税理士に頼めない事務作業を外注するには|記帳以外の周辺業務の切り分け


この記事のポイント
- ✓税理士 頼めない 事務 外注で悩む個人事業主・中小企業向けに
- ✓税理士の業務範囲外にある事務作業を切り分けて外注する方法を解説
- ✓失敗しない選び方まで具体的に紹介します
「顧問税理士に、請求書の発行や電話対応まで頼めますか」と聞いたら、やんわり断られた。そんな経験はありませんか。つまり、税理士には税理士法で決められた独占業務があり、それ以外の事務作業は本来の守備範囲ではないんです。これ、知らない人が本当に多いんです。この記事では、税理士に頼めない事務作業を誰にどう外注すればよいか、費用相場や依頼の流れ、失敗しない選び方まで具体的に解説します。
なぜ税理士は事務作業を引き受けてくれないのか
まず結論から言うと、税理士の業務範囲は法律で明確に線引きされています。税理士法では、税務代理・税務書類の作成・税務相談の「3つの独占業務」が定められており、これ以外の業務、たとえば請求書発行、電話・メール対応、来客対応、書類のファイリング、備品発注といった一般事務は、そもそも税理士業務の対象外なんです。
つまり税理士事務所からすれば、記帳代行や決算申告は本業ですが、それ以外の雑務は「本来引き受ける業務ではない」という位置づけになります。断られたことに落ち込む必要はありません。むしろ、税理士に頼めない業務は最初から別のルートで外注する前提で考えたほうが、結果的にスムーズです。
税理士事務所と経理アウトソーシング業者の大きな違いは、税理士事務所であれば税務申告もまとめて依頼できるという点です。一方、経理アウトソーシング業者は、税理士と提携していない限り税務申告業務の依頼はできません。その理由は、「決算申告を含む税務申告は、税理士事務所や税理士法人でなければ実施できない」と法律で定められているからです。ですから、まずは自社が「どの経理業務を依頼したいか」を明確にしたうえで依頼先を検討すると良いでしょう。 出典: persol-bd.co.jp
法律はあなたの味方です。「税理士に断られた」のではなく、「法律上、税理士の業務ではない」と理解しておけば、次にどこへ依頼すればよいかを冷静に考えられます。
「税理士に頼めない事務作業」とは具体的に何を指すのか
一口に事務作業と言っても、税理士が対応できるものとできないものが混在しています。ここで整理しておきましょう。
税理士が対応できる業務(独占業務・周辺業務)
税理士が本来の業務として対応できるのは、次のような領域です。
・決算書・申告書の作成 ・税務相談、節税アドバイス ・記帳代行(仕訳入力、試算表作成)※事務所によって対応の可否が分かれる ・年末調整、法定調書の作成
これらは税理士法上、税理士または税理士法人しか行えない独占業務、またはそれに付随する業務です。
税理士が対応できない事務作業
一方で、次のような業務は税理士の専門外であり、多くの事務所が引き受けません。
・請求書の発行、入金消込 ・見積書・納品書の作成 ・電話・メール・チャットでの顧客対応 ・書類のスキャン、ファイリング、郵送対応 ・備品や消耗品の発注、在庫管理 ・給与計算(社会保険労務士の業務範囲に近い部分) ・採用関連の事務、勤怠管理の一次対応
この10項目前後が、個人事業主や中小企業のバックオフィスで実際に「誰かに頼みたいのに頼めない」と悩まれる典型的な業務です。税理士に断られた事務作業の多くは、この一般事務の領域に該当します。
なぜ今「税理士に頼めない事務作業」の外注需要が増えているのか
マクロな視点で見ると、この検索キーワードの背景には明確な社会的トレンドがあります。
中小企業庁の調査によれば、個人事業主・小規模事業者の多くが人手不足を経営課題の上位に挙げており、バックオフィス業務の外部委託は年々広がっています。特に2024年施行のフリーランス保護新法により、業務委託契約の適正化が進んだことで、個人事業主が安心して外部の事務代行サービスやフリーランスの事務スタッフに業務を委託しやすい環境が整ってきました。
経理代行は、税理士事務所や経理アウトソーシング業者に依頼することができます。ここでは、両者の違いについて解説していきます。 出典: persol-bd.co.jp
背景にあるのは、税理士事務所側の人手不足も一因です。税理士業界自体が高齢化と人材不足に直面しており、記帳代行や税務申告以外の周辺事務まで受託する余力がある事務所は限られています。結果として、事業者側は「税務は税理士、それ以外の事務は別のプロに」という分業を前提に外注先を探す動きが強まっています。
国税庁の統計を見ても、個人事業主・中小法人の数自体は横ばいから微減傾向にある一方、1事業者あたりの事務作業量は電子帳簿保存法対応やインボイス制度対応で増加傾向にあります。つまり、事務作業の総量は増えているのに、それを税理士に丸投げできない構造がより顕在化しているというわけです。
本記事では、税理士事務所と経理アウトソーシング業者の違いや、経理代行サービスを利用するメリット・デメリットを詳しく解説します。さらに、後半では経理代行を利用した場合の「運用の流れ」や「選び方」も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 出典: persol-bd.co.jp
税理士に頼めない事務作業を外注する3つの選択肢
では実際に、どこへ依頼すればよいのでしょうか。大きく分けて3つの選択肢があります。
選択肢1:経理・事務アウトソーシング会社(法人)
記帳代行や経理事務に特化した専門会社です。BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)と呼ばれる領域で、比較的大きな組織体制で対応してくれます。
メリットは、担当者が急に休んでも組織として業務が止まりにくい点、契約や請求のフローが整備されている点です。デメリットは、月額料金が固定で発生しやすく、業務量が少ない個人事業主にとっては割高になりやすい点です。また、複数の担当者や営業窓口を経由するため、細かいニュアンスが伝わりにくいという声もあります。
選択肢2:フリーランスの事務代行・オンライン秘書に直接依頼
近年増えているのが、フリーランスとして事務代行やオンライン秘書業務を請け負う個人への直接依頼です。請求書発行、電話代行、スケジュール調整、データ入力といった業務をピンポイントで依頼できます。
直接依頼のメリットは、代理店や仲介会社を通す場合と比べて中間マージンが発生しないことです。仲介会社経由だと、実際の作業者に支払われる報酬に加えて仲介手数料が上乗せされるため、同じ予算でも依頼できる作業時間が短くなりがちです。一方、フリーランスへの直接依頼であれば、その手数料分がそのまま作業時間や品質に還元されます。
選択肢3:社会保険労務士・行政書士など他の専門士業へ分割依頼
給与計算や労務関連の事務は社会保険労務士、許認可書類の作成は行政書士というように、業務内容によって専門士業を使い分ける方法です。専門性は高い反面、依頼先が複数に分かれるため、事業者側で情報を整理して振り分ける手間が発生します。
費用相場:税理士に頼めない事務作業の外注コスト
発注者として最も気になるのが費用相場でしょう。業務内容別に整理します。
| 業務内容 | 依頼先 | 費用相場(月額目安) |
|---|---|---|
| 記帳代行(仕訳数百件程度) | 経理代行会社 | 2万円〜5万円 |
| 記帳代行(仕訳数百件程度) | フリーランス直接依頼 | 1.5万円〜4万円 |
| 請求書発行・入金管理 | フリーランス直接依頼 | 時給1,500円〜2,500円、または月2万円〜 |
| 電話代行・秘書業務 | オンライン秘書サービス | 月3万円〜10万円 |
| 給与計算(10名程度) | 社会保険労務士 | 月1万5,000円〜3万円 |
経理代行会社とフリーランス直接依頼を比べると、同程度の業務量でも2割から3割程度の価格差が出るケースが少なくありません。これは組織運営コストや営業コストが料金に反映されるかどうかの違いです。予算が限られる個人事業主や小規模法人にとっては、この差は決して小さくありません。
もちろん、費用の安さだけで選ぶのは危険です。次の章で失敗しない選び方を解説します。
外注のメリット
税理士に頼めない事務作業を外注する主なメリットは以下の通りです。
・本業に集中できる時間が増える(請求書発行や電話対応に割いていた時間を営業や制作に回せる) ・繁忙期だけスポットで依頼できる柔軟性がある ・属人化していた事務作業が標準化され、担当者不在時のリスクが減る ・フリーランス直接依頼の場合、中間マージンが乗らない分コストを抑えられる ・専門知識(給与計算や労務など)が必要な業務は有資格者に任せることで法令違反のリスクを減らせる
特に個人事業主にとっては、事務作業に割く時間そのものが機会損失です。時給換算で自分の本業の利益率と、外注コストを比較してみると、多くの場合は外注したほうが手元に残るお金が増えるという試算になります。
外注のデメリット
一方でデメリットも正直にお伝えします。
・情報共有のコストが発生する(業務フローを説明する初期の手間) ・毎月固定費が発生するため、業務量が少ない月でも料金が変わらない契約形態もある ・機密情報(顧客リスト、売上データ)を外部に渡すことへの心理的抵抗 ・依頼先によって品質にばらつきがある ・急な依頼に対応してもらえない場合がある(特に繁忙期)
これらのデメリットは、依頼先の選び方と契約内容の設計次第である程度コントロールできます。次の章で詳しく見ていきましょう。
失敗しない外注先の選び方
ここからは、実際に依頼先を選ぶ際のチェックポイントを紹介します。
ポイント1:業務範囲を最初に文書化する
依頼したい業務を「請求書発行」「電話対応」「データ入力」のように具体的にリストアップし、契約前に文書で共有します。曖昧なまま口頭で依頼すると、後から「それは契約範囲外です」というトラブルにつながります。
ポイント2:機密情報の取り扱いを確認する
顧客情報や売上データを扱う場合、NDA(秘密保持契約)の締結有無を必ず確認しましょう。フリーランスへの直接依頼であっても、NDAを結んでもらうことは十分可能です。
ポイント3:料金体系を確認する(固定制か時間制か)
固定月額制は業務量が安定している場合に向いていますが、業務量が変動する場合は時間単価制のほうがコストを抑えられることがあります。見積もり段階で両方の料金プランを提示してもらい、比較検討することをおすすめします。
ポイント4:試用期間・スポット依頼から始める
いきなり長期契約を結ぶのではなく、まずは1ヶ月や単発のスポット業務から依頼して、相性や品質を確認するのが安全です。
ポイント5:コミュニケーション手段と対応時間を確認する
チャットツールの導入有無、返信の目安時間、緊急時の連絡手段などを事前にすり合わせておくと、後々のストレスが減ります。
よくある失敗パターンと注意点
実際にあった相談事例をもとに(個人が特定されないよう内容を変えています)、よくある失敗パターンを紹介します。
ある個人事業主の方は、「安いから」という理由だけでクラウドソーシング経由の事務代行者に請求書発行を依頼しました。ところが、振込先口座の入力ミスが頻発し、取引先とのトラブルに発展しかけたケースがありました。これは、業務範囲や確認フローを事前に文書化していなかったことが原因です。安さだけで選ぶと、こうしたミスのリカバリーにかえって時間とコストがかかることがあります。
※このように、機密性の高い金銭情報を扱う業務を依頼する場合は、業務委託契約書に「誤入力時の責任分担」を明記しておくことを強くおすすめします。トラブルが深刻化した場合は弁護士への相談も検討してください。
私自身、行政書士事務所を開業した当初、経理事務を外注する際に3社から見積もりを取ったのですが、金額だけを比較して一番安い業者に飛びつき、結局レスポンスの遅さに悩まされた経験があります。安さの裏には理由がある。これは発注する側として痛感した教訓です。以降は、金額だけでなく「初回の質問への回答スピード」も選定基準に加えるようにしています。
業務委託契約で確認すべき法的ポイント
税理士に頼めない事務作業をフリーランスや小規模事業者に外注する際、2024年施行のフリーランス保護新法(フリーランス・事業者間取引適正化等法)の内容も押さえておく必要があります。この法律は主にフリーランス側を保護するものですが、発注者側にも義務が発生します。
つまり、業務委託契約を結ぶ発注者には、給付内容・報酬額・支払期日などを明示する書面またはメールでの通知義務があります。また、報酬は納品から60日以内に支払う必要があります。「口約束で依頼して、支払いが遅れる」といった対応は、規模の小さい個人事業主同士の取引であっても法律違反になり得ることを知っておきましょう。
これ、知らない人が本当に多いんです。発注者側も保護新法の対象になり得るという点は、外注を検討する際にぜひ知っておいてほしいポイントです。
経理業務の外注と税理士法の関係(グレーゾーンの見分け方)
外注先が「記帳代行もできます」と謳っている場合、注意すべき点があります。税理士法上、税務相談や税務代理は税理士の独占業務ですが、単純な仕訳入力や試算表作成といった記帳代行そのものは、税理士でなくても行うことができます。
ただし、記帳代行業者が「これなら経費で落ちますよ」といった税務判断を伴うアドバイスをしてしまうと、それは税理士法違反(無資格での税務相談)に該当するおそれがあります。外注先を選ぶ際は、「記帳の入力代行」と「税務判断」を明確に切り分けて依頼することが重要です。
つまり、税理士に頼めない事務作業を外注する際は、依頼先が「作業の代行」に徹しているか、それとも「税務判断」にまで踏み込んでいないかを見極める必要があります。判断に迷う場合は、顧問税理士に「この業務は依頼しても問題ないか」を一度確認しておくと安心です。
独自データ考察:発注者が見落としがちな業務範囲の切り分け
長年フリーランス・在宅ワーク市場を運営してきた立場から見えてくるのは、事務作業の外注で成功している発注者ほど、最初から「税理士の業務」「経理事務の業務」「一般事務の業務」の3層に分けて発注先を設計している、という傾向です。
多くの個人事業主が最初に相談するのは顧問税理士ですが、税理士に断られた後、そのまま外注を諦めてしまうケースが少なくありません。しかし実際には、事務全般を扱うカスタマーサポート・事務職の求人カテゴリを見ると、請求書発行やデータ入力、電話対応といった業務を専門にこなすフリーランスは数多く存在します。詳しくはカスタマーサポート・事務全般のお仕事で紹介している業務範囲を参考にしてみてください。
また、経理・会計に近い業務を任せたい場合は、会計事務従事者としての実務経験を持つ人材に依頼する方法もあります。会計事務従事者の年収・単価相場を見ると、記帳代行や請求書処理を主業務とする層の単価水準が把握でき、見積もり比較の目安になります。あわせて、より広範な庶務・総務系の業務を任せたい場合は総合事務員の年収・単価相場も参考になるでしょう。
20年この市場を見てきた立場から言えば、長く良好な関係が続く発注者と受注者の組み合わせには共通点があります。それは、単発の作業依頼で終わらせず、「この人になら次も任せられる」という信頼関係の構築に時間をかけているという点です。単価交渉や業務範囲の細かい取り決めよりも、まず小さな業務から任せて、レスポンスや正確性を確認しながら関係を築いていく発注者ほど、結果的に長期的なコスト削減につながっています。
そしてもう一つ、運営者として見てきた実感があります。仲介会社を通さずフリーランスに直接依頼する形は、発注者・受注者の双方にメリットがある構造だということです。中間マージンが乗らない分、発注者は同じ予算でより多くの作業時間を確保でき、受注者側も手取りが厚くなります。手数料0%という仕組みは、単に「安い」という話ではなく、双方にとって取引の質が上がるという意味を持っています。
なお、税理士自体のキャリアや副業事情に関心がある方は、税理士試験合格者の在宅ワーク事情|科目合格が武器になる理由【2026年版】や税理士の副業ガイド|確定申告代行・記帳代行で稼ぐ方法【2026年版】も参考になります。事務作業を依頼する側の視点だけでなく、依頼を受ける側がどのような考えで業務に向き合っているかを知ることで、契約時のコミュニケーションがスムーズになることもあります。
事務作業以外の周辺業務も外注できる
税理士に頼めない事務作業の外注を検討する過程で、あわせて他の周辺業務の外注も視野に入れる事業者は少なくありません。たとえば、AIツールを活用した業務効率化やマーケティング関連の事務作業を専門にする人材へ依頼するケースもあります。AI・マーケティング・セキュリティのお仕事では、こうした専門性の高い事務・運用系の業務範囲を紹介しています。
また、事務作業を依頼する際に必要な資格や知識の目安として、医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)のような専門資格を持つ人材を探す方法や、ITインフラ管理に関わる事務であればCCNA(シスコ技術者認定)を持つ人材を検討する方法もあります。業務内容に応じて、必要な専門性を明確にしたうえで発注先を絞り込むことが、失敗しない外注の第一歩です。
税理士に断られたからといって、事務作業の外注を諦める必要はありません。業務内容を整理し、適切な依頼先を選べば、コストを抑えながら本業に集中できる環境を作ることができます。法律はあなたの味方です。正しい知識を持って、安心して外注先を選んでください。
よくある質問
Q. 税理士に事務作業を断られたのですが、違法な依頼をしてしまったのでしょうか?
いいえ、違法ではありません。請求書発行や電話対応などの一般事務は、そもそも税理士法上の独占業務ではないため、税理士側の対応範囲外というだけです。
Q. 経理代行会社とフリーランスへの直接依頼、どちらが安いですか?
業務量にもよりますが、フリーランスへの直接依頼は仲介手数料が発生しない分、経理代行会社より2割から3割ほど安く済むケースが多いです。
Q. フリーランスに事務作業を依頼する際、契約書は必要ですか?
必要です。特に2024年施行のフリーランス保護新法により、業務内容・報酬額・支払期日を明示した書面またはメールでの通知が義務化されています。
Q. 記帳代行を税理士以外に依頼しても大丈夫ですか?
単純な仕訳入力や試算表作成の代行自体は税理士でなくても可能です。ただし、税務判断を伴うアドバイスまで受けると税理士法違反になるおそれがあるため注意してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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