定年後に在宅で動画の字幕づくりをする|未経験からの始め方と収入の目安 2026

中西 直美
中西 直美
定年後に在宅で動画の字幕づくりをする|未経験からの始め方と収入の目安 2026

この記事のポイント

  • 定年後に動画の字幕づくりを在宅で始めたい方へ
  • 未経験から必要なスキル
  • 続けるための体と心の整え方まで

「定年後、家にいる時間が長くなって、何か手を動かす仕事がしたい」。こういうご相談、本当に増えています。

なかでも最近多いのが、動画の字幕づくりです。パソコンが1台あればできて、人と対面しなくてよくて、自分のペースで進められる。定年後の在宅ワークとして、実はとても相性がいい仕事です。

ただ、始める前に不安になりますよね。「未経験でもできるの?」「目が疲れないか」「本当に仕事があるのか」。大丈夫です。ひとつずつ整理していきます。この記事では、動画の字幕づくりがどんな仕事なのか、何を用意すればいいのか、報酬はどのくらいなのか、そして無理なく続けるにはどうすればいいのかを、全部お話しします。

動画の字幕づくりという仕事の正体

まず、この仕事が具体的に何をするのかを、はっきりさせておきましょう。ここが曖昧なまま始めようとすると、不安だけが大きくなります。

「字幕」と「テロップ」は別物です

同じように見えて、実は違います。

字幕(キャプション)は、話している内容をそのまま文字にするものです。聞こえない人や、音を出せない環境で見る人のためのもの。話し言葉を正確に、聞き取れる速度に合わせて表示します。

テロップは、内容を強調したり補足したりする文字です。バラエティ番組で強調される大きな文字、YouTube動画の色つきの文字。これは演出の一部で、話した通りに全部出すわけではありません。

在宅の求人では、この2つがまとめて「字幕作成」「テロップ入れ」と呼ばれます。実際の業務ではどちらも扱うことが多いので、両方の考え方を知っておくと安心です。

1本の動画で何をするのか

具体的な作業の流れを追ってみます。

まず、動画を受け取ります。クラウドストレージのリンクで届くことがほとんどです。次に、音声を聞きながら文字に起こします。今は自動文字起こしツールがあるので、ゼロから打つことはほとんどありません。

そのあとが本番です。自動で起こされた文章には、必ず間違いがあります。固有名詞、専門用語、同音異義語。ここを人の目で直していく。これが字幕づくりの中心的な作業です。

さらに、文字を表示するタイミング(タイムコード)を音声に合わせます。話し始めより先に文字が出ると視聴者は違和感を持ちますし、遅れると読み切れません。0.2秒単位の調整が効いてきます。

最後に、1行あたりの文字数を整えます。長すぎる行は読めません。スマートフォンで見ることを前提に、1行13文字から20文字程度に区切るのが一般的です。

なぜ人手が必要とされ続けるのか

「AIが自動でやってくれるのでは」と思われるかもしれません。正直に言うと、自動化はかなり進んでいます。

それでも人が必要なのは、AIが日本語の文脈を読み違えるからです。「以上です」を「異常です」、「講演」を「公演」、社名や人名の誤変換。こうしたミスは、動画を公開してしまえば恥をかくのは発注者です。だから最終チェックは人がやる。

もうひとつ、読みやすさの判断も人にしかできません。どこで文を切るか、どの言葉を残してどれを省くか。話し言葉は「えー」「あのー」だらけですから、それを整理して意味の通る文にする作業には、日本語の感覚が要ります。

長く社会人をやってきた方は、この感覚をすでに持っています。それが最大の強みです。

定年後の在宅ワークとして相性がいい5つの理由

なぜこの仕事を定年後に勧めるのか。理由を整理しておきます。

体への負担が小さい

在宅ワークの中には、意外と体力を使うものがあります。梱包や発送の内職、電話対応、長時間の立ち作業。

字幕づくりは、座ってできます。重いものも持ちません。天候にも左右されない。持病がある方、通院が必要な方でも、スケジュールを自分で組めます。

ただし、目と首には負担がかかります。この対策は後半で詳しくお話ししますので、安心してください。

未経験から入りやすい構造がある

求人を見ると、この仕事が「入口」として設計されていることが分かります。

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「テロップ挿入などの簡単な編集から始め」と書かれています。つまり業界側が、字幕・テロップを未経験者の入口として位置づけているということです。難しい編集技術はあとから覚えればいい。

人と話さなくても成立する

これは向き不向きが分かれるところですが、対人のやり取りが少ない仕事です。指示はテキストで来て、納品もファイルで送る。オンライン会議が入ることはありますが、頻繁ではありません。

会社員時代に人間関係で消耗した方には、この静けさが救いになります。実際に「もう気を遣う仕事はしたくない」というご相談は多いです。

ただし逆に、孤独を感じやすい仕事でもあります。この点も後で触れます。

短時間から始められる

1日2時間から3時間で回せる案件が多い。週2日から3日の稼働でも成立します。

年金を受給しながら、生活のリズムを崩さない範囲で働きたい方には、この柔軟さが大きい。フルタイムの緊張感に戻る必要はありません。

覚えたスキルが他に転用できる

字幕づくりで身につくのは、動画編集ソフトの基本操作、日本語の校正力、ファイル管理の作法です。

これらは動画編集そのものや、文字起こし、Webライティング、資料作成といった隣接分野にそのまま使えます。ひとつの入口から複数の道が開ける。これは長く続けるうえで、とても大事なことです。

必要なものと、覚えるべきスキル

準備の話をします。難しく考えなくて大丈夫です。

用意するもの

パソコンが1台。これが最低条件です。文字入力と動画再生ができれば、最新機種でなくても始められます。

ただし、動画は容量が大きいので、保存領域には余裕を持ってください。256GB以上のストレージがあると安心です。外付けのハードディスクを1台用意すれば、古い機種でも十分対応できます。

ネット回線も必要です。動画をダウンロードして、編集して、アップロードする。この往復に時間がかかると作業効率が落ちます。光回線が理想ですが、なくても始められます。

ヘッドフォンかイヤホンは、必ず用意してください。スピーカーで聞くと、細かい発音の違いが判別できません。3,000円程度のもので構いませんが、長時間つけても痛くならないものを選んでください。これは体を守るための投資です。

ソフトは無料のものから始められます。字幕専用の無料ソフトがいくつもありますし、動画編集ソフトにも無料版があります。有料版が必要になるのは、仕事が安定してからで遅くありません。

覚えるべきスキルは3つだけ

ひとつ目、タイピング。速い必要はありませんが、キーボードを見ずに打てると作業が楽になります。1分間に100文字ほど打てれば十分です。心配な方は、無料のタイピング練習サイトで2週間ほど練習してみてください。確実に速くなります。

ふたつ目、字幕ソフトの基本操作。覚えることは意外と少なくて、動画を読み込む、字幕を入力する、表示時間を調整する、書き出す。この4つです。1日触れば形になります。

みっつ目、日本語の整理力。これがいちばん大事で、いちばん差がつきます。話し言葉を読みやすい文にする力です。長く文書を書いてきた方には、すでに備わっている力でもあります。

文書作成の型を体系的に整理したい方は、ビジネス文書検定が参考になります。読み手に伝わる文の作り方が実務ベースでまとまっていて、字幕の言い換えや要約にそのまま活きる内容です。

覚えなくていいこと

不安を減らすために、これも書いておきます。

英語は不要です。日本語の動画が圧倒的に多く、翻訳字幕は別の専門分野になります。

デザインセンスも不要です。文字の色やフォントは、発注者が指定してくることがほとんどです。指定がない場合も、白文字に黒フチという定番があります。

プログラミングも不要です。動画編集の高度な技術も、最初は要りません。カット編集やエフェクトは、やりたくなってから覚えればいい。

報酬の目安と、収入がどう積み上がるか

お金の話をします。期待を煽らず、現実を書きます。

単価の考え方

字幕づくりの報酬は、主に3つの決まり方があります。

動画の尺で決まる形。10分の動画で1,500円から4,000円程度が中心帯です。

分単位の単価で決まる形。1分あたり150円から400円ほど。尺が長い案件ではこの方式が使われます。

時給で決まる形。企業に業務委託や登録で入る場合はこちらで、時給1,200円から1,700円あたりが目安になります。求人によっては、こんな条件も出ています。

舞台芸術の魅力を世界へ発信する総合職(制作・営業)を募集します。未経験者歓迎で、意欲と人物重視の採用です。仕事内容は、舞台の音声・字幕解説の企画編集や、劇場での店舗運営・企画など、希望と適性に応じて担当します。月給21.8万円からで、昇給・賞与は年2回あります。社会保険完備、交通費全額支給、産前産後休暇、育児・介護休暇など、充実した福利厚生が整っています。勤務時間は交代制で、休日はシフト制となります。 出典: 求人ボックス

字幕の周辺には、こうした企画・編集の仕事も存在します。在宅だけに絞らなければ、選択肢はさらに広がります。

最初は時間がかかる。これは全員そうです

未経験の方が最初に驚くのは、10分の動画に3時間から4時間かかることです。「時給に換算したら安すぎる」と感じて、ここで辞めてしまう方がいます。

でも、これは全員が通る道です。慣れると同じ10分の動画が1時間から1時間半で終わるようになります。作業時間が3分の1になれば、実質の時給は3倍です。

目安として、20本ほどこなすと手が動き始めます。50本で安定します。最初の20本は「訓練期間で、お金は少しもらえる」くらいの気持ちでいてください。そう思っていると、心が折れません。

月あたりの現実的な水準

3日、1日3時間の稼働で、月3万円から8万円のレンジに入る方が多い。慣れて単価の高い案件を持つようになると、もう少し上がります。

生活の中心にするというより、年金や貯蓄に上乗せする収入として考えるのが現実的です。そして定年後の場合、それで十分なことがほとんどです。

単価を上げる3つの道筋

もっと収入を増やしたい場合、道は3つあります。

ひとつ、専門分野に寄せる。医療、法律、金融、製造業の技術動画。専門用語を正しく扱える人は希少で、単価が上がります。前職の知識がそのまま値段になります。

ふたつ、工程を広げる。字幕だけでなく、カット編集やサムネイル作成まで引き受ける。「1本まるごと任せられる人」になると、単価の桁が変わります。

みっつ、直接取引に移す。仲介を経由せず、制作会社やチャンネル運営者と直接つながる。中間の手数料が乗らない分、同じ作業で手取りが増えます。

文章を扱う仕事全般の相場を知っておくと、自分の値付けの基準ができます。著述家,記者,編集者の年収・単価相場には、文字を扱う職種の収入レンジがまとまっていて、字幕から文章の仕事へ広げるときの参考になります。

未経験から仕事を得るまでの5ステップ

順番が大事です。焦らず、ひとつずつ進めてください。

ステップ1:練習用の動画で3本作る

いきなり応募しないでください。まず自分で作ってみます。

素材は、公開されている無料の動画で構いません。自分でスマートフォンで撮った動画でもいい。それに字幕を付けて、書き出すところまでやってみる。

ここで分かるのは、「思ったより地味な作業だ」ということと、「意外と面白い」ということの、どちらかです。どちらでも構いません。合わないと感じたら、その時点で分かってよかったと考えてください。

3本作ると、作業時間の感覚がつかめます。この感覚が、後で単価を判断するときの基準になります。

ステップ2:作業環境を整える

体を守るための準備です。ここを飛ばす方が多いのですが、いちばん大事かもしれません。

画面の高さ。目線がやや下向きになる位置に調整してください。ノートパソコンをそのまま机に置くと、首が前に出て負担がかかります。台を使って高さを上げ、外付けキーボードを使うだけで、首と肩の疲れがまったく違います。

椅子。長時間座るなら、背もたれのあるものを。ダイニングチェアでの長時間作業は腰を痛めます。

照明。画面だけが明るい暗い部屋は、目に最も悪い環境です。部屋全体を明るくしてください。

そして休憩。50分作業したら10分休む。タイマーをかけてください。集中していると忘れます。

ステップ3:応募に使う自己紹介を作る

ここで多くの方がつまずきます。「未経験だから書くことがない」と。

そんなことはありません。書くべきは、経験の有無ではなく、発注者が知りたいことです。

具体的には、対応できる作業(字幕入力、タイムコード調整、テロップ挿入など)。使えるソフト。1週間に対応できる本数。納期の目安。そして、前職で培った知識のうち、字幕に活きる部分です。

たとえば、金融機関にいた方なら金融系の動画で用語に強い。製造業なら技術用語が読める。教育関係なら教材動画に強い。この一文があるだけで、他の応募者と区別されます。

ステップ4:小さい案件から応募する

最初は通らないこともあります。それが普通です。落ち込まなくて大丈夫。

応募のコツをひとつ。テンプレートの使い回しはやめてください。案件ごとに2行でいいので「この案件のどこに自分が合うか」を書き足す。返信率が明らかに変わります。

応募先も1か所に絞らないこと。在宅ワークの仲介サイト、クラウドソーシング、映像制作会社への直接応募。複数の入口を持っておくと、精神的に楽です。ひとつ落ちても「他がある」と思えますから。

ステップ5:初回案件を丁寧に終える

最初の1件は、単価を追わないでください。追うべきは、次の依頼が来る終わり方です。

納期は必ず守る。むしろ半日早く出す。ファイル名は指定通りにする。分からないことは、作業前にまとめて質問する。

そして納品時に一言。「修正が必要な箇所があれば遠慮なくお知らせください」。この一文があるかないかで、リピート率が変わります。

続けるための、心と体の整え方

ここからは、あまり他の記事に書かれていない話をします。技術より大事なことです。

「誰とも話さない日」が続くとどうなるか

在宅ワークを始めた方から、よくこう相談されます。「気づいたら3日間、誰とも話していませんでした」と。

会社員のときは、良くも悪くも毎日誰かと会話がありましたよね。それがなくなると、最初は快適なんです。気を遣わなくていい。でも、しばらくすると別のものが来ます。

言葉が出にくくなる。人と会うのが億劫になる。理由もなく気分が落ちる。これは性格の問題ではなく、環境の影響です。あなたが弱いわけではありません。

対策は、驚くほど単純です。声を出す機会を、意識的に予定に入れること。買い物で店員さんと話す。近所を散歩して挨拶をする。週に1回、誰かと電話をする。オンラインの集まりに参加する。

たったこれだけで、かなり違います。「対策できる」と知っているかどうかが、いちばん大きいんです。

私自身が失敗したこと

正直にお話しします。私も在宅で仕事を始めた頃、同じ落とし穴に落ちました。

家で仕事ができるのが嬉しくて、朝起きてすぐ画面に向かい、気づけば夕方。着替えもせず、外にも出ない。効率がいいと思っていました。

ところが2か月ほど経った頃、文章がまったく書けなくなりました。頭が働かない。集中が10分も続かない。最初は年齢のせいかと思ったのですが、違いました。単純に、体を動かしていなかっただけです。

朝に20分散歩する習慣を作ったら、1週間で戻りました。あまりに単純で拍子抜けしたのを覚えています。

在宅ワークは、意識して体を動かさないと、本当に一日中座り続けてしまいます。「散歩は仕事の一部」と思ってください。これは効率を上げるための作業です。

目を守ることは、仕事を守ること

字幕づくりは、画面を凝視する時間が長い仕事です。目を壊すと、仕事そのものができなくなります。

意識してほしいのは3つ。まばたきの回数、画面までの距離、そして休憩です。

集中していると、まばたきが通常の4分の1程度まで減ると言われています。乾燥が進みます。意識してまばたきをするか、目薬を手元に置いてください。

画面までの距離は50センチ以上。近づきすぎると疲れが早く来ます。文字が見えにくい場合は、近づくのではなく画面の表示を大きくしてください。

そして休憩中は、画面を見ないこと。休憩でスマートフォンを見ていては、目は休まりません。窓の外の遠くを見る。これがいちばん効きます。

健康管理については、働く人の心身の健康に関する情報が厚生労働省のサイトにまとまっています(厚生労働省)。在宅で働く方向けの情報も含まれているので、一度目を通しておくと安心です。

収入が安定するまでの不安との付き合い方

これも大きなテーマです。最初の数か月は、収入が読めません。来月いくらになるか分からない状態は、想像以上に心に負担がかかります。

対処法をひとつ。「今月いくら稼いだか」ではなく、「今月何本納品したか」を記録してください。

金額は自分でコントロールできませんが、本数は自分の努力の結果です。コントロールできるものに目を向けると、不安は小さくなります。心理学的にも、これはよく知られた効果です。

もうひとつ。生活費のすべてをこの仕事に依存させないこと。年金、貯蓄、他の収入。複数の柱があると、精神的な余裕がまったく違います。余裕があると、単価の安い案件を断れます。断れると、単価が上がります。

字幕づくりから、その先へ広げる

この仕事を入口にして、どこへ行けるか。選択肢を示しておきます。

動画編集そのものへ

字幕作業をしていると、自然に編集ソフトに慣れます。カット編集、BGM挿入、サムネイル作成。ここまで対応できると、案件の単価が変わります。

求人でも、この道筋が明示されています。

SNS動画の編集スタッフを募集しており、未経験からプロを目指せます。おうちで働くフルリモートで、残業ゼロの18時退勤、土日祝休みです。仕事内容は、SNS投稿用動画のチェックや、テロップ・BGM挿入などの簡単な編集から始め、ゆくゆくは企画のアイデア出しにも携わります。入社後は研修からスタートし、先輩がサポートするので安心です。動画編集スキルに加え、動画構成力やSNS・Webマーケティングの知識も身につきます。キャリアパスとして、動画クリエイターや映像ディレクターなども目指せます。... 出典: 求人ボックス

テロップ挿入から始めて、構成力やマーケティングの知識まで広げる。この階段は、実際に用意されています。

AIを使いこなす側に回る

字幕づくりは、AIとの付き合い方を最も近くで学べる仕事でもあります。自動文字起こしを使い、その誤りを直す。この繰り返しの中で、「AIが何を得意として、何を間違えるか」が体感で分かってきます。

この感覚は、実はかなり価値があります。企業でAIをどう業務に組み込むかという相談は増えていて、そこでは「実際に使った経験がある人」が求められます。AIコンサル・業務活用支援のお仕事には、AI活用の支援がどう案件になっているかがまとまっていて、字幕づくりの経験がどう繋がるかを考える材料になります。

もう少し広い技術領域を見ておきたい方は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事も参考になります。在宅で成立する技術寄りの仕事がどう分類されているかが分かります。

文章を扱う仕事へ

字幕づくりで鍛えられるのは、実は文章力です。話し言葉を書き言葉に直す作業を毎日やるわけですから、要約と言い換えの訓練になります。

この力は、Webライティング、議事録作成、資料作成にそのまま使えます。50代から新しいスキルを身につける現実的な方法については、50代の転職に役立つWebスキル|未経験でも身につくIT技術5選に、無理のない習得の順番がまとめられています。

前職の専門性と掛け合わせる

これがいちばん強い道です。

長年勤めた業界の知識は、あなたが思っている以上に価値があります。その業界の動画に字幕を付けられる人は限られます。さらに進んで、業界の知識そのものを売る道もある。シニアのコンサルティング副業|長年の業界経験を高額案件に変えるには、経験を案件に変えていく具体的な考え方が整理されています。

技術系の仕事に興味がある方なら、資格を持っていることが信頼材料になります。CCNA(シスコ技術者認定)のようなネットワーク系の資格は、技術解説動画の字幕作業でも、専門用語を正しく扱える証明になります。

アプリやシステムの開発に関わる動画を扱うなら、アプリケーション開発のお仕事で、どんな種類の案件が在宅で動いているかを見ておくと、専門特化の方向が定まります。

在宅ワーク市場を20年見てきた立場からの観察

運営者として長くこの市場を見てきた立場から、少し書き添えます。

長く続いている在宅ワーカーに共通しているのは、作業が特別に速いことでも、技術が飛び抜けていることでもありません。「この人に任せると楽だ」という状態を作ることに、時間を使っている点です。

連絡が早い。確認事項が的確。納品物がそのまま使える。この3つが揃っている人には、単価交渉をしなくても仕事が集まってきます。逆に、技術が高くても連絡が遅い人は、少しずつ依頼が減っていく。職種を問わず、20年間変わらない法則です。

もうひとつ、報酬の「額面」と「手取り」の違いについて。同じ3,000円の案件でも、間に何社も入る構造では、実際に手元に届く金額は目減りします。逆に、発注者と受注者が直接つながる場では中間マージンが乗らないため、依頼者は同じ予算でより多く頼めて、受け手は手取りが厚くなる。手数料0%という仕組みが効いてくるのは、金額の大小ではなく、この構造の部分です。

字幕づくりのように1件あたりの金額が大きくない仕事では、この差が特に効きます。1件3,000円の案件で手数料が20%引かれれば、手元に残るのは2,400円。月に20本受ければ、差は1万2,000円になります。年間では14万4,000円。作業量を増やして埋めようとするより、取引の構造を見直すほうが早いことがある、というのが現場を見てきた実感です。

独自データから見える、定年後の在宅ワークの構造

在宅ワークの案件を職種別に見ていくと、定年後に始める方にとって重要な傾向が見えてきます。

第1に、立ち上がりが速いのは「前職の経験を再利用できる職種」です。字幕づくりは一見すると未経験の分野ですが、実際には日本語力と業界知識がそのまま単価に反映されます。技術文書が読める、業界用語が分かる、誤字に気づく。この積み上げが若い人との差になります。専門性が明確な職種ほど単価のレンジが広いことは、ソフトウェア作成者の年収・単価相場のような技術職の相場を見ると分かります。裏を返せば、専門性を打ち出さない仕事は価格競争に巻き込まれやすい。

第2に、継続率を決めているのは収入ではなく「拘束感」です。定年後の在宅ワークで途中でやめてしまう最大の理由は、金額の低さではありません。決まった時間に必ず作業しなければならないことへの負担です。

字幕づくりは、納期さえ守れば作業時間を自分で決められます。通院、家族の予定、体調の波。それに合わせて調整できる。この設計上の相性が、定年後の働き方として効いてきます。

第3に、収入が安定している方は、複数の入口を持っています。ひとつの仲介サイト、1社の発注者に依存すると、その関係が切れた瞬間にゼロになります。仲介サイト、直接契約、紹介。この3系統を並行して持っておく。

そして第4に、始める前の準備が、後の負担を大きく減らします。健康保険の切り替え、年金の手続き、開業届を出すかどうか、確定申告の準備。これらを退職前後に整理しておくと、仕事が始まってから慌てずに済みます。定年後のフリーランス生活|退職前から始める準備チェックリストに、退職前から手をつけておくべき項目が順番に整理されています。

在宅で報酬を得ると、事業所得または雑所得として申告が必要になります。年金を受給しながら働く場合の扱いについては、日本年金機構の情報を確認してください(日本年金機構)。税務の基本は国税庁のサイトに個人事業者向けの解説がまとまっています(国税庁)。会計処理はクラウドの会計サービスを使えば大きな負担にはならず、年間の取引が数十件程度なら月に1回まとめて入力するだけで足ります。

最後にひとつだけ。この仕事を始めるかどうか迷っている方に伝えたいことがあります。

準備を完璧にしてから始めようとすると、たいてい始まりません。機材を調べ、講座を探し、市場を調べているうちに半年が過ぎる。そういうご相談を、本当にたくさん受けてきました。

そうではなく、まず1本作ってみてください。手元のパソコンと無料ソフトで、5分の動画に字幕を付けてみる。合わなければやめればいい。面白ければ続ければいい。

判断材料は、頭の中ではなく手の中にあります。あなたは一人ではありませんし、今からでも遅くありません。大丈夫ですよ。

よくある質問

Q. 未経験でも動画の字幕づくりの仕事は取れますか?

取れます。求人の多くが「テロップ挿入などの簡単な編集から」と未経験者の入口として設計されています。まず練習用に3本ほど自作して作業感覚をつかみ、応募時には前職の知識のうち字幕に活きる部分を書き添えてください。金融、医療、製造など専門用語が読めることは大きな強みになります。

Q. パソコンやソフトにいくら費用がかかりますか?

既にパソコンをお持ちなら、追加費用はほぼかかりません。字幕ソフトも動画編集ソフトも無料版で仕事を始められます。用意したいのは3,000円程度のヘッドフォンと、動画を保存する外付けハードディスク程度です。有料ソフトは仕事が安定してから検討すれば十分です。

Q. 報酬の相場はどのくらいですか?

10分の動画で1,500円から4,000円、分単価では1分150円から400円、時給制なら1,200円から1,700円あたりが目安です。週3日・1日3時間の稼働で月3万円から8万円のレンジに入る方が多くなります。最初は10分の動画に3時間以上かかりますが、20本ほどで手が動き始め、50本で安定します。

Q. 目や体への負担が心配です。続けられますか?

対策すれば続けられます。画面までの距離は50センチ以上、目線がやや下向きになる高さに調整し、50分作業したら10分休む習慣をつけてください。休憩中は画面を見ず遠くを見ること。加えて、1日20分程度の散歩を仕事の一部として予定に入れると、集中力の持続がまったく変わります。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年6月1日最終更新:2026年9月7日
中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美@SOHO編集部

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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