ANDPAD受発注の費用と使い勝手|工務店が導入前に確認すべきこと 2026

長谷川 奈津
長谷川 奈津
ANDPAD受発注の費用と使い勝手|工務店が導入前に確認すべきこと 2026

この記事のポイント

  • ANDPAD受発注の費用が気になる工務店・建設業の担当者向けに
  • 料金体系の仕組み・見積もりが変わる要素・導入前のチェックポイントを解説
  • バックオフィス業務を外注で軽くする選択肢と

先日、ある内装工事会社の経営者さんから相談を受けました。「ANDPAD受発注を導入したいけれど、公式サイトに料金が書いていない。いくらかかるのか怖くて問い合わせもできない」と。これ、知らない人が本当に多いんです。結論から言うと、ANDPAD受発注は「見積もり制」で、会社の規模や使う機能によって費用が変わる仕組みになっています。だからこそ、費用の全体像と、何が金額を左右するのかを先に理解しておくことが、導入判断の一番の武器になります。この記事では「andpad 受発注 費用」について、料金体系の考え方から、見積もり前にやっておくべき準備、そして受発注や請求まわりのバックオフィス業務そのものを外注で軽くするという選択肢まで、発注者が意思決定できる粒度で整理していきます。

ANDPAD受発注とは何か|まず費用の前に押さえる全体像

「andpad 受発注 費用」と検索する方の多くは、すでにANDPAD受発注がどんなサービスかをある程度ご存じだと思います。ただ、費用を正しく理解するには、このサービスが「何を電子化してくれるのか」を先に押さえておく必要があります。なぜなら、費用は「どの範囲を電子化するか」でほぼ決まるからです。

ANDPAD受発注は、株式会社アンドパッドが提供する建設業向けの電子受発注システムです。これまで紙やFAX、電話でやり取りしていた注文書・請書・出来高・請求書といった一連の書類を、クラウド上で完結できるようにするものです。元請けと協力会社(下請け)の間で行われる、日々の発注から請求処理までの流れをまるごとデジタル化する、と考えるとイメージしやすいでしょう。

公式の発表では、このサービスの成長ぶりが数字で示されています。

クラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」を運営する株式会社アンドパッド(本社:東京都千代田区、代表取締役:稲田武夫、以下アンドパッド)は、建設業向けの電子受発注システム「ANDPAD受発注」の流通総額(以下GMV)が2年で614%※成長したことをお知らせします。合わせて、請求書受領から査定業務、書類の保管までを電子化する新サービス「ANDPAD請求管理」の提供を開始します。建設業の商習慣に対応した請求管理サービスで、バックオフィス業務の更なる効率化を支援します。 出典: andpad.co.jp

つまり、GMV(流通総額)が2年で614%も伸びているということは、それだけ多くの建設会社が「紙の受発注をやめたい」と考え、実際に移行しているという証拠です。この背景には、2023年10月に始まったインボイス制度と、電子帳簿保存法への対応という、避けて通れない法改正があります。

インボイス制度では、適格請求書(インボイス)の要件を満たした書類のやり取りが求められます。電子帳簿保存法では、電子でやり取りした取引書類は電子のまま保存することが原則になりました。つまり、これまで「紙で届いた請求書をファイルに綴じておく」で済んでいた運用が、法律の面からも見直しを迫られているわけです。ANDPAD受発注は、電子署名やタイムスタンプといった機能で、こうした関連法令への対応を前提に設計されています。だからこそ、単なる業務効率化ツールではなく「法令対応のためのインフラ」として導入を検討する会社が増えているんです。

費用の話に入る前にこの全体像を押さえておくと、「なぜタダではないのか」「何にお金を払っているのか」が腑に落ちます。払っているのは、紙とFAXと電話で回していた煩雑な業務を、法令にも対応した形で丸ごと置き換える仕組みへの対価だと理解しておいてください。

ANDPAD受発注の費用はなぜ「見積もり制」なのか

「andpad 受発注 費用」で検索して一番モヤモヤするのが、公式サイトに具体的な金額が載っていないことでしょう。月額いくら、と一目でわかれば楽なのに、なぜ見積もり制なのか。これには、はっきりした理由があります。

建設業向けの業務システムは、導入する会社の規模・業種・使う機能の幅によって、必要なものがまったく違います。10人の工務店と、協力会社を100社抱える中堅ゼネコンでは、必要なアカウント数も、扱う書類の量も、連携すべき既存システムも、桁が変わります。これを一律の月額料金で提供すると、小さな会社には割高になり、大きな会社には機能不足になってしまう。だから「あなたの会社にはこの構成が最適です」という個別見積もりの形をとっているわけです。

これは建設業向けの受発注・施工管理システム全般に共通する慣習でもあります。同じANDPADシリーズの施工管理アプリも同様に見積もり制で、料金を解説した比較サイトでも「見積もり金額が変わる要素」を丁寧に説明する構成が多く見られます。逆に言えば、金額が公開されていないからといって不透明なわけではなく、「条件を伝えれば明確な金額が返ってくる」仕組みだということです。

ここで一つ、発注者として知っておいてほしいことがあります。見積もり制のサービスは、問い合わせの前に自社の状況を整理しておくかどうかで、返ってくる提案の質が大きく変わります。何も準備せずに「いくらですか」と聞くと、ざっくりした概算しか返ってきません。逆に、後述するような情報(社員数・協力会社数・月間の発注件数など)を整理して渡せば、精度の高い見積もりと、無駄のない機能構成を提案してもらえます。これ、法務相談でも同じで、状況を整理して来てくださる相談者ほど、的確なアドバイスができるんです。

ANDPAD受発注の料金体系を左右する主な要素

具体的な金額は個別見積もりですが、「何が金額を決めるのか」は、ある程度の型があります。ここを理解しておくと、見積もりが出てきたときに「なぜこの金額なのか」を自分で検証できるようになります。建設業向け受発注システム全般に共通する、費用を左右する主な要素を整理します。

利用するアカウント数・ユーザー規模

多くの業務システムで、費用のベースになるのがアカウント数(利用ユーザー数)です。自社の社員だけでなく、システム上でやり取りする協力会社の担当者もカウントされる場合があります。たとえば、社内で発注業務に関わる人が5人、日常的にやり取りする協力会社が20社あるとすると、想定される利用者はそれなりの人数になります。

ここで発注者が注意すべきは、「最初から全員分のアカウントを用意しない」という考え方です。導入初期は、まず主要な協力会社数社と、社内の中心メンバーだけで始めて、運用が回ることを確認してから広げる。この段階的な進め方なら、初期費用を抑えつつ、現場の混乱も防げます。いきなり全社展開して「使い方がわからない」という声が噴出すると、せっかくのシステムが定着しないまま費用だけがかさむ、という失敗につながりがちです。

規模の目安として、小規模な工務店であれば月額数万円台からのレンジで検討されるケースが一般的ですが、協力会社を多数抱える中堅以上になると、月額10万円を超える構成になることも珍しくありません。あくまで一般的な業務システムの相場感ですが、規模に比例して費用が上がる、という原則は覚えておいてください。

使う機能の範囲(受発注・請求・出来高など)

ANDPAD受発注は、注文・請書だけでなく、出来高管理や請求処理まで含めた一連の流れをカバーします。さらに新サービスの「ANDPAD請求管理」のように、請求書の受領・査定・保管まで電子化する機能も追加されています。どこまでの機能を使うかで、当然ながら費用は変わります。

発注者としては、「全部入り」を最初から選ぶ必要はありません。自社の一番の困りごとがどこにあるかを見極めることが大事です。たとえば「月末の請求処理に時間がかかりすぎている」のが最大の悩みなら、まずは請求まわりの機能から始める。「協力会社への発注書のやり取りがFAXで煩雑」なら、受発注機能を中心に組む。困りごとの中心から機能を選べば、費用の無駄を抑えられます。

既存システムとの連携・カスタマイズ

すでに会計ソフトや原価管理システムを使っている会社の場合、それらとのデータ連携が必要になることがあります。連携の有無や、自社の商習慣に合わせたカスタマイズの度合いによっても、費用は変動します。標準機能のまま使うのが一番安く、独自の運用に合わせて作り込むほど費用は上がる、というのは、どんな業務システムでも共通する原則です。

ここで一つアドバイスです。導入初期は、できるだけ標準機能のまま運用を始めることをおすすめします。「うちの独自ルールに合わせて」とカスタマイズを盛り込むと、費用が膨らむだけでなく、システムのバージョンアップに追従しにくくなるという副作用もあります。まずは標準に自社の運用を寄せてみて、どうしても合わない部分だけを後からカスタマイズする。この順番なら、費用も運用リスクも抑えられます。

導入サポート・初期設定費用

月額の利用料とは別に、導入時の初期設定やサポートに費用がかかる場合があります。協力会社への説明会の実施、初期データの移行、操作研修などです。特に、ITに不慣れな協力会社が多い場合、この導入サポートの手厚さが、システムが定着するかどうかを分けます。

「月額は安いけれど導入サポートが薄く、結局現場で使われずに終わった」というのは、業務システム導入でよくある失敗です。目先の月額だけでなく、導入から定着までにかかる総額と、サポートの中身を見て判断してください。

ANDPAD受発注を導入するメリット|費用に見合う効果はあるか

費用を払う以上、それに見合う効果があるかは当然気になるところです。ここでは、実際にANDPAD受発注を導入した現場で、どんな業務がどう変わるのかを見ていきます。費用対効果を判断する材料にしてください。

月末の請求処理が劇的に楽になる

導入効果として最もよく語られるのが、月末の請求業務の負担軽減です。ある導入事例では、次のように紹介されています。

最も業務効率が改善されたのが月末の請求書の処理だ。月末締めで請求書を処理するが、アナログ管理をしていた時は月末に一気に紙の請求書が届く。月に130件の業務をこなした場合、その請求書を処理するのに3日間ほどかかっていたという。しかし、ANDPADの受発注管理を利用すれば、一件ずつ施工完了と同時に請求書の処理が可能だ。月末にやることは、受発注管理の照らし合わせと請求受理ボタンを押すだけ。これまで月末は身動きが取れなかったが、今では他の業務に時間が避けるようになったという。 出典: shopowner-support.net

つまり、月末に3日間かかっていた請求処理が、日々の積み重ねで済むようになり、月末は照合とボタン操作だけになる、ということです。これ、単なる時短ではありません。月末の3日間、担当者が請求処理に張り付いていたということは、その間、他の付加価値の高い仕事ができていなかったということです。この時間が空くことの価値は、時給換算した数字以上に大きいんです。

書類の紛失・記入ミスが減る

紙とFAXの受発注では、「注文書がどこかにいった」「記入した金額が違っていた」「請書の返送を忘れていた」といったトラブルが避けられません。電子化すると、こうしたヒューマンエラーが構造的に減ります。書類はクラウド上に一元管理され、検索すればすぐ出てきます。金額や数量の入力もシステム上でチェックされます。

法務の視点から補足すると、書類の管理がずさんだと、いざトラブルになったときに「言った言わない」の争いになりやすいんです。契約や発注の内容が電子データとして日付入りで残っていれば、それ自体が証拠になります。※ただし、契約書の内容そのものに関する法的判断が必要なケースでは、弁護士や専門家に相談してください。システムはあくまで記録を残す道具であって、契約内容の適法性まで保証するものではありません。

法令対応の手間が減る

前述のとおり、インボイス制度と電子帳簿保存法への対応は、いまや建設業のバックオフィスにとって必須の課題です。これを自社で一から仕組みづくりするのは、相当な労力がかかります。ANDPAD受発注のように、最初から法令対応を織り込んで設計されたシステムを使えば、この部分の負担を大きく減らせます。

法改正のたびに運用を見直す手間を考えると、法令対応が組み込まれていることは、目に見えにくいけれど大きなメリットです。つまり、月額費用の中には「法令対応を自社でやらなくて済む」という保険料的な価値も含まれている、と考えると納得しやすいでしょう。

導入前に確認すべき注意点と口コミの読み方

メリットばかり並べても意味がありません。発注者として、導入前に確認しておくべき注意点と、口コミ・評判との付き合い方を正直にお伝えします。

協力会社が使ってくれるかが最大の壁

ANDPAD受発注は、元請けだけが使っても効果は半分です。協力会社が実際にシステム上で請書を返し、出来高を報告してくれて初めて、真価を発揮します。ところが、協力会社の中にはITに不慣れな職人さんも多く、「今までどおりFAXでいい」と抵抗されることも少なくありません。

これは導入前に必ず想定しておくべきリスクです。対策としては、主要な協力会社に事前に相談し、導入の目的とメリットを丁寧に説明すること。そして、全社一斉ではなく、協力的な会社から段階的に広げること。この根回しを怠ると、システムを入れても現場で使われず、費用だけが出ていく、という一番避けたい事態になります。

口コミ・評判は「自社の規模」で読み替える

導入を検討するとき、口コミや評判を調べるのは当然です。ただ、口コミを読むときは「その会社の規模・業種が自社と近いか」を意識してください。大手ゼネコンの担当者が書いた「機能が豊富で満足」という評価と、10人の工務店にとっての使い勝手は、必ずしも一致しません。

良い口コミも悪い口コミも、書いた人の立場によって見え方が変わります。「操作が難しい」という声があっても、それがITに不慣れな高齢の職人さんの感想なのか、日常的にPCを使う事務担当者の感想なのかで、意味がまるで違います。口コミは参考にしつつ、最終的には自社の状況に近い事例を、営業担当に直接尋ねて確認するのが確実です。

費用は「導入後の運用コスト」まで含めて考える

見積もりで提示される月額費用だけを見て判断するのは危険です。実際には、社内の担当者がシステムを運用する工数、協力会社への継続的なフォロー、操作に慣れるまでの生産性の一時的な低下など、目に見えにくいコストもあります。逆に、慣れた後に浮く時間という「見えにくいリターン」もあります。

こうした費用対効果は、数字だけでは測りきれません。だからこそ、導入前に「何のために入れるのか」「導入後、誰がどう運用するのか」を社内で言語化しておくことが大切です。目的が曖昧なまま「便利そうだから」で入れると、費用の妥当性を後から検証できなくなります。

受発注システム導入と並行して考えたい「バックオフィスの外注」という選択肢

ここまでANDPAD受発注の費用と使い勝手を見てきましたが、視点を少し広げてみましょう。システムを導入する目的は、突き詰めれば「バックオフィス業務の負担を減らし、本業に集中する」ことです。だとすれば、システム導入だけが解決策とは限りません。業務そのものを外部の専門家に任せる、という選択肢も同時に検討する価値があります。

システムを入れても「運用する人」の問題は残る

ANDPAD受発注のような優れたシステムを入れても、それを操作し、日々のデータを入力し、協力会社とやり取りする「人」の負担がゼロになるわけではありません。むしろ、システムに慣れるまでは一時的に負担が増えることすらあります。特に、経理や事務の専任担当を置けない小規模な会社では、社長や現場監督が本業の合間にこうした事務を抱え込んでいるケースが多いんです。

この「事務を回す人手」の部分を、外部のフリーランスや業務委託先に任せるという発想があります。請求書の入力・整理、発注データの管理、協力会社との連絡調整といった定型業務は、在宅で対応できる事務のプロに委託できる領域です。システムで業務の「型」を整えたうえで、その運用を外注する。この組み合わせが、少人数の建設会社にとって現実的な解になることがあります。

中間マージンのない直接依頼という考え方

事務や経理の外注を考えるとき、多くの方がまず代行会社や派遣会社を思い浮かべます。ただ、代行会社や派遣を通すと、実際に作業する人に払う報酬に加えて、仲介手数料が上乗せされます。この中間マージンは、決して小さくありません。同じ作業を頼むなら、仲介を通さずフリーランスへ直接依頼したほうが、その分だけコストを抑えられます。

たとえば、経理事務を月にまとまった時間だけ委託したいとき、代行会社経由だと管理費や紹介料が乗った金額になります。一方、業務委託マッチングサービスを使ってフリーランスの経理担当に直接依頼すれば、中間マージンがない分、同じ予算でより多くの業務を頼めたり、より経験豊富な人に任せられたりします。この構造は、発注者にとっても受け手にとっても、双方が得をする形になっています。

在宅ワークの求人・業務委託の相場感を知りたい方は、職種ごとの単価データが参考になります。事務系の委託を検討するなら、著述家,記者,編集者の年収・単価相場のような近接職種のデータや、システム運用まわりを任せたい場合はソフトウェア作成者の年収・単価相場を見ておくと、直接依頼したときの費用感をつかめます。

どんな人に何を頼めるかを知る

バックオフィスの外注といっても、任せられる業務の幅は広いです。事務作業だけでなく、受発注システムの初期設定やデータ移行を手伝ってくれるITに強い人材、業務フローそのものの改善を提案できるコンサル的な人材まで、多様な専門家がフリーランスとして活動しています。

どんな仕事をどんな人に頼めるのかを具体的に知りたい方は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事AI・マーケティング・セキュリティのお仕事といったガイドが役立ちます。受発注システムと基幹システムの連携など、開発が絡む依頼を考えているならアプリケーション開発のお仕事を見ておくと、依頼できる業務の範囲がイメージしやすくなります。事務の外注先を探す際、相手のスキルの裏付けとして資格を参考にすることもあります。文書作成のレベル感を測るならビジネス文書検定、システム・ネットワーク周りならCCNA(シスコ技術者認定)といった資格が一つの目安になります。

発注者として失敗しないための見積もり比較と依頼の進め方

ここからは、ANDPAD受発注の見積もりを取るときも、事務の外注先を選ぶときも共通して使える、発注者としての実務的な進め方をお伝えします。私自身、発注する側として痛い失敗をしたことがあるので、その経験も交えてお話しします。

見積もりは必ず複数から取り、条件をそろえる

これは基本中の基本ですが、見積もりは必ず複数から取ってください。そして、比較するときは条件をそろえること。私が事務所を開業したばかりの頃、ホームページ制作を外注したのですが、A社は「トップページ+5ページで15万円」、B社は「一式20万円」という見積もりで、金額だけ見てA社に頼みました。ところが、A社の見積もりには問い合わせフォームの設置も、スマホ対応も含まれておらず、後から追加費用で結局B社より高くついたんです。安さだけで選んで、含まれる範囲を確認しなかった私のミスでした。

この失敗から学んだのは、「何が含まれていて、何が含まれていないか」を一覧にして比較することの大切さです。ANDPAD受発注の見積もりでも同じで、月額に何が含まれるのか、初期費用は別か、サポートの範囲はどこまでか、を項目ごとにそろえて比べてください。

業務範囲を事前に言語化しておく

見積もりの精度は、こちらが渡す情報の精度で決まります。「なんとなく便利にしたい」では、まともな見積もりは返ってきません。システム導入なら、社員数・協力会社数・月間の発注件数・現在使っている会計ソフトなどを整理する。事務の外注なら、任せたい業務を「請求書入力を月80件」「協力会社への発注連絡を週20件」のように、量と頻度まで具体的に書き出す。

この言語化の作業は、面倒でも必ずやってください。業務範囲を明確にしておくと、見積もりの精度が上がるだけでなく、後から「これも頼んだはず」「それは範囲外です」というトラブルを防げます。契約の世界では、業務範囲(スコープ)を曖昧にしたまま進めるのが、一番もめる原因なんです。

契約前に必ず確認すべきこと

外注先が決まったら、契約の前に条件を書面で確認してください。特にフリーランスへの直接依頼の場合、2024年11月に施行されたフリーランス保護新法(正式には特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)により、発注者には取引条件を書面などで明示する義務があります。つまり、業務内容・報酬額・支払期日を、口約束ではなく書面やメールで残すことが法律上も求められているんです。これ、発注者を縛るルールに見えて、実は発注者自身をトラブルから守る仕組みでもあります。

支払いについても新法に定めがあり、発注者は原則として給付を受け取った日から60日以内に報酬を支払う義務があります。※ただし、個別の契約内容や下請法との関係が複雑なケースでは、専門家に相談することをおすすめします。詳しい制度の内容は、公正取引委員会や関係省庁の情報も確認しておくと安心です。フリーランスへ依頼する側になるなら、こうした基本ルールを知っておくことが、良い取引関係を築く第一歩になります。

運営者の視点|「安さ」より「手取りの厚さ」が続く関係をつくる

フリーランス・在宅ワーク市場を20年運営してきた立場から、一つお伝えしておきたいことがあります。発注者の方が外注先を選ぶとき、どうしても「一番安いところ」に目が行きがちです。でも、運営者として長くこの市場を見てきた限りでは、うまくいっている発注者ほど、単価の安さだけで相手を選んでいません。

なぜか。フリーランスへの直接依頼で中間マージンが乗らないということは、同じ予算でも受け手の手取りが厚くなるということです。手数料0%で直接つながる関係では、発注者が払ったお金がまるごと相手の報酬になります。この「手取りが厚い」という感覚は、受け手のモチベーションと、仕事の質に直結します。仲介に何割も抜かれた案件と、全額が自分に入る案件とでは、同じ人でも力の入り方が変わるものなんです。

長く続く発注者と受注者の関係を見ていると、共通点があります。それは、発注者が「単発の作業を安く買い叩く」のではなく、「この人に任せると楽だ」という信頼関係を育てていることです。最初は請求書の入力を頼んでいた相手に、慣れてきたら発注データの管理も、協力会社との連絡調整も任せられるようになる。こうして業務を丸ごと預けられる関係になると、発注者は本業に集中でき、受け手は安定した仕事を得られる。この双方が得をする構造こそ、外注をうまく使う本質だと、現場を見てきて実感しています。

ANDPAD受発注のようなシステムで業務の型を整えることと、その運用を信頼できる人に直接任せること。この二つを組み合わせれば、少人数の建設会社でもバックオフィスの負担は確実に軽くなります。システムはあくまで道具で、それを動かすのは人です。だからこそ、良い道具を選ぶのと同じくらい、良いパートナーを選ぶことに時間をかけてほしい。法律はあなたの味方ですし、良いパートナーもまた、あなたの事業を支える味方になってくれます。

@SOHO独自データの考察|バックオフィス外注の相場感と直接取引のコスト差

最後に、業務委託マッチングの現場で見えてくる、バックオフィス外注の相場感と、直接取引がもたらすコスト差について考察しておきます。

事務・経理系の業務委託は、在宅ワーク市場の中でも安定した需要がある分野です。請求書処理や発注管理といった定型業務は、経験者であれば時間あたりの生産性が高く、発注者にとっては費用対効果を出しやすい領域です。相場としては、単純なデータ入力系で1件あたり数十円から数百円、専門知識を要する経理処理になると時給換算で1,500円から3,000円程度が一つの目安になります。これはあくまで市場全体の相場感であり、業務の難易度や責任の重さによって変動します。

ここで注目したいのが、仲介経由と直接依頼のコスト差です。一般的に、代行会社や人材派遣を経由すると、実際に作業する人への報酬に対して、管理費・紹介料として2割から4割程度が上乗せされる構造になっています。つまり、発注者が10万円払っても、実際に働く人の手元に届くのは6万円から8万円ということです。この差額が、直接依頼にすれば発注者のコスト削減にも、受け手の手取り増にも回せる余地になります。

もちろん、仲介会社には品質保証や代替要員の手配といった価値もあります。だから直接依頼が常に正解とは限りません。ただ、依頼する業務が定型的で、相手のスキルさえ見極められれば、中間マージンのない直接取引のほうが、費用面では明確に有利です。ANDPAD受発注の導入費用を検討するのと同じ目線で、「この事務作業を誰に、どういう経路で頼むのが一番コスト効率がいいか」を一度整理してみることをおすすめします。システムへの投資と、人への投資。この両輪を最適化することが、建設業のバックオフィス改革の近道になるはずです。行政書士として、そして市場を見てきた立場から、費用の妥当性を自分の頭で検証できる発注者になっていただきたいと願っています。

よくある質問

Q. ANDPAD受発注の費用はいくらくらいですか?

公式には見積もり制で、金額は非公開です。会社の規模・利用アカウント数・使う機能の範囲・既存システムとの連携有無によって変わります。小規模な工務店なら月額数万円台から、協力会社を多数抱える中堅企業では月額10万円を超える構成になることもあります。正確な金額は、社員数や月間発注件数を整理してから問い合わせると精度の高い見積もりが得られます。

Q. 費用を抑えて導入するコツはありますか?

最初から全機能・全アカウントを揃えず、段階的に始めるのがコツです。自社の一番の困りごと(請求処理か発注管理か)に絞って必要な機能から導入し、標準機能のまま運用を始めてカスタマイズは最小限にとどめます。主要な協力会社数社と社内の中心メンバーだけで運用が回ることを確認してから、徐々に対象を広げると、初期費用と現場の混乱の両方を抑えられます。

Q. システムを導入すれば事務の人手は不要になりますか?

いいえ、システムを入れてもデータ入力や協力会社との調整を行う「人」の業務は残ります。むしろ慣れるまでは一時的に負担が増えることもあります。専任の事務担当を置けない小規模な会社では、こうした定型業務を在宅の事務フリーランスに業務委託する方法もあります。システムで業務の型を整え、その運用を外注する組み合わせが現実的な解になることがあります。

Q. 事務を外注するなら代行会社と個人フリーランスのどちらが安いですか?

費用面では、中間マージンのない個人フリーランスへの直接依頼のほうが安く済むケースが多いです。代行会社や派遣を経由すると、作業者への報酬に管理費・紹介料として2割から4割程度が上乗せされます。ただし仲介会社には品質保証や代替要員手配などの価値もあります。業務が定型的で相手のスキルを見極められるなら、業務委託マッチングサービスでの直接依頼がコスト効率に優れます。

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監修:@SOHO編集部

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公開:2026年5月10日最終更新:2026年8月26日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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