分けていない

最も多いのがこれです。生活費の引き落としと事業の経費が同じ口座・カードに混在していると、どれが経費でどれが私的支出か仕分けるだけで膨大な時間がかかります。会計ソフトの自動連携も、混在していると意味が半減します。事業を始めたら、まず事業専用の銀行口座とクレジットカードを用意してください。これだけで記帳の手間は劇的に減ります。

家事按分の根拠を残していない

自宅で働く在宅ワーカーは、家賃・電気代・通信費などを事業使用分だけ経費にできます(家事按分)。しかし、「なんとなく50%」と決めて根拠を残していないと、調査時に説明できません。使用している部屋の面積割合、1日の作業時間などの合理的な基準を決め、その算定根拠をメモとして残しておきましょう。

雑所得と事業所得の区分を誤る

副業として在宅ワークをしている場合、その所得が「事業所得」なのか「雑所得」なのかで、青色申告特別控除の可否や損益通算の扱いが変わります。継続性・営利性・事業としての規模などから総合的に判断されますが、記帳と帳簿保存をきちんと行っていることは、事業所得として認められる重要な要素の1つです。つまり、帳簿付けは「節税のため」だけでなく「所得区分を守るため」にも効いてくるのです。

帳簿を整えた先にある「収入の最適化」という視点

最後に、副編集長として運営側の視点から少しマクロな話をします。帳簿付けは、単なる義務や事務作業ではありません。自分の事業の「数字」を握る行為です。

帳簿をつけると、案件ごとの実質単価が見えてきます。例えば、クラウドソーシングサイト経由の案件は、報酬から手数料が差し引かれます。一般的なクラウドソーシングプラットフォームの手数料は、報酬額に応じて16.5〜22%程度が相場です。帳簿上で「売上高」と「支払手数料」を分けて記録していくと、年間でどれだけの手数料を負担しているかが一目瞭然になります。

ここが、帳簿を活かす最大のポイントです。年間100万円の報酬を得ている人なら、手数料だけで16万〜22万円が消えている計算になります。この数字が見えると、「実績ができたら、手数料負担の小さい取引チャネルに本命案件を移す」という戦略的な判断ができるようになります。実際、業務委託のマッチングサービスのなかには、仲介手数料が手数料0%のものも存在します。帳簿で手数料の実額を把握しているからこそ、こうしたチャネルの価値を正しく評価できるのです。

在宅ワークの職種ごとの単価相場を把握しておくと、自分の帳簿上の単価が適正かを判断する材料になります。例えばライティングや編集の仕事であれば著述家,記者,編集者の年収・単価相場が、Web開発やプログラミングであればソフトウェア作成者の年収・単価相場が参考になります。帳簿で算出した自分の実質単価と、市場相場を突き合わせることで、価格交渉やチャネル選定の精度が上がります。

そして、記帳そのものを仕事にするという道もあります。簿記や経理の知識は、在宅ワークの案件としても需要があります。自分の事業の帳簿付けで身につけたスキルを活かせる分野として、経理・財務・帳簿・税務のお仕事があり、記帳代行や経理事務の在宅案件が含まれます。経理は景気に左右されにくく、リピート需要も高い安定した分野です。同様に、データ管理やマーケティングの知見を組み合わせたい人にはAI・マーケティング・セキュリティのお仕事、クリエイティブ系の副業を探す人には作曲・編曲・効果音・ジングルのお仕事といった分野もあります。

スキルの裏付けとして資格を取っておきたい人もいるでしょう。経理・事務系であればビジネス文書検定が請求書や帳票作成の基礎として役立ちますし、ITインフラ系のスキルを示したいならCCNA(シスコ技術者認定)のような技術者認定も選択肢になります。資格は単価交渉や信頼獲得の材料として機能します。

帳簿を整えることは、税金を正しく納めるためだけでなく、自分の事業の収益構造を「見える化」し、次の打ち手を選ぶための基盤づくりでもあります。住宅ローンの審査など、対外的な信用が必要な場面でも、きちんとした帳簿と確定申告の実績がものを言います。その点については個人事業主 住宅ローン 審査 通りやすいで詳しく触れています。また、稼いだ所得を活用したふるさと納税 上限額 個人事業主の最適化も、正確な所得把握があってこそ成り立ちます。

初めての帳簿付けは、誰もが「面倒だ」「難しそうだ」と感じるものです。しかし、最初に事業用口座を分け、会計ソフトを導入し、月次で締めるという3つの習慣さえ作ってしまえば、あとは自動的に回り始めます。今日この記事を読んだことをきっかけに、まずは事業専用の口座開設と、会計ソフトの無料お試しから始めてみてください。その一歩が、1年後の確定申告を驚くほど楽にしてくれます。

公的機関・関連参考情報

本記事の内容に関連する公的機関や信頼できる情報源は以下の通りです。最新情報は公式サイトで確認してください。

よくある質問

Q. 個人事業主会計は未経験でも始められますか?

多くの場合、未経験からでも始められます。最初は小さな案件やシンプルな作業から挑戦し、実績を積みながら少しずつスキルや知識を広げていく進め方が現実的です。公的機関や業界団体が提供する情報を参照し、無理のないペースで取り組むことをおすすめします。

Q. 個人事業主帳簿エクセルは未経験でも始められますか?

多くの場合、未経験からでも始められます。最初は小さな案件やシンプルな作業から挑戦し、実績を積みながら少しずつスキルや知識を広げていく進め方が現実的です。公的機関や業界団体が提供する情報を参照し、無理のないペースで取り組むことをおすすめします。

Q. 個人事業主登録後の確定申告は白色と青色のどちらがよいですか?

帳簿づけに対応できるなら、控除や赤字繰越などのメリットがある青色申告を選ぶ人が多いです。期限内に青色申告承認申請書を提出する必要があります。

Q. 弥生会計個人事業主使い方は未経験でも始められますか?

多くの場合、未経験からでも始められます。最初は小さな案件やシンプルな作業から挑戦し、実績を積みながら少しずつスキルや知識を広げていく進め方が現実的です。公的機関や業界団体が提供する情報を参照し、無理のないペースで取り組むことをおすすめします。

Q. 個人事業主は「税込経理」と「税抜経理」のどちらを選ぶのがおすすめですか?

事務負担を軽減したい場合は、日々の記帳がシンプルな「税込経理」が適しています。一方で、正確な粗利を把握したい場合や、30万円未満の少額減価償却資産の判定を有利に進めたい(税抜価格で判定できる)場合は「税抜経理」が有利になることが多いです。

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朝比奈 蒼

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朝比奈 蒼

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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