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アローダイアグラムの書き方|作業の順番と日程を矢印で表す

@SOHO編集部
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アローダイアグラムの書き方|作業の順番と日程を矢印で表す

この記事のポイント

  • ✓アローダイアグラムの書き方を
  • ✓クリティカルパスの見つけ方まで例題つきで説明します
  • ✓ガントチャートとの使い分け

アローダイアグラムを調べている人の多くは、作業がいくつも重なる仕事を任され、「どれから手を付ければ締切に間に合うのか」を説明する図が必要になった人か、ITパスポートや中小企業診断士の試験で計算問題に出会った人です。アローダイアグラムは、作業の順番を矢印でつなぎ、どの作業が遅れると全体が遅れるのかを見つけるための図で、書き方の決まりは数個しかありません。この記事では、作図のルール、日程の計算、クリティカルパスの見つけ方を1つの例題で通して説明し、ガントチャートとの使い分けや作るときの道具まで扱います。描いた計画を複数人で分担して進めるときは、担当と期限を共有できるプロジェクト管理ツールのPinatecaのような道具を使う方法もあり、その使いどころも後半で触れます。

アローダイアグラムとは何か

アローダイアグラムとは、仕事を作業ごとに分け、作業を矢印、作業の区切りを丸い点で表して、作業の前後関係と所要日数を1枚に描いた図のことです。丸い点は「結合点」と呼ばれ、ある作業が終わって次の作業が始められる時点を表します。矢印の上には作業の名前、矢印の下には所要日数や所要時間を書くのが一般的です。

起源はアメリカで生まれた計画の手法にあります。

アローダイアグラムは、ネットワーク理論をプロジェクトの計画立案や管理に適用した「PERT(Program Evaluation and Review Technique)」のネットワーク図の考え方を用いています。PERTは、米国国防省とアメリカ航空宇宙局(NASA)による宇宙開発計画「ポラリス計画」のために、ブーツ・アレン・ハミルトン社という米国のコンサルティング企業が開発した手法です。アローダイアグラムのことをPERT図と呼ぶ場合もあります。 出典: engineering-technology.brexa.com

日本では、品質管理の分野で使われる「新QC七つ道具」の1つとしても知られています。新QC七つ道具とは、数字にしにくい情報を整理して計画や対策を考えるための7つの図の手法のことで、アローダイアグラムはその中で「日程の計画」を受け持つ図です。

何が分かる図なのか

アローダイアグラムを描くと、次の3つが分かります。

  • 仕事全体を終えるのに最短で何日かかるか
  • どの作業が1日遅れると、全体の締切も1日遅れるか
  • どの作業なら何日まで遅れても全体に響かないか

作業の一覧表やToDoリストでは、作業の数は分かっても「どれが本当に急ぐ作業なのか」は分かりません。アローダイアグラムは、作業同士のつながりを描くことで、急ぐ作業と待てる作業を分けて見せます。ここが、ほかの図にはない役割です。

PERT図・ネットワーク図との呼び方の違い

アローダイアグラム、PERT図、ネットワーク図は、ほぼ同じものを指して使われることが多い言葉です。厳密には、PERTは計画と管理の手法全体の名前で、その中で描く図がアローダイアグラムです。また、作業を矢印ではなく四角い箱で表し、箱同士を矢印でつなぐ書き方もあり、こちらはプレシデンス・ダイアグラム(PDM)と呼ばれます。プロジェクト管理の道具の多くが描いているのは、この箱の形のほうです。試験や品質管理の教材で「アローダイアグラム」と出てきたら、作業を矢印で表す形と考えて差し支えありません。

アローダイアグラムが今も使われる理由

アローダイアグラムは古い手法ですが、今も国家試験の出題範囲に入っており、仕事の現場でも使われ続けています。情報処理推進機構(IPA)が公開しているITパスポート試験のシラバスでは、業務分析の手法とプロジェクトマネジメントの両方に、この図の名前が並んでいます。

用語例 パレート図,ABC 分析,特性要因図(フィッシュボーンチャート),管理図,系統図,PERT(アローダイアグラム),クリティカルパス分析,最小二乗法,回帰分析,相関と因果,擬似相関 出典: ipa.go.jp(ITパスポート試験 シラバス)

試験の範囲に入っているということは、ITを使う仕事に就く人なら誰もが知っておくべき基礎として扱われているということです。シラバスとは、試験で問われる知識の範囲を一覧にした資料のことで、IPAのシラバスのページからPDFで読めます。

在宅や分業の仕事で必要になる場面

仕事の現場でこの図が役立つのは、作業を複数の人で分け、同じ部屋にいない人同士で進める場面です。たとえば、Webサイトの制作をデザイナー、ライター、エンジニアが別々の場所で進めると、ある人の作業が終わらないと次の人が始められない「待ち」が必ず生まれます。待ちがどこで生まれるかは、口頭の打ち合わせだけでは見落としやすく、図にして初めて気づくことが多いものです。

業務委託や副業で仕事を受ける人にとっても、アローダイアグラムは発注者に日程を説明する材料になります。「この作業はお客さまの原稿が届いてから5日かかるので、原稿が2日遅れると公開も2日遅れます」と図で示せれば、締切の交渉がしやすくなります。

品質管理や製造の現場での使われ方

製造業や建設業では、設備の入れ替え、新しい製品の立ち上げ、工場の引っ越しのように、たくさんの部署がかかわる一度きりの仕事でアローダイアグラムが使われてきました。部品の発注、据え付け、試運転、作業者の教育といった作業は、それぞれ別の担当者が受け持ち、前の作業が終わらないと次に進めないものが多いからです。

事務の仕事でも同じ考え方が使えます。決算の準備、展示会の出展、採用の説明会のように、毎年同じ時期にやってくる仕事を一度アローダイアグラムにしておくと、翌年以降は日数を直すだけで計画を作り直せます。担当者が替わったときの引き継ぎの資料としても役立ちます。図を見れば、どの作業から手を付ければよいか、誰の作業を待っているのかを、前の担当者に聞かなくても読み取れるからです。

アローダイアグラムの作図ルール

アローダイアグラムには、守るべき書き方の決まりがあります。決まりは多くありませんが、1つでも外すと日程の計算が合わなくなるため、描き始める前に押さえておきます。

基本の記号は3つ

記号 表すもの 書き方
実線の矢印 作業 矢印の上に作業名、下に日数
丸(結合点) 作業の始まりと終わりの時点 丸の中に番号を書く
点線の矢印 ダミー作業 日数は0で、順番だけを表す

結合点の番号は、左から右へ、小さい数から大きい数になるように振ります。矢印は必ず番号の小さい結合点から大きい結合点へ向かいます。こうしておくと、図を見た人が流れを左から右へ追うだけで読めます。

守るべき5つの決まり

  1. 作業1つにつき矢印は1本にする
  2. 同じ2つの結合点の間に、矢印を2本以上引かない
  3. 矢印が元の結合点に戻る輪を作らない
  4. 始まりの結合点と終わりの結合点は、それぞれ1つにする
  5. 前の作業がすべて終わらないと、その結合点から出る作業は始められない

5つ目の決まりが、アローダイアグラムの考え方の中心です。結合点に矢印が2本入っているときは、その2本の作業が両方とも終わって初めて、次の作業に進めます。

ダミー作業の使いどころ

ダミー作業とは、実際には何もしない、順番だけを表すための点線の矢印のことです。所要日数は0日として扱います。使う場面は大きく2つあります。

1つは、同じ2つの結合点の間に2つの作業が並んでしまうときです。たとえば「原稿の作成」と「写真の撮影」がどちらも同じ結合点から始まって同じ結合点で終わると、決まりの2つ目に反します。このときは片方の作業の終わりに結合点を1つ追加し、そこから点線で元の結合点につなぎます。

もう1つは、作業の前後関係が一部だけ重なるときです。「作業Cは作業Aと作業Bの両方が終わってから」「作業Dは作業Bだけが終わればよい」という関係は、実線の矢印だけでは描けません。作業Aの終わりから作業Bの終わりへ点線を引くことで、Cだけが両方を待つ形を表せます。ダミーは便利ですが、増やしすぎると図が読みにくくなるため、必要な場所だけに使います。

アローダイアグラムの書き方の手順

ここからは、社内のWebサイトを作り直す仕事を例に、実際に描く手順を説明します。手順は6つです。

手順1:作業を洗い出す

最初に、仕事を作業の単位に分けます。作業の単位は「1人が数日で終えられる大きさ」が目安です。大きすぎると遅れに気づきにくく、細かすぎると図が複雑になります。

手順2:作業ごとに所要日数を見積もる

作業ごとに、何日かかるかを見積もります。見積もりは担当する人に聞くのが確実です。経験のない作業は、過去の似た仕事の実績を参考にします。

手順3:前後関係を表にする

作業ごとに「この作業を始める前に終わっていなければならない作業」を書き出します。これを先行作業と呼びます。ここでつまずく人が多いので、図を描く前に必ず表にします。

作業 内容 日数 先行作業
A 要件の整理 3日 なし
B 原稿の作成 5日 A
C デザインの作成 4日 A
D コーディング 6日 C
E 写真の撮影 2日 A
F 原稿の流し込み 2日 B、D
G 確認と修正 3日 E、F

手順4:結合点と矢印を描く

表をもとに、左から右へ描いていきます。結合点①から作業Aの矢印を引いて結合点②に着き、②からB、C、Eの3本を出します。Cの先に結合点③を置いてDを引き、BとDが合流する結合点④を作ります。④からFを引いて結合点⑤に着き、Eも⑤に入れます。最後に⑤からGを引いて、終わりの結合点⑥に着けば完成です。

描き終えたら、表の先行作業と図が合っているかを1行ずつ確かめます。Fの手前にBとDの両方が入っているか、Gの手前にEとFの両方が入っているかを見ます。

手順5:結合点ごとの日程を計算する

次の章で説明する方法で、各結合点の「最も早く始められる日」と「遅くともこの日までに始めればよい日」を計算します。

手順6:クリティカルパスに印を付ける

計算の結果、余裕が0日の作業をつないだ道筋がクリティカルパスです。太線や色で目立たせておくと、図を見た人がどこに注意すればよいかがすぐに分かります。

例題で日程を計算する

アローダイアグラムの計算は、前から順に足していく計算と、後ろから順に引いていく計算の2回で終わります。上の例題で実際に計算します。

最早結合点時刻を求める

最早結合点時刻とは、その結合点から出る作業を最も早く始められる日のことです。始まりの①を0日として、矢印に沿って日数を足していきます。

  • ①は0日
  • ②は0日に作業Aの3日を足して3日
  • ③は3日に作業Cの4日を足して7日
  • ④はBの道筋で3日+5日=8日、Dの道筋で7日+6日=13日。大きいほうを取って13日
  • ⑤はFの道筋で13日+2日=15日、Eの道筋で3日+2日=5日。大きいほうを取って15日
  • ⑥は15日に作業Gの3日を足して18日

複数の矢印が入る結合点では、必ず大きいほうの値を取ります。両方の作業が終わらないと次に進めないからです。この例では、仕事全体は最短で18日かかると分かります。

最遅結合点時刻を求める

最遅結合点時刻とは、全体の締切を守るために、遅くともその結合点までに作業を終えていなければならない日のことです。今度は終わりの⑥から始め、矢印を逆にたどって日数を引いていきます。

  • ⑥は18日
  • ⑤は18日から作業Gの3日を引いて15日
  • ④は15日から作業Fの2日を引いて13日
  • ③は13日から作業Dの6日を引いて7日
  • ②はCの道筋で7日 - 4日=3日、Bの道筋で13日 - 5日=8日、Eの道筋で15日 - 2日=13日。小さいほうを取って3日
  • ①は3日から作業Aの3日を引いて0日

逆にたどるときは、複数の矢印が出ている結合点で小さいほうの値を取ります。

余裕日数を求める

作業ごとの余裕日数は「終わりの結合点の最遅時刻 - 始まりの結合点の最早時刻 - 作業の日数」で求めます。

作業 計算 余裕日数
A 3 - 0 - 3 0日
B 13 - 3 - 5 5日
C 7 - 3 - 4 0日
D 13 - 7 - 6 0日
E 15 - 3 - 2 10日
F 15 - 13 - 2 0日
G 18 - 15 - 3 0日

余裕が0日のA、C、D、F、Gをつないだ道筋が、この仕事のクリティカルパスです。原稿の作成(B)は5日、写真の撮影(E)は10日まで遅れても、全体の締切には響きません。

クリティカルパスの見つけ方と日程の縮め方

クリティカルパスとは、始まりから終わりまでの道筋のうち、所要日数の合計が最も長い道筋のことです。この道筋の上にある作業は余裕が0日なので、1日でも遅れると全体の締切がそのまま遅れます。

図3のアローダイアグラムは2段の四角い枠の上下の数字が全て同じです。これは、どこかのタスクで1時間でもオーバーすれば、期限オーバーするということを示します。 出典: engineering-technology.brexa.com

結合点の上下に最早時刻と最遅時刻を並べて書いておくと、2つの数字が同じ結合点をたどるだけでクリティカルパスが見つかります。手計算でも、作業が20個程度までなら十分に扱えます。

日程を縮めたいときの考え方

締切が先に決まっていて、計算した日数では間に合わないことはよくあります。そのときに手を入れるのは、クリティカルパスの上の作業だけです。余裕のある作業を急がせても、全体の日数は1日も縮まりません。

縮め方には次のような方法があります。

  • 人を追加する:例題のコーディング(D)に2人目を入れて6日を4日にすれば、全体は16日になる
  • 作業を並べ替える:デザインの作成(C)を全部終えてからコーディングに入るのではなく、決まったページから順に渡して重ねて進める
  • 作業を分ける:確認と修正(G)のうち、先に確かめられる部分をFの途中から始める
  • 作業そのものを減らす:初回の公開に必要ないページを後回しにする

ただし、クリティカルパスの作業を縮めると、別の道筋が新しいクリティカルパスになることがあります。例題でDを4日にすると、④の最早時刻は「3日+4日+4日=11日」となり、Bの道筋の8日との差は3日に縮まります。縮めたら必ず計算し直します。

ガントチャートとの違いと使い分け

日程を表す図としては、ガントチャートのほうが身近かもしれません。ガントチャートとは、横軸に日付を取り、作業ごとの期間を横棒で並べた図のことです。2つの図は得意なことが違います。

比べる点 アローダイアグラム ガントチャート
作業の前後関係 矢印ではっきり分かる 棒の並びから読み取るしかない
遅れが全体に響くか クリティカルパスで分かる 図だけでは分かりにくい
いつ何をするか 日付は計算しないと分からない ひと目で分かる
進み具合の記録 向いていない 棒を塗るだけで記録できる
描く手間 前後関係の整理に時間がかかる 作業と期間を並べるだけ

使い分けの目安は、計画を立てる段階ではアローダイアグラム、進める段階ではガントチャートです。最初にアローダイアグラムで前後関係とクリティカルパスを確かめ、その結果をもとにガントチャートで日付を割り当てると、両方の良いところを使えます。ガントチャートの棒のうち、クリティカルパスの作業だけ色を変えておくと、進める段階でも注意すべき作業を見失いません。

メリットとデメリット

アローダイアグラムのメリットは、遅れてはいけない作業が数字で分かること、関係者に日程の根拠を説明しやすいこと、計画を変えたときの影響を計算で確かめられることです。

デメリットは、作業の数が増えると図が急に複雑になること、日付のカレンダーとして読むには向かないこと、見積もった日数が外れると計算全体がずれることです。作業が50個を超えるような大きな仕事では、手描きは現実的ではありません。その場合は、全体を数個の大きな作業に分けて描き、それぞれの中身は別の図や表で管理します。

日数を日付に置き換えるときの注意

アローダイアグラムの計算で出てくるのは「始めてから何日目か」という日数で、カレンダーの日付ではありません。ガントチャートに移すときは、土日や祝日、担当者の休みを除いて日付に置き換えます。例題の18日を、月曜日に始めて土日を休む前提で数えると、終わるのは4週目の水曜日です。暦の日数で18日と考えて締切を約束すると、休みの分だけ足りなくなります。

もう1つの注意は、1人が複数の作業を受け持つ場合です。アローダイアグラムは「前の作業が終われば次の作業をすぐ始められる」という前提で計算します。原稿の作成(B)とデザインの作成(C)を同じ人が受け持つなら、2つは同時に進められないため、実際の日数は計算より長くなります。人の割り当てが決まったら、同じ人の作業が重なっていないかをガントチャートで確かめ、重なっていれば順番を決めて図に戻します。

作成に使える道具と費用

アローダイアグラムは、特別な道具がなくても描けます。作業の数と、図を誰と共有するかで選びます。

紙とホワイトボード

作業が10個前後までなら、紙やホワイトボードが最も速い方法です。関係者が集まって、付箋に作業を1つずつ書き、並べ替えながら矢印を引くと、前後関係の見落としにその場で気づけます。費用は付箋とペンだけです。描いた図は写真に撮って共有します。

Excel・PowerPoint・作図ツール

清書して資料に入れるなら、ExcelやPowerPointの図形の機能で描けます。丸と矢印を組み合わせるだけなので、新しく道具を買う必要はありません。無料で使えるWeb上の作図ツールにも、矢印と丸を描く機能があります。ただし、どれも日程の計算はしてくれないため、最早時刻と最遅時刻は自分で計算して書き込みます。Excelなら、作業の表の隣に計算式を組んでおくと、日数を変えたときに結果を引き直せます。

作業の分担と進み具合を共有する道具

アローダイアグラムで計画を立てたあと、実際に複数の人で進める段階では、担当と期限を共有できる道具があると便利です。図そのものは計画の段階で描き、その結果をガントチャートやカンバンに移して日々の進み具合を追う、という使い分けになります。

候補の1つがPinatecaです。公式サイトによると、カンバン、ガントチャート、カレンダー、リストなど8種類のボードとチャットが無料プランから使えます。ガントのボードではカードの期間が横棒で並び、バーをドラッグすると開始日と締切をその場で変えられ、今日の日付の線で遅れている作業を確かめられると案内されています。担当者別やラベル別の絞り込みもできます。5人までのチームなら期限なしで無料で、ボードは10個まで作れます。6人目、または11個目のボードからはスタンダードプランで、料金は1人あたり月額500円(年払いなら1人あたり月額400円、税抜)です。たとえば例題のクリティカルパスの作業にラベルを付けておけば、ガントのボードで絞り込んで、遅れてはいけない作業だけを毎朝確かめられます。なお、Pinatecaはアローダイアグラムを描いたり余裕日数を計算したりする道具ではなく、決めた計画の担当と期限と進み具合を共有するための道具です。Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。

よくある書き間違いと直し方

アローダイアグラムを初めて描くと、同じところで間違える人が多くいます。描き終えたら、次の5点を確かめます。

前後関係の取り違え

最も多いのは、「先に終わっていたほうがよい作業」と「先に終わっていなければならない作業」を混ぜてしまう間違いです。先行作業として書くのは、終わらないと物理的に始められない作業だけにします。「できれば先に」という関係まで矢印にすると、余裕のある作業までクリティカルパスに見えてしまいます。

合流点で小さいほうの値を取る

最早時刻の計算で、複数の矢印が入る結合点で小さいほうの値を取ってしまう間違いもよく見られます。前から計算するときは大きいほう、後ろから計算するときは小さいほう、と覚えておきます。

ダミーの付け忘れ

同じ2つの結合点の間に2本の矢印を引いてしまい、どちらの作業の日数を使えばよいか分からなくなる間違いです。作業の終わりに結合点を1つ追加し、点線でつなぎ直します。

見積もりの日数が楽観的すぎる

計算が正しくても、日数の見積もりが甘ければ計画は外れます。担当する人に「順調にいけば何日、つまずいたら何日」と2つの数字を聞いておくと、計画の幅が分かります。PERTの本来の手法では、楽観値、最も起こりやすい値、悲観値の3つから日数を出す方法も使われます。

一度描いて終わりにする

計画は進めるうちに変わります。作業が増えた、日数が変わった、というときに図を描き直さないと、クリティカルパスが別の道筋に移ったことに気づけません。週に1回など、見直す日を決めておきます。見直しのときは、終わった作業の実際の日数を書き込み、残りの作業だけで計算し直します。予定より早く終わった作業があれば、その分だけ後ろの作業に余裕が生まれ、遅れた作業があれば、どこまで余裕を食いつぶしたかが分かります。

関係者に見せずに描く

図を1人で描いて配るだけでは、前後関係の思い込みが残ります。担当者は「自分の作業は誰の何を待っているのか」を一番よく知っています。描いた図を関係者に見せ、「この矢印で合っているか」「この日数で終わるか」を確かめてもらうと、見落としていた待ちや、実は並行して進められる作業が見つかります。

試験で問われるアローダイアグラム

アローダイアグラムは、ITパスポート試験、基本情報技術者試験、中小企業診断士試験などで計算問題として出題されます。問われる形はほぼ決まっています。

  • 仕事全体の最短の所要日数を求める
  • クリティカルパスに当たる作業を選ぶ
  • ある作業が何日遅れたら全体が遅れるかを求める
  • ある作業を短縮したとき、全体が何日縮まるかを求める

どの問題も、この記事の例題と同じ2回の計算で解けます。4つ目の短縮の問題では、短縮した結果、別の道筋がクリティカルパスに変わる仕掛けがよく使われます。縮めた日数をそのまま全体から引かず、計算し直すのがこつです。

練習問題で確かめる

この記事の例題を使って、試験と同じ形の問題を2つ解いてみます。

1つ目は「原稿の作成(B)が予定より7日遅れて12日かかった。全体は何日遅れるか」という問題です。Bの余裕日数は5日なので、7日の遅れのうち5日は吸収され、全体は2日遅れて20日になります。確かめると、④の最早時刻はBの道筋で3日+12日=15日となり、Dの道筋の13日を上回るため、15日+2日+3日=20日です。

2つ目は「コーディング(D)を6日から2日に縮めた。全体は何日になるか」という問題です。Dを4日縮めても、全体が4日縮むとは限りません。④の最早時刻はDの道筋で3日+4日+2日=9日、Bの道筋で8日なので9日です。全体は9日+2日+3日=14日となり、4日縮みます。ここでDをさらに1日に縮めると、Dの道筋は8日でBの道筋と並び、それ以上Dを縮めても全体は縮まらなくなります。このように、縮めた結果どの道筋が最も長くなるかを毎回確かめるのが、計算問題で点を落とさないこつです。

試験の対策としては、過去問を解く前に、手元の仕事を1つアローダイアグラムにしてみるのが近道です。自分で作業を分けて前後関係を考えると、問題文の表から図を描く手順が自然に身につきます。

中小企業診断士の試験では、運営管理の科目で生産や工程の管理の問題として扱われます。中小企業診断士の資格ガイドでは、試験の科目の構成や受験の流れ、資格を仕事に生かす道をまとめています。アローダイアグラムのような工程の管理の手法は、診断士が企業の生産の現場を助言するときに使う基本の道具の1つです。

計画を図にできる人が任される仕事

最後に、アローダイアグラムを使えることが、仕事を受ける側にとってどんな意味を持つかを整理します。

フリーランスや在宅ワークの仲介を20年以上運営してきた立場から見ると、長く仕事が続く人ほど、作業そのものの腕前に加えて「いつ何が終わるか」を相手に先回りして伝えています。発注者が不安になるのは、作業が遅れたときよりも、遅れるかどうかが分からないときです。計画を図にして、遅れてはいけない作業と待てる作業を共有しておく人には、次の仕事も任されやすい傾向があります。仲介の手数料が乗らない直接の取引では、こうした信頼がそのまま次の依頼につながり、同じ予算でも受け手の手取りが厚くなります。

工程を組み立てる力が直接生きるのは、複数の作業者を束ねる仕事です。たとえば、業務にAIを取り入れる手順を企業と一緒に設計するAIコンサル・業務活用支援のお仕事では、現状の調査、試験導入、社内展開と、前後関係のある作業を計画に落とし込む場面が続きます。設計、実装、テストの順番が厳しく決まるアプリケーション開発のお仕事でも、どの機能の遅れが公開日に響くかを見極める力が求められます。

制作の仕事でも同じです。デザイナーの年収・単価相場では、デザイナーの働き方ごとの収入の目安と単価の幅を紹介しています。デザインの工程は原稿や素材を待つ時間が長く、待ちを計画に組み込める人ほど、複数の案件を無理なく並行して受けられます。

在宅で分業する体制を整えたい事業者は、国の助成金を使える場合があります。テレワーク 助成金 2026では、テレワークの導入に使える助成金の種類と申請の流れを紹介しています。介護や福祉の事業所で記録の電子化を進めるなら、介護・福祉事業所のDX化2026|IT導入補助金で介護記録を完全デジタル化が、補助金を使った導入の手順を扱っています。どちらも、導入の作業を洗い出して順番を決めるところから始まるため、アローダイアグラムで計画を描いておくと申請の準備が進めやすくなります。

アローダイアグラムは、紙1枚とペンがあれば今日から描けます。まずは手元の仕事を5個から10個の作業に分け、先行作業の表を作るところから始めてみてください。

よくある質問

Q. アローダイアグラムとガントチャートはどちらを使えばよいですか?

計画を立てる段階ではアローダイアグラム、進める段階ではガントチャートが向いています。アローダイアグラムで作業の前後関係とクリティカルパスを確かめ、その結果をもとにガントチャートで日付を割り当てると、遅れてはいけない作業を見失わずに日々の進み具合を追えます。作業が少ない仕事なら、ガントチャートだけで足りることもあります。

Q. ダミー作業はどんなときに使いますか?

同じ2つの結合点の間に2つの作業が並んでしまうときと、作業の前後関係が一部だけ重なるときに使います。ダミーは点線の矢印で描き、日数は0日として扱います。実際の作業はなく、順番だけを表すための記号です。増やしすぎると図が読みにくくなるので、必要な場所だけに使います。

Q. クリティカルパスが2本以上ある場合はありますか?

あります。所要日数の合計が同じ道筋が2本以上あれば、どれもクリティカルパスになります。その場合は、どちらの道筋の作業が遅れても全体の締切が遅れるため、注意する作業が増えます。日程を縮めるときは、すべてのクリティカルパスを同時に縮めないと全体の日数は短くなりません。

Q. アローダイアグラムを描くのに専用のソフトは必要ですか?

必要ありません。作業が10個前後までなら、紙やホワイトボードに付箋で描くのが最も速い方法です。資料に入れるなら、ExcelやPowerPointの図形の機能で描けます。どの方法でも日程の計算は自分で行う必要があるため、作業の表と計算式をExcelに用意しておくと、日数を変えたときに結果を引き直せます。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年10月21日最終更新:2026年10月24日
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