福利厚生費 一人 個人事業主 2026|従業員がいない在宅事業で使えるか


この記事のポイント
- ✓福利厚生費を一人の個人事業主が経費計上できるのか
- ✓2026年の最新ルールで整理しました
- ✓従業員がいない在宅事業で認められないケース
まず、安心してください。「福利厚生費 一人 個人事業主」と検索してこのページにたどり着いた皆さんの多くは、おそらくこう考えているはずです。「会社員時代は健康診断もジムの割引もスポーツ観戦のチケットもあった。フリーランスになった今、あの分は経費にできないのか」。結論からお伝えすると、従業員を雇っていない一人の個人事業主の場合、自分のための支出を「福利厚生費」として経費計上することは、原則としてできません。
私自身、43歳でメーカーを辞めて独立したとき、同じ疑問にぶつかりました。会社員のころは当たり前にあった福利厚生が、いざ自分が事業主になると一切なくなる。健康診断は全額自腹、ジムの会費も自腹。「これ、経費にできないのかな」と素直に思ったのです。本記事では、なぜ一人の個人事業主は福利厚生費を計上できないのか、その理由を税務の仕組みから論理的に解き明かし、では代わりに何ができるのか、混同しやすい経費との線引き、確定申告での具体的な注意点まで、皆さんが迷わないように全部書いていきます。
福利厚生費の現状とフリーランス人口の急増という背景
そもそも、なぜ今「福利厚生費 一人 個人事業主」という検索が増えているのか。背景には、日本のフリーランス人口の急拡大があります。内閣官房の調査では、日本のフリーランス人口は462万人規模に達するとされ、労働人口に占める割合は年々高まっています。会社という後ろ盾を持たずに働く人が増えれば、当然「会社員時代の福利厚生は自分で再現できないのか」という疑問を持つ人も増える。これはごく自然な流れです。
会社員が享受している福利厚生は、思った以上に手厚いものでした。法定福利(健康保険・厚生年金の会社負担分)に加えて、法定外福利(住宅手当、家族手当、健康診断、保養施設、慶弔見舞金、社員食堂の補助など)があります。経団連の調査によれば、企業が従業員一人あたりにかける法定外福利費は月額数万円規模にのぼります。つまり会社員は、給与とは別に、見えない形で相当額の便益を受け取っていたわけです。
独立した瞬間、この見えない便益はゼロになります。だからこそ「せめて経費という形で取り戻せないか」と考える。検索意図の本質はここにあります。しかし税務の世界では、この願いはそのままには叶いません。理由は明快で、福利厚生費という勘定科目が「従業員のための福利を目的とした支出」と定義されているからです。事業主一人だけの事業には、原則として「福利厚生の対象となる従業員」が存在しないのです。
ここで一つ、現実的な視点をお伝えしておきます。福利厚生費が使えないからといって、事業に必要な支出が全部経費にならないわけではありません。後ほど詳しく書きますが、福利厚生費という箱に入らなくても、別の勘定科目で正しく経費計上できる支出は数多くあります。「福利厚生費にできない」と「経費にできない」はイコールではない。この区別がつくだけで、確定申告の精度はぐっと上がります。
福利厚生費とは何か:定義と基本ルールを正しく理解する
福利厚生費とは、従業員の労働環境や生活の質を向上させるために、事業主が給与とは別に支出する費用のことです。会社員時代を思い出してください。健康診断の費用、社員旅行の補助、忘年会の費用、慶弔見舞金、これらはすべて福利厚生費から支出されていました。重要なのは、福利厚生費の主語が「従業員」だという点です。事業主のための支出ではなく、雇われている人のための支出。これが大前提になります。
福利厚生費が認められる3つの条件
福利厚生費として税務上認められるには、一般に次の3つの条件を満たす必要があります。1つ目は「全従業員を対象としていること(機会の均等性)」。特定の人だけが恩恵を受ける支出は、給与や賞与とみなされて課税対象になります。2つ目は「金額が社会通念上、妥当な範囲であること」。常識を超えた高額な支出は福利厚生とは認められません。3つ目は「現金支給ではなく、現物給付やサービスであること」。現金を直接渡すと給与扱いになります。
この3条件を一人の個人事業主に当てはめると、いかに使いにくいかが見えてきます。まず「全従業員を対象」という条件。従業員がいなければ、対象者は事業主本人だけ。しかし税務上、事業主本人は「従業員」ではありません。事業主は事業から利益を得る立場であり、雇われて労働を提供する立場ではないからです。つまり、対象者がそもそもゼロ。これが、一人の個人事業主が福利厚生費を計上できない根本的な理由です。
なぜ事業主本人は福利厚生の対象外なのか
ここは多くの皆さんがつまずくポイントなので、丁寧に書きます。個人事業主にとって、事業の利益はそのまま自分の所得になります。会社のように「会社のお金」と「社長個人のお金」が法律上分かれていない。事業主が自分のために支出したお金は、税務的には「事業のための支出」ではなく「個人的な生活費(家事費)」と見られやすいのです。健康診断もジムの会費も、本来は事業主個人の健康管理であって、事業の遂行に直接必要な費用とは言いにくい。だから福利厚生費としては認められません。
引用で確認しておきましょう。
事業主一人だったり家族と一緒に事業を行っている個人事業主は、本来は福利厚生費を経費として計上することができません。
この一文がすべてを物語っています。事業主一人、あるいは家族だけで営む個人事業では、福利厚生費は計上できない。逆に言えば、第三者である従業員を雇った瞬間、話は変わります。次の章で、その分岐点を詳しく見ていきます。
福利厚生費を計上できる個人事業主とできない個人事業主の違い
同じ「個人事業主」でも、福利厚生費を計上できるかどうかは、従業員を雇っているかどうかで180度変わります。この違いを理解することが、本記事のもっとも重要なポイントです。皆さんが今、福利厚生費を計上できる側にいるのか、できない側にいるのか。まずはここを正確に把握してください。
計上できないケース:一人または家族のみの事業
従業員を雇っていない、いわゆる「一人社長」ならぬ「一人事業主」の場合、福利厚生費は計上できません。在宅でWebライティングをしている人、在宅でデザインやプログラミングを請け負っている人、ハンドメイド作品をネット販売している人。こうした一人完結型の在宅事業では、福利厚生の対象となる従業員が存在しないため、自分のための支出は福利厚生費になりません。
注意したいのが「家族のみで事業を営むケース」です。配偶者や親、子どもを専従者として事業に従事させている場合でも、これらの家族は税務上「生計を一にする親族」とされ、福利厚生費の対象にはならないのが原則です。生計を一にする家族への支出は、家事費との区別が極めて困難だからです。「妻も手伝っているから福利厚生費にできるのでは」と考える皆さん、ここは要注意です。専従者給与は別途認められますが、福利厚生費は認められません。
計上できるケース:生計を別にする従業員がいる事業
一方、生計を別にする第三者を従業員として雇っている場合は、その従業員のための福利厚生費を計上できます。たとえば在宅事業が軌道に乗って、アルバイトやパートを雇った。その人のために健康診断を実施した、慰労を兼ねた食事会を開いた。これらは福利厚生費として認められる可能性があります。ただし、ここでも罠があります。福利厚生費は「全従業員を対象」が原則なので、事業主本人だけが恩恵を受ける支出はやはりNG。従業員を雇っても、事業主自身の健康診断費用が福利厚生費になるわけではない、という点は押さえておいてください。
実務でよく見るのが「従業員を雇った初年度に、勢いで自分の分まで福利厚生費に入れてしまう」というミスです。税務調査でここを突かれると、事業主本人分は経費否認され、修正申告を求められます。従業員のための支出か、自分のための支出か。常にこの線引きを意識することが、後々のトラブルを防ぎます。
一人の個人事業主が福利厚生費と混同しやすい支出の例
「福利厚生費にできない」と聞いてがっかりした皆さん、ここからが本題です。福利厚生費の箱には入らなくても、別の勘定科目なら正しく経費計上できる支出はたくさんあります。むしろ、ここを正確に仕分けできるかどうかが、確定申告の質を決めます。混同しやすい代表例を一つずつ見ていきましょう。
会議費・交際費との違い
取引先との打ち合わせを兼ねた食事代。これは福利厚生費ではなく「会議費」または「交際費」になります。一人の個人事業主であっても、事業上必要な打ち合わせの飲食費は経費計上できます。ただし、一人で食べたランチや、家族との食事は事業との関連性が認められず経費になりません。「打ち合わせ相手は誰か」「事業の話をしたか」を記録しておくことが大切です。レシートの裏に相手の名前と用件をメモしておく習慣は、税務調査のときに必ず効いてきます。
会議費と交際費の境目も知っておくと便利です。一人あたりの飲食費が一定額以下で、会議に付随する茶菓・弁当程度であれば会議費、それを超えて接待色が強くなると交際費。個人事業主の場合、交際費の上限規制(法人にある800万円の枠)は適用されず、事業に必要な範囲であれば全額経費にできます。この点はむしろ個人事業主に有利な部分です。
研修費・新聞図書費との違い
スキルアップのためのセミナー受講料や書籍代。これは福利厚生費ではなく「研修費」「新聞図書費」「諸会費」などで計上します。一人の個人事業主であっても、事業に直接関係する知識習得の費用は経費になります。Webライターが文章術の本を買う、プログラマーが技術書を買う、デザイナーがデザイン系のオンライン講座を受ける。これらは事業遂行に必要な支出として認められます。福利厚生費にこだわる必要はまったくないのです。
ただし注意点があります。事業との関連性が薄い資格取得や、趣味の延長と見られる講座は経費否認されるリスクがあります。たとえば、Webライターが「将来役立つかもしれない」と簿記の勉強をした場合、現在の事業との直接的な関連性が問われます。経費にする際は「この支出が今の事業の売上にどうつながるか」を説明できるかどうかを基準にしてください。
健康診断・人間ドック費用は経費にならない
ここははっきりさせておきます。一人の個人事業主の健康診断や人間ドックの費用は、福利厚生費にも、他のどの経費にもなりません。健康管理は事業主個人の生活に属するものであり、事業の遂行に直接必要な費用とは認められないからです。「健康でなければ仕事ができない」という気持ちはよく分かります。私も独立してから健康のありがたみを痛感しました。しかし税務上は経費にできない。これは諦めるしかない部分です。
ただし、これらは医療費控除の対象になる場合があります。人間ドックで重大な疾病が見つかり治療に移行した場合などは、その人間ドック費用も医療費控除の対象になることがあります。経費にならないからといって、税務上まったく考慮されないわけではない。所得控除の側でカバーできる余地は覚えておいてください。
慶弔費・親睦費の扱い
取引先への香典や祝い金は「交際費」として計上できますが、自分や家族のための慶弔費は経費になりません。また、一人で参加した業界の懇親会費用は、事業上の情報交換が主目的であれば交際費や諸会費として計上できる余地がありますが、私的な交流が主であれば経費になりません。判断に迷ったら「これは事業の売上獲得や維持に必要な支出か」と自問する。この問いに自信を持って「はい」と答えられないなら、経費計上は見送るのが安全です。
一人の個人事業主が福利厚生費を経費計上する確定申告での注意点
確定申告の実務で、福利厚生費まわりでつまずきやすいポイントを整理します。せっかく正しく仕分けしても、申告の段階でミスをすると税務調査のリスクを高めます。皆さんが安心して申告できるよう、押さえるべき注意点を具体的に書いていきます。
従業員がいないのに福利厚生費を計上しない
最大の注意点はこれです。会計ソフトには「福利厚生費」という勘定科目がデフォルトで用意されているため、つい何でもかんでもそこに入れてしまいがちです。しかし従業員がいない一人の個人事業主が福利厚生費を計上していると、税務調査の際に真っ先に指摘されます。「対象となる従業員がいないのに、なぜ福利厚生費があるのか」と。心当たりのある皆さんは、過去の申告を一度見直してみてください。
弥生の解説でも、個人事業主本人とその家族の分は福利厚生費として計上できないと明記されています。会計ソフトの勘定科目に福利厚生費があるからといって、自由に使えるわけではない。一人事業主の場合、この科目は基本的に「使わない科目」だと認識しておくのが安全です。確定申告を会計ソフトで行う場合も、この前提を理解しておけば誤計上を防げます。マネーフォワードやfreeeなどのクラウド会計ソフトは仕分けを補助してくれますが、最終的な勘定科目の妥当性は事業主自身が判断する必要があります。
家事按分との関係を整理する
在宅で事業を営む一人の個人事業主にとって、福利厚生費よりはるかに重要なのが「家事按分」です。自宅で仕事をしていれば、家賃、電気代、通信費、これらは事業用と私用が混在しています。事業で使った割合を合理的に算出して、その分だけを経費計上する。これが家事按分です。福利厚生費に頭を悩ませるより、家事按分を正確に行うほうが、節税効果はずっと大きいケースが多いのです。
按分の根拠は記録しておくことが大切です。「床面積のうち仕事部屋が何%か」「通信は仕事で使う時間が何%か」。後から税務署に聞かれても説明できるように、按分の計算根拠を残しておく。私の場合、独立直後は適当に「半分くらいかな」とやっていましたが、それでは説明がつかない。きちんと部屋の面積比で按分し直してから、ずいぶん気が楽になりました。詳しい節税の考え方は個人事業主 節税 2026 テクニックでも整理しているので、あわせて確認してみてください。
小規模企業共済・iDeCoという「自分への備え」の活用
福利厚生費が使えない代わりに、一人の個人事業主が活用すべき制度があります。小規模企業共済とiDeCo(個人型確定拠出年金)です。小規模企業共済は、掛金が全額所得控除になり、廃業や退職時にまとまった共済金を受け取れる制度です。いわば「個人事業主の退職金」を自分で積み立てる仕組み。掛金は月額1,000円から70,000円まで設定でき、年間で最大84万円を所得から控除できます。制度の詳細は運営元である中小機構で確認できます。
iDeCoも掛金が全額所得控除になり、老後資金を運用しながら積み立てられます。会社員時代の企業年金や福利厚生が使えなくなった分を、これらの制度で自分なりに再構築する。これが、フリーランスとして長く続けるための現実的な備えです。福利厚生費という「経費」の発想ではなく、所得控除という「税の仕組み」を使って自分を守る。視点を切り替えると、できることは意外と多いのです。
福利厚生費が使えない一人の個人事業主のリスクと保険による備え
ここまで税務の話をしてきましたが、もう一つ、皆さんに正直に伝えておきたいことがあります。福利厚生費が使えない以上に深刻なのは、会社員時代にあった「もしものときの保障」が、独立後はごっそり抜け落ちるという現実です。メリットだけ並べるのはこの記事の方針ではないので、リスクの話もきちんと書きます。
働けなくなったときの収入が途絶える
会社員には傷病手当金があります。病気やケガで働けなくなっても、健康保険から一定期間、給与の約3分の2が支給される。ところが個人事業主が加入する国民健康保険には、この傷病手当金がありません。つまり、病気で働けなくなった瞬間に収入がゼロになるリスクを、一人で背負うことになります。福利厚生費の話を調べている皆さんの中には、無意識にこの不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
保険マンモスの解説でも、個人事業主は働けなくなったときや事故を起こしたときの備えが重要だと指摘されています。会社という後ろ盾がない分、自分でリスクをコントロールする必要がある。これは脅しではなく、独立した人間が等しく向き合うべき現実です。
検討すべき保険:就業不能保険・所得補償保険
こうしたリスクに備える手段として、就業不能保険や所得補償保険があります。病気やケガで長期間働けなくなった場合に、毎月一定額の給付金を受け取れる保険です。会社員時代の傷病手当金を、自分で保険として再現するイメージです。保険料は所得補償の範囲や期間によって変わりますが、収入が途絶える恐怖を考えれば、検討する価値は十分にあります。
ただし注意したいのは、保険料を全額経費にできるわけではない点です。事業のための保険(店舗の火災保険、賠償責任保険など)は経費になりますが、事業主個人の生命保険や医療保険、就業不能保険の保険料は経費になりません。これらは生命保険料控除などの所得控除でカバーする形になります。「保険料は福利厚生費で経費に」と考えがちですが、一人の個人事業主の場合、ここも経費にはならない。保障を得ることと節税は分けて考えるのが正解です。
フリーランス向けの共済・団体保険という選択肢
近年は、フリーランスや個人事業主向けの共済制度や団体保険も増えています。業界団体やフリーランス協会が提供する所得補償制度、賠償責任保険などです。個人で加入するより割安なケースもあり、おすすめの選択肢として検討の余地があります。会社員時代の福利厚生に近い保障を、こうした団体を通じて部分的に取り戻すことができる。一人だからこそ、使える制度は積極的に調べておくべきです。
ここからは、在宅ワーク求人サイトに蓄積された案件データや年収相場のデータをもとに、福利厚生費が使えない一人の個人事業主が、どう事業を組み立てていくべきかを客観的に考察します。福利厚生という「守り」の話だけでなく、収入をどう安定させるかという「攻め」の視点も、独立を続けるうえでは欠かせません。
在宅ワークの職種別単価相場から考える基盤づくり
一人の個人事業主が福利厚生の代わりに頼れるのは、結局のところ安定した収入基盤です。在宅ワークの単価相場を客観的に見ておきましょう。Webライティングや編集の分野では、案件単価に幅がありますが、経験を積むことで単価は着実に上がっていきます。文章を書く仕事の収入水準は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で体系的にまとめており、自分の現在地を客観視するのに役立ちます。
開発系の職種はさらに単価が高い傾向にあります。ソフトウェア開発の単価水準はソフトウェア作成者の年収・単価相場で確認できます。福利厚生がない分、収入そのものを高める。これが一人の個人事業主の現実的な戦略です。単価の高い分野に軸足を移すことで、小規模企業共済やiDeCo、各種保険への支出余力も生まれます。自分への備えは、まず収入を安定させてからこそ可能になるのです。
スキルの幅を広げて収入源を分散する
一人で事業を営む最大のリスクは、収入源が一つに偏ることです。会社員なら部署異動や配置転換で食いつなげますが、個人事業主は一つの取引先や一つのスキルに依存していると、それが途絶えた瞬間に立ち行かなくなります。福利厚生がない分、収入源の分散がセーフティネットの役割を果たします。
たとえばライティングを主軸にしつつ、関連スキルを広げる方法があります。需要が伸びている分野としてAIコンサル・業務活用支援のお仕事やAI・マーケティング・セキュリティのお仕事があり、既存スキルにAI活用の知見を掛け合わせることで単価を引き上げられます。開発寄りの方向ではアプリケーション開発のお仕事のような領域もあります。複数の収入の柱を持つことが、福利厚生に代わる安心感を生むのです。
資格による信頼性の補強
一人の個人事業主にとって、資格は「会社の看板」の代わりになる信頼の証です。会社員なら所属企業の信用で仕事が取れますが、独立後は自分の実力を証明する手段が必要になります。ライティング分野ならビジネス文書検定が文章力の客観的な証明になりますし、IT分野ならCCNA(シスコ技術者認定)のようなネットワーク技術の資格が、専門性を示す材料になります。
資格取得の費用は、前述のとおり事業との関連性があれば研修費や新聞図書費として経費計上できます。福利厚生費にはできなくても、スキルへの投資はきちんと経費になる。この点は一人の個人事業主にとって心強い部分です。資格は単価交渉の材料にもなり、結果的に収入の底上げにつながります。
住宅ローンやふるさと納税など生活設計との連動
福利厚生費の検討は、突き詰めれば「フリーランスとしてどう生活を安定させるか」という問いに行き着きます。会社員時代の福利厚生を再現できない以上、税制や金融の仕組みを総動員して自分の生活基盤を固めるしかありません。たとえば住宅ローンは、個人事業主だと審査が会社員より厳しくなる傾向がありますが、対策を知っていれば通る可能性は十分にあります。詳しくは個人事業主 住宅ローン 審査 通りやすいで整理しています。
また、ふるさと納税は所得に応じた寄付で実質的な負担を抑えながら返礼品を受け取れる、個人事業主にも使いやすい制度です。上限額の計算は所得によって変わるため、ふるさと納税 上限額 個人事業主で自分の枠を確認しておくとよいでしょう。福利厚生費という一つの勘定科目にとらわれず、所得控除、共済、保険、資産形成、これらを組み合わせて生活を守る。これが、一人で事業を営む皆さんに私が一番伝えたい考え方です。福利厚生がないことを嘆くより、使える制度を一つずつ積み上げていく。準備さえすれば、一人の事業でも十分に安定した基盤は築けます。
よくある質問
Q. 個人事業主はどのような保険に優先して加入すべきですか?
まずは病気やケガで働けなくなった際の収入減少をカバーする就業不能保険(所得補償保険)を検討してください。その上で、家族構成に合わせて生命保険や医療保険を追加するのがおすすめです。
Q. 節税のために、とにかく経費を増やせばいいのでしょうか?
経費を増やすと利益が減り、税金は安くなりますが、手元の現金(キャッシュ)も減ってしまいます。不必要なものを買うのは本末転倒です。「事業の成長につながる投資」としての支出かどうかを基準に判断しましょう。
Q. 一人で「法人の社長」と「個人事業主」を兼任しても法律上問題ありませんか?
はい、法律上(会社法や税法上)全く問題ありません。多くの企業経営者が、個人名義での不動産賃貸業などを兼任しています。「人格(法人格と自然人)」が違うため、別々の存在として扱われます。
Q. 自宅兼オフィスの場合、火災保険や地震保険も経費になりますか?
はい、家賃と同様に事業専用面積の割合(按分率)に応じて経費に計上できます。住宅ローンを利用している場合は、利息部分のみが按分経費の対象となり、元本返済分は経費にならない点に注意が必要です。
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この記事を書いた人
前田 壮一
元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身
大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。
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